ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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二十三話 ライセン大迷宮

 

ハジメ達はライセン大峡谷に到着して既に二日経っているが大迷宮の入り口が見つからず難航していた。

 

「はぁ~、ライセンの何処かにあるってだけじゃあ、やっぱ大雑把過ぎるよなぁ」

 

しかし、迷宮の入り口が何処にも見当たらず、洞窟すらもない。注意深く観察はしているんだが、それらしき場所は一向に見つからなかった。

 

「まぁ、大火山に行くついでなんですし、見つかれば儲けものくらいでいいじゃないですか。大火山の迷宮を攻略すれば手がかりも見つかるかもしれませんし」

 

「まぁ、そうなんだけどな……」

 

「ん……でも魔物が鬱陶しい」

 

「あ~、ユエさんには好ましくない場所ですものね~」

 

そんな風に愚痴をこぼし、魔物の多さに辟易しつつも、更に走り続けること三日。ハジメ達はキャンプをしてそろそろ就寝時間のため寝る準備に入るユエとシアを尻目にハジメは見張りをしながら行き先は変えるべきかと考え込んでいた。

 

「………そろそろ、別の迷宮に向かった方がいいか」

 

こんな場所で気長に待ってられない。自分達を召喚した神々は何らかの干渉をしようする可能性がある。故にそろそろ、火山へと向かうべきかとハジメは悩んでいるとテントの中からシアがテントの外へと出ていこうとした。

 

訝しそうなハジメに、シアがすまし顔で言う。

 

「ちょっと、お花摘みに」

 

「………気をつけろよ?」

 

「はーいですぅ〜」

 

なんだ、トイレかと思ったハジメは、特に口することなく夜は危ないから注意しとけとしか言わずに見張りを続けた。シアがテントの外に出て行ってからしばらくして、

 

「ハ、ハジメさ~ん! ユエさ~ん! 大変ですぅ! こっちに来てくださぁ~い!」

 

「あ?」

 

突然、シアが、魔物を呼び寄せる可能性も忘れたかのように大声を上げた。何事かと、ハジメとユエは顔を見合わせ同時にテントを飛び出す。

 

シアの声がした方へ行くと、そこには、巨大な一枚岩が谷の壁面にもたれ掛かるように倒れおり、壁面と一枚岩との間に隙間が空いている場所があった。シアは、その隙間の前で、ブンブンと腕を振っている。その表情は、信じられないものを見た! というように興奮に彩られていた。

 

「こっち、こっちですぅ! 見つけたんですよぉ!」

 

「わかったから、取り敢えず引っ張るな、興奮しすぎだ」

 

「……うるさい、シア」

 

はしゃぎながらハジメとユエの手を引っ張るシアに、ハジメは少し引き気味に、ユエは鬱陶しそうに顔をしかめる。シアに導かれて岩の隙間に入ると、壁面側が奥へと窪んでおり、意外なほど広い空間が存在した。そして、その空間の中程まで来ると、シアが無言で、しかし得意気な表情でビシッと壁の一部に向けて指をさした。

 

その指先をたどって視線を転じるハジメとユエは、そこにあるものを見て「は?」と思わず呆けた声を出し目を瞬かせた。

 

二人の視線の先、其処には、壁を直接削って作ったのであろう見事な装飾の長方形型の看板があり、それに反して妙に女の子らしい丸っこい字でこう掘られていた。

 

〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

「……なんじゃこりゃ」

 

「……なにこれ」

 

「何って、入口ですよ! 大迷宮の! おトイ……ゴホッン、お花を摘みに来たら偶然見つけちゃいまして。いや~、ホントにあったんですねぇ、ライセン大峡谷に大迷宮って」

 

能天気なシアの声が響く中、ハジメとユエはようやく硬直が解け、何とも言えない表情になり、困惑しながらお互いを見合わす。

 

「…………ハジメ、マジだと思う?」

 

「合ってると思うぞ……」

 

「…………根拠は?」

 

「……やはり、ミレディって名前だな」

 

「………やっぱり」

 

看板に掘られた文字の中にある〝ミレディ〟という名は、オスカーの手記に出て来たライセンのファーストネームだ。ライセンの名は世間にも伝わっており有名ではあるがファーストネームの方は知られていない。故に、その名が記されているこの場所がライセンの大迷宮である可能性は非常に高かった。

 

しかし、

 

「あってんかな〜。ここで……」

 

「……ん」

 

「でも、入口らしい場所は見当たりませんね? 奥も行き止まりですし……」

 

この緊張感も微塵も思わせないことにハジメとユエの微妙な心理に気づくこともなく、シアは、入口はどこでしょう? と辺りをキョロキョロ見渡したり、壁の窪みの奥の壁をペシペシと叩いたりしている。

 

「おい、シア。あんまり……」

 

