ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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六章 王都侵攻〜天使の目覚め〜
六十四話 意外な再会


 

最初に、その騒動に気がついたのはシアだった。

 

「あれ? ハジメさん、あれって……何か襲われてません?」

 

ハジメはシアに言われた通り前方に前を向けると……

 

「……マジじゃん」

 

「なっ……私の言う事が嘘だと思ったんですかっ!」

 

「いや、ちょっとした冗談かと……」

 

「もうっ!」

 

シアの言う通り、どうやら何処かの隊商が襲われているようで、相対する二組の集団が激しい攻防を繰り返していた。近づくにつれ、シアのウサミミには人々の怒号と悲鳴が聞こえ、ハジメの〝遠見〟にもはっきりと事態の詳細が見て取れた。

 

「相手は賊みたいだな。……小汚ない格好した男が約四十人……対して隊商の護衛は十五人ってところか。あの戦力差で拮抗しているのがすげぇな」

 

「……ん、あの結界は中々」

 

「ふむ、さながら城壁の役割じゃな。あれを崩さんと本丸の隊商に接近できん。結界越しに魔法を撃たれては、賊もたまらんじゃろう」

 

「でも、一向に引く気配がありませんよ?」

 

「そりゃあ、あんな隊商全体を覆うような結界、異世界組でもなけりゃあ、そう長くは持たないだろう。多少時間は掛かるが、待っていれば勝手に解ける」

 

見るからして、最初に奇襲でもされたらしく、重傷を負って蹲る者が数人、既に賊に殺られたようで血の海に沈んでいる者も数人いる。あの結界により何とか持ち堪えているようだが、ただでさえ人数差があるのに、護衛側は更に数を減らしているから結界が解ければ嬲り殺しにされるだろう。冒険者らしき女性などは、既に裸に剥かれて結界内にいる仲間の冒険者に見せつけるようにして晒し者にされていた。

 

「あっ、結界がっ」

 

シアが叫んだのは、ハジメの推測した通り、会話が途切れた直後、結界は効力を失い溶けるように虚空へと消えていったからだった。待ってましたと言わんばかりに、雄叫びを上げた賊達が隊商へとなだれ込んだ。賊達の頭の中は既に戦利品で一杯なのか一様に下卑た笑みを浮かべている。護衛隊が必死に応戦するが、多勢に無勢だ。一人また一人と傷つき倒れていくのが見えた。と、その時、何か酷く驚いたような表情で固まっていた優花が、焦燥を滲ませた声音でに救援を求めた。

 

「ハジメ、お願い! 彼等を助けて! もしかしたら、あそこに……」

 

「わかってる!」

 

ハジメは、優花の言葉を最後まで聞くこともなく、返答して四輪を加速させた。話を聞いて助ける助けないの判断をしているうちに隊商が全滅することは明白だったので、優花が何を言いたいのかは後回しにした。

 

四輪の車輪がギャリギャリギャリと地面を噛み、ロケット噴射でもしたかのように凄まじい勢いで加速する。

 

「ハジメ……ありがとう」

 

「あぁ……俺も、あの光景は見たくな………ッ?!」

 

「「「「!」」」」

 

ハジメが言葉を言い切る時だった。賊達の集団の所から強大な魔力を感じ取ったのだ。ハジメは息を呑み、優花達もハジメと同じように強大な魔力を感じ一斉に視線を向けていた。

 

そこには………

 

「………」

 

ウルの町で会った白ローブの男がいた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

それは突然だった。結界が崩れていき、賊が一斉に攻めかける時だった。

 

「───〝聖絶〟」

 

崩れかけてる結界の上から更に結界が貼り直され賊達の侵入を妨げたのだ。

 

「……まさか、リ──君が、こんな場所いるなんて」

 

白ローブは一人の護衛隊の一人を見て呟いたがその声に、護衛隊や冒険者、賊達も視線を白ローブへと向けて驚愕した。

 

