ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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少しばかり変えました。


四話 訓練とイジメ?

 

ハジメと優花は訓練場をあとにして王城に向かった。普通は追い返されるが〝神の使徒〟という役柄を有効的に使い門番に用件を告げて通してもった。

 

そして、門の傍で少しの間待っていると、向こうから「ハジメさん!」という元気な声が聞こえた二人は視線を転じた。

視線の先にいた人物はこの王国の王女リリアーナ姫だった。優花は意外な人物の登場に驚き、ハジメの方を見る。ハジメは〝待ってました〟と言わんばかりの表情で、それを見た優花は固まる。

 

「ねぇ、ハジメ……」

 

「おう、どうした?」

 

「もしかして、頼りになるアテって……リリアーナ姫?」

 

「あぁ、そうだが」

 

「はぁ……」

 

なんで、王女とそんなに仲良くなってんの?!と内心で愚痴をこぼしながらハジメの言っていた〝アテ〟とはリリアーナだと分かると頭に手を当て優花は溜息を吐いた。

 

そんな一連の優花を隣から見ていたハジメはその呑気に可愛いな〜と思っている。

 

やがて、足音が近くなりリリアーナがハジメの傍まで来ていた。その顔はほんのり赤かった。走ったせいなのかそれか、別の意味で顔が赤くなってるのか……。

 

「ふぅー……ハジメさん、どうしたのですか私に用があるって聞きましたが?」

 

「まぁな、少しリリィに頼みたいことがあってさ」

 

そして、ハジメは訓練場でのステータスプレートの件の出来事をリリアーナ姫に説明した。

 

「そうでしたか……メルドの失言でハジメさんを不快にさせてしまってすみません。後で私から注意をしておくので……」

 

リリアーナはハジメから訓練場の出来事を聞いて、メルドの失言でハジメが周りから笑い者にされたと聞き、謝罪をするがハジメとしてはあの件はどうでも良いことなのでリリアーナの頭を上げさせる。

 

「いや、そのことは良いんだ。メルド団長だってわざとじゃないと思うし、あれはコッチ側のバカ共が変に騒ぎ立てただけだからな」

 

「じゃあ……ハジメさんの頼みたいこととは?」

 

「頼みたいことは、鍛冶場や工房があったなら使わせてもらうのを許可して貰いたい。」

 

「鍛冶場や工房ですか……」

 

「あぁ、戦闘訓練のことは大丈夫だが俺の天職は錬成師だから錬成の技術を上げておきたくてな。あっ勿論、ただで使わせてくれとは言わん、錬成師が必要な仕事は無償で受付けるし、錬成技術があがったなら俺達の世界にある物を作って王国の利益にしてもいい。報酬はいらん」

 

リリアーナはハジメの頼みの内容を聞いて考えている体勢に入った。すると、ハジメは円滑に話を進める為に王国の利益になるような提案をする。

 

「えっ! ハジメさんはそれで良いんですか?」

 

その提案にリリアーナは目を見開きながら俺を見つめながら問いかける。

 

「あぁ、俺としてはただ技術を上げたいだけだからな」

 

「……分かりました。では至急、工房の許可を手配しておきます」

 

「助かる」

 

「いえっ、私もハジメさんの助けになりたいですし……」

 

ハジメの感謝にリリアーナは顔を赤くさせ、両手をイジイジさせながら嬉しそうに笑みを浮かべてハジメの力になれて嬉しいと言う。しかし、ハジメはそんなリリアーナの気持ちに気付かずに再度、礼を言った。

 

「ありがとな、リリィ」

 

「はい、ではっ!」

 

リリィはハジメの感謝に嬉しそうに返事をして気分が良さそうに離れていった。

 

「よし、これで〝錬成〟の訓練ができ……ん」

 

「むぅ……」

 

ハジメは交渉が上手くいってガッツポーズをしていると視線を感じた。その方へ向くと優花がジト目で頬を膨らませながらハジメを見る。何故、頬を膨らませてるのか分からないハジメは首を傾げた。

 

「どうしたんだ優花?」

 

「ハジメ、リリアーナ姫と楽しげに話してた……」

 

