ありふれた職業で世界最強if優花   作:白San

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七十五話 目覚めの天使様

 

雫達四人を励ました後、ハジメはティオ達がいる【神山】へと風のように駆けていた。その駆け抜ける速さ、先の戦いで“ネームド”の神の使徒ノイント、魔王アルヴヘイトの強敵達と連戦した後のような感じを見せない程の爽快な速さで〝空力〟を使い空を駆けていた。

 

「……グッ、流石の連戦のせいか、身体に響いたか……」

 

しかし、向かっている最中に胸辺りに何かが暴れて尖った物を内側から刺されているような痛みがしだしてハジメの表情が歪む。

 

だが、ハジメはこんな痛みを感じるのは初めてだった。ノイントとの戦いの時も〝限界突破〟や〝紅狼〟など使っていたが、こんな痛みはなかった。

 

すると、ハジメはこの痛みの正体はアルヴとの戦いの時の際に〝あの声〟に言われるままに……使ってしまった……いや、使った………

 

『我が機械──力───存分──え』

 

禁忌。触れては駄目。そんな事が頭に過ぎるも、あの時のハジメにはどうでも良かった。目の前の敵を倒すことが出来ればと。そして、その力は絶大だった。

 

一回のミサイルの発射数が百を優に超え、ミサイル全てが追尾性能を持つ機能が搭載するミサイル兵器へと変貌した……オルカン─D.M

 

砲門の数が倍となり、電磁加速の為に魔力を溜め込むタンクが何故か漏れ出てしまうほどの紅いスパークに威力も驚異的なほどに増し、悪魔の兵器と化した……メツェライ─D.M

 

この二つの武器は使い終わったと同時に元の形に戻った。見ると、二つともメンテナンスが必要なほど壊れてしまっており、メツェライに至っては壊れることも溶けだすことも余り無いアザンチウム鉱石でコーティングした部分などが溶けだしている程だった。

 

「まぁ……この痛みはあの力のせいだよな……」

 

あの時は死んだ優花の姿を見てしまって我を忘れてしまい、無我夢中であの力を使った。悔いはない。

 

しかし、ハジメは、あの力を今ここで使うことは出来なかった……いや、正確には禍々しく変形したメツェライを使い終わった後から発動が出来なくなっていた。それと同時にこの身体中の違和感を感じるようになった。多分この痛みもアレが原因だろうとハジメは推測する。

 

「………まっ、いずれ治るだろう……それに」

 

痛みには慣れている。この痛みも時間もすれば痛みも無くなるだろうし、あの力も大迷宮を攻略していく内に分かっていくだろうと思い、そして、決心するようにハジメは呟いた。

 

「今度こそ……優花を、ユエ達を、友を、もう誰も失わせない。絶対に……」

 

ハジメは自分の拳を握りしめながら決意する。

 

例え自分がどうなったとしても大切な恋人達、大事な友を守れるようにと……。それが、またあの力を使うことになったとしても………。

 

ハジメはそう決意して、胸の痛みを無視して更に速度を上げ、【神山】にいるティオ達の元へ駆けていった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

痛みに耐えながら【神山】に到着してハジメはユエ達を探していると……

 

「ユエ達は……いた」

 

周りを見渡していると、ユエ達の存在を感知し、すぐさま其処へ向かう。着くと、ユエとティオ、アレスはまだ優花に魔法を行使しており、シアは自分に出来ることはないので自分の魔力をストックしてユエ達に渡しており、愛子は神代魔法の行使に疲れたのか少し休んでいた。

 

「ユエっ! お前等! 優花は大丈夫そうかっ?!」

 

「あっ、ハジメさん」

 

「南雲君!」

 

「……ハジメ」

 

「ご主人様」

 

「ハジメ殿」

 

先にストックを作っていたシアと愛子がハジメの存在に気付き、シアと愛子の声で他の三人もハジメが到着したことが分かり、顔だけハジメの方に向き声をだす。

 

「三人共、優花の容態はっ?!」

 

「「「……」」」

 

ハジメはいつも三人に優花の容態を聞く。すると、三人は少し苦い顔をする。

 

