敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
ここすきとか感想も嬉しい…もっと欲しい(我欲)
主人公とワンナイトした日の夕方、つまりは「話し合い」の予定から一、二時間ほど前。
俺はアイザック直属の部下からの監視下で「家族」に電話していた。コンタクト取るにも監視がつくね、クソが。
『───で、話し合い?』
「まぁ、そんなとこ」
…家族は今もスラムにいる。それなりに人が多い所なので、電話も一台だけだが所持しているのだ。まぁ因縁つけてきた近辺のヤクザから分捕ったやつだけど。
電話先の声は、数多くいる弟の一人だ…血の繋がりこそないが、それでも大事な家族であることに変わりない。
『兄貴アレだな! すけこましってやつだな! だーから酒には気をつけろって皆言ったのに!!』
「ははは返す言葉もないや」
『にしても話し合いかぁ…いしゃりょー?ってやつ、取られたりするんじゃないの?』
「それで責任取れるなら喜んで払うよ」
「ンッフフ」
…おいコラ何笑ってやがる直属部下くん。他人の不幸というか不祥事はそんなに美味しいですかこの野郎。
今この場でお前の髪の毛だけ『殺し』てやっても良いんだぞ。こちとら考えること多過ぎて禿げそうなんだ、いっそ代わりに禿げてくれハゲ。
『あっ!おい!今俺が兄ィと話して───ヒェッ』
『聞いたよブラスあんたぁ!!!!!ママ様だよ聞こえてるかい!?!?酔った子に手ェ出したんだってぇ!?!?今からこっち戻ってきな!!!!あんたの股間にあるもん潰すよ!!!!』
「っギャアアアアア!?」
この声…! 養母のマーサだ…! というかいきなりなんつう声量出しやがるこのクソババァ!! いやあんたの言うとおりですけれども!
「わかってるよ母さん!! 今日相手方の人と話すから!! 責任しっかり取るって!!」
『わかってんなら良いんだ!! いいか、ちんまい頃に何度も言ったけれど『敬意を払わない奴は敬意を払われない』し『道理に背けば道理はあんたを見放す』!!このこときっちり頭に入れて話し合うんだよこの馬鹿息子!!!!!あとたまには帰ってきな!!!!!』
…一方的に電話を切られた。
やべぇ滅茶苦茶怒ってる…これ里帰り出来ても無事でいられる保証ゼロでは? いや無事でいようなんて虫のいい話だと理解しているけれども。
血の気が引いていく中、電話をしまう。
監視という仕事が終わったアイザックの部下は、俺を見て気の毒そうな声色で言った。
「…その、随分と苛烈なお母様ですね」
「……………ほんとね」
こればかりは同意した。
いや、俺が悪いんだけどね?
◆
2区にある、とある喫茶店の個人部屋。
それがあの人───ブラスとの待ち合わせ場所。
…思い返すのは、微かに残った記憶。
〝キミも脱ぐんだよおっ!!〟
〝バカ暑いからってんなこと…!〟
…こんな記憶があるんだ、多分襲ったのはボクの方。いやもう本当に申し訳ないというか、負い目が半端じゃないっていうか。
というか負い目ならこの場に同席してくれているクサビ主任に対しても痛いほど感じている。
…紅茶じゃなくて、重湯欲しい。
キリキリ痛む胃を抑えながらそう思った。まるで歯医者の待ち時間だ、死刑執行を待つ囚人のよう。
…そんなことを考えていたら、待ち人は来た。喪服みたいなスーツを着た、青褪めた髪と、少しだけ鋭い目…ブラスだ。
「お待たせ…しました」
「あ、いえいえ…」
…お互い、何故か敬語になる。
気まずさ故である。
「……改めて、ブラス・リッターと申します。職業は自営業の方をやらせていただいています」
「こちらこそ、改めて…フジワラ・アマネです。特異対策局、2等局員になります」
「…そちらのお方は…?」
「アマネの上司、ヒヒガネ・クサビ。アマネの身にあったことを鑑みて同席をお願いしたいんだけど、構わない?」
「いえ、助かります。よろしくお願いします」
事務的すぎるやり取りの後、ボクらはそれぞれ飲み物を頼んだ。ブラスはジンジャーティー、ボクはカフェラテ、クサビさんは抹茶ラテ。
…だけど、皆して飲み物に口をつけることはない。重々しい沈黙が、唇すら塞ぐのだ。
そんな中で、クサビさんが口火を切った。
「埒が明かないから聞くけど、結局どっちが襲ったの?」
「ぶふぅっ!?」
「んぇ、っげほっ、ごぼっ!?」
───ちょっと待てよ…待てよ!?
「記憶の限りでは、アマネがあんたを押し倒したらしいみたいだよ。そっちの記憶の状況を聞かせてくれる?」
「いや、あの、待っ…待って俺押し倒されたの!?」
「はい押し倒して脱がせましたごめんなさい!!でもそこから先の記憶はゼロなんです!!」
「これアマネにも過失有りでよくない?」
「よくねぇですが!? 部下に手ぇ出されてる可能性を鑑みたんじゃないのかあんた!?」
「いやー押し倒されたらもう、ねぇ…? あ、もしかして逆転する方が燃えるタイプ?」
「いい加減にしてよクサビ主任!!」
何でいきなり暴走し出したんだこの人!?
沈黙と一緒にモラルも吹っ飛んだのか!?
