ウルトラマンゼローザ・リリカルユニバースー   作:日々野未来

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 今回は零夢の話は最初だけ。話のメインはウルトラ警備隊のある隊員と別の時空から迷い込んだ怪獣使いの話。自己解釈してる部分もありますので~よろしくお願いします。サブタイもそれっぽくしてみました。


Record.06『私達の関係って、なに?』

 ギーストロンとの戦いから数日後。海鳴市の完全避難は解除され、人々が戻っていた。かつての活気さは失われたかのように思われたが街の人々は復興のために街を盛り上げ、クリスマス、大晦日、お正月と前年よりも賑やかなものとなっていた。

 

 

 

 

 

 そして、三が日が過ぎた頃。記憶を取り戻した少年は再び旅立とうとしていた。

 

 

 

 

 

「荷物は持った?パスポートも持ってるわよね?」

「ああ、渡航手続きもちゃんとしてある」

 高町邸の玄関では零夢が再び旅に出ようとしていた。今回はちゃんと家族に見送られてだ。

「せっかく帰ってこれたのにもう行くのかよお前は」

 桃子と美由希だけではなく、ドイツに居るはずだった兄の恭也も見送りに加わっていた。ギーストロン出現の報せを受け、安否確認のために帰ってきたのだ。無論、すずかの姉の忍も一緒だ。

「悪いな兄貴。もうちょいゆっくりしてたいけどさ、何かヤバイ事が起こるかもしれない前兆があったんだ。知ってて放っておくわけにいかねーんだ」

 靴紐を縛りながら答える零夢。恭也や美由希にも自分がウルトラマンゼロである事は話した。最初は驚かれるも長年共に暮らしてきたのだ、すぐに二人も受け入れてくれた。

「それにさ、親父が、セブンが行方不明になっちまってるんだ。俺が探さない訳にはいかないだろ?」

「それもそうだな」

 微笑む恭也。靴紐が結び終わると立ち上がり、爪先を軽く地面に叩き、調整すると荷物を持つ。

「はい零夢、メガネ」

「ありがとうお袋」

 桃子から赤いフレームのメガネを渡され、青いテンプル(耳に掛ける部分)を開いて目に掛ける。

「ホントにレイちゃんって赤と青が似合うね」

「まぁ俺のカラーだからな」

 ニッと笑う零夢。

「それでまずはどこに行くんだ?」

「エルトリアに行こうと思う。久しぶりにテル姉ちゃん達にも会いたいし、親父探すのに協力して欲しいなって」

「またシュテルの所?レイちゃんはシュテルにはよく頼るのになんでなのはには頼らないのかな?」

 もう一人の姉にはよく頼るのだが、なのはに頼らず、それでなのはが焼き餅妬く事が多いのだ。それで何度いろいろ起きた事やらか。

「姉ちゃんは管理局の仕事で忙しいだろ?無闇に頼って困らす訳にはいかねーよ」

「ごもっとも」

 弟の正論には何も言い返せなかった。

「だけど姉ちゃんにも近々会いに行くよ」

「そうしてあげて。あの子も喜ぶから、青い髪のお兄ちゃん」

「その呼び方はよしてくれよお袋」

 フフッと笑う桃子。今度は零夢が手玉に取られてしまった。

「それじゃあ行ってくるな」

「行ってらっしゃい。ちゃんと連絡するのよ?」

「気を付けてねレイちゃん」

「帰ってきた時は手合わせを頼むよ」

「おう、行ってきます!」

 零夢は再び高町家から旅立った。

 

 

 

 

 

 そして、零夢は展望台に来ていた。

「ホントはえーな復興するの」

 街の景色を見る零夢。ギーストロンにより破壊されて滅茶苦茶となっていたが街の人達はそれに負けず季節の行事を行い、街を盛り上げていた。その強さに感心した、そして、自分はこの街で育ったのだと実感もした。

