ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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ジャブラに負けてしまったハジメは目を覚ます。その視線の先にあったのは………



百三十二話 心の奥底

 

アレス、ユエは光輝、雫、龍太郎、鈴と合流を果たすとフェルニルへ戻る為に密林の中を駆け抜けていた。

 

先程、鬼人族と呼ばれた亜人最強の種族のチャクラム、ベール、ジェイドの三人と戦い痛み分けとなり、去り際に告げられた言葉にアレスは嫌な予感がしてか一旦、フェルニルへ戻ることにしたのだ。

 

「アレスさん、本当に大丈夫なんですか?」

 

密林を走り抜けながらそう心配を口にしたのは雫だ。その後ろに光輝、龍太郎、ペースが速い為に既に息を荒くなってる鈴の姿が見える。

 

四人は、最初、ユエと共に結界のアーティファクトの在り処を知っているだろう黒幕を捕まえにいったアレスの帰りを待っていたが、数十分経っても帰って来ないアレスに不安を感じたユエがアレスを迎えに行き、その数分後、二人の帰りを待っていると、数分後には二人は帰ってきた。

 

それも物凄い勢いで走りながら……

 

その必死な姿に驚く光輝達は二人に光輝と雫が声をかける。

 

『アレスさん、ユエさん! どうしましたか!!』

 

『二人共、何があったんですかっ?』

 

光輝と雫の声が聞こえたか、服がボロボロのアレスとユエは雫達の方へ視線を向けるとアレスの声が掛かる。

 

『皆さん! 急遽、フェルニルへ戻ります!』

 

『え、なん──』

 

『走りながら説明します。いいから、早く!』

 

何故、フェルニルに戻らないといけないのか分からないが、アレスとユエの焦り具合に押された四人は理由は分からずとも二人の指示に従い、後を追うことになり現状に至る。

 

雫の心配に、アレスはハハッと軽く笑って返す。

 

「雫殿、私のことは心配することはありませんよ。それよりも今は、ハジメ殿達が気掛かりです」

 

「南雲君達がですか?」

 

「ええ、先程伝えた鬼人族。もしかしたらハジメ殿達の方にも別働隊として襲撃していたかもしれないんです」

 

「でも、それなら大丈夫じゃないですか? あっちには南雲や園部さん達もいて俺達よりも強いメンバーがいるんですよ?」

 

「おうよ、今さっきの魔物も楽に倒せたんだし南雲達なら余裕に対処できると思うぜ?」

 

「うん鈴も、その鬼人族っていう人達もアレスさんが同時に三人相手で善戦したんですし」

 

アレスの言葉に、光輝、龍太郎、鈴が反論するとアレスの隣で併走していたユエが口を開く。

 

「………もし、私達のところは(別働隊)で、ハジメ達のところに向かったのが本隊だったら?」

 

その言葉を受けて光輝達は目を見開く。

 

「じゃあ、敵の狙いって……」

 

「仮説ですが、私達の唯一のこの密林から抜け出せる移動手段であるフェルニル。もしくは護衛組に残った四人の誰かを確実に潰しにいったと思えます。それに、私が戦った鬼人族の一人が言っていたんですよ「自分は副団長だって」ね。後、彼は私同様、本気ではなくわざと時間を稼いでいるような戦い方をしている様に思えました」

 

アレスは思い出す。自分が〝原点(オリジン)〟を隠していたようにチャクラムも本当の力(・・・・)の力を隠していたことを。

 

「つまり、本隊の動きの予見、邪魔をさせない為に私達はまんまと敵の別働隊の罠に嵌ったということですか?」

 

雫の答えに頷くアレス。そして、そろそろフェルニルの場所へと近付いてきたと時だった。

 

「っ!」

 

先陣を切っていたアレスが手で口元を覆いながら走るのをやめ止まる。他の五人にもストップとサインを送り、それを見た五人も止まる。

 

「どうしたんですかアレスさん!」

 

「……遅かった!」

 

「え?」

 

アレスの言葉に一同は固まる。そして、五人もアレスが何故、そう口にした理由を己で理解する。それは、微かに香る血の匂いと目の前の木々が薙ぎ倒されている光景を目の当たりしたからだ。

