敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
お知らせ:食べ物関係の仕事なため、年末に連勤と残業のデンプシーロールが確定しました。そのため、12月中旬〜終旬の更新は遅めとなります。余裕があれば番外で短めの話とか出す予定です。安定するのはおそらく一月初めないし、中旬となります。申し訳ありませぬ。
物事っつーのは、大抵予定通りにかねェ。
いきなり自分が進化者だとバレたり、ずるずるとテロ組織に在籍したりと、堕ちる時はあっさり堕ちる。
そして、そんな日々の全部がどっかのクソボケがかました一夜でぶっ壊れたりする。
人生本当に分からねェもんである。
少なくとも、だ。
オレ───、トリイオオジ・ハイバラが、誰かを心配して、何かをやろうとするなんて、ただ一時の気の迷いだと思っていた。
けど、そうでもないらしい。
「おい、オイ! 指何本に見える!?シャラ!」
「…ぅ…にほん、です…」
「一本だよクソッ!!」
「いきなりどうしちまったんだ、その子?」
…状況を振り返る。
オレはとにかく、命の恩人サマが生きられるよう、色々やり始めた最中で、古巣の奴等がまだ生きていたことを知った。なんだかんだ裏切ったから、多分シンプルに殺される。
かといって、ヤツらに暴れられても困る。
なんで、横から殴ろうと企んだ。
そうすりゃ破天荒ワンナイト野郎がけりをつけるだろうと、そんなクッソガバガバな目算を立てた。
今日がその実行日のはずだった。
一人で動いて、全部終わらせる気だった。
電灯の立ち消えた市街地、その路地裏。
オレはシャラを託していた刑事───モリミネと一緒にそこで、急遽体調を崩したというシャラの介抱に当たっていた。
…いきなり運び込まれた時にはびっくりした。
なんで病院行かなかったと叫びたかったが、オレとシャラの状況的に仕方ねェことだろう。
…大規模停電も起きやがったし。
「妙だな、熱は無い…オイ、元医学生、見解は?」
「だあってろ今診てる! 伝染病の可能性もあんだから離れてろ! クソッどっかでインフルでも貰ったか…!?」
モリミネにアルコール除菌品を投げ渡し、シャラを見る。玉のような汗。青ざめた顔。額に張り付いた黒髪。瞳孔の開いた青い目。荒い呼吸。
…クラつきそうになった。
そこは本音だが、それどころじゃねェ。頬の内側を噛み、自罰と気付を同時に済ませておく。
「なんっだこれ、熱病の時みてェな症状なのに熱が無いってどういうことだ?自律神経バグ?」
「…はぁっ…! く、は…ッ!」
不意に、手を握られる。
細い指が、オレの手に縋るように掴む。
「…すごく、きもちわるい、です…」
「…悪阻じゃねぇだろうな」
とりあえずモリミネの顔の同じところを二、三発ぶん殴って四、五発肘鉄をぶちこんどいた。
「頭のなか、で…自分の、じゃない、こえが、たくさん、聞こえて…わけが、わからなくて…」
「せん妄とも違うな…定期的に薬を飲んでる素ぶりも無かったし、そもそも薬の離脱症状にしちゃ発症が遅い…」
「いや俺が悪いけど前が見え無くなるまで殴るか?」
「悪りぃな、お化け屋敷のお化けは殴るタイプなんだ」
逼迫した状況で冗談みたいなことをやらかすのは一回の人生で一人会うだけで腹一杯なんだよ。
つーか一応能力で加速した拳だったんだが。意外とタフだなこのおっさん。
「シャラ、声が聞こえるっつったな。どんな声だ」
「……いま、そらをおよいでる、声が、強くきこ、えます…っ、はぁ…ー…っ…欲しいって気持ちと、…強い拒絶が混ざって…とてもぐちゃぐちゃで、きもちわる、くて…」
「───」
空を、泳ぐ声?
「…なぁ、これ本当に体調不良なのか?」
「………そうであって欲しいよ」
…後天性の進化者ってか?
ハハ、笑えねェよ。妾腹で被験体で被差別者?
