ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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昨日出すつもりでしたが、書いてたデータが消えてしまい今日になって書き直せませた( ̄∇ ̄*)


五十七話 母娘の再会

 

見渡す限りの青。

 

空は地平の彼方まで晴れ渡り、太陽の光は燦々と降り注ぐ。しかし、決して暑すぎるということはなく、気候は穏やかで過ごしやすい。時折、優しく吹くそよ風は何とも心地いい。

 

この光景を見なければ……

 

「お前達は何者だ? なぜ、ここにいる? その乗っているものは何だ?」

 

現在、ハジメ達は海のド真ん中で海人族の集団に囲まれていた。

 

「………ムグ、ムグ(この状況、どう打開しようか……)」

 

ハジメは焼き魚を口にしたまま、海人族の集団に囲まれながらここからどう打開しようか考えながら、自分やユエ達の体調ぐらいしか考えが至ってなく、自警団などの懸念を蔑ろにしてたのを後悔していた。

 

────ハジメ達の現在に至るまでの間

 

火山から海に放流されてはよかったハジメ達であったが、海も安全とは言えず魔力に反応して襲撃してくる海の魔物と交戦したり、ハジメに関しては、先の戦いで受けたウラノスや灰竜からの極光の毒素を抜かせる事を専念した激動の一日目。

 

ユエに血を少し飲んで貰い毒素が抜けたと確認して貰うとハジメは、動ける範囲でマグマや魔物との戦闘で傷付いてしまった潜水艇の簡単な修理を行った。

 

ユエもユエで潜水艇の防御や先日の魔物の戦闘により大量の魔力を消費してしまい、大量の血が必要になった。普段ならユエの技能の〝血力変換〟の派生の〝血盟契約〟では契約相手であるハジメの血が最適であったが今のハジメは身体に毒素がまわっており、もしユエに害があったら危険なのでシアの血を飲んで貰う事にした。

 

その事に飲む側のユエは「……それなら仕方ない」と少し不服そうに顔をムスーっと唇を尖らせながらも了解し、飲まれる側のシアは「まぁ、私特に何もしてないので……ユエさん!どんどん飲んで下さい!」と余り仕事がなくイジケていたシアがドンッと胸を張りながら言っていたが数分後、貧血で倒れてしまい、半日は寝たきり状態になった。

 

そんな事があって、潜水艇をエリセンの港があると思われる方向の東に向かいながら二日目の太陽が中天を越えた頃、ハジメ達は、お昼休憩のため潜水艇を停めて、その上で波に揺られながら昼食をとっていた。

 

メニューは、当然、海で採った魚だ。〝紅雷〟で焼いて食べるという行為が、奈落にいたときのことを思い出してまい、優花の料理が恋しくなる。焼くだけなのは〝宝物庫〟をティオに預けてあるので、調理器具も調味料も何もないのだ。

 

それでも、三人仲良く並んでボーと水平線を眺めながら食べる魚は、中々、美味しかった。

 

と、その時だった。見たこともない魚の丸焼きに舌鼓を打っていたシアのウサミミが、突如、ピコンッ!と跳ねたかと思うと、忙しなく動き始めた。次いで、ハジメも「ん?」と何かしらの気配と視線を感じ、全長六十センチ近くある魚を頬張りながら、視線を動かした。

 

直後、潜水艇を囲むようにして、先が三股になっている槍を突き出した複数の人が、ザバッ!と音を立てて海の中から一斉に現れた。数は、二十人ほど。その誰もが、エメラルドグリーンの髪と扇状のヒレのような耳を付けていた。どう見ても、海人族の集団だ。彼らの目はいずれも、警戒心に溢れ剣呑に細められている。

 

そのうちの一人、ハジメの正面に位置する海人族の男が槍を突き出しながら、問い掛けた。

 

「お前達は何者だ?なぜ、ここにいる?その乗っているものは何だ?」

 

──そして、現在に至る。

 

「……ムグ、ムグ」

 

ハジメは尋問に答える為に急いで食っている魚を飲み込もうと頑張ってると、その姿を見る尋問した男の額に青筋が浮かび始めていた。その事に気付いているハジメは申し訳ない気持ちが半分、もう半分は疑念であった。

 

「ムグ……(しかし、なんでコイツ等、こんなにも殺気立ってるんだ)?」

 

どうにも、ただ海にいる人間を見つけたにしては殺気立ち過ぎているようで、ハジメは疑問を抱きつつも、一触即発の状況を打開しようと、ハジメの代わりにシアが答えようとした。

 

「あ、あの、落ち着いて下さい。私達はですね……」

 

「黙れ! 兎人族如きが勝手に口を開くな!」

 

やはり兎人族の地位は、樹海の外の亜人族の中でも低いようで妙に殺気立っていることもあり、槍の矛先がシアの方を向き、勢いよく突き出された。

 

