束さんがやっつけちゃうぜ! 作:かきごおり
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ISの女性限定問題は今後の科学の発展に期待して一旦棚上げするしかない。『私』としては正直かなり断腸の思いだけど。
今の開発環境だとISの初期環境を耐えられる人間を発見する。人材問題の解決はほぼ実現不可能だろうと『俺』の中で結論付けている。実際問題、砂漠から一匹の強靭な蟻を見つけるくらいの難易度だ。それも『俺』同等のレベルの。
じゃあ、どうするのって話だけど、『
つまり、現状の第一世代「白騎士」や「八足」より扱いやすい第二世代を開発しちゃおうってのが『私』の作戦だ。そうすれば適性のある男の子が、出ればいいなぁ!こればっかりはどうしようもない。
ってなると、いよいよ国との連携が必須になってくる。当初から政府との連携は宇宙に開発拠点を置くという目標のために必要だった。
それが少し早くなったってだけだ。
展開している布教活動も映画が興行収入歴代3位*1になったようで何よりだ。記念にちーちゃんや『私』もちょい役でセリフをもらって出演している。ちーちゃんはすごい棒読みだった。よっぽど緊張していたらしい。『俺』としても中々珍しい体験だった。
少々、荒い手も使わなくちゃならないけどね。悪いけど、ちーちゃんには少し苦労してもらうことになる。
そういう外面というか『俺』は向いていない自覚がある。
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各国に話を通して回る。
学校は夏休みの時なのでセーフだ。『私』にかかれば、宿題なんて30分で全て終わるから。自由研究はちょっと困った。ちーちゃん観察日記*2は本人即却下されちゃいました。
なんなら即座に破かれた。そのために「白騎士」のブレードは作ってないんですけど。
布教活動と動力問題、後はマニュアルも現状では難易度がまだ高いけどクリアはしている。想定だとオリンピックのメダリストが半分くらいは脱落するくらいかな。分かってるめっちゃ高いよね。そこも課題だ。
それはともかく、目の前にいる人間が欲しいものはわかる。
ほら、この限定20個しかない限定もののIS「白騎士」フィギュア*3、ちーちゃんのブロマイド*4付きもあるよー。今なら直筆のサイン*5付きだ。
各国首脳はこぞって食いついてきた。なんだか中学生の写真に群がっている大人という絵面が酷い。ちーちゃん、本当ごめん。
本当にごめん!
そう、ちーちゃんは広告塔だ。アニメまんまの存在が現実にいるんだからそりゃすごい人気だ。全世界初公開です。いっくん、君の姉は世界の女になったのだ。*6
ちーちゃんの関連グッズの売れ行きは女性を中心に物凄い利益になっている。
本人に言ったらすごい顰めっ面されたけど。あはは。
この広告塔が国民に通すための表の面。裏の面は実際に見てもらったほうが早いか。
そう、アニメの再現シーンのPVだ。
実を言うと状況は逆だ。撮影したものを「八足」ちゃんが全力で再現したものになる。三回転撚りからの急制動、それをアクロバティックに。何回もリテイクした回があった。ついでに『私』が作成した臨場感ある音楽付き。無駄に凝り性になった。『俺』の悪い癖。
どうかな、これがISだ。しかも、それを分け隔てなく提供するつもりだ。現実味はないとは言わせない。
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おおむね信用された。
作戦成功!グッズ展開様様だ。これからは世界が事業提携先になる。もちろん無制限に展開されると『俺』は困るから制限を貸させてもらう。
まずは兵器利用の制限だ。宇宙開発を主軸にしたいからね。物質運搬などにも使えるからそこは多少目を瞑るけど、独自で戦争鎮圧に使われて下手に開発戦争されると困る。流石にそれで滞るのは勘弁だ。
これは『私』側でも制限をこっそりつける。ISコアのラーニングに指向性をつける。あまりに暴力的だと情報開示、研究が進みにくいという仕様、
それに従わないとハイパーセンサーの情報処理の負荷軽減が行われなくなる。最近実用に耐えうると判断した量子化技術もだ。この二つを抑えておけば、開発はもどかしいことになるだろうね。事前公開はしない。どうせどの国も試すだろうし。真っ先に。
ISコアは安定供給はしばらく、大体十数年程度は流通制限をさせてもらう。
