ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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今回はちょっと展開がスピーディーですn(_ _)n



百三十七話 開戦

 

「慣れないな」

 

フェルニルの甲板の上、昇る朝日を背に少しむず痒い表情をしながらハジメはそう口を零した。

 

ハジメがそう口にした理由は単純なことだった。

 

そう今、ハジメの服装はいつも愛着している黒コート姿ではなく黒の和装の戦闘服を身に纏い、洋から和の一転で少し落ち着かないのである。

 

やっぱり適当に着替えようかな〜と思っていると甲板へ繋ぐハッチが開いたと同時にハジメに声がかかる。

 

「しょうがないじゃない。凄くボロボロで直すのに時間掛かるんだから」

 

少し棘のある言い方でハジメに近付きながら話しかけてきたのはハジメの最愛である少女の優花だった。彼女もいつもの服とは違い巫女服に近い衣装だ。其の表情は今朝の件もあって少し機嫌悪そうな感じでありハジメは苦笑いする。

 

「あー、今朝は本当にごめんて」

 

「本当よ。全く戦い前だからってはっちゃけ過ぎよ」

 

軽く謝罪を述べるハジメに優花はムっと頬を膨らますと彼の頬を軽くつねる。

 

「いふぁい」

 

「ちゃんと反省してる?」

「ふぁい」

 

曖昧な回答。少しは反省してるようでしてない様子のハジメに優花は溜息を吐く。

 

「ホント、そういうところ変わんないわね」

 

そう呆れながら呟くと優花は己の体をハジメに預けるように倒れ込むように抱き着いた。対してもハジメも流れるように抱き着く優花を抱き留める。

 

「もう、心配させないでよ」

 

「すまん」

 

「勝てそう?」

 

「勿論」

 

「なら、よかった」

 

そう言葉を交わしながら二人はクスッと笑い合うとイチャつき始めていき桃色空間を形成させていく。すると、其処へ二つの足音が聞こえたと同時にハジメの背後に勢いよく二人の人物が抱き着いた。

 

抱き着かれた反動で少し体がよろめいたが持ち前のフィジカルで倒れることはなくハジメは抱き着いた二人を見る。

 

「ティオとユエか」

 

言葉通り、振り返るとハジメの背後にいたのは着替えを終えたティオとユエの二人であった。

 

「……ん、ハジメよく似合ってる」

 

「うむ、全く同感じゃな」

 

「おう」

 

二人の言葉を素直に受け取るハジメは、二人の服装を見る。理由は勿論、ユエもティオもいつもと違うからだ。

 

「うむ、どうじゃハジメよ。妾の服」

 

ハジメの視線に気付いたティオはそう言うと新しい自身の衣装を見せる。和服姿は変わってないもいつものより身動きがしやすそうだ。とハジメが最初に抱いた感想だ。

 

「おう、身動き取りやすそうな服だな。それに色合いもあいまってよく似合ってる」

 

「ふふ、そうかの」

 

ハジメの感想に嬉しそうに笑うティオ。すると、自分も褒めて、褒めてと言うかのように自身の服を見せてくるユエ。因みにハジメ達の着てる服は全てユエが旅の途中で趣味で仕立ていたものだ。

 

「ああ、ユエも似合ってる」

 

「……ん、それならよかった。後、三人共なんか気になる部分ある?今なら直せるけど」

 

ハジメに褒めて貰えて嬉しそうに笑うユエは、三人に仕立てた服に不満はないかと聞く。

 

「いや、和服に慣れないだけでそれ以外は問題ない」

 

「私も平気。天翼も問題なく広げれる」

 

「うむ。妾も至って大丈夫じゃよ」

 

三人の返答にユエは安堵したのかホッと息を吐く。すると、ハッチが開き新たな人物が甲板へ到着する。

 

「すみません、少し慣れない服に手間取ってしまいました」

現れたのは、申し訳なさそうに困った笑みを浮かべているアレスだった。アレスもハジメ達同様に衣装チェンジしており神官服から一転して白の和装に黒のブーツを履いている姿だ。そんなアレスの姿を一目見たハジメ達は『おぉーー』と歓声を上げる。

 

「意外と似合ってるじゃねぇか、アレス」

 

「うんうん、外人さんが和服着てると日本人とはまた違う良さがあるみたいでね」

 