「いや、あれはただの交渉みたいなもんだ」

 

ハジメはそう言うが優花は聞く耳を持たずか顔をプイッと横に逸らす。

 

「……ハジメの誑し」

 

「えっ、ちょっ優花?」

 

そして、優花はハジメにそう告げ、不機嫌そうに両手を大きく振りながら歩いて行きハジメはそれに追いかけていった。因みに機嫌を直す為に五時間も掛かった。

 

その後、リリアーナ姫のおかげでハジメは錬成の訓練が出来る王城内にある一つの工房を貸し与えて貰った。

 

早速、ハジメは王国から手配されている壊れた装備品などの修理で訓練を始める。しかし、この訓練はたったの一時間ちょっとで終わってしまった。

予想だと二時間はかかると思ったが、初めてのことなのに何故かすんなりとできてしまった。

 

しかし、ハジメはその原因はなんなのかすぐに気が付いた。それは技能にあった〝脳内設計〟だった。それは剣を直す時、触れた瞬間、その剣の構造などが頭の中に浮かび、どこをどう直せば良いかを理解出来たからである。

 

「これは、スゲー技能だ」

 

ハジメは〝脳内設計〟の凄さに驚愕する。

 

これなら効率良く錬成の技能が上がると確信して作業に戻ろうとした時だった。ある事を思い付いてしまって一旦、手を止めた。

 

「待てよ……この技能」

 

ハジメは、集中する。それは、ある事を試すためだ。

 

ある事とは、〝脳内設計〟とは、初めて触れた物には、設計図が作成される。作成された説明図は頭の中に保存されるという技能だ。そして、ハジメは思い付いたのだ。

 

もし、地球で触れた物が脳内設計によって設計図として残っていたらと……

 

そして、結果は……

 

「ビンゴ」

 

自分の推測が当たったことに笑みを浮かべるハジメ。そして、戦争をしてるこの世界に、必要な物の設計図を脳内に浮かばした。

 

「一か八かやってみるか……」

 

そう言って、ハジメは修理の仕事を全部終わらせた後、ある物を作製に取り掛かったのだった。

 

 

ー翌日ー

 

「はぁはぁ……で、出来た……」

 

集中し過ぎたせいで息が荒くなるもハジメは完成した物を手に取ってから簡単に動きの動作の確認をしていく。

 

「……よし、ちゃんと動く。が、少し……仮眠を取ってから…リリィを呼びに行くか」

 

ハジメは、徹夜かけて完成した物を置いて、少し仮眠を取ってからリリィを呼びに行こうと決め、倒れ込むように寝たのだった。

 

そして、十分に仮眠を取った後、ハジメはリリアーナを呼んで、共に工房へと向かって一緒に歩いていた。

 

「ハジメさん、どうしたのですか? 」

 

「いや、ある物を徹夜かけて作ってな、販売っていうか王国の利益になるか聞きたくてな」

 

「……分かりました」

 

二人は工房に着くと、ハジメは工房から取ってきた物をリリィに見せると、リリィは目を見開いて、驚愕の声を上げた。

 

「こ、これはなんですか! ハジメさん!」

 

「いやぁー、王都の市民って善良な人が多くて良いな。豚の皮とか無償に貰うことが出来た」

 

ハジメは、異世界人である自分に優しく接してくれた王都の人達を思い出しながら語る。リリアーナもそのことには頷くが、ハジメの作製した物の方が今は気になってしようがない。

 

「それは嬉しいですけど、これはなんですか!」

 

「あぁ、それは義手だ」

 

「義手? これがですか? こんな人の腕に近いものが………」

 

ハジメの予想通り、この世界の人であるリリアーナは義手のことは知ってるようだが、技術水準では化学文明が進んでいる此方が何枚か上手のようらしく、この世界の義手というものは金属製を腕と手の形に模しただけのものらしく実用的なものではないらしい。

一応、腕の関節だけが動くものもあるが製作コスト高いらしく一般の兵士では購入は無理らしい。

 

故にハジメはそこを狙った。

 

「あぁ、俺達の世界の物よりは質が悪ぃが使えないことはないし、今は戦時中。重傷で四肢の何処かを無くした兵士とか市民がいるだろだから作ってみたんだ」

 

