海鳴市で平和な一時を過ごしていた零夢。姉の美由希やアルバイトのムジナと共に両親不在の翠屋を切り盛りしていたその時、臨海町方面から怪しげな光が放たれ、高層ビルを真っ二つにしてしまった。その犯人は地底怪獣である『凶猛怪獣ギーストロン』の仕業だった。
警報が鳴り響く海鳴市。ギーストロンは進攻を開始し、歩く度に炎を上げていく。その光景に臨海町以外の人々も避難のために逃げ始める。
「………俺達も避難するぞ」
零夢は美由希とムジナに呼び掛けた。
「で、でも」
臨海町に母親が買い物に出掛けている。心配で仕方がない美由希だがだからと言って臨海町に行くわけにいかない。
「最初にあんな騒ぎがあったんだ、お袋も避難してるはずだ」
自分に言い聞かせるかのように美由希にも言い聞かせる零夢。
「う、うん、そうだね」
町の人々も最寄りの避難所へと向かい始めている。ここは自分達もその避難所へ向かい、そこで母親の安否確認をするしかない。
「行くぞって、何してるんだよ?」
するとムジナがギーストロンに掌を向けていた。中指と薬指を離し、その間でギーストロンを覗くように見つめるムジナだがすぐに腕を降ろす。
「ま、できるわけないか」
何がと問いたいが今はそんな暇はない。
「できれば御神体だけでも取りに行きたいな」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ?早く行くぞ」
零夢達は翠屋が踏み潰されない事を祈りながら避難を始めた。
場所は変わり、ここは東京近郊にあるTDF航空基地。怪獣出現の報告を受けた隊員達は緊急で発進準備を行っていた。
「オーライ、オーライ、オーライ、ストップ」
作業服を着た誘導員達は誘導灯を振り、戦闘機を格納庫から滑走路に誘導する。ここに配備されているのはシルバーのボディに赤いラインが流れる対怪獣用戦闘機『マットアロー1号』だ。
「ウィザード4、発進許可が降りるまで待機せよ」
定位置に到達すると誘導灯を横に向けて停止を指示する誘導員。それに従いパイロットは機体を停止させ発進許可が降りるまでに左右前後、計器と装置、武装に不具合かないか安全確認を行っていく中、先に許可が降りた機体のバーナーが点火し、滑走路を駆け抜けて大空へと舞い上がっていくのが見え、緊張感が高まっていく、次は自分の番だと。
「こちら管制塔。ウィザード4、発進して下さい」
管制塔から発進許可が降りる誘導員は進路を空けて誘導灯を大きく振り下ろすとマットアロー1号はバーナーを点火させ、滑走路を走り加速させていくと操縦桿を引き、機首を上げていき、ライディングギアは滑走路から離れ、マットアロー1号は離陸し、大空へと舞い上がり、先に飛翔している機体と合流して編隊を組む。
「こちらウィザード1。これより怪獣迎撃行動に移る」
隊長機の機首に黄色いラインが設けられたマットアロー1号のパイロットは基地に報告。そしてすぐに現場である海鳴市に到着し、ギーストロンの姿を目視した。
「各機攻撃開始!」
「了解!」
隊長の指示が下り、マットアロー1号部隊は主翼の裏に取り付けられたロケット弾ポッドで攻撃を開始。無数のロケット弾はギーストロンに直撃していく。
「ギャオォォォォォン!!」
攻撃を受けたギーストロンは咆哮を上げて威嚇するがマットアロー部隊の攻撃は止まる事なく、完全に敵として認識したギーストロンは背中の突起を光らせ、発生させたエネルギーを頭の角にチャージしていき、先端から細いレーザー光線を発射する。
「各機散開!」
その指示で散開するマットアロー1号だが、間に合わなかった機体はそのレーザー光線に貫かれ、爆発、墜落してしまった。
「ウィザード6がやられた!」
「怯むな! 攻撃を頭部に集中! レーザーを発射する角を破壊するんだ!」
攻撃手段となる角に攻撃を集中させる事を指示。ロケット弾や主翼先端の機関砲、そして、機首のレーザー砲で攻撃を行い、ギーストロンの角を破壊しようと試みる。
「避難所はこちらです! 我々の指示に従って避難して下さい!」