「ふきゃ!?」

 

警戒してないシアに〝あんまり不用意に動き回るな〟と言おうとしたハジメの眼前で、シアの触っていた窪みの奥の壁がガコンッと鳴った後、突如グルンッと回転し、巻き込まれたシアはそのまま壁の向こう側へ姿を消した。さながら忍者屋敷の仕掛け扉だった。

 

「「……」」

 

少し以外な仕掛けに固まってしまうハジメとユエ。しかし、向こうに行ったシアが心配だ。

 

「…行くぞユエ」

 

「………ん」

 

無言でシアが消えた回転扉を見つめていたハジメとユエは、一度、顔を見合わせて溜息を吐くと、シアと同じように回転扉に手をかけた。

 

扉の仕掛けが作用して、ハジメとユエを同時に扉の向こう側へと送る。中は真っ暗だった。扉がグルリと回転し元の位置にピタリと止まる。と、その瞬間、

 

ヒュヒュヒュ!と、無数の風切り音が響いたかと思うと暗闇の中を二人に目掛けて何かが飛来してくる。

 

「………罠か」

 

ご丁寧に黒く染めている矢にしており、固有技能〝夜目〟がなかったら危なかったとハジメはドンナーを右手に、左手はそのままに、飛来する漆黒の矢の尽くを叩き落としていく。最後の矢が地面に叩き落とされる音を最後に再び静寂が戻っていく。

 

「……ん?」

 

と、同時に周囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。ハジメ達のいる場所は、十メートル四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。そして部屋の中央には石版があり、看板と同じ丸っこい女の子文字でとある言葉が掘られていた。

 

〝ビビった? ねぇ、ビビっちゃった? チビってたりして、ニヤニヤ〟

 

〝それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ〟

 

「「……」」

 

人を逆撫でするかのような煽り文を見て額に青筋を立てるハジメ、隣にいるユエも同じように額に青筋を浮かべてイラッとした表情をしている。そして、ふと、ある人物を思い出したように呟いた。

 

「そうえばシアはどこにいった?」

 

「……あっ、確かに」

 

ハジメの呟きでユエも思い出したようで、慌てて背後の回転扉を振り返る。扉は、一度作動する事に半回転するので、この部屋にいないということは、自分達が入ったのと同時に再び外に出た可能性が高い。

結構な時間が経っているのに未だ入ってこない事に嫌な予感がして、ハジメは直ぐに回転扉を作動させに行った。

 

果たしてシアは……いた。

 

それも、回転扉に縫い付けられた姿で……。

 

ハジメはその姿を見てすぐに、シアの尊厳を守るためにすぐに後ろへと振り返る。

 

「うぅ、ぐすっ、ハジメざん……見ないで下さいぃ~、でも、これは取って欲しいでずぅ。ひっく、見ないで降ろじて下さいぃ~」

 

「……ユエ、頼む」

 

「………………ん」

 

女として絶対に見られたくない姿を、よりにもよって惚れた男の前で晒してしまったことに滂沱の涙を流すシア。ウサミミもペタリと垂れ下がってしまっている。

 

「……シア、動かないで」

 

駆け寄ったユエが無表情の中に同情を含ませてシアを磔から解放していく。

 

「……シア、大丈夫?」

 

「ユエさん~。ぐすっ」

 

「……ハジメ、着替え出して」

 

「おう」

 

二人の背を向けたままハジメは〝宝物庫〟からシアの着替えを取り出し、替えの服を受け取ったシアは顔を真っ赤にしながら手早く着替えた。

そして、シアの着替えが終え、迷宮攻略を始めようとした時、シアは石板を見つけ、よほど腹に据えかねたのか、親の仇と言わんばかりの勢いでドリュッケンを何度も何度も振り下ろした。すると、砕けた石板の跡、地面の部分に何やら文字が彫ってあり、そこには……

 

〝ざんね~ん♪ この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!〟

 

「ムキィーー!!」

 

シアが遂にマジギレして更に激しくドリュッケンを振い始めた。部屋全体が小規模な地震が発生したかのように揺れ、途轍もない衝撃音が何度も響き渡る。

 

発狂するシアを尻目にハジメはポツリと呟いた。

 

「ミレディ・ライセンだけは〝解放者〟云々関係なく、人類の敵かもしれないな……」

 

「……激しく同意」

 

そして、ミレディ・ライセンはハジメ達の中で〝敵〟と認定されたのだった。

 

 

================================

 

 

ようやくシアの怒りが落ち着いてハジメ達は【ライセン大迷宮】の攻略を開始した。

 

「ちっ、めんどくせぇな」

 

数時間ほど迷宮を進む中、ハジメはライセンの大迷宮は想像以上に厄介な場所であることに苦い表情をする。

 