「うむ、そうじゃがアレスよ、何故、お主着物の片肌を脱がしておるのじゃ?」

 

「いえ、それがユエ殿からこの格好の方が似合うといわれて……」

 

ティオの疑問にそう答えたアレスは、視線をユエにズラす。すると、ユエからは「そっちの方が似合うと思ったから」と返答にファッションについては余り分からないアレスは体は動かすには問題はないかったので「そうですか」とだけ返すだけだった。

 

そして、遅れて光輝達勇者パーティーも甲板に到着する。四人共、ユエから渡された服を着用している。

 

「わっ、雫似合ってる!」

 

そう言うと優花は雫の元へ駆け付けるとマジマジと見詰める。今の雫の姿は紅のラインがある黒のセーラー服型の戦闘服だ。優花や鈴の二人は久しぶりの雫のスカート姿に懐かしみを感じ、履いてるところを初めて見るユエとティオは新鮮さを感じている。

 

「久しぶりに雫がスカート履いてる姿見だけど、うん凄く似合ってる」

 

「そ、そうかしら……優花もその巫女服よく似合ってるわよ」

 

「そう、ありがと」

 

素直に褒められ嬉しい反面、恥ずかしさを感じてる雫は顔が少し赤くなりながらも優花の服を褒める。そんな雫はある人物の視線を感じると顔を更に赤くしてるのだが本人は気付いてなさそうだったので優花は敢えて言わないでおいた。

 

他の三人も鈴は雫と同じようにセーラー服姿で雫よりも長めのスカートを履いている。龍太郎はThe番長のような特攻服に似たようなものを光輝は学ラン姿に肩当てや胸プレートなどの軽装備*1を着用していた。

 

 

そして、全員が甲板に到着したのを確認するとハジメは〝宝物庫〟から計七つのサーフボードのような形をしたアーティファクト〝ジェットボード〟を取り出し各々に渡していく。

 

「これが〝ジェットボード〟」

 

ハジメから渡された〝ジェットボード〟を渡された一同は様々な反応を見せる中、ボードを手に取った光輝はマジマジと見詰める。事前に説明されていたが、その形は本当に自分が知るサーフボードと同じ形。本当にこれで空を飛べるのかと些か不安が過ぎる。

 

そして、自分以外にもそう思ってるかと気になったのか光輝はチラリと横目で自分以外にボードを渡された者達の反応を確かめる。まず、ティオとアレスの二人はハジメを信じてるのか至って普通。龍太郎はなんとも思ってなさそうで寧ろワクワクしている。雫と鈴も不安な様子は見られい。

 

「………っ」

 

まさかハジメを信じきれてないのは自分だけだと知った光輝は眉間に皺を寄せ、苦い表情をする。

 

〝皆、南雲を信頼してる〟

 

そんな考えが頭の中で浮かび上がり、光輝にドス黒い感情が湧き上がり始めていく。

 

「(いや、今はそんなことはいい!)」

 

が、今はそんなことよりもシアの救出と自分が任された任務が大事だと自分を言い聞かせると光輝は顔を上げた。

 

「よし、全員渡ったな」

 

そんな光輝が葛藤している間に、ボードを全て渡し終えていたハジメは、後ろへ向くと視線の先にある密林の奥を見据える。そして、紅い魔力の奔流がはしり体に紅雷を纏わせ始めていく。

 

其の膨大な魔力余波をあてられた後ろに控える八人は驚きの余り目を見開き各々、反応を見せる。。

 

「(嘘でしょ。ハジメ、以前よりも魔力が上がってる?!)」

 

何故、一日も経ってないのに魔力が上がってるハジメを見て驚きを顕にしてる優花。

 

「(……凄い魔力の上昇。ハジメ、何をしたらそうなるの?)」

 

或る意味、ハジメのチートさに呆れるユエ。

 

「(ほほう、オルステッドとの戦い並に重く息が詰まりそうな程の魔力量…流石じゃな)」

 

最愛の人が更に強くなってるのを見て、嬉しそうに微笑むティオ。

 

「(これは、また朝の鍛錬の時も薄々と感じ取ってましたが……これ程とは)」

 

ハジメの成長性に笑いが止まらないアレス。

 

「(ヤバいわね。近くにいるだけで感電しそうだわ)」

 