その瞬間、ハジメから巨大な殺気と大瀑布の如きプレッシャーを放たれた。すると、海面が波紋を広げたように波打ちそして……

 

ガシッ

 

シアに突き出された槍を義手で掴み握りしめバキッと音がした共に槍が破壊され砕け散った。

 

「なっ?!」

 

槍を突き出していた海人族の男から槍を片手で破壊されたことに驚愕の声があがる。

 

「……ゴクンッ。ふぅ、尋問に答えられなかったのは謝る。だが、人の女を傷付けるようとするのは流石にやめようか。なぁ?」

 

間一髪のところで、焼き魚を食べ終えたハジメは〝威圧〟を放ちながらそうシアに槍を向けた海人族の男に告げると、他の海人族の集団もハジメの強烈な〝威圧〟に怯み少し後ろに後ずさっていく。

 

しかし、身体強化したシアに、海人族の攻撃が通るわけがないのだが、突き出された槍はシアが躱さなければ、浅く頬に当たっている位置だ。おそらく、少し傷を付けて警告する魂胆だろうが、少々、まだ二十歳でもない少女に対してはやりすぎ感がある。それに海人族はこれほど苛烈な種族ではないとイルワから聞いていたハジメは、更に先程の疑問が深まりだすも、ハジメは彼等に話しかける。

 

「さて、俺としては海人族と極力争いたくないんだ。だから、ここは落ち着いて話し合いといかないか? 流石に、本気で人の女に手を出されたらこちらも黙っている訳にはいかない。そっちも何かと気が立ってるようだしな」

 

紅色の輝きを失い〝威圧〟を解くとハジメは、そう海人族達に提案する。ハジメとしても、ミュウと同じ海人族とは、あまり争いたくはないからだ。

 

しかし、海人族の方は、提案を呑むつもりがないらしい。海の上という人間にとって圧倒的に不利な状況で〝お前達など相手にならない〟という態度に腹を立てたと思ったのだろう。ハジメはもう少しオブラートに話せば良かったと後悔する。

 

また、何故か人間族に対する警戒が異常に高いようで、ハジメの言葉を全く信用していないようだ。油断させようとしてもそうはいかない! と、ハジメ達から距離を取りながら背中に括りつけた短いモリを、投擲するように構えだした。

 

「そうやって、あの子も攫ったのか?また、我らの子を攫いに来たのか!」

 

「もう魔法を使う隙など与えんぞ!海は我らの領域。無事に帰れると思うな!」

 

「手足を切り落としてでも、あの子の居場所を吐かせてやる!」

 

「安心しろ。王国に引き渡すまで生かしてやる。状態は保障しないがな」

 

「……あ(コイツ等もしかして)」

 

怒り心頭の彼等の言葉を聞いてハジメは何故海人族がこんなに殺気立ってる理由を理解してある質問をする。

 

「なぁ、その攫われた子ってミュウって名前か?」

 

「……ッ?! 何故知っている!」

 

そして、海人族の反応を見てハジメは両手をあげ闘う意思ないことを示しながら伝えた。

 

「今は、諸事情でステータスプレートは持ち合わせては無いが俺達はれっきとした冒険者だ。フューレンの支部長イルワ・チャング氏からその子の保護及びエリセンに護送する事を依頼されている」

 

「……」

 

海人族はハジメの言葉に目を見開いたが、すぐさま疑いの目を向けた。

 

「……では、今その子は何処にいる?此処には見えないが?」

 

「それも少し事情があって、此処にはいないんだよ。 でも安心してくれ俺の仲間と共に一緒に今はアンカジにいる」

 

「………了解した。貴様の言い分は嘘を言ってるようには見えん。だが、信用は出来ない。故に、共にエリセンまで来てもらう。反対するなら拘束をするが?」

 

「安心しろ。反対もしねぇし、手も出さねぇよ。ユエ達も良いな?」

 

「……ん」

 

「分かりましたぁ〜」

 

ハジメの呼びかけに二人も反応して了承した。

 

そして、ハジメ達は海人族の集団に連行されるような形でエリセンに向かったのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ハジメはエリセンに向かっている間に、案内役の海人族の青年と話し合いをしていた。それで一度エリセンまで行き、そこで同行者を決めて一緒にアンカジまで行って欲しいと頼まれた。海人族としても、真偽の確かめようがないハジメの話を鵜呑みにしてミュウの手掛かりかもしれないハジメ達だけをアンカジに行かせるわけにはいかないらしい。

 

目の前でエリセンに案内している青年の他にも、先程、ハジメに吠えた者達は直接ミュウを知っている者達だったらしく、ミュウ誘拐の折、母親が負傷したこともあって余計感情的になっていたようらしい。

 

そうして海の上を走ること数時間、

 

「あっ、ハジメさん! 見えてきましたよ! 町ですぅ! やっと人のいる場所ですよぉ!」

 