地上の臨海町ではTDFの陸上部隊はもちろん、地元の警察官や消防士も避難活動に参加し、人々の避難誘導を行っていた。その最中、ギーストロンのレーザー光線の直撃を受け、またマットアロー1号は撃墜されてしまい、建物に突っ込んでその破片が地上に落下してしまい、人々は悲鳴を上げる。
「危ない!」
破片を避けるためにしゃがむ人々。その中には零夢達も居り、しゃがんでやり過ごした。すぐに立ち上がって走り出そうとしたが零夢の目に踞り、動けずにいる栗色の髪の女の子が目に入り、すぐに駆け寄る。
「レイちゃん!」
「先行って!」
零夢を追い掛けようとするが美由希とムジナは避難の流れに逆らえず、そのまま流されるかのように避難所へと向かった。
「大丈夫か?痛い所とかないか?」
踞る女の子に問い掛ける零夢。女の子は震えていた。極限の緊張感と恐怖、それを幼い女の子が一人で耐えれるわけがない。
「お父さんとお母さんは?はぐれちゃったのか?」
その問いには震えながらも頷く女の子。
(あれ?こんな事、前にもあったような)
何かデジャブを感じる零夢。同じような体験をした事がある気がしており、栗色の髪の女の子と幼き日のなのはがダブって見えていた。
「大丈夫ですか!?」
そこに避難誘導を行っていた警察官が駆け付けた。
「親とはぐれたみたいなんだ!」
「解りました! この子は私が避難所まで送ります!」
女の子の幼さから見て一人で避難所に辿り着く事はできないと判断した警察官は自分が女の子を避難所に送る事を決意した。
「お願いします!」
警察官は女の子を抱き抱えて走り出し、零夢はそれを見送ると自分も避難しようとしてふと横を向くと見覚えがある建物が見えた。
「俺んち?」
そう、その横に佇んでいたのは高町邸だった。すぐに避難しようと考えたが美由希が御神体を持っていきたいと言っていたのを思い出した。ここまで来てしまったらついでだと自宅に入り、庭にある道場に足を運ぶ。
「なんで今になって神棚の中身が気になってるんだよ」
美由希が気に掛けていたからもあるがこんな時になぜか御神体が気になっていた。それを疑問に思いながらもその足は止まらず、神棚の前まで歩いていた。そして、一度も開けた事がない扉に触れる、そこに何があるか解らないはず、それなのになぜかそこにある物が必要だと感じていた。
「これは………」
扉を開けると中には青い宝石が埋め込まれた銀色のブレスレットが納められていた。
「バラージの盾」
それは盾というには掛け離れていた形ではあるがその言葉を口にするとブレスレットを手に取り、自然と左腕に填めていた。
「……………チッ」
また舌打ちを立ててしまう。苛立ちを隠せない零夢、なぜかは解っていた。
「何やってるんだよ俺は……!」
拳を作り、震わせる零夢。悔しさが溢れ出していた。すると、爆発音が響き、ギーストロンの鳴き声が大きく聞こえてきた。近くまで来ている、このままでは本当に翠屋や自分が育った街が踏み潰されてしまう。
「やるしかないのか……姉ちゃんを止められなかったのにか?」
苦虫を噛み潰したかのような顔をする零夢は走り出した。自分に纏わり付く何かを振り切るべく。そして、ブレスレットの宝石が光り、そこから自分になかったはずの記憶に残っていたオレンジ色のレンズが埋め込まれたゴーグルが飛び出し、それを右手で取っていた。
「デュワッ!」
藤見町に迫り来るギーストロン。避難所である地元の小学校は恐怖に包まれており、TDFの陸戦隊員達が別の避難所へと誘導を始めており、数人はライフルを手に持ち、ギーストロンに攻撃をして足止めをしようとしていた。
「こちら藤見町担当のD班! ギーストロンの進行方向に避難所である藤見小学校があります! 至急応援を!」
通信兵が本部に応援を求め、レーザーライフルの銃口が輝くと閃光が走り、ギーストロンの皮膚から火花が噴き出すが効果は見られない。マットアロー部隊の機関銃による威嚇も全く相手にされず、刻一刻と小学校に迫っていた。
「美由希、大丈夫?」
「うん、ちょっと挫いただけだから」
その誘導する人々の中に美由希とムジナの姿もあった。美由希は避難中に転倒してしまい、足を怪我していた。その怪我した美由希をムジナは肩を貸して別の避難所へ目指していたがこのままでは間に合わない可能性があった。