「……ハジメ、優花は」

 

「おい、魂魄は固定が出来てんだろ? ならっ……」

 

「ハジメ殿……」

 

ハジメはユエの言葉を遮り、自分でも分かるぐらい焦ってきてるのを分かる。三人の表情の意味も理解してしまう。それなのに心が……否定したい。嘘だ。ありえない。と思いが膨らんでいき、徐々に声が荒だっていくハジメにアレスが口を開く。

 

「アレス……優花は死…「ハジメ殿っ」……っ!」

 

「ハジメ殿っ! そんな顔をやめて頂きたい。 優花殿が悲しみますよ?」

 

「でも……優花は…「ちゃんと話を聞いてください」……はっ?」

 

「ハジメ殿、安心してください。優花殿は生きています。魂魄も安定している状態ですし、傷も私とユエ殿とティオ殿の再生魔法で完全に塞いでいます」

 

「……ホントなのか?」

 

「はい」

 

「そうか……」

 

「……助かったんだな」

 

ハジメはアレスの言葉を聞いて、力が抜けるようにその場にヘナヘナと座り込む。しかし、ある疑問が残る。

 

「じゃあ……治ってんなら、何で優花は起きねぇんだ?」

 

そう、傷も魂魄も治っているなら優花は目を覚ます筈だ。でも何で優花は起きないのか。とハジメは思っていた。

 

「ハジメ殿の言うことはご最もです。しかし、魂魄魔法をこの中では長く扱う私でも、原因は未だに分かりません」

 

「そうか……」

 

ハジメは段々不安が募っていく。もしかしたら、もう目を覚まさないかと……。そう思っていると、アレス、ユエ、ティオがハジメの心情を察したのか声をかける。

 

「ハジメ殿、優花殿は必ず目を覚まします。私の推測だと魂魄の状態で何かと対話……私では考えられない〝未知〟なことが優花殿に起こってるかもしれません」

 

「考えられないこと……」

 

「……ん、ハジメ。もしかしたら優花の話してた」

 

「あっ、記憶の話かっ!」

 

「妾もアレスの推測から考えるとそれしか考えられんのぅ〜」

 

ハジメはアレスの推測とユエの助言で優花がメルジーネの攻略の際、話していた余りにも具体的な話を思い出す。ティオもハジメと同じ考えに至ってそうだった。

 

「じゃあ……その考えを優花が目を覚まさない理由の前提とするなら……」

 

「優花殿、次第ですね……」

 

ハジメは立ち上がり、優花の元へ歩きながら向かい、傍までくると優しくそっと優花を抱きしめる。

 

貫かれた胸の傷はすっかり綺麗となり服は少し破けて少し胸が見えそうなっていたので俺は自分のコートを着させる。彼女に触れると確かに死後硬直はなく、体温も冷たくなっていない。しかし息をしておらず心臓の鼓動も鳴っていない。

 

「……優花」

 

ハジメは自分の身体の状態を無視して、優花の身体を更に強く抱きしめながら呟く。

 

「早く戻って来てくれ」

 

これはハジメの願いでもあるが、此処にいるユエ達、そして王都にいる大切な幼なじみ達の願いでもあるから……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「此処は………」

 

優花は薄目を開けながらゆっくりと上体を起こしていく。

 

「あれ……此処何処? 私…確か王都の広場………っ!」

 

優花は王都の広場でアルヴに胸を貫かれたことを思い出し、すぐさま自分の胸を確認する。

 

「あれ? 傷が塞がっ……てる?」

 

しかし、貫かれている筈の胸は綺麗に塞がっており頭の整理が追いつかなくなる。

 

「どういうことなの?」

 

優花は胸を貫かれて死んだと思ったけど生きている? でも此処は? 優花は沢山疑問に思うことはあるが、まず此処は何処なのか知る為に立ち上がる。

 

「うん、動ける…でも投げナイフ(ハウンド)がないし…魔法は……んっ!……出来ない、か」

 

