ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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本編前
プロローグ


 

私の人生が変わった……いや、決まったのはあの時からだと思う。それは物心がついて間もない時、私……園部優花があの人と……彼と出会った時、

 

運命の歯車(あるべきストーリー)が変わり出したんだ────。

 

 

 

夏の残暑が残るも、外でも過ごしやすいぐらいになった頃。

 

「わたしが、いちばーん!」

 

「待ってよー」

 

「ユウカ、早いよー」

 

幼い少女──園部優花は、親友である宮崎奈々と菅原妙子の二人と一緒にいつも集まる近くの公園で遊んでいた。

 

かけっこ、砂遊びと転々と公園内で遊ぶ三人は凄く笑顔だった。

しかし、遊ぶのに夢中で門限の五時に迫るのに気付いたのは太陽がもう沈みかけている時だった。門限の時間に迫ってることに気付いた三人は遊ぶのを止めて各々家に帰ることにした。

 

優花と二人の家の方向が逆だから公園の入り口で別れることになった。

 

「またねー、ユウカ〜」

 

「また明日ね〜、ユウカっちーー!」

 

妙子と奈々は、入り口で優花の方へ振り返りながら手を振って別れを済ますと手を繋ぎながら家に帰っていった。

 

「二人共、またねー!」

 

優花も二人に別れを告げながら手を振ってから自分も帰ろうと思った矢先、あることに気が付いた。

 

「あれ?……ない。落としちゃった…?」

 

ふと前髪をいじった時に母に買って貰った大事な髪留めが無くなっていることに気が付いたのだ。

 

「探さないと……」

 

優花は公園で遊んでいる途中に落としてしまったのだと理解し、急いで公園に戻り髪留めを探し始めた。

 

まず滑り台を登って、上から髪留めがないかと見下ろす。

 

「やっぱり……無いよね……」

 

流石に髪留めほどの小さい物が滑り台の上から見つかる訳もなく、滑ってから滑り台の周りを確認する。

 

「此処もない……」

 

しかし、髪留めがなく、優花は今さっきまで 妙子達と遊んだ遊具の周りを探すことにした。

 

鉄棒の周り……

 

「ない……」

 

ブランコの下や周り……

 

「 ないよぅ……」

 

優花は公園内にある全て遊具を回って髪留めを探していくが一向に見つからない。そして、最後の一か八かの賭けで砂場に向かって走り出した。

 

そんな優花の遊具の周りをぐるぐると回って髪留めを探し回っている姿を、ある黒髪の男の子がジッと見ていたのを彼女は気付かなかった。

 

「……………」

 

 

優花は砂場に到着して、すぐさま砂をどかしたりして髪留めを探していくが、

 

「なんで……」

 

幾ら砂をどかしても、髪留めが見つからず不意に言葉を漏らす。

 

「なんで……見つからいのっ」

 

ヤケになってしまい、砂を薙ぎ払うように勢いよく払いのけるも……

 

「ホントに、ど……こなの? に……っ‥…」

 

優花は砂を払うのをやめ、そのまま立ち尽くす。何処を探しても髪留めが見つからないことにフルフルと服を掴むと同時に段々と視界がぼやけ瞳が潤み、涙を流しそうになる。

 

その時だった。

 

「……どうしたの?」

 

「ぐすっ……ぇ?」

 

突然、後ろから声をかけられ、優花は精一杯のやせ我慢で涙目になりながらも、後ろの方向へ振り向いた。

 

其処には……

 

「ねぇ、君どうしたの?」

 

背丈は自分と余り変わらないぐらいの黒髪の男の子が立っていた。その子は心配するような眼差しを向けながら優花を見つめていた。

 

もしかしたら自分が髪留めを探してるのを見て、気になって話しかけたんだろう。

 

「……」

 

しかし、優花は答えられない。

 

優花は普段は知らない子とは話さないタイプだ。簡単に言えば友達以外とは余り喋らない、しつこい時は強く言ってしまうタイプで所謂人見知りに近い。

 

しかし、そんな性格である優花でも、髪留めのことしか頭になく気付いた頃には自然と口を開き、ポツポツと彼に事情を説明していた。

 

「あの……グスっ…ね、私ね…んぐ…遊んでた、と、時にね……お母さん……から貰っ……た、髪留めを落としちゃったの……」

 

涙に耐えながらなので所々、詰まり詰まりで事情を話す優花。そんな話を目の前にいる彼は真剣に聞いてくれていた。

 

「……髪留め、それって何か特徴とかある?」

 

彼は落とした髪留めに何か特徴があるのかと聞く。優花は少し頬に流れた涙を手の甲で拭き取りながら答えた。

 

