ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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六十八話 〝元〟王国最強の実力

 

王都南方、其処には地上を埋め尽くす魔物の群れが、空に天頂に輝く月を覆い隠す程の灰竜と黒鷲の群れが王都へ向けて侵攻していた。

 

優にその数は地上と空を合わせ二百体は越えるだろう。普通ならこの大群を目の当たりにし勝てる訳ないと逃げ帰る者、自決をする者などがいるだろう。しかし、この男は違った。今は異端者とされ王国から追放されている身の男。彼は〝元〟王国最強の神官 アレス・バーン。

 

アレスは魔物と魔人族の侵攻から王都を守るかのように堂々と前に立ち塞がっていた。

 

其処へ外壁を壊そうと固有魔法なのか風を纏ったイノシシ型の魔物の群れ数十体が突進する。それに続いて、黒鷲が外壁の上から王都に侵入しようと空を駆ける。

 

だが………

 

「一体たりとも侵入させませんよ──〝千断〟」

 

アレスは一体たりとも此処からの侵入をさせる筈もなく空間魔法──〝千断〟を発動させ、またもや世界が一斉にズレた。地上にいたイノシシ型の魔物達はズルッと何かがずり落ちるような音がした後、所々の部位が細切れになり肉塊となった。

 

「〝天翔閃・飛連撃〟」

 

アレスはそのまま流れるような動きで地面に突き刺していたロンギヌスを引き抜くと、魔力を流して巨大な光の刃を形成させると、上空を飛び回る黒鷲達に向けてロンギヌスを振るい、一つの光の斬撃を飛ばした。そしてその斬撃は上に上昇するに連れて分裂していき黒鷲達に届くまでの距離となると、おびただしい数の光の斬撃となっていた。

 

「!」

 

ザシュザシュザシュザシュッ!

 

無数の斬撃が黒鷲達を襲い、羽や胴体など色々切り裂かれていく。羽が切り刻まれ飛行能力を無くし、致命傷を負わされ、そのまま地面に激突して絶命したりと戦闘不能にさせていく。

 

「さて、次は誰が来ます?」

 

アレスは上空にいた八割ほどの黒鷲達を戦闘不能にした後、魔人族達に振り返りながら手をクイッと曲げた「さぁ、かかってこい」と思わせる表情をしながら笑みを見せる。

 

「クソッ……化け物めっ!」

 

灰竜に騎乗している魔人族の兵士が悪態をつきながらアレスに向かって叫ぶ。

 

「……ッ?!」

 

しかし、悪態をついた後、魔人族の兵士は目を見開いた。今さっきまで外壁の近くにいたアレスが、いつの間にか自分達の真下に、魔物達の群れの中心にいるのだから。

 

「貴様っ!何をっ………」

 

そんな叫びは虚しく、アレスは軽く聞き流しながら魔物中心で広範囲の魔法のトリガーを引いた。

 

「──〝震天〟」

 

空間を揺るがす大魔法を放った瞬間、アレスの周り全体の空間が爆散したかのようにズドンッと轟音が響いた。直後、魔人族の兵士達の真下にいた百をも超える数の魔物達を爆散させ一掃させた。

 

「残り、五十ぐらいですか………(魔力のストックもありますし、異常事態がない限り余裕ですね)」

 

アレスはそう呟きながら、ハジメから貰い受けた魔力ストックと念話席の役割も出来る腕輪を着けており自分の魔力残量の確認しながら、ロンギヌスで振るって魔物達を袈裟斬りにしたり、その素早い突きで串刺しにして魔物達を片付けていく。しかし、それをただ黙って眺めているだけしか出来ない魔人族の兵士達ではない。

 

「総員! あの男に魔法をっ! 灰竜達も極光で集中狙いだ!」

 

魔人族の兵士がアレスを睨みながらそう指示した。彼がこの部隊の隊長格なのだろう。彼の指示で一斉に他の魔人族は詠唱を始めた。

 

「…(あの詠唱は上級……喰らったとしても致命傷にはなりませんが)……チャンスですね」

 

アレスは上級魔法を喰らったとしても空間魔法があるので安心なので、ここで詠唱をしてる最中に魔人族達を一網打尽にできると思いロンギヌスを魔人族達に向け大きく振りかざした。

 

「〝天翔閃・六蓮〟」

 

ロンギヌスから放たれた六つの斬撃が魔人族達を狙う。

 

しかし……

 

ザシュッ!

