ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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今回のストーリーの細かいところを考えていたら投稿が遅れましたm(*_ _)m


八.五章 鬼人戦線〜鬼達が望んだたった一つだけの願い〜
百二十五話 動き出した古


 

それは、遙か遠い昔。

 

まだ、地上に神が降り立ち、地上にいる多種多様な民達を導き、諭し、共に歩んでいた時代。

 

世界の均衡が保たれ、平和であった時代。

 

だが、その均衡は、神々のいざこざで崩け散った。

 

未だに不明であるが、突然、何らかしらの理由で離反した四柱の神と、残りの四柱の神の戦いから始まり、やがて、大陸全てまでも巻き込んだ大戦が勃発した。

 

武器を振り下ろしたことで、大地は割れ……

 

激しいぶつかり合いで、森は消え去り……

 

咆哮で、山が消し飛び……

 

膨大な熱量で、湖は枯れ……

 

大戦によって地形が変わっていく大陸。

 

また、追い討ちをかけるようにと、あちこちの場所で戦いの戦火が広がり、多くの種族が犠牲になった。体を焼かれ、無惨に殺され、魔法の余波に巻き込まれ、誰かの悲鳴が聞こえ、兵として強制的に戦場に立たされ、たくさんの死傷者をだした。

 

大戦によって、家族、友人、恋人、多くの大切な者達が失ってしまった。

 

特に亜人族は、絶滅してしまった種族もいる。

 

何故、亜人が多く被害に遭ったのか?

 

理由は一つ、亜人を纏めていた神が離反した四柱の一柱であり、大戦で命を落としたからであった。

 

魔人族も束ねていた神が離反側であったため、蔑みの対象となっていた。

 

そんな離反した四柱の神の名は、

 

機神デウス・エクス・マキナ

 

慈神クリスタ

 

魔神シキ・オーダイム

 

創獣神エルネシア・ハルツィナ

 

その四柱は、大戦で命を落とし、名も、名声も、全てが闇に葬り去られた。

 

そして、大戦を生き延びた大半の者達は口にした。

 

無意味な争いだった、と……

 

所詮、自分達は神の遊び道具しかなかった、と……

 

これは、腑抜けた自分達に呆れた神達が与えた試練である、と……

 

しかし、少数の者達は口にした。

 

神は、あの方達は、教えたのだ。知らせたのだ。

 

───〝叛逆〟というものを。

 

そして、決意したのだ。

 

───神を殺し、偽りの自由を破壊し、本当の自由を取り戻すことを。

 

 

 

XXXX年後………

 

薄暗く、陽の光も当たらないくらい十数メートルほどの木が何本も生い茂った場所に建てられた石造りの神殿が、そこにあった。

 

しかし、柱が崩れていたり、所々キズやヒビが入っており、苔が生えたりと美しいといえるものではなく、神殿というより遺跡のように見える

 

そんな神殿内の最奥には、大きな祭壇があり、その祭壇の前に跪きながら両手を組み祈りを捧げている者がいた。

 

その者は、二メートルほどの大きさの図体で、跪いていても、その存在感を示しており、祈りをしながらボソッと口を開いた。

 

「貴女様が命を落としてから、もう自分でも数えるのを諦めてしまうほど時は経ちました。しかし、全く生きてる心地はしません。貴女という太陽がいないのですから」

 

その声音は男であり、酷く悲嘆に暮れていた。

 

「我等は、貴女の復活をずっと待ち望んでました……。しかしっ、何故! 何故! 何故!? 奴等の復活が早いんだ!!」

 

段々と男の声は、悲しみから怒りへ変わっていき、組んでいる両手がミシッと音が鳴るほど力が増していっている。

 

「分からない! 何故、あの大戦を起こした原因であったあの二柱が復活して、ただ奴等の口車に乗せられただけの貴女様は復活なさらないのか!!」

 

既に、指を突き立てたせいか両手からボタボタと石床に滴り落ちてしまうほど血が流れてしまうが、男は力を緩めようとせず、更に力を入れながら声を荒あげていく。

 

「我等の神は、デウスの奴でも、ラーゼンでもないっ! 貴女様だけだ。強く、気高く、美しき我等の女神はエルネシア様だけです!! どうか、再び、我等の前に御身の姿をっ……」

 

と、己の願いを言いかける前に、背後から一人のフードを被った男が現れた。そして、祈っている男に声をかける。

 

団長(・・)、少し声量を下げてくれ。殺気混じりの声が外まで響いてしまって、小鬼共が怖気付いてしまってるぞ」

 

フードの男の言葉に、祈りを捧げてる男は後ろに振り返らず、フードの男に声をかける。

 

「……今は、あの方への祈りの最中だ。勝手に入ってくるなチャクラム(・・・・・)

 

恐怖を感じさせるほどの声音に動じず、フードの男改めチャクラムは、祈りを捧げていた団長と呼ばれた男に苦言を呈されるが、チャクラムは、呆れたのか肩を竦めて口を開く。

 

「団長、まだ苛立っているのか。あの日からずっとだが……まぁ、今回は暴れないでくれてるのはこちらとしては助かるが……」

 