 

「これは………」

 

「………残留魔力から見て時間的に十数分。アレス!」

 

「ええ、急ぎましょう!」

 

余りの惨状に驚愕してる光輝達、ユエは薙ぎ倒された木に触れて感じ取れる残留魔力から何時、戦いが終息した時間が分かり報告を聞いたアレス達は再び、フェルニルへと走りだす。

 

近付いていく程、周りの木々や大地が荒れているのがわかる。

 

そして、

 

「っ………やはり」

 

「嘘……」

 

「な、南雲?!」

 

「有り得ねぇだろ!」

 

「こんな、酷い!」

 

フェルニルの元へ辿り着いたアレス達は、その光景に広がる有り様に絶句する。戦いで荒れ果てた大地に朽ち果てた木々、そして一人のウサ耳少女が何処にも居らずいるのは倒れ伏した三人の姿。その内の戦闘が激しかったのだろう大きなクレーターの中心で仰向けに倒れているハジメは重症。

 

そんな大切な人達の酷い有り様に駆けつけた吸血姫は訳が分からず呆然と立ち尽くしたまま、この状況は夢だと脳内が現実を否定しようとして体が上手く動かない。

 

「ハジメ殿っ」

 

アレスはというと急いでクレーターへ滑り落ちながら重症であるハジメの元へと駆け付ける。そして、〝再生魔法〟で回復を施しながらハジメの容態を調べる。

 

「肉体の損傷は応急処置でなんとかなってる。問題は内蔵ですか。魂魄は正常……っ(以前より強くなっている?!)」

 

血の量と服の破れようからみて腹部を貫かれたのだろう内蔵がボロボロだ。しかし、応急処置が施されており内蔵はまだしも、傷は塞がっており微かに息があることを確認し安堵しながらもアレスはハジメの魂魄の異常性に驚きを隠せない。

 

「(ですが、今はそれよりもっ)」

 

アレスは、魂魄は気掛かりだが気持ちを切り替え、ハジメ微かに生きてることを確認し、倒れている優花、ティオも息をしているのを分かると急いで光輝達を呼び掛ける。

 

「皆さん! ハジメ殿達は無事です!今ならハジメ殿の治療も間に合う!急いでフェルニルの医務室に運びますよ!」

 

「「「「「!、はい!(ん!)」」」」」

 

その言葉を聞いて、急いで雫は優花を、鈴とユエはティオを、アレスはハジメを担ぐと急いで治療する為に自分達の拠点へと戻って行くのだった。

 

 

 

 

アレス達が倒れる三人を運んでいる頃、ハジメは自身の視線の先の光景に目を疑っていた。

 

「んだ、此処………って腹は!? 穴は?!」

 

そう言ってハジメは、急いで腹部を確認する。そこには腹部にポッカリと空いていた穴は塞がり、服すらも修復されていた。

 

「傷が治ってる……それに、武器も〝宝物庫〟もなくなってやがる。だが、一番は………」

 

ハジメの視線の先には、夕焼けで紅く染まる空が無限に続いて、己が立つ大地には海も、水も、木も、岩すらもないただ赤土の荒野が広がっていた。

 

「何かの精神干渉系の魔法……いや、やはり死んだか?」

 

思案するハジメ。最初は精神干渉系の魔法を疑うもあの場にいた敵にはそっち系の魔法を扱う者は居ない。なら、自分はあのジャブラの一撃で死んでしまったのかと仮定付ける。

 

「しかし、死後の世界ってこんな感じかぁ……流石に質素過ぎるってこれは」

 

しかし、もし仮にこの場所が死後の世界であるなら死後の世界にはファンタジーを連想してたハジメには少しガッカリである。

 

「違ぇよ、お前はまだ死んでねぇさ」

 

そんな事を思っているとハジメの後ろから声が掛かる。警戒しながら振り返れば其処には一人の灰色の髪色をした青年がいた。顔付きは自分ぐらいだが、纏う雰囲気からハジメの本能的にヤバイと告げている。

 

警戒を怠らないハジメは、青年に睨みを利かせながら何者かと問い質す。

 

