ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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七十二話 神山

 

「うそん」

 

ハジメは驚きのあまりポカンと口を開けながら夜天を焦がす巨大なキノコ雲を見つめながら、昔のテレビの戦争系ドキュメンタリーでこんな光景を見たことを思い出していた。

 

そう呆然としていると、突然、念話が届いた。

 

〝ご、ご主人様よ……そっちはどうじゃ?〟

 

〝お? おぉ、ティオか。いや、こっちはちょうど終わったところなんだが……〟

 

〝ふむ、それは重畳。流石、ご主人様じゃ。ちょうど、こちらも終わったところなんじゃが、合流できるかの?〟

 

〝いや、それが何かすごいことに……〟

 

〝……その原因はわかっておる。というより、妾達のせいじゃし……〟

 

〝やっぱりか……〟

 

大方、ハジメはティオのブレスだろうと思っていたが、あんなに威力が強かったかと疑問に感じていた。

 

〝……と、取り敢えず、合流出来るかの?〟

 

〝はぁ、わかった〟

 

どうやら聖教教会総本山が根こそぎ崩壊した原因を知っているようなので、一体、何があったと頬を引き攣らせながら、ハジメはティオとの合流を急ぐ事にした。

 

「おっ、発見……ん?」

 

上空に上がると直ぐに、黒竜姿のティオがキノコ雲から距離を置いた場所で滞空しているのを発見した。

 

そして、ハジメの目には、その背に乗って「あわわわ」といった感じで狼狽えまくっている愛子の姿も映った。なぜ、ここに愛子が? という疑問は湧いたものの、先生の性格ならきっと、逃げずにティオに協力でもしたのだろうが、それよりも、明らかに、愛子の「やってしまった」といった様子の方が気になった。

 

「……先生、ティオ。二人共無事みたいだな」

 

「な、南雲君!よかった、無事だったんですね。……本当によかった」

 

〝ご主人様。うむ、一瞬、死ぬかと思ったが何とか生きておるよ。全く、流石はご主人様の先生殿じゃ。まさか、妾のブレスを聖教教会そのものを崩壊させる程に昇華させるとは。天晴れ見事じゃよ〟

 

ティオの言葉に、俺の目を瞬かせながら愛子に〝まさか〟という引き攣った表情を向ける。

 

「……先生、一体何やったんだ」

 

「あわわわわわ、ち、ちなうんです! こんなつもりでは。ちょっと教会の結界が強くて……ティオさんのブレスの威力を高められればと……結界を破るだけのつもりが……」

 

ハジメの登場に、安堵の吐息を漏らす愛子だったが、続く質問で再びあたふたし始めた。狼狽える愛子に事情を聞くと、どうやらこういう事らしい。

 

愛子は、ティオに騎乗しながら、イシュタル達がハジメに状態異常の魔法をかけられないように戦うことを決意した。しかし、魔法に関して高い適性は持っていても、碌な魔法陣を持っていない愛子に強力な攻撃魔法を行使することは出来なかった。また、大聖堂そのものが強力な結界を発動させるアーティファクトだったらしく、その結界に守られたイシュタル達には、ティオのブレスさえも届かなかった。

 

このままでは、イシュタル達は安全地帯から悠々と魔法を行使できてしまう。何とか結界を突破できるだけの火力を得ることは出来ないだろうかと、神殿騎士達からの攻撃を凌ぎながら考えて、愛子が思いついたのは……自分の特技を生かす事だった。ちなみに、愛子の特技とは以下にある通り、

 

 

====================================

 

畑山愛子 25歳 女 レベル:56

 

天職:作農師

 

筋力:190

 

体力:380

 

耐性:190

 

敏捷:310

 

魔力:820

 

魔耐:280

 

技能:土壌管理・土壌回復[+自動回復]・範囲耕作[+範囲拡大][+異物転換]・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作[+急速発酵][+範囲発酵][+遠隔発酵]・範囲温度調整[+最適化][+結界付与]・農場結界・豊穣天雨・言語理解

 

