敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
安定して更新したいものである(目標:週一)
「おお、来たか。ブラス」
仕事中のある日、副局長のクリフさんに呼ばれた。
何でも緊急で俺に話しておきたいことがあるらしい。以前に相談したことか、それとも家族関係のことだろうか。そんな予想をしつつ集合場所に出向くと、そこには既に意外な先客がいた。
元部下の子ども達である。
しかも全員フルセットである。
冷や汗が一気に噴き出たよこん畜生。
何? 大丈夫なやつなのこれ? 三者面談始まろうとしてるこれ? 大丈夫だよなもしかして皆、変なやらかしとかして(自分のやらかしがフラッシュバックする音)あんっがががっがんがんっがが凄い心が削れる音ォ゛!?
「まだ何も始まってないのに自傷ダメを負うな!!スリップダメージで無敵判定でも稼ごうとしてるのかお前!?」
「オイ意外と俗っぽいぞこの副局長さん」
「兄ィ本当は自死と復活の能力者とかじゃないの?」
膝から崩れ落ちる俺。
それを介抱してくれるクリフさん。
慣れてきた子ども達。成長が逞しいな。
そんな何とも締まらない出だしから、先々に控える作戦を前提にした会話が始まろうとしていた。
しかし、最初の話題は俺の相談だった。
子ども達のことを聞こうとしたら「先にお前のことを済ませる」と、受け流されてしまった。
クリフさんは資料を手に聞いて来る。
「鎖のような音が止まない、そうだったな?」
「追加の症状で、ここ最近は夢の中で黒い巨人と鎧の騎士が何やら叫びながらぶん殴りあってます」
「コカの葉でも噛みながら寝てるのか?」
「夢の中でバーリトゥード開催してるの怖過ぎなイ?」
クリフさんと子ども達の一人、ハルキが言う。
仕方ねーだろマジなんだから。
というか素面ですからね、寝酒もしてませんからね、というかもう酒は飲まねぇ祝いの席でもない限り。
…それはさておき、だ。
今の俺には少し異変が起きていた。
何かこう、鎖のような音が四六時中聞こえてくる。ずっとじゃらじゃらしゃらしゃら言ってる。正直ちょっとノイローゼになりそうではある。
かと思ったら最近の夢が夢だ。
俺の頭は世紀末にでもやられてるのだろうか。
まぁ世紀末みたいな頭のゆるさはあったが(自傷ダメ)
「一応、アマネにも診てもらったんですけど…さっぱりわからずじまいなんで相談した形っす」
「追加の症状に持っていかれかけたが…。
まぁ、心当たりがないわけでもない。というか、お前も少し思い当たる節があるんじゃないか?」
っと、流石に鋭い。
少し驚く俺を見てから、クリフさんは資料を手に話を続けてくれた。顔色はあまり芳しくない。
何というか、複雑って感じの顔だった。
「ここ最近、クサナギからの報告があってな。
お前の動きに違和感があったそうだ。死角からの攻撃を防がれかけたり、翻弄が通じない時があったりな。
お前、その目に何が見えている?」
「…はっきり、って感じじゃないんですけど。
あ、あとクサナギさんに延髄狙うのやめさせてください、寸止めとはいえ普通に怖いっす」
「何やってんだあいつ」
幻視というか、錯覚じみたものなのか。
残像的な何かだと思っていた。
…アマネに『ちゃんと』って言った日から、ごく稀に『模様のようなもの』が見えることがあった。何というか『首輪と鎖のような紋』が。
クサナギさんには『棺桶のような紋』が。
そこまで話して、少しの沈黙が流れる。
…というか、ここまで揃えばイヤでも分かる。
確証が欲しかったから、相談したわけだけど、その判断は正しかったようである。
頭を抱えながら、ライオンじみた人が言った。
「お前は『次の段階』へ移行準備が整った。精神的な爆発が起これば、その能力は更なる力を得るだろう。
即死の進化先って何だ? お前何になるつもりだ?」
「……全自動敵皆殺しマシーン?」
