ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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これで、六.五章 深淵卿編完結ですm(_ _)m

編集しました四月二十二日

少しストーリーを改変させました。


深淵八話 決意そして……

 

其処は一言で言えば、黒一色の世界。

 

辺りが全てが真っ黒であり、例えるなら星の無い夜空。そんな、真っ暗な空間がずっと先が見えない奥の向こうまで広がっていた。そんな空間に、一つの明かりが現れた。それは上に浮かぶ満月から放たれる月光のみだった。

 

そして、月光が差し込む先には、黒く染められた椅子に座るのは、黒ローブを身に纏った人物。ガタイと長身であるからにして性別は男だろう。顔は縦半分に白黒に分かれた道化師の仮面を着けており、顔はよく見えない。

 

《良い道化譚(嘘吐きの物語)を見せて貰った》

 

そう楽しそうに呟いた男は、椅子の背もたれにもたれる。そして、彼の視線の先には霧のようなモヤが広がっており、モヤはまるでディスプレイのようにある映像を映し出した。それは、戦いに敗れ、胸の装甲が破壊された巨大な騎士ゴーレム、ミレディだ。

 

《序章にしては僥倖。過去の英傑(ミレディ・ライセン)を信頼する仲間と共に打倒し、新たな力も開花させた》

 

言葉を続けたまま男の視線は、映し出される映像からは目を離さない。

 

《虚飾という名の大罪を背負い、その代償に立ちはだかるは、英雄の器を持つ者しか越えられない試練の壁。それを、ただの演者(モブ)である君はどう越えていくのか……》

 

男は思い出す。自分の創り出した大罪を受け継いでいった者達の待ち受ける数々の悲惨な末路を……

 

───正義を掲げた道化は、自分の実力を理解しながらも、無謀と分かっていながらも立ち向かい、その命を散らしていった。

 

───戦いに明け暮れた道化は、色んな者達から期待されながらも、勇気より恐怖が勝ってしまい大事な戦いから逃げてしまいその道化を信頼してきた者達によって無残に殺された。

 

───平和を願った道化は、終末へと突き進む未来を案じ、自ら悪を演じることで、戦士達を育て上げ、平和に満ちる世界を願いながら戦い殺されて終わりを告げた。

 

───英雄を目指し、至った道化(アルゴノゥト)は、多くの人に騙されながらも人々を救い、英雄という名の数々の試練を越えていった。その内容は喜劇と称されながらも愚者と呼ばれながらも英雄。その世界での〝始まりの英雄〟へと成った。

 

そんな数々の役を演じて物語を創り出し、結末が悲惨であったり、残酷であったり、喜劇だったりと様々な終わりを見せた道化達。どれも、結末が違うあれも彼等は、好かれ、嫌われ、喜ばれ、恨まれるも己の道を貫き進んでいった。

 

《楽しみだよ、遠藤浩介。君はどんな道を歩み、どんな物語を見せてくれるのか──》

 

男は語りながら、自分の手をギュッと強く握り締める。

 

《そして、私が終わらせることが出来なかった。神殺しの物語を終わらせてくれ》

 

それは、彼の願いなのかは分からない。ただ、後悔しているのだけはよくわかるのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「──う」

 

浩介は、体全体が何か柔らかな物に包まれている感じた。随分と久しぶりの感触だ。頭と背中を優しく受け止めるクッションと、体を包む羽毛の柔らかさを感じ、浩介のまどろむ意識は混乱する。

 

「これ、ベッドか?」

 

何故ベッドに?と疑問に感じながら浩介は体を起こす。起きる際に、物凄く倦怠感を感じて浩介は、寝ても治らないほどの無理をしたんだと自覚する。しかし、状況が理解出来ずにいるので浩介は自分がいる部屋の中を見渡すと、まず思ったのは壁などが迷宮のと同じなので、今は迷宮内にいるということ。次に思ったのは、シンプルで殺風景だったこと。そして、浩介は部屋の中で一番に目に入った物を見て驚愕のあまり苦笑い気味で声を漏らした。

 

「これは、また凄ぇ数だな」

 

それは、書棚だった。それも壁そのものをくり抜いて作られた天井までの書棚に、ぎっしりと古めかしい書物が収まっている。朽ちた様子もないのは、魔法を使って保護しているからだろう。

 

そして、今さっきまで自分が寝ていたベッドは簡素なもので、布団や毛布ほどだ。

 

まだ調べる余地があると思い浩介は、ベッドから抜け出して立ち上がるが、足がおぼつかなくてよろけてしまう。

 