「ん? おぉ、ほんとに海のド真ん中にあるんだな」

 

シアが瞳を輝かせながら指を指し【エリセン】の存在を伝える。視線を向けたハジメの眼にも、確かに海上に浮かぶ大きな町が見え始めた。

 

ハジメは、桟橋が数多く突き出た場所へ向かう。そして、見たこともない乗り物に乗ってやって来たハジメ達に目を丸くしている海人族達や観光やら商売でやって来たであろう人間達を尻目に、空いている場所に停泊した。

 

すると、そうこうしているうちに、完全武装した海人族と人間の兵士が詰めかけてきた。青年が、事情を説明するため前に進み出て、何やらお偉いさんらしき人と話し始める。ハジメとしては、早く、アンカジに戻って優花達と合流したかったので、心の中で「さっさと同行者を決めろよ」と多少ウンザリしながらも、その様子を見守っていた。

 

しかし、穏便にいってくれというハジメの思いは、やはりそう簡単に叶いはしないらしい。何やら慌てている青年を押しのけ、兵士達が押し寄せ狭い桟橋の上なので逃げ場などなく、あっという間に包囲されてしまった。

 

「大人しくしろ。事の真偽がはっきりするまで、お前達を拘束させてもらう」

 

「おいおい、話はちゃんと聞いてたのか?」

 

「もちろんだ。確認には我々の人員を行かせればいい。お前達が行く必要はない」

 

にべもない態度と言葉にハジメはイラっとしつつも、ミュウの故郷だと自分に言い聞かせて自制する。

 

「……あのな。俺達だって仲間が待っているんだ。直ぐにでもアンカジに向かいたいところを、エリセンに来てやったんだぞ?」

 

「果たして……攫われた子がアンカジにいなければ、エリセンの管轄内で正体不明の船に乗ってうろついていた不審者ということになる。道中で逃げ出さないとも限らないだろう?」

 

「どんなタイミングだよ。逃げ出すなら、こいつらを全滅させて逃げ出しているっつうの」

 

「その件もだ。お前達が無断で管轄内に入ったことに変わりはない。そう簡単に自由にさせるわけには行かないな」

 

「……いい加減にしとけよ」

 

ハジメは剣呑に目を細めた。目の前の兵士達のリーダーらしき人間族の男は、ハジメから溢れ出る重い空気に冷や汗をかきながら眉をしかめる。そして、ハジメは人間族の男の胸元にあるワッペンを見ると、ハイリヒ王国の紋章だだと理解する。すると国が保護の名目で送り込んでいる駐在部隊の隊長格だろうと察した。そして、 海人族側のおそらく自警団と呼ばれた奴等も引く気はないらしい。

 

ハジメとしては、ミュウの故郷であるし、大迷宮の一つ【メルジーネ海底遺跡】の正確な場所を知らないので、しばらく探索に時間がかかる可能性を考えると拠点となるエリセンで問題を起こしたくはなかったがアンカジにミュウがいるのは確実であるし、そうすれば疑惑も解けると頭ではわかっているが……

 

まさに、一触即発。

 

緊張感が高まる中、ハジメが、やはりミュウの故郷で暴れまわるわけにはいかないかと、譲歩しようとした。と、その時……

 

「ん? 今なにか……」

 

シアが、ウサミミをピコピコと動かしながらキョロキョロと空を見渡し始めた。ハジメは、隊長格の男から目を逸らさずに、「どうした?」と尋ねる。だが、それにシアが答える前に、ハジメにも薄らと声と気配が感じられた。

 

「───ッ!」

 

「あ? なんだ?」

 

「───パッ!」

 

「この声……おい、まさか!?」

 

「――パパぁー!!」

 

聞き覚えのある声がしてハジメが慌てて空を見上げると、何と、遥か上空から、小さな人影が落ちてきているところだった!両手を広げて、自由落下しているというのに満面の笑みを浮かべるその人影はハジメもよく知る人物だった。

 

「ミュウッ!?」

 

そう、ミュウだ。ミュウがスカイダイビングしている。パラシュートなしで。よく見れば、その背後から、慌てたように落下してくる黒竜姿のティオとその背に乗ってる焦り顔の優花の姿も見えた。

 

「チィッ!」

 

ハジメは、落ちてくる人影がミュウだと認識するや否や、兵士達を押し退け〝空力〟と〝縮地〟を同時発動。その場から一気に跳躍した。その衝撃により桟橋が吹き飛び、兵士達が悲鳴を上げながら海に落ちたが知ったことではないミュウが優先だ。

 

一気に百メートル以上跳んだハジメは、更に〝空力〟を使ってミュウが落下して来る場所へ跳躍し〝瞬光〟を発動。スローになった世界で、確実にミュウを腕の中に収めると、神業とも言うべき速度調整で落下し、衝撃の一切を完璧に殺した。

