束さんがやっつけちゃうぜ! 作:かきごおり
束、爆誕!
うーん、案外ゆりかごというのも寝心地がいいというのをこの年齢になって再確認するとは、否。肉体的には当たり前か。ともあれ瞼を擦って意識を覚醒させる。
「束ちゃーん、起きたの?」
目の前には若い人妻美人さんが目の前に。これ…母さんです。コクリと頷きたかったが、首が座ってなかったわ。抱きかかえられて胸元に抱えられる。これが母の温もりか。
父は居ないようだ。剣道場にでも行ったのであろうか。とはいえ、お腹が空いたのでグズっておこう。意思表示の手段の少なさは問題である。意図的に泣かなければならないのは少々骨だ。涙腺を動かし、声を出す。
ほーら『私』はお腹が空きましたよー。おぎゃあ。
「あらあら、ミルクの時間かしら」
ひとしきり『私』を抱き締め、揺りかごに戻すと台所に母は向かって行った。不味い脱脂粉乳入りの哺乳瓶を取りに行ったのだろう。味覚が乳幼児相応だったら嬉しかったけど、そこまで甘くない。ミルクのように。
見ての通り、『俺』は赤ん坊である。名前は束。由来は知らない。ともかくそれは『俺』の新たな名前である事には違いはない。
ふと、気付けば生まれていて、『俺』は『私』になっていた。いや、正確に言えば混ざったというのが正しいか。
この身体を操る精神の根幹、つまり『俺』であるがその精神には人間生活は二度目だと理解できていた。転生、生まれ変わり、来世に期待。様々な言葉がぐるぐるしているが擦り切れた記憶には前世の『俺』は男であって成人して少しして死んだことしか記憶になく勿論、名前も忘れていた。
知ってるか?生まれる時の痛みってとんでもねぇんだ。それで大体欠落したっぽい。
そこに入ってきたのは『私』という記憶というよりは魂とか本質である。これは恐らくはこの肉体、本来の人格であろう。その精神は幼稚であったが今は違う。
『俺』の成熟した精神に
そんなこんなで『私』は『俺』と混ざり合った。二重人格とでも言うべきか。あるいは精神の同居とも言える。
歪な歪な精神はこの後、この篠ノ之束という存在にどう影響を与えるのかは分からない。言い切れるのは腹が減った事と、『俺』の精神は普通じゃないって事だけ。2ポンド掛けてもいいよ。
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やっとこさ自由に動き回れるようになった。成長するという素晴らしさは二度目ではないと味わえないな。
などと言いつつも、二足歩行が可能になった我が身体は現在、2歳である。
やっぱり、一回目があるからか肉体の同調は簡単だった。親が天才だの神童だの騒いでいるが些細な問題だ。頭のバランスが悪いのだけが難点。
どうする?バク転でもやっておく?
一週間後、『私』はバク転を習得した。化け物みたいな目で親に見られた。やっちゃったぜ!
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親から何か、経営している道場に入門させられた。なんか力の制御を云々らしい。そんな怪物でしたっけね、『私』。
『私』としては肉体労働は嫌いなんだが、『俺』としては吝かではない。つーか、拒否権ないしさ。どうせ、自立するまでは脛を齧らなければならないというのもある。『私』を心配しての事だろうし。
篠ノ之流剣道は生前みたような剣道の基本は同じだが、父親がやった抜刀術は化け物染みた剣速だった。動体視力がまるで追いつかない。なんだよ、あれ。親もハイスペックなのん?
木刀を握らされて素振りさせられたが、腕が糞痛い。あのクソおやじめ、何時かは叩き潰してくれよう。と心に誓う。
いや、待て。3歳の娘に本物の刀を持たせようとするなよ。危ないって、母も止めるべきだろ、なあ!
暫くは剣道に身をやつす羽目に成りそうだ…勝てる気しねぇ!