「えっ……と、綺麗なお花さんが沢山ついてる」

 

「他には?」

 

「白色のお花さん」

 

そう彼からの質問に答えていくと、彼は優花の話しを聞いて両腕を組みながら「うーん」と声を漏らしながら考えていた。

 

そして……

 

「……はっ」

 

「ふぇ?!」

 

彼が突然、声を上げるので優花は体をビクッと揺らし、変な声をだしながら驚いてしまう。

 

「ど、どうしたの?」

 

「……もしかしてっ」

 

いきなり声を上げるので、どうしたのか聞くと彼はそんな優花の声に気付かず、自分のポケットに片手を突っ込み、何かを取り出そうとしていた。

 

「!……あった」

 

彼は片手を突っ込んだポケットからある物を取り出し、優花にギュッ握った手を突き出した。

 

「これ……君のだと思うんだ」

 

彼はそう言いながら、片手で握っていた手を広げて物を見せる。優花はおずおずと近付いて彼の取り出した物を見る。

 

「え……」

 

優花は彼が見せた物を見て驚きのあまり目を見開いてしまった。

 

それは、彼が握っていたものは……

 

「君から教えて貰った特徴を聞く限り、これかなって思ってさ……」

 

それは、優花がずっと探していた髪留めだった。

 

「何処にあったのコレ?」

 

説明する彼に優花に何処にあったかと聞くと……

 

「……撮……てたんだ」

 

彼は今までと違う雰囲気を出しながら恥ずかしそうに顔を逸らしながら話しているが、小さな声音だったので優花の耳には聞こえなかった。

 

「ん? …あの何て?」

 

「……」

 

「あ、あの……もう、一回言って欲しいなー」

 

何を言っているのか分からず、もう一度言って欲しいと頼むと男の子は少し顔を赤くしながらも再び説明した。

 

「と、特撮ヒーローの必殺技の練習してたら、花壇の近くに落ちてたんだ!……綺麗な髪留めだったから分かりやすかったんだっ」

 

「と、特撮ヒーロー?」

 

恥ずかしいのか顔を赤くして説明する彼に、優花は彼の言葉の特撮ヒーローに反応する。そして、自分の記憶を張り巡らせ、確か日曜日の朝に見てる某魔法少女のアニメの後にやる番組だったと思い出す。すると、男の子はそのまま声を上げながら勢いよく座り込んむと顔を両腕で覆い隠した。

 

「うわぁぁぁぁ! 絶対に変な奴って思われたぁぁあ!」

 

「えっ、え?」

 

優花は彼の突然の行動に少し困惑してしまうが、彼の隣にそっと座り込むと微笑みながら伝えた。

 

「私は、変じゃないと思うよ」

 

「えっ……」

 

優花の言葉に彼は目を見開きながらジッと見つめていた。

 

「ホントに変って思わないの?」

 

「うん、私はそう思わないよ。それに……君は優しいから」

 

「…………」

 

そう伝えると、彼はジッと優花を見つめていた。だが、流石にずっと見つめられるのは恥ずかしくなってしまって顔を逸らしてしまう。

 

「あ、あの。君の名前は?」

 

優花は髪留めを見つけてくれたお礼がしたくて名前を知りたくて、彼に名前を聞いた。すると、彼は片手でポリポリと頭を掻きながら少し恥ずかしそうに自分の名前を言う。

 

「ぼ、僕の名前は南雲ハジメ、君は?」

 

「私? 私の名前は園部優花。優花で良いよ」

 

「じゃ、じゃあ……優花ちゃんで、僕もハジメでいいから」

 

「うん、ハジメ君」

 

優花は彼の名を聞いた時、素敵な名前だと思った。

 

「あっ、そうだ。はい、優花ちゃん髪留め」

 

「あっ……ありがとう」

 

ハジメとの会話が楽しくて、髪留めのことを忘れていたが、彼の言葉でハッと思い出す。するとハジメが髪留めを私の手の平に髪留めを置いた。

優花はハジメに見つけて貰った髪留めを頭に着けてから、ハジメの方へ振り向く。

 

「ハジメ君、ホントにありがとう見つけてくれて」

 

「うん、どう致しまして」

 

ハジメに再度お礼を言うと、彼は優しい笑みを浮かべながら言葉を返した。

 

優花はそんな彼の表情を見て、ギュッと服を握る。何故か胸の奥がドキドキと鳴っていて苦しいのに嬉しく感じているのだ。

 

こんなことは初めてなのでこの気持ちは何なのかをこの頃の優花は分からなかった。

 

「そろそろ、暗くなっちゃうね」

 

「え?」

 

ハジメに言われて優花もハッと周りを見ると時計はもう六時になりそうで外も暗くなっていることが分かった。

 

