『シャドーガーデン』を設立しよう!
僕は『陰の実力者』になりたい。いつからそう思っていたのかは分からないけれど、僕はその夢を実現することに僕の全てを捧げた。
けどすぐに、ある問題が立ち塞がった。それは、僕は核には決して勝てないということだ。
既存の肉体も、武術もいくら鍛えようと極めようあっという間に蒸発してしまう。それは、僕の考えた『陰の実力者』には許されない。
そこで僕は未だ人類の発見し得ていない可能性にかけた。つまり、"魔力"だ。
僕は日々"魔力"を追い求め、とてつもない程厳しい修行をこなした。そして、僕は"魔力"を見つけたのだった。
あ、そうそう。僕は"魔力"を見つけるついでに赤子に転生してたみたい。ま、どうでもいいけどね。
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色々あって、僕は盗賊狩りをしていた。因みに今は10歳くらい。
「ひゃっはー!お前ら金だせ!」
今日はスライムスーツの試運転日だ。うんうん。中々使い勝手がいい。
特に気に入った点は、色々な部位から刃をだせることだね。派手じゃないけど効果的。
調子に乗ってひゃっはーしてたら、いつの間にか盗賊がいなくなってた。
途中で「王都ブシン流がー」とか言ってる人がいたけど、うん。十秒持たなかったね。
「戦利品は──と」
早速とばかりに僕は戦利品を漁る。
「美術品は捌けないからパス。金貨とかがいいな」
驚くことなかれ。金貨一枚で十万ゼニーだ。因みに"一ゼニー=一円"ね。
「ん? あれは……」
死んでる商人に手を合わせ、金貨の山にほくほく顔の僕は、奥に檻があるのに気が付いた。
「奴隷もパスだねー。けどまぁ、良いものかもだし、一応」
掛けられていた布を外す。中には、腐った人がいた。まだ息があるようだ。
「へーすごいね。こんな状態でも生きてるんだ──ん?」
人間の底力に感激していた僕は、ふとあることに気付く。
これは、魔力暴走に似ている。
「使えるかも」
僕は口元に笑みを浮かべた。
さしもの僕も、魔力暴走を意図的に起こすのは危険なので断念した。けれど、秘めたる可能性を感じたのも事実だ。
この"肉"があれば、僕はもっと高みへ登れる……!
僕は"肉"を抱え、その場を後にした。
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あれから一ヶ月。うん、充実したものだった。"肉"に魔力を流し、あぁでもない、こうでもないと試行錯誤する日々。どんどん魔力操作の上達を感じて、僕は満足だった。
より強く、より緻密に……!
異変が訪れたのは僕が魔力暴走を完全に制御し切れたときだった。
なんとそこには金髪エルフがいたのだ。
いやまぁ、だいぶ前からその片鱗はあったみたいだけど、夢中になり過ぎて気が付かなかった。
すごいね。あんな状態から元に戻れるんだ。
僕が君はもう自由だ、みたいな感じで送り出そうとしたら、泣きつかれた。もう帰る場所がないだって。
うーん。
「助けてくれた恩は返すわ。だからお願い」
散々迷ったけどなんか有能そうだし、うん。彼女には『陰の実力者』の配下Aをやって貰おう。
「というわけで、君は今日からアルファだ」
「分かったわ」
美人なエルフさんは頷いた。
「それで君の仕事だけど──」
僕は頭の中で『陰の実力者』の設定を考える。設定は大事だ。
戦う理由が眠るのを邪魔された腹いせでは締まらない。
「君の仕事は──この世界を裏から牛耳る僕の補佐だ」
設定はこうだ。
僕はこの世界を裏から牛耳る組織の長となる。その組織は技術力、経済力、軍事力全てにおいて突出した組織だ。
そんな組織を作るために、僕は今、人を集めている。
あ、そうそう。それだけだと微妙だから敵も作っておこう。
「だが、この目標には一つ障害がある」
「障害?」
「そうだ。今現在、世界を牛耳っている組織のことだ。そしてその組織は、君の仇でもある」
「私の?」
僕は頷いた。そして、意味深に間を空ける。
「〈ディアボロスの呪い〉だ。」
「呪い?」
「そうだ」
僕はアルファの後ろ、木箱の上の酒瓶を見て頷いた。
「〈ディアボロスの呪い〉は〈悪魔憑き〉……君の体を蝕んでいた病のことだ」
アルファは驚いたように口に手を当てた。
いいね。その反応。
調子に乗って僕はペラペラと"設定"を口にする。
曰く、その呪いはかつての三人の英雄、その子孫にかけられたものだ。
曰く、かつてはその呪いは治せるものだった。
曰く、その方法をある組織が隠蔽し、歴史を捻じ曲げた。
「教えて。その組織の名前は?」
まさに真剣そのものの表情で、アルファは聞いた。僕は再び間を空ける。
「ふっ、まだ知るときではない。だが、いずれ知るだろう」
「……そう。分かったわ」
必死に考えたのだが、もう一つのとこで思い浮かばなかった。けど、このくらいは言っておこう。
「敵は強大だ。侮るでないぞ」
「えぇ、分かってるわ」
アルファは強い意思の宿った目で頷いた。ちょろいわー、このエルフ。
「けど、そういうことなら、私のような〈悪魔憑き〉を沢山集めるべきね」
「ん? んー、ほどほどにね」
ちょっと設定間違えたかな。正直、『陰の実力者』やるだけなら一人でも良かったわけだし。いやでも……
「裏社会を牛耳る組織のボスも、やっぱり捨てがたい」
「なにか言ったかしら?」
「いやなんでも」
僕は「ふっ」と微笑みを浮かべ、小屋の入口に立つ。そして肩越しに振り返る。
「我らは『シャドーガーデン』。陰に潜み、陰から操る者だ」
「『シャドーガーデン』。いい名前ね」
そうだろう、そうだろう。僕は自分で付けたかっこいい名前を褒められて満足する。
「我が名はシャドウ。そう呼ぶがいい」
「ええ、分かったわ。シャドウ」
僕は大いに満足して、小屋を後にした。
『ディアボロス教団』という名前がシドくんは思いつかなかったようです。