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時は流れて数年後、小学校に入学である。ピッカピカのランドセルに女の子らしい制服。まっきっきの帽子は実にキュート。自画自賛出来るくらいには可愛い。将来有望だななんつって。
『俺』としては何とも言えないが『私』にとっては結構、嬉しい事らしい。浮かれるのも分かる。因みに幼稚園は入園しませんでした。近所にそういうの少なくて困るね、本当に。お陰で夕方の知育番組を完全記憶してしまった。い○い○ないば○!はもういいよ。
後は剣道を極める事しかここ数年の記憶がない。手にタコが出来ている六歳ってどこにいるっていうんだ…なんか段位貰ったけどさ。もっと子供らしさってものがさー。
これで『俺』にとって二度目、『私』にとっては最初の学校生活である。頑張って友達100人出来るかな?富士山には登る気はさらさらないけどさ。
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しまった、この『俺』の特異性を忘れていた。つーか、肉体スペック含めて可笑しいまでに化け物である。細胞レベルで天才か…我が身は。
なんか大車輪を鉄棒で出来るわ、三回転バク宙出来てしまうやら、挙げ句の果てにソフトボール70mときた。小学生の範疇ではない。空気中にプロテインとかが含まれていたのかもしれない。
家では木刀しか振るってなかったんだけどな。というより、門下生もなかなかアホみたいな性能の奴が居たりするので、違いが分からんかったんだ。平均が高すぎたとも言う。だから『私』は悪くない、多分ね。
勉強面も似たり寄ったりだ。元々の地頭がそこそこの『俺』にブラックホールの如く、膨大な知識を吸い込む頭を持つ『私』に小学生はヌルすぎる。一応、起きてはいるがぶっちゃけ今すぐ高校に飛び級しても即応できると自負している。というより、理数系に限れば大学レベルに片足を沼に突っ込んでいる始末だ。
これでは、学校はひどく詰まらない。海外に飛び級目当てに渡航しようかしら?剣道から離れたくてしょうがない。
そういえば、同じクラスにスポーツに関しては『私』とどっこいどっこいなのがいた気がする。ぶっちゃけ、クラスメートやら担任の名前なんぞ覚える気は欠片も無かったが確か織斑ち、ち、ちーなんとかちゃんだったか。
なんとなく、友達に成れそうな匂いがした。流石にボッチはキツいのだ。主に剣道、オメーの所為だよ!
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無事に織斑千冬とは友達になれた。これで天才ボッチからの卒業である。もう、学校来なくてもいいよね!
そんな事が許される筈もなく、暇な生活を送っていたがある日織斑千冬、『ちーちゃん』が剣道に興味があると言ってきた。
「おまえのように強くなりたい」
やだかっこいい。
ちなみにちーちゃんというのは渾名である。単純であるがそれなりのセンスであると『私』は思っている。本人は心底嫌がっていたが。慣れてもらう他ない。
そういえば、『私』の家は篠ノ之流というそこそこデカい道場をやっていた。人気もそれなりらしく、放課後にはある程度の上級生達が通っているのを目にしていた。どうでもいいけど。
私の腕前が異常でゴ○ラ*1かなんかだと見られてはいないだろうか?目が畏怖混じりなんですけど…
何?ちーちゃん。剣道をやりたいだって?仕方ない。心細いだろうから『私』の剣道場に入門してみないか。決して、決して寂しい訳でもない。
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剣道をやるのはいいが自分とちーちゃんのセンスの良さを忘れていた。
なんだろうか、中学生に片手で勝てる小学二年生は『俺』とちーちゃんくらいだろう。というより、『俺』と幼い頃からの練習のお陰で運動面に関しては若干のアドバンテージがあるものの、ちーちゃんはそんなの関係なしにメキメキと実力を延ばしている。なんなのこの子、プロテインを空気中から摂取してんの?剣道歴の長い*2私に追いつくのはやっぱり頭おかしい。人の事は言えない。
『俺』 の じょうしき が こわれる 。
それはともかく、まともに闘えるのが『俺』とちーちゃんだけなのはどうも微妙だ。ちーちゃんは楽しいのか木刀をぶんぶん振り回しているけど。こっちは飽き飽きだ。他の趣味を探さないと。
運動会なんやらがあったがクラス対抗系の大体は『私』が入った所は優勝した。ちーちゃんも入れば鬼に金棒。勝てる者は辛いのだ。友達はちーちゃん以外にいないけど。ま、いいか。必要ないし。
割り切りも必要だと知った賢い小学生です。
