ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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今回の深淵卿編は四か五話程度で終わらそうと思います(`・ω・´)キリッ


七.五章 深淵卿と共に往く迷宮攻略〜深淵覚醒〜
深淵一話 突入!ミレディ・ライセン大迷宮


 

虚飾(きょしょく)。それは、他者に自己を良いように見てほしいため、うわべや体裁を整えること。周囲から自己を良く見て貰おうと無理すること。虚栄を意味する言葉。

 

そして……

 

〝なりたい自分〟を求め欲する()だ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ハジメ達が帝国へと向かっている頃。三人の男女は、視線の先にある壁を直接削って作ったのであろう見事な装飾の長方形型の看板がある。

 

「ハジメ達の言う通りだったな……」

 

「そう、ね……」

 

「うわぁ……これ、ホントに迷宮の入り口〜?」

 

三人の呆れたような声を出す。順にハジメと優花の幼なじみである浩介、妙子、奈々だ。三人は途中までハジメ達と共に飛空挺フェルニルの乗り、ライセン大渓谷の近辺に降ろして貰うと、ハジメから貰った地図でライセン大迷宮の入り口を歩き探して五、六時間。太陽が、一番高い位置に指す頃にようやく見付け出したのだった。

 

日差しが照りつける中、呆れた三人の視線の先にある看板に書かれていたのは……

 

〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

と、妙に女の子らしい丸っこい字でこう彫られており、〝!〟や〝♪〟のマークが妙に凝ってるところがなんとも腹立たしい。

 

「なんだろ……五人でスマ○ラしてた時の愁おじさんのしゃがみ煽り並にイラッとした」

 

「………浩ちんの言いたいこと分かる」

 

「はぁ、二人共……言いたいことが分かるたけどさ、大迷宮の前よ? 気持ちを切り替えないと」

 

看板を見て、ハジメの父である愁にゲームで煽られた並にイラッとしてる浩介と賛同する奈々に妙子が片手を頭に当てながら二人を宥めた。

 

「……まぁ、そうだな。俺達は、ハジメ達のように強くならねぇと」

 

「うんっ」

 

「えぇ!」

 

気を取り直した浩介の言葉に二人も続くように頷きながら答える。その二人を尻目に浩介は拳を合わせると親友のように不敵な笑みを浮かべた。

 

「ん、じゃ迷宮攻略、始めっか!」

 

そう言って妙子達も頷くと、三人は回転扉へと歩を進める。先頭の浩介が回転扉に手をかけると、扉の仕掛けが作用して三人を扉の向こうへと送る。中は真っ暗で、扉がグルリと回転して元の位置にピタリと止まる。

 

と、その瞬間、ヒュヒュヒュ!と、ハジメ達の時と同じように無数の全く光に反射しない漆黒の金属の矢が風切り音を響かせながら浩介達を出迎える。しかし、浩介達はハジメと違って〝夜目〟がないので対処が難しいのだが……

 

「ふっ、はっ、とっ!」

 

黒の装飾がされたゴーグルを装備した浩介が小太刀でカンッカンッカンッと金属同士をぶつかるような音を響かせながら迫りくる矢を叩き落としていく。

 

「はっ、ふっ………ふぅ」

 

最後の矢をカンッと金属音と共に叩き落としたと同時に周囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。俺達のいる場所は、十メートル四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。そして部屋の中央には石版があり、看板と同じ丸っこい女の子文字でとある言葉が掘られていた。

 

〝ビビったぁ〜? ねぇ、ビビっちゃったぁ〜? チビってたりしてぇ、ニヤニヤwww〟

 

〝それとも怪我しちゃったぁ? もしかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ〟

 

「「「………」」」

 

浩介達三人の内心はかつてないほど一致している。すなわち、〝うぜぇ〜〟と。

 

わざわざ、〝ニヤニヤwww〟と〝ぶふっ〟の部分だけ彫りが深く強調されているのが余計に腹立たしい。ハジメも相当、ストレスが溜まっただろう(正解)。

 