 

そして、ミュウを抱きしめたまま、〝空力〟を使ってピョンピョンと跳ねながら地上へと戻る。

 

「パパッ!」

 

冷や汗をかくハジメの内心など露ほどにも知らず、満面の笑みで胸元に顔をスリスリと擦りつけるミュウ。おそらく、上空で真下にハジメがいるとティオ辺りにでも教えられたんだろう。そして、故意にハジメ目掛けて落下した。落下中の笑顔を見れば、ハジメが受け止めてくれるということを微塵も疑っていなかったに違いないと。

 

だからといって、フリーフォールを満面の笑みで行うなど尋常な胆力はハジメには無い、流石に地上に降りたら叱るのだと決めたのだった。

 

 

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「ひっぐ、ぐすっ、ひぅ」

 

ボロボロになった桟橋の近くで、幼い少女のすすり泣く音が響く。野次馬やら兵士達やらで人がごった返しているのだが、喧騒など微塵もなく、妙に静まり返っていた。

 

それは、攫われたはずの海人族の女の子が天から降ってきた事や、人間であるはずの少年が空を跳びはねキャッチした事、更にその上空から少女を背に乗せた黒竜が降りてきた事も原因ではあるのだが、一番の理由は、その少年が盛大に海人族の少女を叱り付けたことだろう。いや、正確には、叱りつけた少年に対する先程から何度か聞こえる幼女の呼び名が原因かもしれない。

 

「ぐすっ、パパ、ごめんなしゃい……」

 

「もう、あんな危ない事しないって約束できるか?」

 

「うん、しゅる」

 

「よし、ならいい。ほら、来な」

 

「パパぁー!」

 

片膝立ちで幼子にしっかり言い聞かせるハジメの姿と、叱られて泣きながらも素直に反省し、許されてハジメの胸元に飛び込むミュウの姿は……普通に親子だった。ミュウが連呼する〝パパ〟の呼び名の通りに。

 

攫われたはずの海人族の幼子が、単なる〝慕う〟を通り越して人間の少年を父親扱いしている事態に、そしてそれを受け入れてミュウを娘扱いしているハジメに、皆、意味が分からず唖然としていた。

 

ハジメは苦笑いをしながらミュウを抱き上げて、よしよしと背中をポンポンしていると、ようやく、周囲の人々も我を取り戻したようで盛大に騒ぎ始めた。

 

そんな周囲の困惑に満ちた喧騒を尻目に、ハジメがミュウをあやしていると背後からギュッと抱きついてくる感触が……

 

ハジメが肩越しに振り返ると、そこには肩口に額を当てて小刻みに震える優花の姿があった。

 

「ハジメ、本当によかった……」

 

「優花」

 

今度は、優花が泣き出してしまった。気丈に振舞っていても、内心、死ぬほど不安だったのだろうと察した。生存を信じていたが、それでも心配な気持ちを感じなくなるわけではない。しかも、ようやく再会できたというのに、すぐさま二度目の離れ離れだ。相当堪えたしまったに違いないだろう。

 

「心配掛けて悪かった。この通り、俺はピンピンしてるよ。だから、泣くなって……」

 

「うっ、ひっぐ、じゃ、じゃあ、もう少しこのまま……」

 

ハジメは困ったように、肩越しに手を回して優花を抱き締めるが、優花は涙が止まらないのか、顔を見せないように益々ハジメの胸に顔をうずめていく。

 

「おい、お前、一体どういうことか、せつッぷげらっ!?」

 

「むっ? すまぬ」

 

そんな中、先程、ハジメの跳躍の余波で詰め寄ろうとした。が、その後ろから小走りでハジメに駆け寄った竜化を解いたティオとぶつかってしまい、再び海に叩き落とされた。

 

大して気にもせず、ティオはハジメの傍に寄ると、その頭を抱き抱え自らの胸の谷間に押し付けてきた。

 

「ぬおっ!? おい、ティオ」

 

「信じておったよ? じゃが、信じておったが……やはり、こうして再会すると……しばし、時間をおくれ、ご主人様よ」

 

ハジメが僅かに胸の谷間から顔を覗かせティオの顔を見れば、大切なものが腕の中にあることを噛み締めるような表情をして、目の端に涙を溜めていた。

 

「ティオ、お前にも心配かけたな」

 

申し訳なく感じたハジメは優しくティオの頭を撫でていく。

 

そうこうしているうちに、ミュウが「ミュウもギュ~する~」と言いながら首筋に抱きつき、いつの間にか傍に来ていたユエが側面から、シアが優花とは反対側の肩口に抱き付き始めた。

 

衆人環視の中、美幼女・美少女・美女を体が見えなくなるくらい全身に纏わりつかせた俺に周囲の視線が、困惑から次第に生暖かなものへと変わっていく気がした。

 

