ウルトラマンゼローザ・リリカルユニバースー   作:日々野未来

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 時間が過ぎましたので旧5話は削除しました。この回以内前書きもそれに伴って直しました。


Record.05『リ・スタート』

 ウルトラマンゼロとしての記憶を取り戻した零夢は変身してギーストロンと戦い、ウルトラ警備隊の援護もあり撤退をさせる事に成功する。だが、自信がなく、さ迷う零夢の前に師匠であるおおとりゲンが現れ、自身が抱えた弟への思いを話し。そして零夢は今の父親である士郎と共にある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 ここは海鳴海浜公園。ここで零夢はなのはに見付けて貰い、高町家の次男となる事になった場所でもあり、9年前に一度記憶を取り戻し、闇の書事件に参戦した時に居た場所でもある。そして………

「帰ってきてから来てなかったなここも」

「懐かしいだろ?」

 ここでの思い出は掛け替えのないものだ。来づらい気持ちもあったがやはり来ると懐かしく、安らぐ気持ちにもなる。

「9年前、俺ははやて姉のお見舞いに病院に向かってた。その時に結界に巻き込まれて何がなんだか解らない俺は避難場所であるこの公園に逃げてきた」

「そして、その中で起きたなのは達やガイ君達の戦いを見て自分がウルトラマンゼロである事を思い出した」

「ああ、その後にハイパーゼットンの、ウルティムスの暴走で結界は消滅。その戦いを見守っていた所にアンタが、士郎さんが俺にブレスレットを届けに来た」

「随分と他人行儀だな。15年も君の父親をやっていたのに」

 その言葉に対して零夢は「悪い」と一言返した。全てを思い出してしまったが故に遠慮がちなってしまっていた。

「全部知ってたんだよな?俺がM78星雲から来たウルトラマンゼロだってことは?」

「ああ、君の事を見守りに来ていた人達が居たからね。おおとりさんもそうだし、モロボシさんも」

「来てるなら出てこいっての………まったく」

 師匠達の姿勢に少し呆れてしまう。

「それと、君があの青い髪のお兄ちゃんだという事もね」

「だよな、知ってれば気付くよな」

 そう、零夢こそがなのはが幼い時に遊んでくれた青い髪のお兄ちゃんだった。それに士郎が気付けたのは零夢の正体を知り、そして、自身の意識を目覚めさせてくれた張本人である事を知っていたためだ。

「君に言われた事はよく覚えてるよ、なのはに寂しい思いをさせないでくれ、なのはの気持ちを聞いてあげてくれとかね」

「偉そうなこと言ってるよな、俺も全然なのに」

「そうでもないさ、その時は本当に僕達家族は救われたんだ、感謝してる」

 深々と頭を下げる士郎に零夢は止める。

「止してくれよ、息子にそんな頭下げる必要ねーだろ?」

「そしたらお互い様だな」

 頭を上げる士郎は笑みを溢していた。

「誰かに俺の事は?」

「話してはないさ、母さんは感付いてるみたいだが」

「やっぱりな、お袋そういうとこあるから」

 今回の一件が済んだら家族に真実を話そうと考える零夢。思い出したからには話さない訳にはいかない。

「…………零夢はやはりあの日の事を引きずっているのか?」

 本題に入るとゆっくりと頷く零夢は柵を背に付けて空を見上げる。夜を迎え星々が輝き始めていた。

 

 

 

 

 

 7年前の冬の日、寝落ちた俺が次に姉ちゃんと出会ったのは管理局の病院のベッドの上だった。姉ちゃんは目を覚まさないでいろんな機械やチューブに繋がれていて、その姿を見た時に俺は後悔した。なんであんな辛そうな笑顔をしてる姉ちゃんを引き留める事ができなかったのかって。

 

 

 

 

 

 それから、姉ちゃんはリハビリをこなして退院した。だけどあの日以来、あの辛そうな時の笑顔が頭から離れなくなってしまった。それから俺は姉ちゃんの笑顔から目を背けるようになっていた。

 

 

 

 

 