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この内、使ったのは発酵操作らしい。【神山】と言えど、人が暮らす場所であるから発酵できるものは大量にある。それから、地球で言うところのメタン発酵というものを行ったようだ。勿論、正確には別の異世界物質だが、可燃性ガスであることに変わりはない。

 

それをとにかくひたすら教会周辺で行いまくったようだ。攻撃魔法ではなく、ただの発酵なので教会の結界も反応せず空気と同じように結界の内外に溜まり続けた。風に吹かれて霧散しないようにティオが風を操って一定範囲に留めることまでした。

 

そして、これくらい可燃性ガスが溜まっていれば、ティオのブレスと相まって教会の結界を破壊できるだろうと、いざ、ブレスを放ってみれば……

 

「……こうなったと」

 

流石は可燃性ガスとティオのブレスを合わせた爆発だな。とハジメはそう思いながら頷いているとティオが話しかけた。

 

〝うむ。妾達も盛大に吹き飛ばされてなぁ、久しぶりに死を感じたのじゃ。結界を破壊するどころか、教会そのものを崩壊させる程とは……このような方法、妾の長い生のうちでも思いつかんかった。流石、ご主人様の先生殿じゃ。感服じゃよ〟

 

「ちなうんです! そうじゃないんです! こんなに爆発するなんて思ってなくて! ただ、半端はいけないと思って! ホントなんです! はっ!? 教会の皆さんはっ!? どうなりました!?」

 

愛子が涙目でオロオロしながら弁解し、廃墟と化した教会に視線を彷徨わせる。ハジメと二人も一緒に瓦礫の山々に視線を向けるが……

 

「……まぁ、まとめて吹き飛んだんだろうなぁ」

 

〝教会の結界を過信している感じじゃったしのぉ。完全な不意打ちでもあったのじゃし、無防備なところにあの爆発では、助からんじゃろ〟

 

「あ、ああ……そんな……いえ、覚悟はしていたのですが……」

 

愛子は幇助が、教会関係者達をまとめて爆殺してしまった原因である事に顔を青ざめさせる。

「………」

 

覚悟を決めて戦いに挑んだつもりなんだろうが、いざ、その結果を突きつけられると平常心ではいられないだろう。

 

思わず、その場で嘔吐してしまう。涙を流しながら吐く愛子に、ハジメは頭をカリカリと掻くと、そっと愛子に寄り添った。そして、吐瀉物で汚れているのも気にせず愛子の手を握る。ハジメは今の愛子には、とにかく暖かさが必要だと思ったのだ。

 

「先生……辛いだろうが先生のお陰で使徒を倒せたんだ。ありがとう」

 

ハジメは愛子に感謝の言葉を送ると、先生が紐が解けたように泣き出した。ハジメは〝宝物庫〟からタオルを取り出し、愛子に渡す。

 

〝……妾の背中……〟

 

「ティオ。少しの間、我慢してくれ」

 

〝……うむ〟

 

ティオが自分の背中の惨状に少し悲しげな声を出すも、ハジメの言葉で直ぐに気を取り直して再生魔法を行使する。ティオとしても、愛子には時間を掛けて立ち直ってもらいたいという思いはあるし、そもそもブレスを放ったのは自分であって愛子が必要以上に責任を感じる必要はないのだが、今は、その説明が許されるほど時間に余裕のある状況ではない。なので、再生魔法によって、磨り減った精神を僅かばかりに癒していた。

 

気力が戻ってきた愛子は、顔を上げると涙と鼻水と吐瀉物で大変なことになっていたが、ハジメは特に気にせず風もなく〝宝物庫〟からまた、タオルや水を取り出すと、汚れた愛子を綺麗にしてやった。愛子は、とんだ醜態を見せた事に動揺して、されるがままである。

 

「落ち着いたか? 先生」

 

「は、はい。も、もう大丈夫です。南雲君……」

 

ハジメの呼びかけにハッと我に返った先生は、羞恥で顔を真っ赤に染め上げていた。

 

「そうか……良かった」

 