「来たね零夢」

 そこに士郎とゲンがやって来る。やはりあの場に居なかったのはゲンと会っていたからだ。

「親父、朝っぱらから早く出掛けすぎだよ。師匠も呼び出すなら昼間にしてくれよ、店の準備とかあるんだから」

「それはすまないな」

 無論、店の準備もしてから零夢は家を出ていた。士郎もゲンも申し訳ない気持ちとなる。

「準備はできたみたいだな」

「ああ。新品のメガネも掛けて気分も新鮮だぜ」

 クリスマスプレゼントのメガネを指でクイッと上げる零夢。かなり気に入った様子だ。

「エルトリアに行ったらグランツ博士達とシュテルによろしく伝えておいてくれ」

「解ってる」

「エルトリアか」

 何かあるらしく、意味ありげに呟くゲン。

「どうしたんだよ?」

「時空波が確認されたのは話したな?」

「まさか」

 それだけで察する零夢。

「その時空波が同盟世界エルトリアで確認され、セブン兄さんの調査対象でもあったんだ」

「もしかしたら親父がそこに?」

「それはないはずだ。エルトリアにはジードが向かった」

「ジードが!?」

 自分と親しいウルトラマンがこれから行こうとする世界に向かっていたとは思わず驚いてしまった。

「ああ、ジードだけではない、ゼットもこの時空で独自に調査をしている。ある程度したらジードと合流すると言ってはいたが」

「ゼット達も来てるのか」

 また一人親しいウルトラマンが居る。二人とも実力は申し分ないため何が起きても対応できるはずだと思えた。

「よし、アイツらが居るの解ったら尚更早く行かねーとな」

「言いたい事は母さん達が言っただろうが………気を付けるんだぞ零夢」

「もちろん、ちゃんと連絡するよ」

「よし」

 以前の旅の時は約束事として守らせて連絡させていたが今回は自分からしてくれる事に喜びを感じた。

「師匠、俺が居ない間はこの地球を頼む。そしてこの街も」

「任せろ。お前の大切な故郷、守ってみせるよ」

 ニッコリと笑うゲン。そして士郎の笑顔も見ると零夢は頷き、ウルティメイトブレスレットからウルトラゼロアイを取り出し、掛けていたメガネを外して代わりに着眼。そして、スイッチを押すと起動し、光に包まれてウルトラマンゼロの姿へと変わり、巨大化した。

『ゼアッ!』

 左腕を大きく回して肘を曲げるとブレスレットが光り、真の姿である翼のような白銀の鎧『ウルティメイトイージス』となり、体に装着され、右腕には白銀の剣『ウルティメイトゼロソード』が装備された『ウルティメイトゼロ』となる。これによりゼロは時空を越える事ができる。

『行ってくるぜ!』

 ゼロはワームホールを開き、その中へと飛び込むとこの地球(せかい)から旅立った。士郎とゲンはワームホールが閉じるまでその空を見上げていたのだった。

 

 

 

 

 

 ゼロが地球から旅立った頃。ウルトラ警備隊の隊員である新条青羽はα号で太平洋にパトロールに出ていた。

(僕達の関係か………)

 

 

 

 

 

ー私達の関係って、なに?ー

 

 

 

 

 

 ギーストロン撃滅作戦後にそんな言葉を言われ、頭に過っていた。青羽は作戦後、ムジナを迎えに避難所に向かった。彼女の後見人であり、同居人でもあるため迎えに行かなければならなかった。作戦前も会えた事に安堵し、作戦後はもっと安心していた。

(なんでいきなりそんな事言ったんだろう?今までそんな話とかした事なかったのに)

 どういう心変わりなのだろうかと不思議に思う青羽。自分達の関係は後見人と淫らな物しかなかったはずだと。後者に関しては最低な事を言ったこともあった。

(あの日、僕はいつものように飛んでいた。戦いがないパトロールでだ。その時にふと地上を見て水門の屋上に立つ彼女を見付けたんだ)

 

 

 

 

 

 思い出すは去年の夏。その時もα号でパトロールを行っていたが途中で近くの平地に着陸し、水門の屋上に登っていた。

「こんな所で何をしているんだい?」

 屋上に出るとそこには白い制服のような衣装を着るムジナの姿があった。

「何もしてない。ただこうしてるだけ」

 空を見上げるムジナ。まるで空が好きみたいに見えるがそうではないと青羽は感じていた。人が空を見るにはそれぞれ理由がある。空が好き、空に流れる雲が好きや、欲求にも関係してくる。鳥が飛んでいるのを見て自由だと感じたり、そのまま飛んでしまいたい等と。

「ねぇ。さっきの奴に乗ってたのってあなた?」

「うん」

「あなたは自由?」

 その問いに自由を求めている事を感じられた。

「自由ではないね、どんなに速く飛んでいても縛られてると思う」

「そうなの。やっぱり空を飛んでも自由って訳ではないのね」

「そうだね、だけどやってて楽しいね」

「楽しい?」

 その時、初めてムジナは青羽を見た。

「うん。空を飛ぶのは昔からの夢だったんだ。それができるのは楽しいし、嬉しかったはず」

「はず?」

 曖昧な言葉に首を傾げていた。

「今じゃ空を飛ぶ事に縛られてるかもしれない。飛んでれば会える、そんな気がしてね」

 座り込む青羽。空を見上げず流れる川を見つめていた。

「空には、天使がいるんだ。だけどそれを見た人は……もう二度と地上には降りてこない。それでもそれを見たい奴は空を飛ぶんだ」

「あなたはその天使に会いたいの?」

「会いたいというより取り返したい、かな?」

 