「あの時、姉ちゃんを止めれる所に居たのは俺だった。俺がやらないといけないことだったのにできなかった」

「仕方ないさ、僕達もなのはの抱え込む癖を忘れていたんだ。乗り越えていたと勘違いしてね」

「ああ、辛いのに誰かを心配させないようにするのに笑顔を見せるあの癖、今思えば最初に会った時と同じだったんだよな、だから違和感を感じて止めようとしてた」

「そうかもしれないね」

 自分の行動を過去の記憶を踏まえて思い返してみれば納得ができる。

「零夢は今でもなのははあの事件の事を乗り越えたと思ってるかい?」

「あんなキツいリハビリを乗り越えたんだからそうだろ?」

 一時は歩けなくなるほどの大怪我だった。そんな怪我を負うもなのははリハビリを耐え抜き、回復、日常生活はもちろん、魔導師としても復活を遂げている。

「なのはには口止めされていたけど………なのはもあの時の事で零夢の事を気にしてるよ」

「えっ……」

 どうやら考えてもみなかったようだ、まさか自分と同じようになのはも自分の事に対して思いがある事を。

「少し話してみたらどうだい?今ならすぐに会いにいけるだろ?」

 士郎の視線の先には左腕のウルティメイトブレスレットが有り、零夢はそれを見るが不安そうだった。

「会っていいのかな?俺が姉ちゃんに」

「当たり前だろ?君……いや、お前は僕の息子でなのはの弟。家族が家族と会っちゃいけないわけがないだろ?」

 士郎は零夢の頭を撫でた、わしわしと力強くも優しく。

「………親父って奴はなんでこうも似たような撫で方するんだよ」

「それが役割なのかもしれないな」

 柵から離れ、しっかりと立つ零夢。その顔付きは少し変わったように見える。

「だけど今じゃない、今はやるべき事がある」

 再び揺れる海鳴市。ギーストロンが地底深くで活動しているのだと解る揺れだ。

「絶対に守って見せる、この街を、俺の故郷を」

 かつての仕事柄、士郎は零夢の顔付きや目に見覚えがあった。今、目の前に居るのは戦士だと。

「そしたら何事にもウォーミングアップは大事だな」

「ああ、勘を取り戻さねーとな」

 ストレッチをして体を解していく零夢は士郎と向き合う。

「だから親父、ちょっと相手してくれね?」

「僕でいいのか?せっかくおおとりさんが居るのに」

「親父がいいんだ、親父とちゃんと稽古したいなってよく思ってたしさ」

「子供に期待されて頼られては応えない訳にはいかないな。よし解った、僕も本気でいかないとな、何せウルトラマンを相手にするんだから」

「ああ! 頼むぜ!」

 握り拳を作る零夢。あの自分を傷付けていた時とは違いその拳からは気合いが感じられた。

「これもまた親子なのだな」

 離れた所からそのやり取りを見守るゲンは畳まれた胴着を取り出した。その胴着は年季が入っており、洗っても落ちなさそうに汚れもあるがその一つ一つは掛け替えのない物だった。

「ゼロ」

 零夢をウルトラマンとしての名で呼び掛けるゲン。振り向くとその胴着を零夢に投げ渡した。

「まさかこれって」

「俺がかつて使い、そしてメビウスも使った胴着だ。使え」

 自分の師が利用した物だ、そんな汚れでいちいち嫌がる訳がない。

「使わせて貰うぜ、レオ師匠」

「本当にいい家族を持ったな」

 微笑むゲン、零夢は自信たっぷりと笑顔を見せると士郎のポケットから携帯が鳴り、それに出る。

「もしもし?母さんか、無事かい?」

 それは桃子からの電話だった。それが来るという事は出掛けていた母が無事だったという事、それにとても喜んだ。

「展望台の避難所に移動した?そこで美由希達と?それは良かった」

 同時にもう一人の姉の安否まで確認でき、ホッと胸を撫で下ろす。

「僕は零夢と一緒だ。別の避難所で合流できたんだ、ああ、無事だよ」

 士郎は零夢に携帯を渡した。

「もしもしお袋?」

「もしもし零夢?大丈夫?怪我してない?」

「それは俺の台詞だよ、臨海町の方で出現しててユキ姉も心配してたんだからな?」

「それは私の方だよ! はぐれた時は本当に心配したんだから!」

 すると美由希の声が聞こえてきた。桃子から無理やり奪ったんだなと想像ができて苦笑してしまった。

「悪い悪い、けど俺は親父と一緒だから心配ないよ」

「本当に良かった、本当に」

 安心する美由希。電話越しからでも解る安堵の雰囲気、本当に心配させてしまったのだと申し訳なさでいっぱいになる。

「美由希変わって……もしもし零夢?士郎さんと一緒なら安心できるけど、危ない事とかしようとしてないよね?」

 それには言葉が詰まってしまった、なんて答えようかと。

「大丈夫って言いたいけどさ、だけど、誰かがやらないといけないんだ、それが俺なんだ」

「…………そう、ちゃんと帰ってくるのよ?クリスマスプレゼント、買ってあるから」

「ありがとう、お袋」

 そこで会話を終えると携帯を士郎に返し、しばらく会話をしてから通話を切った。

「よし行こうか」

「ああ」

 零夢達は移動した、稽古が付けられる場所へと。

 

 

 

 

 

