ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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六話 守るために

 

それは、一人の少年が大事な一人の少女を守ろうとした為に弱い自分を捨て、〝獣〟が誕生することになってしまった原因の話である。

 

 

 

最近の優花の様子がおかしい。

 

ハジメが最近にそう思うようになったのは、彼女が自分や浩介、奈々達とも、あまり関わらくなったことだった。

 

それと前に妙子が優花を帰りに誘った時も龍堂拓也のグループにいる女子生徒に阻まれてしまったらしく一緒に帰れなかったらしい。

 

その時、妙子は優花の雰囲気がいつもと違うと、妙に何かを我慢していると感じたらしい。

 

それはハジメも感じていたことだった。

 

ハジメも優花を一緒に帰ろうと思って誘った時も何故かと理由をつけて帰れず、妙に作り笑いをしていた。その表情に少し、不安と感じてしまい、その次の日の昼休みに弁当を食べながら浩介に相談した。

 

ハジメはあったことを全て浩介に話す。それを聞いた浩介はウーンと考え込んだ。

 

「……って言うことなんだけど、 どう思う遠藤君?」

 

「ウーン……そうだなー」

 

「僕、何かしちゃったかな……」

 

ハジメは少し表情が暗いまま頭を俯かせながら言うと、浩介がそれを否定した。

 

「いや、それはないだろ。そしたら宮崎や菅原のことも避けてないと思うし……」

 

そう聞いた話から優花は、ハジメを嫌って避けていることはないと言う浩介。励ましを含められた感じの言葉にハジメは少なからず元気が出る。

 

「そう、だよね」

 

「まぁ……あれだろ最近さ、園部の奴、龍堂んとこのグループとこと仲良くやってそうだし……」

 

「龍堂君かぁ………あれって仲良くやってるのかな…?」

 

浩介がそう言うのは、最近、優花は龍堂拓也を中心とした集まったグループによくいるのだ。端から見れば、ただ仲良くなったと思うのだろう。

 

でも、ハジメにはそうとは思えなかった。

 

それは優花は、気が強い部分はあるが人見知りなのだ。だから、そんな優花がすぐに別のグループと仲良くなるのは考えにくい。

 

それに、ハジメは一瞬だけたが見てしまったのだ。彼女が悲痛そうな表情をしているのを。

そのせいでハジメは少なからず頭の中で不安が過ぎる。

ハジメは、唸り声を上げながら腕を組み悩んでいると、浩介は何かを思い出したようにが話しかけた。

 

「あっ、今日は南雲。園部んとこの手伝いだったろ?」

 

「うん」

 

浩介の言葉に、ハジメは頷きながら返事をする。すると、浩介がある提案を話しだした。

 

「じゃあ、そん時に聞いてみればいいじゃねぇか?」

 

「そっか……〝ウィステリア〟ならっ……うん、わかった聞いてみるよ」

 

ハジメは浩介の提案を快諾して、実践してみることを決心する。すると浩介は笑ってハジメの肩に腕をまわす。

 

「そうそう南雲。園部の奴に悩みがあったら聞いてやれよ」

 

「うん、ありがとう遠藤君。相談に乗ってくれて」

 

「どうってことよ」

 

ハジメは浩介という友達を持つことが出来て良かったと思いながら、悩みを話した後は浩介と最新のゲーム情報などの話をしながら、昼食を食べ終えた。

 

午後の授業も難なく終えるとハジメは足早に〝ウィステリア〟へと向かったのだった。

 

 

 

-ウィステリア-

 

「ハジメ君、次はコレを頼めるかい?」

 

「あっ、はい!」

 

ハジメは〝ウィステリア〟の手伝いをして一時間が経とうとしていた。が、遅れたとしても五分程の優花が帰って来ないのだ。

 

いつになっても帰って来ない優花に、ハジメも父である博之も不安を抱きながら作業にあたっていた。

 

そして、博之に頼まれた荷物を運んでいる時だった。

 

カラン

 

「……ただいま」

 

扉のベルの音が聞こえ振り返ると優花が帰ってきた。ハジメは嬉しくなって優花の元へ行こうと思ったが、先に荷物を運び終えようと奥へ行き、その代わりに博之が出迎えた。

 