「「「「「「「「「「……っ!」」」」」」」」」」

 

それもそうだ。いつの間にか得体の知れない白ローブが賊達の前に、護衛隊を守るかのように現れたのだから。その場にいた全員が驚愕して言葉を失ってしまう。

 

「おい、てめぇ! いきなり現れて何者だ?!」

 

賊の一人……格好からしてボスと思われる男は白ローブに向けて剣を突き出し問いかけた。

 

「名なんてどうでもいい……賊共、チャンスをあげましょう。今から逃げ帰るか? 私に殲滅されるか?」

 

白ローブは慈悲を与えた。今なら逃げても追いかけない。だがまだ襲うおうとなら、皆殺しをするという警告を……

 

「……ギャハハ! コイツ何言ってんだなぁお前等!」

 

「「「「「「ギャハハハハハハハハハ!」」」」」」

 

しかし、 白ローブの警告を賊のボスと思われる男は出来る訳ないと笑いだし、それにつられて他の賊達も笑いだした。

 

「………では、殲滅をご所望ってことですか貴方達は……残念です」

 

「はぁ、何言ってんだ? もういいっ死ねぇ!」

「 ──〝空牙〟」

 

ボスの近くにいた賊の一人が白ローブを殺す為に剣を振りあげたその時、白ローブは片手をボスに突き出した。

 

その瞬間………

 

「ほ──え?」

 

ブシャッ!

 

「ギャーーー!」

 

賊の振りあげていた腕が剣ごと、いや、空間ごと無くなったのだ。ボスの男は剣を落として無くなった腕の部分を触りながら崩れ落ちる。

 

「なっ!」

 

「もう、遅いですよ」

 

賊が反応する前に白ローブはもう次の行動に移しており、白色のアーティファクト級と思える槍を手にしていた。

 

「はっ?! てめぇ、そんな槍を何処から!」

 

「さぁ?」

 

賊の問いに白ローブは軽く煽りを入れながら返し、槍を大きく振り回し、周りにいた賊の頭と胴体を軽々しく離れさせていきながら吹き飛ばした。

 

「〝天翔閃・円弧〟」

 

白ローブは槍を円を描くように振り回した後、ほぼ無詠唱で光属性の魔法の〝天翔閃〟を発動した。だがそれは、普通の〝天翔閃〟ではなく、その形は円形であり、その光の円は次第に形が大きくなっていく度に賊の数十人の身体の上と下を半分に切り離していく。

 

「ヒッ、ヒィィィィ!」

 

たった、十秒も経たないぐらいの時間で賊の数は半数をきっていた。戦慄、絶望、困惑――そんな表情を浮かべた賊達が、顔に似合わない声を出しながら後ずさっていく。

 

そして……

 

やっと、自分達と戦う相手が化け物であると理解し、自分達の選択が間違っていたことに後悔した。

 

「逃げろぉぉぉ!」

 

賊のボスが逃げながら叫びだし、それに反応した賊達も逃げようと踵を返そうとした。賊達の判断は良かった無闇に戦っても自分達はあの白ローブには到底敵わないと。

 

しかし………

 

「────〝選定・震天〟」

 

その判断は余りにも遅すぎた。

 

ドンッ!と、大地を鳴らすほどの大きな炸裂音がした直後、周りには賊達だけが体が爆散している光景だけが残されていたのだった。

 

「……これを使う事はなかったですね。でも……まぁ、実力は見せる事は出来たかな?」

 

白ローブは、そう呟きながらこちらに向かっている四輪に乗っているハジメ達に視線を向けた。そして、視線を転じて近くにいる怪我人に目を向ける。

 

「ゔっ……」

 

「あっ、そこの人達も軽傷の人からコチラに私は微力ながら回復系の魔法も扱えるので」

 

そして、白ローブの男はハジメ達が到着するまで商隊のケガ人の治療を始めたのだった。

 

