ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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四章 紅き閃光は愛しの貴女の元へ〜再会〜
四十話 フューレンへ再び


 

白ローブが去り、神殿騎士達も清水もまだ寝っているのだがハジメ達はウィルを連れていかないといけない為に、ウルの町から出発しようとしていた。

 

ハジメが魔力駆動四輪を宝物庫から出してると、愛子と奈々と妙子達が来ていた。

 

「南雲君、もう行くんですか?」

 

「あぁ、スマンな先生こっちもそろそろウィルを連れて帰らないいけないしな。清水が起きたら、また会おうと伝えといてくれ」

 

「本当に、戻るつもりは無いんですね……」

 

「あぁ、まだ戻るつもりはない」

 

「ハジメ……」

 

「ハジメっち…」

 

やっぱりハジメが皆の所に戻らないと口にすると、全員が少し寂しそうに俯いた。

 

幼なじみの二人は特に暗い表情だったので、ハジメは頭を片手でポリポリ掻く二人に話しかけた。

 

「奈々、妙子、お前達に渡す物がある」

 

「ん、私達に?」

 

「えっ何?」

 

ハジメはそう言って〝宝物庫〟からある二つのアーティファクトを取り出し、二人に投げ渡した。

 

「これって」

 

「妙子の奴は魔法陣に魔力を流すと硬質化と風の斬撃を飛ばせる鞭だ。名前は〝トルネーグ〟。操鞭師のお前なら扱えるだろ」

 

「すっ、凄い……。ありがとっ、ハジメ」

 

「そして、奈々のは魔力のストックが出来る腕輪だ。名前は〝アーベン〟。氷術師の奈々は魔力は多くあった方が良いだろ?」

 

「わぁ〜綺麗…。ありがとっハジメっち!」

 

「二人が喜んでくれたなら何よりだ」

 

三人でそんな会話をしていると、男子生徒達が物欲しそうな目でこちらを見ている。ハジメも視線を感じて男子生徒達の方へ視線を転じた。

 

「……何だよ、お前等?」

 

「南雲っ! 」

 

「俺達にも何か渡して欲しいな〜」

 

「……」

 

ハジメは視線から男子生徒達のことは見当がついていたので、適当に試作品や鍛錬の時に制作していた武器をポイポイっと投げ渡した。

 

「おい、南雲。絶対これ適当だろ!」

 

ハジメはそんな男子生徒達の抗議を無視して、さっさと魔力駆動四輪に乗り込み、それに合わせてユエ達も乗り込んだ。それを確認したハジメは最後に愛子に真剣な表情で告げた。

 

「……先生、世界が変わっても俺達の先生であろうとしてくれている事は嬉しく思う……。出来れば、これからも何があっても生徒の死があったとしても折れないでくれ」

 

ハジメはそう告げてから魔力駆動二輪を走らせ、ウルの町を出ていったのだった。

 

北の山脈地帯を背に魔力駆動四輪が砂埃を上げながら南へと街道を疾走する。何年もの間、何千何万という人々が踏み固めただけの道であるが、ウルの町から北の山脈地帯へと続く道に比べれば遥かにマシだ。サスペンション付きの四輪は、振動を最小限に抑えながら快調にフューレンへと向かって進んでいた。

 

車内で運転しながらハジメは清水の件での事でシアに感謝していた。

 

「シア、清水の件は助かった、お前の〝未来視〟がなかったら先生までも危なかった」

 

「いえいえ、それ程でも〜」

 

ハジメの感謝の気持ちが伝わったシアは嬉しそうにウサ耳をピコピコしていた。

 

「だから、お礼がしたいしな、シア何か要望があったら言ってくれ。 でも、出来る範囲の奴で言えよ」

 

いきなりの言葉に、少し困惑するシア。仲間として当然の事をしたと考えていたので、少々大げさではないかと思う。「う、う~ん」と唸りながらシアは、少し考えた後、にへら~と笑い、ハジメに視線を転じた。

 

「では、私の初めてをもらっ『却下だ』……冗談ですよ〜。私、そんなことしたら優花さんに出会ったらボコボコにされるかもしれませんし〜」

 