 

 

 

 

 それからムジナがこの次元の人間ではない事が判明。地球の出身だが生まれた年や知っている地域に誤差があるためこの次元ではない、並行世界の地球の人間である事が考えられ、彼女を帰還させる事ができないためこの世界での戸籍を作り、発見した青羽が保護して後見人となった。

 

 

 

 

 

(日常生活が送れるようにって事で指導してただけだったのに気付けば同居して、更には…………)

 考えれば考えるほど自分達の関係は中途半端な物だ。それでも帰れば共に過ごし、食事をし、昼間に何があったかを話し、そして夜には体を重ねてしまう。端から聞けば恋人同士なのだが青羽はそう思えなかった。

(僕にそんな資格はあるのだろうか?いや、ないはずだ………まだ彼女の事を追い続けてる僕に………)

 その時だ、警報が鳴り響いた。レーダーに巨大な熱源反応が映り、振り向くと黒い巨鳥が迫ってきているのが見えた。

「超音速怪獣ヘイレン………!」

 青羽はその怪獣を知っていた。マッハ10のスピードで空を戦闘機のように飛び回る怪鳥。『超音速怪獣ヘイレン』は戦闘機やジェット機のエンジン音を敵として認識してくる怪獣だ。α号のエンジン音を敵と認識して接近してきたのだろう。

「あの傷は!?」

 ヘイレンの左目に傷があるのが見えた。その事を確認すると青羽の思考が切り替わる。

「美夕を返せ……!」

 目付きも鋭い物となりトリガーを引いて指示も待たずにヘイレンに攻撃を始める青羽。

「おい青羽! 突然どうした!?」

 本部でα号が攻撃を行ったという信号を受け、嵐隊長が通信機で問い掛ける。

「超音速怪獣ヘイレンを発見! 三年前に現れた個体と同一と判断しました!」

「三年前………まさかお前!」

 嵐隊長が何か言おうとするも通信を切断し、ヘイレンに攻撃を加えていく。ヘイレンも自分を攻撃してきたため口から青い火炎弾を放ち攻撃するも青羽はそれを避けていく。

「お前だけは絶対に僕が!」

 熱くなる青羽。照準が合っていないにも関わらずビームを乱射していくが無論、命中はせず、避けられてしまう。そこに、ヘイレンが真横を横切るとその衝撃が襲い、コックピット内では計器から火花が噴き出し、機体は大きく吹き飛ばされてしまった。

「くそぉぉぉぉぉぉぉお!!」

 墜落するα号の中で青羽は見上げる。ヘイレンは翼を広げ上昇していき、雲の中へと消えてしまった。

「脱出できない!?」

 今の衝撃でシステムに異常が発生。脱出できなくなってしまった。操縦桿も動かないため機体の向きも変えられず、このまま海面に激突するのを待つだけだった。

(美夕………僕も天使に連れてかれるみたいだ………)

 諦める青羽、だったが機体に衝撃が走ると下を向いていたはずが上を向き始め、上昇をする。

「バカ野郎! 諦めるのが早すぎなんだよ!」

 怒声が響く、後ろを向くとβ号のコックピットが見えた。そう、β号と合体する事で墜落は阻止され、β号が推進力となる事により再び飛行を可能としたのだ。

「嵐隊長、なんで……!?」

「TDFは仲間を決して見捨てない! それだけだ!」

 更にγ号も合体する事で飛行が安定する。

「空中ドッキングなんて無茶苦茶な作戦しますね」

 β号には令子も乗っており、嵐隊長が決行した作戦は冷や汗物だった。

「昔は宇宙人に乗っ取られたウルトラホークのβ号をα号とγ号でドッキングさせた事もあったんだ、今のシステムで考えたらやりやすくなったもんさ」

 飛行するガッツイーグルは静岡県にある山岳地帯に到着。山肌がスライドしてカタパルトが露となる。ここがウルトラ警備隊の本部であり、TDF極東支部基地、日本の防衛の中心だ。

