すみません投稿が遅れましたm(_ _)m
歴史に名に残るだろう激戦が起きた帝国の夜はアルマゲドンの消滅とオルステッドがハジメに敗れたことにより終わりを告げた。
帝国はハジメ達の奮闘したおかげで消滅せずには済んだのだが被害は大きくコロシアムとその周辺はオルステッドとの戦いの中心だった為、周りの住宅などが瓦礫の山となり、もう一つの戦場となった帝城はパーティー会場や城の一部が半壊し、その周辺の兵舎などはあるウサギ集団によって爆破され被害は損大だった。
しかし、そんな被害を被った帝国だが、驚くことに死者はほぼ帝国兵で帝民達はゼロに等しかった。その理由はオルステッドの襲撃の前にハウリア達の爆破劇のおかげだった。帝民達はハウリア達の仕掛けた爆破を見て、魔人族などの襲撃だと間違えたらしく帝都の外れへと避難をしていたのだ。だから 、帝民達は被害が免れ、その事を聞いた皇帝さんはニヤニヤと笑みを浮かべるハウリア達に悔しそうに頭を下げながら感謝の言葉を述べていたらしい。
そして、ハジメ達のことだが、ハジメとティオの二人の救助に向かった光輝達が抱き締め合いながら眠りについている二人を発見し、色々とあったが急いで医療院へ運び込むのだった。
医療院には、既に帝国の貴族達、生き残った帝国兵達や優花、ユエ、シア、アレスの四人が眠りに就いていた。優花とユエ、アレスの三人は魔力枯渇で眠っているだけで少し時間が経てば目を覚まし倦怠感はあるものの動けるようにはなっていた。
問題だったのはシアと後に運び込まれたハジメとティオの三人であった。シアは勿論、オルステッドから受けた時の傷。ティオは、一人で無闇にオルステッドに戦いに挑んだせいで骨折、裂傷、火傷、魔力枯渇の重症。そして、一番の問題はハジメだった。義手は壊れ、横腹は抉られ、全身は火傷などの傷だらけであり、発見した時は心臓の音が聞こえず息をしてなかったのだが、龍太郎と光輝が懸命の心臓マッサージなどの応急処置で何とかハジメは息を吹き返し、そのまま意識を失ってるティオと共に医療院へ運び込んでいったのだ。
ハジメ達が運び込まれる前に魔力が回復し目を覚ました優花、ユエ、アレスの三人は重症者の手当にあたっていたが、雫と龍太郎によって運び込まれた二人の容態を見て、血相を変えながら二人のもとへ駆け寄って治療にあたった。その時の優花とユエは今にも泣き崩れそうな表情であった。
そんな深刻な事態があったのだが、ユエと優花の頑張りによって一日の間でティオもシアも動けるようになるまで回復し、ハジメも動ける状態ではない(優花達が監視してるため動けない)が目を覚まし容態は良くなっている一方だ。
そして、全員が目を覚ましてアレスと光輝達以外の四人がハジメの元に集まっているのだが……
「ティオの馬鹿!」
「うっ」
「……ティオの阿呆ォ!」
「うぅ」
「ティオさんは真面目馬鹿ですぅ!」
「うぐっ。す、すまぬ三人共……」
暴走して勝手にオルステッドに突っ込んで戦いに行ったティオは優花達三人に正座させられ叱られていた。
「本っ当に心配したんだから!」
「……ん!」
「わ、私は同じことは言えませんけど……命を無駄にしようとするのはいけないですぅ!」
「うっ……本当に申し訳ないのじゃ」
ティオはそう言って三人に謝っていると、優花はギュッとティオを抱き締め話す。その声は震えて目にいっぱいの涙が溢れそうになっている。
「もう簡単に命を捨てようとしないで……ティオは私達の大切な
「優花……」
自分を抱き締めてくれる優花にティオも優花を抱き締める。すると、ユエもシアも互いに笑みを浮かべながら顔を見合わせ頷き合うと勢いよくティオへとダイブするように抱き着く。そして、脇腹をくすぐり始める。
「っ……ユエ! シア?!お、主等!く、くすぐったいじゃろ! ん、あっ……や」
「……お仕置」
「ですぅ!」
「ほん、! とに、や……ハ、ハジメ! た、助けてたもう!」
小悪魔的な笑みを浮かべるユエとそれに便乗したシアを見て、言っても聞かないと判断したティオは病床の上で上半身だけ起き上がって此方に顔を向けていたハジメに助けを求めた。
「クハッ……」
