ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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現在、活動報告で必要な部分だと感じたので加筆しました。

詳細は下のリンク先で確認できます
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=333123&uid=418961

次回の繋ぎ程度なので短いです。


閑話 対策会議

 

ウルの町に着くと、ブリーゼから降りるよりも早くウィルが転げるように降りて駆ける。その後からも足をもつれさせる勢いで愛子達もブリーゼから降りて町長のいる場所へと駆けていく。

そして、ブリーゼを〝宝物庫〟にしまってから周りの地形などをあるていど確認を終えたハジメ達もウィルと愛子達の後を追い始めた。

 

町の中は活気が満ちている。料理が多彩で、近くには湖がある町だ。自然と人も集う。

まさか、一日後には、数万規模の〝怪物氾濫(スタンピード)〟によって町が蹂躙されるなどは夢に思わないだろう。

そんな活気満ちる町中を横目にハジメは今、楽しそうに暮らす人達の平穏が誰かの手引きによって失ってしまうと思うと非常に腹立たしさを感じるが今はその激情を抑える。

 

「急ぐぞ」

 

「……んっ」

 

「はい!」

 

「うむっ」

 

急ぐハジメの後にユエ、シア、ティオが続き、四人は町の役場へと向かった。

 

少し遅れてハジメ達も、町の役場に到着した頃には既に場は騒然としていた。【ウルの町】のギルド支部長や町の幹部、協会の司祭達が集まっており、喧々囂々たる有様である。皆一様、信じられない、信じたくないといった様相で、その原因たる情報をもたらした愛子達やウィルに掴みかからんばかりの勢いで問い詰めている。

普通なら、明日にも町は滅びますと言われても狂人の戯言で終わるだろうが、今回ばかりはそうそうと無視など出来ない。なにせ〝神の使徒〟にして〝豊穣の女神〟たる愛子の言葉だ。そして、〝怪物氾濫〟という国家級の天災を知る者達にとってからも、戯言などと誰も言えない。

 

なお、車中の話し合いで愛子達の報告内容においてティオの正体と黒幕に清水幸利が関係しているかもしれないということは伏せている。ティオに関しては、協会で半ばタブー扱いの竜人族であると知られたくない本人からの要望のため、清水に関してはもし言ってしまったら討伐隊を組まれる可能性があるためだ。

 

そんな喧騒の中、ハジメの到着に気付いたウィルが待ってましたと言わんばかりに「ハジメ殿!」と駆け寄ってくる。

そのウィルの声で遅れてハジメ達の存在に気付いた重鎮達は「誰だ、こいつ?」と、危急の話し合いの場に現れたハジメに不愉快そうな眼差しを向ける。

 

だが、それは一変する。ウィルに続き、〝豊穣の女神〟である愛子すら「南雲君!」と、他の使徒達と共にハジメの元へ言って駆け寄って来たのだから。

 

「愛子様、ウィル様。その方は誰でしょうか?」

 

重鎮の一人がウィルと愛子に問い掛けると二人は打ち合わせしてないのに言葉が重なる。

 

「「〝怪物氾濫〟を対処できるかもしれない方です!」」

 

その二人の自信に満ちた言葉はこの場にいる重鎮達を驚愕させるのであった。

 

 

================================

 

 

数十分後、ハジメ、愛子、ウィル、そして重鎮達が役場の一室に集い円卓のテーブルの周りの椅子に座り〝怪物氾濫(スタンピード)〟の対策会議を始める。

 

「まず、皆よ。この緊急時によく集まってくれて感謝する」

 

そう述べて一礼する貴族のような服ではなくありふれた農民のような質素な服を着た人物はウルの町の町長──ニールス・ユース。

 

「いえ、これは【ウルの町】に留まらず他の都市や町にも関わる大問題です教会の司祭として簡化できませんゆえ」

 

頭を下げるニールスにそう語りかけるの法衣を着た人物は、ウルの町に配属された教会の司祭の代表──コリオ・パルミエール。

 

「そ、その一応、き、近辺のギルド支部とほ、本部には連絡をし、しておきました」

 

緊張して詰まり詰まりに喋るヒョロったした痩せ型の体で眼鏡を掛けた人物は冒険者ギルド【ウル支部】の支部長──ヒョロ・ガリ。

 

と、他の重鎮達も続いて礼や得た情報の報告などをしていく。

 

そして、それが一旦、終わりを告げニールスが本題に移る。

 

「皆よ、報告感謝する。で、本題だがウィル殿」

 

「はい」

 

ニールスに呼ばれ伯爵家三男のウィルが席から立ち上がる。

 

「私の名はウィル・クデタ、中立商業都市フューレンのクデタ伯爵家の三男です。そして、ウルの町長、司祭様、ギルド支部長殿、そして重鎮の皆様方、この度は私と愛子殿の話を信用してくれて感謝します」

 

