---カフェぇぇ!愛しているんだぁぁぁ!!---
『…ぐへへへぇ!!カフェめぇ〜的確に頚椎に愛らしいチョップをしてきてぇ……おかげさまでヘヴンリーィィィ!心地よかったじゃないかぁ!!!』
「ひ、ひぇっ…トレーナー君!ず、随分と早いお目覚めだねぇ…!?」
ムクリと起き上がり、恍惚の表情を浮かべるトレーナー。
その表情を見てしまい、ドン引きするアグネスタキオン。
(…カフェは的確に急所を捉えていたように見えた。私もたまに喰らう、かなり痛そうなアッパー…のはずなのだが…やけに回復が早いねぇ!!)
しかしそれも束の間、興味の方が勝ったようである。
『フフフフフ…心の底からアツいパトスがほとばしる……今、俺は神話になるぜぇぇぇ』
目玉はギンギラリン。
そんな状態でマンハッタンカフェを追いかけようとする。
「げ…見つかったら私も怒られてしまうじゃないかっ!トレーナー君、ちょっと待つんだ!!」ガシッ
『な〜ん〜な〜ん…だあっ!!?』バッ
「うわあっ!?目つき怖っ!!」パッ
正しく直視の魔眼とでも言おうか、至近距離で叫ばれ、睨まれ…結果的にアグネスタキオンは手を離してしまった!
『今行くぜぇぇぇ!?マンハッタンカフェェェ!!尻尾を洗ってぇ、いや俺に洗わさせろぉぉぉヒャッハァァァァァ‼︎‼︎‼︎』スタスタ
「…やけに高いテンションの割には…歩いていってるじゃないか、さては思いの外ダメージがあるな?」
小声で呟く。
去っていく姿を、冷静沈着に見ることができたアグネスタキオン。
彼女は考える。
1つは自身が怒られず、2つは無事に事態が収束し……そして3つ、全てが終わったあと…改めてトレーナーが自分を見てくれる方法を。
【アグネスタキオン!アグネスタキオン!!大至急生徒会室まで!!!繰り返す…!!!】
「やれやれ…私はなんにも悪くないんだがねぇ…」
1つ目は早速、届かぬ願いとなったようだ。
なお悪いのは概ねアグネスタキオンである。
---
ところ変わってマンハッタンカフェ。
彼女は旧理科準備室から、距離を置くことに成功していた。
「はぁ……ふぅ、ここまで来れば大丈夫でしょうか…」
生粋のステイヤーである彼女の息が乱れている。
察するところ、相当の距離を走ったようだ。
それもかなりの力を込めて。
「……それにしても、毎度のことながらなぜトレーナーさんはあんな状態になってしまっているんでしょうか?」
マンハッタンカフェは近くのベンチに座り、思考をまとめる。
「原因は間違いなく、タキオンさん……しかし、今回のはより一層強烈ですね……何がきっかけであんな反応になったんでしょう」
アグネスタキオンの反応を見ていたマンハッタンカフェは、これが彼女にとっても想定外の出来事だったのだろうと理解した。
「願わくば、私がこうして隠れている内に解決してほしいものですね…」
『……フェー…カフェー……コッチニイルンダナー…コッチカラコーヒーノカオリガスルゾォォォ‼︎』
「…嘘でしょう!?」
マンハッタンカフェの耳には、撒いたはずのトレーナーの声が聞こえてきた。
おかしい、全力で走ったのに。なぜ?
などの思いで、頭の中がいっぱいになる。
だがそれも少しの間。
マンハッタンカフェの頭はすぐに切り替えられる。
「…香りで追いかけてくるとか、とんだ変態じゃないですか。全く…」
今度はバレないように距離を空ける。
そう決意を固め、トレーナーの声がした方を見ると決める。
さて ここで、現在マンハッタンカフェが置かれている状況をまとめてみよう。
今いる場所は、離れの校舎の屋上。
先ほど腰掛けていたのは、そこにあるベンチである。
……分かっただろうか?
つまり、追いかけてきたとしても「地上から見上げる」必要のある、そんな場所にマンハッタンカフェは陣取っていたのである。
…普通、何かを追いかける時は一直線、進む方向に視野狭窄になるものである。
しかし、
「…ひっ!?」
『ミィィイツゥゥケタァァァァ!』
「嘘でしょう…何で目が合うんですかっ!?」
目がかちあってしまった。
「…まだ、距離は有ります……逃げましょう!!」
---
階段を降り、再び学内を走り出したマンハッタンカフェ。
しかし、
「……くっ、速い……!!」
『ちょマテヨォォォォォ…』シュタタタタ
中々離せずにいた。
このまま持久勝ちを狙うしかないのだろうか…。
マンハッタンカフェがそう思い始めた時だった。
「お!よー、カフェ!何してんだ??学内徒競走??」
あるウマ娘が並走してきた!
(…面倒な時に、面倒な要素が増えましたね…!!)
マンハッタンカフェは、天をキッと睨み、恨む。
私が何をしたって言うんですか、と。
その時、日の光のように、輝いたオトモダチが彼女の脳内に静かに語りかける!!
(なに、カフェ?トレーナーが自分を追いかけてきて離せない??…カフェ、それは無理矢理引き離そうとするからだ……逆に考えるんだ、アゲちゃってもいいさと…)
(はっ倒しますよ?……いや、待ってください。…たしかに、ここで彼女を上手くぶつければ)
チョンチョン
「ん?どうしたカフェ??」
「…ポッケさん。後でいつものファミレスでパフェを奢ってあげます……後ろから来ているのを抑えてください」
落ちどうしようかなーー