なぁオイ、いくら何でもこれ以上、足の細いこいつに荷物が増えるのは違うだろ。
叫びたくなる喉を必死に押し殺す。
時計の針みたいな音が、やけにうるさく聞こえた。
オイちょっと待て何だ今の。
だいぶ知ってる声だったんだけど
「…泳いでねぇよな。空をかっ飛んでったな、人が」
「いや…たぶん、その、ちがいます…あれは…あれで、だいぶ変なんですけど、気持ちわるくはない、です…ちょっと重たいですけど…」
「あいつマジで何なんだよ!!!!!」
オレは頭を抱えた。いや本気に理解できねェ。何がどうなったら空をかっ飛ぶことになったんだマジで。
◆
時刻は少し遡り、特異対策局屋上。
ブラスは獲得した『副次的な力』により、生命や事物を動かす『源』を紋様として見えるようになっていた。
要は『生命の捕捉』だ。
誰が何処にいるのか、炎や電気などが何処から動き出しているのか、見えないものが何処に在るのか、そういったものを彼の目は可視化するようになる。
だから本来なら見えない電波すら断ち切れた。
そんな彼の目が捉えたのは、ある存在だ。
ブラス自身、その存在───キュリア・リズットの紋様を初めて見たが、その歪さと把握している性格からの推測で、確信へと至る。
「カス外道が来やがった。場所はさっき見たから、今からそっちに向けて飛ばしてくれ。
あいつのことだし、俺への嫌がらせで周囲巻き込む可能性大だ」
「待て、まだ回線が設定されていない。
迂闊に単独で動くのか?」
『…………』
「オイなんだ貴様ら揃いも揃ってその目は」
とんとん、と爪先で床を叩くハルニレ。
以前単独で動いて、アマネを戦地で孤立させた前科があるのは、本人もわかっているのか顔を逸らす。
そんな彼を見てミナヅキが言った。
「アマネ、ジャッジしろ、ガベルかんかん」
「え゛っ きゅ、急に言われても! それに、ボクあんまり怒ってないというか、ボクもボクで倒れてるハルニレくん無視しちゃってたし」
「ルームランナーの速度上げて派手に転ばしたしな」
「…あれ? ボク意外とやり返してる?」
そんな和気藹々とまではいかないが、砕けた会話。
そんな中でも淡々と準備は進んでいた。ブラスとミナヅキはストレッチを始め、アマネは喉を調整する。
「ブラス、ノーコメント、意外」
「んまぁ、総合病院に関しては本気で襲撃したからな。この件に関しちゃ、俺は何も言えない。
そもそも、俺が最初にアイザックを殺せてれば、ここまで事態が転がらなかっただろうし…でもそしたらアマネと会えてない、か。あー、嫌な二択…」
こればっかりは選べねぇわ、と青白い髪を揺らして少年は苦く笑う。
「自分のことは後でいいって、何回も言ったし、何回も思ったし、今もそうなる時がある。
けど、アマネが絡んだら全部崩れる。
俺の我儘だとか、何かを欲しくなる気持ちだとか、独り占めしたい欲望だとか、そういう全部がアマネに向く。
我ながらヤバいと思う」
「自覚あったのか、意外だ、びっくり」
「自覚なきゃ血反吐でねぇよ」
真顔で返す、蒼白色の少年。彼の目には、喉のチューニングをするアマネの姿が写る。
そして彼女の命の紋様も。
鎖で繋がれたら首輪のような紋様。
少年はそれを何度も見直して冷や汗をかく。何で命レベルでチョーカー出てんの?と実は内心驚愕祭りだった。
「Aa───…っと、調声完了! これなら、長時間維持も出来そうかな…あれ、二人とも何話してたの?」
「惚気、どろどろ」
「欲望」
「本当に何話してたの」
そんなこともあったが、準備は早急に終わった。
そして、だ。
自分は意外とマトモなのかもしれない。
ハルニレ・アガタは、そう思わなければこの現状を飲み込めないと、死魚の目で肩を落とす。
さて、彼が今現在置かれてる状況を段階的に述べよう。
「よし! ブラス、行けそう?」
「オッケー、姿勢は安定してる…けど鎌ちょっと出しづれぇな、足部分の補強もう少し頼む」
「ん、…こうかな…Aaaa───…」
「…声を装備ってなんか面白いな…あ、あと腕の拘束具は緩めで」
「りょーかいっと」
状況①ブラス・リッターが四肢をフジワラ・アマネによって補強された上で拘束されている。
「…おい、本気でやるのかこの作戦」
状況②そのブラスが、パワー型の能力を持つミナヅキに担がれて今にも投げ飛ばされそうになってる。
「大丈夫だよ、ボクの全部…は流石に使うなって釘刺されちゃったけど、なるべくたっくさん力を渡しちゃったからね! 逆風もG?もなんのそのだ!」
「オイDVってレベルじゃ無いぞこの絵面。自分の彼氏を笑顔で拘束具をつけて投擲態勢を取ってる人に渡すか普通。何なんだこれ、蛮族が考えたファストトラベル?」
「ガタガタ言うな、ガタガタアガタ」
「ミナヅキ、俺がおかしいのか? これは?」
状況③しかも氷で作られた発射台───つまり、ハルニレの力が所望されている。
「とりあえず早く発射台頼むわ、急がないとあのカス外道が来る。あいつ絶対俺への嫌がらせで周囲巻き込むから」
