敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…あれ?(冷や汗) 作:苦い経験100%
何とか書けたので投稿、年内最後かもしれませぬ
少し忙しいので感想返信は明日必ずやります
感想いつも誠にありがとうございます…とても活力になるので欲しい(我欲に正直)
中空に巻き起こる、閃光と剣戟の音。
幾度も弾ける青と緑青の瞬き。
その火花を散らすのは二人。
一人は青褪めた髪の少年。
ブラス・リッター。手にする大鎌は、切りつけた全てに『死』を与え、掠めたものには『病』を付与する。
全身簀巻きな彼だが、一応四肢は出ている。
一人は隻腕かつ、白髪の青年。
キュリア・リズット。電子を操り、レーザーや武器といった多種多様な攻撃手段を持つ。
彼の右腕は、その電子による義肢だ。
青褪めた髪を揺らし、ブラスが動く。
脳天目掛けて振り下ろされる、青褪めた三日月。
絶死の刃は躊躇いなく振るわれた。
「ぬ、ぉおおおおッ!!!?」
「オイ避けてんじゃねぇよ!」
「避けるに決まってんだろ死にたい奴がいるかイカレ野郎!! つーか簀巻き状態から手足飛び出して即死鎌振り回すんじゃねぇ! 地獄のかっぱ巻きかオマエ!」
それをすんでの所でキュリアは回避する。
夜空の中、白髪の男と青褪めた髪の少年が揉み合う。
ブラスは『こいつは殺す、絶対ここで殺す』と言わんばかりの形相でキュリアの胸ぐらを掴み、肋骨を足場にし今にも首を刈り取らんとする。
まるで人間サーフボード。しかし特筆すべきはこのサーフィン、乗るべき波が無く、ただただ真下へ落下していくばかりである。控えめに言って心中がおまけにつくカスみたいなサドンデス。
白衣がはためき、白い髪が暴風に揺れる。
キュリアは歯噛みし、電子で構成された右腕を下へと向ける。途端に空中へ構築されていく、緑青色の光の床。相手にも安定した足場を与えてしまうのは、避けたかったが、落下死だけは回避したい。
白髪の彼は断腸の思いで足場に体を預け───
「はいグッバイ足場」
「ん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?」
───たと同時にブラスが鎌で足場を『殺し』た。
継続が決定したフリーフォール。
体勢を大きく崩すキュリア。
戦いのペースは開幕からブラスにある。
「オッマエここまで狂ったか!?」
「いきなり民間人殺そうとしてた馬鹿よりかはマトモだって自負してるよ、あんたは此処で何も壊せず終われ!!」
困惑の白い瞳と、決心の青褪めた瞳が衝突する。
星明かりと共に落ちる二人の男。
墜落の中、狂気を冷やされたキュリアは思考を回す。
〝想定以上で予想外!! 何が予想外って、こいつ
白髪の青年はひたすらにもがく。
ブラスに掴まれたままでは、マトモな攻撃も防御はおろか体勢の修正すら出来ない。
落下の最中では集中力を保てるはずもない。
だがそれはブラスとて同じこと。
落下する敵を掴み、逃げられないようにする代償。風の煽りや、体の動きは正確な狙いを破綻させる。
しかしそれも紙一重。
一撃の元、必殺されるのは時間の問題。
もし回避し切ることができたとしても、コンクリートの上に背中から真っ逆様。助かる道理はなく、逃げ場はどこにもない確実な死が待っている。
だから、そこまで把握したキュリアは『興奮』した。
〝間違いねぇ!ブラスの精神の全盛はきっと今!
絶殺の意思が、全部オレ様に向けられている!
ボクにとって、最高のご馳走にも程がある! オレ様を蔑むことしかしなかったオマエが、ボクを見ている!〟
錯覚した、倒錯極まった思考。
故に集中力も、見通しも破綻した一手が来る。
「あァ!そういやオマエに質問あるんだよ!
一つ、聞いてみたいことあったんだよなぁ!!」
「ッ! クソッ正気か───ッ!?」
キイッ! とガラスが擦れるような異音。
キュリアの電光で構築された右腕が、爆縮を見せる。瞬く間に圧縮されたそれは球体となる。
今にも爆ぜそうな光の玉。
爛々と光る白い瞳は、躊躇いなくそれを解き放った。
まるで一度だけ真昼になったような光が、夜の都市を包む。爆音は遅れてから響き出した。
煙すらない、極光の花が咲き誇る。
それは時間共にぼんやりとした残光だけを残す。
実情が分からなければ、夜を彩る大輪の花。
立ち止まってしまう人もいるだろう。
とあるビルの屋上庭園に、それはいた。
此処には急な停電のせいか、立ち往生する人々がいた。そしてその中で、ビルの非常電源が付くことを待っていた母親と、幼い息子は寒空の下、揃って空の花に気を取られる。
残光に紛れて走る二本の光。
その切先は丁寧に子どもと母親を狙っていた。
「───タチ悪りぃ挑発だなオイ!!」
「きゃあっ!?」
「うわあああッ!?」
それを許さない存在が残光から躍り出る。
ブラス・リッター、彼を簀巻きにしていたものは焼け落ち、黒と緑を基調としたテックジャケットを羽織った彼の姿が現れた。
先端に大鎌のついた鎖を右手から射出する。
それを親子の近辺にあった鉄柵に巻き付ければ、鎖を手繰って彼は落下先を変更し、咄嗟に親子を庇う。
二つの凶弾が、ブラスの腕へ突き刺さる。
だが、その光は彼の腕を貫かない。
蒼白色の少年の四肢は、黒い光に守られている。防具のように、彼の手足にまとわりつくそれは、今この場にはいない者───フジワラ・アマネの歌を由来とする力。
