奏章Ⅲプレイしてたら投稿遅れてしまいましたm(_ _)m
「……此処は……痛っ」
少し腹部に痛みを感じ横腹を抑えながらハジメは目を深い眠りから覚ました。
目を覚まし、少し倦怠感を感じるも天井があることに気付いたハジメは、上体を起こすして現在の状況を確認する。そして、自分はベッドで寝ていたこととから飛空艇〝フェルニル〟の医務室にいると理解する。
「此処は医務室か………それに」
ハジメは自分の体を見る。
服は何も着ておらずパンイチ姿、眼帯を取られ右眼が視えすぎてしまい少し頭がフラつく。上半身はほぼ包帯で巻かれており、ジャブラによって吹き飛ばれた腹部が塞がっているのを見て臓器や骨も再生されているのだろう。他にも、バキバキに折れていた右腕や右足も何針か縫った痕跡が見られ、動かしてみると少し痛む程度で支障はないレベルで治っている。
「全身の疲労感と痛みは、まだ有るが……自然に治るだろう。本題は……」
そう言ってハジメはチラリと自身の左腕に取り付けている義手を見て大きく深い溜息を吐いた。
ジャブラの渾身の一撃を防ぎ、無理矢理に〝神喰雷槍〟と錬成で固定したりと酷使してしまっていた義手は金属が熱で溶け歪な形に変形しまっていて、内部も擬似的なハジメの神経の役割を担っている魔力回路がイカれてしまって余り上手く動かせないことからメンテナンスしないといけないレベルの損傷具合であり、義眼の代わりに右眼に嵌め込んでいる〝魔眼石〟も修復が必要なレベルであった。
「ひでぇな、〝魔眼石〟はともかく、義手の魔力回路が完全にイカれてやがるな。確か、宝物庫に予備があるから今はそれを使うとして、いつか義手の改良も必要だなこりゃあ………ん?」
念の為に予備を作っていた過去の自分を頭の中で感謝するハジメは、更なる義手の改良案を考えていると、自身の体のある事に変化に気付く。そして、その原因が判明したハジメは、引き攣った笑みを浮かべながらボソッと呟いた。
「クハッ……まじか、本当に強くなってるとはな」
結論で言えば、ハジメは強くなっていた。
ステータスプレートの確認はしてはいないが力が漲るような感覚と魔力や耐久あたりのステータスが増幅している感じがした。
そして、自分が強くなっていることが確かであるなら、ただの夢だと思っていた心象世界は確かに存在し、其処にいたデウス、デウスから聞いた話も信憑性がハジメの中で増していく。
だが、逆に言えば夢だと思っていたことが本当ならハジメにとって僥倖だった。心象世界でハジメはデウスのアドバイスの元、ジャブラの動き、癖、立ち回りを分析、そしてイメージし対抗手段を頭の中にインプットしている。
これならば、この世界で初めて全力を出し切った自分を相手に正面から打ち負かしたジャブラを、己に敗北という文字を心に刻ませた鬼人の姿を思い浮かべながらハジメは、握り拳を作り不敵に笑みをこぼす。
「今度は絶対ぇ勝つからなジャブラ」
そう力強く最強への再戦を意気込んでいた直後だった。医務室の外の艇内の廊下からドタバタと走ってくる一つの足音がハジメの耳に入る。
「……ん?」
何だと首を傾げるハジメだったが、やがて足音は医務室の前に止まると同時に扉が勢いよく開かれた。其処には、ハジメにとって大切な最の少女がハジメを今にも泣きそうな表情で見ていた。
「お、優花も無事──「ハジメ!!」うおっ!?」
ハジメが優花の無事を安堵してる中、優花はハジメに勢いよくダイブするように抱き着いた。相当、不安で仕方なかったのだろう泣きじゃくりながら「よかったぁ……」と繰り返し名前を言い続けている。ハジメもそんな優花の姿を見て心配掛けてしまっていたのが申し訳なく彼女を優しく抱き締めるのだった。
飛空艇〝フェルニル〟その艇内に造られた医務室から二人の人物の声が聞こえる。一人は少し気まずそうに、もう一人は声を震わせながら叱っていた。
「ごめんな優花。心配かけた」
「本当よぉ、ばかぁ!ハジメのばかぁ!」
ハジメが抱き締める中、ポカポカと少し強めの力で胸部分を叩く優花。少し衝撃が来るが、そんな彼女の姿が愛おしく感じているハジメは穏やかな表情で優花の頭を撫でて泣く彼女を落ち着かせようと言葉を掛ける。
「相当、心配掛けちまったようだな。本当にごめん」
「ぐすっ……ならもうやめて。もし、ハジメが居なくなっちゃったら……私」
「何言ってんだよ、俺が優花の前から居なくなる訳ない──「オルクス」───っスー……さーせん」
明るく接して慰めようとするハジメであったが、優花に言い返され何も言えなくなる。すると、叩くのを止めた優花がハジメにもたれかかると顔を俯かせながら呟いた。