「まぁ、イラッとしたのは置いといて……やっぱり、ハジエモンのアーティファクトは凄いな」

 

「だねぇ〜」

 

「まさか、暗視ゴーグルも作れるなんてね……」

 

浩介が身に付けているゴーグルは、ハジメが作り出したアーティファクトだ。その名は、

 

───暗視ゴーグル型アーティファクト〝ナイトビジョン〟

 

ゴーグルには〝夜目〟が付与されており、その名の通り暗視ゴーグルである。

 

これは浩介達がハジメ達と別れる際に、ハジメから〝宝物庫〟の腕輪と共に渡された物であり、三人の〝宝物庫〟にはそれぞれ、ライセンでも各々が戦えるようにとアーティファクトが収納されていた。

 

それを譲り受けた際、浩介は「ハジエモーーン!!」と歓喜しながら叫んだが、「誰が猫型ロボットだ?」とツッコまれがらハジメに頭を叩かれていた。

 

「よし、最初の関門を突破したが、俺達の最初の迷宮がこんな感じだとなぁ」

 

「ハジメっちがイラつくのも分かる」

 

「はいはい。そういうのいいから行こ?」

 

初めての迷宮の雰囲気に乗り気じゃない浩介と奈々の二人をパンパンと手を叩きながら妙子が呆れながらも、前に進もうと呼び掛けると、三人で奥の通路を警戒しながら進んで行くのであった。

 

三人が迷宮を攻略を始めてから数時間後。

 

たったそれだけの時間で、ミレディ・ライセンがどれだけウザイ人物かを浩介達は思い知らされていた。

 

まず、魔法をまともに使えない。谷底より遥かに強力に分解作用が働いている為だ。ハジメ曰く十倍の魔力効率で上級以上の魔法は使用できず、中級以下でも、射程が極端に短いらしく氷術師である奈々にとっては相当負担が掛かる場所である。

 

それに、魔力消費量が馬鹿にできないのだが、そこはハジエモンのおかげで、魔力回復用の魔晶石が三人の〝宝物庫〟に入っており、特に奈々には二人の倍以上あるので役立たずにならずに済んでいるのだ。

 

浩介にとっても影響が出ている。〝分身〟や〝影潜り〟といった体の外部に魔力を形成・放出するタイプの固有魔法が全て使用不可といった状態(無理すれば出来る)。頼みの〝深淵卿〟は出来れば余り使いたくない。なので、浩介達の中で、まともに動けるのは操鞭師の妙子だけであった。

 

その妙子はというと……

 

「頼りって言ってもなぁ……もぅ、私、疲れちゃったよアビス」

 

「何がアビスだ?コラ」

 

頭に手を当てながら、溜息を吐いてやさぐれていた。そして、地面に寝っ転がると「ヤダヤダ〜」と幼児退行しており、普段の妙子じゃ見せないだろう醜態を浩介達の前に曝けだしていた。

 

しかし、妙子の気持ちはよく分かるので、なんとも言えない浩介と奈々。いつもはボケ役の奈々すら、「タエ……」と呟きながら妙子をあやしている程だ。現在、それなりに進めてきた浩介達だが、ここに至るまでに実に様々なトラップや例のウザイ言葉の彫刻に遭遇してきた。そのせいで頑張ってた妙子が次第にやさぐれ、最終的に幼児退行してしまったのである。

 

遂には「寝る。おんぶして」と言いだすので、浩介は妙子を背負いながらという状態で、底意地の悪過ぎるトラップを気を付けながら通路を進むことになった。

 

しばらくして複雑怪奇な空間に出た。そこは、階段や通路、奥へと続く入り口が何の規則性もなくごちゃごちゃに繋がり合っており、まるでブロックを無造作に組み合わせたような場所だった。一階から伸びる階段が三階の通路へと繋がっているかと思えば、その三階の通路は緩やかなスロープとなって一階の通路と繋がっていたり、二階から伸びる階段の先が、何もないただの壁だったり、本当にめちゃくちゃな構造だった。