「僕も帰らないと……じゃあ、僕は行くね。じゃあね優花ちゃん!」

 

ハジメはそう言って、家に帰ろうと走り出そうとした時だった。

 

「待って!」

 

しかし、優花は何故かハジメを腕を両手で掴んで、家に帰るのを引き止めてしまった。何故、こんな行動をしてしまったのか優花でも分からない。でも、この時はハジメとは離れたくないという気持ちが優花の心を支配していた。

 

「優花ちゃん?」

 

ハジメは突然の優花の行動に困惑しながら苦笑いして話しかける。優花はそんな彼に意を決して自分の気持ちを伝えた。

 

「ね、ねぇ……ハジメ君」

 

「どうしたの?」

 

「私、ハジメ君にお礼がしたいの!」

 

優花はハジメにお礼がしたいと伝えると、ハジメは首を傾げた。

 

「お礼?」

 

「うん、お礼!」

 

「でも、家に帰らないと……」

 

「あ、安心して! わ‥私の家洋食店なの…だ‥だから…」

 

「優花ちゃん?」

 

「だから……お店の料理を食べさせてあげる!」

 

優花の言葉にハジメ君は少し考える素振りをしてから、疑問形で聞く。

 

「 良いの?」

 

「うん!良いのっ!」

 

そう言って優花は、ハジメの手を掴んむと一緒に私の家へと一直線に駆け出した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

カラン、とベルの音が鳴るレストランの扉を開けた優花は顔だけひょっこりと出して店内を見て口を開く。

 

「た、ただいま……」

 

ハジメを家に連れてきたは良いものも、門限は過ぎているのを忘れており、家に戻った時に思い出した優花は両親に怒られないか不安であったのだ。

すると、ベルの音を聞いてか奥のカウンターから人影が現れた。

 

「優花!」

 

「……あっ、お母さん」

 

大きな声で名前を呼びながら駆けつけたのは母の優里だった。

 

「何時だと思っているの!」

 

「ごめんなさい!」

 

怒っている優里に優花は頭を下げながら大きな声で謝る。すると、優里の怒った声と優花の声が聞こえたのか更に奥から父の博之が優しい表情で優花達の傍まで来た。

 

「おかえり、優花」

 

「……お父さん、た、ただいま」

 

「優里。優花も無事に家に帰ってきて、反省してるんだし良いじゃないか?」

 

「でも、貴方っ。優花が何故こんなに遅くなったのか聞かない……「あのっ!」と……えっ?」

 

「ぼ、僕が説明しますっ!」

 

博之は無事に優花が帰ってきたから良いと言っているが、優里は優花に何で遅くなったのか説明を求めようとした時、扉のせいで姿が隠れていたハジメが声を上げた。

 

ハジメの登場に優里と博之は驚きを隠せず困惑するも、博之はハジメに傍まで歩き、ハジメの片方の肩に手を乗せながら目を合わせるぐらいにまで腰を下ろす。

 

「えっと? 君は?」

 

「あ、あの僕……南雲ハジメって言います」

 

「ハジメ君だね。どうしたの此処に? 君のお母さん達は何処かな?」

 

「えっと……それより優花ちゃんのお父さん! 優花ちゃんがお、遅れちゃったのは、り、理由があるんです!」

 

そして、ハジメは博之と優里に初めての人との会話で緊張するも事情を話した。ハジメから大体の事情を聞いた博之はウンウンと頷きながら優花の方を見て確認を取る。

 

「そうか……ホントかい優花?」

 

「うん!ハジメ君が見つけてくれたの!」

 

視線を向けられて優花は、微笑んで元気一杯にそう答える。すると、博之は納得したように頷いてからハジメ君に視線を戻すと、笑みを浮かべて感謝を伝えた。

 

「ハジメ君、優花の大事な髪留めを見つけてくれてありがとう」

 

「私からも、ありがとね。ハジメ君、優花の髪留めを見つけてくれて」

 

「ゆ、優花ちゃんが困っていたので……それに、困った人を見過ごせなくて……」

 

二人はハジメに感謝していると、ハジメは照れ臭そうに顔を赤くしていた。すると、博之はある提案をした。

 

「そうだ、ハジメ君。優花の言う通りに此処でご飯を食べていくかい?