優花は立ち上がって、ジャンプや色々身体を動かしてみる。しかし、痛みや倦怠感もない。寧ろ身体が軽い。しかし、ハジメから貰い身につけてる筈の投げナイフ(ハウンド)がなく、魔法を発動しようとしたが出来なく、魔法陣を手書きで描いても無理だった。

 

優花は色々確認をしていくが、この場所は何処でなんなのかも一切分からない。

 

「身体は動けるけど……魔法は使えないって……ホント此処って何処……な……の」

 

優花は溜息を吐きながら、ゆっくり空を見上げていくとその景色に唖然とした。

 

空には………

 

「凄い……」

 

それは、あの日……ホルアドでハジメと恋人関係になった時と同じくらいの綺麗な夜空で月はその夜空を照らすかのように星と共に輝いていた。

 

「綺麗……」

 

『でしょ? ……私も好きなんだ。この夜空』

 

「──っ! 誰っ?!」

 

『あら、驚かしちゃった? ゴメンね』

 

「……貴女は」

 

優花が夜空に見蕩れていると後ろから女性の声が聞こえた。優花はすぐに距離をとって武器はないが戦闘の構えをとるが優花は彼女の姿を見てスっと構えをとるのをやめてしまった。

 

優花の目の前にいるのは………

 

『優花…貴女と話すのは今回が初めてね』

 

あの夢に出た銀髪の女性……クリスタだったのだ。彼女は優花の名前を呼びなが嬉しそうに微笑む。

 

「なんで……私の名前を?」

 

『あっ、ごめんね。優花は知らなくて当然よね……』

 

そう言って銀髪の女性…クリスタは優花に謝罪する。

 

「あっ、謝らないで。それに、聞きたいの。あの時の夢のことや私達がいる此処は何処なのか、そして何で私と貴女が此処にいるか。貴女は知ってるんですよね?」

 

『ええ、優花。あの夢の件などは私が関係してるわ。そして、原因は貴女の技能にある〝■■■〟。私はずっと貴女の中から今までのことを見ていたの』

 

「あの技能が……」

 

優花は思い出す。ステータスプレートの際、何が書いてあるか分からなかった技能■■■のことを。

 

『あの、技能は簡単に言うと、私の魂魄……魂が入っているの。だから、私の魂魄は今、優花の中にあるということ。そして、この空間は貴女の中から私が創りだし、見せている幻影のようなモノよ』

 

「ふぇ?」

 

クリスタの衝撃な発言で優花は変な声が漏れたが、すぐに気を取り直してクリスタに質問する。

 

「情報量は多いけど、あの……でも何で貴女の魂魄は私の中に?」

 

色々と彼女に聞きたいことあるのだが、まず優花は何故クリスタは自分の中に入ったのか聞いてみることにした。

 

『……感じたから』

 

「えっ?」

 

(感じた?)

 

クリスタは私の質問の返事に少し悲しさを漂わせた表情でそして、何かを思い詰めたような感じで話す。

 

『優花…私は貴女に〝運命〟を感じたんだ。そして……貴女の恋人……ハジメが……あの人に似ていたから……』

 

「あの人……もしかしてあの夢に出た……」

 

優花の答えにクリスタはゆっくり首を縦に動かす。

 

「………やっぱり。でもそれだけで?」

 

優花はクリスタの意見に共感できた。優花自身も夢に出た彼はハジメ(恋人)によく似ていたから………。

 

しかし、似ているとだけで優花の中に入るとは到底思えない何かしら理由があると思い更にクリスタに尋ねる。すると、クリスタはポツポツと語る。

 

『優花……貴女には私みたいに大切な人を失わせたくないと思ったの……見たでしょ? あの夢を…私の記憶を』

 

「………っ!」

 

やっぱりアレはただの夢じゃなく、クリスタの記憶であったと優花は確信する。でも、あれが記憶だと現実にあったことと分かると……

 

「辛すぎるよ……」

 

優花はクリスタの最愛の人が自分のせいで身代わりとなった夢。いや記憶が脳裏に過ぎり自然と涙が溢れ出る。

 

『ふふ、ありがと優花。泣いてくれるなんて』

 

クリスタはそう言いながら笑みを零し、泣いてる優花をそっと抱きしめてくれた。そして、クリスタは私を抱きしめながら真剣な表情で話す。

 