ハジメの体に纒わる赤雷や肌からヒリヒリ感じる魔力の余波にそう感想を抱く雫。

 

「(ひぇぇ……南雲君怖いよぉおお!!)」

 

ハジメに対する恐怖のあまり顔を真っ青にする鈴。

 

「(うおお……凄ェ! これが武者震いか!)」

 

ハジメの魔力余波にあてられ的外れなことを考える龍太郎。

 

「(くっ……また開けられた!)」

 

ハジメと自分の実力差が更に開いたことに顔を酷く歪ませる光輝。

 

 

そんな様々な反応なんていざ知らず、ハジメは目をギラつかせ、獰猛な笑みを浮かばせる。

 

〝どんなに傷付いても、倒れても喰らってやる〟

 

「うんじゃあ、鬼狩りを始めようか」

 

そうハジメが告げたのを皮切りに甲板から七つの閃光が飛び立ち、密林の上空を駆けていくのであった……。

 

 

 

 

同時刻。

 

密林の中央にそびえる神殿内に一つの祭壇が出来上がっており、其の中心に眠るウサ耳の少女。

 

「…………」

 

まるで死んでるかのように眠る彼女の傍に一人の鬼がいた。其の鬼は沈黙したまま彼女の頬を触れ大きく息を吐く。

 

その時だった。

 

「ベール、準備は終えたか?」

 

鬼──ベールは振り返ると、己の直属の上司である鬼──ジャブラが神殿の入り口から此方へと歩み寄っていた。

 

「うん、祭壇は完成した。後は術式を展開させるだけ」

 

「………そうか」

 

寡黙な人物であるジャブラはただ一言。だが、それは自分を信頼していること。単純に嬉しいがもう少し表情を豊かになって欲しいとベールは口にはしないが思った。

 

「久しぶりの祭壇魔術を行使するからね。防衛は頼みましたよ団長」

 

「ああ、お前も同化の見立ては?」

 

「……邪魔なし早くて一時間。遅くて三時間ですね。一応、オーガ達以外にも私謹製のゴーレム軍も配置させてますんで後は頼みます」

 

「了解した」

 

ジャブラは、祭壇の上で眠る兎人族の彼女と我等が崇拝せし女神の魂の同化にかかる時間を聞きにきたんだろう。知りたいことは終えたのか神殿の出口へ向かい始めるジャブラ。其の後ろ姿にベールは見送る。すると、突然、ジャブラの歩みが止まる。

 

「?」

 

突然、止まるジャブラにベールは首を傾げてると、ジャブラの低く圧を感じさせる声がベールの耳に入る。

 

「ベール、やり遂げるぞ。我等の悲願を」

 

「! 当然じゃない」

 

突如、話しかけてくるジャブラとその内容に驚きを見せるベール。だが、ずくにギザ歯を見せるように笑みを浮かばせベールは当然だと答えるのであった。

 

そう、これは……この戦いは我等の悲願に必要なのだから………。

 

 

 

密林の東側、十数メートルはある巨樹の枝を足場にして颯爽と駆けていく一団がそこにいた。此の一団の特徴はただ一つ。額に生えた角だけであり、その先頭で駆けるは黒の道着を着た鬼人──ジェイド。

 

そんな彼が率いるのは約五十の機動力に長けた鬼達を集め、主に諜報や斥候を主に担う部隊〝陽炎〟。

 

「ハハッ、罠もなにもねぇなぁ! 本当に舐めプかぁ?」

 

ピキリと青筋をたて、吐き捨てるように口にするジェイド。

 

ジェイドは舐められるのは嫌いだ。それも自分よりも弱い奴等にされると更に殺意が湧いてくる。

 

「見つけたら手当り次第、ぶっ殺したる」

 

殺意を隠しもせず吐き捨てるように言うジェイドはそのまま〝陽炎〟と共に最短ルートを最速で駆けていく。

 

そして、敵の本拠地まで約一キロまで差し掛かり、未だに罠がないことに遂に憤怒の表情に変わるジェイドがキレる。

 

「クソだらぁ!! 絶ころッ──「〝天翔閃〟!!」 」

 