「はぁ……冗談も程々にしとけよ。それに、お前は優花を何だと思ってるんだ?」

 

「アハハ……。では、ハジメさんデートしてください。フューレンに着いたら、観光区に連れて行って下さいね?」

 

「ああ、わかったよ」

 

そんな事を話してると隣の席のユエと後ろの席にいたティオが羨ましそうな視線でシアを見ていた。

 

「……良いな。シア、私もハジメとデートしたい」

 

「そうじゃの〜」

 

「や、やめてください、そんな視線を私に向けないでください恐いですぅ……」

 

「……ユエ、ティオ。時間があったならお前達ともデートくらいするよ」

 

「……ホント?」

 

「ホントかの?」

 

「ホントだ、だから今回の件は勘弁してくれ」

 

「「ん、分かった(のじゃ)」」

 

そんな会話を車内でしながら一行は中立商業都市フューレンへと向かった。ちなみに同乗していたウィルは会話に着いて来れず窓から景色を眺めているのであった。

 

 

中立商業都市フューレンの活気は相変わらずだった。

 

高く巨大な壁の向こうから、まだ相当距離があるというのに町中の喧騒が外野まで伝わってくる。これまた門前に出来た相変わらずの長蛇の列、唯の観光客から商人など仕事関係で訪れた者達まであらゆる人々が気怠そうに、あるいは苛ついたように順番が来るのを待っていた。

 

しかし、人々の耳に聞き慣れない音が聞こえ始めた。

 

キィイイイイイイイ!!!

 

振り返ると見たこともない黒い箱型の物体が猛烈な勢いで砂埃を巻き上げながら街道を爆走してくる光景を目撃してギョッと目を剥いた。にわかに騒がしくなる人々。すわっ魔物か! と逃げ出そうとするが、箱型の物体の速度は想像以上のものであり、気がついたときには直ぐそこまで迫っていた。

 

そして箱型の物体はギャリギャリギャリと尻を振りながら半回転し砂埃を盛大に巻き上げながら急停止した。

 

停止した物体、魔力駆動四輪を凝視する人々。一体何なんだと混乱が広がる中、四輪のドアが開いた。ビクッとする人々の事など知ったことじゃないと気にした風もなく降りてきたのは当然、ハジメ達だ。ユエとシア、ティオも人々の視線など気にした様子はない。ウィルだけは、お騒がせしてすみません! と頻りに頭を下げている。

 

ハジメは、四輪のボンネットに腰掛けながら、門までの距離を見て後一時間くらいかかりそうだなぁ~と目を細めた。ずっと車中にいて体が凝りそうだったので門に着くまで外で伸び伸びするつもりだ。魔力駆動四輪は、ハジメが魔力を直接操作して動かしているので、実は運転席に座らなくても操作難度が上がるだけで動かそうと思えば動かせるのだ。

 

ハジメはボンネットに腰掛けながらそう思ってるとシアが疑問を呈した。

 

「ハジメさん。四輪で乗り付けて良かったんですか? できる限り隠すつもりだったのでは……」

 

「ん? もう、今更だろ? あんだけ派手に暴れたんだ。一週間もすれば、よほど辺境でもない限り伝播しているさ。いつかこういう日は来るだろうとは思っていたし……予想よりちょっと早まっただけのことだ」

 

「……ん、ホントの意味で自重なし」

 

シアの疑問に、ハジメは肩を竦めて答えた。今までは、僅かな労力で避けられる面倒なら避けるべきという方針だったが、ウルの町での戦いは瞬く間に伝播するはずなので、そのような考えはもう無駄だろう。なので、ユエの言う通り、アーティファクト類をできる限り見せないというやり方は止めて、自重なしで行くことにしたのだ。

 

「う~ん、そうですか。まぁ、教会とかお国からは確実にアクションがありそうですし、確かに今更ですね。愛子さんとか、イルワさんとかが上手く味方してくれればいいですけど……」

 

「まぁ、あくまで保険だ。上手く効果を発揮すればいいなぁという程度のな。最初から、何とだって戦う覚悟はあるんだ。何かあれば薙ぎ払って進むさ。そういうわけで、シア。お前も、もう奴隷のフリとかしなくていいぞ? その首輪を外したらどうだ?」