『優花、貴女の恋人は神殺しを目的にしてる。トータスの全種族が自由の意思を持って平等に生きていく世界にする為……あの人と同じように』

 

「……」

 

『でも、私はヘマをしてしまった。姉にバレてしまって戦って負けて……人質にされて彼を追いつめてしまった』

 

「……姉ってもしかして」

 

『ええ、私の姉はエクストラ……神の使徒達の完全な指揮権を持ち、彼女達の母である彼女は血の繋がった私の姉よ。でも、私は姉とは違う。私は人は魔人は亜人は自分たちの意思を持って自由に生きて欲しいの。だから、私は彼と一緒に戦った……負けちゃったけどね』

 

「……あれっていつ頃の記憶なの?」

 

『あれは……確か……十万年前…ホントに宗教ができた頃ぐらいかな……』

 

「そんなに前から……」

 

優花はそんなに前から神々が支配していたと聞いて、驚きの余り言葉を漏らす。

 

『まぁ……びっくりするわよね。だから優花、お願い。貴女達のいるこの時代で終わらせて欲しいの。神共の支配を……ラーゼンの支配を』

 

「私達の時代で……」

 

『ええ、今の時代は解放者達のおかげで数は少ないけど相当な強者が現れている。貴女の恋人のハジメも』

 

「……強者」

 

優花が今、思いつくのはハジメ、ユエ、シア、ティオ、アレス、そしてハジメの話を聞く限り魔人族のフリードって言う人が強者に該当していると思う。

 

『だからね優花……貴女はそんな人達を貴女の大切な人を支えて欲しい』

 

「…支える? でも……私はそんな力は」

 

『だから……〝私の力〟をあげる』

 

「え?」

 

優花は自分を抱きしめながら物凄いことを言うクリスタの発言に驚愕するがクリスタは気にせず言葉を続ける。

 

『貴女なら私の力を扱えると判断できたの。神代魔法を手に入れ、支援職ながらも彼処まで戦える貴女なら、私の力……〝天使族の力〟を……』

 

「天使族?」

 

優花はクリスタの〝天使族〟という言葉に疑問を覚える。そんな種族はこの世界に存在しない。優花もハジメよりかは調べてないが多少なりと王都の図書館の本は読み漁ったがクリスタの言う〝天使族〟は覚えがなかった。

 

『それは、当然よ。天使族は、このトータスには存在しない。別世界に絶滅した種族よ。この世界の神の使徒達は私達、天使族をベースにして出来ているの。そして……優花、貴女に渡すのは使徒達とは違う本物の天使族の力……本物の〝聖杭〟、そして〝天性魔法〟を』

 

「天性魔法?」

 

『ええ、天使族しか、そしてごく稀の者にしか上手に扱えない最強の光魔法……それが〝天性魔法〟よ。まだ慣れない時は扱いは難しいけど慣れることが出来れば、この魔法は最強の〝矛〟にもなるし最硬の〝盾〟にもなる。〝聖杭〟も姉のように最大十二まで出せるようになったら優花……貴女は〝最強〟になる』

 

クリスタは真剣な表情で優花に話す。優花自身もクリスタの真剣さに緊張が走る。そして、「最強」という言葉に心が引き寄せられていた。

 

「………〝最強〟」

 

優花は思う。皆を、ハジメを、更に上手くサポートが出来る。皆に心配させる事も無くなる。なら、優花の答えは決まったようなものだ。

 

『…で、どうする優……「下さい、クリスタ…貴女の力を」……人間を捨てるとしても?』

 

「……っ! でも、それでも大切な人をっ、ハジメをっ。愛している彼をずっと支えれるならっ!」

 

以前、ハジメは言っていた「自分は魔物を食べたから普通の人間とは違うかもしれない」と、それを聞いた時は悲しかった。だって、そういうことなら、もうハジメは普通の人としての寿命じゃないかもしれない。でも、自分はハジメとずっと一緒にいたい。ハジメの他にも、ユエ、シア、ティオとも……

 

だから優花はクリスタの案に乗る。

 

クリスタは優花の言葉を聞いて、笑みを浮かべる。そして、何かを懐かしんでいた。もしかしたら、昔の自分と優花を重ね合わせているかもしれない。

 

『ふふ、それだけの覚悟あるなら問題ないわ。なら、あげるわ。私の力を……』

 

そう言ってクリスタは優花を抱きしめるのをやめて両手からバスケットボールぐらいの光の球体を作り出す。そして、その球体を優花の両手にそっ乗せる。

 

その瞬間……

 

「光が中に?!」

 

光の球体はゆっくりと優花の中に入り込んでいく。

 

そして………

 

バサッ!

