ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

136 / 188
深淵六話 迷宮のボスゴーレム少女? その名はミレディちゃん

 

色々とあった(主に浩介が原因)が仲直りした三人の耳に、ガシャンガシャンと金属音が聞こえた。浩介が倒してきたゴーレム騎士達の再生が終わり此方へと向かっているのだろう。

 

「チッ、もう再生してきたか……」

 

「ねぇ浩介。思ったけどここの通路辺りから動きもだけど……」

 

「ハジメ達が言っていた神代魔法〝重力魔法〟を躊躇い無しで使ってくるってことか?」

 

「うん」

 

そう。奈々の疑問と浩介の言う通りで、今までのゴーレム騎士達は重力魔法を使われていたとしても、それは操作のみであり、この奥へと続く通路へと入った途端、操作だけに使われてた重力魔法が攻撃の際に使われているのだ。

 

すると、奈々が二人にある提案をする。

 

「どうする? また、私が〝氷壁〟を張ろっか?」

 

「いや、駄目だ。この通路の奥に、ミレディ・ライセンがいる可能性が十分にあるこの状況に奈々の氷魔法は流石に使わせたくない」

 

「ええ、私も同感」

 

「じゃあ、どうするの?」

 

奈々の提案は、ゴーレム騎士達を動きを封じるのには一番良い案だが、それだと奈々の負担が大きいため二人は首を縦に振らなかった。そして、代わりに浩介が前に出た。

 

「俺が彼奴等の相手をする。二人は先に奥に行け」

 

「……浩介」

 

「大丈夫だ、程良く相手したら戻るって……じゃっ」

 

「えっ、浩ちん!武器は?!」

 

浩介はそう言うとゴーレム騎士達の方へと駆け出す。しかし、手には小太刀やクナイなどを持っておらず出そうともしない。そんな浩介を見て、妙子と奈々は浩介が何をしようとしているのか分からず眉を顰めた。そんな二人の心配を何処知らず浩介は走るスピードを緩めずにゴーレム騎士達へと接近していく。

 

「んじゃ、やるか!〝黒弦(こくげん)〟!」

 

浩介はそう言うと両手を自分の影に触れると、影から無数の糸が触れた両手の指に巻き付いた。そして、一番近くにいたゴーレム騎士が振り下ろした大剣を避けるとそのまま風を切るようにゴーレム騎士達を抜き去っていく。

 

そして、

 

殺取(あやとり)〝クサリ蜘蛛〟」

 

そう言って、〝黒弦〟をあやとりをするように手を動かした瞬間、ゴーレム騎士達は浩介が走り抜けた際に蜘蛛の巣のように張り巡らせられた〝黒弦〟に拘束されていき、身動きが取れない状態になった。そして、浩介は指に巻き付けている〝黒弦〟を巻き付けた指でギターの弦を弾くようにピンッと弾いた。

 

「〝(だん)〟」

 

浩介によって振動した〝黒弦〟は拘束されているゴーレム騎士達にも伝わっていく。そして、巻き付けられたゴーレム騎士達の胴体や四肢が音も無く綺麗に切断された。切断されたゴーレム騎士達は、〝黒弦〟の拘束が外れガシャァンと金属が勢いよく叩きつけられた音を立てながらバラバラとなったゴーレム騎士達は床に落ち散らばっていく。

 

「っし……決まった」

 

フッと笑みを浮かべてガッツポーズを取る浩介。そして、ゴーレム騎士達を切断した〝黒弦〟は指で引っ張っることで浩介の影へと戻っていった。

 

そんな光景を見ていた妙子と奈々の二人はポカンと口を開けて驚きを隠せないでいた。

 

「何あれ………」

 

「……浩ちんがまた進化しちゃった」

 

二人の目には、浩介が何も武器を持たずに走り出したと思えば影から黒い糸を取り出してからまた走り出すと、次の瞬間にはゴーレム騎士達を拘束してそのまま胴体などを切断されバラバラになっていたのだ。そんな光景を目の当たりにすれば驚くしかないだろう。

 

「おーい、彼奴等が再生する前に早く行こうぜ」

 

妙子と奈々が呆然としている内に二人の元へ浩介が戻って来ており、二人に奥へと向かおうと声を掛ける。

 

「………はっ!ねぇ、浩介。今さっきの何?」

 

「そうだよ。影から黒い糸を出したかと思えば、一瞬でズサァッて騎士をバラバラにしたしっ」

 

「あー……アレさ、俺の新しく得た技能と派生技能のお蔭なんだよ」

 

二人は浩介が戻ってきたことに気が付くとすぐに詰め寄って聞くと浩介はすんなりと返した。

 