 

「クゥエエエ!!」

 

魔人族達を守るかのように黒鷲達が身を挺してアレスが放った斬撃を受け地上に激突した。

 

「おや、少し予想外でした」

 

(魔人族達を仕留めらなかったですが……まっ、支障はないですね)

 

黒鷲達の意外な行動に少し驚いたが、余り支障はないと判断した。すると魔法の詠唱が終わったのか、隊長格の魔人族が怒りが混じり叫んだ。

 

「クソッ、これで死ねぇっ──〝風槌〟!」

 

「──〝雷槌〟!」

 

「──〝螺炎〟!」

 

「──〝凍雨〟!」

 

キュワァァァァ!

 

魔人族が魔法を、遠距離攻撃が出来る灰竜達が極光を一斉にアレスに放った。

 

「そんな魔法で私を倒せると思ってるんですかねー。少し心外です──〝界穿〟」

 

アレスは魔人族達の自分に対する評価に心底呆れ、軽口を言いながら〝界穿〟を発動した。自分の前に巨大なゲートを出現させ魔人族と灰竜が放った全ての魔法と極光をゲートに吸収させていく。

 

「なっ?!」

 

「お返しです」

 

「は?」

 

魔人族達は自分達の一斉攻撃が、たったの一つのゲートに吸い込まれていったことに目を見開き唖然としてる中、アレスは平然と指をパチンッと鳴らすと、次は魔人族達と魔物達の真上の場所にゲートを出現させた。

 

「なぁっ?!……総員回っ────」

 

隊長格の魔人族が部下全体に回避を命ずるも……

 

 

ドガァァァァァァン!

 

 

「ギャァァァァァァ!!」

 

「グルァァァァァア!」

 

真上からのゲートによって先程の吸収されていった自分達の魔法や灰竜達の極光が一斉に降ってくるのを回避できずその辺を一帯を飲む込むような大きな光の柱がたった。そして、ゲートの真下にいた魔人族と魔物達は、自分達の魔法や極光で絶叫を上げながら虚しく命を落としていった。

 

そんな光景をアレスは無表情で眺めながら佇んでいるとまだ残っている魔物達を見る。

 

「ふぅ……魔人族の兵士は全て殺りましたが、まだ魔物達がウヨウヨいますし、一気に片付けますか」

 

アレスは自分と相対していた魔人族の兵士達は全て死んだのを確認し、残りの魔物を殲滅しようとロンギヌスを持ち駆け出したのだった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふぅ……粗方、片付きましたね」

 

アレスは最後の魔物の首を刎ね飛ばした後、そう呟やいた時だった。

 

「………(殺気っ)!」

 

「上かっ──〝聖絶〟!」

 

アレスは王都から自分に向けられた物凄い圧の殺気を感じてすぐさま〝聖絶〟を展開した。

 

その瞬間……

 

ズドォォォン!

 

アレスの真上から極光が降り注ぐ。アレスは間一髪で〝聖絶〟を展開していたのでダメージを受けることはなかったが、流石に唐突な殺す気満々の極光だったのでアレスは冷や汗を流した。

 

「まさか……此処に配備した兵士と魔物を殲滅してもなお、其処までの魔法を発動。そして無詠唱とは……」

 

アレスは声がした方向に視線を向ける。其処には強化された巨大な灰竜に乗った魔人族と男と十数体ほどの灰竜の群れを連れていた。

 

「貴方は……」

 

「今から死にゆく者に名乗る名はないっ」

 

「……」

 

魔人族の男はの言い分に少し苛立ちはするも、すぐに平常を取り戻してアレス自身、魔人族の男に対して煽りをいれる。

 

「あっ……そうですね。今から貴方()死ぬんですし、名乗らなくても大丈夫ですね」

 