「おっ、とっと……ふぅ」

 

なんとか書棚を手を掛けて転ぶのを回避して安堵する浩介は、書棚に目を向けると興味深い物が目に入った。

 

「写真?」

 

それは、写真立てで綺麗に保存されている一枚の写真だった。見ると八人(・・)が集まった集合写真だろうと思った。真ん中で、黒髪の眼鏡の青年が、金髪に蒼穹の瞳を持った少女に腕を引かれて慌てている。その二人を包み込むように、無表情の大柄な男性、不敵な笑みを浮かべる海人族の女性、呆れた表情の魔人族の青年、厳めしい顔付きの禿頭の男性、妖艶な雰囲気の森人族の女性が映っていた。

 

「なんだこの写真……ってか、この世界にカメラなんてあったか?」

 

何故、この世界に写真があるのかと写真を持って浩介は眺めながら熟考していると同時に最後の写真に映る人物を見たとき浩介の目に入る。

 

「は?」

 

其の人物は他の七人とは違って笑いもせずに無表情の女性。しかし、女神のような美しさを感じさせ、白金の長髪がそんな彼女をより際立たせているが、それよりも浩介はそれ以上に其の女性の顔に驚愕する。

 

「な、なんで………神の使徒が?!」

 

驚愕してる内に後ろの壁からガコンッと音が響くと、突然、壁が動き出すと声が聞こえて嫌な気配がした浩介は後ろへ振り向く。

 

「おっ、起きたみたいだね。良かった安心したよ〜」

 

「!………へ?」

 

その声の主はミレディである。咄嗟に身構える浩介はミレディの姿を見て困惑する声を上げる。

 

浩介の目に映ったのは、ちっこいゴーレムのミレディだったのだから。

 

「ん、どうしたの?……って、そっか〜。この姿だもんね驚くのも当然か〜」

 

浩介の表情を見て、ハッとして、「ごめんね〜」と軽く謝る両手を合わせるミレディ。その姿は、巨大版と異なって人間らしいデザインで、華奢なボディで乳白色の長いローブに身を纏い、白い仮面を着けている。ミレディ曰く、巨大な騎士ゴーレムよりかは、動き易いだという。

 

そして、此処はミレディの住処らしく、向こうには神代魔法の魔法陣も刻まれているらしい。

 

「なら、俺達は攻略できたってことか?」

 

「うん、そうだよ〜。おめでとう!よく、神代魔法無しでこの迷宮を攻略したよ。ミレディさん感激!」

 

ミレディの激励に、少し恥ずかしいがそれよりも嬉しさが勝り頬を掻く浩介。すると、ミレディが来たところから二つのこちらへと走って向かっている足音が聞こえてきた。

 

その音を聞いて、ミレディが「あー、心配してたからね〜」と呟いているのを聞いて、浩介も誰と誰がこちらに向かっているのかを察した。

 

そして、二つの足音がすぐ近くにまで聞こえた時、

 

「浩介ぇ!!」

 

「浩ちぃん!!」

 

「ちょっ、二ぁ──わわわわ?!」

 

やはり、足音の正体は妙子と奈々だった。二人は浩介が起きたのが分かると、すぐさま駆けつけて浩介へと飛びついた。その時に、ミレディが二人に声を掛けるが、浩介のことで頭がいっぱいの二人の耳には入っておらず、虚しい叫び声を上げながら巻き込まれていた。

 

浩介も飛びつかれた勢いで後ろのベッドへと倒れ込んでしまった。二人は浩介に顔を埋めながら、ぐすっとと鼻を鳴らしており、余程心配していんだろう。浩介は苦笑いすると、手に持っていた写真をベッドの上に置いて、二人の頭を撫でた。

 

「すまん、二人共。迷惑かけちまったな」

 

「そうよ!この迷惑厨二!」

 

「うぇぇぇん!! よがぁぁったよォ!」

 

抱き着かれながら聞き捨てならない罵倒など色々と言われるが、心配掛けてしまったのも事実なので、二人の気が済むまで待とうかと思っていたのだが、ふと、ある場所に視線を向けると、二人に踏まれているミレディを見てしまい「あ、ヤべ……」と思った浩介は、すぐさま二人に声を掛けた。

 

「あのー、お二人さんや……」

 

「グスッ、なに?」

 

「ふぇ?」

 

「下見ろ」

 

「「下?………あ」」

 