「おかえり、優花。どうしたんだい遅かったじゃないか?」

 

「ゴメン、お父さん。ちょっと学校での用事が長引いちゃってさ、ちょっと待ってね。今から支度するからっ!」

 

博之が心配した表情で言うと、優花は笑みを浮かべて何でもないと言いながら支度をしに奥の部屋に向かった。

 

「……」

 

そのすれ違い様にハジメは彼女の表情を見て、あの笑顔は作りものだとすぐにわかった。少し暗く、悲しそうだったのが見えた気がした。

 

「……やっぱり、聞かないと」

 

ハジメは手伝いが終わったら優花に聞こうと、思いながら自分の仕事を再開したのだった。

 

暫くして、優花も〝ウィステリア〟の制服に着替えてから店内の戻ってきた。その時、ハジメは目にしてしまった。

 

「えっ……」

 

調理場に向かっていた優花の右腕に隠しているようだったが、痣らしき痕を見てハジメの頭の中が真っ白になった。

 

ハジメはいつの間にかに自分でも分かっていなかったぐらいの速さで優花の元へ駆けつけ話しかけていた。

 

「ねぇ優花ちゃん。それって、もしかして痣?」

 

「……ッ」

 

ハジメに指摘されたのが驚いたのか、優花は焦った表情で咄嗟に痣になっていた部分を腕で隠す。

 

「ホントにどうしたの?昨日はそんなの、なかった気が──」

 

「安心してっ、今日帰ってる時にコケちゃっただけだから!」

 

聞いたものの、優花は急いで帰ってる最中にコケて出来てしまったと一点張りだった。しかし、ハジメは怪しいと思いながら優花を見る。

 

「……そうなの?」

 

「うん、だから安心してハジメ君」

 

「……わ、分かったよ」

 

疑いはあったがハジメは優花の言葉を信じることにしてしまったのだった……。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ハジメは腕を組んで「ウーン」と声を漏らしながら学校の廊下を歩いていた。そして、独り言のように呟く。

「やっぱり、怪しいんだよなぁ……」

 

優花の態度と、先日に見た痣。コケただけと言っていたが、やはりそれは考えにくい。道場に行くハジメはそう思っていた。

やっぱり優花は龍道達のグループと何かあったんだろうと疑っていたその時だった。

 

こちらへと物凄い勢いで向かってくる足音が聞こえた為、振り返って見れば………

 

「南雲っち!」

 

「えっ、奈々ちゃん?!」

 

必死な顔で迫り抱きつく奈々をハジメは勢いを殺しつつ優しく彼女を受け止める。

 

「南雲っち!!」

 

奈々はハジメに抱きしめられながらも必死に自分の名前を呼ぶ。そして、ハジメはその顔に嫌な悪寒が走る。ずっと自分を探していたのか見つけた途端、すぐさまハジメの方へと走り出した奈々の表情は今すぐ泣きそうな顔だったからだ。

 

「奈々ちゃん、どうしたの? 一旦、そこで………」

 

ハジメが一旦落ち着かせようとするも、奈々はそんなのを無視してハジメの制服をギュッと握りしめた。

 

「な、奈々ちゃん?」

 

離れようとしない奈々にハジメも訳が分からないので苦笑いしながら事情を聞こうとした時だった。奈々は顔を上げた。その顔は泣くのを我慢していたのか涙で濡れていた。

 

「ハジメっぢぃ……ユウカっちが…ユウカがっ」

 

「っ……奈々ちゃん、何があったか聞かせてくれる?」

 

がそう言うと奈々ちゃんは頷き、事情を話してくれた。

 

それは優花が龍道達のグループの女子に暴力などイジメられてるとの内容だった。

「わ、私…ヒグッ‥ユウカっちを、助け…たかったのに、こ‥怖くて…グス」

 

ハジメは泣きじゃくりながら話す奈々の内容を聞いて、頭の中にある何かが切れたような感覚がした。

 

そして自分の頭はもう……

 

なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜななぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜななぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ

 

そんな言葉が頭の中を支配している。

 

それ以外のことは今のハジメでは考えられないほど、ぐちゃぐちゃになっていた。

 

ハジメは自分の片手を力強く握って拳を作る。そこからは力が入れ過ぎた余り血が流れている程だ。

 

そして、ハジメは考える。

 

───何故、支えれられなかったのか。

 

───彼女を、あの笑顔を、守れなかったのか。

 

そんな自分への非力さ、何も出来なかったことを怒り、そして思ってしまった……。

 

『支える』だけという言葉は意味守れなかった。

 

───じゃあ、どうすれば良い?