まず、地理的な問題で魔法がまともに使えない。更に谷底より遥かに強力な分解作用が働いているため魔法特化のユエにとっては相当負担のかかる場所である。何せ、上級以上の魔法は魔力量的な問題で使用できず、中級以下でも射程が極端に短い。五メートルも効果を出せれば御の字という状況だ。

何とか、瞬間的に魔力を高めれば実戦でも使えるレベルではあるが、今までのように強力な魔法で一撃とは行かなくなった。

また、魔晶石シリーズに蓄えた魔力の減りも馬鹿にできないので、リソースを考えて使わなければならない。それだけ消費が激しい。

魔法に関しては天才的なユエだからこそ中級魔法が放てるのであって、大抵の者は役立たずになってしまうだろう。

 

そしてハジメにとっても多大な影響が出ている。〝雷魔法〟は勿論、〝空力〟や〝風爪〟といった体の外部に魔力を形成、放出するタイプの固有技能は全て使用の制限をしなくてはいけなく、〝纏雷〟もその出力が大幅に下がっているため頼みの体術がこの大迷宮の基本となってしまうだろう。

 

よって、この大迷宮では身体強化がなにより重要になってくる。ハジメ達の中では、まさにシアの独壇場となる領域なのだ。

 

なのだか……

 

「ぜってぇ、ぶち殴りますよぉ〜」

 

先程よりも落ち着いたものの好きな男の前で恥をかいてしまった屈辱はやはり許せないらしく迷宮の中をハジメ達よりも先を歩いてぶつぶつと恨み言を言っている。

 

「はぁ」

 

そんなシアの姿に心配なハジメは溜息を吐くのであった。

 

 

しばらくして三人は複雑怪奇な広大な空間に出る。

 

そこは、階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃにつながり合っており、まるでレゴブロックを無造作に組み合わせてできたような場所で一階から伸びる階段が三階の通路に繋がっているかと思えば、その三階の通路は緩やかなスロープとなって一階の通路に繋がっていたり、二階から伸びる階段の先が、何もない唯の壁だったり、本当にめちゃくちゃだった。

 

「こりゃまた、ある意味迷宮らしいと言えばらしい場所だな」

 

「……ん、迷いそう」

 

「ふん、流石は腹の奥底まで腐ったヤツの迷宮ですぅ。このめちゃくちゃ具合がヤツの心を表しているんですよぉ!」

 

「……気持ちは分かるから、そろそろ落ち着け」

 

ハジメがシアを諌めながらどう攻略していくか思案しているとユエが話しかけた。

 

「……ハジメ。考えても仕方ない」

 

「ん~、まぁ、そうだな。取り敢えずマーキングとマッピングしながら進むしかないか」

 

「ん……」

 

ハジメは早速、入口に一番近い場所にある右脇の通路に〝マーキング〟して進んでみることにした。

 

長い通路を進んでいると、突然、ガコンッと何かが作動した。

 

「ん?」

 

聞き慣れない音を響かせてハジメの足が床のブロックの一つを踏み抜いていた。そして、そのブロックだけハジメの体重により沈んでいる。三人が思わず「えっ?」と一斉にその足元を見た。

 

その瞬間、

 

シャァアアア!!と、刃が滑るような音を響かせながら、左右の壁のブロックとブロックの隙間から高速回転・振動する円形でノコギリ状の巨大な刃が飛び出してきた。右の壁からは首の高さで、左の壁からは腰の高さで前方から薙ぐように迫ってくる。

 

「はぁ?! チッ、屈んで回避!」

 

屈むハジメの咄嗟の指示に二人も急いで屈み込み、二枚の殺意と悪意がたっぷりと乗った刃は屈むハジメ達を通り過ぎると何事もなかったように再び壁の中に消えていく。

 

「ふぅ………もう、来ねぇよな」

 

ハジメは第二陣を警戒して、しばらく注意深く辺りを見回すのだがどうやら今ので終わりだったらしくホッと息を吐き後ろを振り返ろうとしたその時………

 

「……ッ!」

 

またもや、悪寒を感じ本能の命ずるまま飛び出すハジメ。ユエとシアを即座に回収して勢いそのままに前方に身を投げ出す。直後、今の今までいた場所に、頭上からギロチンの如く無数の刃が射出され、まるでバターの如く床にスっと食い込んでいた。

やはり、先程の刃と同じく高速振動している。冷や汗を流しながら足先数センチに落とされた刃を見つめるハジメ。ユエとシアも余程のことで硬直している。

 

「此処の迷宮は……完全な魔法不必要の物理トラップってわけか。なら、俺の魔眼石じゃあ、感知できないわけか……」

 

感知は不可能と理解したハジメは再度、迷宮攻略に身を引き締めてると、自分が生きてることに安堵したシアが自身を守ってくれたハジメのを心配した。

 

