束さんがやっつけちゃうぜ! 作:かきごおり
3/22 15:51
間違って最新話公開していたので一時削除しました
お騒がせしましたことお詫び申し上げます
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今、休暇中の『私』です。国境を越えるのに弾丸軌道を取る必要があること以外は楽しいね。
北極の開発拠点も頻繁に立ち寄ってると国連なりに勘付かれる場合があるので、極力頻度を減らしている。
何よりあんななんもないとこにずっといるとくーちゃんの精神衛生上良くないと判断したので慰安旅行に出向いたのだった。いろんな所を転々としている。
ISコアのネットワーク以外ネット環境がなかった環境にいたから外の情報を得るのも実は久しぶり。ISの開発環境だけは最新情報は入れてたけどどうしてもね。
ISの開発環境は第二世代に突入した。ドイツの射撃重視型「シュヴァルツェア・ヴォルケ」。フランスの扱いやすさと武装の多さの「ラファール・リヴァイヴ」。日本の装甲と速度に長けた「打鉄」などなど。多種多様に開発されている。いい傾向だ。方向性がそれぞれ変化しているため強みができている。
第二世代の最大の特徴「
用途の多様化に対応するための機能で、文字通り後付けで装備を変更することで対応力を強化している。これで機体のパラメータを変動できる。
『私』個人の感想としては、ISには一つ特化したコンセプトがある方が個性が強くなると感じている。ISコアの強化方向もそれに特化したものに適応するので研究に幅がつくのだ。『俺』としては1から作った方が良いと思うのは贅沢な悩みか。
後は普段は仕入れない地元のニュースを新聞で読み流して紅茶を啜る。良い風味だ。くーちゃんの腕前も向上している。紅茶だけだけど。
各国の空気感を味わいたかったけど、偵察中の「ゴーレム」から連絡が入る。少し憂鬱な気分になった。
どうして、技術の発展には暗い利権や争いが生まれるだろうか。誰か偉い人にご教授願いたいね。
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やはりISかと『俺』は嘆息する。どうも、人間に投薬や精神操作をすることで「暴力行為を行なっていない」という判定にして誤魔化しているようだ。面白い試みだけど、『私』には通用しない。
小隊を組んで、IS反応を出している『私』に向かってレーザーライフルやマシンガンなどで襲いかかってくるものの、精神が混濁しているせいで機体性能はガタガタ。『俺』が操作する『ゴーレム』一機にしてやられている始末だ。
後でISコアネットワークに展開前に搭乗者の精神状態を診断して基準値以下の脳波指数なら動かせないといった制約をつけた方が良いだろう。
こういったケースが判明するから組織狩りも手を抜けない要因になっている。しかも、最近は組織だっているのか曲がりなりにも連携をしてくるのだから煩わしい。
コア自体も盗品だ。研究施設から強奪されたもののようだ。一旦回収して折を見て返すとしよう。いつ返すかは未定だけど。結構溜まってきている。
後方待機させているくーちゃんにも連絡を入れて回収だ。肉体的にはさほどでもやはり精神的にはくたびれる。今夜はカレーをお願いしようかな。
はい、「ゴーレム」ちゃんも撤収準備です。残った兵士はどうしようか。国に連絡?でもなぁ、
元はと言えば国が完全に対応していないのが原因でこっちが尻をふいているのに!
とかなんとか考えている『私』に
「そこか!」
砲撃。
別働隊か。この速度なら「ゴーレム」の防御範囲だ。ガードするも、その破片でつけていた隠蔽用の仮面の一部が剥がれる。
隠蔽機能がいまの衝撃でイカれたらしい。野暮用が一つ増えた。
全くもって争いごとに縁を事欠かない。と思っていたが、認識圏内に入って判明したのはドイツ軍の反応だ。
まだ、『私』連絡入れてないけど?