「……なんだよアイツ」

 

ハジメは驚愕した。あの白ローブの使っていた魔法は神代魔法の一つ〝空間魔法〟だと、そして、理解させられる。その扱いも、遥かにユエなどよりも超えていることを。

 

「やはり、あの白ローブは攻略者。それにあの槍……相当な得物だ」

 

ハジメは白ローブの戦闘姿を見て唖然としていた。それは隣と後ろの席にいた優花達も同じで目を見開いていた。

 

「ハジメ……もしかしてあの白ローブの人が清水を救ったって人?」

 

「あぁ……あの時はどうやって清水を救えたか理解は出来なかったが、今ならアイツがメルジーネとグリューエンの攻略者だったからと理解出来る」

 

優花はあの白ローブを初めて見るので俺達の話で出ていた白ローブの奴と推測して問いかけ、ハジメはそれに答えていく。すると、ユエが口を開く。

 

「………でも、あの〝震天〟私達や護衛隊の所にはダメージがなかった」

 

「……確か〝震天〟って広域範囲系の魔法ですよね?」

 

「あぁ、〝震天〟は広域範囲系の魔法だ。 だから多少俺達にも影響があった筈だ。だが……」

 

ユエは白ローブが最後に逃げる賊達に放った〝震天〟が自分達が知るものと違うことに疑問を呈していた。それもハジメ達も同じ事を抱いていた。

 

───空間魔法〝震天(しんてん)

 

空間を無理やり圧縮して、それを解放することで凄まじい衝撃を発生させ空間爆発を可能にする魔法。

 

すると、ユエの次に魔法を理解しているティオがある推測を述べる。

 

「もしかしてじゃが……あの者が使ったた〝震天〟は何かを複合した別の〝震天〟かもしれんのぅ」

 

ティオの推測にハジメも賛同する。それは、ハジメも以前にも感じていたことだった。

 

「あぁ……俺もティオと同じ考えだ。 あの白ローブはもう一つ神代魔法を持ってる可能性があるな」

 

あの時もそうだったとハジメは思い出す。神殿騎士達を眠らせた魔法に、自分達の体……いや、心に干渉された気がすると。

 

ハジメはそんな推測を立てながら優花達と白ローブについて話合っていると、白ローブは空間と再生の他に神代魔法を有してる可能性が十分あると予測して四輪を急行させたのだった。

 

衛隊の場所に着くと軽傷だった冒険者の治療は済んでおり、白ローブは重症者の手当てに回っていた。それを見た優花も急いで加勢しようと四輪から飛び出していく。

 

「あの! 手伝いますっ」

 

「それは、ありがたい申し出だが、私は回復魔法は適性はないが普通の治癒師とは同列のレベル以上の回復魔法を扱えるがそれでも彼はもう……」

 

「普通の治癒師(・・・)だったらですよね!ならっ………」

 

そう言って優花は白ローブが諦めていた重症者に手をかざし詠唱を始めた。

 

そして……

 

「──〝絶象〟・〝回復力上昇、回復速度上昇付与〟!」

 

優花の詠唱を終えるとアンカジの時と同じように淡い光が現れ、重症者を包み込んでいき、治せないであろうケガが再生していくように治されていく。すると、荒い微かな息から次第に落ち着いていった。

 

「これは、再生魔法。それに付与魔法も扱える……もしや〝神天治癒師〟……そして、再生は私より適性は上か……ハハ」

 

「助けましたよ。この人」

 

「あぁ、私が侮ってました。実に素晴らしいです」

 

優花のニヤッとした笑みに対して、白ローブは優花を称賛しながら拍手をした。

 

「おい、てめぇ本当にな──「優花!」──この声って」

 

四輪をしまって、ハジメは白ローブを問い詰める為に進もうとした瞬間、小柄なフードの人物の声にハジメには覚えあった。

 