キレるジェイドの言葉を遮るかのように声が聞こえ、ジェイドと陽炎達は声がした方向へ顔を向ける。そこには光り輝く斬撃がジェイドと陽炎達へ迫る。そして、避ける暇も与えないまま斬撃はジェイド含めた〝陽炎〟達に直撃する。放たれた斬撃の余波に木々が倒れゆき爆風が立ち込める。

 

「ふぅ……やったか!?」

 

「流石だぜ、光輝!」

 

「凄いよ光輝君! 前より威力が上がってる!」

 

斬撃の発生場所……東を任された光輝達勇者パーティー四人はそこにいた。斬撃を放った本人である光輝はなんとか自分の攻撃が当たったことに安堵し、傍では龍太郎と鈴が歓喜の声を上げている。雫も嬉しそうに笑っていたが、すぐに切り替えると全員に告げる。

 

「ええ、でも油断はしてはダメよ。来たわ」

 

「「「!」」」

 

雫の言葉に全員が反応して、すぐさま身構える。

 

「随分なご挨拶だな、人間共」

 

声が聞こえ、前方から黒ずくめの姿の集団が現れる。目立った外傷は見られず、数も減っては居ないことに気付き光輝の顔が難色に浮かぶ。それも束の間、音もなく黒ずくめ達の前に立った鬼──ジェイド。其の鋭い瞳は光輝達を射抜く。

 

しかし、ジェイドは光輝達を一瞥すると不満気な表情になる。

 

「チッ……まさか、俺の相手は貴様等とはハズレか」

 

「なんだと!」

 

「光輝、落ち着きなさい!」

 

ジェイドの物言いにキレる光輝は突撃しようとしたが、雫が肩を掴み止める。止められた光輝は振り返り雫を見る。

 

「だがっ」

 

「馬鹿みたいに突撃したって死ぬだけよ? 私達は勇者パーティー、四人で手を取り合わないと」

 

「っ………そうだな」

 

雫の言葉に、なんとか落ち着く光輝。安堵した雫は、ふぅと一息吐くとジェイドに目を向ける。

 

「それに、舐めてるみたいだけどね、私達も南雲君を倒した鬼以外なら貴方達程度………問題ないわ」

 

ジェイドに向けて意趣返しの発言をする雫。直後、場は凍ったように冷たい感覚が光輝達に押し寄せ冷や汗が吹き出る。見ると、陽炎の鬼達も自分達同じようになっており、元凶であるジェイドからは紺色の魔力の奔流が放たれている。

 

「…………ふっ、まだ人間にも面白い奴がいるとはな」

 

雫の言葉にジェイドは一笑する。そして、視線は雫だけを射抜く。

 

「貴様等程度、〝陽炎〟共に任せようと考えていたが気が変わった」

 

そう言うとジェイドは腰に携えていた二刀の短剣を鞘から抜き取り逆手で持って構える。

 

「おい、女」

 

「え、私?」

 

「気に入った名を言え」

 

突然、名前を問われる雫は戸惑うも素直に答える。

 

「や、八重樫 。八重樫雫よ」

 

「シズクか、覚えた」

 

名前を聞いたジェイド。そして、名乗りを上げたならば自分もと名乗りを上げた。

 

「我こそは、崇拝する女神の騎士であり影! 近衛獣騎士団〝翡翠〟隠密部隊〝陽炎〟頭目ジェイド」

 

嘗て、女神の影と謳われた隠密に長けた鬼。

 

それは揺らめく陽炎のように………

 

「───いざ、参る」

 

 

── ジェイド&陽炎 対 勇者パーティー ──

 

 

 

 

密林の西側。其処に約六百を超える軍勢が北へと侵攻していた。

 

大地を踏みしめる音、統率が取れた列、木々を薙ぎ倒し堂々と進む軍勢、先頭にいるは少年の鬼──カラが総指揮を取っていた。そして、敵の本拠地まで半分を切るぐらいの距離まで到着した時、彼等の前を遮るかのように一人の女が立ち塞がる。

 

「ここから一歩も先は行かせはせんぞ」

 

女──ティオの姿を見たカラは片手を上げ、侵攻する軍勢を止めるよう指示する。後ろにいた鬼達は何も言うことなく止まり次のカラの命令まで動きを止める。

 

「ほぅ……まさか止まってくれるとはのう。このまま妾を無視して先に進むと思ってたんじゃがな」

 

「……貴女は機神や慈神ではないにしろ危険と判断したまでです」

 