「はぅ~、し、死ぬかと思いましたぁ~。ていうか、ハジメさん! 大丈夫ですか! ケガとかは!」

 

「いや、安心しろ無傷だ。しかし、此処はライセンだからな〝金剛〟が余り使えねぇ。罠はこれ以上の悪辣なものもあるだろうし、更に警戒をしとかないといけないな……」

 

「……ん」

 

魔法出力の制限という枷を強制的につけさせられたハジメ達はお互い向き合って頷き合ってから、更に警戒を強めて攻略を再開した。

 

 

================================

 

 

ライセン迷宮のいかにも悪辣なトラップの数々を攻略していく道中、落とし穴だったり、毒性の生き物の巣に入ったり、石製の大玉が一本道に転がってきたりと今、三人は、鉄製の腐食液が撒き散らしながら転がる大玉から逃げていた。

ハジメ自身は平気であるが、他の二人はそろそろ限界に近くシアはヒィヒィ言って走っており、ユエも無表情ながらも息を荒くして疲れが出ている。

そろそろ、自分が二人を抱えていこうと考えた矢先、走る通路の視線の先に通路の終わりを確認したと同時にあるもの見えた。

 

「あれは……何だ?」

 

ハジメは技能〝遠見〟を発動して確認していると、少し先に相当大きな空間が広がっているのが見えたが、少し違和感を感じた。

 

見えるには見える。だが、範囲が少しおかしいのだ。部屋の床がずっと遠くの部分しか見えない。それとも、部屋の天井付近に通路の出口があるのかもしれない。やっとカギになるかもしれない部屋を見つけたのでハジメは二人に声をかけた。

 

「二人共、真下に降りるぞ!」

 

「んっ」

 

「はいっ!」

 

指示を出したハジメに続いて、三人はスライディングするように通路の先の部屋に飛び込み、出口の真下へと落下していく。

 

そして………

 

「げっ!?」

 

「んっ!?」

 

「ひんっ!?」

 

三者三様の呻き声を上げた。その理由は出口の真下が明らかにヤバそうな液体で満たされているプールになっていたからだ。

 

「んのやろうぉ!」

 

なんという悪辣さに驚愕するハジメは、咄嗟に義手からアンカーを射出して壁に撃ち込み空いてる右手でユエとシアを抱き抱えて落下を防いだ。

 

直後、頭上を溶解液を撒き散らしながら金属球が飛び出していき、眼下のプールへと落下した。そのままズブズブと煙を吹き上げながら沈んでいく。

しかし、金属球がプールに入って飛沫が舞ってハジメ達のいるところまでプールの液体が舞い上がる。

 

「〝風壁〟!」

 

それを防ぐために発動したユエの魔法で飛び散った溶解液が吹き散らさられ液体の直撃は免れた。しばらく、周囲を警戒したが特に何も起こらないので、ハジメはようやく肩から力を抜き、安堵の息を漏らしながら、二人の安全の確認をとる。

 

「ふぅ……二人共、無事か?」

 

「……ん、大丈夫」

 

「ハジメさん、助かりました〜」

 

「じゃあ、移動するから少し揺れるぞ、しっかり掴まっとけよ」

 

「「……ん (はいですぅ〜)」」

 

ハジメの言葉に聞きつつ、ユエとシアはこの状況であるも惚れた男に抱き締められてることは変わりなく少し嬉しそうに一人は彼の胸板に顔を埋め、一人はウサ耳をピコピコしてる。

 

そんな二人の心情を知らないハジメは、アンカーを利用して振り子の要領で移動し、溶解液のプールを飛び越えて今度こそ部屋の地面に着地した。

しかし、先程の〝遠見〟で確認してみたが、やはり、あそこの奥に何かあると判断したハジメは二人に警戒するように伝え進む。。

 

その部屋に入ると長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには無数の窪みがあり騎士甲冑を纏い大剣と盾を装備した身長二メートルほどの像が並び立っている。

そして、部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のようなものが設置されている。

 

ハジメは周囲を見渡しながら微妙に顔をしかめていく。

 

「いかにもな扉だな。ミレディの住処に到着か?それなら万々歳なんだが……この周りの騎士甲冑に嫌な予感がするのは俺だけか?」

 

「……大丈夫、お約束は守られる」

 

「それって襲われるってことですよね? 全然大丈夫じゃないですよ?」

 

そんなことを話しながらハジメ達が部屋の中央まで進んだとき、確かにお約束は守られることになった。

 

ガコン!と、何かが動く音。

 

音を聞いてピタリと立ち止まるハジメ達。内心「やっぱりなぁ~」と思いつつ周囲を見ると、騎士達の兜の隙間から見えている眼の部分がギンッと光り輝いた。そして、ガシャガシャと金属の擦れ合う音を立てながら窪みから騎士達が抜け出てきた。その数、総勢五十体以上。