フードの人物はそのままの勢いで優花に飛び付き、可憐な声で優花の名を呼びながらギュッと抱きついた。優花は、まさかの推測が当たっていたと知り驚愕を隠せない様子で、その人物の名を呟く。

 

「リリィ! やっぱり、あの結界、見覚えが有ると思ったの。まさか、こんなところにいるとは思わなかったから、半信半疑だったのだけど……」

 

優花がリリィと呼んだフードの相手、それは、

 

―――ハイリヒ王国王女リリアーナ・S・B・ハイリヒ

 

その人だった。

 

リリアーナは、心底ホッとした様子で、ずれたフードの奥から煌く金髪碧眼とその美貌を覗かせた。そして、感じ入るように細めた目で優花を見つめながら呟く。

 

「私も、こんなところで優花に会えるとは思いませんでした。……僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですし、それに……」

 

「リリィ?」

 

リリアーナは優花と抱き合った後、そのままハジメに向かって走りだす。

 

そして、

 

「ハジメさんっ!貴方が生きてて…グスッ、嬉しくて……良かったです!」

 

涙を流しながらそのままギュッとハジメに抱きついた。ハジメも抱き着くリリアーナを支えるように手を背中にまわす。

 

「あー、リリィ…久しぶりだな元気だったか?心配かけちまったなお前にも」

 

「グスッ……ハジメさん、よかった」

 

リリアーナは泣き止まずハジメに抱きついてるので、ただハジメは泣き止むまでリリアーナの頭を撫でるのだった。

 

ー数分後ー

 

「あっあの……今さっきまではすみません……王女として恥ずかしいばかりです……」

 

「良いよ、久しぶりの再会だしな。優花もそれぐらい泣かれちまったし……」

 

「ちょっ! ハジメ!」

 

リリアーナは泣き止むと顔を真っ赤にして、いそいそとハジメから離れていき、泣き止むまで抱きついてた事を顔を赤くしながら謝ったが、ハジメは冗談交じりに気にしないと言ったが今度は優花が顔が真っ赤になっていた。

 

そんな、和やかな雰囲気のハジメ達のもとへ、ユエ達と、見覚えのある人物が寄ってくる。

 

「お久しぶりですな、息災……どころか随分とご活躍のようで」

 

「あぁ、久しいな……モットー」

 

「ええ、覚えていて下さって嬉しい限りです。ユンケル商会のモットーです。危ないところを助けて頂くのは、これで二度目ですな。貴方とは何かと縁がある」

 

「クハッ……そうだな」

 

握手を求めながらにこやかに笑う男は、かつて、ブルックの町からフューレンまでの護衛を務めた隊商のリーダー、ユンケル商会のモットー・ユンケルだった。

 

彼の商魂が暴走した事件は、ハジメもよく覚えている。この世界の商人の性というものを、ハジメはモットーで学ばせて貰ったようなモノだ。実際、商魂はいささかの衰えもないようで、握手しながらさりげなく、俺の指にはまった〝宝物庫〟の指輪を触っている。その全く笑っていない眼が、「そろそろ売りませんか?」と言っていると感じるのは、きっと気のせいではないだろう。

 

背後で、シアがモットーとの関係を説明し、「へぇ〜そんな出会いが……」とリリアーナと優花がハジメを見ていたそんな二人を尻目に、ハジメはモットーの話を聞いた。

 

それによると、彼等は、ホルアド経由でアンカジ公国に向かうつもりだったようで、アンカジの窮状は既に商人間にも知れ渡っており、今が稼ぎ時だと、こぞって商人が集まっているらしい。モットーも既に一度商売を終えており、王都で仕入れをして今回が二度目らしい。ホクホク顔を見れば、かなりの儲けを出せたようだ。

 

ハジメ達は、ホルアドを経由してフューレンに行き、ミュウ送還の報告をイルワにしてから、【ハルツィナ樹海】に向かう予定だったので、その事をモットーに話すと、彼はホルアドまでの護衛を頼み込んできた。

