紆余曲折あってハジメと優花がまた一緒に過ごすようになってから二年の月日が経った……。
この二年の間に起こったことは色々とあった。
まず、優花のイジメの原因であり、主犯である龍堂は優花の告発、ハジメがあの日にこっそりと持ち込んでいたボイスレコーダーによって、素性が明るみになって立場を追い込まれてしまい学校側からも特例で他の学校に強制的に転校していった。
そのせいでか、龍堂と一緒にいたグループは徐々に数が減っていっていつの間にか自然消滅していた。
そのグループにいたリーダー格の女子も龍堂という後ろ盾もなくなり、肩身が狭くなったのか、二年生に上がるまえには何処かへ転校していた。
そして、暴力行為を働いたハジメは龍堂の悪質さを知ってから学年での評価はマシになっているが、やはりと言うべきか優花を守る為とは言え、鼻を変形させるほど龍堂を叩きのめしてるハジメの姿を目の当たりにした生徒達は恐怖して、近寄り難い存在となっていた。
ハジメは優花達とまた一緒に過ごすようになってから 〝ウィステリア〟に赴き、急に手伝いを辞めるとか言い出した事を謝罪する為、博之達に謝罪をしていた。
『今回の件は自分の軽率な言動でお二人を不安にしてしまいすみませんでした!!』
それも優花達もいる中で南雲家直伝という土下座を繰り出す。
『わざわざ土下座までやらなくて良い。ハジメ君』
『そうよっ、優花からちゃんと事情は聞いているから!ほら、立って立って』
二人はハジメの土下座を見て慌てるもハジメを立ち上がらせるよう促し、そして博之はハジメの肩にポンと手を置きながら優しい表情をしながらハジメに話しかけた。
『ハジメ君、そんなに謝らなくても、また手伝いをしたいと言えば良いさ』
『そうよ、ハジメ君』
『で、ですが俺は……』
ハジメはまた、自分を責めた発言をしようとするが博之の発言で遮られた。
『ハジメ君、私いや私達は君に感謝をしているんだ』
『……え?』
博之に感謝してると言われるのはハジメは予想外だったらしく、声を漏らす。
『君は、優花を守る為に動いてくれて、そしてその後も優花の今後の為に関わらないようにしたんだよね』
『………はい』
『その君の頑張りは伝わってるよ。寧ろこんなに君は頑張ったのに突き放すことがおかしい。だからハジメ君、僕は君とまた、もう一度に仕事が出来る事を歓迎するよ』
『私もよ、ハジメ君』
そう言ってくれる二人にハジメは嬉しさと申し訳なさでいっぱいになり、涙を流すのを堪えながら感謝を伝えた。
『ありがとうございますっ!』
頭を下げるハジメ。その姿を二人は微笑ましそうに見つめていた。そして、ハジメはもう一度〝ウィステリア〟でのお手伝い再開したのだった。
そして、一番の問題だったのは……
『このっ、馬鹿ハジメ!!』
『グホォッ』
それは、妙子達であって、妙子は初っ端からハジメに右ストレートをかましていた。右ストレートをした妙子は、倒れ込むハジメを見下ろす。
『どれだけ、心配したか分かる?』
『……すまん』
『奈々は泣いてたわよ』
『……すまん』
妙子の言葉に、ただ謝ることしか出来ないハジメ。すると、その光景を見守っていた浩介が二人の傍まで歩み寄るとハジメを殴った。
『オラァっ』
『っ……浩介!てめっ──!』
いきなり殴られて、怒りを露わにするハジメに、浩介は億せず、ハジメの胸倉を掴んだ。
『俺達を……俺を頼れ!』
『浩介……』
『俺だって、お前の力になりてぇんだよ!だって俺達、
浩介の叫び、それは、悔しさだった。頼られたかった。力になりたかったという気持ちが浩介を爆発させたのだ。ハジメは浩介の心の奥からの本音を真剣に聞いた。
『すまん、浩介』
『………』
『今度は、親友のお前にも頼むわ』
『っ……分かったぜ。
『おう』
そう言って、二人は笑みを見せて握手するのだった。そして、五人は更に仲を深めるのだった。
そんなこともありながら、彼等は三年になり、高校受験も無事に終え、この日、優花とハジメは高校の合格発表を見に他の幼なじみ達より、一足早く二人で向かっていた。
「むぅ……」
しかし、雰囲気は微妙だった。それは、優花がちょっぴりハジメを睨みながら頬をプクっと膨らませているからだ。
何故、優花がこんなになってるのは昨日の夜のことだった。明日はどうするかを前日の夜に五人で通話連絡アプリ話しあっていた時だった。
『優花に話したい事があるから行きは二人で行かせてくれないか?』
とハジメがグループ内で呟いたのだ。
『ふぇ?』
それを見た優花は間抜けな声が出て、その直後、みるみる顔が熱くなるのを感じその日は頑張って寝ようとしても眠れなかったのだ。