「貴様等……一度ならず、二度までも……王国兵士に対する公務妨害で捕縛してやろうか!」

 

すると再び桟橋から這い上がってきた隊長らしき人物が、怒りの形相でハジメ達を睨み武器を手に、今にも襲いかかってきそうな勢いだった。

 

一応、攫われた本人であるミュウが尋常でないくらい懐いていることから誘拐犯の可能性は余り考えていないよう見えるがそれにしても理解不能な点が多すぎるからしょっ引いて事情聴取をしたいんだろう。

 

ミュウに関しては、元より、中立商業都市フューレンのギルド支部長であるイルワからの正式な護送依頼であるので、事情説明はするつもりだったが、それを証明するものがなかったので困っていたわけだが今はある。

 

「あ、ティオ、宝物庫を」

 

「うむ」

 

ハジメは、ティオから〝宝物庫〟を返してもらうと、中からステータスプレートとイルワからの依頼書を取り出し、隊長に提示した。

 

「……なになに……〝金〟ランクだとっ!? しかも、フューレン支部長の指名依頼!?」

 

ハジメは続けて、イルワの依頼書の他、事の経緯が書かれた手紙も提出した。これはエリセンの町長と目の前の駐在兵士のトップに宛てられたものだ。それを食い入るように読み進めた隊長は盛大に溜息を吐くと、少し逡巡したようだが、やがて諦めたように肩を落として敬礼をした。

 

「先程はすまない……依頼の完了を承認する。南雲殿」

 

「疑いが晴れたようで何よりだ。こっちも色々あって焦っていたんだ。無礼は詫びる。他にも色々聞きたいことはあるんだろうが、こっちはこっちで忙しい。というわけで今は何も聞かないでくれ……一先ず、この子と母親を会わせたい。いいよな?」

 

「了解した。しかし、先程の竜の事や貴方の先程の跳躍、それにあの船らしきものに関しては……すまないが王国兵士としては看過できない」

 

先程の高圧的な態度とは一転し、ハジメに対して一定の敬意を払った態度となった隊長は、それでも聞くべきことは見逃せないと強い眼差しで訴える感じがした。

 

「それなら、時間が出来たら話すってことでいいか? どっちにしろしばらくエリセンに滞在する予定だし。もっとも、本国に報告しても無駄だと思うぞ。もう、ほとんど知ってるだろうし……」

 

「むっ、そうか。とにかく、話す機会があるならいい。その子を母親の元へ……その子は母親の状態を?」

 

「いや、まだ知らないが、問題ない。こっちには最高の薬もあるし、最高の治癒師もいるからな」

 

「そうか、わかった。では、落ち着いたらまた、尋ねるとしよう」

 

隊長の男──セルぜはハジメとの会話を終わると気遣ってくれたのか野次馬を散らして騒ぎの収拾に入った。中々、職務に忠実な人物だと感じ悪い事をしちまったと内心で詫びながらハジメは苦笑いする。

 

そうしてるとミュウを知っている者達だろうと思うが、声を掛けたそうにしていたが、そうすれば何時までたっても母親のところへたどり着けそうになかったので、ハジメは視線で制止した。

 

「パパ、パパ。お家に帰るの。ママが待ってるの! ママに会いたいの」

 

「そうだな……早く、会いに行こう」

 

ハジメの手を懸命に引っ張り、早く早く!と急かすミュウ。まぁ、ミュウにとっては、約二ヶ月ぶりの我が家と母親だから、無理もない。道中も、ハジメ達が構うので普段は笑っていたが、夜、寝る時などに、やはり母親が恋しくなるようで、そういう時は特に甘えん坊になっていて優花とかユエ達と一緒に寝ていてたのだ。

 

そのミュウの案内に従って彼女の家に向かう道中、顔を寄せて来た優花が不安そうな小声で尋ねる。

 

「ハジメ。さっきの兵士さんとの話って……」

 

「いや、命に関わるようなものじゃないらしい。ただ、怪我が酷いのと、後は、精神的なものだそうだ……精神の方はミュウがいれば問題ない。怪我の方は詳しく見てやってくれ」

 

「うん。任せて」

 

そんな会話をしていると、通りの先で騒ぎが聞こえだした。声質的に、若い女性が数人と大勢の男性の声だろう。

 

「レミア、落ち着くんだ! その足じゃ無理だ!」

 

「そうだよ、レミアちゃん。ミュウちゃんならちゃんと連れてくるから!」

 

「いやよ!ミュウが帰ってきたのでしょう!?なら、私が行かないと!迎えに行ってあげないと!」

 

どうやら、家を飛び出そうとしている女性を、数人の男女が抑えているようだ。おそらく、知り合いがミュウの帰還を母親に伝えたんだろう。

 

「うぉっ!とミュウ!」

 