そんなハジメは笑みを零した。それは目の前の光景のこともあるが、一番はティオが自分への呼び方が変わったからであった。今までは〝ご主人様〟と少し距離を置いていた感じだったのだが、今は〝ハジメ〟と、ちゃんと名を呼んでくれる。本当のティオの姿を知れた感じがして、そのことがハジメにとって嬉しくて堪らなかった。そんなことを思い馳せながらハジメは涙目で助けを求めるティオに返事をする。
「ティオ……スマン。今の俺では何も出来ない」
「っう〜〜ハジメの薄情者ォ!」
そんなティオの叫びとハジメ達の笑い声が医療院に響き渡ったのだった……。
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その日の夜。帝都を一望できる高台に白い神官服を纏ったアレスが吹く夜風に少し長めの金髪をたなびかせながら帝都の光景を自分の澄み切った青色の瞳に写し込んでいた。
「はぁ……こんなとこにいましたか」
「やっ」
コツコツと自分の方へと近付く足音とその知る声にアレスは優しい笑みを向け軽く返事をしながら後ろに振り返る。そこには、予想通り、自分の幼なじみであり、リリアーナの専属の侍女であるヘリーナがそこにいた。ヘリーナはそんな返事をするアレスに溜息を一つ。
「怪我は大丈夫なんですか? 相当無茶をしたんでしょ?」
「ハハッ、君にそんなに心配されるとは嬉しいね。しかし、ヘリーナこそ大丈夫だったのかい?」
心配してくれる彼女に嬉しさを感じながら彼女こそあの激戦の間は大丈夫だったと心配する声を掛けるアレスにヘリーナはボソッと言葉を漏らす。
「……ホント自分のことより人の心配ばっか」
「ん? 何か言ったかい?」
「いえ。何も? 私は近衛騎士達に守られていたので大丈夫でした。それより私が来る前にガハルド皇帝陛下と話してたそうですけどどうしたんですか?」
ヘリーナは首を傾げるアレスに悟られないように違う話題をすり替える。するとアレスは少し微妙な顔になった。
「ああ……見られてました、か」
「何かいけませんでしたか?」
「いや、何も? ただ勧誘と感謝されただけだよ」
「ああ、勧誘ですか……感謝?」
アレスの勧誘という言葉に納得するヘリーナだったがもう一つの感謝はハジメ達にまとめて言えばいい。なのに何故、ガハルドはアレス個人に感謝をしたのだろうかと疑問に感じていると、そんな疑問をアレスは偽りなく話す。
「ええ、勧誘は丁重に断りました。……そして、感謝はただ『馬鹿息子を楽に殺してくれて感謝する』と言われましたね」
「……」
アレスの言葉にヘリーナは沈黙でしか返せなかった。アレスはフッと笑みを零すと自嘲気味に言葉を続ける。
「何も返す言葉が浮かばなかったよ。私はただ彼を殺しただけで何もしてない。救えなかった。他に助ける手段が思い付かなかった。普通なら恨まれてもいいのにガハルド陛下が言ったのは感謝の言葉だった」
空へ手を伸ばすアレスの顔に翳りが見える。そんな姿に隣にいるヘリーナは上手く言葉が見つからない。
「アレス……」
「ホントに私は……僕は弱いな。殺すことしか救えなかったただの弱い──「そんなことない!」──えっ」
自分の弱い部分を曝け出し、自己嫌悪に陥るアレスにヘリーナは声を上げる。ヘリーナはそのままアレスの胸へ抱き着くと顔を上げアレスの目を見る。アレスもヘリーナの顔を見る。
「貴方は救ったの! 帝国をっ、帝国に住む人達をっ、リリアーナ様をっ、そして私も!…… それにバイアス様も!」
「僕が……バイアスを?」
「ええ。彼は姿形を変えられ、そして自分の手で国を破壊するところだった。でも貴方が止めてくれた。だから、貴方は決して弱くなんかない。貴方はいつだって私の〝英雄〟なんだから」
「英雄……」
アレスの脳裏に過ぎるのは、昔、目の前にいる幼いときの彼女と交わした会話……。
『僕は王国の……ヘリーナの英雄になるよ』
『うん。待ってるから』
そして、
「そうだ。僕は……私は守る為にでしたね」
アレスは納得したように笑みを浮かべて呟くとヘリーナも其のアレスの姿に嬉しそうに微笑む。
「分かって貰って良かったです」
「ええ、やはりヘリーナ。私はいつも君には弱い」
「それは、貴方が甘いだけです」
「ハハッ、そうですか……ヘリーナ」
「はい」