『うぅ……眠……今、何時……はぁ?!』
次の日、眠くて仕方なくてまだボーッとする頭とダルい体を動かしながら優花は時計を見る。そして、時計の針が指してる時間を見て、悲鳴を上げた。
『ヤバイッ! 時間がっ 早く準備!』
眠気も完全に覚めた優花は急いでメイクなどの準備に取り掛かった。下に降りた時には、母の優里に「何で起こさなかったの?!」と怒ったら、一回起こしに来たと呆れながら言われた。それを聞いた優花は言い返せれなかった。
何とかメイクとセットを終えた優花は家を出て集合場所に向かってハジメと合流した。
それなのに疲れている優花に対してハジメは……
『早く行くぞ』
とだけ素っ気なく言うと、歩き出したのだ。
『なっ……』
キレた優花は、何でよっ! 励ましとか無いの?!服とかの感想は無いのっ?!と不満を言いそうになったが心の中に留めることにした。同時に優花はやっぱりハジメはあの頃と変わったんだなと改めて実感した。
そう、ハジメは変わった。口調が変わった。背も伸びて自分と頭一個以上の差が付いた。少し荒々しくなった。
でも、変わらない部分も勿論あった。ハジメの純粋なあの優しさは変わらなかった。困った人達や私達を助けてくれるハジメの姿は昔と全然、変わっていなかった。
『もぅ……待って!』
だから、優花もそんな彼を支えたい。共にしていきたいと思い馳せながら、彼の元へ向かって駆け出したのだった。
今、ハジメと優花と高校の合格発表の掲示板がある場所に辿り着くと、掲示板に載っているかもしれない自分達の番号を探していた。
「……あった」
落ちるとは思ってなかったが、やっぱり合格欄に自分の受験番号を見つけると妙に安心すると思っていると、隣から優花の声がして振り向くと優花も満面な笑みをハジメに見せる。
「ハジメ〜!見て、私の番号あったよ!」
嬉しそうな笑顔で掲示板を指で指していた。そこを見ると、ちゃんと優花の受験番号が記載されているのを見て、僅かに口角を少し上げるハジメ。
「良かったな。因みに俺もあったぞ」
「良かった〜、奈々達も合格してるといいね?」
優花もハジメの受験番号があったことに優花は安心したように安堵の息を漏らすと、今、此処に居ない幼なじみ達の合格の行方を祈った。
「……あぁ」
「……ハジメ?」
ハジメの返答に何かを感じたのか隣にいる優花は首を傾げながら此方を見つめる。ハジメは今がタイミングだと思い口を開いた。
「優花、お前に渡したいものがあるんだ」
既にハジメは連絡して浩介達と後で合流すると連絡を入れており、しかし、どのタイミングで渡すか悩んでいたが優花に声をかけられたこの瞬間が今がチャンスだとハジメは動き出した。
「私に……?」
優花はハジメの言葉を聞いて、自分の指で唇を触りながら首を傾げる姿を見て可愛いなと思ったが、すぐさま顔に出てないか確認して気を取り直した。
「あぁ、だから此処で渡すのもなんだし、あの公園に行こう。あの公園の方が今は人は居ないと思うしな」
「う、うん。でも、浩介とか妙子達には?」
ハジメの提案に乗る優花だが、後から合流することになっている浩介達はどうするのかと尋ねる。
「安心しろ、もう伝えてる」
予想していたのかそう返しながら、優花にそう言うハジメは、自分のスマホを見せた。
内容は簡単で浩介に合流場所はある場所に変更とだけ連絡した。浩介からは『イキナリ過ぎんだろっ』と返信があったがスルーした。
ハジメは優花と二人で向かった場所──それは、二人が初めて出会ったあの公園だった。
公園を辿り着くと優花は公園の風景を見て、昔を思い出しているのか懐かしそうに眺めながら、隣にいるハジメに話しかけた。
「ここ……懐かしいね」
「あぁ……。あん時の優花、泣いていてびっくりしたからな」
ハジメも公園を眺めがら感傷に浸っていると思ってたら出会った時のことを思い出しながら、笑みを零すと優花はプクゥーと頬を膨らました。どうやら恥ずかしくなったらしい。
「もうっ……このっ!」
「……っ痛てて、ゴメンって」
優花は、恥ずかしい話を思い出させたハジメの横腹にパンチする。しかし、ハジメは困ったように苦笑いしながら謝る姿にあまり効いてなさそうに見えて、優花は更にムッとなってハジメの胸元をポカポカとする。
そうしていると、ハジメも本題に切り出そうと決めたのか、軽くあしらうように優花のポカポカ攻撃を止めた。止められた優花もやっと話を聞く体勢になった。
「それでハジメ、渡したい物って?」
「あぁ……これだ」