「レイちゃん………」
弟の安否を心配する美由希。家族の無事が解らないのだ、不安にもなる。すると、真上を眩しい閃光が走った瞬間、爆発音が響く。最後のマットアロー1号が撃墜されてしまった。
「こっち来るなぁ!」
女性隊員が力強く叫びながらロケットランチャーの引き金を引き、ロケット弾を発射する。他の隊員達もレーザーライフル、ハンドガンによる攻撃を行うも効果はなく、ギーストロンは迫る。だが、ギーストロンは足を止めた、引き返すかと思われたがその背中の突起が輝いていた、それも先ほどから放つレーザー光線を発射する時よりも長くだ。最大火力でこの一帯を焼き払うつもりなのかと考えた隊員達は焦った、あの光を解放させてはならないと、そのために攻撃の手を緩む事はしなかったがギーストロンが放つ輝きは消える事なく、そのエネルギーが角に集結していくのが見えた、ここまでかと誰もが思った。
『デェェェリャァァァーッ!!』
巨大な影が大空から飛来してくるのが見えた。飛来した影はギーストロンを吹き飛ばした、その光景に人々は唖然としていた。その影の正体は巨人であり、銀色のプロテクターが掛けられた背中と赤と青のツートンカラーの体を持つ巨人はゆっくりと立ち上がる。その左腕には青い宝石が埋め込まれた銀色のブレスレットが填められており、緑色のランプが付いた額の真上に装備された二つの刃・ゼロスラッガーがキラリと輝き、胸には命の灯火であるカラータイマーが青い光を放ち、黄色く光る目がギーストロンを見据えていた。
「ウソ……」
美由希はその巨人を見て思わず呟いた。他の人々もその巨人を見てざわつき始める。
「アレってもしかして」
「うん……うん! そうだよ! ウルトラマンだよ! それも昔、私達を助けてくれた!」
美由希はそのウルトラマンには思い入れがあった。父が入院していた時、目覚めてお見舞いに行ったあの日、病院に迫る怪獣と対峙したあの背中を忘れるはずがなかった。
「ゼロ………ウルトラマンゼロだよ!」
かつて、闇の書事件の時にも駆け付けたウルトラマンゼロが再びこの海鳴市に現れた。その事実に人々は歓喜した。恐怖や絶望が一瞬にして拭い去られた。その影響力にムジナは驚くばかりだった。
『ゼヤッ!』
エネルギーのチャージを妨害されたギーストロンは起き上がり、ゼロに敵意を向けてレーザー光線を発射する。だが、ゼロはそれを避けず、左腕の『ウルティメイトブレスレット』の宝石を光らせると青いマント『ウルトラゼロマント』を召喚し、そのマントでレーザー光線を空へと弾き飛ばした。マントを消滅させると右手の掌を突き出す構えを取ると駆け出し、ギーストロンに戦いを挑む。
『デリャッ!』
「ギャオォォォォォン!」
激突するゼロとギーストロン。ゼロのナックルがギーストロンの腹を打つと今度は回し蹴りを繰り出す、だが、その右足を受け止められてしまう。ゼロはすぐに足を降ろし、次の攻撃を繰り出そうとしたがギーストロンの方が早く、鋭い爪で左胸を切り裂かれ、その衝撃で火花を散らしながら吹き飛ばされてしまう。
『グッ………!』
切られた所を抑えるゼロ、苦しそうにもがいていた。ギーストロンはドスドスとその巨体を走らせ、ゼロを踏みつけようとするが、それを横に半円を描くように転がり、ギーストロンの横で起き上がると尻尾を掴み、力任せに引っ張り、投げ飛ばす。
『ゼヤッ!』
ゼロは立ち上がるの、頭のゼロスラッガーを両手を抜き、逆手で持ち構える。立ち上がったギーストロンにゼロは駆け出して一瞬で距離を詰め込むとゼロスラッガーを振るい斬撃を食らわしていき、ギーストロンは切られた場所から火花を散らし、悲鳴を上げる。ゼロは何度も刃を振るい連続で斬撃を食らわしていき、ギーストロンが怯むと高く飛び上がり、右足に炎を宿す。
『オラァァァァア!!』
炎を宿した右足で強力なキックを放ち、ギーストロンの角に直撃し、攻撃手段である角はへし折れた。そのダメージで動きが止まるギーストロン、そこでゼロは左腕が勢いよく横に伸ばすと右手の拳に光が集結、そして、両腕をLに組んで至近距離から白色の破壊光線・ワイドゼロショットを発射、ギーストロンはそれを浴びてどんどん後ろへ押されていくが背中の突起が光り出していた。