 

「うわぁ……ホントに迷宮みたいだぁ〜」

 

「それに悪意トラップ付きだろ? ふざけんな」

 

「わぁ、迷路だあ〜」

 

「おい、菅原。そろそろ幼児退行から戻れ」

 

おんぶされながら、抜けたような声を出す妙子。それに呆れ半分同情半分の視線を向けつつ、浩介は「さて、どう進もうか」と思案する。

 

「……浩ちん。どうすんの?」

 

「そだなぁ……取り敢えず、こういう時で定番のマーキングとマッピングしながら進むしか方法はないな」

 

「それしかないかぁ〜」

 

奈々の言葉に頷いた浩介は、迷宮探索で基本であるマッピングなどをすることにするが、この複雑な構造の迷宮にどれだけ正確に作成できるか、面倒くさそうに顔を顰めた。なお、マーキングに関してはハジエモンから暗くても発光する色をだすスプレーを貰っているので問題はない。

 

浩介は早速、入り口に一番近い場所にある右脇の通路にスプレーをして進んでみることにした。通路は幅二メートル程で、レンガ造りの建築物のように無数のブロックが組み合わさって出来ていた。やはり壁そのものが薄っすらと発光しているので視界には困らない。

 

「凄いねぇ〜これ。明かりには困らないねっ」

 

「そうだけどさ宮崎。足元にも気を付けとけよ? もしかしたらトラップがあるかもしれないだろ」

 

「そんな、浩ちん。私を馬鹿にしす────」

 

ガコンッ

 

浩介の返事をしながら歩く奈々の足が床のブロックを一つ踏み抜くと同時にガコンッと音が響く。よく見るとそのブロックだけ奈々の体重により沈んでいる。浩介達から「えっ?」と一斉にその足元を見て冷や汗を流す。特に踏み抜いた奈々は頭から物凄い冷や汗を流しながら笑みを浮かべる。

 

「宮崎?」

 

「アハハ……ゴメ──「避けろ!」──へ?」

 

浩介の叫びが奈々の謝罪を遮る。その瞬間、

 

シャァアアアア!!

 

そんな刃が滑る音を響かせながら、左右の壁のブロックの隙間から高速回転・振動する円形でノコギリ状の刃が飛び出してきた。右の壁からは首の高さ、左の壁からは腰の高さで前方を薙ぐように迫ってくる。

 

浩介は咄嗟に背負っていた妙子を抱き締める形で、うつ伏せでしゃがみ込んで二本の凶悪な刃を回避する。奈々も「ひゃあああああ!!」と動揺と恐怖を含んだ揺れる声をだすも、上手くしゃがみ込んで回避したのだが、一秒でも遅れていたら、頭皮の毛が持っていかれただろう。

 

そんな、殺意と悪意がたっぷりと乗った二枚の刃は、浩介達を通り過ぎると何事もなかったように再び壁の中へと消えていった。第二陣を警戒してしばらく注意深く浩介。しかし、どうやら今ので終わりらしい。ホッと息を吐こうとしたが、浩介は猛烈な殺意を感じ取った。

 

「えっ、ちょっ? 浩ち───?!」

 

本能に命ずるがまま飛び出し、奈々を抱き抱えたまま困惑する奈々を回収して勢いのままに身を前方に投げ出す。直後、今まで浩介達がいた場所に、頭上からギロチンの如く無数の刃が射出され、バターの如く床にスっと食い込んでおり、先程の刃と同じように高速振動されていると分かる。浩介は、ダラリと冷や汗を流し尻餅を尽きながら、足先数センチ先にある床に食い込む刃を見詰める。奈々も顔面を蒼白させながら硬直していた。

 

「な、なんとか怪我がなくて済んだな……」

 

「ゴメン。浩ちん、流石にこれは助かったよ」

 

「構わねぇよ。それより菅原は平気だったか?」

 

「…………え?ちょっ……まっ、どういう状況? なんで私、浩介に抱き締められてるの?