ハジメは愛子が落ち着いたのを安心してると、ティオから警戒心の含まれた声が届く。

 

〝ご主人様よ。人がおる。明らかに、普通ではないようじゃが……〟

 

「何だって?」

 

ハジメは驚きながらもドンナーを構えティオの視線を追うと、そこには確かに、白い法衣のようなものを着た禿頭の男がおり、ハジメ達を真っ直ぐに見つめていた。しかし、ティオの言う通り、普通の人間では有り得ない。なぜなら、その体が透けてゆらゆらと揺らいでいたからだ。

 

「まさか、アレは……」

 

ミレディと同じように生き残っている解放者なのか?とハジメは男に対しての推測を立てていると、禿頭の男は、ハジメ達が自分を認識したことに察したのか、そのまま無言で踵を返すと、歩いている素振りも重力を感じている様子もなくスーと滑るように動いて瓦礫の山の向こう側へと移動した。そして、姿が見えなくなる直前で振り返り、ハジメ達に視線を向けた。

 

「……ついて来いってことか?」

 

〝じゃろうな。どうするのじゃ、ご主人様よ〟

 

「……そうだな、さっさとユエ達と合流はしたいところだが……此処にはアレスが持っている魂魄魔法がある。もしかしたら、あの男は何か関係があるのかもしれない。手がかりを逃すわけにはいかないな」

 

〝ふむ。そうじゃの。では、追うとしよう〟

 

ハジメの言葉に、ティオは一つ頷くと、翼をはためかせ瓦礫の山の上に降り立ち、俺と愛子を降ろしてから竜化を解いた。そして、背中の汚れに気がついて、少し眉を下げると〝宝物庫〟から代わりの服を取り出した。ハジメも、至る所にケガや火傷と背中がボロボロなのと先生を励ましてる時に着いたのだろう少しばかり吐瀉物がついているのを気付き、〝宝物庫〟から服を取り出し、素早く着替えを済ませる。

 

「あぅ、す、すみません……汚してしまって……」

 

その原因である、愛子が、羞恥と申し訳なさで小さな体を更に小さくして謝罪する。女として、自分の吐瀉物で他人の服を汚すなど恥ずかしくて堪らないのだろう。

 

「先生、気にすんな。俺はノイントとの戦いでも服が血で汚れてるからな」

 

「うむ、先生殿よ。気にするでない」

 

「うっ……でも」

 

ハジメもティオも、仕方ない事だと分かっていたので、気にするなと声を掛けたが、愛子はそう簡単に割り切れるものでもないらしい。

 

「………」

 

しかし、いつまでも縮こまっていられても困るので、ハジメはさっさと話題を転換することにした。

 

「先生、悪いが付いてきてくれ。何が起こるか分からないが……あの男が何者か、確かめないわけにもいかないんだ」

 

「は、はい。わかりました。……南雲君に付いていきます……」

 

愛子の答えを聞いてハジメは禿頭の男が消えていった場所に歩を進めていった。

 

禿頭の男は、その後も、時折姿を見せてはハジメ達を誘導するように瓦礫の合間を進んでいく。そして、五分ほど歩いた先で、遂に目的地についたようで、真っ直ぐハジメ達を見つめながら静かに佇んでいた。

 

「あんた、何者なんだ? 俺達をどうしたい?」

 

「……」

 

禿頭の男は、ハジメの質問には答えず、ただ黙って指を差す。その場所は何の変哲も無い唯の瓦礫の山だったが、男の眼差しは進めと言っているようだ。

 

「これは、ミレディみたいな感じじゃなくて、オスカーやメルジーネと同じような感じか……」

 

「そうかもしれんのぅ……」

 

「……行くか」

 

ハジメは問答をしても埓があかないと判断し、ティオ達と頷き合うとその瓦礫の場所へ踏み込んだ。すると、その瞬間、瓦礫がふわりと浮き上がり、その下の地面が淡く輝きだした。見れば、そこには大迷宮の紋章の一つが描かれていた。

 

「やっぱりか……」

 

ハジメはこの紋章を見た瞬間……推測していたことがあたり、答えることは無いだろうが、質問してみた。

 