「……だったら、もうあんな馬鹿な真似はしないって約束して」
「っ!………気付いてたのか」
「何年一緒に居ると思ってんのよっ。ハジメの動きが相手を調べる其れだったから見ててすぐ分かったわ」
それを聞いたハジメは、まさか動きだけで自分が負ける前提で動いていことを優花にはバレていた事に少しだけ驚いた。そして、優花の方を見ると涙で赤く腫れた目元と頬を膨らまして彼女の怒った顔が見える。
ハジメにとっては怒る優花も可愛いくて仕方ないが、そんなことを今は口にしてしまえば後、二三時間は説教コースになるだろうしハジメは口にしなかった。
そう考えてる中、優花の声が耳に入る。
「だから約束。もう自分の命を粗末にするような真似なんてしないで」
「だが……わかった、わかった。約束するからそんな目で睨まないでくれ」
「……よろしい」
優花の強い想いに根負けしたハジメは困った笑みを浮かべながら優花との約束を誓った。その言葉を聞いてホッと安堵したのか優花は嬉しそうにハジメの胸元に顔を埋める。
「ハジメ、ギュッとして」
「クハッ……あいよ」
求めるような蕩けた甘い声でお願いする優花に対してハジメは笑みを零しながらそんな彼女の言葉に従って彼女の背中と腰に手を回して抱き締める。
「あたたかい」
「そりゃあ、よかったよ」
抱き締められて優花はボソッと呟く。
大好きな人の体温を感じられ、正確なリズムで鳴る心臓の鼓動が確かに聞こえてることに優花は嬉しそうに微笑む。そして、更に甘えたくなったのか優花は上目遣いしながらハジメの顔を窺う。ハジメもその甘えたそうな表情に苦笑いを零し自身の顔を優花へと近付けていく。
「……ん」
優花の方も受け入れるように目を閉じ、顔をハジメに近付けていく。そして、二人の唇が重なりそうになった瞬間、突如、背後からガッと肩を掴まれ優花はハジメから引き剥がされる。
「な、誰よ? せっかくハジメとの時間を──「……優花、抜けがけズルい」……ユエ、いつの間に……」
「……ん? ハジメと優花がイチャイチャし始める前から」
大切な時間を邪魔されて少し強めの口調で文句を言おうとした優花であったが、振り向くと其処には自分と同じハジメの恋人の一人であるじぃーっと羨望な眼差しを送るユエの姿があった。
そして、
「全くじゃ。優花だけじゃなく妾達にも甘えさせて欲しいしのじゃがなハジメ」
「ティオまで………」
声のする方に視線を向けると、いつの間にかハジメの腕に抱き着いていたティオの姿も見えた優花は自分が如何にハジメに夢中だったことを思い知らされしまう。
「ティオ、お前も無事だったか」
「うむ、妾はハジメに比べれば軽いものじゃよ」
当のハジメの方は、そんな事は気にしてないのか元気そうに自分の腕に抱き着いているティオの姿に「よかった」と口をこぼす。
「ジャブラの野郎に殴られた所は平気か?」
「ふふ、大丈夫じゃよ。竜鱗を貫通して骨に響いたが優花の魔法で完全に治っておるよ」
ティオの説明を聞いて「そうか」と応えたハジメは、彼女の美しい黒髪と頬を軽く撫でる。ティオの方はハジメに撫でられてか嬉しそうにしながらも問いかける。
「どうしたのじゃ、いきなり」
「いや、ティオが事でいてくれて嬉しいだけだ」
「理由になってなか────」
言葉を言い切る前に額に軽くキスされてフリーズするティオ。
次の瞬間、ボフンッと爆発したように一気に顔を真っ赤にさせてオドオドと慌てだす。そんなティオの慌てふためく姿にハジメはしてやったりと悪戯な笑みを浮かべながら顔を赤くする竜姫の頭を手を撫でる。
「………ティオだけズルい。ハジメ、私もそれ以上のことを」
「ちょっ、なら私だって」
「ちょっ、お前等っ……はぁ」
すると、いつの間にかハジメのすぐ近くにまで移動していたユエが欲情したのかキス以上の事をおっぱじめようと服を脱ぎ出す。それを見た優花も負けじと服を脱ぎ出し始めて医務室内が混乱が生じる。
ハジメは制止の声を掛けるも止まらない暴走する二人を見て、冷静にさせる必要があると感じたハジメは医務室の扉の方を指差しながらこの瞬間まで黙っていた事を告げる。
「俺は構わないけどな………聞き耳を立ててるぞ?」
「「へ」」
突然、告げられたことに素っ頓狂な声を上げる二人に対し、ハジメは「コソコソせずに出てこいよ」と声を上げるも扉の向こうから反応が無いので指を鳴らす。すると、備え付けの自動ドア機能が起動し、電子音が鳴ると自動で医務室の扉が開く。そして、『うわぁあ!』と声を上げながら、なだれ込むように倒れながら現れたのは聞き耳を立てていただろう四人の姿だった。