 

「菅原?」

 

奈々と妙子の心配をする浩介。奈々の返事は聞こえたが抱き締めていた妙子からはブツブツとしか聞こえず、浩介は不思議に思って妙子の顔を見ようとするが……

 

「っ?!───いつまで抱き締めてんの!!」

 

「ぐほぉぉっ?!」

 

殴られた。いつの間にか幼児退行から正気に戻っていた妙子だったが、神の悪戯(イタズラ)なのか幼児退行していた時の記憶も残っており、そして今の自分の置かれた状況に顔をボンッと真っ赤に染める。そして、目の前に見えたのは浩介の顔。

 

それが、引き金となり妙子は恥ずかしさの余り浩介を殴り飛ばされ、そのまま転がり壁へと激突した。奈々は突然の光景にポカンと口を開け、妙子はハッと自分のしでかした事に気付き浩介の方へと駆け寄りながら謝罪する。

 

「浩介……ゴメン」

 

「俺………なんかやったけ?」

 

そんな、震えるような声音で呟く浩介の姿は、なんとも言えない哀愁感を漂わせていた……。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そんな事がありながら、妙子も無事復活(精神回復)し、通路を進んで行く浩介達は通路の奥の空間に出た。その部屋には三つの奥へと進む道がある。取り敢えスプレーだけしておき、三人は階下へと続く階段がある一番左の通路を選んだ。

 

「ねぇ……なんだか物凄い嫌な予感がするんだけど」

 

「俺も同感だ」

 

階段の中段まで進んだ頃、突然、妙子がそんなことを言い出し、それに浩介が賛同する。

 

「二人共〜。それはフラグが立つだけだけだからやめた方が『ガコン』……ほらっ、二人が変なこと言うから!」

 

「「責任転嫁すんな!!」」

 

奈々が話している最中に、嫌な音が響いたかと思うと、いきなり階段の段差が消えた。かなり傾斜のキツイ下り階段だったのだが、その階段の段差が引っ込みスロープとなった。しかもご丁寧に地面の小さな無数の穴からタールのような色のよく滑る液体が溢れ出してきた。

 

「マジっ?!」

 

段差が引っ込んで、転倒仕掛けた浩介は咄嗟に小太刀で勢いよくブロックに突き刺してスパイク代わりにして堪える。妙子も奈々の咄嗟に浩介に飛びついたので二人も滑り落ちることはなかった。浩介が踏ん張ることを見越していたのだろう。流石、阿吽の呼吸である。

 

しかし、たったの小太刀一本で三人をこのまま維持すること物凄い出来ない。それに、浩介の腕の限界もある。

 

「…………うん。無理」

 

「ちょっ、簡単に諦めないで?!」

 

浩介の諦めの言葉と妙子の叫びが迷宮内に響くと同時に、小太刀がすっぽりと抜け、三人は滑り落ちていく。二人の絶叫が響く中、黙っていた奈々が落ちていたその時、両手を翳して声高らかに叫んだ。

 

「うぅ、この状況なら仕方ない! ここに絶氷あり 我等を守れ───〝氷壁〟!!」

 

その瞬間、三人の目の前に氷の壁が現れる。そのおかげで三人は下へと滑り落ちずに済んだ。叫んでいた二人は安堵して奈々の方へと視線を転じる。

 

「宮崎、マジ助かった」

 

「奈々。助かったよ」

 

「ハァハァ………ん、凄いでしょう! 私を褒め讃えよ!」

 

無理して、魔法を発動したので息が荒い奈々だが、二人の言葉に反応してドヤ顔でグッとポーズして返答する。

 

「いやぁ、ホントに色々とやらかすだけだと思ってたが見直したぜ。宮崎」

 

「ホントにね」

 

「あれ? 褒めてるよね……ねぇ二人共?」

 

