ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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FGOのイドのせいで書く気力が無くなったり、四月に入ってからは学校とかあって書く時間がなく、マジで投稿が遅れましたスミマセンm(_ _)m



百二十七話 翡翠の密林

 

声が聞こえた。

 

「優──!」

 

再び、声が聞こえた。

 

そして、その声は誰かを呼ぶ声だと気付く。

 

声音からして声の主は女性。しかし、何を言っているのか分からない。

 

「優花っ」

 

今度は、誰かが自分の名前を呼んでいることも理解した。

 

「ん……」

 

鮮明に声が聞こえ優花は、閉じていた少し重い瞼をゆっくりと開ける。まだ意識が混濁してしまっているのか、視界に見えるもの全てがぼやけている。目の先にいる人物も朧げであるが黒髪の和装を着てることから、自分の大好きで大切な仲間であるとわかった優花は手で目を擦りながらその人物の名を口にする。

 

「ティオ?」

 

「! うむ、良かった。優花も大丈夫そうで何よりじゃ。お主がいつまでも起きないから心配したんじゃぞ?」

 

「大、丈夫? 心、配?……なんか頭イタい」

 

優花が目覚めて、安堵し嬉しそうに優花を抱き締めるティオ。一方、目が覚めても、まだ意識が朧気だったためか、どうしてティオがこんなに自分をそんなに心配しているのか、何故頭が痛いのか分からないまま混乱する優花。そんな優花を見て「やはりか……」と小さく呟くティオは口元に手を当てる。

 

「ふむ、やはり頭をぶつけてしまったせいか少し記憶障害が起きてるかもじゃ」

 

「ん? 頭?……頭……っ」

 

ティオに言われて、最初は困惑していた優花だったが、思い出そうとした時、頭痛が増し、自身が意識が途切れる前の出来事……フェルニルが墜落している中、衝撃で艦内が揺れた際にバランスを崩してしまい、床に強く頭をぶつけてしまい意識を落としてしまったことを思い出した優花は、完全に意識が覚醒したのか、勢いよく跳ね起きた。

 

「そうだっ、ティオ! ハジメは!?皆は!?」

 

そう言って、辺りを見回す優花。今さっきまでは何処か分からなかったが、意識が覚醒した今だと、フェルニル内の自身の部屋だと分かる。

 

しかし、この部屋には自分とティオしか居らずハジメ達はいない。優花は心配のあまりベッドの上で慌ててしまうのだがティオが落ち着かせるように手で優花の背中を摩りながら、落ち着いた口調で語りかける。

 

「大丈夫じゃよ。全員無事じゃよ」

 

「へ? みんな無事?」

 

「うむ。全員無事じゃ」

 

ティオの言葉を聞いて、「よかったぁ〜」と、安堵を漏らす優花は一安心したのか大きく息を吐いた。余程、ハジメ達のことが心配だったのだろう。

 

「ありがとう、ティオ。少し気が動転してたわ」

 

「まあ、無理もない。妾でも予想しとらんかったの。まさか、墜落してしまうとは」

 

「うん……。それで、みんなは?」

 

ティオも流石にフェルニルの墜落に冷静でいられなかったらしい。そして、優花はティオからハジメ達は今、何をしてるのかを聞くと、ティオは「うむ」と、頷きながら話し始める。

 

ティオ曰く、

 

一番早く目覚めたのは頑丈なハジメ、アレス、シア、自分の四人だったらしい。

 

ハジメとアレスはフェルニルの状態と外の場所の確認のために外ニ向かい、ティオはシアと共にまだ寝覚めてない皆を部屋に運んだりしていたらしい。

 

それから、数分後ほど経つとユエ、雫。その五分後ほどニ光輝、龍太郎、鈴が目を覚ましらしく、今はブリッジでハジメとアレスの帰還を待ってるらしい。

 

「まあ、今のところ、妾達はハジメ達が戻るまで待機ということじゃ」

 

「状況はわかった。なら、私達もブリッジに向かおっか」

 