「し、雫………」
「優花!違うのこれは!そのっ……」
顔を真っ赤にして、トレードマークであるポニーテールが取れそうなぐらい顔を横に振る雫。
「………鈴」
「ユエお姉様!これには事情がぁ……」
ユエのジト目に耐えられず目を逸らしながら言い訳する鈴。
「よぉ、変態思春期男子共。コソコソと盗み聞きしていたようだが俺には丸わかりだぞ?後、遺言は決まったか?」
「おい、南雲!俺達のそんな酷い名前で一括りするな!」
「流石に俺も嫌だぜ南雲!後、そんな殺気を向けんなよ!聞き耳してたことは謝るからさ!」
ハジメに変態認定され更に殺意を向けられてしまう光輝と龍太郎の二人。変態二人を一睨みした後、ハジメは扉の向かい側の壁にもたれかかる人物に視線を向け声を掛ける。
「おい、アレス。お前なら止めてくれると思ってたけどな」
「自業自得ですよ。それに悪いのはハジメ殿達でしょうに……それに私は引き止めましたよ?」
呆れた表情で溜息を吐きながらぐうの音もでない正論を告げるアレスにハジメは「俺、巻き込まれただけだが?!」と答えるがその場の全員に「それはない」と否定されてしまう。
そんな時だハジメは今いるメンバーを見て、一人。考えてみれば優花やユエ達がいた時から疑問があった。そう、それは自分のことより他人を優先してしまうお人好しのウサ耳少女が居ないことに気付くと隣で急いで服を着直している優花に声を掛けた。
「優花」
「ん、どうしたのハジメ?」
「シアは何処だ?」
そのハジメの一言に医務室にいた全員が口を閉じてしまい静寂が満ちる。そして、ハジメ以外の全員が表情に曇りが見える。部屋の外にいるアレスも何も言えず目を伏せる。
「ハジメ、その………言いにくいけど………シアは」
「………優花、無理に言わなくていい」
重たい空気の中、意を決した顔で口を開いて事情を話そうとする優花。しかし、ハジメは全員の反応でなんとなくわかってしまったのか優花に話すのを中断させると自分なりに仮定していた内容を話す。
「その感じだとシアは攫われたんだろ?………理由も俺の命の代わりにジャブラの野郎が意図は不明だがシアを要求した。そして、あの
少し違っている部分はあるもほぼ的を射ているハジメの言葉に一同は首を縦に頷けるしか出来ない。そして、全員の反応を見て合っていると分かったハジメは謝罪する。
「すまねぇ、俺の責任だ」
「違う! ハジメは悪くない!」
「……ん、ハジメは悪くない。決して」
「そうじゃ。そんな自分を苦しめてはならん。それに早く戦闘不能になってしまった妾にも非がある」
謝罪するハジメに、優花がハジメの手を重ねるように握り、傍にいるユエもティオもそれを否定する。が、ハジメは「違うんだ」と首を横に振る。
「いや、三人共。これは良い悪いの話じゃない。自分の女を守ることをできなかった俺自身が許せねぇんだ」
そう言って、四度も大切な人を守れなかった自分が情けないと悔しそうに顔を歪めながら答えるハジメ。その姿を見る優花達もいたたまれない気持ちになる。
だが、そんな中一人の人物が口を開く。
「なら、やることは一つのはずですよハジメ殿」
アレスだ。そう言葉を投げかけ、ハジメの答えを待つアレスの表情は真剣さを帯びている。すると、ハジメもアレスの顔を見て決心したのか、いや元からその気だったのに先に言われてしまって小っ恥ずかしいのか己の髪をくしゃくしゃと髪を掻き上げ傷だらけの体でありながらも無視してベッドから立ち上がる。
「そうだなアレスの言う通り、こんな所で嘆いたって何も変わらねぇしな。スマンなお前等、変に弱音吐いて心配させちまった」
ハジメの言葉に全員の視線がハジメへ向く。
「安心しろ。俺は折れてねぇし、やられた借りはきっちり返すってのがお決まりだろ?」
その問いかけに優花、ユエ、ティオ、アレスが笑みを浮かばせながら強く頷く。そしてハジメも同様に不敵な笑みを浮かべ、
「こっからは反撃の時間だ。鬼共を退治して俺達の兎姫を救出といこうじゃねぇか!」
拳を勢いよく合わせ豪語するハジメのそのギラつく瞳は、まるで獣のように。そして、轟くようなものであるのだった。
だがその直後、自分が今パンツ一丁の姿であることを完全に忘れていたハジメとその姿をバッチリと見てしまってりんごのように顔を真っ赤にした雫が「それよりも南雲君!!いい加減に服を着て!」と声を荒あげるのであった……。
このペースだと、ありふれ三期始まる前にシュネー氷雪洞窟編に突入できそうにないな………( ˙-˙ )