 

その話は早々に切り上げ、ハジメはシアにも奴隷のフリは止めていいと、首輪をチョンチョンとつつきながら言う。手を出されたらその場で返り討ちにしてやれ、もう面倒事を避けるために遠慮する必要はないと暗に伝える。

 

しかし、シアは、そっと自分の首輪に手を触れて撫でると、若干頬を染めてイヤイヤと首を振った。

 

「いえ、これはこのままで。ハジメさんから初めて頂いたものですし……それにハジメさんのものという証でもありますし……最近は結構気に入っていて……だから、このままで」

 

そんな事を言うシアにハジメは笑みを零した。

 

「じゃあ、もう少しオシャレじゃないとな」

 

「え?」

 

ハジメは、首を傾げるシアの顎に手を当てるとそっと上を向かせた。その行為に、ますますシアの頬が紅く染まる。ハジメはそんなのを気にせず〝宝物庫〟からいくつか色合いの綺麗な水晶を取り出しつつ、シアの着けている首輪、正確には取り付けられている水晶に手を触れて〝錬成〟をしていった。

 

結果、黒の生地に白と青の装飾が幾何学的に入っており、かつ、正面には神結晶の欠片を加工した僅かに淡青色に発光する小さなクロスが取り付けられた神秘的な首輪……というより地球でも売っていそうなファッション的なチョーカーが出来上がった。

 

「……上出来かな」

 

ハジメは、そう呟いてから、出来栄えに満足の表情を浮かべ、首を時折撫でる俺の指の感触にうっとりしていたシアは、ハジメから鏡を渡されてハッと我に返った。そして、いそいそと鏡で首元のチョーカーを確かめる。そこには、神秘的で美しい装飾が施されたチョーカーが確かにあった。神結晶のクロスが、シアの蒼穹の瞳と合っていて実に美しい。

 

シアは、指先でクロスをツンツンと弄りながら、ニマニマと口元を緩ませた。

 

そして、ハジメの腕に抱きつくと、にへら~と実に幸せそうな笑みを浮かべながら額をぐりぐりと擦りつけつつ礼を言った。ついでに、ウサミミもスリスリと擦り寄る。

 

「…ん?」

 

そんな事をしていると簡易の鎧を着て馬に乗った男が三人、近くの商人達に事情聴取しながらハジメ達の方へやって来た。

 

「おい、お前! その黒い箱?は何なのか説明しろ!」

 

ハジメに高圧的に話しかけるが、ハジメはこのことも予想していた展開なので門番の男に視線を向けると淀みなく答える。

 

「これは俺のアーティファクトだ」

 

そんな尋問を受けていると、その時、門番の一人がハジメ達を見て首をかしげると、「あっ」と思い出したように隣の門番に小声で確認する。何かを言われた門番が同じように「そう言えば」と言いながらハジメ達をマジマジと見つめた。

 

「……君達はもしかしてハジメ、ユエ、シアという名前だったりするか?」

 

「ん? ああ、確かにそうだが……」

 

「そうか。それじゃあ、ギルド支部長殿の依頼からの帰りということか?」

 

「ああ、そうだが……もしかして支部長から通達でも来てるのか?」

 

ハジメの予想通りだったようで門番の男が頷く。門番は、直ぐに通せと言われているようで順番待ちを飛ばして入場させてくれるようだ。四輪を走らせ門番の後を着いて行く。列に並ぶ人々の何事かという好奇の視線を尻目に悠々と進み、再びフューレンの町へと足を踏み入れた。

 

 

~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

現在、ハジメ達は冒険者ギルドにある応接室に通されていた。出された如何にも高級そうなお茶と茶菓子をバリボリ、ゴクゴクと遠慮なく貪りながら待つこと五分。部屋の扉を蹴破らん勢いで開け放ち飛び込んできたのは、ハジメ達にウィル救出の依頼をしたイルワ・チャングだ。

 

「ウィル! 無事かい!? 怪我はないかい!?」

 

以前の落ち着いた雰囲気などかなぐり捨てて、視界にウィルを収めると挨拶もなく安否を確認するイルワ。それだけ心配だったのだろう。

 