「そうじゃな。皆、優花を心配してるからのぅ。特にユエなど心配のあまりあわあわと動揺しておる」

 

「そっか、なら早く行かないとね」

 

現状を把握できた優花は、頭を強くぶつけたものの普通に歩けるので心配してる皆んなのために、ティオと共にブリッジへ足早に向かうのだった。

 

ブリッジに到着した優花が目にしたのは、銃弾をも跳ね返し傷一つもつかない窓が割れ、頑丈な機体の至るところが損傷してしまっているブリッジの様に優花は息を呑む。だが、割れて飛び散っているはずの窓ガラスの破片などが片付いてるのはシアが自分達が来る前に掃除したらしい。

 

「……優花!」

 

優花がブリッジに来たのをソファーに座っているも落ち着きがなかったユエがいち早く気付き、ティオ同様、安堵し嬉しそうに少し小走り気味で駆け寄る。

 

優花も手を広げて駆け寄ってきたユエを抱きしめる。

 

「ごめんね、ユエ。心配させちゃって」

 

「……ん、優花が目を覚ましたなら平気」

 

そう言って、ユエと抱きしめ合っていると、シアや他の全員も気付き、シアと雫、そして、鈴は、優花達の元へ駆け寄る。

 

「優花さん、やっと目が覚めたんですね!心配しましたよぉ〜!」

 

「優花、良かったわ。元気そうで」

 

「優花ちゃん。良かったぁ〜」

 

「園部さん、良かったよ。大丈夫そうだね」

 

「お、園部。大丈夫だったかよ?」

 

駆け寄る三人と、ソファーに座る光輝と龍太郎にも自分が無事だったことに安堵しているようだ。

 

「ごめん。皆にも心配かけたわ」

 

「そんな気にしてないわよ。私達は優花が大丈夫そうならそれでいいの」

 

雫の言葉に、同意するように頷く全員。それを聞いた優花は「そっか、ありがと」と微笑みながら返した。

 

「あ、そうえばさ、ハジメとアレスさんはまだ帰ってきてないの?」

 

「……ん、まだ帰ってきてない」

 

「そっか、少し心配ね」

 

「そうですね。まあ、戦いが起こったような音もしてませんし、あの二人なら大丈夫でしょうけど………」

 

それもそうだ外に出たのはこの中でも最大戦力であるハジメに王国最強であり周りから人間を卒業してると言われてるアレスの二人。

 

シアの言葉にブリッジにいる全員がうんうんと頷く。

 

 

「でも、心配よ」

 

「それもそうだな。もし、南雲達の帰りが遅かったら俺達も外に出よう」

 

「そりゃあ、いい考えだな! 俺は勿論、光輝について行くぜ!」

 

「わ、私も!」

 

ハジメとアレスの二人組なら問題ないろうけどちょっと心配な優花、ユエ、シア。普通に心配する雫。外に出ようとする光輝、龍太郎、鈴の各々が心配してる中、優花の隣にいたティオが何か気付いたのか通路の方へ振り向き、そして、笑みを浮かべると視線を固定したまま、全員に聞こえる声音で口を開いた。

 

「うむ。じゃが、その必要ないようじゃぞ?」

 

そう言い切ったティオを見る全員は、彼女の視線の先を見ると、そこには先程、話題になっていた二人組であった。優花達の表情が安堵に変わる。

 

「お、優花も起きたのか」

 

「全員、無事で何よりです」

 

ブリッジに戻ってきた二人は、全員が目を覚ましてることに安堵した表情だ。そして、ハジメは優花の方へ歩み寄りると、彼女の腰に手を回しながら抱き締めた。

 

「目が覚めてよかった。優花なら大丈夫だろうと思っていたが、やはり心配だった」

 

「ごめん、ハジメ。心配かけた」

 

抱き締め合いながら、見つめあうという即座に二人だけの空間を作り上げたハジメと優花。ユエとシアが羨ましそうにぷくぅと頬を膨らませる。

 