アレスの言葉に魔人族の男は眉を顰め自分の拳を強く握りしめており、相当怒りに心頭してるとわかった。

 

「……気が変わった。貴様には我の名を心に刻みながら死んで貰おうっ。我の名はゲルマン・マクベリー、魔人軍軍曹であり、偉大なる魔王アルヴ様の忠実なる兵士だ」

 

「偉大なる……ですか」

 

(この人はもう……手遅れです、か)

 

アレスはゲルマンの名乗りを聞いて〝アルヴ様〟を崇拝するような目を見てゲルマンは手遅れの状態だと理解し、残念だと思いながら目を瞑った。

 

「よし、名は名乗った。悔やみながら死ね人間の皮を被った化け物よ」

 

ゲルマンは名を名乗った直後、罵声をすると同時に片手を掲げ一斉にアレスに向けて灰竜達が極光を放った。

 

キュワァァァァン!

 

「───〝界穿〟」

 

アレスは魔人族達の兵士の時のように〝界穿〟を発動してカウンターに入ろうとゲルマン達の真上にゲートを展開しようとしたが、ゲルマンは行動がわかってたのように回避行動をとった。

 

「貴様もやはり神代魔法の遣い手か!だがっ、二度も同じ手を喰らうほど我は馬鹿ではない!」

 

「同じ手……あぁ(大概、王都でユエ殿にこの技を喰らったんですね……ご愁傷様です)」

 

ゲルマンの発言にアレスは首を傾げたが、次第にユエがした事だと気付き内心同情する。

 

「これを、知っていたのは予想外でしたですが……これはどうでしょう?」

 

「何?……なぁっ?!」

 

アレスは王都でのユエの戦いを見ていたのであろうと予想しゲルマンには大概の空間魔法はわかってしまっていると判断し、もう一つの神代魔法を行使した。長年の間、鍛え抜いた技術の空間移動で一瞬でゲルマンの目の前に現れたアレス。ゲルマンは一瞬のこと過ぎて唖然とし声を漏らす。だがアレスはロンギヌスで貫くことなく灰竜とゲルマンだけを狙ってある魔法をトリガーを引く。

 

「──〝衝魂っ〟」

 

「ッ!……グハァッ!」

 

「クルウァァァア!」

 

ズドォォォン

 

アレスの〝衝魂〟が直撃してゲルマンと強化灰竜は今さっきの今さっきのアレスの攻撃では喰らうことのない凄まじい衝撃を防具や身体を抜け魂だけが喰らったかのようで一人と一体は地上に落ちていった。

 

「ぐっぅ……貴様何を?」

 

「ほう……〝衝魂〟を喰らっても、立ち上がるとは少し驚きです」

 

───魂魄魔法〝衝魂(しょうこん)

 

魂魄に直接衝撃を与える事の出来る魔法。防具を無視したり、相手の魔法をも強制解除にも使える。

 

 

アレスは自分の〝衝魂〟を喰らってもなお立ち上がったゲルマンに内心、驚き賞賛した。

 

「でも、終わりですね」

 

「なっ?! 我等はまだ終わっ………「〝千断〟」はえっ?」

 

ズシャッ!

 

ゲルマンの言葉を遮って、アレスは〝千断〟を発動して空間がズレていくと同時に連れていた灰竜の群れも自分の隣に落ちた強化灰竜も細切れになっていった。そして、ゲルマン自身も身体のいたるところがズレているのが理解してしまった。

 

「そうか……我は負けてしまったんだな」

 

「はい」

 

ゲルマンは自分の死期が分かり天を見上げるそして、両手をガクガクと震わせながら掲げて

 

「魔王…様に栄光あ……れ」

 

ズシャ

 

ゲルマンはそう言葉にした後、身体がズレ、その生涯を終えた。

 

「………貴方は、もし洗脳されてなかったら素晴らしい軍人だったのかもしれませんね」

 

アレスはそう呟いた後、ロンギヌスを強く握りしめながら「クソ神共めっ……」と神共への怒りで目を細めた。

 

「そろそろ…私も王都に入………ッ!」

 

ダッ!