「……あんたは、解放者の一人のラウス・バーンか?」

 

ハジメが質問したのと、地面が発する淡い輝きがハジメ達を包み込んだのは同時だった。

 

そして、次の瞬間には、ハジメ達は全く見知らぬ空間に立っていた。それほど大きくはない。光沢のある黒塗りの部屋で、中央に魔法陣が描かれており、その傍には台座があって古びた本が置かれていた。

 

「どうやら、いきなり大迷宮の深部に到達してしまったらしいな」

 

「そうらしいの〜。じゃがご主人様、試練は……」

「もしかしたら、教会の爆発と共に無くなったのかそもそもなかったの二つだが、十中八九、前者だろうな」

 

ハジメはアレスから、神山の試練は二つの神代魔法を持ってしてもキツかったと聞いていた。なので、【神山】の大迷宮はティオのブレスで崩れた可能性が高い。そう思いながら、ハジメはティオ達と共に、魔法陣の傍に歩み寄った。ハジメは、何が何やらと頭上に大量の〝?〟を浮かべている愛子の手を引いて、ティオと頷き合うと精緻にして芸術的な魔法陣へと踏み込んだ。

 

と、いつも通り記憶を精査されるのかと思ったら、もっと深い部分に何かが入り込んでくる感覚がして、思わず三人とも呻き声を上げる。あまりに不快な感覚に、一瞬、罠かと疑うも、次の瞬間にはあっさり霧散してしまった。そして、攻略者と認められたのか、頭の中に直接、魔法の知識が刻み込まれる。

 

「……やはり〝魂魄魔法〟か」

 

「うむ。アレスが言ってたように、魂に干渉できる魔法のようじゃな……」

 

「先生は……大丈夫そうだな」

 

ハジメは愛子の方へと振り返ると、いきなり頭に知識を刻み込まれるという経験に、頭を抱えて蹲る愛子を尻目に、納得顔で頷いてから、脇の台座に歩み寄り、安置された本を手にとろうとした時だった……

 

「さて、此処に何て───ッ! ガァァッ!」

 

「ご主人様?!」

 

「南雲君?!」

 

ハジメは唐突な頭痛に倒れ込み、ティオと先生が声が上がるが俺は頭を両手で抑えながら二人の声より頭に流れ込んでくる音声に強制的に耳を傾けられていた。

 

『──鍵──後、二──の魔法』

 

───グッ……だ、誰の声だ? 鍵? 魔法?

 

『解き──れる──機械の力──我が───』

 

──── 機械の力?

 

『この──で、必──ラー──を………』

 

───頭痛がっ

 

「………治まった?」

 

その言葉を最後にハジメの頭痛が止み、冷や汗を流したが、身体に異常がないかと確かめて問題無くてホッとする。

 

「ふぅ……身体もおかしくないな───」

 

「ご主人様っ!」

 

「南雲君!」

 

「うぉっ、先生、ティ──?!」

 

ティオは涙を浮かばせながらハジメに抱きついた。愛子は涙目になりながら傍に駆け寄る。ハジメは大丈夫だと言うが、ティオは我を忘れたかのように抱き締める力を緩めないので、苦笑いする。

 

「ティオ、安心しろよ。俺は大丈夫だ」

 

「でもっご主──「ティオ」?!」

 

「ハワワワワワッ」

 

ハジメはティオを涙を見たくなかった。だからなのか身体が勝手に動いてしまい、愛子がいるのに関わらず、ティオに口付けをした。

 

「ご、ご、ご主人様?!」

 

唇同士を離すと、いきなりのキスで、ティオの顔が真っ赤に染まらせながらあたふたしていた。そんなティオをハジメは愛おしく思いながら頬を擦る。

 

「ティオ、お前に涙は似合わねぇよ。俺はティオがずっと笑ってる方が良い」

 

「ご主人様……」

 

「ティオ「ゴホンッ!」…あっ、先生」

 

「南雲君! 私も心配したんですよっ! 全く貴方は……」

 