「背負うな…ッ! これ以上……ッッ!!」
んなこと言われてもである。
スラムで育てばこうもなる。
まぁ少なくとも第四スラムじゃ俺でラストになるよう頑張ったら見事に全部燃やされたんだけどなうわはははは!!だんだん腹立ってきた。
「まぁ、能力じゃなくて具現の方が変わるのがせいぜいじゃないですかね。即死以上の幅はないでしょ」
「どうだかな。進化者については第一人者のこともあって、わかっていないことも多い。だからこそ、特区都市の設立な訳だが…いや、この話は今はいいか」
複雑そうな顔のままだった。
クリフさんは、俺が強くなることを喜ばない。いや、俺だけじゃない。アマネや他の進化者が強くなることに、複雑そうな顔をし始めた。
そこに一切嬉しさが無いわけじゃない。
ただそれ以上に、歯痒そうな顔だった。
…先々に控えた作戦の予備プランについてだろう。
それに関しては散々謝意をもらっているし、万が一の補填も保証してもらっている。
だから、そんな顔をされても困るんだ。
俺がやりたくてやってることだから。
「んな顔しなくても大丈夫ですって! アイザックの野郎には…勝てるかは分からないけど、どうにか抑えるつもりなんで!それに俺が更なる進化をしたら意外と何とかなったり?」
「……そうだな、…いや、すまん。すまんな。ガラにもなく感傷気味だった。予備プランの決行時には任せたぞ。そうなることをならないように、祈るしかないが」
◆
とりあえず、俺の相談事は終わった。
となると次は子ども達の番である。
「で、君らはどしたのさ」
「むぃー…のばひゃないでくらひゃい」
「ん、ちゃんと飯食ってそうで何より」
むぃん、とジャックの頬を伸ばす。
ラメント時代より肉つきが良くなった。血色も良い。茶髪も艶が出て来た。やばいちょっと泣きそう。アイシャも、グロースも、イェンも、ヨウも、ハルキも、イチカも、ナツも皆揃って健康的になって来ている。
安堵の息もでるというもの。
とか思ってたらジャックの頬を伸ばしていた手を、赤髪の少女であるアイシャに引っ張られた。
「なーんでいつもジャックが一番乗りなんだよー!」
「っと、悪りぃ。ついなー」
「うぶぶぶぶ…っぱぁっ! 頬もちもちすんなぁ!
せめてなーでろよー!」
「どぁあああッ!?」
ジャック以外の七人が雪崩れ込んでくる。
いや七人一斉に対処は無理だが!? 椅子から転げ落ちる俺の上に、子どもたちが思い思いの場所に居座る。
…なんか立つのも惜しいな。
「…副局長、このまま話し続けても?」
「お前が良いのか???」
「皆の体重を感じていたい気持ちがヤバいです。つーか骨と皮のみみてえな重さじゃないの実感して泣きそう」
「(カウンセリングの予定を組む音)」
ダメ元で頼んだけど案外通った。
人生意外と言ってみるもんである。
「…話を始めるが作戦についてだ。
あれを進めるに辺り、中央区の避難計画を組んでいたが、局長の予想通りになった」
「流石に中央機能の全移行は無理っすか」
「一応保険は出来てはいるが、問題は住民の方だ」
…先々に控えた作戦。ラメントを迎え撃つためのそれは、必然的に中央全体が戦闘区域になってしまう。そればかりは回避出来ないと、局長がクマの濃い目で爆笑していた精神がやばそうだから切実に寝て欲しい。
あの人もワーカーホリック気味だと思う。
それはさておき(置いていい問題かは疑問だけども)、それと子ども達に何の関係が───ッ
「子ども達から、避難誘導へ参加意思が表明された。
お前とそのことについて話したいとな」
「はぁっ!?!!!?!!!?」
「こえでか」
「デカくもなるよ何考えてんの!?!!」
「またブーメラン投げてんな兄ィ」
何で危険に飛び込みに行くんですか????
俺は飛び跳ねるように起きて、子ども達相手にワタワタしている。というかワタワタする以外どうすりゃいいか分からない。なんっ、どうっ、何でぇッ?????
