敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
ここすきと感想と評価うれしいぜ いぇい
ここすきは文章ぢから上げに使えるからとても助かる
ちょっとシリアスかもしれない(前座)
ブラスとアマネが六杯の水を飲む。
それでも二人は揃ってどんよりとしており、今にでもお経を唱えればそのまま消滅しそうだった。
悪霊じみた顔と雰囲気。此処がカフェではなく死体安置所か墓場ではないかと錯覚しそうになる。
なんなら下手したら死体が二つ出来そうだった。
「…よし、よし…わかった」
クサビは何度か仕切りに頷く。
そして悟ったような顔でこう言った。
「一回、過ちのことは横に置こう」
「「置けるかぁ!!!!」」
「だよねごめん!!」
ほぼ反射的にブラスとアマネの拳が顔面に走る。
近距離かつ二方向からの打撃を、彼女は申し訳なさそうな顔をして即座にガードした。丁寧に謝罪付きで。
ガードを解きながら、気まずそうにクサビは話を続ける。少しばかりの揶揄いすらも見せない声色は、彼女が真剣に考えてくれているということ。
それを感じ取ったのか、二人も恐る恐ると拳とティーカップを収めてクサビの顔を見る。
「…でもさぁ、その…過ちの有無に限らず別にその、お互いを悪く思ってるわけでもないんでしょ?」
「…それは、…まぁはい…」
「〜〜〜〜〜ッ!!」
苦々しいというか、悔い100%の顔で俯くブラスと、声にならない声をあげて真っ赤な顔で俯くアマネ。
実際、クサビの言う通り二人の関係は悪くない。どちらかと言うと良好な方だ。
ただ過程が過程故に色々とアレだが。
「で、まぁその、両方
「……なるほ、ど…」
「…!」
それを鑑みて、なかなか妥当な案が出た。
両方に原因があり、仲の良好さがあって初めて通る考えとも言って良いだろう。
ブラスは感心したように頷き、アマネは感激と感謝の意を込めた眼差しでクサビを見る。
クサビはそれに気をよくしたのか、ウィンクをしながらこう言った。
「ま、出来ちゃった婚よりマシだと思うよ!」
「そうなる可能性まだありますからね…?」
「まだ笑える段階じゃないしそもそもボクらからしたら笑えないんだけど…ふふははは…あはは…」
「スゥゥゥゥッッッッーーー…キョウマンゲツカァー…」
失言を極めたような失言だった。
淀んだ目で見つめられて気まずさが限界に達したのか、薄く呼吸を吸いながら明後日の方向を見る。
見れば、窓の外にはすっかり月が浮かんでいた。空はとっくに真っ黒であり、夜がふけたことを知らせてくる。
それに気づけば、各々は少し驚いた。
「…あ、もうこんな時間か…」
「……まぁ、時間があっという間に感じるほどの…うん、…体験だったからね…」
「………ははは」
「はいはいはい隙あらば傷を抉らない!!ボールペンで死のうとしないでよキミも!!いや原因のあたしが言うのも何だけどね!?」
そうして、一度お開きの流れになったのだろう。
各々が荷物を纏め、帰りの支度を始める。
その最中、アマネがはたと気付いように聞いた。
「ああ、そうだ。
自営業って言ってたけど、何してるの?」
その問いに、微かにブラスの顔が固まる。
彼は僅かに視線を逸らしてから、事も無げに答えるように、特に淀みなく言葉を発する。
「ああ、言ってなかったっけ───花火工場だよ。この時期は来年の準備で少し忙しいくらい」
「へぇ、そうなんだ…」
その返答を追及することはない。
ただ、アマネは心配そうに言った。
「…火薬の取り扱い、気をつけなよ?」
「…一回火傷して通院したからね、気をつけてる」
「───ふむ」
◆
帰り道、夜の街中を歩く。
「なんか凄いことになっちゃったな…」
頭が他人事のように処理している。ショックと自責の念で、体全体が何となく重い。
…がっつりやらかしてたなぁ、俺。
というか記憶の中の俺が旺盛すぎる。ストレスか?ストレスのせいなのか?だとしたらこれは全部ボスが遠因では?殺すべきだな絶対殺す首切って殺す。
「…いや、手を出したのは俺だ。
そこ履き違えたら駄目だな、殺すのは別の理由だ」
…自己嫌悪のため息一つ。
同時に連絡先が増えた携帯を仕舞う。
…思わぬ所で得た繋がりだ。
アイザックが今回の会話を盗聴しているかどうか、その答えは恐らくノー。ストーリーの一章とも言える病院襲撃は、ラメントにとっても極めて重要な作戦だ。
…部下の下のやらかしと、その今後についての話し合いにわざわざ人手は割かないだろう。
というか、聞かれていたら彼女らが「対策局」の人間だと分かった瞬間から電話が掛かっているはずだ。
それが無いとはそういうこと。
「…ちょっと嬉しく思ってる俺キモイな」
…思考が煩悩に塗れそうなので、少し解放する。
ボクっ娘でカワイイ系ボーイッシュ良い。愚痴らせてやるってあの優しい所すげー好き支えたい。よし終わり思考終わりリビドー発散終わり後にはもう取り敢えず何も考えません顔熱いし!