「さて青羽。戻ったら」

「覚悟はできてます」

 冷静となり、自分がした事を思い返せばどうなるか解っている。

「なら面倒だからここで言うぞ。勝手な行動と通信の無断切断、その他諸々で三日間の自宅謹慎だ。しっかり反省してこい」

「了解」

 反論する事なく謹慎を受け入れる青羽だった。

 

 

 

 

 

 海鳴市の翠屋では。テラス席を美由希とムジナが掃除をしていた。

「弟君、また旅立っちゃったの?」

「うん、もう忙しないんだから」

 零夢の話題となっていたが無論、ウルトラマンゼロである事は秘密だ。

「寂しくなるね」

「今回はそこまでかな?ちゃんと連絡してくれるって言ってくれたし。前はお父さんが約束させたから無理やりなとこあったんだけど」

 だから笑顔で送り出せた、必ず帰ってくると信じて。

「そっか」

 素っ気なく返すムジナだったが少し驚いた顔となる。

「アオ?」

「アオさん!」

 そこに青羽の姿が見えたのだ。

「あ、ムジナ、それに美由希」

 軽く挨拶をする青羽。

「仕事はどうしたの?」

「謹慎食らっちゃって、三日間自宅待機なんだ」

「アオさんが?何したの?」

「ちょっと命令違反をね」

 苦笑する青羽だがどこかぎこちなく感じた。すると店の中から懐かしい顔が出てくる。

「誰かと思ったらアオじゃないか」

「キョウ!?帰ってきたのか!」

 出てきたのは同級生の恭也だ。久しぶりの再会に喜ぶ二人ではあったがこれでも謹慎中なため早々に帰宅せねばならない。

「ムジナちゃんそろそろ上がりだよね?アオさんと買い物してきたら?」

「そうだね、食材とかも買い足さないといけないし」

 冷蔵庫の中身を思い出し、あれこれと買うものを思い浮かべるムジナ。すっかり自分の家の冷蔵庫を管理されてしまっているとまたまた苦笑してしまった。

「最近アオ、私に冷蔵庫の管理任せっぱなしだから今日は荷物持ちで使わないと」

「だってアオさん」

 ニヤニヤする美由希。まるで恋人や夫婦のようなやり取りだ。

「それじゃあ買い物、お付き合いしますよ」

「ッ!」

 その言葉にビクッとムジナが反応を見せたような気がする美由希だが、表情を見るとそうでもない、気のせいなのか、だが彼女はあまり感情を表にするタイプではないため解りづらいが正解だろう。

「当たり前、自分の家の物なんだから」

 

 

 

 

 

 それからムジナと帰宅した青羽。買った食材や日常品をしまうと夕飯の支度が始まるがムジナに台所の権利を握られてしまう。

「ムジナ、料理上手くなったね」

「アオが翠屋を紹介してくれたから。美由希も桃子さんも士郎さんも優しいし、アオの同級生も教え方丁寧だから」

「キョウの料理は美味いからな。僕もキョウから教えて貰ったし、独り暮らしだったって言うのもあるから」

 天涯孤独な青羽。身寄りはなく、親が残した財産でなんとかやりくりできた。それも両親共にTDFの隊員でった。

「ねぇアオ。何か隠してる?」

 いきなり聞いてくるため持っていた鍋を落とし掛けるが持ち直して落とさずに済んだ。

「どうして?」

「アオが命令違反で謹慎なんて柄じゃないから」

 鍋をコンロに置く青羽。しばらく黙っていると点けていたテレビからニュースが流れる。

「本日正午過ぎ。太平洋上空でレジストコード、超音速怪獣ヘイレンとウルトラ警備隊が遭遇したとの情報が入りました」

「ヘイレン………ヘイレンって確か」

 心当たりがあるムジナ、ニュースは続いていく。

「超音速怪獣ヘイレンは三年前にTDF航空編隊を全滅させ、左胸には航空編隊が付けた傷が残っている事から同個体である可能性が高いとTDFは発表しています」

 そこまで聞き、遭遇したのは青羽である事は明らかだった。

「初めて会った時、天使から取り戻したいものがあるって言ってたけど」

「笑えるよね、もう美夕は死んでるんだから取り戻せる訳ないのに」

 乾いた笑いを見せる青羽。

 

 

 

 

 