二人は浩介の言葉と下の方に指差すジェスチャーを見て、下に視線を向けると、やっと二人もミレディに気付いたらしく、すぐに足をどけたのだが、ミレディは「アハハ……ミレディさんは影が薄いクソ雑魚ですよー」と蹲りながらしょげていた。

 

それからしばらくして、ミレディをなんとか励ますことに成功すると、浩介は自分がミレディを倒してから倒れてしまった後の経緯を奈々はまだ泣き止んでいないから妙子に尋ねた。

 

「そうえば、俺がぶっ倒れてから何があった?」

 

「あ、ごめんね。今から説明するわ。あの後ね……」

 

妙子曰く、あの後、浩介の体全体から溢れていた魔力が消え、そのままぶっ倒れたのを見て、すぐに奈々と共に駆けつけたらしい。二人は何度も声を掛けても浩介が目を覚まさないことに焦っていると、浮遊ブロックに乗った今の姿のミレディが現れた。

 

『お〜い!さっきぶりい〜。迎えにきたよぉ〜』

 

現れたミレディに警戒する二人だったが、事情を聞くとミレディも浩介のことが心配で駆けつけたのこと、不安がありながらも二人は浩介の安静が大事だったのでミレディに着いていくことにしたらしい。

 

そして、住処に辿り着くと隠し部屋にあったベッドで浩介を休ませたらしい。その後、妙子と奈々は浩介の看病しているとミレディから休んだほうが良いと言われ、代わりに自分が看病してくれるということで、妙子と奈々はミレディが用意してくれた簡易用の寝袋で深い眠りに落ちたという。

 

「………なるほどな。俺はあの技で魔力を全て使い果たしちまったんだな」

 

「うん、そうだね。あれ程の技をすれば魔力切れは確実だしね〜」

 

浩介の呟いたことに、頷いて同意するミレディ。それ程、最後に浩介が繰り出した〝影色舞(シルエットダンス)〟は強力であった。そして、二人も浩介に抱き着くのをやめて立ち上がると、ふと奈々が浩介の隣に置かれたこの世界じゃ見慣れない写真を見つけた。

 

「ねぇ、浩ちん。それって写真?」

 

「ん? あー、うん。そこの書棚に置いてあってな」

 

「へぇ……でも、年齢層や種族もバラバラね」

 

浩介が持つ写真を見て妙子がそう言うと、浩介も再度、写真を見る。

 

「確かにそうだな。ミレディ、なんの集まりだこれ?」

 

「そもそも写真なんてものがあるのが驚きだけど」

 

「だよね。カメラなんて王国にも出回ってなかったし」

 

三人が写真で悩む中、写真の持ち主であるミレディが答えた。

 

「それは、オーちゃんのアーティファクトで撮った物なんだ」

 

「オーちゃん……もしかして、オスカー・オルクスか?」

 

「うん。オーちゃんが七人で撮ろうって言ってね」

 

ミレディから話を聞くと、この写真は、ハジメが持つ〝生成魔法〟を使っていた解放者の一人、オスカー・オルクスが作ったアーティファクトによって出来たのを知り、写真に映る七人は、なんと解放者を代表するミレディを含めた七人の神代魔法の担い手だという。

 

それを聞いた三人は、驚愕しながらマジマジと写真を見つめる三人。そして、写真を見つめていた浩介は、写真に映る一人の少女に指を差した。

 

「じゃ、もしかしてだが、この金髪の子がミレディか?」

 

「うん、正解! どう?ミレディさんの人間の姿?超ウルトラ美少女でしょ〜?」

 

自慢するかのような口調のミレディ。しかし、三人から返ってきたのは……

 

「嘘?! 性格と見た目が合ってない!」

 

「滅茶苦茶、可愛いのに、性格が……」

 

「解放者の人達も苦労したんだろうな………」

 

余りの返答にゴーレムであるミレディであっても青筋を立てる。

 

「……君達さぁ、失礼って言葉を知ってる?」

 

「「「スイマセンでしたぁぁあ!」」」

 

ゴゴゴっと、ゴーレムにも関わらず怒りを全体に感じさせるような声音で呟くミレディ。そして、ミレディから伝わるただならぬ雰囲気にすぐに土下座する三人であった。

 

「なぁ、ミレディ。この女性は誰だ? 」

 

しかし、ミレディの言葉を聞いて浩介は写真に映る神の使徒に似た白金の女性について尋ねる。すると、ミレディはゴーレムであるもあからさまに動揺するが、浩介の真剣な表情を見てポツリと呟く。

 