ハジメは顔を真っ赤にさせた愛子に少しだけ説教を喰らってから改めて、安置された本を手にとった。

 

「これは……アレスが持ってるのと違う手記だな」

 

どうやら、中身は大迷宮【神山】の創設者であるラウス・バーンが書いた手記のようで、アレスが持ってるのと別の手記だった。内容はオスカー・オルクスが持っていたものと同じで、解放者達との交流や、この【神山】で果てるまでのことが色々書かれていた。

 

しかし、ハジメは王都の事も気になっているからさくっと読み飛ばしていく。内容的にラウス・バーンの人生などや彼が、なぜ映像体としてだけ自分を残し、魂魄魔法でミレディのように生きながらえなかったのかも、懺悔混じりの言葉で理由が説明されていた。

 

そして、最後の辺りで、迷宮の攻略条件が記載されていたのだが、それによれば、先程の禿頭の男ラウス・バーンの映像体が案内に現れた時点で、ほぼ攻略は認められていたらしい。

 

というのも、あの映像体は、最低、二つ以上の大迷宮攻略の証を所持している事と、神に対して信仰心を持っていない事、そして、あるいは神の力が作用している何らかの影響に打ち勝った事、という条件を満たす者の前にしか現れないからだ。つまり、【神山】のコンセプトは、神に靡かない確固たる意志を有すること、のようだ。

 

おそらくだが、本来、アレスのように正規のルートで攻略に挑んだのなら、その意志を確かめるようなあれこれがあったのではないだろうか。愛子も攻略を認められたのは、長く教会関係者から教えを受けておきながら、そんな信仰心より生徒を想う気持ちを揺るがせなかったから、あるいは教会の打倒に十分手を貸したと判断されたからだろう。

 

「俺達には楽だが、この世界の人じゃキツイ条件だろうな」

 

ハジメは手記を読み終えて呟いた後、ようやく、神代魔法を手に入れた衝撃から立ち直った愛子を促して、台座に本と共に置かれていた証の指輪を取ると、ハジメ達は、さっさとその場を後にした。再び、ラウス・バーンの紋章が輝いて元の場所に戻る。

 

「先生、大丈夫か?」

 

「うぅ、はい。何とか……それにしても、すごい魔法ですね……確かに、こんなすごい魔法があるなら、神様と戦えたり、日本に帰ることの出来る魔法だってあるかもしれませんね」

 

愛子が、こめかみをグリグリしながら納得したように頷く。その表情は、ここ数日の展開の激しさに疲弊しきったように疲れたものだったが、帰還の可能性を実感できたのか少し緩んでいた。

 

「それじゃ、魔法陣の場所もわかったことだし、早く優花達と合流しよう」

 

「あっ、そうです! 王都が襲われているんですよね? みんな、無事でいてくれれば……」

 

「あぁ、急ごう……少し俺も嫌な予感がする」

 

「ご主人様、嫌な予感とは?」

 

「何か、胸騒ぎがするんだ。急ぐぞ」

 

───そう、あの声を聞いてから胸騒ぎがする……大切なものが失うような……。

 

心配そうな表情で祈るように胸元をギュと握り締める愛子を促して、ハジメ達は、下山を開始した。といっても、【神山】から王都へ降りるためのリフトがある場所から飛び降りるだけだが。

 

強制フリーフォールを体験することになった愛子の悲鳴が木霊するものの、ハジメはそんな事より胸騒ぎが収まらないことを気にしており、ティオはそんなハジメを心配そうに見つめている為、愛子の事はスルーだった。ぐったりした先生を肩に担いで地面に降り立った俺達は、あちこちから火の手が上がり悲鳴や怒号が響き渡っていた。

 

「ティオ、急いで優花の所に向かうぞっ!」

 

「うむっ」

 

王都の光景を見てハジメは急いで優花達がいる場所に向かった。

 

そして、合流した先で見たものは……

 

「は?」

仮面を着けた黒ずくめの男に胸を貫かれ、既に息絶えていた優花の姿だった……。

 




編集しました。十二月七日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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