「ごめんごめん、お互いダンマリだから」
「…それは…まぁ…気まずさが…」
「ありますからねぇ…」
…スターターとして盛大すぎる。バイクのエンジンが爆発したみたいなものだ。
荒療治ではあるが、気まずさは幾分か減った。
ともかく、ボクは口を開く。
「えっと…どの辺りまで覚えてる?」
「……スピリッツレモン大頼まれて、そっちに愚痴らせる宣言された時まで。起きたらベッドの上だった」
「お互い、肝心なところはゼロか…」
どうしたものかなー、と主任が頭を悩ませる。
…今この場でボクらがはっきりさせたいのは「どちらが手を出したか」、つまりは責任の所在だ。
別に責めたいとかじゃない。
単にこれから先を決める判断材料として必要であり…なんというか…。
間違ったことをしたのなら、その記憶をしっかりと覚えてないといけない、なんて義務感みたいなもの。
なんてことを考えていた、
「…よし分かった。アマネ、
「───え?」
待ってください、さっきから正気ですかこの人。
「…使っちゃいな、とは…」
「あ!いや!なんでもな───「アマネは特異体質でね、人の記憶を起こしたり出来るんだよ」あの、主任!?」
「えぇ…」
いやいやいや言い訳が苦し過ぎる! 大体E班のことなんて一般人が知る由ないでしょう!? 下手したらトラブルが重なりますって、何考えてんだよこの人!?
というか能力を特異体質で済ますなぁ!!
そんなボクのことなど知るかと言わんばかりに、主任は口をはくはくと動かす…読唇術か。
「あんたの
…でも確かに、ボクの
ボクに発現したこれは、自身の感情を込めた音を流して、それに紐づいた作用を起こすもの。
怒りを込めた音は力を与える。
逃避を込めた音は守りとして作用する。
献身を込めた音は回復を促す。
万能と言ってもいい力だ。歌や音を媒体とする必要があるけれど、自由度は限りなく高い。
でもその、何というか……あの、夜のことを思い起こすようなものをボクに出せと!? しかも当人の前で!? というかボクが進化者とバレたらまずくない!?
「…疑わしいけど、記憶が戻るのであれば選択の余地はない。お願いしてもいいかな?」
「うぇえっ!?」
「よし、やっちゃいな」
…だぁぁぁああ!! もうどうにでもなれー!!!!
◆
音が響く、歌が聞こえる。
落ち着いていて、ムーディな鼻歌。
軽やかながらも、寂しげで。
落ち着いているようで、どこか甘い歌。
それを耳にしたものは、記憶を掘り起こす。
酒に溺れた筈の記憶。
しかし肉体が覚えている確かなことを。
◆
鼻歌混じりの記憶起こし。
それが終わったのか、ともかく変化は劇的だった。
ブラスは徐にボールペンを懐から取り出す。
そして迷わず自分の頸動脈にブッ刺そうとしたのを、恐ろしく速いスピードでクサビが止めた。
「ちょいちょいちょい何してんの何してんの」
「死にます、俺は死にます」
「落ち着きなって! ねぇアマネこれ記憶あって───どうしたアマネぇ!?」
「…ころしてください…!」
当のアマネは顔を真っ赤にしてしゃがみ込んでいた。
どうやら彼らが起こした記憶は余程のことだったらしい。ブラスが流れるように死にに行こうとした辺り、結局男は狼だったのだろうか。
「何を思い出したのさ2人して!?」
「………ボクは襲い受けでした…襲われたいからって襲うってバカなの死ぬのいざそうなったら狼狽えてるし泣きそうになってるし…馬鹿じゃないの本当にボクってばバカじゃないの…」
「………逆転好きらしいですよー…俺は…はは…予想通りですね…組み伏せたのか…マジか…しかも響いてるってなんだよ何の言い訳もできねぇや死のう…あいつら解放したらさっさと死のう…」
「あっ…その、…あー…ごめんね?」
狼どころかサディストだったらしい。
ブラスは濁った笑いを顔に貼り付けている。
アマネは悔いと恥じらいと謝意に塗れた声を。
酒で酔った勢いでやらかした2人は、羞恥のあまり希死念慮に囚われてしまったようである。
…責任の所在は確かに明らかになった。
同時に結びついた感情も呼び起こされたようだ。
襲ったのはアマネ、しかし本心は受けだったらしい。
そして死のうとしたブラスは逆転、反発して組み敷くことがお気に召したようだった。
「……えーっと…、ど、どうしよっか」
「………どうしましょうね」
色々と取り返しがつかなくなった。
そんな状況を前に、三者は乾いた笑いを浮かべる。なんかもうどうにでもなってしまえ、そんな雰囲気。
そして掠れた声で、2人が言う。
「…ボクはもうお酒を飲みません、飲ませません」
「右に同じく…なんかもう、なんかもうほんと…もう…嫌なんだ自分が…俺を…殺してくれ…もう…消えたい…」
「すいませえぇぇえん!! 大至急お水6杯ほどお願いしまあぁぁああすうぅ!!」
とりあえず水を飲んで落ち着いてもらおう。
大声で助けを呼ぶかの様に注文が入る。
ことの原因となってしまったヒヒガネ・クサビ。彼女は内心滅茶苦茶焦っていた。
Tips:アマネの鼻歌は使用したラブホで掛かっていた音楽だったりする。微かに残った記憶の活躍である。能力初披露がこんな酷い作品ここだけじゃない?
短め番外編
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学パロ世界線
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ひたすらキスだけのブラスとアマネ
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野郎どもの猥談