ハジメ戦決着です( ̄∇ ̄*)ゞ
大樹ウーア・アルトの中のハルツィナ大迷宮の地下空間にある闘技場では、大迷宮挑戦者南雲ハジメと、神代より前から大樹を守っていたゴーレム機神兵の両者がそこにいた。
片や、神を殺す力を得るため。
片や、神を殺せるのか見定めるため。
一人と一機の戦闘の激しさが羅烈と化していた。
「〝紅狼〟、〝限界突破・
〝紅狼〟と本日二度目の〝限界突破・覇潰〟を発動。紅の魔力の奔流がハジメの両手足に赤雷の狼を纏いだす。ステータスが五倍となり、一気に踏み込んでハジメは、ドンナー&シュラークから一秒の間、本当に撃つ動作が見えず、分かるのは発砲音と放たれた十二条の紅の閃光。それに対応した機神兵からは、二つの腕に搭載されたガトリング砲と背中のミサイルポッドから数百発のミサイル郡が同時に放たれた。
だが、両者共、防御体勢を取らずに次の一手を行動に移している。すると、次の瞬間、二つの圧倒的な魔力の奔流。それが、全方位に衝撃波が放たれ、同時にぶつかり合った。両者が放たれたもの全ての軌道が逸らされ、彼方へと飛んでいく。
しかし、そんな魔力にも動じず、ハジメも、機神兵も互いの武器を持ち合わせて近接戦を繰り広げていた。ハジメは、ドンナー&シュラークに〝風刃〟、〝集中強化〟、〝金剛〟を纏わせ、機神兵の〝魂魄魔法〟が付与されたメイスの攻撃の軌道をドンナーで逸らし、シュラークで風の爪牙を喰らわそうとするも、〝重力魔法〟が付与された
「──〝万雷〟」
雷鳴が鳴り響き、数々の紅の落雷が機神兵とハジメに降り注ぐ。ハジメは雷耐性があるからなんとでもないのだが、機神兵も己の頑丈な体で防ぎきった。ハジメは、空中に投げ出したドンナーを手に戻すと数発の閃光を放つ。
機神兵は空いている二つの腕を交差させて直撃を防ぎ、仕返しと言わんばかりに二つの凶器を振りかざす。ハジメは〝天歩〟、〝空力〟を駆使して避け、避けきれないと判断したものは〝集中強化〟、〝竜鱗化〟させた足で蹴り上げて攻撃の軌道を強制的に逸らした。
そのまま、地上に着いたハジメは、ドンナー&シュラークをホルスターに仕舞いながら機神兵の背後に周り込んで、取り出した〝オルカン〟で十二発のロケット弾を放つも、背中のミサイルポッドから射出されたミサイル郡に相殺されてしまい、辺りに爆煙が舞う。
その爆煙が舞う中、一筋の閃光が機神兵を襲う。避けるも頭部の一部を貫かれてしまう。爆煙が舞っている間は危険だと判断したのか斧槍をプロペラのように勢いよく回して爆煙を掻き消して距離を取る。そして、一筋の閃光の正体も判明した。
「チッ………掠っただけか」
そう悪態を吐くハジメの右手には漆黒の大槍〝
「ッ!?」
ハジメは、驚愕して目を見開くも咄嗟に義手で神喰雷槍を受け止め、機神兵の胴体に蹴りを入れると同時に踏み台にして距離を取る。
「クソ……やはり問題はゲートか」
ハジメは、機神兵を捉えながら呟く。機神兵の攻撃パターンは単純だ。一回見れば予測できるし、二つの神代魔法を付与された武器も攻撃の軌道を逸らせばいい。だが、一番厄介なのは〝空間魔法〟のゲートだ。いつ、どんな状況で発動させるのか分からない。
しかし、ハジメは分かっている。〝ゲート〟の原因、空間魔法を付与させたアーティファクト。
それは、
「次は確実に潰してやる。てめぇの
そう、機神兵の扱う空間魔法が付与された部分は右眼であった。それに気付いたのは、機神兵のステータスを昇華させた時だった。不意打ちを喰らった際にハジメは見たのだ。機神兵の右眼に光り輝いていた魔法陣が刻まれていたことに。そして、その魔法陣は、機神兵が〝ゲート〟を展開したと同時に、輝きだしていたことを。