 

騎士達は、スっと腰を落とすと盾を前面に掲げつつ大剣を突きの型で構えた。窪みの位置的に現れた時点で既に包囲が完成している。

 

「ははっ、ホントにお約束だな。動く前に壊しておけばよかったな。まぁ、今更の話か……二人共、やるぞ?」

 

「んっ」

 

「か、数多くないですか? いや、やりますけども……」

 

ホントは数には機関砲の〝メツェライ〟が有効なのだが、この部屋にどれだけのトラップが仕掛けられているかわからないため、無差別にバラまいた弾丸がそれらを尽く作動させてしまっては目も当てられない故に今回は控えることにしたハジメは、ドンナーとシュラークをホルスターから抜く。ユエもやる気はあるみたいだったがシアは少し引き気味だったので励ます為に声をかけた。

 

「シア」

 

「は、はいぃ! な、何でしょう、ハジメさん」

 

「お前は強い。俺達が保証してやる。こんなゴーレム如きに負けはしないさ。だから、下手なこと考えず好きに暴れな。ヤバイ時は必ず守るから安心しろ」

 

「……ん、安心して」

 

シアは、ハジメとユエの言葉に思わず涙目になった。単純に嬉しかったのだ。シアは、全身に身体強化を施し、力強く地面を踏みしめた。

 

「はいっハジメさん、ユエさんありがとうございます! 私も大丈夫ですぅ!」

 

「……ん、その意気」

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

ゴーレム騎士達は一斉に侵入者達を切り裂かんと襲いかかった。ゴーレム騎士達の動きは、その巨体に似合わず俊敏だった。

ガシャンガシャンと騒音を立てながら急速に迫るその姿は、装備している武器や眼光と相まって凄まじい迫力である。まるで四方八方から壁が迫って来たと錯覚すらしそうだった。

 

「チッ!」

 

何故か隊列はちゃんとしていて、オート性なのか? と疑念を抱きながらハジメは、ゴーレム達の無駄に洗練されてる動きに訝しみつつ、ゴーレム騎士達に向けて左右の手に握り締めた二丁のレールガンが、普段の半分以下の威力しか出せないとは言え、対物ライフルの数倍の威力を以てゴーレム騎士達に撃ち放っていく。

 

ドパン!ドパン!と、二条の閃光が狙い違わず二体のゴーレム騎士の頭部、正確には目の部分を撃ち抜く。

同時に奈落で更に鍛え抜かれた蹴術と体術で辺りのゴーレム騎士達を蹴り飛ばし、衝撃で頭部が仰け反り後方へ倒れる騎士達。それを軽やかに飛び越えて後続の騎士達が俺達へと迫る。ハジメは、再度連続して発砲し、致命的な包囲をされまいと隊列を乱していく。

 

「これぐらいの威力でも通用する、か」

 

銃の威力確認を取りつつハジメの嵐のような銃撃を盾と大剣と仲間の体で凌ぎながら、遂にハジメ達の目前へと迫った数体の騎士達。しかし、当のハジメは笑っていた。

 

「てめえ等の相手は俺じゃねぇよ」

 

そう言った直後、青みがかった白髪をなびかせ、超重量の大槌を大上段に構えたまま飛び上がっていたシア・ハウリアのキルゾーンだ。限界まで強化したその身体能力を以て遠慮容赦の一切を排した問答無用の一撃を繰り出していた。

 

「でぇやぁああ!!」

 

気合一発。打ち下ろされた大槌ドリュッケンは、凄まじい衝撃音を響かせながら一体のゴーレム騎士をペシャンコに押しつぶしていく。一応、騎士も頭上に盾を構えていたのだが、その防御ごと押しつぶされたのだった。

地面にまで亀裂を生じさせめり込んでいるドリュッケン。渾身の一撃を放ち、死に体となっていると判断したのか、盾を構えて衝撃に耐えていた傍らの騎士が大きく大剣を振りかぶりシアを両断せんと踏み込む。

 

シアはそれをしっかり横目で確認しており、柄を捻り、ドリュッケンの頭の角度を調整すると、柄に付いているトリガーを引いた。

 

ドガンッ!!と、破裂音を響かせながら地面にめり込んでいたドリュッケンが跳ね上がった。シアの脇を排莢されたショットシェルが舞う。跳ね上がったドリュッケンの勢いを殺さず、シアはその場で一回転すると遠心力をたっぷり乗せた一撃を、今まさに大剣を振り下ろそうとしている騎士の脇腹部分に叩きつけていく。

 

「りゃぁあ!!」

 