この時代は戦争の真っ最中、なら負傷して身体の一部が欠損してる兵士などがいる筈と思ったハジメは、以前に父である愁のゲーム作製の為のネタ集めに着いていった際に義手について調べていた。

そして、そのことがもしかして〝脳内設計〟に義手についての設計図があると思い、探ると案の定、設計図が脳内に存在していたので作製に取り掛かることにしたのだ。

 

他にも、関節部分に術式を描くことで腕の関節はともかく手首や指などの関節も動かせるような工夫したのだ。それもこの世界に普及する義手よりも低コストで実現させた。

 

そんな、色々と初めての試みだったので作製一つに時間を掛けてしまったことに苦笑いを零す。そして、その性能を聞いて呆然と義手を手に取るリリアーナどうかと聞いてみる。

 

「……」

 

「どう思う?リリィ」

 

「!……あ、すみません、ハジメさん。少しこの義手の件は、お父様達に聞いてみることにします」

 

「おう」

 

その後、リリアーナが国王や宰相達に差し出したハジメの作った義手は高く評価された。従来の義手よりも性能が高く、低コストで作製できることが決め手だったらしく早速、在庫が増えたなら国内、国外への販売わ開始することになった。

 

だが、流石にハジメでもたくさんは無理があるのではということで王国お抱えの錬成師達に手伝って貰うことになった。

その時に王国錬成師のウォルペン達と仲良く話し合える仲になったことは言うまでもない。

 

そして、販売された義手は好評で次々と売れていき、同盟関係である帝国にも高く評価され帝国でも販売される程になったのだった。。

 

そして、ハジメは義手の設計図は必要ないので王国に引き渡して自分の技能上げに率先した。そして、その成果か錬成速度がみるみると上達したのでハジメはある得物を作製して、優花達を呼んだ。

 

呼ばれた四人は、ハジメがいる工房へと駆けつけた。

 

「ハジメ、来たぞ 」

 

「ハジメ、どうしたの私達を呼んで」

 

「そうそう、もしかして倒れたの?」

 

「えっ!、私、回復魔法使おっか?」

 

奈々の言葉を信用してか優花が心配した表情で此方に駆け寄る。ハジメはそんな変なこと言った奈々の額に軽くデコピンしてから呼んだ理由を説明する。

 

「ちげーよ。俺はお前等に渡したい物があったから呼んだんだよ。それに奈々は変なことを言うな」

 

「あ、イタっ」

 

「「「渡したい物?」」」

 

「あぁ、まず浩介にはこれな」

 

「おっ、これは小太刀?」

 

「あぁ、王国の錬成師の人にな義手の設計図と交換して、硬度が高い鉱石を貰ってな作って見たんだ。だって浩介、前から言ってただろナイフだけだと心もと無いって」

 

そう言いながらウォルペン達に貰ったこの世界の鉄と言える鉱石で造り上げた小太刀を渡す。

 

「嘘、まじありがてぇ。サンキュ〜ハジメ」

 

浩介は嬉しそうにハジメの小太刀を受け取る。その姿を見てハジメは笑みを浮かべてから優花達に総数、三十本の投げナイフを渡した。

 

「後、優花達には、これだ」

 

「うん?…これって投げナイフ?」

 

「あぁ、流石に杖や鞭は今の俺では良いのが出来ないからな。敵と距離をとる為や護衛用に使えば良いし、優花ならナイフを付与魔法とかで付与とかして使えばいい」

 

「ありがとっ、ハジメっち!」

 

「これは、助かる」

 

「ありがとハジメ」

 

三人も自分の造った得物に喜んでいたので造った甲斐があったなと思いながらハジメ笑みを浮かべた。

 

「あっ、ハジメ」

 

「何だ、 浩介?」

 

少し話してから四人が帰る直前に浩介が振り返るので、ハジメは首を傾げる。

 

「お前、一回でも良いから、訓練場で訓練しとけよ。周りの奴等が一度も訓練場に来てないハジメをよく思ってないらしい。特に天之川の奴とかな」

 

「おぉ〜。行けたら、行くわ〜」

 

