敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗)   作:苦い経験100%

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社会人に慣れて来てやっと書け申した
待ってくださった方には本当に申し訳ない
リハビリも兼ねて短編三つです、本筋っちゃ本筋のお話




短編日常・割と愉快な日は疲れやすい

 

 File.1 変化する日常

 

「あー、…おつかれっす」

「? お疲れ様です…?」

 

 ボクことフジワラ・アマネは、最近変化を感じている。

 

 というのも、すれ違う局員達から挨拶が来るようになったから。もちろん、気まずげな態度で。

 でも、以前のような無視も冷ややかな視線もない。

 心がだいぶラクだし、受け入れられて来たみたいで、ほんの少し嬉しく思っている。

 

 ただ、その理由がちょっとわからない。

 特に大々的なアピールも、活躍も、そんなにしてないと思うんだけど…?

 

「うーん…でもまぁ、当たりが強くないのは、良いこと…なのかな?」

「今更な態度変更だけどな」

「うわぁあ、ぁっ!? レオネさん!?」

「よ、昼飯行こうぜ? 奢るから」

 

 そんなボクの背後から、ガッと肩を組んできたツンツンとした髪質が特徴的な女性───レオネさんからお昼のお誘いがあった。

 副班長の奢り、少し恐れ多い。

 でも断るのもなんだし、ボクは喜んでお昼を一緒にすることにした。

 

 ボクらが入ったのは、こじんまりとした小料理屋。さっぱりとした料理が多いみたいで、ここ最近は訓練や会議詰めで少し疲れ気味だった体にはかなり嬉しい。

 ほっとした気分で湯豆腐を満喫。

 そんなゆったりした時間の最中に、レオネさんは湯葉を箸で挟んだまま語り始める。

 

「ここ最近、ラメントの対策会議やら訓練やらで二人とも出ずっぱりだろ? で、前の活躍もある。微妙な態度はそのせいだな。見方変わったけど前科で気まずいって」

「はぁー…なるほど…。

 …なんか、すこし嬉しいかもです」

「意外だな。今更ーって感じで少しは不満でも溢すかと。もしかして昼飯奢り損かー?」

 

 レオネさんはケラケラ笑って田楽を口にする。

 

 …どうやら、気にかけて貰っていたみたいだ。確かに、いきなり周りの態度が少しといっても、反対方向に変われば「なんだこの野郎」と思ってもおかしくはない。

 この奢りは、その解消もあったのだろう。

 

 とは言っても、当のボクはご覧の通りだ。

 元々、進化者(エヴォーカー)じゃないのが大きいと思う。非進化者(オールド)から見たら、異能を持つ人間を怖いと感じるのが殆どだっていうのを、育つ中で理解していたから。

 だから邪険に扱われても、傷つきはしても仕方ないと思っていた…というか、諦めてた。

 

 …その『怖い』が、少しでも変わったのなら。

 きっとそれは『良いこと』の兆しだと思う。

 

「とは言え、少し気をつけときな。

 頭の軽いやつはどの組織にもつきものだ。変なやつに付き纏われたら、俺か班長に…───その前にブラスが出張るか、悪い忘れてくれ」

「む、守られてばかりじゃないですよ。

 というか! ブラスの方が無茶しがちだし、怪我する回数が多いです!!」

「でも好きな奴には守られたいだろ?」

「そ、れはそぅですけどぉーー……ッ」

 

 図星をつかれて顔を赤くしたボクを見て、レオネさんはやっぱりケラケラと笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 File.2 バグ参入枠の弊害

 

 

『ブラス、お前の弱点はアマネだ。自覚はあるだろうが』

『返す言葉もないです』

『だから一つ戦い方を教えてやる。

 いいか? お前の能力だが───』

 

 対策局でクサナギさんと組手をする日々の中で、俺ことブラス・リッターは新しい戦い方を身につけていった。

 で、その初披露が今日。

 溜まった事務仕事を終わらせた我が班は、余った勤務時間で皆の練度を見ようという話になり、この事態に至る。

 自由業みたいな勤務時間の使い方だなオイ。

 

 ともかく、時刻は夕暮れ時。

 だだっ広い運動場に来た俺達E2班は、適当に準備運動を済ませた。で、班長であるクサビさんが言う。

 

「じゃあ、まずはブラスから。

 一番分かりやすいだろうしね」

「わかりました」

 