「零夢」

 展望台の避難所で桃子は息子と話していた携帯をギュッと抱き締めるように握る。

「またレイちゃんお父さんと一緒なんだ」

 9年前の事を思い出す美由希。ゼロが現れているため尚更だ。

「弟君無事だった?」

 そこで一緒に避難していたムジナに話し掛けられた。

「うん! まったくもう、なのはが知ったら怒るだろうし、泣いちゃうかもしれなかったよもう」

 少し落ち着いたらしく、妹の気遣いもしていた。

「そっか」

 その一言を漏らすムジナ。

「いた! おーい!」

 すると男性の声が聞こえ、振り向くとグレーの制服を着る空色の髪を持ち、前髪が右目に掛かり、後ろ髪の毛先が左右に跳ねた青年が駆け寄ってきた。

「アオ……!」

「アオさん!」

 彼こそがウルトラ警備隊の隊員であり、美由希達の兄の同級生『新条青羽』だった。

「青羽君、久しぶりね」

「キョウのお母さん、お久しぶりです」

 一礼する青羽。美由希とも軽く会釈するとムジナと向き合う。

「良かった。心配したんだ、ここに怪獣が出たって聞いた時は本当に」

「えっ」

 少し驚いた顔をするムジナ。自分の事を心配しているとは思ってもなかったようだ。

「なんでアオが心配してるの?私とあなたはただの同居人で………関係も大したものじゃ」

「それでもダメなのかい?心配しちゃ」

 逆にきょとんとする青羽。過去にいろいろあったらしく自暴自棄な所がある事を知るムジナ、それで関係を持ってしまっていた。それだけのはずなのになぜ彼が自分を心配してくれるのか解らなかった。

「誰も居ない家に帰るのってやっぱり寂しいからね。ムジナが居てくれると安心できるんだよ」

「そう、なの」

 戸惑いつつも言葉を返していくムジナだがもう否定するような事は言えなかった。

「そろそろ僕は行くね。これから会議があるんだ」

「会議………もしかして私達ここから」

「はい、次期に正式な発令がありますが海鳴市から完全避難になります」

 その話から察した、ここはまた戦場になると。

「今日中にまた発令されますのでキョウのお母さんも美由希も気を付けて。後、ムジナの事、お願いします」

「任せてアオさん」

「ええ、青羽君も無理しないでね」

「はい、じゃあまたねムジナ。落ち着いたら連絡するから」

 青羽はその場から去っていった。もしかしたらこれが最後の会話になるかもしれないとも考えられた、それを考えると胸が締め付けられるような思いとなるムジナ。

「ガウマ、アンタもそういう気持ちになったから私達の事を裏切ったの?」

 小さく呟くムジナは再び空を見上げていると一筋の光が流れていくのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 場所が変わり高町邸の道場にて、士郎も剣道用の道着に着替えて零夢の稽古を付けていた。