「「むぅ」」

 

「………ほぅ」

 

ティオも余裕そうに見えるが視線がハジメと優花に向かっているので羨ましがってるのが分かる。しかし、そんな中、二人の空間を雫が咳払いで中断させた。

 

「コホンっ!! 南雲君、イチャイチャ見せつけるより先に外のことを説明してくれないかしらぁ?」

 

少し怒気を孕みながら話してる雫に、ハジメは「そうだな」と、肩を竦めながら優花から離れると、アレス以外の全員に「まぁ、一旦座れ」と、指示を出した。

 

アレス以外の全員が座ったのを確認したハジメはフェルニルの現状を説明を始める。

 

「フェルニルだが、損傷はしているがどれも致命的な損傷じゃねぇから、直ぐに復旧とは言えないが、一日もあれば修復できる」

 

そのハジメの言葉に、全員の表情が明るくなる。

 

「なら、早く修理して大迷宮に行こうぜ!」

 

「ああ! 南雲、今から修理を始めよう!」

 

早く大迷宮に向かいたい光輝と龍太郎がハジメに進言するが、ハジメの方というと何とも言えない顔で、進言した二人も優花達も首を傾げる。

 

「ああ、フェルニルはな……だが、問題は別にあるんだよ」

 

その言葉に?と浮かべる優花達に対して、ハジメは〝錬成〟で即座にホワイトボードを作成する。そして、ホワイトボードに簡略化したトータスの大陸図を書き出すと、ハジメは全員に話しかける。

 

「これはトータスの大陸を簡略化に描いたものだ。分かってるよな?」

 

「まぁ、ハジメと一緒に勉強したし」

 

「……ん、当然」

 

「当然じゃな」

 

「当然ですね」

 

「ええ、まあね」

 

「ああ、この世界図は把握してる」

 

「じゅ、樹海なら分かります………」

 

「ん? おおぅ、知ってるよ……知ってる」

 

「アハハ〜」

 

ハジメの言葉に大半は同意する。若干、三人ほど顔を逸らしているが……。

 

樹海生まれで教養もなかったあろうシアはまだしも、龍太郎と鈴に関しては少し呆れてしまうハジメであるが、問い詰める気がないのでそのまま話を続ける。

 

「そして、俺達は樹海から魔人族領へ向かっていた」

 

そう言って、大陸図に印や矢印など描ていくハジメ。

 

「……が、ここでフェルニルが何らかの原因で操縦者の俺との魔力パスが途切れ、そのまま墜落したってわけだ」

 

印をつけた場所を指差しながら説明してると、印の場所を見て何か思ったのかティオが口を開く。

 

「ふむ……丁度、境界線じゃな」

 

「ああ、流石ティオ正解だ」

 

「流石ですティオ殿」

 

ティオの回答に頷き聡明な彼女を称賛するハジメとアレス。しかし、ティオは不思議そうで首を傾げながらハジメに尋ねる。

 

「じゃが、ハジメ。何故、そんな説明がいるのじゃ?この場所は雪と大地の境界線があるだけじゃぞ? 気になるところはなかろう」

 

そうティオの記憶が確かなら、その場所は多少植物が生えているだけの境界線が張られた場所の筈だ。なら、直ぐにフェルニルを修復して、そのまま大迷宮に向かえばいい。ユエもティオの意見に賛成して首を縦に動かしている。

 

だが、ハジメとアレスは首を横に振る。それを見たティオが「どういうことじゃ?」と言葉にしながら目付きが変わる。真剣な表情だ。

 

「ティオの意見はご尤もだ。俺もアレスも直ぐにフェルニルを修復しようと思った。でもな、俺とアレスの見た光景は、木や草が生い茂った森……いや、正確には密林だった。そして、一番驚いたのは、その密林を全て覆うほどの規模の巨大な結界が張られていた」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

ハジメの言葉に、誰もが息を呑む。

 

「一瞬、遺跡だと思ったんだが違うとアレスは言ってたしな」

 