 組み手の成果披露1番手だ。

 俺の場合、身体能力が最も重要になってくる。と言うのも、切ったものを即死・掠めたものを病理にって武器を具現させる能力だから。

 言われた通り、一番成果がわかりやすいと思う。

 

 運動靴を履き直し、肩入れをする。

 軽く足を伸ばし、事前準備は万端ってところで、アマネが俺の前に出てくる。

 ちょっと張り切った様子なのが見てわかる。

 かなりぐわっとくる。ご無沙汰だからって盛ってんじゃねぇぞクソ煩悩

 

「ボク、相手役やろっか?」

「………いや、ちょっと一個デカい見せ物があるから、組み手相手は大丈夫そうだ」

「フッやけに長く悩んだね」

「指摘しないでくれませんかねぇ!」

 

 鼻で笑いながらされた班長の指摘がメンタルに痛い。勘弁してください、ここ最近組手やら会議やらでストレスがやばいんです。

 なんてことを思いつつ、気を取り直す。

 

 俺は教わった通りの構えを取った。

 腰を低く落とし、膝をバネのように。腰に左手を添えて鞘に見立て、右手を剣と意識し、抜刀術のような体制へ。

 最後に一つ、深呼吸をする。

 見据えるのは夕陽、目指すものは沈みかけの太陽。

 

 そして自分の能力(チカラ)を発揮させる。

 青褪めた大鎌(ペイル・ファルクス)。柄に鎖の巻きついた大鎌を、ただ出すのではなく、右手から飛ばすような意識を持ち、その最中に居合のように右手を振り抜く───。

 

『ああ、そうだ。

 あと技を作ったら、名前を付けろ。

 そして使う時には大声で叫ぶんだ』

 

『理由? 色々あるが、先ず技が頭でごちゃつかない。次に、名前=技を出すと相手に意識させるとブラフに使える。三つ目に、気合いが入る』

 

『気合いは三番目に重要だ。戦闘は一番に体力、二番に経験と技術、三番目に気合いだ。

 しっかり覚えておくように』

 

 その際、頭に教わったアレコレが過ぎる。

 少し気恥ずかしいけれど、クサナギさんの師事通り、俺はこの技の名前を叫んだ。

 

【トロケ・ナワケ】ッ!!」

 

 叫ぶと同時、右手から放たれる回転する大鎌。

 俺の右手から一直線かつ高速に伸びる鎖は、刃と俺とをしっかりと繋いでいる。

 だが鎖は際限なく伸びていく。

 遥か遠方にまで飛んだ時、ようやく鎖は伸びることをやめ、鎌と一緒に消え去った。

 調子悪いな…でも成果としては有りだと思う。

 

「…あー、…やっぱ疲れてると距離でないな…」

「…三十メートルは…越したけど…?」

 

 目を見開いたクサビさんが言う。

 俺はここぞとばかりにドヤ顔でこう言った。

 

「本気出せば多分50メートルはいく」

はいもうバカ

暗殺者でも志望してんのか?

ぶっ壊れ過ぎでしょテストプレイした?

ボクのブラスが怪物化して来た

おっかしーな戦力増強したのにだーれも喜んでくれねぇんだけどもしかして敵地かここ?

 

 班長、副班長、先輩、アマネの順に壊れ判定を貰う。

 少しくらい『頼もしいね〜!』みたいに喜んでくれてもいいんじゃないですかねぇ!?

 

「これって一回出したら能力解除しないとなの?」

「あー、別に鎖引っ張って手元にやっても良いんだけど…その間無防備だから発動し直した方が隙はないな。

 引っ張り戻すのは、誰かとコンビ組んだ時専用。

 基本的にはアウトレンジからの一撃って感じだ」

「ふーん、…ボクの能力だと、無防備な時にキミを守るのは不向きかなぁ…」

「そんなしょぼんとした顔すんなよ。

 つーか、基本的には奇襲用だから、そんな気に病まないでくださいませんかねぇ…」

 

 むぅ、って感じのアマネの眉間を指で揉んでやる。拗ねてんだかしょぼくれてんだかって顔だけど、多分、俺を守りたいと思ってくれてのことなのだろう。

 あとまぁ単純に、命を預けて貰えない、というか預けるには相性が悪いことにむくれてる感じだろうか。

 

 ……心の中のキュートアグレッションを必死に押し殺しつつ、俺は苦笑いを浮かべる。

 