機神兵もハジメに空間魔法を付与させた右眼に気付いたのだろう。じゃあ、どうすればいい。
簡単だ。
───叩き潰せばいいのだから。
機神兵の魔力の奔流が更に倍増され、魔力の衝撃波がハジメを襲う。咄嗟に地を蹴って後退して避けるハジメ。そして、機神兵を見て驚愕の余りカッと目を見開く。
「おいおい、おい……まだ隠してたのかよ」
驚きのあまり苦笑いをしてしまうハジメ。その視線の先には、更に変貌を遂げた機神兵の姿だった。
四本の足にはガトリング砲とミサイルポッドが、両肩にはキャノン砲、腰辺りには蛇腹剣のような尻尾、四本の腕にはメイスと斧槍は変わらず、銃器の代わりに新たにロングソードと菱形型の大盾が装備されている。
そんな禍々しさは神と対となす魔神のように変貌した機神兵。その傍目から見ても分かる圧倒的な存在感と重圧。ハジメは冷や汗を頬にタラリと流す。目の前の存在は、〝限界突破・覇潰〟をしてる今の自分でも倒せないと分かる。神喰雷槍を持つ手が震えてしまう。
だが……
「………上等」
クハッと不敵に笑みをこぼし、敵を見据えるハジメ。狙うは右眼。どんなに強くなっても関係ない。勝つのは自分だと。ハジメは駆け出した。
機神兵の方は動かず銃撃の雨を降らす。迫りくる銃撃をハジメは上手いこと避けていくが、眼前に現れる空間を繋ぐ〝ゲート〟。そして、ゲートから現るハジメが避けたはずの銃撃達が出迎えた。
「っ!?(ゲートの展開が速ぇっ)」
ハジメは、即座に靴底に刻まれた魔法陣で錬成し、壁をつくって壊れる前に移動して避ける。が、更に避けた先、背後、左右からゲートが出現して逃げ場を無くす。
「マジッ!?」
全方位を囲まれ、逃げ場を失うハジメだったが、〝紅翼〟を発動して上へ逃げて回避する。
「クソっ……急に強くなりす────」
急に、ゲートの展開の速さが増してることに危機感を覚えるハジメ。しかし、機神兵の攻撃はあれで終わりでなかった。急に機神兵の方から物凄い殺気を感じ視線を向ければ二つの巨大な魔力弾がハジメに急迫していた。
誘導された。
「っっ!」
機神兵はわざとハジメの上にだけゲートを展開せずに、上へ逃げる選択しかできないように誘導して、肩のキャノン砲を放ったのだ。
キャノン砲から放たれた魔力弾は最上級魔法に匹敵する威力だとハジメは右眼の〝魔眼石〟で確認する。逃げようともあの魔力弾の速度だと逃げる暇はない。
「ならっ」
ハジメは、魔力リソースを挿入して更に翼を強化し〝竜鱗化〟も発動して完全に竜の翼へとなった〝紅翼〟を盾にして、最上級魔法級の魔力弾二つに立ち向かう。二つの魔力弾が〝紅翼〟に直撃する。
直後、巨大な爆発が起こる。爆風はこれまで以上より強く吹き、機神兵すら後ろに動かされてしまう。それもそうだ。最上級魔法二つ分の魔力弾が爆発したのだ。当然だろう。そして、そんな爆風が起きる爆発に、普通は生きられる者はいない。
そう、普通ならば……
機神兵に円形の何かが飛来する。が、容易くロングソードで弾かれてしまう。すると、爆煙の中から何かが落下し、地面に着地した。
「ぐぅっ、はぁはぁ……」
ハジメだ。頬が焼け、服も至るところが焼け焦げ、火傷も酷く負っていた。しかし、機神兵は首を傾げた。
───妙だ。
あれ程の爆発だけで、ハジメは死にはしないと分かっていたが、予想したよりも軽い怪我なのだ。何故?と機神兵が思考が支配してしまい、一瞬の隙が生まれる。
その隙が、
『!』
命取りだった。
何処からか突然と、紅の閃光が、機神兵の眼前に現れた。避ける暇もない。防ぐ暇もない。
故に……
バリンッ!