 

しかし、それに待ったを掛けた者がいた。リリアーナだ。

 

「申し訳ありません。商人様。彼等の時間は、私が頂きたいのです。ホルアドまでの同乗を許して頂いたにもかかわらず身勝手とは分かっているのですが……」

 

「おや、もうホルアドまで行かなくても宜しいので?」

 

「はい、ここまでで結構です。もちろん、ホルアドまでの料金を支払わせて頂きます」

 

どうやらリリアーナは、モットーの隊商に便乗してホルアドまで行く予定だったがハジメ達会えたことでその必要は無くなったようだ。その時点で、リリアーナの目的は自分達だと……ハジメはキナ臭さを感じた。

 

ハジメは王都で何かあったのかと考えていると、モットーが話しだした。

 

「そうですか……いえ、お役に立てたなら何より。お金は結構ですよ」

 

「えっ? いえ、そういうわけには……」

 

お金を受け取ることを固辞するモットーに、リリアーナは困惑する。隊商では、寝床や料理まで全面的に世話になっていたのだ。後払いでいくら請求されるのだろうと、少し不安に思っていたくらいなので、モットーの言葉は完全に予想外だった。

 

そんなリリアーナに対し、モットーは困ったような笑みを向けた。

 

「二度と、こういう事をなさるとは思いませんが……一応、忠告を。普通、乗合馬車にしろ、同乗にしろ料金は先払いです。それを出発前に請求されないというのは、相手は何か良からぬ事を企んでいるか、または、お金を受け取れない相手という事です。今回は、後者ですな」

 

「それは、まさか……」

 

「どのような事情かは存じませんが、貴女様ともあろうお方が、お一人で忍ばなければならない程の重大事なのでしょう。そんな危急の時に、役の一つにも立てないなら、今後は商人どころか、胸を張ってこの国の人間を名乗れますまい」

 

モットーの口振りからしてリリアーナの素性は分かっていたらしい。流石は商人かとハジメは内心で称賛した。

 

「ならば尚更、感謝の印にお受け取り下さい。貴方方のおかげで、私は、王都を出ることが出来たのです」

 

「ふむ。……突然ですが、商人にとって、もっとも仕入れ難く、同時に喉から手が出るほど欲しいものが何かご存知ですか?」

 

「え?……いいえ、わかりません」

 

「それはですな、〝信頼〟です」

 

「信頼?」

 

「ええ、商売は信頼が無くては始まりませんし、続きません。そして、儲かりません。逆にそれさえあれば、大抵の状況は何とかなるものです。さてさて、果たして貴女様にとって、我がユンケル商会は信頼に値するものでしたかな? もしそうだというのなら、既に、これ以上ない報酬を受け取っていることになりますが……」

 

ハジメは上手い言い方だと内心で苦笑いした。これでは無理に金銭を渡せば、貴方を信頼していないというのと同義だ。お礼をしたい気持ちと反してしまうってことか

 

リリアーナも言葉の意味を察したようで、諦めたように、その場でフードを取ると、真っ直ぐモットーに向き合った。

 

「貴方方は真に信頼に値する商会です。ハイリヒ王国王女リリアーナは、貴方方の厚意と献身を決して忘れません。ありがとう……」

 

「勿体無いお言葉です」

 

リリアーナに王女としての言葉を賜ったモットーは、部下共々、その場に傅き深々と頭を垂れた

 

その後、リリアーナとハジメ達をその場に残し、モットー達は予定通りホルアドへと続く街道を進んでいった。去り際に、ハジメが異端者認定を受けている事を知っている口振りで、何やら王都の雰囲気が悪いと忠告までしてくれたモットーに、ハジメもアンカジ公国が完全に回復したという情報を提供しておいた。

 

それだけで、ハジメが異端者認定を受けた理由やら何やらを色々推測したようで、その上で「今後も縁があれば是非ご贔屓に」と言ってのけるモットーは本当に生粋の商人だった。