「イルワさん……すみません。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……」

 

「……何を言うんだ……私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった……本当によく無事で……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ……二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」

 

「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」

 

イルワは、ウィルに両親が滞在している場所を伝えると会いに行くよう促す。ウィルは、イルワに改めて捜索に骨を折ってもらったことを感謝し、ついで、ハジメ達に改めて挨拶に行くと約束して部屋を出て行った。ハジメとしては、これっきりで良かったのだが、きちんと礼をしないと気が済まないらしい。

 

ウィルが出て行った後、改めてイルワとハジメが向き合う。イルワは、穏やかな表情で微笑むと、深々と頭を下げた。

 

「ハジメ君、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ」

 

「まぁ、生き残っていたのはウィルの運が良かったからだろ」

 

「ふふ、そうかな? 確かに、それもあるだろうが……何万もの魔物の群れから守りきってくれたのは事実だろう? 女神の狼様?」

 

にこやかに笑いながら、ハジメが大群との戦闘前にした演説の内容と俺が放った魔法から文字った二つ名を呼ぶイルワにハジメの頬が引き攣った。

 

「その二つ名は初めて聞くが……随分情報が早いな。何か通信用のアーティファクトでもあるのか?」

 

「察しがいいね。ハジメ君の言う通りギルドの幹部専用だけどね。長距離連絡用のアーティファクトがあるんだ。私の部下が君達に付いていたんだよ。といっても、あのとんでもない移動型アーティファクトのせいで常に後手に回っていたようだけど……彼の泣き言なんて初めて聞いたよ。諜報では随一の腕を持っているのだけどね」

 

そう言って苦笑いするイルワ。最初から監視員がついていたらしい。ギルド支部長としては当然の措置なので、特に怒りを抱くこともない。むしろ、支部長の直属でありながら、常に置いていかれたその部下の焦りを思うと、中々同情してしまう。

 

「それにしても、大変だったね。まさか、北の山脈地帯の異変が大惨事の予兆だったとは……二重の意味で君に依頼して本当によかった。数万の大群を殲滅した力にも興味はあるのだけど……聞かせてくれるかい? 一体、何があったのか」

 

「ああ、構わねぇよ。だが、その前にユエとシアのステータスプレートを頼むよ……ティオは『うむ、二人が貰うなら妾の分も頼めるかの』……ということだ」

 

「ふむ、確かに、プレートを見たほうが信憑性も高まるか……わかったよ」

 

「助かる」

 

そう言って、イルワは、職員を呼んで真新しいステータスプレートを三枚持ってこさせる。

 

結果、ユエ達のステータスは以下の通りだった。

 

====================================

 

ユエ 323歳 女 レベル:75

 

天職:神子

 

筋力:120

 

体力:300

 

耐性:80

 

敏捷:120

 

魔力:7500

 

魔耐:7120

 

技能:自動再生[+痛覚操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法・重力魔法

 

====================================

 

 

====================================

 

シア・ハウリア 16歳 女 レベル:40

 

天職:占術師

 

筋力:60 [+最大6100]

 

体力:80 [+最大6120]

 

耐性:60 [+最大6100]

 

敏捷:85 [+最大6125]

 

魔力:3020

 

魔耐:3180

 

技能:未来視[+自動発動][+仮定未来]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅱ] [+集中強化]・重力魔法

 

====================================

 

 

====================================

 

ティオ・クラルス 563歳 女 レベル:89

 

天職:守護者

 

筋力:770  [+竜化状態4620]

 

体力:1100  [+竜化状態6600]

 

耐性:1100  [+竜化状態6600]

 

敏捷:580  [+竜化状態3480]

 

魔力:4590

 

魔耐:4220

 

技能:竜化[+竜鱗硬化][+魔力効率上昇][+身体能力上昇][+咆哮][+風纏][+痛覚変換]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮]・火属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・風属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・複合魔法

 

====================================

 

三人のステータスは、ハジメには及ばないものの、召喚されたチート集団ですら少人数では相手にならないレベルのステータスだ。例え、光輝が〝限界突破〟を使用したとしても及ばないレベルだ。

 

「ほぅ……」

 