何かが割れる音が響く。右眼が破壊された。〝再生〟を使おうとも内部機構の急速再生に回してるために使うことは不可能。右眼を破壊された機神兵はもう、〝ゲート〟を使うことができない。
「クハッ……やっと油断したな」
声が感知した機神兵は、ハジメを見る。ハジメはドンナーを持って不敵な笑みを浮かべていた。すると、ハジメの元に機神兵を襲った円形の何かが飛来し、ハジメは指に挟んで受け止め、機神兵に円形の何か──〝円月輪〟を見せる。。
「〝ゲート〟を使えるのはてめぇだけじゃねぇってことだ」
そう。ハジメは、爆発に呑み込まれる中、〝円月輪〟を機神兵がいる方向へ投げ、当たっても当たらなくてもいい。ただ、壊れなければ大丈夫と。そして、
結果、機神兵の右眼。空間魔法を潰し〝ゲート〟を封じた。
しかし、ハジメもハジメで、爆発を耐えたとしても既に体が傷だらけだ。
それに、
「ゴホッ、ゴホッ。……チッ」
ハジメも、咳と共に服に付着した血を見て、自分の限界が近いことを悟る。それもそうだ。一日に
しかし、ハジメは諦めない。
「なぁ、
ハジメは、機神兵を真名で呼ぶ。それに反応した機神兵は、ハジメを見る。
「お前と本気で戦えて俺は命を懸けた殺し合いをしているっていうのに、
そう語るハジメに、機神兵は何もせずに黙って聞く。
「でも、これからの戦いはそうはいかない。アイツ等と戦うとならばこの感情は捨てないといけない。今度こそ
語気を強めて拳をグッと握って話す。しかし、今も喋っているハジメは、本当に南雲ハジメなのか、それとも
「だから、
ハジメはそう言い終えると、ホルスターからシュラークを取り出した。そして、機神兵も動きだす。
───それが、創造主様の御命令ならば
機神兵はハジメの言葉を従うかのうように、再び、四つの腕を動かし武器を構える。
一拍。
この場所で初めて静寂が流れる。
そして、両者の瞳がギラリと輝いたその瞬間、一気に前足を踏み込んだ機神兵は、既にハジメとの距離は三メートルもない。しかし、ハジメは二つの銃を握り締めたまま動かない。だが、機神兵は止まらず斧槍とロングソードをハジメを狙って振り下ろす。
それなのに、一歩も動かないハジメ。もしや、体が限界に達してしまったのか?あの言葉はただの強がりだったのか?そう思ってしまうほどハジメは逃げも戦いもしない。
もう、戦わずして既にこの戦いの勝敗が決してしまっていたのか……
否。
もう、ハジメの眼前にはロングソードと斧槍が迫っている。その時だった。ハジメはボソッと呟く。
「〝
次の瞬間、紅黒い稲妻が奔り機神兵が向こうの壁まで吹き飛ばされた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「────」
唖然。
今は、その言葉しかリューティリスは思い付かない。
一歩も動かないハジメを見て、あの戦いは機神兵の勝利と確信していた。なのに、次の瞬間では、機神兵は向こうの壁まで吹き飛ばされているじゃないか。
リューティリスは、ゆっくりハジメの方へ向き直す。
そして、
「?!」
驚愕する。驚愕の余りゴーレムなのに腰が抜けてしまうほどだ。リューティリスは今のハジメを見て……
「あの御方は、本当に何者ですの………」
そう呟くだけだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
周りにヒビが入るほど壁に強く激突した機神兵は、今、自分が何をされたのか理解できなかった。ただ、分かるのは自分の勝利は確信だったこと。だが、それは叶わず紅黒い稲妻が見えた瞬間、既に吹き飛ばされていたことだけ。
───まさか……!