レミアと呼ばれる女性の声を聞いたミュウは顔をパァア!と輝かせ、そして、ハジメの手から離れて精一杯大きな声で呼びかけながら駆け出した。

 

「ママーー!!」

 

「ッ!? ミュウ!? ミュウ!」

 

ミュウは、ステテテテー!と勢いよく走り、玄関先で両足を揃えて投げ出し崩れ落ちている女性──母親であるレミアの胸元へ満面の笑顔で飛び込んでいった。

 

もう二度と離れないというように固く抱きしめ合う母娘の姿に、周囲の人々が温かな眼差しを向けていた。

 

レミアは、何度も何度もミュウに「ごめんなさい」と繰り返していた。それは、目を離してしまったことか、それとも迎えに行ってあげられなかったことか、あるいはその両方か。

 

娘が無事だった事に対する安堵と守れなかった事に対する不甲斐なさにポロポロと涙をこぼしているレミアに、ミュウは心配そうな眼差しを向けながら、その頭を優しく撫でていた。

 

「大丈夫なの。ママ、ミュウはここにいるの。だから、大丈夫なの」

 

「ミュウ……」

 

まさか、まだ四歳の娘に慰められるとは思わず、レミアは涙で滲む瞳をまん丸に見開いて、ミュウを見つめていた。再び抱きしめ合ったミュウとレミアだったが、突如、ミュウが悲鳴じみた声を上げた。

 

「ママ! あし! どうしたの! けがしたの!? いたいの!?」

 

どうやら、肩越しにレミアの足の状態に気がついたらしい。彼女のロングスカートから覗いている両足は、包帯でぐるぐる巻きにされており、痛々しい有様だった。

 

これが、サルゼが言っていたことか、エリセンに来る道中でハジメも青年から聞いていたがミュウを攫ったこともだが、母親であるレミアに歩けなくなる程の重傷を負わせたことも、海人族達があれ程殺気立っていた理由の一つだったらしい。

 

レミアは、これ以上、娘に心配ばかりかけられないと笑顔を見せて、ミュウと同じように「大丈夫」と伝えようとした。しかし、それより早く、ミュウは、この世でもっとも頼りにしている〝パパ(ハジメ)〟に助けを求めた。

 

「パパぁ! ママを助けて! ママの足が痛いの!」

 

「えっ!? ミ、ミュウ? いま、なんて……」

 

「パパ! はやくぅ!」

 

「あら? あらら?やっぱり、パパって言ったの? ミュウ、パパって?」

 

混乱し頭上に大量の〝?〟を浮かべるレミア。周囲の人々もザワザワと騒ぎ出した。あちこちから「レミアが……再婚? そんな……バカナ」「レミアちゃんにも、ようやく次の春が来たのね!おめでたいわ!」「ウソだろ? 誰か、嘘だと言ってくれ……俺のレミアさんが……」「パパ…だと!?俺のことか!?」「おい、緊急集会だ!レミアさんとミュウちゃんを温かく見守る会のメンバー全員に通達しろ!こりゃあ、荒れるぞ!」など、色々危ない発言が飛び交っている。

 

「………」

 

どうやら、レミアとミュウは、かなり人気のある母娘のようだ。レミアは、まだ、二十代半ばと若く、今は、かなりやつれてしまっているが、ミュウによく似た整った顔立ちをしている。復調すれば、おっとり系の美人として人目を惹くだろうことは容易く想像できるので、人気があるのも頷ける。

 

刻一刻と大きくなる喧騒に、「行きたくねぇなぁ」と表情を引き攣らせるハジメ。ミュウがハジメをパパと呼ぶようになった経緯を説明すれば、あくまでパパ〝代わり(内心は別としても)〟であって、決してレミアとの再婚を狙っているわけではないと分かってもらえるだろうと簡単に考えていたのだが、どうやら、誤解が物凄い勢いで加速しているようだ。

 

だが、ある意味僥倖かもしれないとハジメは考えた。ミュウは母親の元に残して、ハジメ達は旅を続けなければならない。

 

エリセン近くの海域にあるとされる【メルジーネ海底遺跡】を攻略すれば、ミュウとはお別れなのだ。故郷から遠く離れた地で、母親から無理やり引き離されたミュウの寄る辺がハジメ達だったわけだが、母親の元に戻れば、最初は悲しむかもしれないが時間がハジメ達への思いを薄れさせるだろうと考えていた。周囲の人々の、レミア達母娘への関心の強さは、きっと、その助けとなるはずだ。

 

「パパぁ! はやくぅ! ママをたすけて!」

 

するとミュウの視線が、がっちりハジメを捉えているので、その視線をたどりレミアも周囲の人々も俺の存在に気がついたようだった。

 

「はぁ……しょうがねぇ」

 

ハジメは観念して、レミア達母娘へと歩み寄った。

 

「パパ、ママが……」

 