「なんで貴様が一番冷静なんだ??????」
「そろそろ俺も弾けたいかなって…」
半ば投げやりな気持ちで発射台を作るハルニレ。
氷が意思を持って形成される。一つの用途に沿って一人でに組み立てられていく透明な建材。本人の気質が表れているのか、その行程は緻密だ。
そうして、準備が終わる。
ミナヅキはゆっくりと両手に力を込め、担いだほぼ簀巻き状態のブラスを発射台目掛けて投げようとする。
その最中に少女はブラスに問うた。
「……言い残すこと、あるか?」
「俺死ぬの??????」
「せーの…」
「待て悪かった謝るから待て、マジで待って」
大慌てで両手を出して暴れるブラス。
年相応の反応と表情。
やっと取り戻した過去の時間がそこにある。
柔らかくなった目つき、表情、態度。
ブラスのそれに、彼の友と恋人は安堵を覚えている。
しかし後者は、同時に微かな苛立ちを持った。
彼女は出会った頃のブラスを思い返す。
〝俺のことは後でいいよ〟
人質を背に、そう言っていたあの顔を。
大事なものを取られて、縛られていた。
そして今、その下手人達は尚もやって来た。
「───…」
ざわり、と何かが芽生える感覚。
けれど、それを中断する声があった。
「アマネ! また後で!」
「ッ!」
再会を疑わない、意気揚々としたブラスの笑顔。
それだけが、今の彼女から溜飲を取り払う。
「…うん。また後で! ちゃんと無事に帰って来てよ、また足をくっつける事態になるなんて、もうやだからね」
無事を願う言葉が最後を締め括る。
そうして、青白い髪の少年はぶん投げられた。夜空をかっ飛んだブラス・リッターは、笑いながら、予想外の勢いに叫びながら目的地へと向かう。
即ち、彼の敵、キュリアの元へと。
そうして時刻は現在へと至る。
キュリア・リズットもまた、夜の空を駆けていた。
一直線に、敵と定めたものがいるであろう場所へ。
白髪白目の彼が持つ力、
緑青色の電子が、流れを伴う足場を作る。
キュリアはそれに足を乗せ、高速に移動する。
空の中に、緑青の残光が刻まれる。
光りの絶ち消えた夜の市街地からは、流れ星に見えただろう。
しかし、その星は悪意を内包する。
否、悪意であるならまだマシだった。
彼が宿すのは、自責のない暴虐だ。
ただただ、一個人を責め立てたいばかりに、振り下ろされようする不条理な災害。
「───あァそうだ! 手土産に何人か殺して晒そう!」
白い瞳が、爛々と輝き始める。
足取りが軽くなり始める。ダンスを踊るような足運び。再会を心待ちにする友人のように、家族のように、恋人のように上がり続ける気分。
けれど、その内心は汚泥じみた悪意。
「仕方ねぇよなぁ! オマエが遅いから!ちゃんと殺さねぇから!非能力者を助けるから!ボクからあの人の目を奪ったから!!だから今からゴミが死ぬんだぜブラス!! オマエが否定したいオレ様の行動が止まらないんだ!!」
「ボクを見てればこうはならなかったかもね!
オレ様からあの人の目を奪わなきゃこうならなかった!
つまりオマエのせいだブラス・リッター!」
暴論を超えた暴論を、絶叫じみた独り言で。
キュリアの電子で構成された右腕が、無数の槍に分かたれる。無作為に広がる光の雨。
それは今にも市街地に降ろうとしている。
地上にいる人々は、その光を何事かと見上げる。
このままでは、次の瞬間には幾らかの人命が、身勝手な理由でゴミのように殺されるのだろう。
けどそうはならなかった。
死を携えた蒼白色の『鋭い瞳』が、暴君を捉える。
「───気ッッッッッ色悪ぃんだよこのカス外道がぁああああああ!!!!!」
「ほぁあああああああああああッ!?!!」
いきなりかっ飛んで来た簀巻き状態のブラスが、キュリアの腹に激突したかと思えば、そのままくの字に曲がるキュリアの体を足場にし、右手に大鎌を持って足場の脳天目掛けて振り下ろそうとしたからである。
Tips:ブラスは「やぎさんゆうびん」で爆笑する。ヤギが揃って手紙読まずに食べるのがツボだったとかどうとか。クロカゲ経由で知ったクサビが試しにアマネに歌わせた結果、笑いすぎてヘナっヘナっになったブラスが誕生した。
「ひーっ…ひー…ッ…! わ、り、あま、ね…も、ゃめ…おなか、いた…っ…えほっ、ごほっ…!」
「………」←(グワっときたアマネ)
短め番外編
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学パロ世界線
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ひたすらキスだけのブラスとアマネ
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彼氏持ち女性陣トーク
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野郎どもの猥談