上を見ると赤い目と眼帯をした銀髪の少女。彼女が部隊長か。随分若い。腕からはレールガンが握られている。生身の人間に撃っていいものじゃないと『俺』は思うなー。
他にも三機同型機の「シュヴァルツェア・ヴォルケ」が浮遊している。先ほど戦闘していた第一世代擬きとは違うドイツが誇る最新鋭機だ。
どう対応したものかと、その隊長らしき彼女を見やる『私』だったが。背後から迫るもう一人には気づかなかった。
「もしかして、篠ノ之束様ですか!!サインください!!」
眼帯をつけた短髪の女性が滑り込んできた。それも土下座の形で。流石に『私』も困惑をせざるを得なかった。
しかもその顔は見たことがあるというのがまたどうしようもない。
世界って狭いよね。
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束様の要請を受けて現地に急行した
「シュヴァルツェ・ハーゼ」。ドイツ軍で最近新設された特殊部隊。
ISの仕様上、国防にしか使用できないという制約があるものの、その活躍は目覚ましいとか。ISの欠点の関係で全隊員が女性というのも目立つ要因にもなっているそうですが。
そんな部隊の副隊長でしょうか、女性が束様に縋り付いています。
「やめろクラリッサ!相手は不法入国にして世界指名手配中なんだぞ!何をしているのかわからないのか!」
「いやでも隊長!生束様ですよ!この機会にサインもらわないと何をするっていうんですか!『ヴォルケ』にもサインしてもらいましょう!隊長もほら!」
それを隊長が咎めながらも全力で引っ張っているのにテコでも動いていないクラリッサなる副隊長。
隊長以外の隊員も止めに入るべき状況だと思われるのですが、談笑ムードのご様子。よくあることなのでしょうか。束様も苦笑いを浮かべています。
見ているだけのこっちが頭が痛くなります。
それに隊長の少女、あれはラウラ・ボーデヴィッヒ、私の。いえ、今は語るべき時ではないでしょう。
私の出自も特殊なため、束様からも基本的に公ではこの認識妨害機能を取り付けられた仮面を被るように仰せ使ってますし。
束様のは先の戦闘で故障した様子です。
「そろそろ状況を整理した方がよろしいかと」
喋りながらも乗っていた「ゴーレム」から降りる。ラウラの方は私を見ても無反応。やはり仮面があるからでしょうが、少々思わないところもないです。
促したところで漸くひっぺがしたクラリッサを前にお互いの張り詰めた空気がすっかりと抜け落ちた気配を感じました。
それにしても束様は何故
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ラウラは自分達の部隊の目的、『国内に存在している非正規ISの回収』を明かすと我々に謝辞をしてきました。
束様が定期的に行われている仕事というか気分転換の一つですね。それがたまたま鉢合わせになったという形でしょう。
そうなってくると軍の業務を勝手に手助けした束様。それを本来は拿捕しなくてはならないというラウラ率いる部隊という構図になっています。
問答無用になってもたかが5機のISの包囲網を破るのは束様には造作もないはず。それを知っているのもあってラウラ達は判断を決めあぐねているようです。
そこで束様は提案しました。模擬戦です。折角、ここまで来て帰るだけじゃもったいない。武装も用意しているんだしと付け加えながら。
「では、今回の模擬戦のルールをご紹介させていただきます。審判は私クロ、いえくーちゃんが務めさせていただきます」
『勝った方がなんでも言う事を一つ聞く』という束様の能力からすれば神にも迫れるかというような要求を突きつけて。
「勝敗条件は単純。『シュヴァルツェ・ハーゼ』の皆様は全員がシールドエネルギーの全損、及び戦闘行動不可能。束様は一撃でも本体に攻撃を食らったら敗北となります。その代わり、束様はゴーレムの使用を2機まで使用を許可します。ただし、武装はそれぞれ一種類までです」
「あの、束さんって生身ですよね。実質2対5でISと勝負になるはずが」
「なります」
そう言い切った私に質問をした隊員の一人の表情が凍りつきます。
「寧ろ、舐めてかからない方がよろしいかと。束様はあの『ブリュンヒルデ』の練習相手を務めていたほどなのですから」
実際、ISネットワークに挙げられているものは初期のものしか残っていませんが、閲覧した衝撃は忘れられません。