浩介の話を聞いて、何だそんな事かと思いながら適当に返事をする。そして、優花達が帰った後、ハジメは錬成の訓練を切り上げ、適当に作った像(サンドバック)を造り出した。

 

「さてと……よし、いっちょやるか……」

 

そして、像を使って、ハジメは身体を鍛えながらステータスの向上に専念していく。

 

それを続けていく生活が習慣となり、二週間ちょっと経った。

 

現在、ハジメは訓練の休憩時間を利用して王立図書館にて調べ物をしている。

その手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑や〝技能一覧〟というタイトルの本がありハジメの興味心が勝ってしまい読んでいた。

 

「へぇ〜。魔物を食らうと、ほぼ高確率で死に至る、ね……」

 

ハジメはここ二週間近くでこの図書館にある重要そうな本を読み漁りある程度の知識を身に付けていた。

 

まず、調べたのは周辺国でハジメの作った義手を高く評価してくれていた帝国。

帝国とは、【ヘルシャー帝国】のことだ。この国は、およそ三百年前の大規模な魔人族との戦争中にとある傭兵団が興した新興の国で、強力な傭兵や冒険者がわんさかと集まった軍事国家らしい。実力至上主義を掲げており、かなりブラックな国のようだ。この国には亜人族だろうがなんだろうが使えるものは使うという発想で、亜人族を扱った奴隷商が多く存在している。

 

ハジメとしては義手を高く評価してくれるのは嬉しいのだが、あまり、帝国の方針は好感は持てなかった。そんな帝国は、王国の東に【中立商業都市フューレン】を挟んで存在する。

 

【フューレン】は文字通り、どの国にも依よらない中立の商業都市だ。経済力という国家運営とは切っても切り離せない力を最大限に使い中立を貫いている。欲しいモノがあればこの都市に行けば手に入ると言われているくらい商業中心の都市である。

 

他にも魔人領との国境に位置し、人間族達にとっての壁役となってくれている雪の都市【キオン】や王国の東に位置する農業や畜産が主な都市【ガラテア】といったものもあるらしい。

 

ハジメはそんな世界情勢がある程度記憶した次に、ある事を調べていたのだが、それについての詳しい文献がなく溜息を吐いた。

 

その文献とは……

 

エヒトと七大迷宮。

 

ハジメは、自分なりに自分達を召喚したエヒトと、この世界にある七大迷宮を調べていたが、詳しい文献が手に入れた際も情報はあまりにも少なく、曖昧なことしか書かれていなかった。

まず、創世神エヒトの事だ。神代において、エヒトを始めとする神々は神代魔法にてこの世界を創ったと言い伝えられている。そして、現在使用されている魔法は、その劣化版のようなものと認識されている。それ故、魔法は神からのギフトであるという価値観が強いのだ。もちろん、聖教教会がそう教えているのだが。

 

そのような事情から魔力を一切持たず魔法が使えない種族である亜人族は神から見放された悪しき種族と考えられているのである。なお、魔人族は聖教教会の〝エヒト様〟とは別の神を崇めているらしいが、基本的な亜人に対する考え方は同じらしい。

 

この魔人族は、全員人間族は、崇める神の違いから魔人族を仇敵と定め(聖教教会の教え)、神に愛されていないと亜人族を差別する。魔人族も同じだ。亜人族は、もう放っておいてくれといった感じだろうか? どの種族も実に排他的であると聞くがコレは人間族からの視点での話だ。魔人族からの視点だと違うと思う。

次に七大迷宮。七大迷宮とは、この世界における有数の危険地帯と呼ばれている。

 

確認されているのはハイリヒ王国の南西、グリューエン大砂漠の【グリューエン大火山】と砂漠の間の【オルクス大迷宮】と亜人族の中の獣人族が多く暮らしてる【ハルツェナ樹海】。

 

七大迷宮でありながらなぜ三つかというと、他は古い文献などからその存在は信じられているのだが詳しい場所が不明で未だ確認はされていないからだ。しかし、文献を読み漁るにつれハジメは、他四つは隠されている内の二つの場所は目星が付けられていた。

 