機神兵はバッとハジメに視線を移す。
「…………」
視線の先には、紅色の線が入った黒いガントレットを両腕に装着して無言で佇むハジメの姿だった。
そして、機神兵を殴り飛ばしたハジメは、体の色々なところを動かしていた。
「……理性を失わない。まだ力が完全じゃないのと、この
そう意味が分からないこと言話すハジメ?は、次に両腕に装着されたガントレットを見やる。
「今はガントレットに
口元に手を当ててブツブツと独り言を始めるハジメ?。だが、今は試練の最中、起き上がった機神兵が空けられた距離を一気に無くしてハジメ?に強襲するが、そな前にノールックで強襲された方向に手を出す。すると、何かのシールドに阻まれてしまって攻撃が通らない。
何度も攻撃を繰り返しても割れる気配のないシールド。そんな中、ハジメ?はうんざりした顔で溜息を吐く。
そして、
「五月蝿い、オレは今、考え中だ」
と、少し眉をひそめると、ハジメの数倍の巨体である機神兵をたった一蹴りで宙に吹き飛ばした。だが、やはりハジメ?の方にも蹴った足から痛みが走り、少し表情が歪む。
「やはり、今はまだ弱いな。力は渡してやる。だから、強くなれ宿主よ」
そうハジメ?が言い終えると目を閉じた。そして、すぐ再び、ゆっくりと目を開けるハジメ。意識も覚醒すると、辺りを見渡して状況の確認を取ることを優先する。
ハジメ自身も、デウスと思われる人物と会話しており、今回、貰った力の能力のことを学んでいた。
「あぁ……って、俺はアイ───いや、今はそんなのはどうでもいいか」
ハジメはそう言うと、こちらに迫ってくる機神兵を見やる。
「ざっと、後五分……」
五分。それは、〝限界突破・覇潰〟が切れるまでの時間。これを過ぎればハジメの
だが、
「関係ねぇ!」
ハジメも機神兵へ駆け出した。両者近くなると先手は機神兵からだった。振るわれるのは、三つの振り下ろされる武器。
しかし、ハジメは防御を取らずにただ一言呟いた。
「〝T.S〟展開」
その瞬間、ハジメに武器が直撃せず、直前で正八角形の赤雷の波紋が発生している何かに阻まれていた。
───〝T.S(Thunder Shield)〟
全方位からの攻撃を防御可能なバリアと言うべき代物であり、展開時には正八角形の赤雷の波紋が発生する。防御力が極めて高く、最上級魔法なら一発分耐えれるほどであり全方位をやめて集中防御をしたら神代魔法の攻撃すらも防ぐことは可能である。
攻撃が防がれ、次の手に移ろうとする機神兵だったが、ハジメの攻撃の方が速かった。ハジメはガントレットで殴りかかる。機神兵も大盾を構える。
刹那、紅黒い稲妻を纏ったレールガンのような速さのストレートが機神兵の大盾を一撃で破壊する。
「ふっ………」
更に続けて〝空力〟を発動して、機神兵に踏み込むと片方のガントレットで繰り出したストレートで、大盾を破壊されて何も持っていなかった機神兵の腕の一本を破壊した。
その規格外な強さに危険と判断したのか、機神兵は一旦、ハジメから距離を取る。そんな中、ハジメは、自分に装着されたガントレットの性能に目を輝かしていた。
「凄ぇ……。これがドンナー&シュラークのもう一つの可能性」
───〝ドンナー&シュラーク・モード:ガントレット〟
機神の力で、
射撃性能を失ってしまうが、打撃性能が高くなり、より近接戦闘に特化されている。魔力を流して電磁加速によって繰り出すレールガン並の瞬速の一撃は、アザンチウム鉱石で作られた壁も容易く破壊できることが可能である。