「もう少し貴女を抱き締めて貰っても構わないですか?」
「それで、貴方の心が安らぐなら良いですよ」
静寂が満ちる帝国の夜に二つの影が重なる。そして、アレスとヘリーナはお互いに思ってしまう……。
────やっぱり、僕(私)はこの人には弱いと。
しかし、安心してしまう。だって、この人には
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アレスとヘリーナが話している時と同時刻。ハジメの部屋には優花が一人、ハジメの看病を続けていた。ユエ達には明日は樹海に戻る為に先に眠るように言っている為、部屋には居ない。
優花は眠りにつくハジメの頬に片手で優しく撫でながらうっとりと目を細めて微笑む。そして、ハジメが起きない程度の声音で話しかける。
「……本当に良かった。心配したんだからね」
優花はティオからの話を聞くと、ハジメはまたあの力を使ったとらしい。そして案の定、あの時のようにハジメの体を侵食するかのように蠢く黒い何かがあったが、前と違い直ぐに天性魔法を発動したことによりハジメは苦しまずに済んだ。しかし、優花は、またハジメが無理をしたんだと思うと胸がギュッと締めつけられるのを感じた。
そして、嫌な、受け入れたくない思いが頭を過ぎる。
───いつしかハジメがハジメで無くなりそうな気がする。別の何かになってしまうと感じてしまう。
そう思った瞬間、優花の頭の中に見せつけるかの如く映像が鮮明に流れ込んだ。
『ガァァァァァァ!!』
黒い機械のようなモノを全身に武装し、全身から放たれる紅いスパーク。色々なモノを取って付けたような歪で禍々しい姿をした何かが叫ぶ姿。
そして、紅く光る獣のような眼光は、ただ見ているだけの優花でもオルステッドを超える物凄い重圧を感じてしまう程だった。
「っ……もしかて、これはクリスタの?」
嫌な光景……いや、これは記憶なのだろう。そう確信した優花は、クリスタが自分に見せたい記憶だと理解出来た。そして、クリスタが何故こんな記憶を自分に見せるのは、もしかしたらそう遠くない未来でハジメがそうなるかもしれないという警告なのかもしれない……。
「嫌っ」
そんな残酷な未来が待ち受けけているかもしれないと思ってしまう。優花はそんな未来を掻き消すように頭を振ってハジメに寄り添うように彼の温もりを感じれるように抱き着くと決意するように呟く。
「絶対にハジメを一人にさせないから……」
───そうだ。私はずっと彼を支えていくんだ。傍にいるんだ。
───それが
「何があっても私はハジメを愛してるから……」
そう微笑みながら優花は呟くと起こさないようにハジメの頬に軽くキスをする。そして、隣にいるハジメは聞こえないたと思うが「おやすみ」と言うと息をするように優花は愛しの彼の傍で眠りに就いたのだった………。
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夜がまだ空けてない中、医療院のすぐ近くの人気の無い場所に刀を振るう少女が一人いた。
「セイッ、ハァッ! フッ!」
空気を裂く音にそれに同調するかのような短い呼吸音。その使い手の動きも極めて洗練されていて、翻る特徴的な黒髪と合わさると、まるで神に捧げる神楽舞の如き神秘性すら感じられた。
踊る黒刀と黒髪。彼女の作り出した剣界に入った物が四散し、玉の汗が飛び散る。
一体、何時間そうやって踊り続けていたのか。彼女――雫の足元には、すり足が地面に刻んだ幾条もの円が出来ていた。
しかし、その有様に反して、雫の体幹は疲れ知らずとでも言うように僅かなブレも生じていない。一本芯を通したような美しい姿勢で、ただひたすら無心となって刀を振るう。
「──うん?」
その時だった。自分の元へ近付く足音がする。そして、雫は刀を振るうのをやめ黒刀を鞘に収め、流れる汗を持参していたタオルで拭き取るとその方向へと振り向いた。
「……雫」
「光輝」
そこには自分の幼なじみがいた。彼も自分と同じように鍛錬しに来たのかとふと思う。
「どうしたのよ? 光輝も鍛錬しに来たの?」
「いや、眠れなくて散歩をしてたんだ。雫は?」
「大体、光輝と同じよ。私も眠れなくて鍛錬していたのよ」