 

アレスは少し頭を冷やして自分も王都に向かうとしたその矢先……悪寒を感じその場を跳び避けた。そして、アレスがいた場所に……

 

ビュンビュン!

 

銀色の羽のような物が突き刺さった。

 

「……ッ?!これはっ〝銀翼〟!」

 

(やはり、私の所にも差し向けられたかっ!)

 

ビュンビュンビュンビュンビュン!

 

銀色の何か──銀翼はまだアレスを狙い追撃していく。アレスは避けたり、弾いていく事でこの元凶が何かを察した。

 

「……(何処にいるっ)」

 

アレスは銀翼の元凶は何処にいるか視線と感知系の技能で探し出す。

 

すると………

 

「やはり、貴方は避けますよね、慣れているんですから」

 

真上から寒気を感じる程の綺麗で冷徹な声が耳に入った。アレスはその声に反応し、咄嗟に真上を見上げた。

 

そこには……

 

「もう一人のイレギュラー、アレス・バーン。我が母が望まれたことです。死になさい」

 

それは神の使徒だった。

 

「……やはり使徒ですか」

 

アレスは自分の予想が当たったことに舌打ちしながら歯噛みする。

 

「もう一人のイレギュラー……いや貴方はこちらの名の方が良いでしょうか〝使徒殺し〟」

 

「………」

 

使徒の発言でアレスは無言だがその目は使徒を殺さんとする凄まじい目で睨みつけているとアレスはある事に気付いた。

 

「……おや、貴女の持っているもの……普通の双大剣だけですね?」

 

「……どう言う意味です?」

 

「いえ、〝ネームド〟なら持ってますからね。聖母神エクストラから授かった万能武具〝聖杭〟がある筈ですが貴女にはない。なら、貴女はただの……〝量産型〟ですね。私も舐められたものです」

 

溜息をするアレスの発言に使徒がピクっと反応した。そして、アレスが〝聖杭〟、〝量産型〟という発言をした時の使徒の表情は……

 

「……早急に抹殺してあげましょう」

 

「やってみなさい……量産型」

 

更に冷めた冷酷な眼差しをアレスに向けながら使徒は物凄い速さで急降下する。アレスも使徒に向けてロンギヌスを持って、駆けだした。

 

 

そして………

 

ガキィィィィンッ!

 

王都南方で凄まじい金属音が発生した。それは二つの大剣と聖槍がぶつかり合い発生した金属音だった。

 

「死になさいっ!」

 

最初に仕掛けたのは使徒だった。二つの武器がぶつかり合った後、双方、逆方向に飛ばされ使徒はその瞬間を無駄にせず銀翼をアレスへと飛ばしていく。

 

ビュンビュンビュンビュン!

 

死の銀翼が風を切ってアレス目掛けて飛んでゆくがアレスは分かってたのようにロンギヌスで飛んでくる銀翼を次々と破壊していく。

 

「貴女達の攻撃など当に知っている!次はコチラからいかせて貰う!──〝天翔閃・千撃〟!」

 

アレスはそう叫びながら前回の飛連撃より更に多くの光の斬撃を飛ばしながら使徒のもとへ駆け出した。

 

「くっ……多数の魔物と魔人族を相手をしたというのに、まだこんな力をっ!」

 

使徒はアレスは今までの戦闘により大分疲弊してると考えていたが、アレスが放った無数の斬撃に驚きのあまり目を見開いた。銀翼で分解をしていくが、少しばからず斬撃を喰らってしまい歯噛みする。

 

だが、使徒の驚きは続いた。

 

「此処ですよ」

 

「……!」

 

すぐ真横からアレスの声が聞こえた使徒は早急に方向転換し、視線を向けた其処にはいつの間にかアレスがいた。咄嗟に使徒は大剣でアレスを切り裂いた。

 

だが……

 

「なっ……まさか、幻覚?!」

 

「余所見はイケないなぁっ──〝衝魂〟!」

 

ズドンッ!