「ギシャァァァァァァア!!!!!!」
だが、ギーストロンはその破壊光線を自身から発したエネルギーで力付くで弾き飛ばすが、ギーストロンも無傷ではなかった。ゼロはゼロスラッガーを胸のカラータイマーの左右に装着、青白く発光し始める。これで勝負が付く、と思われたがゼロのカラータイマーが青から赤へと点滅を始め、地に片膝を付いてしまった。
『クッ………!』
人々は不安になる、刃に灯った輝きは消え、肩を上下するゼロ。ギーストロンはその姿を見てチャンスと捉え、両手からカッター光線を発射、それを食らったゼロは大きく吹き飛ばされてしまい、背中から倒れるが勢い余り一回転してしまい、仰向けとなって倒れてしまう。両手を付いて起き上がろうとするゼロ、ギーストロンはゆっくりと近付いてくる、このままではゼロが危ない。人々は再び不安に苛まれそうになったその時、水平線の彼方から赤と青、黄色の粒子が混ざる白色のビームが飛んできてギーストロンに直撃し、それに怯んだギーストロンは後ろへ下がる。
『ゼア?』
どこからの応援だと疑問そうな声を漏らすゼロ。ゼロの目に映るのは水平線の彼方から飛んでくる一機の大型戦闘機だった。赤と青、黄色のラインが流れ、三角形の機首に長い主翼、下部に砲塔が取り付けられており、前方、中央、後方にコックピットが設けられていた。
「ガッツイーグル! ウルトラ警備隊だ!」
大型戦闘機『ガッツイーグル』はウルトラ警備隊の主力戦闘機だ。太平洋に調査に出動した部隊が怪獣出現の報告を受けて直通で海鳴市に駆け付けたのだ。ガッツイーグルは分離して機首の『α号』、主翼の『β号』、尾翼と砲塔の『γ号』と三機の戦闘機となり、ギーストロンを攻撃していく。
『デュアッ………』
ゆっくりと起き上がるゼロは再びエネルギーを充填、今度こそ強力な一撃を放とうとするのだが集結されたエネルギーはまたもや消失してしまい、不発に終わってしまうとカラータイマーの点滅速度が速まる。その間、ウルトラ警備隊を相手にするギーストロンも攻撃手段である角を失っている事から劣勢となっていた。先ほどまで相手にしていたマットアロー部隊とは比べ物にならない力量を感じていた。
「ギャオォォォォォン!!!!!!」
ギーストロンはカッター光線を地面に向けて発射、爆発により砂塵が舞い上がり、一瞬だけ姿を消すと、砂煙が晴れた所にはギーストロンの姿はなく、掘り返された跡だけが地面に残っていた。
『グッ………ヴッ………』
ふらつくゼロ、俯くと徐々に透けていき、最終的には完全にその場から姿を消してしまった。
「ゼロ………どうしちゃったのかな?」
美由希の記憶に残るゼロと今のゼロの動きが全然違う、いや、動きは一緒だがまるで久しぶりに戦っているかのようなブランクがあるような雰囲気を感じていた。
「…………」
ムジナは空を見ていた。その夕焼けの空をガッツイーグルが巡回しているのが見えた。
「久しぶり過ぎて動きが鈍っちまったか………」
戦いの中心地では崩れたビルの破片や瓦礫により道路は歩きにくくなっていた。その歩きにくい道路を疲弊した零夢が足を引きずるようにして歩いていた。
「角を折るのに精一杯だなんて………俺も落ちたな………」
渇いた笑いを浮かべる零夢。悔しさよりも情けなさが勝ってしまっていた。壁に左腕を付けて体を支える零夢は横を向き、腕に填められた御神体……いや、ウルティメイトブレスレットを見る。そう、零夢こそがウルトラマンゼロ本人だったのだ。
「闇の書事件の時はまだ戦えてたのに………くそっ」
9年前の冬の事件の際は一瞬だけ記憶を取り戻し、ブランクなどがない現役の戦い方ができていた、それなのに今回は違う。長寿のウルトラマンにとって十年なんてあっという間でブランクにもならないはずだが、人間として暮らしてきた零夢にとっては長く感じられたが、それ以外にも理由がある気がしていた。
「ギーストロンはまた戻ってくる………」
ウルトラマンとしての直感が訴えていた。ギーストロンはまだこの海鳴市の地下深くに居ると。そこで再生するのを待っていると。
「次こそは倒さないと………けど、できるのか俺に?」