「アンタは?」

 

「俺? そうだな………」

 

ハジメの質問に、青年は少し考える素振りを見せながら応える。

 

「アンタを新たな機神の〝器〟へ昇華させた張本人さ」

 

「は?」

 

その言葉に一瞬、理解出来ず放心するハジメ。だが、機神の言葉にハッとなり目の前の青年の正体に気付いたハジメは身構える。

 

「それじゃあ、てめぇが〝機神〟デウス・エクス・マキナか?」

 

「まあ、そうでもあるが少し違うな」

 

ハジメの問いに曖昧な回答を答える青年。ハジメの視線が更に鋭くなる。

 

「じゃあ、なんだ?」

 

「俺がデウス・エクス・マキナなのは間違いない。だが、俺は其のデウス・エクス・マキナから生まれた一つの概念魔法であり能力は己の力の継承。つまり、生きた魔法みたいなもんよ俺は」

 

「…………マジかよ」

 

「マジマジ。本当の俺の魂魄は、ラーゼンの野郎に完全に破壊されちまってる」

 

さらっととんでもないことを告げるデウス・エクス・マキナ(概念)にハジメは驚きを隠せず身構えていた腕を下ろしてしまう。そして、額をグリグリしながらハジメはデウス・エクス・マキナを見る。

 

「じゃあなんだ、アンタはデウス・エクス・マキナが消滅する寸前に残していた優花の天使化(クリスタ)のように認めた相手に力の継承をさせるような力を施された概念魔法なのか?」

 

「うーん、俺のは少し違う(・・・・・・・)けど、大体は合ってるさ」

 

デウス・エクス・マキナの答えに少し引っ掛かりを感じたハジメだが、それよりも自分達がいるこの場所は何処かなのか聞く。

 

「なら、此処は死後の世界じゃないんだな」

 

「ああ、此処は、心の奥底。南雲ハジメの在り方を形造る心を形に模した世界。所謂、心象世界って奴さ」

 

「………そいいうことね。じゃあ、この荒野は俺の心の奥底に秘める想いを形にした世界で、今いる俺は魂魄とかそういう系でこの世界に現界してるってわけか」

 

「そういうことさ。でも、余り驚いてないね」

 

「驚いてるさ。だけど、異世界転移してから、こんな非現実的な事象もなんだかんだ受け入れちまってんだよ」

 

最初は自分が自身の心象世界にいるという事実に驚くも、トータスに召喚されてから余りにも非現実的な生活を送ってきたハジメからしては状況を理解さえすれば納得してしまう。

 

それに、

 

「この世界の夕焼けは俺は一度も忘れることはねぇしな」

 

空を見上げ、ハジメは懐かしむように語る。あの夕焼けの下で、最愛の彼女(優花)と出会い、約束し、決意を誓ったからこそハジメはこの光景を忘れる筈は無い。

 

「流石だよ、南雲ハジメ。君のその在り方は本当に俺に似てる。だからだろう、概念魔法である俺はそんな君の在り方に引き寄せられてのだろう」

 

「俺が〝器〟選ばれた理由はそれか?」

 

「ああ、お前は俺になれる資格がある」

 

ハジメの言葉に強く頷くデウスは顔を見上げ、夕焼けで紅く染まる空を眺める。

 

「話は理解した。んで、俺を此処に呼んだ本当の理由は?」

 

「……クハッ、流石」

 

見透かされてることに笑いを零すデウスはハジメの真剣な瞳を視界に入れながら口を開く。

 

「南雲ハジメ、君が俺の力を扱えるようになるには三つの条件を突破しなければならない」

 

「三つの条件?」

 

「ああ、一つは機神の力を耐えうる〝(アーマー)〟、次に機神の力に呑まれず己の存在を証明する〝(エンジン)〟、最後は機神の力を最大限に引き出す為の〝機構(ギア)〟の三つの条件を突破すれば南雲ハジメ。君は(デウス・エクス・マキナ)を越えれる」

 

「─────」

 

突然、告げられたデウスの言葉にハジメは言葉を失い目を見開く中、デウスは話を続ける。

 