「……新しい」

 

「……技能」

 

浩介の返ってきた言葉に、驚きと「アレ、技能と派生技能ってそんなに簡単に得られるっけ」と二人の頭の中に?が浮き出る。そんなのを気にせず浩介は新しく得た派生技能の説明を始めた。

 

「俺が新しく得たのは〝影潜り〟の派生技能で〝黒弦(こくげん)〟って言う二人が言っていた黒い糸な。そして、〝黒弦〟と合わせる為に新しく〝操糸術(そうしじゅつ)〟っていう技能も手に入れたんだ」

 

 

───〝影潜り〟の派生技能〝黒弦(こくげん)

 

浩介の影は、影潜りの技能のせいか影への干渉。魔力で影に触れるという普通の人の影より特殊な性質へと変化した。その影に触れるという性質を利用して新たな武器へと生成させ黒い糸〝黒弦(こくげん)〟へとなった。そして、〝黒弦〟は魔力を注ぐが糸が切れることなく影に戻ったら魔力消費はゼロとなる。

黒弦(こくげん)〟は、浩介の注ぐ魔力によって硬度は変動し、ゴーレム騎士相手の時はギリギリ金属を破壊出来る程度の硬度にまで魔力を注いでいた。そして、その硬度はザンチウム鉱石と同等の硬度にまで匹敵する。

 

 

───〝操糸術(そうしじゅつ)

 

名の通り糸の扱いが上手になる。糸を自分の思うようにままに動かせる。

 

 

「───って感じだな」

 

「うん。ヤバイ」

 

「浩ちん。ホントに人間?」

 

「感想が酷い?!」

 

浩介の説明が終え、それを聞いた二人は目の前の彼は自分達と同じ人間か怪しくなり訝しんだ眼差しで見つめる。浩介は二人の視線と感想に心にダメージが入る。

 

「それに、〝暗殺者〟なのに異常にステータスが高──って浩介! 〝深淵卿〟がバグってるじゃない?!」

 

「ホントだ!文字化けしてる!」

 

二人は浩介のステータスプレートを見てると〝深淵卿〟の部分が文字化けしていることに気付いた。浩介も二人の指摘に首を縦に動かす。

 

「ああ、俺もこの技能が得て確認する時に気付いたんだよ。俺が〝深淵卿〟が使えない理由はこれかもな」

 

「じゃあ、どうするのよ?」

 

「そうだよ。もしかしたら次で最後の部屋かもしれないのに……」

 

「そうだけどさっ………安心しろ」

 

浩介の以外な返答に二人は目を見開くも、浩介はそのまま言葉を続ける。

 

「〝深淵卿〟は強いさ。でも、それだけであって俺は遠藤浩介という人間(キャラ)を知ろうとしなかった。いや、〝深淵卿〟という強大な仮面(ペルソナ)を被って逸らしていたんだよ」

 

「「…………」」

 

「俺は自分の力も知れず、〝深淵卿〟すらも知らずにいた。だから俺は弱かった。こんな自分で、ハジメの隣に立とうなんて浅はか過ぎたんだよ。だから、俺はここからやり直すと決めたんだ。自分という人間を知ってそこから強くなっていこうってな」

 

「浩介」

 

「浩ちん」

 

浩介の話が終わって二人を見ると、二人は自分を嬉しそうに微笑みながら見ているのと自分の今さっきの発言を思い出してしまい羞恥心が上昇してしまいすぐに二人とは逆の方向に体ごと振り向き、恥ずかしさを紛らわすために大きな声音で二人に声を掛けた。

 

「まあ、そういうことだからっ。行こうぜ!!」

 

そう言って、奥の通路へと向かう浩介を見て妙子と奈々は顔を見合わせると笑みを零して、

 

「待って浩介」

 

「待ってよ。浩ちん〜」

 

二人は先行く彼の後を追うのだった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

通路を歩き続けてから十分ほど経ったぐらいであろう。

 

そして浩介達三人は今……

 

「「「ウオォォォォォ!!」」」

 

三人は自分達を逃がさまいと追ってくるゴーレム騎士達から雄叫びなような声を上げて全力疾走していた。

 

それは、一、二分ほど前。最初はゴーレム騎士達が再生しても大丈夫であろう距離で歩いていた三人だったが、後方からガシャンガシャンと物凄い速さで近付く金属音が聞こえ、三人はくるりと後ろを向いた。

 

『『『へ?』』』

 

目に映ったのは、物凄い速さで此方へと向かうゴーレム騎士達の姿だった。三人は素っ頓狂な声を出してお互いに顔を見合わせそして………

 

『走れぇ!!』

 