「おいおい、引退して一線退いてる癖になんて動きしてるんだよ」

 軽く息が上がっている零夢だが、歳などお構い無しに士郎は息を切らしておらず、木製の長刀と短刀を両手で握り、軽く振っていた。

「言っただろ?ウルトラマンを相手にするなら本気を出さないとってね」

 駆け出す士郎、一瞬にして間合いを詰めてくるが零夢は長刀の一振を躱し、短刀は腕で受け止めて弾く。

「姉ちゃんが姉ちゃんなら親父も親父かよ」

 とんでもない家族だと実感させられるが端から見れば零夢もそうだ、なんせウルトラマンなのだから。

「まだまだ行けるな?」

「当然!」

 回し蹴りを放つ零夢、士郎は後ろへ飛んで回避してまた駆け出してすぐにまた間合いを詰める。判断力と瞬発力も衰えてない自分の父親に驚きつつも応戦していく。

「ホント、なんでそんなに動けるんだよ?」

「守るべき家族が居るからね。ちゃんと守れるように鍛練は怠ってないさ。もちろん、その家族にはお前も入っているよ零夢」

 守るために、どんな形であれ自分の日々の鍛練は家族を守るために使われている。零夢を次の戦いで死なないようにするためにと。

「一度切り上げようか?追い込み過ぎるのも悪いからね」

「そうだな」

 構えを解く二人。そこにゲンがお盆を持ち道場に入ってくる。

「台所を使わせて貰った」

「構いませんよ」

 お盆に乗せられていたのはお握りと卵焼き、更に味噌汁まで用意されていた。

「師匠、料理できるんだ」

「味はエース兄さんには負けるがな」

 床にゆっくりとお盆を置くと零夢と士郎は手を合わせてお握りを食べ始める。

「それでも美味いよ」

「そうか、それなら良かった」

 満足そうに笑顔を浮かべるゲン。

「そういえばなんで師匠と親父は会ってたんだ?」

 気になる疑問をここで解消しようと尋ねる零夢。ゲンと士郎は少し考え込んだ、その表情からして何か良くない事が起きているのが察する事ができた。

「…………セブン兄さんが行方不明になった」

 その内容に動揺を隠せなかった。『ウルトラセブン』はウルトラ兄弟の一員としてこの次元の地球を守ったウルトラ戦士の一人。そして、ウルトラマンゼロの実の父親でもある。

「親父が!?」

「この次元でだ。この次元で謎の時空波が観測され、セブン兄さんはその調査のために出動したんだ。そこで俺はお前の様子を見に来ていないか士郎君を訪ねた」

「もちろんモロボシさんはここに来ていた。まぁ零夢が帰ってくる前なんだが………お前の様子を聞いてから調査のために別の次元世界に向かったんだ」

 二人が出会った理由がとても重要だった。この次元にとっても、自分にとってもだ。

「親父と何話した?」

「旅の様子とか話してそれを聞いてから、よろしくと言ってからこの世界を出たよ。記憶が戻ってた場合の話もしてた、今の年齢が本来の精神年齢に近いから可能性は高いとね。それともしブレスレットを填めたら一気に記憶を取り戻すかもしれないともね」

 実の父親も様々な状況を予想して見守り、士郎に助言をしていたようだ。全てを忘れていたとしてもセブンは自分を思ってくれていた。

「そのブレスレットは絆の象徴だからな。お前が築き上げてきた絆はお前の記憶でもある。それを装着する事で」

「本来の記憶が流れ込むってか………まるでパソコンに刺さったUSBか何かだな」

 苦笑してしまう零夢だがそれが一番解りやすい例えだった。

「それと力を欲した事で引き寄せられたのかもしれないな、今、それが必要だと本能的に感じ」

「なるほどな」

 一言呟き、ブレスレットを見ると自然と微笑んでいた。このブレスレットには自分のウルトラマンとしての人生が詰まっている物だ、どんなに離れていても繋がっていると感じられて胸が暖かくなっていた。

「………姉ちゃんとも繋がっているのかな?」

「当たり前だろ?もちろん僕達もな」

 肩を叩く士郎。横を向くと頷き返され、ウルトラマンとしてだけではない、高町零夢としての繋がりもしっかりとあると感じられた。

「よし、腹ごしらえもした事だし、しばらくしたらまた再開しよう」

「おう」

 

 

 

 

 

 その日、海鳴市に再び避難が発令された。海鳴市民の人々は市内の避難所から市外への避難を余儀なくされ、不安と恐怖の一日は海鳴市を出る事で終わるのだった。

 

 

 

 

 

 朝を迎える市民が居なくなった海鳴市。その市内の道路や歩道は仰々しかった。歩道にはライフルやバズーカを装備したTDFの陸上部隊の隊員達や複数の戦車が配置に着いていた。その戦車の中には砲身の先がパラボラアンテナとなった戦車が混じっており、走行のためのキャタピラも左右に二つずつ取り付けられていた。これはTDFの対怪獣用に開発された『EMC(Electromagnetic Material Collapser)』だ。EMCや戦車が走行する度に揺れるが時おり地震のような大きな揺れも起きる。

「マットアロー編隊だ………」

 地上部隊の隊員の一人が空を飛ぶマットアローを見ていると一機の赤い機首の戦闘機が通過するのが見えた。

「αスペリオル!」

 左右のカナード翼にはビーム砲が取り付けられており、尾翼は主翼に立てられていた。そして下部には赤い機首のカバーに覆われたγ号並みの大型ビーム砲が搭載されており、名前が酷似しているα号とは火力が違う事を物語っていた。ウルトラ警備隊の主力戦闘機『αスペリオル』だ。α号の代わりにガッツイーグルとして合体ができ、α号と合体するよりも火力が底上げされている。市街地戦闘を考慮しているためビームの命中率も高く、エース機としての活躍を見せる。

「どうだ青羽?αスペリオルの調子は?」

「とても良好です。嵐隊長」

 αスペリオルに搭乗しているのは青羽だった。白いヘルメットを被る青羽。操縦桿を右に傾けると機体はそれに応えて右に傾いて旋回をする。取り付けられたモニターには同じようにウルトラ警備隊のヘルメットを被る頬に傷を持つ四十代後半の男性が映っていた。現・ウルトラ警備隊の隊長である『嵐一郎』だ。TDF陸上部隊出身の歩兵であり、様々な兵器を扱う事に長けている。ギャラクシークライシス時の戦闘も経験しており、その際の遊撃部隊のリーダーも務め上げた事もあった。