それは、大陸を南北に分断する【ライセン大峡谷】や、南大陸の【シュネー雪原】の奥地にある【氷雪洞窟】がそうではないかと言われている。

 

そして、大迷宮の他にも【遺跡】という名の小さな迷宮があるらしく、遺跡は七大迷宮よりも前に存在していたと文献に記されている。

推測では古代の王族の墓、何かを封じていたのか様々な仮説があるらしく、王国の近くにはないらしいが世界の各地にチラホラと存在しており其の奥には強大な強さを持つ魔物や強力なアーティファクトが眠っているらしい。

難易度的には七大迷宮よりも攻略は簡単らしく幾つかの遺跡は攻略されているが、まだ未踏破や発見されていない遺跡もあるらしい。

そして、遺跡の不思議なところは攻略したところでもお宝であるアーティファクトは入手できなくなるも主である魔物は魔法陣を起動させればリスポーンされるらしく一部では上級冒険者のランク昇給試験や腕試しに使われているらしい。

 

最後にハジメが遺跡関連で気になったものが一つある。

 

一向に攻略されない遺跡に溜まりに溜まった魔力が許容値を越えた瞬間に一気に吐き出したかのように夥しい量の魔物群勢を吐き出して起きる大災。

その名を【怪物氾濫(スタンピード)】。

その数は少なくても千は遥かに超えるらしく難易度の高い遺跡でそれが起こってしまえば都市や国が壊滅寸前にまでさせるほど。

数百年前には王国の近くにあった国が〝怪物氾濫〟によって滅び一つの巨大な遺跡になってしまうほどの脅威。

故に、こういった氾濫を起こさせないために国や冒険者ギルドは遺跡で魔物を殺して許容値を越えさせないようにしたり、攻略困難な遺跡は心臓であるコアを破壊するなど対策をしているらしい。

後、下手にコアを壊さないのは冒険者達の成長の機会を失わせないためらしいが、ハジメは遺跡のコアに関心を示すのだった。

 

「はぁ……クソッ……」

 

二週間で様々な文献や本を読み漁ったがまだ、まだ足りな過ぎる情報に溜息を吐いて悪態をつくハジメはおもむろに自分のステータスプレートを取り出し 眺めた。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2

 

天職:錬成師

 

筋力:90

 

体力:120

 

耐性:90

 

敏捷:100

 

魔力:150

 

魔耐:140

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成]・雷属性適性・雷属性耐性・脳内設計[+想像設計]・武芸百般[+武術Ⅳ][+槍術Ⅱ][+剣術]・■■■・言語理解

 

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「………」

 

ステータスも上がって、特に〝錬成〟と〝脳内設計〟には派生技能が発現した。だが、やっぱり、■■■のことが分からず、図書館の〝技能一覧〟を調べたが載っていなかった。ハジメが図書館に入り浸っている理由は、もしかしたら〝■■■〟が何だと分かるかもしれないと思ったが何一つも見つからず溜息を吐きながら、ステータスの技能欄にある技能を見て身体がピキッと固まった。

 

「俺……魔法使えんの忘れてたわ……」

 

トータスにおける魔法とは、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。

 

そして、詠唱の長さに比例して流し込める魔力は多くなり、魔力量に比例して威力や効果も上がっていく。また、効果の複雑さや規模に比例して魔法陣に書き込む式も多くなる。それは必然的に魔法陣自体も大きくなるということに繋がる。

 

例えば、RPG等で定番の〝火球〟を直進で放つだけでも、一般に直径十センチほどの魔法陣が必要になる。基本は、属性・威力・射程・範囲・魔力吸収(体内から魔力を吸い取る)の式が必要で、後は誘導性や持続時間等付加要が付く度に式を加えていき魔法陣が大きくなるということだ。

 

しかし、ハジメは魔法を使えることを忘れほぼ二週間、体術や錬成の訓練しかやって来なかったのだ。

 

「……使えるようにしておかないとな」

 

魔法を使えた方が後々、便利になるのでハジメは魔法の訓練ができる訓練場に向かうため図書館を後にした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ハジメは訓練場に向かう為、近くを歩いていたがその時、後ろから複数の視線と気配を感じすぐさま、右へと動いて何かを振り下ろされたものを回避した。すると、後ろから喚く声が聞こえた。

