ハジメと優花の出会いから、七年の時が経っていた。
まだ冬の寒さが残っている三月のある日、小学校からの帰り道、優花とハジメは小学6年生になり、数ヶ月したら、小学校を卒業するのだった。
「それにしても、この七年。色々あったね……」
「だね」
優花の呟きを聞いていたハジメが隣を歩きながら、笑みを浮かべて相槌を打つ。
「ハジメ君も何故か格闘技をなんか始めちゃったし」
「アハハ〜」
優花の言葉に、ハジメは苦笑いを浮かべた。それは三年ほど前、ハジメは愁のゲーム作成の為に格闘技の道場へと取材に着いて行った際にハジメが道場の師範の
最初は面倒くさそうだったが、今はその李さんに何か言われて、週に二、三回ほどその道場に行って鍛錬を励んでいるらしい。
「本当に色々あったなぁ……」
この七年で、色々なことがあった。それは、ハジとの出会いから更に増えたと思う。
ふと、優花が思い出したのは七年前、親友の宮崎奈々と菅原妙子をハジメに紹介したことだった。ハジメは最初二人と会う時はオタクな自分を受け入れて貰えるか分からなくて不安で緊張していた姿が可愛くて、つい笑みを零した。
〜七年前〜
優花は妙子と奈々と遊ぶ日にハジメをサプライズ的な感じで紹介しようと二人には伝えずにハジメを呼んだ。
当初この時、この話を提案した時、ハジメは電話越しでも分かるぐらいに不安になっているのが分かった。
そして、遊ぶ日の当日、優花とハジメは二人より一足早くいつも集まる公園に来ていた。
『よし、後は二人を待つだけだね』
『う、うん……』
優花はハジメの緊張をほぐそうと話しかけるも少し回答がぎこちなく、いつもとは雰囲気が違っていた。
『やっぱり……ねぇ、ハジメ君』
『ど、どうしたの? 優花ちゃん』
『もしかして、妙子達と会うの嫌?』
『……っ!』
優花はそう切なそうにハジメに言うと、彼は目を見開いく。そして、下唇を噛みながら両腕をギュッと握りしめながら顔を俯かせた。
『会うのが嫌なんだ……』
優花はその反応を見て、ハジメは妙子達と会うのは嫌だと思った。
しかし……
『ち、違う!』
それを反対したのはハジメだった。
『じゃ、じゃあ……何で?』
違うなら何で妙子達に会うのを躊躇うのか優花はハジメに少し語気を強めながら聞く。すると彼は若干、唇を震わせながら話しだした。
『優花ちゃん、僕って
『え?』
ハジメの言葉の意味に分からず、首を傾げた。
『オタクが駄目って、どう言うことなの?』
『だって……オタクって周りから疎まれやすいでしょ? だから、優花ちゃんの友達がオタクが苦手の人だったらどうしようと思って、怖いんだ』
そう言って、ハジメは更に顔を俯かせる。
だから……
『ハジメ君っ!』
優花は、ハジメの手を離さないように強く握った。その表情も真剣だ。
『オタクが何なの?』
『でも……』
どう声をかけてもハジメは顔を俯かせてばかりだった。だから、優花は自分の本音を彼にぶつけた。
『ハジメ君は、ハジメ君でしょ?』
『え?』
唐突に初めて言われた発に言葉に、ハジメは顔をバッと上げる。その表情は少し困惑の色が見える。
『オタクが何なの? 私はハジメ君が話すことは全部面白いよ。それに、二人もそんなことでハジメ君を馬鹿にしないよ』
『優花ちゃん……』
『だから、オタクなんか気にせずに楽しく過ごそう?』
『……うん!分かったよ』
ハジメはそう言って笑顔を見せた。その笑顔を見て、優花自身も笑顔になった。
そうしていると……
『あっ、優花〜』
『ユウカっち〜!』
公園の入り口の方から聞き慣れた声が聞こえ、振り向くと妙子と奈々がいた。
『よし、ハジメ君。行こ?』
『うんっ!』
そして、優花はハジメの手を繋ぐと妙子達の元へ駆け出した。そして、二人にハジメを紹介して、彼も緊張していたが案外二人共、ハジメ君を受け入れてそれからは四人で、遊んだりすることが多くなって、それが自分達の日常となった。
皆で集まってゲームをして、お泊まり会をしたりした。そして、私達が三年生になった辺りからハジメ君彼は時々、私の家の手伝いをするようになった。理由は「将来の為」としか言わなかった。しかし、ハジメ君が家の手伝いをするようになってから私とハジメ君が一緒にいる姿を見て、常連のお客さんからは優しい眼差しを向けられながら〝夫婦〟や〝カップル〟だの揶揄れた。私は恥ずかったがそれと同時に嬉しさも感じていた。
因みにハジメ君は常連さんには顔を赤くしながらも、手伝いを頑張っていたが、菫さんの煽りには耐えられず、顔を真っ赤に染めながら座り込んでいた姿を優花は可愛く思えていた。
今を思い返すとホントにこの七年、色々あったなと優花は笑みを零す。
「もうすぐ、卒業だね」
すると、隣にいたハジメが声を掛けてきた。
「え?、うんそうだね」
「どうしたの優花ちゃん、何か考え事?」
「う、うん」
「考え過ぎたりしたら周りが見えなくてコケて怪我するかもしれないから、気をつけてね」
いきなり声を掛けられことで少し返答に遅れてしまってし、ハジメに心配されてしまい少し恥ずかしくなった。
しかし、何故か嬉しくも感じている自分がいた。
そして……