「そして、君の〝器〟はもう少しで成る。魔物を喰らい成長するその肉体は既に嘗てのデウス・エクス・マキナの肉体を遥かに超えている。後は────」

 

「ジャブラの野郎を越えることだろ」

 

「正解だ」

 

ハジメの言葉にデウスはは笑って答える。

 

「不屈のジャブラ。〝創獣神〟エルネシアに仕えた最強の戦士。世界の常識を一変させたあの大戦で神の領域に踏み込んだ三人の化け物共──〝三英雄〟の一人。その中でもジャブラは最前線で猛威を振るった化け物の中の化け物。その力と耐久は神達にも届く」

 

「三英雄、か。ならあの規格外の強さに納得だ。しかし、倒せるのかよ?お相手さんは俺の全力を以てしても真っ正面から打ち負かされたんだぜ」

 

デウスからジャブラの詳細を聞いて納得するハジメ。替体(スペア)であったものの神の一柱であるオルステッドを屠った〝獄神喰雷槍〟を真っ正面から打ち勝った鬼人。

 

そんな常識外れの存在に対してハジメは苦笑いをこぼすがデウスはというと意味ありげな視線を向けながら言う。

 

「ああ、でも覚えたんだろ(・・・・・・)? 」

 

「………まぁな」

 

「ハッ、流石だぜ。誰も思わねぇよ負ける前提(・・・・・)で全力で戦っているなんてよ」

 

そう、ハジメはジャブラを一目見た瞬間、自身の負ける未来しか思い浮かばなかった。故に、ハジメは勝つことよりも負けて相手の動き、持ちうる手札、クセ、弱点を見極めたのだ。

 

しかし、

 

「だが、あの野郎はまだ隠してる。それも特大の爆弾をな」

 

戦って分かる。ジャブラはまだ隠している。神に匹敵する強さを持ち英雄と称されていた鬼人だ。戦況を引っ繰り返すぐらいの固有魔法がある筈だ。

 

そんなハジメの問いかけにデウスは頷いた。

 

「ああ、其の推測は正解だ南雲ハジメ。ジャブラ……いや、鬼人族はまだお前達に見せてない奥の手がある」

 

「詳細は?」

 

「教えてもいいが、今のお前にじゃ、何も役に立たねぇよ?」

 

詳細を聞こうにもそう答えるデウスに若干、ムカつくも奴等に奥の手があるとわかったハジメ。そして、それを越えるのに、此方側も相応の手札を切り札(ジョーカー)が必要になる。

 

「………まさか」

 

考える内にハジメはある結論に至りデウスを見る。

 

「あるんだろ? 俺がジャブラに勝つ確率を底上げする何かを。機神の力ではない力を」

 

自分を此処へ呼び出した理由は其のことをハジメはデウスとの会話で確信していた。案の定、デウスも笑って頷いた。

 

「………ああ、有るさ。俺もアンタに器にして驚いた。あの魔法を扱える資格があるなんてよ。少し羨ましい」

 

そう話すデウスは、頭に手を当てながら羨望の眼差しをハジメに送る。

 

「そんなに凄いのかよ?」

 

「ああ、もしデウス・エクス・マキナに其の資格があったのならばラーゼンに勝てたのかもしれない程だ」

 

「な!?」

 

ハジメは驚きの声を上げる。デウスがそう口にする程の代物を自分が持っていることに。

 

そして、だからこそ知りたい。

 

「で、なんだよ。その力というものは?」

 

ハジメの言葉に対してデウスは夕焼けを眺めながら近くにある小岩に腰を下ろす。

 

「其の前に一つ問題だ、南雲ハジメ。お前にとって最強の魔法ってなんだと思う?」

 

「それは、神代魔法とか概念魔法だろ?」

 

「そうだな、この世の魔法の根幹にあたる七つの魔法〝神代魔法〟。そして、その前身であり強大な神の御業とも言える魔法〝概念魔法〟。ああ、この二つの魔法は強い。だが、」

 

────ラーゼンが持つ魔法はそれすらも越える。

 

「─────」

 