 

「はぁっ?!」

 

「何外してんだよ大介!」

 

「ちげーよ! 避けられたんだ!」

 

「はぁ?」

 

後ろを向くと、それは、抜き身の剣を振り落としていた檜山と檜山率いる馬鹿三人組の姿がそこにいた。

 

「何やってんだ馬鹿四人」

 

ハジメが馬鹿四人に話しかけると四人が一斉に此方を睨む。しかし、それがなんだとハジメは何処吹く風。四人の殺気が更に増す。

 

「んだと……南雲てめぇ」

 

「お前、訓練が怖いから来ないんだろ?!」

 

「そうだ、〝臆病者〟!」

 

「臆病者、ね……」

 

そんな風に呼ばれていた事を聞いて、浩介達が時々訓練に来いって言ってた理由はこれかとハジメは理解する。が、どうでも良いことだ。

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、俺らで稽古つけてやんね?」

 

「っそうだな! おい南雲〜俺達が訓練付けてやるよ」

 

どうやら、この四人はたった二週間で自分達が強くなってると錯覚しているらしい。なので、ハジメは不敵な笑みを向けながら四人を煽る。

 

「おっ、そりゃありがたい。サンドバックになってくれるなんて優しいんだなお前等、見直した」

 

「「「「ん、だとてめぇ…」」」」

 

一髪触発。ハジメと馬鹿四人の訓練?が始まろうとした時、聞きなれた声が聞こえた。

 

「何やってんの?!」

 

「あぁ?」

 

「……優花」

 

それは、優花だった。檜山は顔を顰め、ハジメは構えを止める。優花は訓練中に檜山達がハジメに悪絡みしているのが見え、止めに行ったのだ。

優花はそのまま、ハジメと檜山達の間に入り、両手を広げながら檜山を睨む。

 

「檜山アンタ、もしかして四対一でハジメとする訳?」

 

「なんか文句あんのか?!俺はアイツは臆病者だから稽古付けてやんだよ!」

 

ハジメが臆病者呼ばわりする檜山に、優花の堪忍袋が切れた。

 

「っ……ハジメは臆病者なんかじゃない!」

 

「うるせぇ黙ってろよ!」

 

しかし、逆ギレした檜山は優花に抜き身の剣を勢いよく振りかざす。優花は剣が自分に振りかざされるのを見て、恐怖のあまり目を瞑った。

 

「キャッ!」

 

直後、優花は誰かに抱き寄せられ、鈍い音がする。

 

檜山達が「なっ……」と何かに絶句している声を漏らした。優花自身、痛みがないことに不思議に感じ、恐る恐る目を開けた。そこには、剣を止めたからであろう手から大量の血が出しながらも自分を守る為に剣を受け止めていたハジメの姿が目に入った。

 

ハジメは抱き寄せている優花にケガがないことを確認してから優しく笑みを向けながら優花に伝える。

 

「優花、危ねぇから少し離れてろ」

 

「……うん」

 

そして、優花もハジメに言われた通り少し離れたところで檜山達に告げた。

 

「ホントは軽くあしらうつもりだったが……優花に手を出そうとしたんだ───覚悟できてんだろうなぁ」

 

その怒りを含んだ言葉とハジメの圧に怖気付いた檜山達は顔を青くしてしまうが恐怖を紛らわすためか叫びながら攻撃を始めた。

 

「やっちまえ!」

 

「ここに焼撃を望む――〝火球〟!」

 

「ここに風撃を望む――〝風球〟!」

 

中野が〝火球〟、齋藤が〝風球〟を詠唱をして魔法を放つがハジメの行動の方が一足早かった。

 

「……〝錬成〟」

 

ハジメは魔法が来る直前に錬成で即座に石壁を錬成し二つの魔法を石壁で相殺させ壊れた石壁の粉塵が舞う。

粉塵が消え、壊れた石壁のところには既にハジメの姿がおらず、檜山達は混乱して焦りだす。

 

「何処にいった!?」

 

「ここだよ……馬鹿二人」

 