「ならいい。本当は俺が乗りたいが………今回は譲る」

 αスペリオルの隣にガッツイーグルが並ぶ。嵐はβ号の操縦席に座っており、後ろの席にはインカムを耳に付けた女性隊員が座っている。

「隊長、前に出過ぎると指揮が乱れるって何回言えば解るんですか?」

「そうは言うけどオペ子ちゃん」

「私の名前は尾部令子です」

「だってオペレーターの尾部令子ちゃんでしょ?名前も似てるし」

「隊長、それモラハラです」

「あだ名、ダメ?最近の部隊は下の名前かあだ名で呼び合ってるみたいだし」

 うるうるした目を見せる50手前のおじさん。オペレーター『尾部令子』は深く溜め息を吐いた。

「解りました、解りましたからそのキモい目で見ないで下さい」

「いや、それもモラハラ……」

 逆に傷付く嵐隊長。

(本当にギャラクシークライシスの時に活躍した英雄・ストーム1なのかこのオッサンは)

 そのコードネームは有名で、誰もが知る名前だが本名まで知る者は僅かで。本名とコードネームが結び付くがその英雄的な功績とは結び付きにくい性格が故に勘違いと済まされる場合がほとんど。

「ま、まぁいい。オペ子ちゃん、地底の熱源反応は?」

「はい、未だに健在。地上部隊も揺れを感じているとの報告が入っています。モニターにスキャン映像を出します」

 令子は自分が見ているモニターの映像を各機体の隊員達と共有する。その映像は特殊カメラによって地底の様子が映し出されており、それにギーストロンの姿もあった。その頭の角は再生しており、体の傷も癒えている様子だった。

「角まで復活させちゃって、いつでも出てくる気満々って所か」

「せっかくウルトラマンが角まで折ってくれたのに」

 悔しがる青羽。このまま逃げてくれればこの海鳴市を戦場にしなくても済むとも思えた。自分の故郷だ、そう思うなと言う方が無理な話だ。

「ウルトラマンゼロ………ギャラクシークライシスの時に地球外の次元世界で活躍した伝説の勇者。また現れますかね?」

 不安そうな令子。ギーストロンの危険性は認識している、地球を滅ぼせる力を持つのだから無理もない。

「さぁな。まぁウルトラマンって奴は無理してでも出てきちまうお人好しだからな」

「嵐隊長はウルトラマンと一緒に戦った事があるんですよね?」

「そりゃな、ウルトラ兄弟とは何度もな。それにもう一人、俺と同じ名前を持つウルトラマンともな」

 懐かしそうに語る嵐隊長。ギャラクシークライシスは戦乱の時代だが若かりし頃の思い出でもある。その時代があったからこそ自分はウルトラ警備隊の隊長に就いているのだから。

「嵐隊長の思い入れのウルトラマンですか」

「ああ、誰かしら一人は居るからな。俺の世代なら尚更だ」

 その時、警報が鳴り響いた。地底のギーストロンが姿を消していたのだ。

「地底のギーストロン! 浮上を始めました!」

「来るぞ! 各部隊戦闘準備! 作戦内容は解ってるよな!?」

「地上に出現したギーストロンを海岸へ誘導。市街地への被害を最小限に抑えつつそれを撃破。相変わらず無茶な作戦ですね」

「俺達の仕事は倒すだけじゃないからな!」

「来ます!」

 アスファルトが爆発したかのように吹き飛び、砂塵が舞い上がる。土や瓦礫が飛び散る中、地底からギーストロンが姿を現した。

「各部隊! 攻撃開始!」

 始めにマットアロー編隊がミサイル攻撃を行い、無数の弾頭がギーストロンに直撃し、爆発していく。続いて戦車隊が砲撃を開始、何発かは外れてしまうが多くの砲弾は命中していく。

「EMC照射!」

 今度は青白く光るプラズマ光線がパラボラアンテナ型のビーム砲から発射される。それを浴びるギーストロンはミサイルや砲弾を受けた時よりも苦しそうな鳴き声を上げ、後退を始める。

「さすが一台一億ドルのEMCだぜ!」

 その効果に喜ぶ地上部隊の隊員達。

「その喜び方フラグ」

 嵐隊長は嫌な予感がしていた。このような場面は何度も経験していた。

「嵐隊長、俺達も」

「ああ、そうだな。分離してフォーメーション4で攻撃! EMCのフォローをするんだ!」

 そこでガッツイーグルは分離、各機体は攻撃を開始する。前回、自分を撤退に追い込んだ機体がある事と、見覚えがない機体がある事に気付いたギーストロンはウルトラ警備隊に対してレーザー光線を放つ。ガッツイーグルは散開してそれを回避する。