 

「えっ? ……っ、翼が?!」

 

背中に何かを感じ、視点を向けると優花の背に翼が、クリスタと同じような綺麗な純白の翼が生えていた。

 

「凄い……私に翼が……って髪の色が変わってる?! それに、何この柱?!」

 

『あら、まだ四つしか出せないのね。それが〝聖杭〟よ』

 

「これが……〝聖杭〟」

 

優花は翼の他に髪色がクリスタのように銀髪になっており、よく見れば周りに四つの柱のような物が私の周りに浮かんでいた。クリスタ曰くこれが〝聖杭〟らしい。

「凄い……なんかステータスも上がってる気がする」

 

『ふふ、起きたら確認して見れば良いじゃない?』

 

「起きる?………あっ、そうか、此処は私の中だから」

 

『ほら、行きなさい優花。待ってるわよ?貴女の大切な人達が、恋人が……』

 

「うん! あっ、クリスタ一つ良い?」

 

『何かしら?』

 

優花はクリスタにある疑問が残ってたので聞いてみることにした。

 

「どうして、この空間はこんな綺麗な月夜の光景なの?」

 

そうこれは単純な疑問。しかし、クリスタは少し頬を赤くしながら、モジモジとしだし、恥ずかしそうに話す。

 

『あ、あの人と……初めて恋人になれた時、綺麗な……つ、月夜だったから……』

 

「フフッ……アハハッ!」

 

『なっ! わ、笑うなぁ〜!』

 

理由が優花の思っていた通りの答えに耐えきれず笑ってしまう。クリスタは頬をプクゥーッと膨らまし、怒ったような視線を優花に向ける。

 

優花は怒るクリスタにゴメンと軽く謝ると、笑いも収まった。そして、口に出す。

 

「ホントに似てるのね。私達」

 

『……ふふ、そう言うことね』

 

クリスタは優花の言葉に察したのか笑みを浮かべてそう答えた。

 

「ありがとう、クリスタ。そして、見ていてね。私達が貴女の…貴女達の願いを必ず叶えるからっ!」

 

優花の言葉にクリスタは笑みを浮かべる。そして、視界が段々と暗くなっていった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『行っちゃったわね………』

 

クリスタは消えていった……いや、戻っていった。優花がいた場所を見つめながら呟く。

 

『デウス……今、貴方は何処にいるかも見当もつかない。でも貴方は生きてるんでしょ? でも、安心して、貴方の願いは、解放者から、ある竜人族の王……ある吸血鬼族の王族……そして今は優花達が貴方の意思を引き継いでるわ』

 

クリスタは月を見ながら彼の名を呟く。

 

『優花……貴女なら出来るわ。神殺しを……そして、この世界を自由の意思の下にあらんことを……』

 

クリスタの発言と同時に空間が消えていったのだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「──花」

 

──ユエ……?

 

「優──さん!」

 

──シア……?

 

「優──っ」

 

──ティオ……?

 

「園──さん!」

 

──愛ちゃん先生……?

 

「優──殿!」

 

──アレスさん……?

 

「優花っ!」

 

──ハジメ?……この声はハジメだ!

 

「ハジメっ!」

 

優花は愛しい人の名を上げながら上体を起こし、目を開けると、そこにはハジメが嬉しそうに自分を抱きしめていたのだった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

それは唐突だった。ハジメは優花を抱きしめながら優花を呼び、ユエ達もハジメのように呼びかけていると……

 

「ハジメっ!」

 

彼女は、優花はハジメの名を呼びながら起き上がった。

 

「やっぱり生き……「優花っ!」……ちょっ、ハジメっ?!」

 

ハジメは優花を抱きしめるもう離さないと思う程、優花から声が聞こえるが無視だ。

 

ドガッ!