「なっ!」

 

「遅せぇよ」

 

石壁が壊された時の粉塵を利用して、後衛二人の距離を縮めるために後ろにまわっていたハジメ。そして、中野と齋藤が気付いた時には既に遅く振り向いた齋藤の腹に強めの蹴り飛ばし、着地すると同時に中野には顔面を勢いよく殴りつけた。

 

「グハッ!」

 

「ブべッ!」

 

齋藤は蹴りを脆に喰らって、痛みの余りその場で蹲って口から吐瀉物を吐き出す。中野は白目を向いたまま鼻から大量の血を吹き出しながら仰向けに倒れ込んだ。

 

「……っ、ウォォォォォ!」

 

一瞬にして二人が倒れた事に絶望しながらも近藤は適当に槍を振り回し叫びながらハジメに突貫する。突貫してくる近藤に対してハジメは槍のブレように煽るかのように笑う。

 

「死ねぇ!」

 

「おいおい、殺す気ならその振るえてる手をやめろよ」

 

ハジメは、意図も簡単に身体を左にズラして近藤の槍を軽々しく避けるとこの世界に来て初の魔法を使う。

 

「えーっと、こうだったか……(はし)れ 閃く雷──〝雷撃〟」

 

詠唱と共にハジメの掌から魔法陣が現れバリリッと雷の球が放たれる。

 

「ゴハッ!」

 

ハジメの魔法の〝雷撃〟が近藤の腹に目掛けて直撃して近藤が雷で感電して倒れ込んで気絶した。そして、ハジメは倒れ込む近藤の槍を持つと、遠くに投げ飛ばしてから檜山に冷めきった目を向ける。

 

「後はてめぇだけだ……檜山」

 

「ひ、ひぃ!」

 

檜山はほぼ五分も経たない時間で三人を倒したハジメに恐れなして逃げ出そうとするが……

 

「……逃がすわけねぇだろ……〝錬成〟」

 

「……へ、なんだ?! ギャーー!」

 

ハジメは錬成を使って高さ三メートルある落とし穴を檜山が足を地面に着く瞬間に錬成して、檜山を落とし穴に落とした。

 

「ふぅ〜」

 

ハジメは初の戦闘……いや蹂躙を終わらせると服の土埃を出血していない手でパッパッと払い安堵の息を吐く。

 

「ハジメ!」

 

「おっ、優花」

 

戦い……いや、一方的な蹂躙が終わると同時に優花が必死な表情でハジメの元にすぐさま駆け寄る。そして、檜山の剣を受け止めた方の手を涙を浮かべながら出血した手に触れる。

 

「ハジメ、手……」

 

「手?……あー大丈夫、問題ない」

 

「ちょっと待って今すぐ治すから──」

 

「何をしているんだ!!」

 

「チッ……面倒なのが来やがった」

 

優花がハジメの手を治そうとしたその時だった。騒ぎを聞き付けてか光輝達四人組がやって来てたのだ。ハジメは舌打ちと共に愚痴を零す。

 

この場の惨状を見て光輝は事情も聞かずにハジメを睨みながら詰め寄り強い口調で問い質す。

 

「南雲!檜山達に何をしたんだ?!」

 

「喧嘩を売ってきたからな、買っただけだ」

 

「でも、これはやり過ぎている!」

 

「優花に手を出そうとしたんだ。流石に加減はしてやる気はない」

 

ハジメが光輝の発言を適当にあしらってると、ハジメの話を聞いて光輝の隣にいた雫が心配そうに優花に話しかける。

 

「園部さん、そうなの?」

 

「うん。檜山達が喧嘩を吹っ掛けて来て、ハジメはただ、私を守ってくれただけよ」

 

「じゃあ、南雲君は自己防衛で良いんじゃない光輝?」

 

優花の証言を聞き、檜山達の態度の悪さを理解してる雫は光輝にハジメは悪くないと言うと、光輝は一瞬、口を噤むが話題を変え檜山達がそういった行動を起こしたのはハジメの怠惰が原因であると言い始めた。

 

「っ、だが聞けば南雲は、訓練のないときは図書館で読書に耽っていたり工房にいるとかじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてている。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?!」