『しつこい!』

 

『もう嫌ぁ!』

 

浩介の叫びと同時に三人はそして、ゴーレム騎士達へ悪態を吐いて走り出すのだった。

 

そして、現在に至る。

 

「あっ、二人共!」

 

三人は、投げ付けられる大剣や盾を鞭や小太刀で対処しながら、駆け抜けること三分。奈々の声に反応してゴーレム騎士達の投擲物の対処を行っていた浩介と妙子が奈々の方へと視線を動かす。

 

「どうした奈々………あ」

 

「どうしたの奈………あ」

 

そこには、奈々が走りながら前方を指差しており、視線を動かした二人も奈々が指差す方向へと目を移すと歓喜と驚愕が入り混じり二人は大きく目を見開いた。

 

二人は驚く理由。それは、視線の先には、三人が願っていた通路の終わりが見えたのだ。だが、通路の先は巨大な空間が広がっているようだ。道自体は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が見えた。

 

「二人共、俺の合図と同時に飛べ!」

 

「分かった!」

 

「了解!」

 

浩介の掛け声に頷いて声を上げる妙子と奈々。背後からは依然、ゴーレム騎士達が追い掛けている。浩介は〝宝物庫〟から〝紅爆(せきばく)〟を一つ取り出し魔力を注ぎだす。そして、ゴーレム騎士達に目掛けて投げ一体のゴーレム騎士に直撃する。その衝撃で紅雷が迸り爆発が起ここる。爆発で発生した爆風により近くにいたゴーレム騎士達を吹き飛ばされていく。

 

「今だ!」

 

と同時に浩介の合図の掛け声と共に三人は通路端から勢いよく飛び出した。三人はトータスに召喚されて肉体が強化されアスリートを凌ぐほどの跳躍力で正方形に飛び移ろうとした。

 

「「「はぁ?!」」」

 

が、思ったとおりいかないのがこの大迷宮の特徴。なんと、放物線を描いて跳んだ浩介達の目の前で、着地予定地の正方形のブロックがスィーと移動し始めたのだ。三人は驚愕して声を上げる。

 

「クソッ、〝黒───っ!」

 

この迷宮に来てから何度目かの叫びを上げる浩介。〝黒弦〟を使おうとしても、ここは空中。影なんて何処にもなく発動ができなく焦ってしまう直後、妙子の声が響いた。

 

「二人共、捕まって!」

 

魔力で鞭の先端な風の刃を形成してから未だに離れていこうとする正方形のブロックに突き刺さして固定し、ぶら下がった妙子に奈々がしがみつき、浩介は鞭に捕まり体勢を整えると先に正方形の上へと登り、鞭を引っ張り二人を引き上げた。

 

「ふぅ……助かったぜ妙子」

 

「流石、タエ!」

 

「二人共、無事で良かったわ」

 

墜落せずに済んだことに思わず笑みを浮かべて浩介と奈々は賞賛する。妙子も一連の咄嗟の動きで少々疲れ気味だが、二人が無事だったことに安堵した。

 

だが、そんな和やかな雰囲気は空飛ぶゴーレム騎士達によって遮られた。そう、ゴーレム騎士達が空を飛んでいるのである。おそらく重力魔法で重力を制御して落下方向を決めているのだろう。凄まじい勢いで未だぶら下がったままの浩介達に急速接近する。

 

「っ?! 嘘だろ!」

 

浩介は、未だに迫りくるゴーレム騎士達に驚愕しながらも、地面に立っているので影があるので〝黒弦〟を取り出して操糸術で更に巧みに〝黒弦〟を扱い螺旋状に飛ばしていく。

 

「殺取〝螺旋刃(らせんじん)〟!!」

 

螺旋状に飛ばされた〝黒弦〟は大気を巻き込み竜巻を起こし、迫りくるゴーレム騎士達を竜巻によって発生した刃で切り刻んでいきゴーレム騎士達を撃墜させていく。

 

「おおー!浩ちん、流石〜」

 

「いや、何体か避けやがった。ここの空間に入ってから動きが巧みになってきてる。もしかしたらハジメ達が言っていた最後の試練の部屋かもな」

 

「私も同感。だって、全部浮いてるしね(・・・・・・)

 

妙子の言う通り、浩介達の周囲の全ては浮遊していた。

 

三人が入ったこの場所は超巨大な球状の空間であった。直径は二キロメートル以上ありそうな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動しているのだ。完全に重力を無視した空間である。だが、不思議な事に浩介達はしっかりと重力を感じている。おそらくハジメが言っていたミレディ・ライセンがいる部屋で間違いないだろうと浩介は確信する。

 