「彼女の名前はエアースト。私達の仲間だった(・・・・・)神の使徒だよ」

 

そこから彼女は浩介達にエアーストとの出会いを語り始めた。

 

「エアースト………エーちゃんは私達と苦楽を共にした仲間の一人なんだ。後、この中ではミレディさんとエーちゃんが一番最初に出会ったんだ」

 

そう語るミレディは写真を大事そうに眺めていた。その声色も思い出に浸り懐かしんでいる。

 

そこからミレディ達解放者とエアーストの思い出が語られた。

 

笑ったり、泣いたり、喧嘩したり、一緒に寝たりとミレディは嬉しそうに語る。話を聞いてる浩介達も嬉しそうに話すミレディに話を聞き入るのであった……。

 

 

そして、少しばかり時間が経ち、ミレディの住処の隠し部屋から出た浩介達はミレディと共にある場所へ向かう。

 

「はーい。三人共、ちょっと待ってねぇ〜」

 

場所に着いてミレディはそう言うと、魔法陣を起動させた。三人は床に浮かび上がる目の前の魔法陣に息を呑みながらジッと見つめる。

 

「これが……」

 

「うん。ミレディさんの〝重力魔法〟が刻まれた魔法陣だよ〜」

 

浩介の言葉に素直に答えるとミレディは、三人に「ほら、乗った乗った」と魔法陣の中に入るように促す。三人もミレディに促されながら魔法陣の中へと入る。

 

「う?!」

 

「っあ」

 

「いっ?!」

 

魔法陣に入った直後、三人の脳に神代魔法の知識と使用方法が刻まれていく。三人は、いきなり脳に刻まれる沢山の情報に頭痛が止まず苦悶の声を漏らす。

 

だが、ものの数秒で刻み込みが終了し三人は、ライセン大迷宮の神代魔法〝重力魔法〟を手に入れる。

 

「……いつつ、これが、重力魔法」

 

「……凄い魔法ね」

 

「これが、神代魔法……凄まじいな」

 

各々の反応を示しながらも、初めての神代魔法を手にして喜ぶ三人。すると、ミレディから声がかかった。

 

「三人共、おめでとう!神代魔法は適正があるけど三人共バッチリだね〜!」

 

そう、ミレディの言葉の通り神代魔法には適正がある……

 

ハジメなら〝生成魔法〟

 

ユエなら〝重力魔法〟

 

優花なら〝再生魔法〟

 

アレスなら〝魂魄魔法〟と〝空間魔法〟

 

フリードなら〝変成魔法〟

 

と、それぞれの適正があったり、シアみたいに適正がない場合もある。故に、同じ神代魔法の遣い手でも適正の有り無しで差が出るのだ。

そう説明するミレディに、浩介が少し考える素振りをすると質問した。

 

「適正か……じゃあ、ミレディ達は各々の神代魔法を十全に扱えるんだよな?」

 

「うん、そうだよ〜」

 

「じゃあ、そんな人達でも神達に勝てなかったのか……」

 

「………」

 

浩介の言葉に、押し黙ってしまうミレディ。それを見て妙子と奈々に非難の眼差しを浩介に向ける。

 

「っ、浩介! 少しは考えなさい!」

 

「浩ちん!」

 

「あっ……ご、ごめん失言だった」

 

両隣の二人の眼差しに、自分の言葉が失言だったことに気が付いて頭を下げて謝る浩介。しかし、ミレディは「うん、全然大丈夫だよ〜」と普通は怒ってもいいのに彼女は笑って返した。

 

「それに、君の言ったことは間違いない。私達の全力を以てしても、あのクソ野郎共には敵わなかったからね……」

 

ミレディは思い出すように語る。人、魔人、亜人の未来を賭けた解放者と教会との神殺しの戦いを……

 

「あの時は、いろんな事があったんだ。戦ったり、泣いたり、怒ったり、喜び合ったり……そして、偽神と戦った」

 

今でも、思い出す。出会い、別れ、時には遊んだりと楽しかった今でも宝物の思い出。

 

そして、自分達に立ちはだかった多くの敵達を……

 

──造られた人形の神の使徒。

 

──神の下僕(いぬ)と成り下がった初代勇者。

 

──腐った聖光教会と狂った神殿騎士達。

 

そして、偽神エヒトルジェ。

 

沢山の苦難もあったが大切な仲間達の共に抗い勝ち進み、遂に七人の神代魔法遣いと最強の神の使徒で神域へと到達して、激戦の末なんとかエヒトを討伐した。

 