「…第四スラム炎上時に、避難補助をした経験があると、自ら買って出てきた。お前に伺うのも通すべき筋だと思ってな。門前払いをしようものなら勝手に参加しかねんし」
「………〜〜〜…そ、れは、…そうっすね…」
「……───…」
代表としてか、ジャックが俺と顔を合わせる。
青い目が俺を見る。
少し、気圧された。以前なら先ずしなかった、出来なかった筈の強い目だ。テコでも動かないって感じのそれは、微動だにせず俺を見る。
…いつの間にそんな目が出来るようになったのか。
背伸びをしたのかと茶化すのも、関係ないと煙に巻くのも、子どもだからと受け流すのも失礼だ。
俺は立ち上がった。
そしてジャックに手を伸ばし、そのまま立ち上がらせる。俺は膝を降り、ちゃんと目を合わせる。
…俺の方が『怖い』と思ってると知ったら、この子は俺をどう思うのだろうか。
「……ジャック、理由は?」
「力になりたいと思った結果です。
少しでも負担を減らしたいと」
「……
「…………話してません」
そりゃそうだ。結果を火を見るより明らかで、だけど俺にこうして話をしに来た。
俺に話しても変わらないと、分かっていても。
ああ、もう。自分の感情がわからない。そうして懊悩していると、ジャックの小さな手が、俺の手を取った。
「………たくさん戦うと思います。たくさん守ろうとすると思います。だから、少しでも、本当に少しでも、その荷物を軽くしたいんだ」
「…守られたまんまでいるのも、荷物を軽くすることに繋がるとは思わなかったか?」
「僕らには、それが不向きです」
だろうな、単独行動してキュリアとバトったし。
…こういう行動力はどこ由来なんだか。
「…皆に傷付いて欲しくない」
「だから戦闘からは離れました」
折れちゃいけないのに、折れてしまいそうになる。本当に色々考えたんだろう。それをすげなく切ってしまっても良いのだろうかと、そんな馬鹿げた考えが頭をよぎる。
無事でいて欲しい。
傷つかないで欲しい。
…過保護だと言われても、そこは決して譲れない。まだ子どもなのに、皆はもう十分過ぎるほどに傷ついた。
だから、少しでもラクな方を選んで良いはずなのに。
「…………みんな、おいで」
両腕を広げる。一斉に雪崩れ込む皆を、今度はしっかりと受け止めて、俺は長いため息を吐いた。
体にかかる重さが、嬉しくも寂しい。
縛っても動き出す体。
言葉で制しても止まらない心。
本人達も、この決断が誉められたものじゃないとわかってはいるのだろう。俺を掴む手は、震えている。
「………気持ちは嬉しい、ありがとな。
でも、良いんだ。戦うのは俺の役割。
そんで皆は守られんのが役割ってな」
「そしたら、あなただけずっと傷だらけだ…ッ!」
「ばぁか。皆のおかげで、俺はいつも全快だっての! っとに、優し過ぎんのも考えもんだなー…すっかり色々考えちまって」
駄目なんだ。
分かっているなら、尚更駄目だ。
誉められたことじゃないと分かっていて、談判しに来た。俺がそこで通したら、きっと今後も同じことをする羽目になる。
だから、俺はこの提案を通さない。
「守られんのも大事ってことだ。
ま、よほどやばくなけりゃさ、安全なところで俺の無事でも祈っててくれよ。
皆は切り札ってことでさ!」
「…ッ…っ…!」
涙を押し殺す声が聞こえる。背伸びをしていた皆の体が、等身大に戻っていくような感覚。
心が痛まないと言ったら大嘘だ。
でもそれでも、子どもには無事でいて欲しかった。
Tips:この段階で『更なる進化』の前兆段階に到達しないとBADENDルートに入る。その時間軸が続くと本編と打って変わってファンタジックな世界になり、歌詞のない歌を歌う女神がラスボスになる。救いはある。
Tips:ブラスとアマネの休日は大抵、どちらかの家に入り浸っている。ちなみに『お互いの存在が心地よい』とのことで、割と無言の時間が多かったりする。
Tips:感情コンセプトソング
ブラス→アマネ:メランコリーキッチン、Rapport
→家族、部下の子s:フローライト
アマネ→ブラス:ロウワー、プロポーズ(内緒)
エリヤ→ブラス:命ばっかり
キュリア→ブラス:SPECIALZ
短め番外編
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学パロ世界線
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ひたすらキスだけのブラスとアマネ
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