光輝の言葉に、雫は納得したように頷きながら返事をした。
「そうか、そうだよな……だって、俺達は南雲達が懸命に戦っているというのに何も出来なかったしな」
「……光輝」
光輝の言葉に雫は何も言い返せず彼の名を呼ぶことしか出来なかった。それもそうだろう。自分達は勇者パーティーあるというのに神や神の使徒達の戦場に一歩も踏みだすことが出来なかったのだから。放たれた圧だけで圧倒され到底敵わないと理解してしまったのだ神という存在はどれだけの存在かと。
「ホントに凄いよな南雲達は、あんな存在と張り合えるぐらいに強くて、それで……勝ってしまうなんて……」
「ええ、ホントに彼は凄いわ」
そして、実感させられた。自分達とハジメ達の実力の差を、覚悟の差を。光輝は苦い顔をして彼等を羨望の対象かのように自嘲気味に話す。雫は彼等を憧憬の存在かのように話す。
雫は光輝の表情を見る。その表情は誰が見ても落ち込んでいると分かった。だからだろう、そんな幼なじみをほっとけずにいられなかった雫は光輝を元気付ける感じで話し掛ける。
「光輝。私達も頑張って迷宮を攻略して、南雲君達と並び立てるように……そして、香織と恵理の二人を止めれる頑張っていきましょ?」
「ああ……ああ! 俺も絶対に神代魔法を手に入れてこの世界を……南雲を越える程の強さをっ」
雫のの言葉に顔を上げて返事をする光輝。表では同じような目的で話し合っているように感じる二人の言葉だが……
一人の女剣士は大切な親友を止める為、先を往く彼等に並び立つために……。
一人の勇者は絶大な力を手に入れ、自分より強い彼より強くなって自分が正しいことを証明する為に……自分の正義を貫き通すために……。
そんな内に秘める思いが違うも、二人は共に決意しあうのであった……。
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激戦の夜から二日経ったその日、帝都に激震が走った。
───全亜人族の解放と今後の奴隷化の禁止
簡潔に言えば、そんな皇帝陛下の勅命が、全帝国民に布告されたのである。本当はあの夜の次の日にする予定だったが、重役(ハジメ)が重症だった為、その日は宣告されずに帝城で所有していた亜人奴隷の回収だけを行っていた。
だが、この布告で帝国は個人所有も、奴隷商も関係ない。一切の例外を許されない強権を発動されたのである。しかし当然、困惑と同時に反発が起こった。
帝城の前には既に突然の事態にどういうことかと問い詰める民で溢れ返っていた。すると、帝城のテラスから民達の前に姿をさらしたガハルドは、微妙に引き攣った表情で叫んだ。
「全ては創世神エヒト様からの〝神託〟である! エヒト様は帝国に、使徒様と勇者様を遣わされた!」
途端、空から無数の光が降り注ぎ、そこから純白の翼を広げた美しい銀髪の天使(天使化した優花さん)が降臨した。眩く輝き、純白の羽がふわりと天上より落ちてくる。
世界が煌めき、光の波紋(天性魔法〝
───天性魔法〝
光の波紋が放つ範囲内の者達の精神を安定させ、心を安らがせる魔法。使う用途は精神が安定しない者などに適用。魔力消費も以外に少ない。
そこへ、ガハルド陛下の隣に勇者光輝が姿を見せ、いつもより強めに輝かせた聖剣を掲げる。
「亜人の解放は、これからの帝国が更に繁栄するために必要なことだと仰った! 困惑もあるだろうが案ずるな!奴隷を失った者には帝国より補償がある! 私は、愛する我が帝国の皇帝として、帝国民の愛国心と信仰心を信じる!」
舞い落ちる天使の羽を手にした帝都民は、一拍、歓声を上げて天使と勇者と皇帝陛下を称えた。しかし、やはりという言うべきか補償のほどに不安を隠せない者達もいたが、そこは今後のガハルド次第だろう。
「まぁ、頑張れよ皇帝陛下」
部屋の中から、引き攣った笑みを浮かべるガハルドに声が掛かった。ハジメだ。動けるようになったが、まだ体調も全快ではなく義手も予備のを付けており、右目と額を覆うように包帯が巻かれていた。そして、傍らにはユエやティオもいる。優花を神々しく見せる演出要員だ。そして、この一幕を考えたのはハジメだった。ガハルドのセリフもハジメの作った台本による物だった。