…落ち着こう、肝が冷えたことを思考しよう。
「…まさか、あの人が来るとは…」
…正直言って、彼女が来た時点で心臓が止まった。
彼女は本来なら、中盤で表舞台に上がる人物。
数いる特異対策局主任の一人。
そしてE班設立意見提出者の一人であり、
加えて作中最強格でもある───ヒヒガネ・クサビ。
「…死ぬかと思った…! 生きた心地しないって!!」
そのビジュアルから、公開当初はクール系キャラだと噂されていたが、蓋を開ければとんでもガール。
本編中では書類仕事を「めんどいなぁ」でサボり散らして捕縛活動に勤しんだり。
上司というか主人公達に嫌味な副局長の一人に対して「黙れ薄らハゲ」と暴言をぶっ放したり。
色々と型破りなキャラクターだ。
ただ、そのぶん現場仕事はきっちりするタイプ。
加えて作中では一貫して主人公達の味方だった。
進化者達の「ある要素」に対する危機感はあっても、差別意識は無い。彼女曰く「生まれつきボクシング出来る人間みたいなもんでしょ?」とのことらしい。
…その風貌から所謂「夢女」を大いに産んだが、後々DLCストーリーである男キャラとの恋人関係が判明して地獄を産んでいた記憶がある。
「…登場が早すぎる、そりゃ序盤からサポートにはいたけどもう参戦するのか…? これ大丈夫なのか色々…」
…彼女の強さは尋常ではない。50人の軍人が連携を組んで戦ってもその50人が敗北する。
はっきり言って人間を辞めている。
まぁ対策局側の最強連中だいたいそんなのだけど。
「───あれ、ジャックくん?」
そんなことを考えてると、見知った顔を見つける。
ちょこん、とバス停付近のベンチに小さな男の子が座ってた。口元まで隠れるハイネックの服に、長い茶髪と青い目。紛れもなく俺の部下のジャックくんだ。
彼は俺に気づくと、ひょいとベンチから降りる。
そのまま、とと…と歩いて俺の隣へ。心配をかけていたのか、ほっと安堵の息を吐く。
「…帰りが遅かったので、お迎えに」
「あはは、ごめんごめん…一緒にファミレスでもいく? 何でも奢っちゃうよー」
俺の中の〝お兄ちゃんモード〟が爆上がりした。スラムのチビ達を思い出してしまって庇護欲をめちゃくちゃ上げてくる。絶対自由にするからな…。
「…! い、いや…大丈夫です…!」
「遠慮しない。他の皆に申し訳なく思ってるなら、それは一旦忘れなよ。今度は皆で行こう」
「…なんでも、お見通しなんですね」
ははは、分かるに決まってる。
進路変更、今日の夕食といこう。正直言ってさっきのジンジャーティー全く味しなかったしお茶菓子を頼む心の余裕もゼロオブゼロだった。
…ジャックは軽やかに俺の前を歩く。
スキップじみたそれは上機嫌の表し。
…守られるべきものだと、強く実感する。
子どもは、未来で希望だ。
「…頑張らないとな、大事なものがあるんだし」
…ストーリーが始まる日は近い。
既にイレギュラーは起こりまくり、いや俺が弩級のイレギュラー起こしちゃったんだけど、取り返しつかねぇよ。
とにかく、もう既知のストーリーは参考程度にしかならないだろう。前提から破綻した。
…ただそれでも、大まかな流れやら何やらを知ってることは、大きなアドバンテージだ。
…やるべき事は変わらない。
部下の皆と、家族の解放。
そして責任を取りきること。
その為には、まず俺が生きていなくては。
「…道理に背けば道理に見放される…だからな」
……めちゃくちゃ道理に背いた後なんだけどね。
…あれ?マズくないか?
◆
アマネとクサビが帰路に就く中、口を開いたのはクサビのほうが先であった。
「…彼、多分なーんか後ろ暗いこと持ってるね」
「……わかりますか?」
「まぁね、少し手掛かりもあった」
「えっ」
「アマネは動揺してたから仕方ない。
いくつか不審な所はちゃんとあった」
ぴん、とクサビの指が二本立つ。
一本ずつ折りながら、彼女は語る。
「細かい所作もそうなんだけど、決め手は二つ。
一にアマネのことを特異体質で流した。
二にあいつら解放したらさっさと死のうの発言」
どうやら、あの騒動の中でも彼女は押さえるべき点を押さえていたらしい。彼女は手掛かりから推測したことを、吟味するように語る。
「ま、十中八九だけど人質かなんか取られてるかな? 露骨通り越して弩級のボロ過ぎて、あたしとしては罠を疑いたいけど…ああいう奴に限ってそれはない。
…本人もボロ出したって気付いたんだろうね。花火、病院、特異体質で流す…総合病院絡みか…?」
半ば思考に耽るようなそれは、隣に後輩がいることも忘れ去ったような瞬間。
その思考の文言に、不安を覚えたのかアマネはクサビを見る。視線に気づいたクサビは、あっけらかんといった態度で語った。
「…ああ、関係を続けても何も言わないよ。あいつ、多分普通のやつだから。でもその背後にある何かに邪魔されたり、壊されたりする可能性は滅茶苦茶にある。
だから絶対にそこだけは、しっかり押さえといて」
しかしそれは、あまりにも真剣さに満ちていて。
アマネはつい、足を止める。
そしてブラスと別れた道の方を見る。
青褪めた髪の少年の姿は、もう見えない。
だからきっと、何を言っても聞こえない。
そう理解していながら、道の先へ彼女は言った。
「…なんだよ、やっぱり抱え込んでるじゃないか」
Tips:ブラスとアマネのやらかしの話をr18に貼ったよ。見なくても大丈夫な内容ではある。敵幹部で検索したら出るよ。見たい方はどぞどぞ。
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