そのまま気迫を込めて一気に振り抜く。直撃を受けた騎士は、体をくの字に折り曲げて、まるで高速で突っ込んできたトラックに轢かれたかのようにぶっ飛んでいき、後ろから迫って来ていた騎士達を盛大に巻き込んで地面に叩きつけられた。騎士の胴体は、原型を止めないほどひしゃげており身動きが取れなくなっているようだ。

 

ヒュンヒュンと、風切り音がシアのウサ耳に入る。チラリと上空を見ると、先程のゴーレム騎士が振り上げていた大剣が、シアに吹き飛ばされた際に手放なされたようで上空から回転しながら落下してくるところだった。

 

シアは、落ちてきた大剣を跳躍しながら掴み取ると、そのまま全力で、迫り来るゴーレム騎士に投げつけた。

 

大剣は豪速で飛翔し、ゴーレム騎士が構えた盾に衝突して大きく弾く。シアは、その隙を逃さず踏み込み、下段からカチ上げるようにドリュッケンを振るった。腹部に衝撃を受けた騎士の巨体が宙に浮く。

苦し紛れに大剣を振るうが、シアはカチ上げたドリュッケンの勢いを利用してくるりと回転し、大剣をかわしながら再度、今度は浅い角度で未だ宙に浮く騎士にドリュッケンを叩きつける。

 

先のゴーレム騎士と同様、砲弾と化してぶっ飛んだゴーレム騎士は後続の騎士達を巻き込みひしゃげた巨体を地面に横たわらせた。

 

シアの口元に笑みが浮かぶ。戦いに快楽を覚えたからではない。自分がきちんと戦えていることに喜びを覚えているのだ。自分はちゃんとハジメ達の旅に付いて行けるのだと実感しているのだ。その瞬間、ほんの少しだけ気が抜ける。

 

戦場で、その緩みは致命的だった。気がつけば視界いっぱいに騎士の盾が迫っていた。何と、ゴーレム騎士の一体が自分の盾をシアに向かって投げつけたのである。流石ゴーレムというべきか。途轍もない勢いで飛ばされたそれは、身体強化中のシアにとって致命傷になるようなものではないが、脳震盪くらいは確実に起こす威力だ。そうなれば、一気に畳み込まれるだろうことは容易に想像できる。

 

しまった!と思う余裕もない。せめて襲い来るであろう衝撃に耐えるべく覚悟を決める。と、盾がシアに衝突する寸前でレーザーの如き水流が飛来し盾に衝突。その軌道を捻じ曲げた。盾はシアの頭部のすぐ脇を通過し、背後のゴーレム騎士に激突して転倒させる。

 

「……油断大敵」

 

「ふぇ!? 今のユエさんが? す、すみません、ありがとうございます!」

 

「ん……気を抜いちゃダメ」

 

「うっ、はい! 頑張りますぅ!」

 

ユエに「メッ!」という感じで叱られてしまい、自分が少し浮かれて油断してしまったことを自覚するシア。反省しながら気を引き締めなおす。改めて、迫って来たゴーレム騎士を倒そうとして、後方から飛んできた細いレーザーのような水流が、密かにシアの背後を取ろうとしていたゴーレム騎士をスッパリと両断したのを確認した。

 

その後も、暴れるシアの死角に回ろうとする騎士がいれば同じように水流が飛び、その辺の刃物よりよほど鋭利に切断していく。ユエが行使しているのは水系の中級魔法〝破断〟である。空気中の水分を超圧縮して撃ち放つウォーターカッターだ。

 

ユエは両手に金属で出来た大型の水筒を持っていた。肩紐で更に二つ同じ水筒を下げている。これらは、ハジメの〝宝物庫〟から取り出してもらった物だ。ユエが、その水筒をかざして魔法名を呟く度にウォーターカッターが水筒より飛び出し敵を切り裂いていく。

これは、魔法で空気中の水分を集めるよりも、最初からある水分を圧縮してやる方が魔力消費が少なくて済むと考えたのだ。また、照準は水筒の出口を向けることで付けており、飛び出たウォーターカッター自体は魔力を含まないものなので分解作用により消されることもない。 二人は物凄い、息の合った連携でゴーレム騎士達を屠っていった。

 

「ほぅ………」

 

シアの爆発的な近接攻撃力と、その死角を補うように放たれるユエの水刃。騎士達は、二人のコンビネーションは最高だ。そんな素晴らしい連携を披露するユエとシアを横目にハジメが苦笑いを浮かべる。

 

「クハっ……」

 

これは、自分も負けてられないとニィッと口角を上げる。

 

「流石に俺も、いいとこを見せないとな?」

 

そんな冗談を独りごちながらハジメは、ドンナーと〝宝物庫〟から槍を取り出して銃と槍による縦横無尽に振い近接戦闘を繰り広げていく。

 

「……遅ぇよ」

 