しかし、返ってきた二人の言葉に、予想と違った奈々は引き攣った笑みを見せるのだった。そして、少し氷壁の上で一息を吐くと下から物音が聞こえ、三人は何気なく下を見て盛大に後悔した。

 

カサカサカサ、ワシャワシャワシャ、キィキィキィ、カサカサカサカサ

 

そんな音を立てながらおびただしい数のサソリが蠢いていたのだ。体長はどれも十センチ程だろう。もし、奈々の氷壁がなければ、三人はサソリの海に飛び込んでいたかと思うと、全身に鳥肌が立つ思いである。

 

「「「…………」」」

 

思わず黙り込んでしまう三人。下を見たくなくて、天井に視線を転じる。すると、なにやら発光する文字があることに気付いた。既に察してはいるが、つい読んでしまう三人。

 

〝彼等に致死性の毒はありません。でも麻痺はするから存分にミレディさんの可愛いこの子達との添い寝を堪能してください。プギャー!!〟

 

わざわざ煽る目的の為に作られただろう薄暗い空間でやたらと目立つ文字。ここに落ちた者はきっと、サソリに全身を這い回れながら、麻痺する体を必死に動かして、藁にも縋る思いで天に手を伸ばすのだろう。そして、発見するのだ。このふざけた言葉を。

 

「「「………」」」

 

また違う意味で黙り込む三人。「相手にするな、相手にするな」と自分に言い聞かせ、なんとか気を取り直すと周囲を観察する。

 

「あっ、タエ、浩ちん! あそこ!」

 

「ん?」

 

「何かあったの?」

 

すると、奈々が何かに気付いたように上のある場所を指差した。そこにはぽっかりと穴が空いていた。

 

「あ、横穴じゃん。行ってみるか?」

 

「そうね……うん。あれぐらいなら私の鞭で行けるわ」

 

「じゃ、レッツゴォ〜」

 

三人は話し合って、横穴に入ることを決めると妙子が鞭の先端にハジメから貰った金属のアンカーを取り付けて鉤縄のようにすると、横穴の近くへと投げ入れると流石は操鞭師、一発で成功する。妙子はそのまま鞭を浩介に渡すと奈々と共に浩介に抱き着いた。そして、浩介はターザンの要領で移動して横穴へと無事に辿り着いた。

 

横穴の奥は明かりが照らされおりずっと続いている。特に枝分かれした通路もあるわけでもなく、ただ見える範囲でひたすら真っ直ぐであり、今までのミレディの意地の悪さからして捻りの無さが逆に怪しい。

 

警戒しつつも、道なりに先へと進む三人。数百メートルは進んだが代わり映えのしない規則正しい石造りの通路は、微妙に距離感を狂わせる。同じ場所をずっと歩き続けているような錯覚に陥りそうになる。

 

なんとなく気分が悪くなってきた浩介達だったが、まるで、そんな心情を見越したように変化が現れた。前方に大部屋が見えたのだ。浩介と妙子は何かありそうだと怪しむが、ただ一人の戦犯(奈々)が笑みを浮かべて走り出した。

 

「わぁ〜、 やっと部屋だよぉ〜!」

 

「ちょっと!奈々、ストップ!止まって!」

 

「おい、宮崎ぃ!止まっ───『ガコンッ』──」

 

二人の言葉を無視するかのように部屋へと駆ける奈々。そして、浩介の言葉より奈々が早く部屋に踏み込んだ直後、ガコンッとお馴染みの音色が響かせ浩介の制止の言葉を掻き消した。

 

「あー…………メンゴ☆」

 

ブチッ、二人の額に青筋が浮き立つ。一方、顔から物凄い量の冷や汗を流しながら奈々は浩介達の方へと向き直ると両手を合わせて舌をチロっと出して謝るが……

 

「「……それで、許されるかぁ!!」」

 

「ゴメンなさーーーい!!」

 

ライセン大迷宮に男女二人の怒号と一人の謝罪の声が響き渡ったのだった……。

 

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