これは各国から分かりやすく難色を示されたけど理由がある。表向きは制作時間がかかるのと物理的に工作難易度からのブラックボックス化ということにしている。実際、下手に弄られたくないのも事実だし。多分、現行の解析技術だと追いついてないしね。向こう十年は。
本音はISネットワークのパンク防止だ。今までは『俺』の目の届く範囲でしか動かしていたけど、そうはいかない。
情報集積量が十数倍いや数百倍以上になることは容易に想像できるからだ。情報共有の時間も掛かる見込みだし。自己進化プロトコル*7もそれに耐えうるかはぶっつけ本番の未知の領域だ。
その代わり、毎年一定数を各国に供給するつもりだ。キャップ解放という形だ。
ひとまずは世界で467機。他に研究用に随時生産自体はするつもりだ。集合知という力って素晴らしい。
ISの生産工場は深海に敷設したからISじゃないと到達できないと思う。その為に大量の金を稼いでいたのだ。易々と私以外から作られても今は困る。
ノウハウは決して取られないとは言わないけどしばらくは宇宙だけを目指して欲しい。
それに武力で押さえつけるのは反発が大きい。なるべく、国を乗り気にさせるべきだ。
目先の武力より、宇宙開発のアドバンテージを獲得する遠い目標に現実味を帯びさせる。『私』の目的の邪魔をする奴は『俺』というより、世界に対処してもらおう。各国同士で宇宙へよーいどんだ!
それでもダメな時は、その時は考えを改めよう。
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思ったより各国でのすり合わせ*8、国連との連携*9、条約の修正*10なんかで時間を食った。特にISコア開発に必要な2ダース引っ掛かってる条例をそれとなく改変するのが一番大変だった。これでちーちゃんが急にロケット工学に目覚めても大丈夫だ。
それでも数ヶ月で世界でIS条約を可決させた。私でも骨が折れる。手が足りない!後、物理的に時間も足りない!
まさか、自分用のプライベートロケットを開発することになったのは内緒だ。管制官の人に話を通すのが一番めんどくさいのが難点。航空法はねー。寝る暇ないや。
人参カラーにしているのがせめての女子力だろう。*11
流石にちーちゃんは門外漢すぎるから私だけでやらざるを得ない。チョコレートを食べる暇も惜しい。最近はもう原料を一気飲みの方が建設的だ。量子空間の格納難易度も低いし。『私』ながら名案だ。
ちーちゃんもISの教導というかISを教える人を育成している。元の元を作っているってことだ。
『俺』のようにはいかないがちーちゃんも頭がいい。何か国語は大体喋れるし今頃、電話帳並みに分厚いマニュアルを構築しているだろう。今度、差し入れを持って行こう。チョコレートかな。
いっくんに会えない日々が続いているけど、一ヶ月くらいで終わると予想しているからこの時期だけ我慢してほしい。ちーちゃんには頼りきりだ。私も箒ちゃんに会いたい。
アニメーションは流石に手が追えないので開発会社に丸投げせざるを得なかった。IS自体は公表されているので試験導入の形で「八足」の方に出向してもらっている。適宜指示は出しているけど。
実写化もするらしいし、継続的にイメージアップはしていくべきだ。本人役は流石に時間が足りなかった。本物の「白騎士」レプリカを渡しているからなんとかして欲しい。
「白騎士」は一旦、国連に預けて解体。研究材料になっている。一旦、お疲れ様。返却されたらまた第二世代開発用に頑張ってもらうけど。
中に膨大な絵の資料が眠っているけど仕方ないんだ。あの頃は若かった。『俺』は反省はしない。各国の第一世代開発に必要だ。多分。*12
そういえば、研究といえばメインは国が主導している。けど、ハイパーセンサーの親和性が悪いのかあまりいい研究成果が上がっていない。年齢層の問題かもしれない。『俺』とちーちゃんの性能が高すぎるのかも。
それでもイギリス、ドイツあたりは起動実験に成功したという報告も上がっている。それでも数例だ。まだ普及しているとは言い難い。
それにまだ親和性のある研究の下地がある男性も見つかっていない。市井に流石にいると信じたいけど。これは本腰を入れて『私』も精査しないと。
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年が明ける頃に研究所を移設した。元々、ひっそりやるという目的で制作したラボだったんだ。世界の認可が下りて、派手にやれるんなら大きいところに引っ越すべきだ。