 

「………そっか」

 

そんなの簡単だった。

 

すぐに思い付いた。

 

自分を犠牲にすれば良い。

 

それで、彼女の笑顔を取り戻せるなら僕は──いや、()はどんな悪にも、愚者にでもなってやろう。

 

覚悟を決めたハジメは、泣いて自分にしがみつく奈々の頭を優しく撫でた。

 

「奈々……」

 

優しく撫でられ安心感を感じ、ハジメの言葉に反応して奈々はまだ泣きながらも顔を上げる。同時にハジメの自分に対する呼び方の変化に気付く。

 

「……グスっ……ぅん?」

 

「優花は僕……俺が絶対、何とかするから待っててくれ」

 

そう言い残してハジメは奈々から離れると、下駄箱へと向かう。

 

「えっ、ちょっ南雲っち!」

 

困惑する奈々が名前を呼ぶが、ハジメはそのまま家へと帰っていった。

 

 

その夜、ハジメは今日は真実が三十九度の熱が出てしまい、その看病の為に休んでいた浩介に連絡を入れた。

 

電話をかけるとすぐに、浩介に繋がった。電話越しから浩介の声が聞こえる。

 

『もしもし、どうしたんだ南雲〜?』

 

『浩介、頼みがある』

 

『えっ、ちょっ何いきなり名前呼び……まぁ良いけどよ。で、どうしたよこんな時間に頼みって?』

 

浩介はいきなりハジメの名前呼びに少し驚くがすんなりと受け入れ、頼みとはなんなのか聞く。ハジメは、浩介の柔軟な性格の良さに少し笑みを零すと、用件を話しだした。

 

『俺は明日の朝でとんでもないことをしでかす。そのせいで俺の立ち位置は変わってしまう。だから、浩介。お前には優花達の傍にいてやってくれ』

 

『……はぁっ?、ちょっと!』

突然のぶっ飛んだ内容に電話越しから浩介の驚愕満ちた声が聞こえる。しかし、ハジメは気にせず用件を言い終えると電話を切ろうとする。

 

『…ってわけだ。浩介頼む』

 

『待てっ』

 

電話を切ろうとした矢先、浩介の制止の言葉が入り、ハジメは一旦、電話を切るのをやめる。

 

『……なんだ?』

 

『ならっ、俺もお前にっ!』

 

『駄目だ。それに、まだ真実ちゃんの熱、治ってないだろ? あの子少し病弱だしな、明日も看病で休むだろ?』

 

『だ、だがっ!』

 

ハジメの指摘に浩介は口を噤むがまだ自分の頼みに納得出きないらしく反対らしい。だが、ハジメは覚悟をとうに決めている。

 

だから、

 

『頼んだ、浩介。後、真実ちゃんにはお大事にってな』

 

『おい!、ナグッ』

 

プツ、ツーツーツー

 

浩介が何か言おうとしたが、その前にハジメは電話切り、そして、ある人物に連絡して寝たのだった。

 

 

ー次の日-

 

ハジメは、朝早く学校に登校して、教室である奴を教卓の上に座りながら待っていた。

 

そして………

 

「あれ、俺が遅れちゃったかな?」

 

「来たか、龍堂……」

 

ガラガラと、扉が開く音が聞こえ、同時にヘラヘラした態度を取りながら目当ての人物──龍堂拓也が教室の中に入った。拓也はハジメの方を見て、ヘラヘラとした感じは変わらずもハジメの変化に気付き首を傾げた。

 

「あれ、南雲君なんか雰囲気変わった?」

 

「……そんなことはどうでも良い。龍堂……てめぇ、なぜ優花をイジメる?」

 

ハジメは龍堂を睨みながら問うと優花の名前に反応したのか龍堂は何時もヘラヘラした態度をやめると、面倒くさそうに頭を搔きながら口を開いた。

 

「……はぁ、なんだそんな事かよ。めんどくせぇ」

 