 

「がぁっ!」

 

使徒は切り裂いたアレスは幻覚だった。幻覚が消える中、本物のアレスは使徒が方向転換した隙に背後に回り込んで防御無視の魔法〝衝魂〟を打ち込み、使徒にダメージを与える。使徒は唐突の衝撃により受け身を取れず地面に落下した。

 

 

「………(どういう事だ? 確か使徒達は記憶の共有をしてる筈)」

 

アレスは少し違和感を感じていた。使徒に見せたあの魔法は前に戦ったある使徒に見せ、その隙を見て致命傷を与えた過去がある。

 

魂魄魔法──〝幻霊〟……疑似魂魄を作り出して気配を飛ばし、敵を撹乱させる魔法だが、アレスは更に修練し、その疑似魂魄を少しだが喋らせれるように出来ていた。

 

「(もしかして……あぁ、そういうことか〝ネームド〟じゃない使徒は……〝ネームド〟の使徒の記憶は共有出来ない仕組みか)実力が違うだけで……残酷ですね」

 

アレスは腕輪で魔力の回復をしながら考えている内にある結論に至った。そして納得して、量産型の使徒に少し同情してしまった。

 

ビュン!

 

「……!」

 

ガキン!

 

アレスが魔力回復してる瞬間、一瞬で目の前に白い影が現れ双大剣を振りかざした。アレスも咄嗟の事だったがギリギリ防ぐ。

 

だが………

 

ガキッ!

 

「グッ……!」

 

アレスは使徒の双大剣をロンギヌスで受け止めながら使徒の力が上昇してる事に気付く、使徒は無表情ながらも瞳には壮大な殺意を感じた。更に力が増しているのがわかる。

 

「……〝限界突破〟ですか」

 

「ご名答です。流石は〝ネームド〟も撃退しただけはありますね」

 

アレスの疑問に使徒は声色は冷たいながらも答えた。

 

「………(〝限界突破〟か……使徒側はほぼ魔力は無限状態……コチラも本気にならないといけない)」

 

アレスと使徒の今の状況はまだ力が抗培しているがいずれ押し負けるとアレスは理解している。

 

ギチギチギチッ

 

「……グッ」

 

「ほら、押されてますよ?貴方もすれば良いのでは〝限界突破〟を特に貴方のは彼と同じで特別ですから勝てると思いますよ」

 

「……! そういうことですか。私に使徒を差し向けた魂胆はっ」

 

アレスは使徒を差し向けたのは疲弊してる内に〝ネームド〟を殺し、他の相対した使徒を殺していった自分を殺せるチャンスの為に差し向けたと思っていたが本当の理由は……

 

「私の足止めですか……」

 

「ふふ、ご名答です。やはり貴方は強いだけじゃなく聡明でもありますね」

 

アレスは使徒の反応に歯噛みする。

 

「………貴女達の上の神共は何を考えている? 王国に何をしようとする?」

 

「………単なる余興だと」

 

「単なる余興、ですか……」

 

アレスは使徒の発言でこの魔人族の王都侵攻もある余興の為だと言う。そんな事の為に王都の民、騎士達、王族が利用される。アレスにとって大事な妹分、尊敬する騎士団長、そして別れは酷かったが今にも大切に思う彼女。

 

そんな人達がたかが余興の為で血を流すことになると思うとプツンとアレスの頭の何かが切れた。

 

「そうですか……やっぱりお前達(神共)はゴミだ」

 

「……その発言を撤回しなさい」

 

アレスの呟きに反応した使徒は眉を顰めた。しかし、アレスは撤回することなく使徒を見つめる。

 

ゾワッ

 

「!」

 

使徒は普通は感じない感じることはない。しかし、何故か今は感じてしまった寒気を悪寒を恐怖を……そのせいか腕が震えている。そんな使徒を無視してアレスは使徒を睨んだと同時に口を開いた。

 

「余興でもぶっ壊してやりますよ。私達は貴様等、神の駒じゃないことをっ───〝第三限界・突破〟!」

 

アレスはそう叫んだ瞬間、アレスの周りに明るい橙の魔力が爆発しているように纏いだした。

 

第・限界突破──この限界突破は初代魂魄魔法の遣い手ラウス・バーンが使っていた限界突破。普通との違いは自身の魂魄を強制的に能力を引き上げ、例え限界突破を持っていなくても発動可能にし、更に段階を上げることで限界突破の派生[覇潰]を超える程まで引き上げられる。