騎士の振り下ろした大剣をドンナーの銃身で受け流し、左手の槍を兜に突き刺して投げ飛ばしてドンナーによるゼロ距離射撃でゴーレムを弾き飛ばす。

弾け飛ぶ騎士には目もくれず、左の槍で、そのまま振り向かずに背後の騎士達を薙ぎ払い、横凪に振るわれた大剣を一回転しながらしゃがみつつ躱し、瞬時に左の武器を槍からシュラークに替えてから腕を交差して両サイドの騎士達を撃ち抜く。

 

固有魔法〝纏雷〟と雷魔法を使わずに放たれた弾丸であるが、騎士の盾に跳弾して隣の騎士の膝関節を撃ち抜きバランスを崩させ、その上を側宙しながら飛び越えつつ反転した視界の中で頭上の騎士と隣の騎士を同時に破壊する。

着地を狙って振るわれた大剣を銃撃で逸らしつつバク転でかわし、再度空中で四方に発砲して同時に四体の騎士の頭部を撃ち砕く。

 

着地と同時に、〝宝物庫〟から虚空に取り出した弾丸を、ガンスピンさせながら一瞬でリロードし、再び回転しながら発砲。周囲の騎士達が放射状に吹き飛ぶ。

そうやって、不用意に部屋そのものに傷を与えないようにしながら次々とゴーレム騎士達を屠り倒していく。

 

だが、一つ気掛かりがある。

 

「……………」

 

やはりと、思ってゴーレム騎士達の襲撃をかわし反撃しながら、ハジメは戦いながら考えていたことが当たりそうで、訝しそうに眉を寄せる。

 

その疑問は、ユエとシアも感じていたらしい。

 

「……ハジメ」

 

「あぁ……やっぱり、コイツら壊れた瞬間、再生してやがる」

 

「そんな!? キリがないですよぉ!」

 

シアが、迫り来るゴーレム騎士達を薙ぎ払いながら狼狽えた声を出した。どれだけ倒しても意味がないと来れば、そんな声も出したくなるだろうと思う。

 

だが、それに反してハジメもだがユエも冷静なまま、特に焦った様子もなく思考を巡らしながらゴーレム騎士達を蹴散らしていく。

この辺りは経験の差というやつだろうと思う。この程度の逆境、奈落の底では何度も味わったものだ。むしろ、あの頃より遥かに強くなった今は余裕すらあると自分自身、感じれた。

 

「……ハジメ、ゴーレムなら核があるはず」

 

「あぁ、だが魔眼石でも確認したが核が見当たらねぇんだ」

 

「……確か?」

 

「あぁ。だが、気になることがアイツ等から微量に魔力を感知できてることだ」

 

「け、結局どうするんですかぁ! このままじゃジリ貧ですよぉ!」

 

シアがいよいよ焦った声を上げる。ハジメは、シアの叫びをスルーして〝鉱物系鑑定〟を使う。核という動力なくして作動するゴーレムは、もしかしたら特殊な鉱石を使ってる可能性があると踏んだからだ。

 

結果は……

 

「っし……ビンゴッ!」

 

================================

 

感応石

 

魔力を定着させる性質を持つ鉱石。同質の魔力が定着した二つ以上の感応石は、一方の鉱石に触れていることで、もう一方の鉱石及び定着魔力を遠隔操作することができる。

 

================================

 

再生の原因は未だに分からずとも動くゴーレム騎士達の原因であ鉱石の鑑定とこの騎士ゴーレムは何者かによって操られていることは知りはできたが………

 

「…………」

 

わかったがいいが、現状は変わらない。

 

「ユエ、シア。こいつらを操っている奴がいるが居所は分からねぇ。マジでキリがないから、強行突破するぞ!」

 

「んっ」

 

「と、突破ですか? 了解ですっ!」

 

ハジメの合図と共に、ユエとシアが一気に踵を返し祭壇へ向かって突進する。

 

「邪魔だ」

 

ハジメはドンナー・シュラークを連射して進行方向の騎士達を蹴散らし隊列に隙間をあけつつ、後方から迫ってきているゴーレム騎士達に向かって手榴弾を二個投げ込んだ。背後で大爆発が起こり、衝撃波と爆風でゴーレム騎士達が次々と転倒していく。

シアが、ハジメの空けた前方の隙間に飛び込みドリュッケンを体ごと大回転させて周囲のゴーレム騎士達を薙ぎ払った。技後硬直するシアに盾や大剣を投げつけようとするゴーレム騎士達にユエの〝破断〟が飛来し切り裂いていく。

 

ハジメは殿を務めながら後方から迫るゴーレム騎士達にレールガンを連射した。その隙に一気に包囲網を突破したシアが祭壇の前に陣取る。続いてユエが、祭壇を飛び越えて扉の前に到着した。

 

「ユエさん! 扉は!?」

 

「ん……やっぱり封印されてる」

 