しかし、目を輝かすのも束の間。
機神兵のキャノン砲やガトリング砲から数多の魔力弾達がハジメへと迫る。だが、ハジメは笑った。
「面白れぇ……遠距離戦……構わねぇよ。試したいことがあったしな」
そう言ってハジメは、〝宝物庫〟から〝クロスビット〟、〝オルカン〟、〝メツェライ〟を取り出し、機神の魔法を発動させる。
「〝
三つのハジメの兵器が一つに纏まり現れたのは、二メートルぐらいの巨大な黒の十字架。中心には骸骨を模したグリップが取り付けられている。
「……〝パニッシャー〟」
ハジメは、十字架の名〝パニッシャー〟を口にすると左のガントレットと接続して魔力を流した。すると、黒一色の十字架に紅の線が浮き始め、各部装甲が展開し砲身を露出させた。そして、接続したグリップの部分の引き金を引いた。
「……発射」
次の瞬間、〝パニッシャー〟の短辺側から複数のロケットミサイルが射出されて、ハジメに向かう砲撃の全てが巨大な爆発と雷が落ちて相殺する。
そして、更に引き金を引くと長辺側に搭載された機関砲から一瞬にして、数百発の砲弾を発射させる。機神兵は避けようとするが、相手は銃の絶技を持つ人間。簡単には避けれず被弾してしまい、前足の一つが破壊された。
しかし、ハジメの攻撃は終わりじゃない。
〝パニッシャー〟に搭載された全ての砲弾を発射し、機神兵へと向かって駆け出していく。機神兵は逃げようとするが、前足の一つを破壊されてしまって上手く走れない。
そして、
「喰らえっ!」
機神兵へ辿り着いたハジメは、〝パニッシャー〟を回転させながら大きく振りかざす。咄嗟に斧槍で防ぐも、重力魔法と空間魔法〝震天〟が付与された〝パニッシャー〟のガントレット前では、たったの一撃で粉砕され て腕ごと持っていかれる。
───まずい。
そう判断したハジメとの距離を離そうとする機神兵。だが、距離を剥がそうとも、ハジメは、〝紅狼〟で強化された脚力の前には、三本になって起動力が落ちてしまった機神兵では到底、適わない。両肩のキャノン砲と足に取り付けられたガトリング砲を放っても、前方に集中的に展開された〝T.S〟によって阻まれ、〝パニッシャー〟から放たれたロケットミサイルによって相殺され、遂には破壊されてしまった。
「逃がすわけねぇだろ」
ハジメは、そう言うと、追い付いた機神兵の間合いに勢いよく踏み込むと空いた右のガントレットから電磁ブレードを出して、腹部に突き刺さして、もう逃げないように拘束すると、
「喰らいやがれっ」
〝パニッシャー〟の長辺側を機神兵の横腹に当てゼロ距離機関砲をぶっ放した。轟音が鳴り、機神兵の横腹には、巨大な風穴を作り上げる。
『!!』
機神兵は、咄嗟に残った三本の腕でハジメのいた場所に攻撃するも、そこには〝パニッシャー〟と取り付けられていた
「クハッ……掛かったな」
そんな時にハジメの声が聞こえ、従うように上を向いたそこに見えたのは、
「…………」
無言で自分を見下ろして、漆黒の大槍〝神喰雷槍〟を手に持ち大きく振りかざしておりその表情は不敵な笑みを浮かべていハジメの姿だった。
だが、ハジメ自体、既に満身創痍。どうなってもこれが最後の一撃だ。しかし、そんな状況にハもジメは、瞳をギラつかせ、更に口角が吊り上げている。
「これでチェックメイトだ。機神兵」
機神兵も既にハジメと同じように満身創痍。どう回避しようと、銃器系は全て破壊され、致命的なダメージにより内部機構は再生が追い付かず、腕は拘束され、足も既にボロボロで内部機構も駄目なら逃げ切れる訳がない。