流石に、ハジメもユエ達のステータスを初めて見て、その異常さに内心驚いたが、イルワも口をあんぐりと開けて言葉も出ない様子だった。無理もない。ユエとティオは既に滅んだとされる種族固有のスキルである〝血力変換〟と〝竜化〟を持っている上に、ステータスが特異に過ぎる。シアは種族の常識を完全に無視している。驚くなという方がどうかしている。

 

「いやはや……なにかあるとは思っていましたが、これほどとは……」

 

冷や汗を流しながら、何時もの微笑みが引き攣っているイルワに、ハジメはお構いなしに事の顛末を語って聞かせた。普通に聞いただけなら、そんな馬鹿なと一笑に付しそうな内容でも、先にステータスプレートで裏付けるような数値や技能を見てしまっているので信じざるを得ない。イルワは、すべての話を聞き終えると、一気に十歳くらい年をとったような疲れた表情でソファーに深く座り直した。

 

「……道理でキャサリン先生の目に留まるわけだ。ハジメ君が異世界人の一人だということは予想していたが……実際は、遥か斜め上をいったね……」

 

「……それで、支部長さんよ。あんたはどうするんだ? 危険分子だと教会にでも突き出すか?」

 

イルワは、ハジメの質問に非難するような眼差しを向けると居住まいを正した。

 

「冗談がキツいよ。出来るわけないだろう? 君達を敵に回すようなこと、個人的にもギルド幹部としても有り得ない選択肢だよ……大体、見くびらないで欲しい。君達は私の恩人なんだ。そのことを私が忘れることは生涯ないよ」

 

「……そうか。そいつは良かった」

 

ハジメは、肩を竦めて、試して悪かったと視線で謝意を示した。

 

「私としては、約束通り可能な限り君達の後ろ盾になろうと思う。ギルド幹部としても、個人としてもね。まぁ、あれだけの力を見せたんだ。当分は、上の方も議論が紛糾して君達に下手なことはしないと思うよ。一応、後ろ盾になりやすいように、君達の冒険者ランクを全員〝金〟にしておく」

 

「おいおい、そんな大盤振る舞いで大丈夫か? こちらとしては、随分有難いが……」

 

「まぁ、普通は、〝金〟を付けるには色々面倒な手続きがいるのだけど……事後承諾でも何とかなるよ。キャサリン先生と僕の推薦、それに〝女神の狼〟という名声があるからね」

 

「そうか……感謝するよ」

 

その後、イルワと別れ、ハジメ達はフューレンの中央区にあるギルド直営の宿のVIPルームでくつろいだ。途中、ウィルの両親であるグレイル・グレタ伯爵とサリア・グレタ夫人がウィルを伴って挨拶に来た。かつて、王宮で見た貴族とは異なり随分と筋の通った人のようだ。ウィルの人の良さというものが納得できる両親だった。

 

グレイル伯爵は、しきりに礼をしたいと家への招待や金品の支払いを提案したが、ハジメが固辞するので、困ったことがあればどんなことでも力になると言い残し去っていった。

 

広いリビングの他に個室が四部屋付いた部屋は、その全てに天蓋付きのベッドが備え付けられており、テラスからは観光区の方を一望できる。ハジメは、リビングの超大型ソファーにゴロンと寝転びながら、リラックスした様子で深く息を吐いた。

 

ユエが、寝転んだハジメの頭を持ち上げて膝枕をする。シアは、足元に腰掛けた。ティオは、キョロキョロと物珍しげに部屋を見渡している。

 

「取り敢えず今日はもう休もう。明日は消費した食料とかの買い出しとかしなきゃならいがユエ、ティオ頼めるか?」

 

「……ん、任せて」

 

「のじゃ」

 

頑張ったシアのご褒美に、一日付き合うという約束をしたハジメはユエとティオに買い出しを頼み、二人は了承した。

 

「じゃあ、シア明日は楽しむとするか」

 

「はいですぅ〜」

 

ハジメの言葉にシアはウサ耳をピコピコさせて返答した。その後、四人はあれこれ雑談しつつ、その日の夜は更けていったのであった……。

 




編集しました。十一月十五日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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