「あぅ、やっぱりですかっ!」

 

「封印の解除はユエに任せる。この扉を錬成で突破するのは流石に時間がかかりそうだ」

 

「……ん、任せて」

 

シアとハジメはユエが扉の封印の解除が終わるまで自分達に迫り来るゴーレム騎士達をユエに近付けさせないように退けていく。

 

「うぅ〜キリがないですぅ」

 

「もう少しの辛抱だ。我慢しろ」

 

若干、疲れた表情でシアが横目でハジメを見るも、流石にキツくはないが未だにも攻め続けるゴーレム騎士達に対して溜息を吐く。すると、ユエから少し得意気な声で任務達成を伝えられた。

 

「……開いた」

 

「早かったな、流石ユエ。シア、下がれ!」

 

「はいっ!」

 

ハジメが、チラリと後ろを振り返ると、ユエの言った通り封印が解かれて扉が開いているのが確認できた。

奥は特になにもない部屋になっているようだ。ハジメはシアに撤退を呼びかけ、自らも奥の部屋に向かって後退する。封印の扉を閉めればゴーレム騎士達の襲撃も阻めるだろう。最初にユエが、続いてシアが扉の向こうへ飛び込み、両開きの扉の両サイドを持っていつでも閉められるようにスタンバイする。

 

「置き土産だ」

 

ハジメは、置き土産にと〝宝物庫〟から取り出した手榴弾を数個放り投げると、自らも奥の部屋へと飛び込んだ。ゴーレム騎士達が逃がすものかと殺到するが、手榴弾が爆発し強烈な衝撃を撒き散らす。バランスを崩し、たたらを踏むゴーレム騎士達。その隙に、ユエとシアがハジメが入ってたのを確認して扉を閉める。

 

部屋の中は、遠目に確認した通り何もない四角い部屋だった。てっきり、ミレディ・ライセンの部屋とまではいかなくとも、何かしらの手掛かりがあるのでは? と考えていたので少し拍子抜けしてしまう。

 

「これは、あれか? これみよがしに封印しておいて、実は何もありませんでしたっていうオチか?」

 

「……ありえる」

 

「うぅ、ミレディめぇ。何処までもバカにしてぇ!」

 

三人が、一番あり得る可能性にガックリしていると、突如、もううんざりする程聞いているあの音が響き渡った。

 

「「「!?」」」

 

何かの作動音と共に部屋全体が揺れ、三人共バランスが崩れそうになった。

 

「っ!? 何だ!? この部屋自体が移動してるのか!?」

 

「……そうみたっ!?」

 

「うきゃ!?」

 

「二人共、掴まってろっ」

 

ハジメは咄嗟に二人が怪我をしないように抱きしめる。二人もハジメに抱きついた。その後、部屋は移動していき、やがて目的地に着いたのか止まった。

 

「ふぅ~、ようやく止まったか……ユエ、シア、大丈夫か?」

 

「……ん、平気」

 

「だ、大丈夫ですぅ〜」

 

ハジメは二人の安全を確認して、部屋の向こうにある扉に向かった。扉の先は、ミレディの住処か、ゴーレム操者か、あるいは別の罠か……ハジメは「何でも来い」と不敵な笑みを浮かべて扉を開いた。

 

そこには……

 

「ん……何か見覚えないか? この部屋。」

 

「……物凄くある。特にあの石板」

 

扉を開けた先は、別の部屋に繋がっていた。その部屋は中央に石板が立っており左側に通路がある。見覚えがあるはずだ。

 

なぜなら、その部屋は……

 

「最初の部屋……みたいですね?」

 

シアが、思っていても口に出したくなかった事を言ってしまう。だが、確かに、シアの言う通り最初に入ったウザイ文が彫り込まれた石板のある部屋だった。よく似た部屋ではない。それは、扉を開いて数秒後に元の部屋の床に浮き出た文字が証明していた。

 

〝ねぇ、今、どんな気持ち?〟

 

〝苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?〟

 

〝ねぇ、ねぇ、どんな気持ち? どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ〟

 

「「「……」」」

 

ハジメ達の顔から表情がストンと抜け落ちる。能面という言葉がピッタリと当てはまる表情だ。三人とも、微動だにせず無言で文字を見つめている。すると、更に文字が浮き出始めた。

 

〝あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します〟

 

〝いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです〟

 

〝嬉しい? 嬉しいよね? お礼なんていいよぉ! 好きでやってるだけだからぁ!〟

 

〝ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です〟

 

〝ひょっとして作っちゃった? 苦労しちゃった? 残念! プギャァー〟

 

「クハッ、ハハハ」

 

「フフフフ」

 

「フヒ、フヒヒヒ」

 

床の文字を前に見詰めて硬直したまま三者三様の壊れた笑い声が辺りに響くのであった……。

 

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