「ねぇ、ハジメ君」
「どうしたの?」
優花は首を傾げるハジメの服の裾を掴みながら私の本音を願望を伝えた。
「これからも、一緒にいようね」
そんな優花の本音を聞いて、ハジメは振り向いて手を取って笑み浮かばせながら……
「うん」
それは短い返答えだ。しかし、その返答だけでも優花にとっては嬉しく感じるものだった。
「よしっ! じゃあ、早く行こっ」
「えっ、ちょっ待っ……」
ハジメの「待った」を聞かずに優花は駆け出していく。
そう、これからも彼とこんな毎日をずっと過ごせるように……。
しかし、それは叶わなかった。中学の時にあんな出来事が起こるなんて誰も想像も出来なかったのだから……。
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南雲ハジメは今、小学校から一緒に下校してる隣の女の子、園部優花と出会いで生活は一変した。
彼女との出会いは公園でハジメが特撮ヒーローの必殺技のポーズをとって遊んでる時だった。
『…ライダーキィィッ……ク! ……ん? 』
自分と同じぐらいの女の子が一人で公園の遊具の周りをウロチョロしていた。それは遊具に遊ぶ気配もなく何かを探してるような感じに見えた。
『何か…探してるのかな?……ん、なんだろこれ?』
ふと、花壇の近くに光るモノが見えたハジメはそれを拾うとそれは髪留めだった。
『あの子のかな?』
ハジメは見つけた髪留めは公園の中をウロチョロしている子の物だと思い一旦、髪留めをポケットに入れ、砂場にいたあの子の元へ向かって手を差し伸べた。
『どうしたの?』
『ぇ?』
それが南雲ハジメと園部優花の出会いだった。その後、彼女の大事にしていた髪留めを渡し、何故か彼女の両親と自分の両親が一緒にご飯を食べるまでに至り、それからと彼女と遊ぶようになって、一緒に家でゲームや外で色々なことをして遊ぶ仲となった。
そしてある日の事、優花が自分に友達に紹介したいと言ってきた。それにハジメは難色を示した。理由は簡単だ。自分は所謂オタクだ。これは親の職業からしてそうなる得なかった。
そして、オタクとは、周りから疎まれやすく、もし優花がオタクな自分のせいで、その友達に疎まれ、もしその友達に言われ、自分と遊ぶのを避けるとなると嫌だった。
だが、そんな考えをするハジメだったが……
『ハジメ君はハジメ君でしょ?』
彼女の言葉に、救われた気がした。嬉しかった。
そして、彼女が紹介した友達の菅原妙子と宮崎奈々もハジメがオタクであっても仲良くしてくれて嬉しかった。
そして四人はかけがえのない友達となったのだ。
南雲ハジメは優花のおかげで変わることが出来た。友達が出来た。感謝をしきれない。そしてあの時言ってくれた彼女の言葉はハジメの中に募っていた恐怖が消えていくと同時に嬉しかった。
自分が例えオタクであっても友達に変わりはないと。
だからだろうかこの時から決意したのは……
──優花ちゃんに、彼女にどんなことがあったとしても味方になり、自分はどうなっても良いから守ろう、と。
そして……
「優花ちゃん」
「どうしたの、ハジメ君?」
ハジメは優花を呼び止めると、彼女は顔をコチラを向ける。そして、ハジメを見つめるその瞳は美しく心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
しかし、ハジメはそんなのを無視して優花に決意を伝えた。それは、師匠でもある李さんからの言葉を習ったものであった。
『守る者がいれば、人はより強くなれる』
そんな言葉に感銘を受けていたハジメは、つい口走ってしまったのだ。
「どんなことがあっても僕は、優花ちゃんの味方だから!」
口が勝手に動いて『君を守る』ような発言をしてしまったハジメは恥ずかしくなって顔がみるみる赤くなって熱くなっているのが理解できた。
その時だった彼女から……
「ありがと、ハジメ君」
「……ッ」
彼女の言葉とその笑顔に見惚れてしまっていつの間にかハジメはその場に立ち止まってしまった。
「どうしたの、立ち止まって?」
「い、いやなんでもないよ」
急に立ち止まったせいか優花に心配されてしまうが、ハッとしたハジメは慌てながらも返事をし、再び歩きだして彼女の隣まで行き彼女から話し掛けてきた。
「中学校楽しみだね」
「うん、そうだね」
「クラス、同じだと良いな〜」
「うん」
優花とそんな会話をしながらハジメはいつまでも彼女と皆とこんな感じで他愛のない話しながら楽しく日常を送れることを願った。
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
中学であるキッカケで僕──いや、俺は優花を守る為に変わったのだから………。
やる気があったらまた今日に投稿するかもしれん…
<編集しました。十月十八日
雫はハーレムにいる?
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いる
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いらない