【ネタ】気がついたらデスザウラーで東京ばな○を食べ損ねていた 作:yoshiaki
…かつてここに自由と勇気、そして飽くなき探求心を持つ者が立っていた。
彼は戦争の嵐吹き荒れるこの星で、平和の為に立ち上がった。
そして彼は戦いを終結へと導いた後、旅立って行った。
彼の愛したモノは……風と、雲と、冒険だった。
***
ゾイドバトル連盟本部 ウルトラザウルス
ゾイドバトル連盟の最高責任者である会長は近頃勢いを増しているバックドラフト団に関する報告を受けていた。
報告が終わり退出する秘書を余所に、どっかりと老体を椅子に背を預ける。
「…まさかこのような危険な遺物まで奴らの手に渡っていたとは。由々しき事態ですな」
机の上に投げ出された蠍の尾の一部のようなモノの写真を一瞥して溜息をつく会長。
かつてこの惑星Ziを震撼させたデススティンガーの荷電粒子砲がバックドラフト団によって密かに運び出される所をこちらの諜報員が隠し撮りした画像だ。
「うわっ、懐かしいなー!てかムックの形見じゃんこれ。こんな懐かしい代物がまだ残っていたとはねー…」
来客用の椅子に堂々とごろ寝しながら写真を摘まんでひらひらさせる黒い少女。
この場所で一番偉い人の部屋にも関わらずやけにフリーダムなようだ。
「思い出に浸ってる場合ではありませんぞ!危惧するべきはこれだけではない。アルティメットX…あのオーガノイドシステムを搭載したゾイドを彼らが入手したとの情報も入ってきているのです。バックドラフトが大攻勢を仕掛けてくるのも時間の問題だともっぱらの噂で…」
「ま、今年のロイヤルカップに絶対仕掛けてくるだろうねー。あの厨二病患者な悪ガキどもは!」
話しながら勝手に部屋のテレビをつけてチャンネルを回す少女に再び溜息をつく会長。
この『ゾイドバトル連盟名誉顧問』殿からすれば人類は皆子供ということになってしまう。
チャンネル回しにも飽きたのかソファから起き上がる少女。
「まあなんとかなるでしょ。人間って生き物は自分が勝ったと思った瞬間に油断するからなー。素知らぬ顔して待ち伏せか。なかなか効果的なんじゃないの?」
「すでにその方向で進めております。カウンタークーデターと言う奴ですな。これを機に奴らを一網打尽にして見せますよ。これ以上我々の庭で好き勝手させるつもりはありません」
「ゾイドバトルは、ゾイドバトルだ。競技で誰か死ぬわけでもなし、戦争やってるんじゃないんだからさー。キミ達に任せるよ。なんとかできるでしょ?じゃ、わたしはこれでー」
部屋を出ていこうとする黒い少女の背中に慌てて会長は声をかける。
「ま、待ってください!これからその対策会議が…」
「そういうことはな、人間同士でやんな」ドヤッ
なんか言ってる。
「じゃまたねー」
「ちょっ…」
出て行ってしまった少女。
どうせまたいつもの酒場にでも行くのだろう。
「名誉職でもちょっとぐらい仕事手伝ってよ…」
今日も会長は書類と会議と戦い続ける!
ゾイドバトル連盟の残業が減るのはまだ先のこと…。
***
ゾイドバトル連盟本部近隣のとある酒場
「もう、どうしちゃったのビット!最近どうしたの?だいぶヘンよ、今のアンタ」
チーム・ブリッツに所属するゾイドウォーリアーのリノン・トロスは同じチームの仲間であるビット・クラウドにオレンジジュースを突きつけながら吠える。
「いやうん…なんでもないのよ、ホント。…はあぁ」
どう見てもなんでもないと言った様子ではないビット。
いったいどうしたというのだろうか。
最近溜息ばかりつくビットに見かねたバラッドも問いかける。
「だいぶ辛気臭い顔してるぞ、今のお前。…そういやあの動画見てからだよな、なんかおかしくなったのは。なんだったか、あー…」
「アンビエントマンです」
「誰がアンビエントマンだ!?誰が!?」
補足を入れたジェミーに立ち上がって異常に興奮するビット。
いったい彼に何があったというのだろうか。
「お、落ち着いてくださいビットさん。ただのお笑い動画じゃないですか。どうしてそんなにいきりたってるんですか?」
「はっ!?す、すまんジェミー…。うう…オレはアンビエントマンじゃない。ヒルツロイドでOPED歌わせてみたとかも関係ない!MAD素材でも厨二でもないんだ…!」
本当にこの主人公はどうしてしまったのだろうか…謎は尽きない。