 

光輝の発言に何をどう解釈すればそうなるのか。優花は半ば呆然としながら、光輝に対し静かな怒りが湧く。彼を睨みつけ、手を握りしめながら歯噛みする。

 

こいつに何がわかる?! ずっと私達の為に武器を作ったり、夜も寝る間も惜しんでずっと戦闘と技能の技術を鍛えているハジメの努力を見てない癖にっ!そんな優花が内心で沸々と怒りを募らせる中、優花の表情を見て察したのかハジメが血の付いてない手で優花を抱き寄せ背を向く。

 

「こんな無駄話を続けても面倒くせぇだけだ。行くぞ優花」

 

「え、ハジメ……うん」

 

このままだとずっと境界線だと感じたハジメ。優花もハジメに寄り添って歩き出そうとした。

 

しかし、それを黙っている筈がなく雫の隣にいた彼女に止められる。

 

「待って!」

 

「あ?」

 

「南雲君、手ケガしてる! 私治すよ!」

 

それは香織だった。彼女はハジメの血を流している手を治そうと此方へ駆け寄ってハジメの手に触れようとする。

 

その時………

 

パンッと、ハジメが香織の手を弾いた。

 

「えっ──」

 

ハジメの予想外の行動に香織もだが、傍にいた優花や周りの光輝達も唖然とする。

しかし、当のハジメはというと気にせず嫌そうに顔を顰める。

 

「触んな。傷は優花に治して貰うから要らねぇよ」

 

そう突き放すように言い捨てるとハジメは優花を抱き寄せながら光輝達と別れ、訓練場を後にしたのだった。

 

 

──ハジメ達が離れた後の訓練場

 

ハジメ達が訓練場から去った後、光輝はハジメの香織に対する態度に憤慨する。

 

「な、南雲の奴っ、香織に対して!」

 

「おいおい、光輝落ち着けって、あれだって南雲の奴も虫の何だっけ、まぁそういうことだと思うぜ」

 

「〝虫の居所が悪い〟よ龍太郎。香織も大丈夫?」

 

そんな光輝に龍太郎と雫は宥めていると、香織がブツブツ言いながら俯いてるの姿を見て心配になった雫が声をかける。

 

「…の…だ…」

 

「香織?」

 

雫の呼びかけに反応することなく香織は周りの聞こえない程度の声色で呟いた。

 

「あの女のせいだ」

 

 

 

ー工房ー

 

訓練場から離れたハジメと優花は、工房でケガを治して貰っていた。

 

「もう、ハジメあんな無茶やめてね」

 

優花は回復魔法をかけた後、必要ないと思うがケガした部分にガーゼで巻きながら、ハジメに無茶をしないで欲しいと言う。

 

「優花が危ない状況だったら分からんかもなぁ」

 

ハジメはそんな自分を心配してくれる優花に笑みを向けながらその頼みは聞けそうにないと伝える。

 

「もうっ……でも、ありがと。カッコよかったよ」

 

優花は俺の返事に頬を膨らませるも、ハジメに抱き付いた。ハジメもそれに応えるかのように抱き返しながら返事をした。

 

「おう」

 

その後は、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルド団長は野太い声で告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行くことが決定した。本来の予定では遺跡となるはずだったがイシュタル教皇の命より神の使徒達であるお前達の力を大々的に発表したいらしくてな」

 

そう言うメルド団長の顔は少しばかり不満の表情だ。流石に神の使徒と言えと大迷宮の攻略は早計だと思っているのだろう。しかし、上からの命令には逆らうことが出来なかったらしい。

 

「必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

「……」

 

遺跡でもよかったが、それ以上の謎がある迷宮と聞いて、もしかしたらこの世界の謎が何か分かるんじゃないかと興味を抱くハジメは笑みを浮かべたのであった……。

 

 

俺はメルド団長の話を聞きながら、夕食を優花達と一緒に夕飯を食べていた…。




ハジメの技能〝武芸百般〟の派生〝武術〟についてですが、これは師である李から色々な流派の武術を教え込まれている為、その全てを組み合わせた我流の武術となっています。

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