「三年前の航空編隊全滅事件?」

「ああ。その編隊の構成隊員の中に黄昏美夕ってパイロットが居たんだ」

 ウルトラ警備隊作戦司令室で嵐隊長は令子に三年前のヘイレン事件の被害者の話をしていた。

「黄昏美夕………あの美しきエースパイロットの!?」

「そう。元々はウイングダイバー隊志望だったけど適性が低くてな。それでも空を諦めきれずに航空隊に入隊。そしたらその才能が開花したんだ」

 令子も名前は聞いた事があった。投影モニターに映し出される赤い髪をポニーテールに結んだオレンジの瞳の女性『黄昏美夕(タソガレ・ミユ)』はTDF極東支部の航空隊に所属していたパイロット。ウルトラ警備隊への入隊も期待されるほどの腕前だった。

「んで、同じ航空隊のエースだった青羽とは恋人同士で、どっちが警備隊に入るかの勝負までしてたんだ。で、先に入った方の苗字になるって賭けまでして」

「それって思い切りプロポーズですよね?」

「ああ、エース同士の結婚は航空隊内で盛り上がっていた。けどな、悲劇が起きたんだ」

 それが三年前のヘイレンの事件に繋がるようだ。

「ヘイレンが航空機を幾つも墜落させる事件が起きて航空隊は編隊を出動させたが返り討ちに遭い全滅。そこで航空司令部はエースパイロットで部隊を編成、その中には青羽と美夕も編成されていたんだ」

「え?だけどその部隊って」

「全滅している。だがな、出撃前に青羽の機体にトラブルが起きて出撃できなかったんだ」

 それが生き残る結果となるが本人からしたら不名誉でもあり、後悔しかない。

「残されたブラックボックスから戦闘記録が出てきて、その際にあるブルートルネードがヘイレンに効果的なダメージを与えていたんだ。それも夕焼けみたいに赤いブルートルネードがな」

「赤いブルートルネード……確か黄昏美夕隊員のパーソナルカラーって」

「赤色だ。美夕隊員がヘイレンを撃退させたんだ、命を懸けてな」

 話の全貌を聞いた令子は何も言えなかった。出撃せず生き残ったエースパイロットの心境がいかなものなのか想像ができない。警備隊配属前は安全な本部から指示や状況を伝えるだけだった、今ではβ号の操縦席に座る事も増えたが、自分がそんな簡単に気持ちを解っていいものではない。

「だからなのか、自暴自棄なとこがあるんだよアイツ。それで警備隊に配属させた、死なせないようにするためにもな」

 片方が残ったから配属させた訳ではない、その理由にいつものおちゃらけている嵐隊長を見直していた。

「見直しちゃったオペ子ちゃん?もっと見直してもいいんだぜぇ?」

「台無しです嵐隊長」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはどこだ?」

 寝室で寝ていたはずの青羽。気が付いたら夕暮れ時の森の中に倒れていた。起き上がり周りを見渡すも隣に居たはずのムジナも居らず、自分の服装はかつての部隊のパイロットスーツを着ていた。先ほどまで何も着ていなかったはずとか思うも立ち上がると奥の茂みが揺れた。

「誰か居るのか?」

 問い掛けるも返事はなく、揺れの音は遠退いていく。青羽はその音を追い、歩いていくと森を抜け、辿り着いたのは巨大な遺跡だった。

「遺跡………えっ」

 青羽は驚いた顔をした、その視線の先は遺跡の出入口の前に赤い髪をポニーテールに結んだ女性が立っていた。それも同じパイロットスーツを着てだ。

「美夕?」

 忘れるはずもない、彼女は死んだはずの恋人・黄昏美夕の後ろ姿だと。美夕と思わしき女性は遺跡の中へと入っていってしまう。

「待ってくれ美夕!」

 青羽は階段を駆け上がり、彼女と同じ出口に入り、遺跡の中へ。中は暗く、奥が見えなかったが壁に掛けられた松明に勝手に火が灯り、明るくなり、長い通路が露となる。ここは行くしかないと青羽は通路を歩く、どこまでも果てしなく続く通路、だが、終着点が見えた。

「これは………」

 まるで飛行機のような石像。中央にはYのような出っ張りが有り、青羽は自然とそれに触れた瞬間、眩い光が広がった。

 

 

 

 

 

「んん………美夕…………ん?」

 目が覚めるとそこは自分の寝室だった。隣にはムジナが眠っており、自分と彼女の姿を見ると何も纏っていない生まれたての姿だった。

「まったく………また美夕の名前出して………今、隣に居るのはムジナなのに」

 拭い切れない後悔、そして罪悪感、右腕を目に当てると何か握っている事に気付き、それを見るために腕を退かすと鞘に納められた赤いラインが入る白銀の短剣が握られていた。

「これは………」

 夢だと思った、だが、この短剣はどこで手にしたのか解らず、眠気に襲われた事により再び眠りに落ちるのだった。

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