「青羽は絶対にスペリオルを落とすなよ」

「もちろん。これでも小隊を持っていたんですから簡単に落とされませんよ」

「期待してるぜ」

 総攻撃を行う地上部隊。戦車の砲弾やEMCのプラズマ光線、そしてガッツイーグルのビームが飛び交う。だが、ギーストロンもやられてるだけではない。角からレーザー光線を発射して地上部隊を焼き払い、マットアローも何機か撃墜していく。中にはEMCも被害を受けているため戦力のダウンが懸念された。

「こっちだ!」

 αスペリオルがビームを発射しながらギーストロンに接近。ギーストロンは叩き落とそうとするが腕は空を切り、αスペリオルはすぐに通り過ぎてしまう。

「だから絶対に落とすなって言ってるんだけどなぁ」

 呆れる嵐隊長だが顔は笑っている。その操縦技術の高さは見る物がある、だからウルトラ警備隊というエリート部隊に配属されたのだ。

「ストーム1の力、見せないとな!」

 β号も先行して主翼のキャノンからビームを発射して至近距離で直撃させていく。

「だから隊長も前に出たらダメですから! β号が落ちたらイーグルに再合体できなくなってしまいますからね!?」

「落とされなきゃいい!」

「そんな脳筋な~!」

 嵐隊長の操縦もまるで暴風のように過激で、令子の目が回りそうだった。青羽のテクニックを見てしまい熱くなった様子だ。青羽もその操縦を見て込み上げてくるものがあった。

「アレがストーム1の実力………スゲー」

 いつもは指揮に集中しているため見る機会がなかった。だが、こうして間近で見ると圧倒されてしまう。その時だ、ギーストロンの角にエネルギーが集結し、巨大の光の刃となった。

「不味い! 全機退避!」

 危険を感じた嵐隊長は退避命令を出すとガッツイーグルとαスペリオルはすぐに離れられたがマットアロー編隊はギーストロンが激しく頭を振り回した事により刃に巻き込まれほとんどが撃墜されてしまった。

「アレじゃ近付けない!」

 再び進行をするギーストロン。マットアロー編隊が壊滅状態となったため攻撃が緩んでしまい、EMCの光線や砲弾をもろともせず進んでいく。このままでは部隊の全滅が懸念された。

 

 

 

 

 

「行くのかい?」

「ああ」

 爆音が轟く中、高町邸にはまだ零夢と士郎、そしてゲンは残っていた。ギリギリまで稽古をしていたのだ。

「師匠、親父の事を頼む、安全な場所まで避難させてくれ」

「解った」

 ゲンに士郎の事を託すとウルティメイトブレスレットからゴーグル型の変身アイテム『ウルトラゼロアイ』を取り出した。

「零夢、行ってらっしゃい」

 士郎は零夢にその一言を呼び掛ける。

「行ってきます!」

 力強く返事をすると零夢は駆け出し、ギーストロンの方へと向かっていき、ウルトラゼロアイを着眼した。

「デュワッ!」

 端のグレーのスイッチを押すとレンズから光の粒子が回転しながら放たれると弾け飛び、零夢を包み込んだ。その中で零夢は頭からどんどん姿を変えていき、周りをゼロスラッガーが赤と青の軌跡を残しながら乱舞し、姿を変えた零夢の頭に装着される。そして、両腕を広げ、肘を曲げ、拳を上に向けたポーズを取ると巨大化していく。端から見るとそれは光の柱が立っているようだった。

「ギャオォォォォォン!!!!!!」

 それを見たギーストロンは敵意を込めた咆哮を上げる。それが自分に痛手を与えた憎き相手だとすぐに解ったからだ。

「来てくれたかウルトラマン」

「綺麗」

 嵐隊長は彼の登場に喜びを感じ、令子はその光に見惚れていた。光が消えるとウルトラマンゼロの姿があり、ゆっくりと腕を降ろす。

『…………俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ!』

 ここから始める、再び、リスタートする、その意味を込めてゼロは名乗り上げた。もちろん、TDFやウルトラ警備隊の隊員達には言葉は通じていないし、ギーストロンも解っていない。だが、この名乗りは自分にとっては大きな意味があるため必要だった。

 

 

 

 

 

「ウルトラマンだ! ウルトラマンだよお母さん!」

 海鳴市外の避難所では。戦闘の様子が中継されており、ウルトラマンゼロが現れた事が確認できた。それに一番先に喜んだのは零夢が保護した女の子だ。女の子は無事に親と合流ができ、一緒の避難所に居たのだ。

「頑張れウルトラマン!」

「怪獣を倒してウルトラマン!」

 テレビの前で子供だけではなく大人達もウルトラマンに街の事を託し、応援を始めていた。

「零夢」

 ゼロを見て桃子は息子の名前を呟いていた。他の人々のように素直に応援する気にはなれないでいた。理由は解っていた、このテレビに映るウルトラマンが零夢である事に気付いていたからだ。