「……そんな事?」

 

拓也の物言いにハジメは更に怒りの炎が燃え、鋭い目付きが更に細まり拓也を睨む。

 

「だってよぉ………あの女はなぁ、この俺の告白を断ったんだぞ!この俺の告白を!可愛い顔してるから告白してやったのにあの女……だから分からせたまでだ!」

 

「…………そうか」

コイツ(拓也)の魂胆はよく理解した。こんなにも屑だとは思ってなくハジメは小さく呟く。

 

そして、

 

「クハッ……」

 

小さな笑みを零しながら拓也の方に向き直る。

 

「なっ、なんだよ?!」

 

ハジメが突然と笑ったことに拓也は底知れない恐怖を感じたのか一歩ずつ後退っていく。そんな中、ハジメは淡々と語り出した。

 

「いや、まさか優花をイジメる原因はただのてめぇのクズな思考回路だと思うとな、これからやることに躊躇いなくなったからよ。つい笑っちまった」

 

「は?」

 

ハジメの言葉に拓也は冷や汗を首筋にタラリと垂らしながら首を傾げるが、その間にハジメはゆっくりと拓也へと近付いていく。

 

そして、拓也の眼前へと辿り着くと、ハジメは右手を強く握り締め拳をつくる。

 

「おい!、何をする気……グボォっ?!」

 

そして、拓也が何かを言う前にハジメは彼の顔面を勢いよく殴り飛ばした。次に追撃と言わんばかりに拓也が倒れ込む寸前に腹部に強い蹴りを入れた。

 

拓也は声にならない声を上げて、床に強く打たれて倒れ込んだ。

 

「グフ、ウッウプ…ゲボ」

 

蹴りを入れられた拓也は腹部の激痛に耐えられなくなり嘔吐してしまう。しかし、ハジメはそんなことを気にせず徹底的に拳を振り上げ拓也を叩きのめしていく。

 

それも、今まで目の前のコイツが女子共に命令して優花に対してやらせたこと以上に……

 

「ク、ソっ……舐めん……なっ!!」

 

「遅いんだよっ」

 

拓也が反撃でハジメに殴りかかろうとするが、腹部を蹴られて痛いのか動きが鈍く、格闘技をするハジメにとっては、いとも簡単に避けれることが出来た。

 

「なっ?!」

 

避けられてしまって拓也が驚く間にハジメはしゃがみ込むと拓也の足の脛目掛けて右足で回し蹴りを炸裂する。

 

「……ッ?!」

 

脛を蹴られてしまって痛いのか苦悶の声を上げながら拓也は蹴られた脛のところを両手で抑えながら座り込む。

 

しかし、ハジメは容赦なく座り込む拓也の脇腹を蹴り上げた。

 

「ゴハッ……」

 

横からの唐突な蹴りで拓也は机にぶつかりながら横に転がっていく。

 

「ハァハァっ……「龍堂」……ヒッ!」

 

そして、もうハジメが拓也を呼ぶと奴はイケメンと言われてきた顔はもうボロボロに歪んでおり、ハジメへの恐怖が勝ってしまい怯えた表情で目の前に立つハジメを見ていた。

 

そんな怯えた表情なんか無視するハジメは倒れ込んでいる拓也の上に座り込んみながら胸倉を掴んだ。

 

「さてと……次はどうしてやろうか……」

 

「や、やめて……くれ。あ、謝るよ。ぞ……園部、ざんにももういジへまぜんがら……」

 

ハジメの言葉に戦慄して、龍堂は更に汚くなった顔を歪めて涙を流しながらハジメに優花への謝罪ともう勘弁してくれと言うが……

 

「は? それで許されると思ったのか?」

 

「ぶへっ!」

 

ハジメはそんな事はどうでもいいかのように拓也の顔面を殴りつける。イケメンがどうした?殴ればただの腫れてパンパンになるだけだ。

 

ハジメは殴ってから拓也に現実を突き付けた。

 

「自分の思い通りにいかないからって、女の子に痣をつけさせたんだぞ。てめぇは、痣だけだと思うなよ」

 

「ヒィッ……やめっ…アガァッ!」

 