春先だったので肩書きは中卒になっちゃうけど。高校は行く意味があんまりない。なんだかんだ美術部のみんな*13にはお世話になった。ので、「白騎士」の原寸大のフィギュアの他に「黒騎士」のフィギュア*14を贈呈した。「黒騎士」グッズはレアだから後輩たちは自慢してもらっていいよ。
ISの研究と副次研究で博士号はもらったしね。
これからは「束博士」と呼んでもらってもいいよ。ただし、箒ちゃん以外。流石に家族だしね。しばらくあってないなぁ。数ヶ月?半年くらいかな。メールではやり取りしている。いっくんとの関係は進展なし。
研究所は人工島を建設して機材搬入用にモノレールも敷設。費用は国連持ちなのですごいことになっている。所属も最寄りの日本じゃなくて国連扱いだ。その代わり研究成果は公開する手筈になっている。
『私』の夢もここまできた。けど、『俺』の夢はまだ終わらない。やっと、スタート地点だ。
けど、現状の人材というハードルが高すぎるのは問題だ。女性だけというのは正式発表されたけど、それも課題だ。
まだ、研究機関は国が主導だし、会社も大企業じゃないとできていない。窮屈な現状だ。
それに各国が勝手に開発しているというのも良くない。私はこっそりISのネットワークで進捗を確認しているけど、やはりライバルというのは必要だと思う。もっと大手を振って争ってもらおう。
だったら、『私』用の研究用の土地より必要なのは。
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大会を開きます。それも世界大会を。
「束、なんの大会だ」
ちーちゃんだ。久しぶり、こっちの生活に慣れたようで何よりだ。まだ、名前もない人工島だからコンビニとかないし、まだモノレールもないからドローンの空輸頼りだけど。『俺』が食べているのカップ麺*15もそれはそれで美味しいよね。
けたたましく重機の音が鳴り響いてなければ。この人工島*16の風物詩だ。
「また、変なことを企んでないだろうな」
またって何さ。確かにこの前のインタビューで肩書きが『時代の風雲児』とか『クールビューティー』とかじゃなくて『天災』だったのはちょっと嫌だった。
そのテレビ局に電撃で殴り込みをかけてお話をさせてもらったけどさ。ISの放映権を決めてるのは『俺』だというのに。
それを伝えるとちーちゃんはどこか遠い目をしていた。なんだ、その態度は。ちーちゃんだって炊事洗濯もろくすっぽできてない癖になんならいっくんがいないとゴミ屋敷になるの知っているんだけど。
「それはお前もだろ」
『私』はそれでもなんとかなっているからいいんですぅ。缶パン*17もおいしいし。
いっくんはまだ学校があるから本島にいるけど。ちーちゃんはこっちに引っ越している。と言ってもいっくんがいるから日中はこっちで夕方は本島に帰っているけど。
モノレールもないのにどうやって往復できるのかって?そりゃもうプライベートロケット*18よ。量子格納のゴリ押しで成立しております。
『俺』はこっちに大体居る。必要な機材は優先的にもらったから、第二世代の開発もしなくちゃいけないし。まだ実証段階だからちーちゃんの出番はもう少し先だ。
私の研究所は少し趣向を変えて建設している。
大会を開くためのIS用のトラックやスタジアムの設立だ。競技種は『俺』が適当に。
初回だから危険になりすぎないように派手なものを選ぶつもりだ。一対一は外せないよね。ロマンだ。後はドラッグレースとかかな。
ちーちゃんにはこの大会に出場してもらう。アニメの主人公のモデルでもあるちーちゃんが出るのは世論もよろこぶだろう。
『私』は主催者なので出るのは自粛する。流石に違うし。
「その話、初耳なんだが」
だって今言ったもん。どうしたの近づいてって痛い痛い、頭が割れる!*19
最近ちーちゃんのスペックも進化していて『俺』の領域というか生身でISと戦える領域に到達しているように思う。一体、彼女と渡り合える人類はいるのだろうか。*20
流石に『私』のお願いだからなんとか通った。よかった。これで国連に話が通しやすくなる。まだ、企画書私の中にしかないけど!これはちーちゃんには言わなかった。目に見えてるし。
大会名は「モンド・グロッソ」世界初めてのISオンリーの大会だ。おっと、各国の予選の会場も抑えないと。審査基準も細かいルールの整備も必要だ。
さて、忙しくなるぞ!
次回、大会編へ