 

「ホントに良いんですか?」

 

「あぁ、構わないよ」

 

「でも、やっぱ……」

 

ハジメ君は申し訳ないと思っているのか、二人に答える声が少しぎこちなかった。それを見た優里は笑みを浮かべながら提案する。

 

「なら、ハジメ君のお父さん達も呼んでも良いのよ?」

 

「えっ!? 良いんですかっ」

 

優里の提案にハジメはパアッと笑みを見せる。

 

「うん、良いのよ。ねぇ、貴方?」

 

「あぁ、構わないさ。私としてもハジメ君のご両親に会ってみたいし、お礼を言わないといけしないとね」

 

「ハジメ君、家の電話番号が分かるかしら?」

 

「はいっ。 ヒーローグッズやゲームの通販で購入する際に覚えました!」

 

ハジメの覚え方に園部一家は苦笑いしてしまう。そして、彼は自分の親に連絡を入れるために優花の家の電話を借りて連絡を入れた。

 

数分後……

 

「あのー…すみません。ここにハジメがいると聞きましたけどぉ……」

 

「お邪魔しまぁす……」

 

扉のベルが鳴り、優花の家に二人の大人の男女が来店した。恐らくハジメの両親なのだろう。声を聞いて、厨房にいた優里と博之が顔を出した。

 

「はい、此処に居ますよ〜」

 

「良かった〜…あっ、すみません。私、南雲菫と言います。そして隣は旦那の……」

 

「父の南雲愁です。すみません、ウチのハジメが……」

 

「いえいえ、世話になったのはウチの方ですから」

 

ハジメの母親の菫と父親の愁は博之に頭を下げて謝るが、お世話になったのは此方だと伝えると、菫が首を傾げた。

 

「どう言うことです?」

 

菫がそう聞くと、博之は愁と菫に髪留めの件を話した。

 

「はぁ……そう言うことだったんですね〜」

 

「ハジメやるじゃないか〜」

 

「ちょっ、父さん!」

 

事情を聞いた南雲夫妻。菫はそういうことかと呟きながら納得して頷き、愁の方は嬉しそうにハジメの頭をワシャワシャと撫でていた。頭をワシャワシャされているハジメは人前のせいか照れながらやめて欲しそうに頭を振っていた。

 

「では、私達は料理の準備をするので」

 

「あっ……本当にいいんですか?」

 

「ええ、お礼をしたいのは此方ですから」

 

博之達はそう言って、厨房に向かっていった。

 

すると、ハジメを見つめていた優花に、菫がいつの間にか傍まで近寄ってきており話しかけた。

 

「えっと……優花ちゃんよね?」

 

「えっ、あっはい」

 

名前を呼ばれ、すぐに菫の方へ振り向く優花。

 

「ふぅ〜む……」

 

「あ、あの?」

 

菫は優花を見つめる。流石にずっと見られるのは恥ずかしく声をかけるが反応はしない。もう一度声をかけようと口を開いた時だった。

 

「あっ……「可愛いぃぃぃ〜!」……?!」

 

菫はいきなり声を上げて優花を抱きしめる。優花は突然のことに何が起こったか分からずに混乱してしまう。

 

「何してんの!? 母さん!」

 

ハジメは優花に抱きつく菫に声を上げて注意するが菫は無視して優花に抱き締めながら口を開いた。

 

「いや〜、優花ちゃんがウチのハジメのお嫁さんになってくれれば良いのにな〜って思っちゃって」

 

「?!」

 

「母さん!」

 

菫のトンデモ発言に優花は一瞬でボっと顔全体が真っ赤になってしまい、ハジメも顔を真っ赤にして菫に怒鳴る。すると、愁までもが便乗する。

 

「ハッハッハッ。 良いじゃないか? 優花ちゃんは聞くと滅茶苦茶良い子だぞハジメ?」

 

「父さんもか!」

 

そんなカオスな状況になっていると、声を聞こえた。

 

「皆さん〜、出来ましたよぉ〜」

 

「おや? 楽しそうに話していたが何の話をしてたんだい?」

 

料理が完成したのか博之と優里が厨房から料理を運びながら戻って来てこのカオスは終わりを告げた。

 

告げた筈だが……

 

「そうね〜。ハジメ君なら優花を任せて良いわね〜」

 

「お母さん?!」

 

何故か優里の追撃にカオスが終わるのは、五分後だった。

 

そんなことがありながらも、優花達は博之が作った料理を一緒に食べた。

 

そこで分かったことは菫は有名なあの某漫画家でその作品のファンである優里と意気投合したり、愁は有名なゲーム会社の社長だと知り驚いた。そして、ハジメの家は、優花の家の近くにあると知って、優花は、これからもハジメと遊べると思って嬉しくなった。

 

近い内に妙子と奈々にも、ハジメを紹介しようかと、優花は彼との出会いを嬉しく感じたのだった……。

 

 

そして、この出来事が園部優花と南雲ハジメとの最初の出会いであり物語の始まりであった……。






<十月十七日に編集しました。

雫はハーレムにいる?

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