 

「痛って!」

 

優花を抱きしめてると、ユエに後ろから頭を叩かれた。

 

「……ハジメ、嬉しいのは分かるけど、優花が苦しんでる」

 

「あっ……スマン」

 

恥は優花を抱きしめるのをやめ、優花を支えながら一緒に立ち上がる。

 

そして……

 

「皆、ただいま」

 

そんな笑顔で言う彼女に、ハジメ達も嬉しそうに笑みを浮かべて……

 

「「「「「「おかえり」」」」」」

 

と。

 

優花は起きてから少しして、ハジメ達に自分に起きていた事を話した。優花は皆が信じてくれるかは分からなかったけどクリスタとの会話は皆の耳に入れといた方が良いと思えた。

 

「……って言うことなんだけど」

 

「「「「「「………」」」」」」

 

やっぱ、信じてくれないか。と思ったが、しょうがないと感じていた優花だったが……

 

「やはり、優花が起きない理由はそう言う系だったのぅ」

 

「……ん、アレスの推測通り」

 

「私も当たったことに驚きましたが……それ以上に優花殿の話の内容が凄いですね」

 

「そうですねぇ〜」

 

「私、話に着いてこれないんですけど……」

 

「しかし……神の使徒のベースがこの世界にいない、別世界の種族とはな…スケールが凄ぇな」

 

皆、自分の話を信じてるようで優花は少し驚く。

 

「信じてくれるの?」

 

「クハッ……」

 

「ハジメ?」

 

優花がそう言うとハジメは笑いながら自分の頭を優しく撫でながら話しかける。

 

「何言ってんだよ。俺達が優花の話を信じない訳ないだろ?」

 

そう言いながらハジメは後ろを向く。優花もそれに連られてその方向に視線を向けると、ユエも、シアも、ティオも、アレスさんも、愛子も自分の話を信じ、優しい笑みを浮かべながら頷いていた。その光景に優花は涙ぐみながら嬉しそうに笑う。

 

「皆……ありがとう」

 

そして、優花はハジメ達と一緒にラウス・バーンの魂魄魔法を習得してから優花とクリスタの話になった。

 

「……じゃあ優花はその〝天使化〟ってなれるの?」

 

「ん〜出来るんじゃない?」

 

「えっ、私見たいですぅ〜」

 

「シア殿、優花殿もお疲れだろうですし、後日にした方が……「あっ大丈夫よ。なんか体力も魔力もあるし」……そうなんですか」

 

そう言って優花は立ち上がると……

 

「うん、やってみる───〝天使化〟」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

 

その瞬間……ハジメ達の前に一人の天使が現れた。

 

「あっ……できたよ。どう?」

 

優花は〝天使化〟が出来たことに嬉しそうにするがハジメ達は唖然としていた。特に神の使徒と相対した。ハジメ、愛子、ティオ、アレスは特に……

 

「はわわわっ、本当にあの女性に似てます!」

 

「ふむ……それに優花の魔力も大分強くなってる気がするのぅ」

 

「本当に神の使徒のベースなんだなそれに……」

 

「聖杭の数が〝ネームド〟より多いですね」

 

四人共、感想はそれぞれだが、共に驚いていた。

 

「でも、この〝聖杭〟……エクストラはこれの十二本を扱ってるらしいわ。私もこの力に慣れてきたらそうなるってクリスタも言っていたし」

 

優花はアレスとハジメに指摘された聖杭をクルクルと回しながら、クリスタが言っていたことを伝える。

 

「……十二ですか」

 

「マジかよ……二本でも、かなり面倒だったぞ」

 

アレスとハジメは聖杭の能力を知ってる為か、眉を顰めていく。

 

「……しかし、優花殿のおかげで一柱の神の能力が大体判明しましたね」

 

「だな。それにこっちは優花が完全に〝天使化〟を使いこなせれば、こっちの戦力に神一柱分ゲットだしな」

 

「……ん、これなら神達と更に渡り合える」

 

ハジメ達は頷き合う。神殺しの道が更に近づいたと……。

 

「それに…クリスタか…何か知ってるような知ら……グッ!」

 

(クソッ……またこの痛みかっ!)