そう貴族の子供であると感じさせる雰囲気で挨拶と感謝を申し上げるウィルにハジメは感心してると、遅れて愛子も席に立ち上がった「あ、ありがとうございます!」とお礼を言っている。

 

ウィルと愛子の感謝に町長や重鎮達は一様に頷くとニールスはウィルに続けてくれと告げる。

 

「はい。まず、今回の経緯を説明します」

 

そう言って、ウィルは今までの経緯をティオの部分は少し変えて説明した。

・ウィルはフューレンの支部長の依頼北の山脈を調査することになった冒険者チームに同行していたこと。

・山の五合目あたりで魔物を群れと遭遇して戦闘になったが、強力な魔物に襲撃されてウィル以外の冒険者は全員死亡したこと。

・そして、生き残ったウィルを捜索しにきたハジメと愛子達に救出され、ウィル達を襲った魔物をハジメが討伐したこと。

 

そして、

 

「町を戻る前にハジメ殿のアーティファクトで〝怪物氾濫(スタンピード)〟並の魔物の群勢がコチラに向かって来てることを発見しました」

 

ウィルの説明にニールス達重鎮達は苦悶に満ちた声をあげる中、ニールスはウィルに礼を告げる。

 

「ウィル殿、情報の提供を感謝する」

 

「いえ、この国家級の緊急時。早急に伝えないといけないので」

 

だが、報告だけでは意味ない。ウィルの話だと魔物群勢は明日にはやってくるのだと知るや否や重鎮達は言葉を交わし始める。

 

「まず、町民達の避難を………」

 

「いや、それよりも魔物達が侵入しないようバリケードをっ」

 

「そんな時間があるわけなかろう!」

 

「クソっ、王国で召喚された勇者様は呼べないのか!」

 

「いや、勇者様は〝神の使徒〟と共に大迷宮を攻略していると聞いている。それにウルまでは相当な距離があるぞ!」

 

「では、白金ランクや金ランクの冒険者の要請は!?」

 

「無理だろう。【沈黙の魔女】様はガラテアで魔力溜りが起きてる遺跡の魔力処理。【戦眼】殿はキオンで前線の指揮で動けず、最後の【戦姫】は帝国在籍の冒険者ゆえに帝国に要請をしないといかんぞ!」

 

「なら、金ランクは!?」

 

「無駄だ。それに歴代最多という勝ち目のない怪物氾濫に協力してくれるような冒険者はいないだろう?」

 

アレは違う。それは無理だ!と、段々と話がヒートアップしていく重鎮達。最早、暴走に近い状態の彼等にウィルは息を吸った後、大きな声音で制止の声を張り上げる。

 

「皆さん、落ち着いて下さい!!」

 

ウィルの言葉にビクッと驚いて口を閉ざした。それを黙って見ていたニールスが頷き席から立ち上がる。

 

「ウィル殿と同意見だ。皆よ、少しは落ち着きなさい。怪物氾濫で気が動転していると思うが、今は町民達の避難が最優先」

 

「そうですな。儂もニールス町長と同意見ですな」

 

ニールスの鶴の一言に続き司祭のコリオも同調するように頷き席を立つ。

 

「皆様、我等は神エヒトの加護もありますが、その上に必要なものは一致団結することなのです。団を取り知恵を集め目の前の困難にどう耐えるか、その上での話し合い。故に、今いない方に願っても無意味なことですよ」

 

コリオの言葉に先程の重鎮達は顔を俯かせる。だが、コリオの言ってることは正論だ。聞いていたハジメはその意見に賛同しつつ教会の司祭であるコリオを警戒していたのを少し改めた。

 

「(あの司祭。己の崇める神よりもここにいる全員の団結を大事だと言っていた………教会にも常識的な奴もいるんだな)」

 

本部のイカれた狂信者たちと違って常識的なコリオにハジメは安心してると、コリオは視線を一瞬、ハジメに興味深けな視線を向けてからウィルと愛子を見て口を開く。

 

「そして、愛子様にウィル殿、貴方々には〝怪物氾濫〟をどうにかできると思い我等をお呼びした訳ですな」

 

「え……なぜ、わかるのですか?」

 

「当然のことです。もし、手段がなければ即座に我等と共にフューレンなどの都市部に逃げ込むことを最優先に提案していた。しかし、貴方と愛子様は避難ではなく対策といった。それは、この急時にどうにか出来る方がいるから……。そして、その人物とは先程も会議をする前に御二人が言っていた彼ですかね」

 

そう意味深に言うコリオはハジメに視線を向ける。それに続いて他の重鎮達もハジメを見て騒めく。

 