「えぇ、此処は遺跡ではありません。設備が完璧過ぎます。未踏破の遺跡だとしても綺麗すぎる。そして──余りにも魔力密度が高い」

 

幾つかの遺跡を攻略したアレスは構造的に遺跡とは別物だと瞬時に分かったらしくアレスの言葉にユエもティオも同意する。

 

「それもあってな張られた結界を俺の〝構造把握〟で調べたら魔力妨害、隠蔽、内側からの脱出を拒む魔法が付与された結界だと分かった。フェルニルが墜落したのもその魔力妨害が原因だろう。しかし、驚いた。俺の〝魔眼石〟を以てしても視ることは不可能だったし、色々破壊しようとしたが、銃も、ロケット弾も、ガトリング砲も、俺とアレスの魔法でも傷一つなしお手上げだ」

 

そう言って肩を竦めるハジメ。続いてアレスも話す。

 

「私も驚きました。まさか、現代に神代レベル……いや、それ以上の代物と言える結界を目の当たりにする日が来るとは」

 

「嘘。全然、気付かなかった……」

 

「……そんな結界が実在してたなんて」

 

「全くじゃな……妾も驚いている」

 

ハジメとアレスの言葉に、驚きを隠せない一同。そんな中、何か考えていたティオが再び、二人に尋ねた。

 

「ハジメ。つまり、こう言いたいのじゃな?結界はアーティファクトの類。じゃが、アーティファクトならば何者かが、発動させていることになるし、結界の能力に内側からの脱出を拒むとなれば、完全に妾達は檻の中」

 

「え、それって……つまり」

 

「ああ、俺達もティオと同じような結論の至った。今も〝オルニスA*1〟を飛ばして結界を発動させているアーティファクトを捜索させてるが……あれ程の結界を発動させるアーティファクトだ。何処かへ隠してるか、守護してるだろうな」

 

ハジメの言葉に、今度は光輝がハジメに尋ねた。その声音と表情からは何処か焦っているように見える。

 

「じゃあ、フェルニルを修復しても、その結界をどうにかしないと俺達はこの場所を抜け出せないってことか?」

 

「まあ、今のところはそうだな」

 

そんなあっけらかんな態度でいるハジメを見て、光輝の表情が段々と怒りへと変わっていき、遂に怒声を上げた。

 

「何故、お前はそんなに平気でいられるんだ!? もしかしたら、一生ここから出られない可能性もいるんだぞ!!」

 

キレる光輝に、ハジメは溜息を一つ。

 

「あのなぁ……天之河。変に焦ったって視野が狭まるだけだぞ。それに何を焦ってる? 生き急ぐと早死にするぞ」

 

「っ!? お前に関係ないことだ!」

 

ハジメに自分が焦っていることに悟られたことに動揺する光輝。そんな様子を横目で捉えるハジメは、溜息を吐きながら全員に視線を戻すとある提案をする。

 

「しかし、天之河の意見も分かる。俺も神共との戦いに備えるために最後の神代魔法を手に入れなければならない。だから、二手に別れないか?」

 

「二手、ですか」

 

「ああ。フェルニルの修復組とこの遺跡モドキの捜索組の二つ。フェルニルの修復は、俺しか出来ないから俺は修復組に入る。後、フェルニルの防衛のためにニ、三人ほどいて欲しい」

 

「未知な場所ですし、一人なのは危険ですからね」

 

そんなハジメの提案にアレスが同意を示すと、「後、いいですか?」と、アレスはハジメに話す。

 

「後、探索組に私、勇者組の四人とユエ殿にして貰えませんか?」

 

「おう、いいんだが……理由を聞いておこうか」

 

「まあ、大方の目的は勇者組の実力上げで、私とユエ殿はそのサポートを、と」

 

アレスは、最後の大迷宮を攻略前に、この密林で出来るなら四人を鍛えたいらしいことだ。その案を聞いたハジメはそれはアリだな、と頷く。

 