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暇潰しに自作したパソコンはなかなかの趣味としては充分だ。性にあっている。両親は機械に疎いがこりゃ、時代の波が来ているのだ。乗るしかないね、このビックウェーブに。
あと、機械工作も並行してやっている。具体的には電子レンジをバラして掃除してメンテナンスして戻したりとか。コツは深夜にやること。バレないように高速でやる*3ことが面白ポイント。後はプラモデルとかもちょちょっと。
あと、ちーちゃんが小学生剣道全国大会を優勝した当然だね!因みに『私』は親から出禁にされている。*4。トラウマ植え付けマシーンだかららしい。『俺』なら同学年程度なら一太刀で木刀折れるから致し方ない。前世を考えるとイカレてるな。
それはともかく、お祝いに二人でファミレスに行ったが楽しかったとだけ言っておこう。ささやかな祝福である。
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妹が生まれた、篠ノ之家次女の名前は箒らしい。凛々しい眼がたれ目な『私』とは違ってカッコ良い印象を与える。*5
はい、私がお姉ちゃんですよーっと。
姉が束で妹が箒ってどういうネーミングセンスなんだろうか?と思いつつ。
とはいえ、可愛いものは可愛いものだ。しっかりお姉ちゃんっ子に育成するべきである。うわへへへ。
そういや、ちーちゃんとこも弟が出来たらしい。名前は確か、一夏くんだったけなぁ。きっとちーちゃんに似てイケメンになるだろうなぁ。因みにちーちゃんは女である。その事を言ったら殴られた。*6解せぬ。
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いやー、妹の成長を見るのはいいねぇ。『私』が一般的な子育てとは逸脱した人間だった為に両親はあっぷあっぷしている。それとなーく補助をするんだけど。子育てとは本来こういうものらしい。なんかごめん。
箒ちゃんはすごい可愛い。なんなら寝てるだけでも可愛いし。今のうちから『私』の名前を刷り込んでいこう。
来年で中学に入るが、このタイミングで免許皆伝を貰った。曰く、一人前らしい。マジで?これでともかく剣道とはおさらばだ。いやったー!
なんて言ってたらちーちゃんにボコボコにされたの巻。理不尽。理由を問いただすと公式戦で闘いたかったらしい。いや、同じ中学行くなら公式戦無理じゃん。
あと、そもそも『私』はもう剣を握らない。そう告げた後のちーちゃんの顔はよく見えなかった。
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晴れて中学生だ。変わり映えのしないクラス、友達は増える気配はなし。
そして、小学生同様、暇な授業になるのは確定。なので、やっと形になってきたパソコン制作の方を進める。立ち読みで鍛えたPCスキルが光る。
バキバキの体育会系思考の親からまだ、発展途上のパソコンを買ってと言えるはずもなく、参考書を買うと嘘をついて資金を貰う。後で古本屋で買った参考書で事実だけは作っておく。
強制参加の部活動はちーちゃんは剣道部、『私』は美術部だったが、制作課題の絵を仕上げて、*7空いた時間にこっそり抜け出して自転車を漕ぐ。
帰宅時間を合わせている都合上、ちーちゃんに見られると拙いからだ。親に連絡されると素振りが数時間も発生するのが嫌だからね。
中学生になりパワーアップした『俺』の身体能力を見よ。中古屋まで自転車で往復30分のところを急いで駆け巡り、パーツを確保する。
それを数ヶ月程度繰り返して工具がまるで足りないという事に気がつく。はんだすらない。というか資金が足りない。
駆けずり回る最中、効率化を極めたおかげで美術部からは「3分間見える幽霊」のあだ名がついた。ウルト○マンか何か?後、今なら2分半で事足りますが??*8
資金面をどうにかする必要が湧いてきた。さて、どうしようかなー!
続かない
第4話のような番外編いる?ほどほどに参考にします
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本編更新しろ
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ほどほどにやれ(作者の一存)
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一夏視点が欲しい
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箒視点が欲しい
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千冬目線をもっと
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ISコア視点?