そんな特定の物質だけを重力の制限を無くしているこの空間をゴーレム騎士達が縦横無尽に飛び回っていた。やはり、落下方向を調整しているのか、方向転換が急激である。

 

「さて、肝心のミレディ・ライセンは何処だ?」

 

浩介の言葉に妙子と奈々も同意するように首を縦に動かす。ゴーレム騎士達は何故か、浩介達の周りを旋回するだけで襲っては来ない。取り敢えずミレディ・ライセンが何処にいるか辺りを見渡す三人。

 

と、次の瞬間、浩介に凄まじい程の悪寒が走り、焦燥に満ちた声を張り上げた。

 

「っ、逃げるぞ!!」

 

「「?!」」

 

浩介の警告に妙子と奈々は問い返すことなく、瞬時に反応し、弾かれたように飛び退いた。運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。

 

直後、ズゥガガガン!!と凄まじい轟音と共に、隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今さっき三人がいたブロックに直撃し、木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大ななにかが落下してきて、ブロックを破壊した勢いをそのままに通り過ぎていったのだ。

 

浩介の頬に冷や汗が流れる。自分達がずっとあの場所にいたら確実に直撃を受けて、そのまま塵と化していただろう。

 

「浩介助かったわ」

 

「……危なかったね」

 

「ああ、俺も自分の悪寒に感謝だな」

 

三人は隕石モドキを回避したことに安堵するが、改めてこの迷宮の恐ろしさに戦慄しながら、浩介は通過していった隕石モドキの方を見やった。ブロックの縁から下を覗く。と、下の方でなにかが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間に浩介達の頭上に出ると、その場に溜まりギンッと光る眼光をもって三人を睥睨した。

 

「やっと、お出ましか」

 

「予想よりも大きいね」

 

「うわぁ、ラスボスって感じ」

 

三者三様の感想を呟く浩介達。

 

そんな三人の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長は二十メートルくらいある。右手はヒートナックルの如く赤熱化しており、先ほどのブロックを爆砕した原因であるかもしれない。左手には鎖がジャラジャラと巻きついて、フレール型のモーニングスターを装備している。

 

ハジメが言っていたのと全く容姿が同じな為に三人は、目の前にいるゴーレム騎士がミレディ・ライセンだと確信しながら身構える。すると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、浩介達の周囲を囲むように並びだした。整列したゴーレム騎士達は胸の前で大剣を立てて構える。まるで王を前にして敬礼しているようだ。

 

すっかり包囲された三人は緊張感が高まる。辺りが静寂に満ちた状況。そして、その静寂を破ったのは……

 

「わぁ〜、フーちゃんが帰って一週間ちょっとしか経ってないのに、もう次の挑戦者が来るとはねぇ〜。もしかして、またミレディちゃんモテ期襲来?!」

 

そんな、緊迫した雰囲気を破壊するほどの軽い巨大ゴーレムの一声だった。

 

「「「………」」」

 

浩介達はゴーレム騎士から似合わない声が聞こえ沈黙していると巨大ゴーレムが言葉を続ける。

 

「あっ、ごめんねぇ〜。挨拶忘れてたよぉ。みんな大好きウルトラ美少女ミレディ・ライセンちゃんだよぉ〜」

 

続けてめちゃくちゃ軽いふざけた挨拶をする巨大ゴーレム。更に沈黙してしまう三人に巨大ゴーレムは不機嫌そうにしているので浩介は咄嗟に挨拶をする。

 

「あっ、すまん。挨拶が遅れた。俺の名前は遠藤浩介。で両隣にいるのは俺の幼なじみの菅原妙子と宮崎奈々だ」

 

「ほぅ、名前がこっちの世界の名前じゃないねぇ……もしかしてハジメンの同郷の人〜?」

 

浩介の挨拶に、反応を見せるミレディ。そして、ミレディの質問の言葉の中から〝ハジメン〟という言葉に、もしかしてと思った浩介は声を上げる。

 

「ハジメンって言う奴がハジメなら同郷で、親友なんだ」

 

「おっ、ハジメンと親友か〜。じゃ、この迷宮もハジメンに教えて貰った感じかな?」

 

「ああ、その通りだ。俺達は貴女の神代魔法を求めてここに来たんだ」

 

浩介の言葉を聞いて、ウンウンと頷くような動きをするミレディは、更に質問を投げ掛けた。

 

「聞くけど、君達は私の迷宮以外に攻略した迷宮はあるのかなぁ〜?」

 

「いや、俺達は神代魔法は一つも持ってない。ここが初めて挑戦する迷宮なんだ」

 

「嘘?! 誰も神代魔法持ち無しでここまで来たの?!」

 