「無事に私達の所に帰ってきてね、零夢」

 戦い始めるゼロ。もう止められない運命に桃子は無事を祈るしかなかった。

 

 

 

 

 

 駆け出したゼロはウルトラゼロキックを炸裂し、ギーストロンの腹に叩き込む。それにより後退りするギーストロンは反撃しようとするもナックルを顔面に喰らい怯み、今度は顎をアッパーで打ち上げられてしまう。

『オラァァァァァア!』

 今度は回し蹴りを打ち込まれ、よろめくギーストロンに再びウルトラゼロキックを放ち、大きく吹き飛ばす。

 起き上がるギーストロン、歩き出そうとしていたがゼロはそれに掴み掛かり、その進行を阻止する。

『この先は通行止めだぜ!』

 足を踏ん張らせ、ゆっくりと、だが、力強く歩き、ギーストロンを押し出していくゼロ。ギーストロンを被害が少ない海岸へと運び出そうとしていた。ギーストロンもそれに気付き抵抗、振り払われてしまうがすぐに起き上がったゼロはその尻尾を掴むが振り回されてしまう。

『だったら!』

 ウルティメイトブレスレットのクリスタルが赤く輝いた、その輝きは体全体に行き渡り、赤と青のツートンカラーは赤と銀のツートンカラーへと変わり、銀のラインは金色へと変化、ゼロスラッガーとカラータイマーの縁も金色となり、力強い印象を付ける姿へと変化した。

『ストロングコロナゼロ!』

 ウルトラマンダイナ、コスモスの力を受け継いだ事により得た強化形態。ストロングタイプとコロナモードのパワーを持つ『ストロングコロナゼロ』へとタイプチェンジをするとゼロの腕力と握力が一気に上がり、勢いよく引っ張るとギーストロンを宙に浮かせ、一本背負いを決めるかのように両腕を反対方向に振り下ろすとギーストロンは背中から地面に叩き付けられた。

『ダイナ、コスモス、また使わせて貰うぜ………この街を守った二人の力を!』

 ダイナとコスモスは闇の書事件でこの街で戦ったウルトラマン。二人の力が込められたストロングコロナで戦うのは感情深いが今は感傷に浸る時間ではない。立ち上がったギーストロンの懐に飛び込み、インファイトを仕掛ける。

『オラァァァァァア!!』

 数発のパンチを打ち込むゼロ。続けて炎のアッパーを炸裂してギーストロンの顎を打ち上げると右手の拳に炎のエネルギーが集結する。

『ガァァァルネイトォォォ……バスッタァァァァァァーッ!!!!!!』

 その拳をギーストロンの胸部に打ち付けた瞬間、エネルギーは一気に解放され、拳から放たれた超高熱光線によりギーストロンは吹き飛ばされるも踏ん張り、耐え抜こうとする。

「EMC部隊! 前進して一斉照射! ウルトラマンに当てるなよ!」

 嵐隊長の指示によりEMC部隊は走行しながらギーストロンにプラズマ光線を浴びせていく。

「スパークボンバーとガイナーも喰らわしてやれ!」

 単独で火力が高いαスペリオルの機首のカバーが展開され大口径のビーム砲が露となり、γ号と同時にビームが発射される。それが決め手となりギーストロンは耐えきれず押し飛ばされ、背中から海へと倒れ、水飛沫が上がり、雨のように海鳴市に降り注ぎ、戦闘により発生していた火災は消火されていく。

 海中から起き上がるギーストロンは角にエネルギーを集結させる。そのレーザー光線でゼロ達を焼き払おうとしていた。

『くっ!』

 両手を広げると巨大なカーテン状のバリアを展開。放たれたレーザー光線をそれで受け止める。ゼロならば避けれたはず、だが、背中のTDFの部隊が犠牲となってしまう。だからゼロはバリアで防ぐ事を決めた。ギーストロンもそれを理解しているらしく、攻撃の手を緩める事はなくレーザー光線を照射し続ける、このままでは今度はゼロが力負けしてしまう。

「青羽! イーグルに合体! トルネードサンダーで奴の角を破壊するんだ!」

「了解!」

 αスペリオルを機首とし、β号とγ号は『ガッツイーグルスペリオル』に合体。横に滑るように飛ぶガッツイーグルスペリオルの機首はギーストロンに向けられていた。そのコックピットの中で青羽はディスプレイに映るギーストロンの角に照準を合わせる。

「トルネードサンダー、ファイヤ!!」

 操縦桿のトリガーを引くと三機のネオマキシマエネルギーが機首に集結し、強力な必殺光線・トルネードサンダーが発射される。トルネードサンダーは見事、ギーストロンの角を貫き、破壊に成功。ゼロはレーザー光線から解放された。