「ほう、それで」

 

「投降して下さい。貴女一人に対し僕と兵で六百は越える。圧倒的な戦力差だ到底、勝てる訳がない」

 

カラは無駄な争いはしない性格だ。殺さなければいけない相手なら殺しはする。が、その他は投降するなら構わない。

 

「僕達の敵はデウスの器のみ、それ以外はどうでもいいんですよ」

 

対象はデウスの器であるハジメのみ、それ以外は無視していい。流石に目の前の彼女も分かってくれるだろう。そう思っていると、ティオはクスッと笑う。

 

「なんで笑ってるんです?」

 

「………いや、すまない。お主、以外に優しいのじゃな」

 

「は?」

 

カラはティオの思いがけない返答に理解が追いつかずフリーズしてしまう。

 

「僕が……優しいだと……?」

 

「おや、わかっておらんかった様子じゃの」

 

戸惑い見せるカラであったが、ハッとなり片手で顔を隠しながらティオの言葉を否定する。

 

「違う。これは勧告だ」

 

「ならば、こちらの答えは〝否〟じゃよ」

 

「……ならば死ね」

 

勧告はした。それでも言うことを聞かないなら僕の敵だ。 

 

ティオの返答を聞いたカラの目つきが変わる。そして、手を上げると前方ベール振り下ろした。

 

「行け」

 

カラの命令に従い鬼共はティオへ駆けだしていく。対してはティオは逃げもせず、ただ鬼共を視界に納めると扇を持った手を前に翳しながら口を開いた。

 

「吹き荒れろ〝嵐焰雷豪〟」

 

直後、走りだす鬼達の足元から突如、紫炎と雷を纏った嵐が現れ鬼共を襲いかかる。其の嵐はティオを守るように陣取り、嵐に触れたら最後、紫炎に焼かれ、雷に打たれ、嵐の刃に切り刻まれていく。

 

嵐が通った道には突撃した鬼共の死体が転がっている。その光景を見てカラはティオに視線を向けながら問うた。

 

「………まさか、本当に一人でこの数を?」

 

「うむ、そのまさかじゃよ」

 

カラの問いにティオは詰まることなく自信満々にはっきりと答えた。

 

どれほど危険か知っている。ハジメにも心配された、優花やユエ、アレスにも……だが、大軍相手に重要な戦力をこちらで使わせたくない。故に、ティオは目の前の六百を超える敵と幹部を一人で相手取るという無茶をやり遂げる。

 

それが己がやるべきことだから。

 

「………やってみろ竜人めが」

 

「おう、やってみてしんぜよう」

 

 

── カラ&六百の鬼VSティオ ──

 

 

 

 

密林の南、フェルニルから二キロ程度離れた場所を物凄いスピードで密林を駆け抜ける者がいた。

 

「なんとか、慣れはしましたね」

 

そう安堵した表情で呟くアレスだ。今、アレスはハジメに渡された一人飛行用アーティファクト〝ジェットボード〟で移動していた。最初はフラつきなどして操作が難しかったが次第に慣れてきたのだ。

 

「……奴の姿は見えない。やはり、敵の本拠地にいるのですかね?」

 

辺りを見渡しても気配はなく、魔力も感じ取れない。もしかしたらハジメが提示してたもう一つの可能性と思ったアレスはすぐに行動を移す。

 

「よし、スピードを上げましょうかね」

 

この速度ならばこのままハジメ達が向かう敵の本拠地にも早く行けるのではと思い、早速、向かおうとしようとした矢先だった。

 

「!」

 

殺気。感じ取ったも束の間、巨大な手裏剣が上空からアレスへ目掛けて飛来してくるのを確認したアレス。このままでは直撃すると感じ取りコンマも経たずジェットボードから飛び降りて直撃を回避した。

 

「随分としたご挨拶ですね」

服に付着した土塊を手で払いながらアレスはそう口にする。すると、アレスの前方から一つの人影が現れる。

 

「驚いてくれたかアレス・バーン」

 

人影はそう言いながら戻ってきた手裏剣を掴みアレスのいる方向へ歩きだす。そして、現れたのは案の定、

 

「お前との再戦を楽しみにしていた」

 

鬼人族チャクラム。

 