ミレディの驚愕が含まれた言葉に頷く浩介達。そんな中、ミレディは「はえ〜、そんな子達がいるんだなぁ」と驚きと共に感心していた。

 

そんな感じでウンウンと頷いていたミレディだったが、少し浩介達を見下ろす。その甲冑から光る眼光から放たれる圧に浩介達は息を呑む。

 

「うん。君達のことは大体わかったし、ハジメンから聞いたとすれば私の神代魔法も知ってるだろうしね。一つ聞いていいかな?」

 

「ああ」

 

「君達は何を望む。神代魔法で何を求める?」

 

嘘偽りは許さないという意思が込められた声音で問い掛けるミレディ。それは何百、何千年もの迷宮で挑戦者を待ち続けたミレディであるから伝わるその言葉の重み。

 

───最初の挑戦者達は元の世界の帰還と自分達の意思を引き継いでくれた神殺しのため。

 

───次の挑戦者は前の彼等と同じように神殺し。そして、人族と亜人族と魔人族が手を取り合っていける自由の世界を実現するため。

 

そんな壮大きすぎる、自分達が成し遂げれなかった大願を彼等は口にして、その覚悟を証明してくれた。だから安心して自分の神代魔法を託した。

 

だから、ミレディは問う。今の目の前にいる者達に何を望み、求めるかを。

 

「………」

 

ミレディの言葉の重みとその眼差しに息を呑む浩介達。しかし、ここで怯んでは駄目だ。と、浩介は視線をミレディを真っ直ぐに見据え嘘偽りのない言葉を返した。

 

「俺は……ハジメのように強くない。この迷宮でも自分の弱さをよく理解出来た。だから、神殺しなんて大層なことを俺がやれるなんて自信はない。でもっ、俺は親友としてハジメだけを戦わせたくねぇ!隣に立って親友を支えたいんだ!」

 

「私もっ、ハジメと優花だけを戦わせたくない!いつだって無理をするあの超が付くほどのお人好しの二人を支えたい!」

 

「わ、私も! ハジメっちやユウカだって頑張ってるのに自分だけが何も出来ないなんて嫌だ! 」

 

浩介の言葉に妙子、奈々の言葉が続く。

 

親友(アイツ)に隣立つ為に俺は───」

 

「大好きな幼なじみ達を支える為に私は───」

 

「何も出来ない自分を変えるために私は───」

 

 

「「「貴女の力が欲しい!!」」」

 

三人の覚悟を感じさせる言葉が部屋全体に響き渡ると思えるほどの声音だ。

 

「…………」

 

ミレディはしばらく、ジッと浩介を見つめた後、その視線を妙子、奈々と巡らしていき、納得したように小さく頷いた。そして、ただ一言「そっか」と小さく呟いた。

 

と、次の瞬間には、真剣な雰囲気が幻のように霧散し、軽薄な雰囲気に戻る。

 

「ん〜、そっかそっか。君達の覚悟はわかったよ。だから次は証明だ!このミレディさんに君達の覚悟を証明させて?」

 

ミレディはそう言って「ふふ〜」と微笑んでるかのような笑い声を上げると浩介達に巨大な右手を突き出すと指先をクイックイッと曲げる。「かかってこい」ということらしい。

 

浩介達はミレディの宣戦布告を受け取り、浩介は小太刀を、妙子は(トルネーグ)を、奈々は〝宝物庫〟から取り出した幾つかの水瓶をすぐに手に取れるように腰に装備品する。

 

そして………

 

「じゃあ、行くぞ!ミレディ・ライセン!!」

 

「かかって、こい〜」

 

浩介は声を張り上げながらミレディに目掛けて走り出し、ミレディも軽くそれに答える。

 

こうして、浩介達三人のライセン大迷宮最後の試練の幕が開けたのだった……。




浩介の新技

・殺取〝クサリ蜘蛛〟

浩介の新派生技能〝黒弦〟を蜘蛛の巣のように張り巡らせながら、相手を拘束する。

・〝断〟

〝クサリ蜘蛛〟で拘束した相手を、指で弾いて〝黒弦〟を振動させ、新技能〝操糸術〟で更にその振動を〝黒弦〟全体へと伝え振動を高速させる。そして、〝黒弦〟は糸ノコギリのようになり、相手を切断させる。

・殺取〝螺旋刃〟

〝黒弦〟を螺旋状に張り巡らせ、〝操糸術〟を使って大気を利用して竜巻を起こさせ、竜巻によって加速され刃となった〝黒弦〟で相手を切り刻む。

七章の後にステータス紹介したほうがいい?

  • したほうがいい
  • しなくていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。