「あんたに命守って貰ってるし、死んでも命助けて貰ってんだ。どれだけ頼り甲斐があるかは誰よりも俺が一番よく知ってる。ただ分野が違うだけって話」

「わかってるけどさー…むぅ、ボクがキミの全部を守れたら良いのに」

「俺でも自分の大事なもん全部守れないんだ。それこそ神様にでもならないと無理じゃねぇ?」

「………!」

 

 ……これは多分、不安にさせるようなことばっかして来た俺が悪い。一人で背負いがちな思考は変わっても、体に染み付いたそれは中々抜けない。

 前よりかは人を頼ってる。

 頼るように意識してる。

 でも、いざって時になるとまだ難しい。だから、その辺りの外付けのブレーキが、きっと俺には必要なのだろう。

 

 …俺はアマネの頭に手を置く。

 そしてくしゃくしゃと少し強めに撫でた。

 

「不安に思わなくてもさ、俺が目一杯甘えられんのは、この先もあんただけだから」

「…言ったね? 言質とったよ? 取り消しなんかさせないからねー?」

 

 恥ずかしそうに、でも少し悪戯っぽく、自信ありげに笑う彼女を見て面食らった。

 アマネも力を伸ばしているんだろう…方向性は多分、俺が知ってたやつとは違ってきてるんだろうけど。

 

 そんな思考をぶった斬るように班長が言った。

 

まぁ安心しなよ、普通に考えて即死攻撃が50メートル先からいきなり飛んでくるとか普通にクソゲーだから

「クソゲー押し付けるのは楽しいし…」

「ブラスは多分カードゲーム向いてるね」

「班長はカードゲーマーに親でも殺された?」

 

 

 

 

 

 File.3 でもあなたにも原因ありますよね?

 

 

 私、クロカゲの友人であるブラスには恋人がいる。面白いことに、訂正。愉快なことに、これも訂正。とにかく、彼は彼女のこととなると、途端に人が変わる。

 

「いやー、何というか過保護ですよね?」

「何が?」

「全体会議でアマネさんの横に誰も座れないように壁際に誘導するのは側から見ても露骨って話をですね」

「普通にぶっ込んできたなオイ」

 

 蒼白色の目がジト目になる。

 すっかり悪かった目つきも、今ではだいぶ険の取れた感情豊かな目だ。元来の顔つきは、こっちなのだろう。

 

「あなたの独占欲の強さは知ってましたけど、ここまでなのは正直予想外でした。

 破れ鍋に綴じ蓋で良かったですね」

「………! ………っ!」

 

 言い返したいのに言い返せないって顔だ。

 見てる側としては大変愉快。

 いやー、人の色恋沙汰ってどうしてこう眺めるのが楽しいのでしょう? そんなことを思ってると、隣を歩いていたE2班の班員であるユカタンさんが口を開く。

 

「古今東西、過保護レベル100のブラス」

 

 唐突であったが趣旨は理解した。

 

「呼んでも呼んでなくても飲み会についてくる」

「成人前にアマネを捕まえる」

「付き合った瞬間に在宅ワークへ切り替える」

「優勝ですねこれ」

「ぶっ殺すぞあんたら」

 

 普通に怒られたので、後でお昼を奢った。

 からかいすぎも、よくないですね。

 

 





mini talk:IF

▶︎クサビとアマネ
「もしもなんだけどさ、ブラスに彼女がいたとしたら、アマネって諦めてた?」
「発端が発端なんですけど…」
「いや、流石に発端のこと抜いてね?」
「お互い普通に出会った場合ってことですか…うーん…ブラスが幸せそうなら、…いやでも……うぐ、…うーん……」
(すごい懊悩してる…聞かない方が良かったかな)
「………………ちょっとこの話題やめても?」
「うん、そうしよっか」

▶︎クサビとブラス
「もしもなんだけどさ、アマネに彼氏がいたとしたら、ブラスって諦めてた? あ、もしもお互い普通に出会った場合ね?」
「その普通は暮らし的な意味も?」
「そうだね、お互いしがらみ無しで」
「んー…そした、らー……あんま認めたくないけど、多分全力で奪いにいってるか、幸せそうなら身を引くかですね。
 好きになったら、タガが外れる。
 …俺には多分、おそらく、そういうダメなところがあると思うんで…」
(…多分アマネの方が闇深いなこれ)

短め番外編

  • 学パロ世界線
  • ひたすらキスだけのブラスとアマネ
  • 彼氏持ち女性陣トーク
  • 野郎どもの猥談
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