撤退させるのに精一杯だった、そんな状態で次に戦う時に勝てるのだろうか?自問自答する零夢。その答えはほとんどがマイナスな結果が多かった。
「昔だったらこんなネガティブに考えなかったのに………やっぱり姉ちゃんの事か」
他の理由が何かも自分でも解っていた。思い出すのは病院のベッドの上に横になる姉の姿。様々な医療器具に繋がれ、治療を受ける姿は痛々しく、見ていられないものだった。だが、それでもなのはは笑顔を絶やさなかったが、零夢はいつしかその笑顔と向き合う事ができなくなっていた。
「姉ちゃんは前に進めてるってのに俺は………くそっくそっ」
拳を壁に打ち付ける零夢。その拳は次第に赤くなり、血が出てきてしまいそうだったが、その拳を掌により受け止められた。温かさを感じ、そして懐かしさも感じるその掌の感触に零夢は驚き、再び横を見ると薬指に金色の指輪が嵌められた左手が自分の赤くなった拳を包み込んでいた。
「その拳は誰のための物だ?その身は何のためにある物だ?」
その問いに何も答えられなかった。もちろん答えは解っている、解っているが今の自分が口にできる答えではなかった。
「誰かを守れるはずの拳も、誰かを救いに行ける体も、全部忘れてたら意味がないんだよ………俺はこの拳で何も守れなかった、一番大切な人を………この体はその人の下に行けなかった………そんな俺が守るなんて言える分けねーだろ!」
高ぶる感情を抑えきれず、振り向く零夢。その後ろに立っていたのは笠を被る法師の男性。左手の薬指の金色の指輪には獅子の顔が彫られており、赤い宝石が埋め込まれていた。
「近くに居たんなら出てきてくれよ! 知ってたんなら教えてくれよ! いつもみたいに厳しいこと言ってくれよ! 今の俺なんて情けなくてアンタから見たら不甲斐なさすぎだろ!?」
思いの淵を叫ぶ零夢。男性は零夢を真っ直ぐと見つめる。
「そうだな。確かに不甲斐ないな、だが、それを責める事などできんさ、今のお前は昔の俺と同じだからな」
「えっ?」
見上げる零夢。男性はきっと厳しい顔付きをしていると思っていた、だが違った、目の前の男性は穏やかそうだが、少し後悔がある寂しい笑顔を浮かべていた。
「故郷を失い、弟と生き別れてしまった俺は常に思ったさ、なぜあの時、弟を救えなかったのか?なぜ弟と離ればなれになってしまったのか?と、それは再会してからもだ、アイツが受けた仕打ちを知った時は更に思ったさ」
「アンタでもそんな事を思うなんて」
「ああ、アイツの鎖を見る度にあの時の気持ちになってしまう」
自分がなのはの笑顔を見る度に感じていたものと同じだった。目の前の自分の
「師匠、もう一度、俺に稽古を付けてくれないか?」
「その前にお前には話さないとならない相手が居るだろう?お前に必要なのは稽古や特訓よりも今の家族との会話だ」
師匠はその懇願を拒否し、別の道を示した。零夢はきょとんとなると師匠の後ろから出てくる人影が見えた。この15年間、自分の父親となってくれた男性だ。
「親父……」
ゆっくりと近付く士郎。師匠は零夢の拳を離すと一歩引く。
「すみませんおおとりさん、僕だと少し遠慮してしまうと思いまして」
「これも師の務めだ、気にする事はないさ」
零夢の、ウルトラマンゼロの師匠と士郎は知り合いのようだった。今朝出掛けた理由の相手が彼だとすぐに解った。
「君には苦労を掛ける」
「僕が望みましたから。彼を息子として引き取る事を決めたあの日から」
「そうか」
零夢の師匠『おおとりゲン』は背を向け、その場を離れ始める。
「親子の時間を邪魔するわけにはいかないからな。頃合いを見計らってまた来る」
彼も積もる話があるはず、だが、ここは士郎に譲った。
「さて、ここで話すのも場違いだからね、あそこに行こうか?」
「あそこ、だよな」
どこに行くか解っている零夢は士郎の後を付いていった。
ウルトラ警備隊の装備もバージョンアップしているのでウルトラホークからガッツイーグルに……科特隊はガンフェニックスかな?と言った感じです。そこまでいけるかビミョーですが……できるとこまではと気負わないようにしたいな……では次回もよろしくお願いします。