愛子達の報告した襲い来る脅威は歴代最多の〝怪物氾濫(スタンピード)〟それも、山脈地帯の幾つの【遺跡】から溢れ出て集められた強力な魔物ばかりだ。

まさに、天災級の事案に一個人が及ぼせる影響など無いに等しい。それが常識だ。それを覆す非常識は、異世界から召喚された者達の中でも特別な者──勇者だけだ。

それでも、本当の意味で一人では軍には勝てない。人間族を率いて仲間と共にあらねば単純に物量に呑まれてしまうだろう。なので、例え、愛子やウィルの言葉であっても勇者ですらない目の前の少年が、この急時をどうにか出来るとは到底、思えない。

 

「はぁ」

 

怪訝な視線を向けられ、鬱陶しさを感じつつも一応、ハジメは席から立ち上がる。

 

「申し遅れたな。俺の名前は南雲ハジメ。冒険者をやっている。今回はフューレン支部のイルワ・チャング支部長の依頼を受けウィル・クデタ殿の救助の為にこの町に来た」

 

名前と素性、依頼内容を語るハジメ。すると、ずっとアワアワとしていたウルの支部長ヒョロが驚きの声を上げる。

 

「うへぇ!? 君、イルワさんから依頼を頼まれた冒険者なのかい?」

 

「ああ、一応、証拠として依頼書と手紙もあるぞ?」

 

「す、少し……は、拝見していいかな?」

 

「ああ、勿論」

 

ハジメは断ることなく依頼書とイルワからの手紙をヒョロに渡す。依頼書と手紙を受け取ったヒョロは二つの紙を一つずつ読んで確認していく。

 

そして、一分後、全部確認を終えたヒョロはハジメに依頼書と手紙を返してニールスやコリオ、重鎮達に告げる。

 

「み、皆さん、か、彼の言葉は間違いはなく、イ、イルワさんからの手紙には彼はい、【遺跡】の最速攻略者らしくランクは青であ、あるも実力はき、金ランクにひ、等しいらしいです!」

 

ヒョロに告げられたハジメの情報に重鎮達はざわめきだす。

 

「き、金ランク……第一級並だと!」

 

「し、しかし本当か? 今の彼のランクは青だぞ?」

 

「だが、あのフューレン支部町殿がその実力を認めているんだぞ! かなり信憑性あると考えられる!」

 

「だが、金ランクが一人いたところで状況は一向に変わらんぞ!」

 

また、騒ぎだし始める重鎮達。しかし、今回はニールスが手で制したおかけで早々と切り上げられた。

そして、ニールスはヒョロに問い掛ける。

 

「それで、ヒョロ支部長。君の意見からして彼は信頼できそうかな?」

 

「は、はい! イルワさんの見る目は間違いはないと思います!あの人の見る目はギルド長も信頼してるので!」

 

「そうか、コリオ司祭は?」

 

「私は信頼しますぞ。それに、ウィル殿、ましてや神の使徒であらせる愛子様に切り札と思われる方を不審に思っては背信行為ですしな」

 

ニールスの言葉に声が少し上がるヒョロとホッホッホッと笑うコリオはハジメの信用たる人物だと評する。ニールスは二人の意見に頷きつつ今度はハジメへ視線を向ける。

 

「………御二人の意見は了解した。では、ハジメ殿。一つ聞きたいがいいかな?」

 

「なんだ?」

 

ニールスの言葉に返答するハジメ。お互いの目が合う中、ニールスはただ一言。

 

「ハジメ殿、このウルを救って頂きたい」

 

それは、町民達、そしてウルを愛するニールスからの心からの願いであり誠意を込めて深く頭を下げた。

それを見て、他の重鎮達、ヒョロやコリオ、ウィル、愛子すらも頭を下げてお願いする。

 

───この町を守って欲しいと。

 

そんな彼等の思いを汲み取ったハジメは不敵に笑みを見せてニールス達に自信満々に告げる。

 

「任せろ」

 

その目のギラつきと不敵な笑みを見せるハジメを見たニールス達は少し怖気付いてしまうが同時に何故か安心感を感じさせるのであった………。

 




人物紹介
【ウルの町】町長 ニールス・ユース
ウルの町の町長をしている人物。
元々、農家出身であるため貴族のような服を着るのが苦手で大事な予定以外は大体、農家服を普段着にしている。
ウルの町を心から愛しており、自前の畑を耕したり、町民達の手伝いもよくしてるため町長達からの絶大な信頼を得ている。

冒険者ギルド【ウル支部】ヒョロ・ガリ
元々、王都の本部に務めるほどの実力を持つ彼であるが極度のあがり症のため、その実力を上手く振るえないところを先輩であるイルワに助けられ、冒険者の仲介地点である【ウル支部】の支部長に推薦してくれたりしてイルワに絶大な信頼を押している。

聖陽教会ウル支部 司祭コリオ・パルミエール
若い頃は、教会本部で枢機卿の地位まで昇り詰めていたが、ある事がきっかけで神に対して不信を抱き、枢機卿の立場を捨ててまで遠く離れたウルで司祭をすることを決めた異例な過去を持つ。

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