「なんかつらいことでもあったのかしらね?ううん…」
「特技は変装と腹パン★じゃないんだ…!」
「わけのわからんやつだ…」
首を捻る仲間達の横で座り込み落ち込むビット。
気を紛らわそうと店に置かれたテレビに目をそらしてみる。
ちょうどニュースの時間のようだ。
『…次のニュースです。本日の連邦議会で開かれた予算委員会にて、魔獣思いやり予算は税金の無駄遣いとの追及に対し「あの図体で考えるなら餌代としては破格」と返したツェッペリン議長の答弁に、野党からは批判の声があがっており』
「アイツの餌代とかナニやっとるんだ…世も末だな」
「おや、兄ちゃん。あの人の知り合いだったんかい?彼女もこの店の常連なんだよねえ」
ちょうど注文品を持ってきた店主に顔を向ける一同。
「あの人ってまさか…」
ギクリとした表情をする主人公。
「シリュー・エレシーヌ・リネ。超有名人だから君たちも知ってるよね。うちも結構歴史のある店なんだがワシの爺さんの爺さんのそのまた爺さんよりずっと前からここの常連だったみたいだよ。今日もちょうどそこに…「おいおい!この店ではこんなちんまいガキにこんないい酒出してんのかあ!?いいご身分だな小娘!」
「ここはオシメもとれない子供が来るとこじゃないぜえ!帰ってママのココアでも飲んでな!ひゃっひゃっひゃ!」
「んあー?なんか用?」
(こ、この声はまさか…)
なんか前世っぽいアレとかこの前見た動画とかですっごい聞き覚えのある声におそるおそる後ろの席を見るビット。
かつて惑星Ziを滅亡から救った英雄達の最後の生き残り()にしてZi連邦政府高等参事官兼ゾイドバトル連盟名誉顧問兼大物ZiTuber破滅の魔獣(笑)、シリュー・エレシーヌ・リネがそこにいた。
「あちゃー。いったいどこのド田舎から出てきた不良だ?ここらであの人知らないとか世間知らず過ぎだろ…」
「なーに、これもいい社会勉強になるさ。いいぞやれやれー!」
なんかはやし立てる他の常連っぽい人達。
この店なんなんだろうか。
「彼女、いつもあの席でずっと昔に死んだ仲間達の写真の前で酔っ払ってるんだよ。ほら、壁に貼ってあるだろ?」
店主の言に壁を見ると、確かに古ぼけた写真がいくつか貼ってある。
昔のシリューも一緒に写り込んでいるものもあるようだ。
「バン・フライハイト…ゾイド達を戦いから解放した、伝説のゾイド乗りですか」
「彼女を見てると、よっぽどいい仲間達だったんだってのがこっちにも伝わってきてねえ。自分を知ってる人間がだれもいなくなって、一人で置いてかれる気持ちってどんなもんなんだろうね…」
「…」
なんかしんみりした空気になる一同。
しかしそんな空気も田舎ヤンキーの失言で終る。
「しっかし都会のわりにシケた店だぜ、こんな古臭い写真なんざ取っ払っちまえばいいのによ!そうすりゃこの店の景観も少しはマシになるってもんよ!がっはっは…」
(あっバカ!)
なんか部屋の空気の温度が一瞬凄い下がった気がする。
「…どうやらキミ達はOTONAの怖さを知らないようだね。ブランド肉を半額で(税金で)買うくらい清貧なこのわたしが教育してあげようかー!」
「どこが清貧だ!どこが!」
思わず突っ込みを入れてしまうビット。
当たり前の価格では買えない人なのだろうか。
「な、なにすんだこのガキ!離せ!って力強っ!?」
「な、なんだこの馬鹿力は!?あだだー!?」
「さーちょっと表でお勉強しようねー」ズルズル
魔獣の尾を踏んでしまった田舎ヤンキーが引きずられて店の前の道路に放り出される。
「「うわーっ!?」」ドサッ
『都会のOTONAの怖さ…本当の恐怖というものを教えてやろう!アハァ』
「な、なんじゃこのバケモンは!?」
「よ、妖怪かなんかか!?」
いつの間にか本体(着ぐるみサイズ)に変身して脅しかけるデスザウラー(シリュー)。
酔っ払うと結構やる隠し芸のうちの一つである。
「古代ゾイド人文明が生み出した最終兵器デスザウラー!生きた化石…直接見るのはボクも初めてです」
「なんかあのサイズだとカワイイわねー」
「すごい!いいなあ、かっこいい!わたしも欲しい~!」
「…頼むから人間の姿の時に同じセリフは言わないでくれよ、博士。危ない人みたいだからな」
(バラッドのやつ、後で給料減らしてやる…!)