「大丈夫だ、ミュウ……ちゃんと治る。だから、泣きそうな顔するな」

 

「はいなの……」

 

ハジメが、泣きそうな表情で振り返るミュウの頭をくしゃくしゃと撫でながら、視線をレミアに向けた。レミアは、ポカンとした表情でハジメを見つめていた。

 

無理もないだろうと思いつつも、ハジメは取り敢えずここでは騒ぎが拡大するだろうし一旦、治療の為に家に入らせて貰うと判断する。

 

「悪いが、ちょっと失礼するぞ?」

 

「え? ッ!? あらら?」

 

ハジメは、ヒョイと全く重さを感じさせずにレミアをお姫様抱っこすると、ミュウに先導してもらってレミアを家の中に運び入れた。当のレミアは、突然、抱き上げられたことに目を白黒させている。

 

レミアを抱き上げたことに、背後で悲鳴と怒号などの喧騒が上がっているがハジメはスルーを決め込んだ。

 

家の中に入ると、リビングのソファーが目に入ったので、ハジメはそこへレミアをそっと下ろし、ソファーに座りハジメのことを目をぱちくりさせながら見つめるレミアの前にかしずき、優花を呼んだ。

 

「優花、どうだ?」

 

「オッケー。ちょっと見てみるわ……あのレミアさん、足に触れますね。痛かったら言って下さい」

 

「は、はい? えっと、どういう状況なのかしら?」

 

レミアは、困ったように眉を八の字にしている。

 

突然、攫われた娘が帰ってきたと思ったら、その娘がパパと慕う男が現れて、更に、見知らぬ美女・美少女が家の中に集まっているという状況に、レミアは、困ったように眉を八の字にしている。

 

そうこうしているうちに、優花の診察も終わり、レミアの足は神経を傷つけてはいるものの優花の回復魔法できちんと治癒できることが伝えられた。

 

「ただ、少し時間がかかります。デリケートな場所なので、後遺症なく治療するには、三日ほど掛けてゆっくり、少しずつ癒していくのがいいと思います。それまで、不便だと思いますけど、必ず治しますから安心して下さいね」

 

「あらあら、まあまあ。もう、歩けないと思っていましたのに……何とお礼を言えばいいか……」

 

「ふふ、いいんですよ。ミュウちゃんのお母さんなんですから」

 

「えっと、そういえば、皆さんは、ミュウとはどのような……それに、その……どうして、ミュウは、貴方のことを〝パパ〟と……」

 

優花が早速レミアの足を治療している間に、ハジメ達は事の経緯を説明することにした。フューレンでのミュウとの出会いと騒動、そしてパパと呼ぶようになった経緯など。優花に治療されながら、全てを聞いたレミアは、その場で深々と頭を下げ、涙ながらに何度も何度もお礼を繰り返した。

 

「本当に、何とお礼を言えばいいか……娘とこうして再会できたのは、全て皆さんのおかげです。このご恩は一生かけてもお返しします。私に出来ることでしたら、どんなことでも……」

 

気にするなとハジメ達は伝えたが、レミアとしても娘の命の恩人に礼の一つもしないでは納得できないらしい。そうこうしているうちに、優花の治療もひと段落着いたので、今日の宿を探すからと暇を伝えると、レミアはこれ幸いと、自分の家を使って欲しいと訴えた。

 

「どうかせめて、これくらいはさせて下さい。幸い、家はゆとりがありますから、皆さんの分の部屋も空いています。エリセンに滞在中は、どうか遠慮なく。それに、その方がミュウも喜びます。ね? ミュウ? ハジメさん達が家にいてくれた方が嬉しいわよね?」

 

「? パパ、どこかに行くの?」

 

レミアの言葉に、レミアの膝枕でうとうとしていたミュウは目をぱちくりさせて目を覚まし、次いでキョトンとした。どうやら、ミュウの中でハジメが自分の家に滞在することは当たり前のことになってるらしい。なぜ、レミアがそんな事を聞くのかわからないと言った表情だった。

 

「しかしな、母親の元に送り届けたら少しずつ距離を取ろうかと思っていたんだが……」

 

「あらあら、うふふ。パパが、娘から距離を取るなんていけませんよ?」

 

「いや、それは説明しただろ? 俺達は……」

 

「いずれ、旅立たれることは承知しています。ですが、だからこそ、お別れの日まで〝パパ〟でいてあげて下さい。距離を取られた挙句、さようならでは……ね?」

 

「……まぁ、それもそうだが……」

 

「うふふ、別に、お別れの日までと言わず、ずっと〝パパ〟でもいいのですよ? 先程、〝一生かけて〟と言ってしまいましたし……」

 

そんな事を言って、少し赤く染まった頬に片手を当てながら「うふふ♡」と笑みをこぼすレミア。おっとりした微笑みは、普通なら和むものなのだろうがハジメの周囲にはブリザードが発生していた。