そう狂想に満ちた笑みを浮かべチャクラムは巨大手裏剣を手に持ち、アレスの方へ走り出す。同時にアレスも〝宝物庫〟からロンギヌスを手に取ると駆け出す。

 

「さぁ、どちらか死ぬまで殺り合おうアレス。簡単に死ぬなよ?」

 

「ハッ……その言葉、全てお返ししますよっ」

 

互いに軽口を叩き合いながら鬼人ナンバーツーと最強の神官の戦いの火蓋が切られた。

 

 

── チャクラムVSアレス ──

 

 

 

それぞれ戦いが始まっていく中、密林の中央に建つ神殿を護るかのように佇む鬼人──ジャブラ。そこにいるだけで周りの空気が重く感じさせてしまうほどの存在が閉じられていた目を開眼する。

 

「──来たか」

 

そう呟いた直後、上空か三つの閃光が駆けズドンッと着陸と同時に大地を揺らす。土煙が舞う中、現れたのは三人の人物。

 

「よぉ、昨日振りだな」

 

機神の器 南雲ハジメ

 

「シアは返して貰うわ」

 

慈神の後継 園部優花

 

「………ん、全員ぶっ潰す」

 

先祖返りの吸血鬼族 ユエ

 

三人は、敵本拠地に到着したと同時にアイコンタクトだけで取って頷くと優花とユエはシアがいる神殿の方へ駆け出す。しかし、そう簡単に行くわけもない。

 

「行かせん」

 

二人の進行方向に一瞬にして先回りしたジャブラが岩のようなゴツゴツとした腕を振り下ろす。が、

 

「てめぇの相手は俺だぞ。鬼ゴリラ」

 

紅雷を纏い狼がジャブラに飛び蹴りをかまし蹴り飛ばす。

 

「「ハジメ!」」

 

「優花、ユエ! シアは頼んだ!」

 

二人の呼び声に反応したハジメは振り返りざまに叫ぶ。二人はハジメの言葉に従い、神殿へ直行する。

 

「……行ったな」

 

二人の後ろ姿を見てほくそ笑むハジメ。そして、すぐに表情を変え自分が相対するべき敵の方を見る。

 

「あれ程にまで実力の差を見せつけた筈だが………また一人で我に挑むかデウスの器」

 

最大火力で蹴り飛ばした筈なのに目立った外傷はなく余裕な表情のジャブラにハジメはマジかよ、と引き攣った笑みを浮かべる。

 

「だが、受け取った貴様の覚悟を」

 

先程の蹴りは響いたの蹴られた箇所を触れながらジャブラはそう語る。

 

ジャブラは生粋の武人だ。

 

ずっと女神のために戦いを駆け巡り、勝利をもぎ取ってきた。

 

しかし、神に敗れ、女神(希望)を無くした。

 

絶望の淵にいる自分達に残るは一つの可能性。

 

その為に自分は狂っても構わない。非道も行おう。

 

だが、捨て切れない武人としての矜恃。

 

故に、ジャブラは認める。その威勢、その覚悟を。

 

ならば己がすべきことは唯一つ。

 

「我は貴様の覚悟、全力を以て叩き潰そう」

 

「クハッ……やってみろ!」

 

紅雷を纏う白髪の狼もジャブラから放たれる重圧に笑みが止まらなくなる。そして、大地を踏み砕きながら駆ける。

 

てめぇの全てを喰らってやる。

 

ギラつく眼光が鬼の武人を射貫き、ハジメは、ホルスターから二つのレールガンを抜き取る。ジャブラも一気に加速すると鋼をも貫く拳を突き出した。

 

此の日、奈落の化け物と鬼の武人の戦いが再び始まるのであった。

 

 

── ハジメVSジャブラ ──

 

 

 

鬼人戦線開戦

 

 

 

 

*1
ハジメ特製のアザンチウム製であるため防御性能は光輝のいつもの鎧よりも高い




ハジメ達の新衣装のイメージ
ハジメ……FGOの千子村正の第二再臨
優花……東方の霊夢
ユエ……転スラのシュナ
ティオ……コミック版のありふれ
アレス……銀魂の銀さん。アレスが着たら金さんみたいかもしれんが……
勇者パーティー……FGOのザビ子、ザビ男みたいな感じ


アニメ三期の白髪褐色雫が可愛い過ぎる件( *¯ ˘ ¯*)
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