なんか気になるのでチーム・ブリッツの面々も野次馬に交じって出てきてしまっていた。
ビットも流されて一緒である。
「あんなこともできたのかアイツ…」
着ぐるみサイズな魔獣が謎リング(自前)を頭上に浮かせると口腔を上に向けてバチバチと放電しながらチャージを開始する。
「ん?ま、まさか…」
『さあ見るがいい…!これが真なるデスザウラーの、真なる荷電粒子砲の威力だああーーーっ!!!』
「『私』の台詞パクられたー!?」
「どしたのビット?声の調子がおかしいわよ」
宇宙に向かって拡散した荷電粒子砲の光跡が花火のように奇麗なモノである。
なお、バックドラフト団のダークジャッジ衛星がいくつか巻き添えを食らったのは別の話である。
「ひいい!?た、助けてくれー!もう悪いことしませんからーっ!」
「許してママあああ!」
さっきまでの威勢が無かったかのように逃げ出す田舎ヤンキー達。
上京して最初に入った店に魔獣ニートがいるとかつくづく運のない男達であった。
「もうOTONAに喧嘩売っちゃだめだよー!さて…」
OSHIOKIは終わったと言わんばかりに少女の姿に戻った魔獣がこっちに近づいてくる。
なんかめっちゃこっち見てる。
「ひさしぶりームック!前世ぶりだねー。まさか本当に生れ変わっちゃうとはねー、あはは」
「にゃ、にゃんのこときゃな?」
滅茶苦茶噛んだ。
「さっき台詞パクったとか言ってたじゃん。てかムックもアーラ・バローネの台詞パクってたくせにー」
魔獣イヤーは地獄耳なのである!
「ち、ちがう!俺はムックでもアンビエントマンでもないんだ!オレはビット…」
「キミ声かわいいねー!今度わたしの撮る作品(意味深)に出てみないー?ギャラ(魔獣思いやり予算)は弾んじゃうよー??」
「か、カワイイだなんて!ええーどうしようかなー?リノンちゃん悩んじゃうなー♪」
「どんな仲なんでしょうねあの二人…?」
「さあな。だいぶ愉快な関係のようだが」
「まあいいじゃないか!仲良きことは美しきかな!あーはっはっは!」
誰も聞いちゃいねえ。
「ひ、ひとのはなしをきけえええーーーッ!!??」
かつての強敵(とも)との再会に主人公の運命は大きく変わったり変わらなかったりするだろう!
ムックビットの苦労はこれからだ!
***
おまけ ロンリーカイザーな人質救出回
これまでのあらすじ
のんびり地球再生の旅を続ける一行+おまけの魔獣と愉快な仲間達。
フィオナ皇帝が反乱を起こした真帝国軍によって囚われの身となったと聞きつけたジーン(フィーネ)はシリューに急遽助力を願う。
シスコンクソデカ姉のゴリ押しで密かに旅に同行していた上空待機中の支援部隊のホエールキング搭載機、ヘルキャットでネオゼネバスシティの宮殿に潜入することに成功する。
無事フィオナの確保に成功した一行だが、長期間放置プレイされていたロンリーカイザーはかなりおかしくなっていたのだった!
ゼネバス帝国宮殿
「ああ、ジーン!助けにきてくれたのですね!貴女に駆け落ちで見捨てられてからどうしたものかと思っていましたが、私は必ず帰ってきてくれるって信じていましたよ!(?)聞いてください、私がここに残るって言ったのになんか気づいたら一人で周りに誰もいなかったんです!アレですか、だれか他にも残るやついるから別にいいだろみたいに全員いなくなったパターンですか!?庭園で体育座りしてるところにお姉様が来てくれなかったら孤独死不可避でしたわ…」
なんかすごい勢いでこっちに駆け寄ってきたと思ったらぼっちライフの愚痴を捲し立てる皇帝()。
誰も周りにいなかったとか友達いないのだろうか?
「…なんかこっちの皇帝陛下はだいぶ変わってるみたいだな」
「ごめんなさい、陛下の育て方間違えたかも…」ヨヨヨ…
「ルドルフより弄られ耐性低そうだなー」
「なんかひどくないですか皆さん!?私この国の皇帝ですよ!もっと敬ってくださいさあさあ!」
必死過ぎるロンリーカイザー。
一応この国の最高権力者のはずなのだが、カリスマが足りないのか可哀そうなモノを見る目で見られてしまっていた。
「だいぶ残念なぼっちカイザーですねこれは」
「シリューに言われちゃおしまいだな」
「陛下、反省してくださいね」
「なんでー!?誰か私に優しくしてください…!」
ディスられに納得いかないのか地面に寝転がってジタバタするフィオナ。
こんなのがこの国の皇帝で大丈夫なのだろうか。
「ぼっちをこじらせてしまったか…」
お姉様も対応に苦慮したのではないかと思われる。
「…ともかくさっさとずらかるぞ!外でビット達が陽動かけてるが、勘付かれるのも時間の問題だ。いくぞ」
「…そうね。バレないうちに帰りましょう」
「…さらば宮殿!ばいばーい」
「待って!?私を置いてかないで―!?」
ごろ寝状態の皇帝に背を向けて脱出しようとする一行。
地団太踏んで寝っ転がってたところから勢いよく立ち上がると三人の後を追うフィオナ。
「ふふっ、冗談ですよ陛下」
「うう、みんなが私をいじめる…」
ヘルキャットに乗り込み脱出するフィオナ救出チーム。
こうして誰にも気づかれないうちに皇帝救出作戦は無事成功に終わったのだった。
これからロンリーカイザーに友達が増えるかは神のみぞ知る…。
「…あ、お姉様のこと忘れてました」
…神のみぞ、知る。
スラッシュゼロでニュース番組に出てくるデフォルメデスザウラーかわいいよね
だれかつづきかけるならかいてもいいのよ
かいたら教えて♥
じゃ。