チャクラムは知っている。目の前の人物が苛立っている原因を。

 

それは、数日程前の出来事だった。あの大戦以降、崇拝すべき御方が亡くなってからは、団長を含めた自分達は、ずっと時が止まっていたようで生きた心地がしないまま、生きてきた。

 

だが、そんな時だった。樹海の方から、大陸中を駆け巡るほどの膨大な魔力を感じ取ったのだ。だが、自分達が重要なのはそこではなかった。

 

それは、覚えのある魔力だったのだ。

 

忘れる筈がない憎き奴の魔力を……。

 

あの大戦の発端となった一柱の膨大な魔力を。

 

その日から、団長のずっと溜め込んでいただろう、我慢していただろう怒りが爆発したのだ。クレーターを何個も作り、部下を吹き飛ばし、それはもう手の付けられない猛獣のようであり、止めることに精一杯であった。

 

そんな苦労を思い出しながらチャクラムは口を開く。

 

「しかし、そろそろ頭を冷やせ。隊を纏める者が冷静でなくてはならんだろう」

 

そう言うと、団長の鋭い視線がチャクラムを射抜く。そして、声を荒げた。

 

「……苛立つに決まっているだろ!! 何故!あんな奴が復活してエルネシア様は復活なさらないんだ!!」

 

「……っ、団長の気持ちもわかる。俺だけじゃない、他の奴等も怒り狂いそうになっている。俺だってっ、何故、エルネシア様ではなく、あの機神なんだ!?って思うこともある。だがっ、あんたや俺達がどれだけ怒りに身を任せて暴れたとしても、祈ってたとしてもっ、エルネシア様は戻ってくこない。だから、現実を見ろ。アンタは俺達を纏めることをエルネシア様に命じられた団長だろ!」

 

「……っ」

 

チャクラムの言葉に、団長は言葉に詰まる。そうだ、自分は尊きあの御方からこの種族を纏める長を任せられていることを。

 

そんな大事なことを思い出し、落ち着いたのかフゥゥゥと大きく息を吐くと、ゆっくりと立ち上がった。両手には大量の血が流れてるも彼は気にする様子もなく、落ち着いた声音で、チャクラムに声をかけた。

 

「……すまん。気を遣わせたな」

 

「頭が冷えてなによりだ」

 

団長が落ち着いてくれたことに安堵したのか軽い笑みを浮かばすチャクラム。すると、団長がチャクラムに「それで、どうした」と、話しかけた。

 

「お前が断りも無しに、ここに来るのは有り得ない。考えられるは、急ぎの報告か?」

 

団長の言葉に、チャクラムは頷く。

 

「ああ、デウスの野郎の魔力がこちらへ近付いてきていることがわかった。位置的に我等の故郷たる樹海から南へ向かうための道のりを確実にここを通り過ぎるだろう」

 

「………空か? 陸か?」

 

「位置的に空。安心しろ、既に魔力妨害の結界を展開させている」

 

「そうか」

 

団長は、チャクラムの報告を聞きながら、神殿の出口まで歩いていく。チャクラムは、そのすぐ斜め後ろで着いていきながら報告を続けていく。

 

「敵の数は?」

 

カラ(・・)の奴が感じ取った魔力数だと10だ。一つはデウスの野郎、俺達と張り合えそうなのが五つ、雑魚が四つだとよ」

 

「こちらの戦力は?」

 

「小鬼が500、(オーガ)が300、そして、俺達含めて総勢805だ」

 

チャクラムの報告に、団長は何か考えるように口元に手を当てる。その手は、血で汚れているものの、何故か傷はなくなっている。そして、物悲しそうに呟いた。

 

「……減ってしまったな」

 

「しょうがないだろ。あの大戦で俺達の種族や眷属はほとんどが全滅しちまったんだ」

 

悲しみを滲ませた声音で答えるチャクラム。

 

思い出すは、主神が亡くなり他種族から危険と判断されて追われる立場となった同族達。

 

段々と表情が苦くなるチャクラムの額には、一本の()が生えている。そして、そんなチャクラムを気を遣うようにポンッと肩に手を置く団長にも二本の角が生えている。

 

「辛い表情をするな。同族達の分まで我等はすべきことをしないといけない。そうだろう?」

 

「ああ、すまない。変な気を遣わせた」

 

「なに、部下を支えるのが団長として役目だ」

 

「そうかい」

 

その言葉に、チャクラムは薄ら笑みを浮かべた。

 

「報告は以上か?」

 

「ああ」

 

報告を終え、神殿から出た二人。その時、入口で足を止めるた団長は空を見上げて雄叫びのように声を上げた。

 

「待っていろ、デウス・エクス・マキナァァァ!! あの時の積年の恨み晴らさせてもらうぞ!!」

 

宣言のような雄叫びを言えてスッキリしたのかいい表情になった団長は、再び歩き出す。その後すぐに、咄嗟に手で耳を塞いで鼓膜が破れなかったことに安堵するチャクラムが歩き出した。

 

そう、彼等は目的は一つ。

 

それは主神を死なさせた神を殺すために……。

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