「……あの時は、やっと終わらせたんだ。って思ったんだ」

 

嬉しかった。やっと、ベル(大事な人)との約束を。神の理不尽に死んでいった人々の悲願を果たせたと。

 

そう思った時だった。

 

神域の奥から突然と純白の神殿が現れ、四つの影が見えた。ミレディ達の表情は歓喜から瞬時に絶望へとなった。エヒト(偽神)とは違い、本当の神という存在を、この身を以て思い知らされた。

 

──自分達がどう足掻いても届かないことを。

 

同時に解放達をドン底に堕とされる出来事が起こる。

 

『ミレディ、貴女との旅は楽しかったです。ですが、我が主と母を解放されたならば話は変わります。ここでお別れです』

 

──苦楽を共にした仲間であり友の裏切り

 

そんな二つの絶望に呑まれミレディ達解放者達は一気に神の眷属達に押され始めて負けてしまい、解放者のリーダーだったミレディ・ライセンは処刑され解放者達の幕を閉じ、守ろうとした人々からは反逆者として語られるようになった。

 

「これが、ミレディさんと皆の……解放者達の辿った末路さ……」

 

「「「………」」」

 

最後は、力ない声で話終えるミレディ。その姿を黙って見ることしか出来ない三人。誰もが何も語らないまま、時間だけが過ぎていく。

 

その時だった。浩介がミレディの方へと歩み寄った。そして、片膝を突くとミレディの両肩を両手でガッチリと掴むと真剣な表情でミレディを見る。

 

「ど、どうしたんだい?!」

 

いきなり肩を掴まれて驚くミレディに、浩介は気にせず口を開いた。

 

「安心してくれ、ミレディ。貴女の……いや、解放者達の願いは、もうハジメが色々な人達が受け継いでる。そして、俺達もだ」

 

「……」

 

「俺は弱い。神なんて存在に勝てるどうか分からない。でも──信頼出来る仲間(幼なじみ)がいる」

 

「ええ」

 

「うん!」

 

浩介の言葉に、妙子と奈々も相槌をして頷いて笑みを浮かべてミレディの方を見る。

 

「それに、俺達には最強の親友(ハジメ)もいる。だからミレディ安心してくれ───神共は俺達がぶっ倒す!」

 

そう宣言する浩介。同じ思いで彼の傍に立つ二人。そんな彼等を見て、ミレディは───

 

「フフっ、アハハっ」

 

笑った。

 

しかし、それは馬鹿にしてる訳ではない。嬉しくて、流れるはずがない雫を紛らすために彼女は笑う。

 

そして、笑い終えると小さいゴーレムの体であるも浩介に抱き着いた。ギュッと力を込めながら、浩介も応えるようにミレディを抱き締める。

 

すると、ミレディが口を開く。

 

「……ありがとう。コウちゃん、タエちゃん、ナナっち。この、ミレディ・ライセン。貴方達の勝利を神殺しを成すことを願ってるよ」

 

少し震えた声で三人に激励を送るミレディ。名前に関しては気になるところはあるが、三人は顔を見合わせ頷いた。

 

「「「任せろ(て)」」」

 

そう答えた三人は、ミレディが起動させた帰還用の魔法陣の上に立つ。そして、ミレディに見送られながら浩介達三人は、ライセン大迷宮を攻略を終えたのだった。

 

 

================================

 

 

浩介達が迷宮から帰還するのを見送ったミレディはローブから再びあの時の集合写真を見やる。

 

「エーちゃん。貴女は必ず私達が止めてみせるから」

 

そう言って見える筈のない空に向かってミレディは呟くのであった……。

 

 




人物紹介

<ベルタ・リエブール

解放者の創設者。

今のミレディの喋り方の原因となった人物であり、姉のような存在であった。

ベルは、固有魔法──〝運命視〟という人物の未来の可能性を視る魔法を持ち、昔は神託を受ける巫女だった。

しかし、視てはいけないものを視過ぎてしまい、エヒトと教会の手によって一度殺されてしまうが、ラウス・バーンの〝魂魄魔法〟によって助けられ存命する。

その後、教会から逃れて、ライセン伯爵家でミレディのお付きとなる。そして、ただの家に従うだけの人形だったミレディに生きることの楽しさ、自由を教え、人にしてくれた人物。だが、そのせいでライセンによって処刑され、最後にミレディの看取られて嬉しそうに笑って息を引き取った。


そして、次の話は幕間です( *¯ ꒳¯*)


七章の後にステータス紹介したほうがいい?

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