「…咄嗟の無茶まで織り込み済みかよ…。
事前情報より強度上げてやがる…アマネってば俺より俺のこと分かってんませんかねぇ…」
…少年はアマネにもう二度と身を犠牲にしないと約束した筈ではあるが、染み付いた行動は中々拭えない。
意識しているため、マシではある。
しかし今回は状況故に仕方ないことだ。
落下の最中で下手に鎌で守れば、親子が死んでいたかもしれない。どの道、頭の上がらない話だが。
「…力あるのに声が聞こえないって結構堪えんな」
ひっでぇ依存、とブラスは思う。
そんな思考を、子を守るように抱きしめていた母親を見て、急速に切り替えた。
ブラスは手から大鎌を召喚し、親子に背を見せた。
「子ども抱っこして、何処かに隠れて下さい。なるべく早く場所を変えます…巻き込んですいません」
「…っ…信じて、いいんですか?」
「……進化者でも、子どもと親が死ぬとこ見るのは嫌なんだよ。まぁ生憎、そうじゃないイカれ野郎を、今から相手にしないとなんだけ…っど!」
再び走る幾重もの光線。複雑な軌道を描くそれは、ブラスと屋上庭園にいる民間人を同時に狙っていた。
一人一人に向けられた、光の殺意。
その全てを、ブラス・リッターは鎖を振り回すことで作った回転刃で斬り伏せ殺す。
人々のどよめきは大きくなる。身をすくめ怯える者、叫び声を上げる者、身構える者。
敵意、疑い、戸惑い、安堵。
多種多様な視線と感情入り混じるこの場において、しかしブラスの意識は一人にのみ向けられている。
夜空に軌道を描く緑青の光。
高速に動く『流れ』に足を乗せていた、白髪隻腕の青年は、至極つまらなそうにしていた。
「なんだよ、殺させてくれないのか。
ま、腐っても父親!*1 そりゃ他所様でも子を見殺しには出来ねぇよなぁ、オマエだもんなぁ!」
「あん?」
まだいないが? 何の話をしてんだこの狂人、と自分のことを棚に上げるどころか、箪笥を吊る勢いのブラス。
しかしキュリアは言葉を吐き続ける。
彼の中では会話なのかもしれないが、それはあまりにも一方的で独り善がりだ。
「でも可笑しな話だよなぁ。スラムで育てば否が応でも殺人者になるしかない。実際、オマエは幾つもの組織を潰し回ったらしいな? 手のひらなんざとうに真っ赤だろ。
だってのに、殺しを好きにならねぇと来た。
更には子どもを殺さない、子どもに殺させない。
死から一番近い力を持ってんのに、オマエの在り方はまるで自分の力を否定してるみたいだ」
かつり、とキュリアがブラスと同じ地に降り立つ。
爛々とした瞳は、ぎょろりと蒼白色の瞳を見る。
口は裂けんばかりに吊り上がる。
だがその笑顔はまるで悪童のよう。幼いが故の不安定さにも似た、危うくも活発な笑み。
そんな表情に、緑青の光が追従する。
そしてキュリアの頭部で急速に形作られていく何か。
本人はそれに気づいていないのか、言葉を続ける。
「なぁ」
「オマエ」
「オマエは」
「初めて人を殺した時」
「どう思った?」
「ボクは、お父さんとお母さんを殺した時」
「生まれて初めて、ワクワクした」
そして、舞台役者のような仕草を伴って。
激情のままに自らを晒し暴く。
「この先は良くなることばかりだって思った!
後悔なんてなかった!
新しいスタートを迎えることが出来て、アイザックにも会えてボクはオレ様らしく生きられた!」
髪を振り乱す狂乱。
だけどその笑みは純粋なもの。
まるで『出来たこと』をひけらかす幼子のようなそれに、忌避感を覚える人はどれ程いただろう。
だって、表層とは異なり、語られていった事実はあまりにも悪辣だから。
「壊したいものを壊した時、空気が甘かった!
殺したい奴を殺した時、呼吸が気持ちよかった!
ボクの力が『殺しても良い』って肯定されたんだ!
だからボクは何も間違えなかったんだ!!」
どん! とキュリアが地面を蹴る。
未だ形の定まらない、彼の頭部に集まる電子の光は、少しずつ輝きを増していく。
その未完成なままの光輝のせいか。
それともタガの外れた感情が源泉か。
どちらにせよ、白い髪の『少年』は、青白い髪の少年の元へ一足飛びで辿り着こうとする。高速で迫るキュリアに対し、ブラスは鎌を手に相手からの攻撃に備えた。
瞬間的な肉薄の最中、キュリアは心を叫ぶ。
とんでもなく意味不明な叫びを。
「だからオマエもボクを肯定してよ、
「クソほど気持ち悪ぃんだよマジで永遠に黙れ!! つーかよりにもよってあんたがその一人称使うんじゃねぇ!!」
Tips:ブラスは独占欲の方向性が「閉じ込めたい」「自分だけのものにしたい」の方面なのでタガが外れてしまうと大変危険。良識と「幸せにしたい」「笑顔でいて欲しい」という気持ちがあるので何とか大丈夫な感じ。
ちなみにアマネはそんな彼の『心の音』を聞いているので、色々落ち着いたら『怖いブラス』を見たくなってちょっとした嘘をついた結果、凄いことになる未来が控えてるとかどうとか。
短め番外編
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学パロ世界線
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ひたすらキスだけのブラスとアマネ
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野郎どもの猥談