 

「やっと、本気を出しましたかっ」

 

使徒は腕の震えは止まらないが、無視してアレスが限界突破を発動を確認したと同時に駆け出すが、目の前にいた筈のアレスの姿が消えた……いや、捉える事が出来なかった。

 

「なっ……何処…「此処ですよ〝衝魂〟!」……ガハッ!」

 

アレスはいつの間にか使徒の背後に回っており、〝衝魂〟を発動した。更に限界突破した分更に威力が跳ね上がっているため使徒は一瞬意識を飛びかけてしまう。しかし、流石は使徒と言うべきか

 

「くっ、このまま負けてたまるものですかっ!」

 

ビュンビュンビュンビュンビュンビュン!

 

使徒は負けじと無数の銀翼を飛ばす。しかしアレスは銀翼が全て見えているかのように軽々と避けていく。

 

「貴女達は単純なんですよっ!〝ネームド〟と違って!」

 

「姉様達の事を口に出すなぁ!」

 

アレスは銀翼を避けながら使徒と〝ネームド〟を比較する。それがいけなかったのかタブーなのか使徒の顔は何時もの無表情とは違い怒りに染まっていた。

 

「死ねぇっ!」

 

ガキィィィィィン!

 

使徒は怒りの余り双大剣をクロスにしながらアレスへと突貫する。アレスもロンギヌスを手に持って同じように突貫した。銀の閃光と橙の閃光が激しい金属音を立てながらぶつかり合い交差していく。そのぶつかり合いは段々激しさを増していくっ。

 

「アレス・バァァァァン!」

 

使徒が一之大剣をアレスに振りかざす。

 

「神共の木偶がぁぁぁぁぁ!」

 

アレスがロンギヌスを横に振るう。

 

ガキィィィィィィィィィィィィィィン!

 

この戦いで一番大きい金属同士のぶつかり合いの音が猛々しく響き渡る。

 

そして……

 

パキッ、ピキンッ

 

「なっ?!」

 

先に限界を迎えたのは……

 

パリンッ!

 

使徒の方だった。それは使徒の双大剣はアレスのロンギヌスのぶつかり合いの結果、耐久が限界を迎え、半ばから折れ破壊されてしまった。

 

そして………

 

「聖槍──〝抜錨〟!」

 

そんな使徒にとって不味い状況を見逃すアレスではなかった。アレスは使徒の武器が壊れたと同時に一気に使徒に詰め寄り、ロンギヌス──聖槍の力の一端を解放する。

 

ロンギヌスの溜まっていた魔力を全て引き出していく。そして、段々と槍から魔力が放出され、新たな槍を形成させた。それは正に聖槍と言える程の美しい槍だった。

 

「喰らいなさいっ! 穿て、聖槍っ!〝ロンギヌス・ゼロォォォォォォ〟!」

 

光を纏った聖槍の突きは、目の前にあるものの全てを飲み込みそうな勢いだった。

 

「アレス・バァァァァァァァァァァァァァァン!!!!」

 

使徒が叫ぶ。だが、そんなのは関係ないアレスはただ槍を倒すべき相手に聖槍を突き刺すだけだ。

 

そして……同じ時間帯、神山が爆発したと同じ時間。王都南方に大きな光の柱が立った。その柱は天へと突き刺す程の大きさだ。

 

光の柱が収まった後、ある男が槍で支えながら重い身体を起こした。神官服は服はボロボロ、それに〝限界突破〟の影響か息が荒い、足も疲労によってフラフラだった。

 

「………流石に無理をしましたか」

 

この男は王都南方に侵攻して来た全ての魔物を殲滅。王都から襲って来た魔人族の上官と思われる者と、その配下達の撃退。更には、神の使徒の撃破。普通ならぶっ倒れてもおかしくない。

 

しかし、男は歩みを止めず進む。

 

「早く……ハジメ殿達と合流を」

 

その男の名は、アレス・バーン。〝元〟王国最強の神官である……。




編集しました。十二月三日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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