ハジメはそのままひたすら拓也の顔を殴り続ける。苦悶の声を上げているがそんな雑音なんか無視して殴り続けていた。暫くして拓也からの声が聞こえなくなった。しかし、ハジメは殴り続ける。

 

すると……

 

「へ?……キャアアアア!」

 

教室の扉が開き、この件に関しては無関係である一人の女子生徒が中へと入る。そして、ハジメ達の方へと視線を向けると一瞬で恐怖に満ちた表情になり、そのまま叫びだして教室から出ていった。

 

数分後、学校に来ていた他の生徒達と女子生徒に呼ばれたであろう教師達がぞろぞろと必死めいた表情で教室に入り、拳が血で汚れてるハジメ達を見ると、教師はすぐさま力づくで二人を引き離した。

 

その後、ハジメは先生に連行された後、数時間ほど叱られてから家に強制的に帰さられた。

 

拓也の方は救急車が呼ばれ鼻の骨などが折れていたらしく全治二ヶ月の入院になったらしい。

 

そして、停学などないため翌日に登校するハジメを見て周囲の生徒達は避けるようになり、彼を見る周囲の視線から分かるのはハジメを猛獣や恐ろしいものを見ているかのようなものだった……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの騒動から二ヶ月ほどが経って〝不良〟としての立ち位置が定着してから学校をサボるようになってしまったハジメは、今は、公園のベンチに寝っ転がっていた。

 

サボった理由は簡単だった校内を歩く度に陰からヒソヒソと〝暴力魔〟、〝化け物〟などと言われ、恐怖されるようになってしまい、その視線が鬱陶しく感じていたからだ。

 

だが、どうでもいい。

 

「クハッ……化け物?……上等だ」

 

ハジメはそう呟きながら笑みを浮かべていた。

 

ハジメは周りから疎まれるようになってしまったが、これで良かったと思っている節があった。このおかげで龍堂拓也を中心にしたグループは優花に手を出すのやめたからだ。

 

なんせ主犯であるリーダーの拓也があんな大怪我を負ってしまって流石に手を出せないんだろうし、もしやろうとすれば龍堂の二の舞になると思って手を出せる筈がない。

 

しかし、自分も周りからは忌み嫌われしまったが優花の笑顔が戻るのなら安いもんだ。とハジメはそう思いながら空を見上げる。

 

あの騒動からハジメは優花達に迷惑を掛けないようにと、わざと避けながら学校生活を過ごしていた。

 

放課後は会わないようにトレーニングの為に何処かへ走りに行ったり、李の道場へと通っていた。お店の手伝いも優花の父の博之に店に迷惑をかけるかもしれないと思い辞めると伝えた。それなのに博之は自分に気軽に話しかけてくれたり、また手伝いをしたくなったらまた来て欲しいと言ってれる。ホントに優しい人だとハジメは思った。

 

何故ハジメは、こんなことをしている理由は簡単な事だ。

 

───優花が楽しく学校生活を送るため。

 

自分のような奴がそばにいても迷惑だと決めつけているハジメ。

 

公園のベンチから立ち上がると、両親に十中八九叱られるなぁ〜と思いながら家に帰ろうとした時だった。

 

「……足音……こっちに向かってくる?」

自分の方へと近付く足音にハジメは戸惑いを覚える。一瞬、頭の中にもしかしてと彼女の姿を思い浮かべるがすぐさま否定す首を振る。

 

「まさか……今日は学校の、筈……」

 

しかし、ハジメは当たりそうな予感がしてしまい振り向くと……

 

「待って……ハジメ君!!」

 

「優花……」

案の定、美しい栗色の茶髪が靡かせながらハジメの方へと走りながら向かっている優花の姿を見て、ハジメはつい立ち止まってしまい、自然と口から彼女の名前を呼んでしまっていた。

 

「ハァハァ……やっと見つけた」

 

ハジメの傍までやって来ると、優花は泣いてるのか怒っているのか、どちらでも捉えることができそうな表情だった。でもハジメはその表情でも見惚れてしまうのだった……。

 

 

そんな大切な幼なじみの園部優花は、どうやらハジメの些細な願いは嫌らしい……。

 




次回、ハジメを呼びとめた優花を何を思っているのか?!


<編集しました。十月二十三日。

雫はハーレムにいる?

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