昨日の内に迅速な対応で帝城の所有する亜人の奴隷達を集め切ったガハルド達だったが、やはり問題はあり、帝国民達にどう伝えるかだ。いきなり、奴隷という財産を没収と言われれば、個人所有はともかく奴隷商などは路頭に迷うことになる。暴動が起きないとも限らないし、その過程で奴隷達が傷付けられる可能性もある。
頭を抱えるガハルド達に救いもたらしたのは、アレスに支えられながら爽やかな笑顔でやって来たハジメだった。
「困ったときはクソ神を利用すれば良い」
そんな恐ろしい発言をさらりかまして、その内容を書き記したシナリオだけポイッとガハルドに投げ渡してハジメは病室に帰って行った。そんな様子をシナリオだけ渡されたガハルドは胃が痛くなったらしい。
なお、先程の優花の光の波紋は、彼等を心地良くする以外に、心身共に傷付ついてるだろう亜人奴隷達をまとめて癒すためである。
帝国兵達の手によって次々ド回収され、ど奴隷の首輪が外されていく亜人奴隷達が、今もこの瞬間もコロシアム跡地の方に見える。それを横目に、ガハルドはハジメの方へと振り返った。そして、
「南雲ハジメ。帝国を救ってくれたことは感謝する。……だがっ、これはやりすぎだろ?!」
テラスで聖剣を掲げたままの光輝を含め、龍太郎達は強く頷き、部屋にいたアレスは苦笑いするのであった。
それから後、帝国兵総出で奴隷解放に当たったため、全ての亜人達から枷が外されるまでさほど時間も掛からずに終わった。数千人規模の亜人達は、未だ何が起きているのか理解できておらず、理解できても信じられない様子だ。ただ、呆然としたまま帝都の外に先導する光輝に従っている。
帝都の外に出ても、何度も帝都の方へと振り返り、これは帝国側の新たな遊びの何かでは、逃げ出した途端、酷い目に遭うのではないかと、戦々恐々としていた。
そんな亜人族達に度肝を抜く事態が発生した。空から、巨大な船が降りてきたのだ。巨大なゴンドラを増設されたフェルニルだ。ポカンッと口を開けて硬直する彼等は、直後、甲板の上で元気に手を振る一人の兎人族の少女を見た。
手を振る少女───シアは、凛と響く声で、亜人達が心の奥底に期待していた言葉を叫んだ。
「みなさぁ〜〜〜ん!助けに来ましたよぉ! みんなでっ、お家にっ、フェアベルゲンにっ、帰りましょう〜〜〜〜〜〜!!」
癒された傷、背後の帝都、先導する勇者、未知の乗り物、そしてそんな乗り物の上で、迎えに来たという同族の少女。
現実が、有り得ないと諦めていたはずの未来が、彼等の心を押し寄せた。
一拍。
────ワァアアアアアアアアッ!!
大地を揺るがす程の大歓声が上がる。誰も彼もが涙を流し、隣の者同士抱き合って喜びを顕にしている。
「家に帰る、ね……」
ブリッジで、ディスプレイ越しにその光景を眺めていたハジメが小さく呟いた。その表情は一言では表現が出来ないがとても人間味のある表情だった。
そんなハジメを後ろから抱き締める形で、優花がハジメを抱き締めるとその思いが同じだからこそ言葉にする。
「大丈夫。私達もいずれ帰れるから……」
すると、隣にいたユエもハジメの手をそっと握り、ジッと優しげな眼差しを向ける。ティオは逆の方の腕を抱き締めながら、ハジメを見詰める。
「お前等……クハッ」
そんな優花達の行動に、ハジメは笑みを零す。
神は強い。オルステッドの戦いの時にそう実感した。だが、奴はあれで全力ではないだろう。そして、そんな存在がオルステッドを含め五柱もいる。
だが、
「それがどうした? 俺は神共を殺して優花達と故郷に帰る──それだけだ」
ハジメはそう呟いくと不敵な笑みを浮かばせ目をギラつかせる。例え、どんなに困難だとしても、それをぶっ壊して前へと進む。それだけでだと。
ハジメはそう信念を燃やしながら亜人達を迎えるためにフェルニルの操縦に集中する。
そんなハジメの背を、アレスや雫達は、何処か温かい眼差しで見詰めるのだった………。
作品名を変えた方が良い?
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そのままで
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変えた方が良い