だが、自爆なら……とそう思った時だった。機神兵は、ハジメのギラつく瞳を見てしまう。どんなに苦境に苛まれようとも諦めず生に執着し、大切な人を守るために強者であり続けるための瞳。
それを久しく見れた機神兵。
故に………
機神兵は受け入れてしまう。
───自身の敗北を。
そして、認めてしまった。
───神達を倒せるということを。
そして、信じることにした。
───創造主の願いを叶えれることを。
そして、託すことにした。
───この世界の命運を。自由の未来を。
だから、認める。
───あの御方の力を受け継いだ異界から来た人間。南雲ハジメの勝利を。
「………〝
その言葉と共にハジメの全魔力が〝神喰雷槍〟に送られていく。〝限界突破〟のタイムリミットが迫り全身の血管から血が噴き出す。だが、痛みも全て無視して魔力を送っていき、切り札の漆黒の大槍に赤雷が纏い出していく。
そして、今あるだけの魔力を装填を完了した漆黒の大槍は、赤雷の魔槍へと変貌していく。
「ガアァァァァァア!!」
言葉にならない叫びを放ちながらハジメは、神をも喰らう赤雷の大槍を地へ解き放った。
まさに神速の如き雷が機神兵を襲う。しかし、機神兵は何もせずにその力を認め受け入れた。
直後、大地までも穿つ紅き雷鳴が闘技場内に轟くのであった。
戦いが終わり少しの静寂が訪れる。ハジメは、ゆっくり地に降りると上半身の大半を失っても地に立ち尽くす機神兵の残骸の前に歩み寄り片膝を落として、そっと触れた。
「………本当に長い間、お前は頑張ったよ。だから今度は、ここで安らかに眠ってくれ」
ハジメは敬意を込めた言葉と眼差しを送ると、機神兵の残骸を〝宝物庫〟へと収めていく。
「資格者南雲ハジメ様、試練突破おめでとうございますわ」
玉座からハジメの前に移動したリューティリスが現れ試験のクリアの激励を送る。その言葉にハジメの表情が僅かに柔らかくなる。
「ありがとよ。でも、もう流石に歩けねぇ……」
そう言いながらハジメは、ドッと疲れが襲ってきたのか足に力が入らなくなって自然と仰向けになって倒れた。
「ふふ、安心し下さいませ。わたくしが、ハジメ様を住処へとお運びしますわ」
「すまん、助かる───」
神代魔法の魔法陣がある住処へと運んでくれるというリューティリスに短く感謝を述べたハジメは、そのまま死んだかのように眠りに就く。
「あら?お疲れのようですわね。まぁ、仕方ありませんわ───ふふっ。あんなにお強い方ですのに、今の貴方様の寝顔の方がお似合いですわ」
リューティリスは、ハジメの寝顔を見て笑みをこぼす。それぐらいハジメの寝顔は、年相応の青年らしく微笑ましい表情であった……。
───合体兵器〝パニッシャー〟
ハジメの持つ兵器オルカン、クロスビット、メツェライを組み合わせた合体兵器。巨大な黒一色の十字架がモチーフの機関砲とミサイルランチャーが搭載されている。
十字架を模した縦のアームの長辺側が機関砲になっており一瞬で数百発の砲弾を発射可能であり、横のアームは機関砲の弾倉となっている。砲弾の威力は一発、一発が、厚さメートル単位の巨大な壁に人間大程の風穴を開けるほど。また、短辺側には数百メートルの大爆発と巨大な雷爆を与えるロケットランチャーも搭載している。
更には、〝重力魔法〟と〝空間魔法〟も付与されており、鈍器として近接戦闘にも用いれる。