「名は────魔法。俺も詳細は分からないが俺が知る中で最凶の魔法だ。俺デウス・エクス・マキナは、その魔法とラーゼンの強さの前に敵うことは出来なかった」

 

悔しそうに語るデウスの姿にハジメは何も言えない。デウスの力は強大だ。ハジメだってその強大な力に頼ってしまっている。そんなハジメを横目に見るデウスは申し訳なさそうに「スマナイな変な話をした」と謝る。

 

「まぁ、過去の話だ。それに俺はお前に賭ける。昔の俺には無かったモノをお前は持っている。故に、お前には機神の力を完全にものにする必要がある」

 

「んじゃ、教えてくれよ其の魔法」

 

「………お前にラーゼンを倒す覚悟はあるか?」

 

デウスは、そう言って真剣な眼差し共に放たれる膨大な魔力の奔流。その眼差しと魔力に息を呑むハジメ。だが、ハジメも覚悟はできており、なんなら不敵に笑っていた。

 

「今、ラーゼンに勝てる可能性はゼロだ。ジャブラに負けている時点でな。だが、俺は強くなる。相手の技を喰らい、力を喰らい、喰らって、喰らって強くなってラーゼンだって倒してみせる」

 

───だから、安心しろ。

 

そう堂々と答えたハジメに、デウスは嬉しそうに笑う。

 

「其の答えを聞きたかった南雲ハジメ。いいぜ教えてやる其の魔法の名と力を」

 

「ああっ」

 

そして、ハジメはデウスから切り札となる魔法と詳細を説明して貰うのであった。

 

 

 

そして、

 

「どう、出来そうか?」

 

「なんとなく感覚は掴めた。最後は本番あるのみだ」

 

デウスの確認に、拳を握り込み自信満々に答えるハジメ。

 

「そうか、それは良かった」

 

「デウスもサンキューな。お前の指摘やアドバイスのおかげで思ったより早く感覚を掴めた」

 

「それは僥倖。俺との約束忘れなんなよ?」

 

「クハッ、分かってる。安心しろ俺は約束は守る男だ」

 

そう不敵に笑って答えるハジメに、デウスは「そうか」と呟きながら嬉しそうに笑う。

 

「そろそろ現実でも意識を取り戻す頃合だろう」

 

「そんなんもわかんのかよお前」

 

「ああ、だって此の世界を引き出した張本人って俺だし」

 

そう現実離れした事実を淡々と答えるデウスにハジメは呆れつつも、少し気になることはある。

 

「俺が目を覚ましたらこの世界は? 少し派手にやりすぎちまったからよ。なんらかの不具合はあるか?」

 

そう言うハジメの視線の先には真っ平らであった筈の広大な荒野は今は、大地が割れ、沢山のクレーターや大地が抉れてしまっている。そんな少し不安なハジメに、デウスは溜息を一つ。

 

「安心しろ。この世界は幻みたいもの、お前が目を覚ましたら形を無くし、何事もなく本来のお前の心の奥底に戻る」

 

「そうか、それを聞けて安心だわ──って、うおっ!」

 

「お、時間だな」

 

安堵するハジメだったが、自分の体が透けてきてることに驚きの声を上げるが、そろそろ時間なのだろう。

 

「じゃあな。勝てよ英雄に」

 

「分かってる。今度は負けはしねぇよ」

 

そう軽口を叩きあって笑い合う二人はハジメが消えるまで拳を合わし続ける。そして、ハジメが光の粒子となって消えていった。

 

直後、ピキっとガラスがヒビ割れる音がいたる場所から鳴り響くと同時に心象世界が崩れ始めていく。

 

そんな崩れていく世界の真ん中でデウスは上を見上げ紅く染まる夕焼けの空を見る。

 

「頼むぜ。後継」

 

そう不敵な笑みをしながら呟くとデウスも世界の崩壊共に光の粒子となって消えていくのだった………。

 




〝三英雄〟……かつて、神の領域に踏み込んだ三人の傑物。其の力は神にも届き、かの大戦で反乱軍が神側の軍勢に拮抗できていた最大の要因の一つ。

〝不屈〟のジャブラ
〝不死王〟の■■■■
〝必滅〟の■■■■


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