『サンキュー!』

 小指と親指を伸ばしたポーズをガッツイーグルスペリオルに向けるゼロ。言葉は解らずともお礼を言っている事には気付け、青羽も頷いていた。

 すると、再度、攻撃手段を失ったギーストロンは最後の抵抗と角ではなく自身の体全体を天変地異を引き起こす電磁波の発生源として使おうとしていた。これが成功すればギーストロン自身も持たないが、ここまで追い詰められてしまったなめ、躊躇っていなかった。それが影響して海は激しく荒れ始めていたがゼロは冷静だった。

『これでフィニッシュだ!』

 通常形態に戻るとゼロスラッガーが射出され、それを合体させて三日月型の剣・ゼロツインソードを生成すると駆け出す。その刃に緑色の光が纏い、強力な光エネルギーが込められる。

『プラズマスパークスラッシュ!!!!!!』

 すれ違いざまにゼロツインソードでギーストロンを一閃。ギーストロンの背後でゼロツインソードを振り下ろすと光が飛び散り、エネルギーは消えた。そして、切られたギーストロンはゆっくりと横に倒れ、大爆発を起こした。

『まだ影響が残っているか』

 倒されたがギーストロンが引き起こそうとした天変地異の影響がこの海に残されてしまっていた。それを収めるべくゼロはゼロスラッガーを頭に戻し、青い輝きを纏い、深い青と明るい青のツートンカラーの姿へと変わる。

『ルナミラクルゼロ』

 これもダイナとコスモスの力。超能力戦士『ルナミラクルゼロ』へとタイプチェンジするとゆっくりと宙に浮かび、両手を広げると掌からエネルギーを放出。そのエネルギーが海面に降り注ぐと次第に荒れていた海は穏やかとなっていく。超能力で自然をコントロールし、元の穏やかな姿に戻したのだ。

「荒れてた海がこんなに穏やかに………俺が知ってる海鳴の海だ」

 コックピットから穏やかとなった海を見て安堵する青羽。自分が知る故郷の海ほど安らぐものはないはずだ。

「ギーストロンの生体反応ロストしました嵐隊長」

「よーし、状況終了。作戦は成功だ」

 ウルトラマンゼロの勝利はTDF、ウルトラ警備隊の目的でもある。ギーストロンが倒された今、作戦は成功し、状況の終了が嵐隊長から言い渡された。

「よし!」

 ガッツポーズを取る青羽。β号の令子はゼロに見惚れていた。

「ゼロ様素敵」

「えっ」

 操縦席の嵐隊長は唖然としてしまう。当の本人は通常形態に戻ると振り向き、海鳴市の街を見る。ボロボロではあるがこのぐらいならすぐに復興するという安心感を抱くとゼロは大空へと飛び立つのだった。

 

 

 

 

 

 作戦が終了したが安全確認のため海鳴市の人々はまだ避難所に待機していた。

「見てお母さん! ウルトラマン!」

 美由希が飛び去るゼロを見掛けて桃子に伝える。他の人達も飛び去るゼロに手を振り、感謝の言葉を送っていた。

「零夢………頑張ったね」

 小さく呟く桃子。すると、その隣に士郎が立つ。

「士郎さん」

「気付いていたんだね」

「ええ。あの子の雰囲気と同じなんですもの」

 青空へと溶けるように消えていくゼロを見送る二人。

「あ! お父さん!」

 美由希が士郎に気付いた。

「すまないな、心配掛けて」

「ホントにもう! そういえばレイちゃんは!?」

 父親と一緒のはずの弟が居ない事に動揺してしまうが。

「おーい!」

 そこに声を出して大きく手を振って駆け寄ってくる零夢の姿が見えた。

「レイちゃん!」

「零夢!」

 美由希よりも先に桃子が動き、走ってくる零夢を抱き止めた。

「お袋?」

「お帰り、見てて心配したわ」

 自分の母親になってくれた女性は気付いてくれている。それを察した零夢は申し訳なくなってしまう。

「ごめん、危ない事はするなって言われてたのに」

「レイちゃん何かしたの!?」

 驚く美由希。どのタイミングで話すか迷うがこの温もりにもう少し包まれていたいと感じる零夢だった。




 前回、説明忘れましたが桃子さんと買い物していたリンディさんは管理局の局員としてTDFに協力しているため桃子さんとは別れて活動しています。エイミィに関してはアルフと一緒に子供達と避難しています。一応補足として。
 今回のはウルトラ警備隊の隊員達にも触れました。はい、嵐隊長とオペ子ちゃんのモデルは地球防衛軍です、はい。EMCなんてまんまですが(笑)やっぱりブレーザーの影響が強いですね今回のウルトラ警備隊対ギーストロンは。ですのでEDFのタグ、追加しておきます。
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