ハジメが渡してきたた物は、小さく手の平サイズの綺麗にリボン状にテーピングされた小さな長方形の箱だった。
「開けていい?」
「いいぞ」
箱を受け取った優花は、ハジメに開けていいかと確認を取ると、テーピングを取り外して箱を開けた。
そして、中に入っていたものに優花は一目見た途端、感嘆な声を漏らしていた。
「綺麗……」
それは、白を基調とした綺麗なカランコエの花が装飾された髪留めだった。
「でも、何で髪留め?」
「優花に似合うと思ってな」
優花はハジメに尋ねると、どうやら、これが似合うと思って買った品物らしい。それを聞いて優花は、嬉しくてニヤケが止まらない。
しかし、優花は分からないことがあった。
「でも、私誕生日じゃないよ」
そう、この日はただの合格発表日であって、優花の誕生日や記念日とかでは無かった。今年の自分の誕生日は既に終わっており、プレゼントも皆から貰っているから優花は疑問に感じ、首を傾げながらハジメに尋ねた。すると、ハジメは少し恥ずかしそうに頭をポリポリと掻きながら話しだした。
「……一年の頃、お前から避けてた時に誕生日は過ぎてただろ?それで、渡しそびれちまったからその分と合格祝いと合わせて渡そうと思っていたんだ」
ハジメはそう言って優花を真っ直ぐ見つめる。
「………」
優花は、嬉しさの余り顔を紅くして俯いた。するとハジメが心配して声をかける。
「もしかして、気に入らなかったのか?」
ハジメはもしかして、プレゼントが気に入らなかったのかと思い尋ねるところもハジメらしく優しいところだ。
心配そうな表情のハジメに優花はそんなことないと伝えて感謝を伝えた。
「全然っ! すっごく嬉しい……」
その言葉を耳にして、ハジメは安堵したようで「ふぅ……」と息を吐きながら呟いた。
「それは良かった……」
「だからさ、ハジメ……」
「どうした?」
「髪留め、ハジメが着けて?」
優花は安堵しているハジメに髪留めを着けて欲しいとお願いした。
「えっ、なんで?」
ハジメの疑問は当然だ。そして、鈍感である。なので、優花は本心を伝える。
「私がハジメに着けて欲しいから」
笑顔でそう答える優花に、ハジメはみるみると顔が赤くなり、照れくさそうにしながら優花に近付いた。
「……っ、分かったよ。動くなよ優花」
「うん」
慣れない手つきながらも優花の髪を傷つけないように配慮しながら髪留めを着けるハジメ。髪留めつけて貰った優花は、微笑んでハジメにどうかと聞いた。
「どう、似合ってる?」
すると、彼は自分にしか余り見せない優しい笑みを見せながら、
「似合ってるよ」
「……ふふ」
そんな返ってきた彼の言葉に、嬉し過ぎて顔を真っ赤にして優花は笑みを零すと、ハジメは、優花の手を優しく包み込むように握ると優花も真似するようにハジメの手を握った。
「優花……」
「ん…?」
「また、同じ事を言ってるかもしれない……だが言わせてくれ。俺はこれからも優花の支えになる!優花の笑顔を守り抜くこれからも、ずっと約束する!」
「ハジメ……」
ハジメの真剣な眼差しと言葉を受け止め、優花は笑みを浮かべながらハジメに抱きついて、今の想いを嘘偽りなく伝えた。
「じゃあ……これからもよろしくね、ハジメっ」
「あぁ」
ハジメも相槌を打ちながらギュッと抱き返すと自然と二人の視線が合う。傍から見れば完全に恋人と思えるぐらいの距離ぐらい私達は見つめあっていた。
すると、後ろからある聞き慣れた声が聞こえてきた。。
「おーーい、ハジメ〜、園部〜!」
「ハジメっち〜、ユウカっち〜、こっちこっち!」
「ねぇ〜、二人共早く〜!」
二人は声のする方向へ振り向くと、公園の入り口に浩介、奈々、妙子の三人が自分達を待っていた。
それを見て、二人は頷き合うと、お互い名残り惜しいが離れると、優花はハジメの服の袖を引っ張って走り出す。
「ハジメ、行こ!」
「クハッ……そうだな」
優花の呼びかけにハジメは笑みを零して肩を竦めながら応えた。
二人は手を繋ぎあって駆け出す。
優花は自分が手を繋ぎ合いながら隣で走る少年──ハジメの方を見て笑みを零しながら空を見上げた。空は雲など何処にも見当たらず快晴だった。
優花はふと、思う。また、自分達二人の前に困難が、それも強大な困難が立ち塞がるのかもしれない。でも、なにがあったとしても皆となら、隣にいるハジメとならば乗り越えられると、そう信じて未来へと駆け出したのだった……。
〜本編前篇【完】〜
次回は、人物紹介ともしかしたらアンケートしようと思います。
カランコエ…花言葉は『あなたを守る』らしいです。
<編集しました。十月二十五日。
雫はハーレムにいる?
-
いる
-
いらない