 

「ハジメ?!」

 

「ハジメさん!」

 

「ご主人様?!」

 

「南雲君?!」

 

「ハジメ殿?!」

 

「どうしたのハジメ?!」

 

ハジメが突然叫びだし、優花達はすぐさまハジメの方へと視線を転じる。そして、優花達はその光景に驚愕する。

 

優花達が見たのは……

 

「グッ!……ガァッ……」

 

ハジメの体に何か黒いモノが侵食していたのだ。

 

「ハジメっ」

 

「……ハジメっ!」

 

「ハジメ殿」

 

ハジメの様態を見た。優花、ユエ、アレスは咄嗟に回復魔法、再生魔法をかけるのだが………

 

「なんで再生魔法がっ?!」

 

「……なんで効かないの!」

 

「再生魔法が効かないとは……どういう事だ?」

 

再生魔法が全く効いてなかった。そして、ハジメが治る様子はなく、黒い何かの侵食がすすんでいく。その度にハジメから物凄く痛みに苦しむ声を上げる。

 

「グッゥ!……」

 

「ハジメ……」

 

(なんで……私はハジメの為にこの力を……あっ、これなら!)

 

優花は自分の不甲斐なさに自己嫌悪するが、〝天性魔法〟のことを思い出し、一か八かやってみることにした。

 

「ハジメ。絶対に助けるから──〝浄化(パージ)〟」

 

〝天使化〟した優花は、悶え苦しむハジメに両手を翳すと回復系の天性魔法を放つ。その瞬間、神々しい光と共にハジメが包まれていく。

 

「……凄い」

 

「凄い綺麗です」

 

「ほぅ……これが天性魔法……」

 

「……凄いですね」

 

ユエ達は優花の天性魔法の幻想さに見蕩れていた。

 

そして、光が消え、包み込まれていたハジメが現れる。

 

「ハジメっ!」

 

「……優花……あれ、痛みが……消えただと?後…身体が妙に軽くなったような……」

 

優花の天性魔法でハジメは黒い何かの侵食が消え、痛みも収まりゆっくりと起き上がる。

 

そして、ハジメは優花に感謝をすべく彼女の方へと視線を転じる。

 

「助かった優花、いやホントに凄いな天性……「ハジメ?」……はい」

 

ハジメは〝天性魔法〟の凄さに感嘆したが優花に肩を掴まれるそれも満面の笑み。だが、妙に寒気を感じる。

 

「あの、優花?」

 

「ちょっと、話をしようか? ユエ達と一緒にね」

 

優花はそう言いながら後ろを向く。そこには優花と同じようにニコニコのユエ、シア、ティオの三人がいた。

 

「いや、少し待っ……「「「「問答無用」」」」…はい」

 

この後、ハジメは四人の恋人達に無理をし過ぎるなと色々と説教されたのだった……。

 

 

 

 

====================================

 

園部優花 17歳 女 レベル:???

 

天職:神天治癒師

 

筋力:1000(天使化 +20000)

 

体力:5000(天使化 +20000)

 

耐性:3500(天使化 +20000)

 

敏捷:2000(天使化 +20000)

 

魔力:8000(天使化 +20000)

 

魔耐:8000(天使化 +20000)

 

技能:回復魔法[+効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・付与術[+効果上昇][+連続付与][+高速付与][+複数付与]・全属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動]・全属性耐性・高速魔力回復[+瞑想]・魔力感知・魔力操作・再生魔法・魂魄魔法・天使化(クリスタ)[+聖杭][+天性魔法][+限界突破]・言語理解

 

====================================

 

天性魔法・浄化《パージ》…どんな毒も呪いも全ての精神汚染系魔法も無効化、浄化し、かけた対象の悪いところも全て浄化する。

 




編集しました。七月三十日

愛子はハーレムに入れるか入れないか

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