 

「そういう冗談はよしてくれ……空気が冷たくなるだろうが……」

 

「あらあら、おモテになるのですね。ですが、私も夫を亡くしてそろそろ五年ですし……ミュウもパパ欲しいわよね?」

 

「ふぇ? パパはパパだよ?」

 

「うふふ、だそうですよ、パパ?」

 

ブリザードが激しさを増してる。冷たい空気に気が付いているのかいないのか分からないが、おっとりした雰囲気で、冗談とも本気とも付かない事をいうレミアに「いい度胸だ、ゴラァ!」という視線を送るユエ達や威圧並の圧を感じさせる笑顔を向ける優花にも「……フフッ」と微笑むだけで、柳に風と受け流している。意外に大物なのかもしれない。

 

結局、レミア宅に世話になることになった。部屋割りで「夫婦なら一緒にしますか?」とのたまうレミアとユエ達が無言の応酬を繰り広げたり、「パパとママと一緒に寝る~」というミュウの言葉に場がカオスと化したりしたが、一応の落ち着きを見せた。

 

しかし、明日からは、大迷宮攻略に向けて、しばらくの間、損壊、喪失した装備品の修繕・作成や、新たな神代魔法に対する試行錯誤とハジメが〝脳内設計〟で作成、色々と試行錯誤を重ねているアーティファクトの製作があるのだが………

 

「zzz…パパ」

 

「クハッ……」

 

しかし、残り少ないミュウとの時間も、蔑ろにはできないしな。ベッドに入ったハジメの意識は微睡んでいった。

 

 

~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

それから三日。

 

ハジメは約束していたセルぜとの話し合い及び情報共有の為に駐在所へ訪れていた。

 

ゼルゼという男は長く亜人達が住む町にいるお陰か亜人に対する差別はな、ちゃんと事情を話せば納得して貰うことが出来た。

しかし、たとえ上からの命で亜人の町に派遣されて不満はないかと聞いてみたら、ゼルゼは少し苦い顔をしながら話し始めた。

 

最初はゼルゼも亜人族のことは差別しており、保護対象だからと彼等を守っていたが、今は破壊されて存在しないが、八年ほど前に近くの海洋の未踏破の遺跡から強大な魔物である海の覇王が多くの海洋性の魔物を連れて怪物氾濫(スタンピード)を引き起こしたらしい。

突然な魔物の氾濫に王国に救援は呼べずエリセンは滅ぶ寸前であったが、王国から来ていた一人の神官のお陰で氾濫の原因である海の覇王を打ち倒しエリセンを救った。

 

その時、ゼルゼもエリセンに侵入しようとする魔物を部下と共に足止めしていが数の暴力により死ぬ寸前だったらしく、そこへエリセンの住民達が自分達を助けてくれたらしい。

今まで見下して来た自分を必死に助けてくれる彼等を見て何か吹っ切れたらしい。

それからは亜人に対する偏見もすっかりなくなったらしく、エリセンを第二の故郷だと言った。

 

故に、見知らぬハジメ達が現れた時も敵意を剥き出してしまったらしいが、話を聞いてハジメも納得した。

 

そして、ゼルゼとの話は終わり駐在所から出る前にハジメは氾濫の原因である海の覇王を倒した神官は誰かと聞く。

 

ハジメの言葉にゼルゼの顔は少し詰まるような顔をしながらも答えた。

 

──その神官は、かつて王国最強と呼ばれていた、と。

 

 

ゼルゼとの話が終わり、優花達と合流したハジメはエリセン観光等をした。

 

そして、妙にハジメとの距離が近いレミアに、海人族の男連中が嫉妬で目を血走らせハジメに突っかかってきたり、ご近所のおばちゃん達がハジメとレミアの仲を盛り上げたり、それに優花達が不機嫌になっていつもよりアプローチが激しくなったり、夜の優花達が殊更可愛くなったりしながらも、目的のアーティファクトの完成に至らずとも大迷宮攻略の準備を万全にしたハジメは、遂に、【メルジーネ海底遺跡】の探索に乗り出す事ができた。

 

しばしの別れに、物凄く寂しそうな表情をするミュウにハジメは盛大に後ろ髪惹かれる思いだったが、何とか振り切り桟橋から修繕した潜水艇に乗り込む。

 

ミュウが手を振りながら「パパ、いってらっしゃいなの!」と気丈に叫ぶ。そして、やはり冗談なのか本気なのか分からない雰囲気で「いってらっしゃい、あ・な・た♡」と手を振るレミア。

 

傍から見れば仕事に行く夫を見送る妻と娘そのままだ。背後の優花達からも周囲の海人族(男共)からも何故か鋭い視線が飛んでくる。迷宮から戻って来ることに少々ためらいを覚えるハジメであった……。

 




編集しました。十一月二十六日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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