 

そして、モットー達が去ったあと……

 

「あん時は、まだ会う時じゃないと言って去りやがったが……今回は違うんだな?」

 

そう言ながらハジメはホルスターからドンナーを抜き取り、銃口を白ローブに向けながら目を細める。

 

「はい。 南雲ハジメ……いや、ハジメ殿、私は今回は貴方達と会う為にこちらから来ました」

 

白ローブの目的もハジメ達らしく、ハジメに銃口を向けられているのに、淡々と話す白ローブにハジメは一つ質問をする。

 

「一つ良いか?」

 

「はい、何でもどうぞ」

 

「てめぇは何者だ?」

 

「あぁ、そうですね。自己紹介がまだでした。私の名は──「ちょっと待ってください!」……」

 

白ローブが自己紹介をする前にリリアーナが遮った。その表情は焦りそのものだった。

 

「おい、リリィどうした?」

 

「そうよ?どうしたのリリィ?」

 

ドンナーをホルスターに仕舞うとハジメは優花と共にリリアーナに問いかけるも、彼女は気にせず、いやそれよりも重要なことなのか白ローブの方へと視線を向ける。その雰囲気は白ローブの正体を知っているかのようだ。

 

「いえ、あの間違ってたらすみません。貴方は……アレス兄様ですよね?」

 

「は?」

 

「リリィ……兄様って?」

 

「えっと……」

 

「ただの仲の良かった親戚ですよ」

 

ハジメ達はいきなりのリリアーナの言った情報に整理が追いつかずリリィに話しかけるとリリアーナは少し言うのを躊躇っていると、白ローブが口を開いた。

 

そして……

 

「ハハ……やっぱりリリィにはわかってしまいましたか」

 

白ローブは笑いながらフードを取り外した。白ローブを取るとそこには、サラサラとした金髪、優しい目付きで瞳の色はリリィに似ており、ホントに血縁関係を持っていると思える程だった。

 

同時にハジメは確信する。アレスの着てる服は神官服、旅をしてる最中に聞いたホーリー・ナイトもそうだが、エリセンでゼルゼから聞いた八年前の怪物氾濫(スタンピード)を引き起こした海の覇王を討伐した神官であると。

 

「リリィが言ってしまいましたが改めまして、私の名は〝アレス・バーン〟自分から言うのも何ですが……自分は元ハイリヒ王国最強の神官(・・・・・・・・・・・・)と呼ばれてました。まあ、今は解放者の掲げていた事の実現を目的とする者です。 どうかお見知り置きを」

 

そう言って白ローブ改め、アレス・バーンは笑みを浮かべながら自己紹介をし終えた。そんなアレスにハジメはまだ疑惑の視線を向けながら一番聞きたい事を聞いた。

 

「アレス、お前が俺達の前に現れた理由を話せ」

 

「それは、会う時が来た───」

 

再び、曖昧な表現で話そうとするアレスにハジメはドンナーから実弾を込めて撃つ。放たれた弾丸はアレスの真横を横切る。

 

「ちゃんとした理由を話せ。そうして貰わないと俺はお前を信用出来ない」

 

ハジメはアレスが詳しく話さない為、ドンナーで威嚇射撃をした。すると、アレスは「しょうがない」と呟きながらハジメを真剣な眼差しで見る。

 

「ハジメ殿の意見は分かりました、話しましょう。ホントは、リリィには聞いて欲しくはないのですが、いずれ知る事になるでしょうし……私が動いた目的は簡単です。 神共(・・)がとうとう行動を始めました」

 

「「「「「!」」」」」

 

「?」

 

アレスの発言でハジメ達は目を見開いて息を呑み、リリィは意味が分かってないようで首をコテン、と傾げていたのだった……。




次回はアレスのステータスを公表します( ̄∇ ̄*)ゞ

編集しました。十一月二十九日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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