まだ光輝達の実力は四人でやっと〝ネームド〟の使徒と相討ち出来るかぐらいギリギリの実力。正直いって足手まといになる。ならば、この密林で更に強くなって貰うのはハジメとしては嬉しいもの。危なくなってもアレスとユエがいるならば大丈夫だろう。

 

そうアレスの案に賛成なハジメは、光輝達の方へ視線を転じながら乗るか否か聞く。

 

「俺は賛成だが、お前達はどうだ?」

 

ハジメの言葉に、光輝は待ってましたと言わんばかり強く頷く。他三人も同様、表情を輝かせる。

 

「ああ、構わない。更に強くなれるならっ」

 

「うしっ、やるかぁ!」

 

「私、頑張るよ! ね、シズシズ!」

 

「ええ、そうね。私も賛成」

 

勇者組は全員案に賛成らしい。ハジメは次に捜索組に推薦されたユエに視線を転じようとしたが、それより先にユエハジメの方へ駆け寄り、そっと手を優しく包み込むように自分の手を添えながら言う。

 

「……私とアレスがいれば何とかなる。だから、ハジメが心配することない」

 

「クハッ。なら頼んだユエ」

 

「……んっ」

 

嬉しそうにはにかむユエの姿に、ハジメも微笑み、二人は見つめあうと抱き合ったりとイチャつき始める。

それに続き、ハジメとユエの姿に嫉妬したのかシアがハジメに甘えるようにウサ耳をハジメの頬に添えるように抱き着いたり、優花とティオもそれに乗じてハジメに甘えたりと激甘な空間が誕生する。

 

そんな激甘光景を眺める光輝達。アレスはカチャカチャと何かをしているので平気そうだが、光輝達四人はげんなりとした表情になっている。

 

何度も見せつけられ見慣れてる光景であるが……あるのだが、やはり口の中が甘くなってしまう。特に男子陣は敗北感を感じてしまっている。

 

そんな中、アレスが片手でトレンチを持って「コーヒー要ります?」と、四人にコーヒーが淹れられたカップを差し出す。

 

そんな、アレスのご好意に光輝達は力強く頷いて差し出されたコーヒーを飲むのであった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

樹海のように霧もなく、険しさもあまり感じられない。しかし、周りに生える巨木で陽の光が当たらないせいか少し薄暗い密林の中をアレス、ユエ、光輝達の捜索組一行は、自分達を閉じ込めている結界アーティファクトがあると思われる密林の中心へと向かっていた。

 

「しかし、遺跡じゃないとしてもこんな僻地にこれほどの木々が生えているとは驚きですね。ユエ殿、そちらは?」

 

「……ん、ハジメから〝オルニスA〟を貸して貰って空を確認したけどそれらしい場所が見えない。もしかしたら結界の隠蔽系の魔法で隠してるのかもしれない」

 

「やはり、ハジメ殿はともかく〝天眼〟を使える優花殿はこちらを担当して欲しかったですが……」

 

「……ダメ。目が覚めたばかりの優花に無茶はさせれない。ハジメの傍で安静させるのが良い」

 

「冗談ですよ。私としてもそんな酷なことはしません」

 

そう話している先頭のアレスと最後尾にいるユエ。アレスの冗談にムッとなるユエであったが、二人の話を聞いていた雫が話しかける。

 

「やっぱり、そんなに珍しいことなんですか?」

 

そう言う雫に同意するように、隣にいる光輝達も雫の言葉にウンウンと頷くと、アレスは近くの木に触れながら雫達に説明する。

 

「ええ、先程も艦内でティオ殿が言ってたように本来、この場所は雪と大地の境界線です。ある程度の草木は生えますが、これほどまでには成長するわけないんです」

 

「なぜ、そう言えるんですか?」

 

「それは、この境界線は人間族と魔人族の戦争に多く使われた場所ですから」

 

「……ん、アレスの言う通り。ここは昔から戦地にされた場所。私もここであった戦争に赴いたことがある」

 

その言葉に光輝達は息を呑む中、ユエがアレスに肯定しながら少し自分の過去を語りだす。

 

ユエ自体も、この場所で他国との戦争で参戦したことがあるらしく、この境界線は平野であり、全てが見渡せるために白兵戦が多かったらしい。

 

「ユエ殿の言葉通り多くの人がこの境界線で死んでいます。ただの神々の気まぐれで起こされた戦争で……その歴史はずっと前から続いてます。しかし、私が王国、帝国の書庫にあった戦争についての文献には一つも密林や遺跡のことなんて記されてない。いや、この場所自体が知られてなかったかもしれませんがね」

 

そう何か思い詰めるような表情をしながら語るアレスに光輝達は何も言えなくなる。

 

光輝達は、アレスが戦う理由を知っている。以前、光輝が鍛錬の後に聞いたからだ。

 

『戦う理由ですか………そうですねぇ、今と変わらず私の戦う理由は、神々を殺して救界を成し遂げる。それだけです』

 

それは、己の信念を貫き進むアレスの言葉。しかし、その時の表情は悲しげだが、その目は真っ直ぐ鋭っかたのを鮮明に覚えている。

 

(アレス)は知っているから

 

己の力を過信したことでの悲劇を。

 

己が弱いことを。

 

故に、何か言いたげそうだったのに黙る光輝達。

 

しかし、当のアレスは、不思議に思いながら首を傾げながらも自分に着いてくる四人の顔つきが、以前と比べて良くなってることに感心し少し顔がほころぶのであった。

 

 

「しかし、暇だなぁ。敵も魔物もいねぇし」

 

アレス達が密林の中を歩き続けて数十分ほど、いつまでも何も起こらないことに暇になったのか愚痴り出す龍太郎に光輝、雫、鈴の三人が呆れた眼差しを向ける。

 

「……言いたいことが分かる。だが、龍太郎、今は戦いじゃない」

 

「はぁ……龍太郎、私達は今は戦闘よりアーティファクトの捜索が優先なのよ?しっかりしなさい」

 

「私としては何も起きないで欲しいけどな〜」

 

龍太郎の愚痴に、三人は龍太郎を咎める中、三人は予想外の人物の言葉に驚きの目を向けることになる。

 

「けどよぉ……」

 

「………そうですね。私も、龍太郎君に同意します」

 

「「「え」」」

 

「おっ、流石アレスさんだぜ!」

 

常識人のアレスの口からとんでもない龍太郎地味た言葉を聞いて口をポカンと開けて唖然とする三人と、喜びわ顕にする龍太郎。

 

後ろにいるユエは、最早このやり取りに呆れを通り越したのか面倒くさそうにしてしまっている。

 

「もう、アレスさんも余計なことを言わないでください。龍太郎が調子乗っちゃうので」

 

ジト目をしながらアレスの言動を咎める雫に対して苦笑いを浮かべるアレス。

 

「アハハ〜。それは、すみません。でもおかしいんですよ」

 

しかし、アレスがそう言ったのは、龍太郎みたいに戦いたいという脳筋レベルの理由ではない。

 

表情を崩さずアレスは淡々と告げる。

 

「本当におかしいんですよ。気配、魔力まして魔物さえもいないのに、何故か敵意の籠った視線(・・・・・・・・)を向けられるなんて、ね」

 

次の瞬間、全方位から風切り音と共に飛来する何かがアレス達を襲いかかる。

 

これは、敵からの挨拶……もしくは警告か。

 

だが、分かることは一つ。この密林にいる何かは外からの来訪者(ハジメ達)を歓迎してないことだけが分かるのであった……。

 

*1
ハジメが以前作成していた重力制御式無人偵察機〝オルニス〟に改良を加えたアーテイファクト。以前のオルニスはハジメの制御が必要であったがオルニスAは魔力を流すだけで後は、操作をしなくても事前にハジメが指示していた事を実行するよなプログラムを搭載している半自律型機動無人偵察機




次回は早めに投稿できるよう努力します( ̄▽ ̄)
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