「他にご質問は?では、これから作戦会議を5分間取ります。束様はハイパーセンサーの接続を解除して地に伏せて何もしないでください。相手の方に目線を送ってもダメですよ。口の形を読んじゃいますから」
「そこまでする?」という非難の表情をしていた束様でしたが、声には出さずに従ってくれました。
私は丸腰に見えるのですが、装備している「黒鍵」のハイパーセンサーでシュヴァルツェ・ハーゼ隊の音声が聞き取れます。
もちろん、束様に送るような無粋な真似はしませんが。束様の沽券に関わりますので。
「では、どうする。『ブリュンヒルデ』のデータは公開されているが、あれと同等の動きをすると思うか?」
「いや、流石にあれほどはないでしょう」
「隊長、アニメ『インフィニット・ストラトス』によれば第七話で登場した束様の動きは防御寄りの万能型。それを参考に組み立ててはいかがです?他にも12話や23話などもあります」
「流石、クラリッサ副隊長。詳しい」
「クラリッサ。あれはあくまでISのプロモーションのための映像作品だと聞いているが?」
「いいえ、隊長。モンド・グロッソで見せた『ブリュンヒルデ』の行動パターンと映像での類似性があってですね。例えば13話のこのシーンなんか」
「…わかった。クラリッサ、お前の意見を参考にする。この中でアニメを視聴したものはいるか?」
とラウラが言うと全員の手が勢いよく上がりました。人気ですね「インフィニット・ストラトス」。
「黒鍵」を通して見ているとなぜかISネットワークには映像作品の全データが残っている*1ので閲覧したことがあるのですが、さすが束様の手腕といったところでしょう。
というか、ラウラも地味に手が上がっています。クラリッサは隊員に丁寧に布教活動をしているようです。
その後、シュヴァルツェ・ハーゼ隊の皆様は映像作品を参考に作戦を立案したご様子。束様が千冬様と違って本職ではないと言う認識があるのでこれぐらいが妥当かもしれません。実際、公の場で束様がISを装備したことはほとんど無いはず。
果たして何分持つのでしょうか。
私の見解からすると持って3分くらいかなとは思っているのですが。やや手ぬるいかもしれないです。
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模擬戦の空間は樹海が広がる平野になりました。出力をお互いに落としているので被害は軽微でしょう。その分、シールドエネルギーの配分は事前に調整して落としてあります。
「時間ですね。では。このコインが地面に落ちた瞬間から試合開始ということで」
両者が肯定したのを確認しました。いよいよ、始まります。
私は手元からコインを出して指で弾きます。ハイパーセンサーで感知するときっかり24回転。5秒ほどで地面に落ちた瞬間。
閃光と異音とともに黒いISは崩れ落ちていきます。
束様の「ゴーレム」の射撃で早速一機撃墜ですね。空中で制御を取れず墜落していきます。
「な!?各自散開だ。数の有利を活かせ!」
動揺は僅かですか。さすがに軍の特殊部隊といったところ。
束様の「ゴーレム」が装備しているのは荷電粒子砲。束様が「白騎士」に搭載した世界初の技術。それを大型化したものが右腕を潰して取り付けられています。「ゴーレム」の特性を活かした武装選択ですね。
再びの荷電粒子砲の射撃を回避していく「シュヴァルツェア・ヴォルケ」達。大型砲なので弾速は目を見張るものですが重量増加が祟って飛行する気配がない「ゴーレム」。ここだけですが「ガンナーゴーレム」とでも呼称しましょうか。旋回能力もさほどない、射撃機能に特化させた機体です。
「ガンナーゴーレム」の緩慢な動きに注目したのか。練習したかと思われる息ぴったりの飛行を見せつつ、マシンガンを構えて十字砲火。同時に煙幕弾も投下。
その位置だと確かに「ガンナーゴーレム」は死角になりますね。
それを防ぐのは突如出現させた2m50cmの
「ガンナー」の隙を「シールダー」で埋める。矛と盾をそれぞれ分散したのが今回の束様のISの編成のようです。動きも先ほど適当にあしらっていた非正規IS達とは違って鋭敏に動いています。
両方ともを
束様の操縦技術は私では理解し難いですね。本当に。
そうやって盾を見せられた以上、皆様は攻めあぐねている様子。ですが、そんなに動きがないと隙になりますよ。
「ぐあっ!?」
このように。
人体では耐えられないようなGも「ゴーレム」なら難なく耐えます。その加速した運動エネルギーをそのままに「シールダー」はその持っている盾で殴りつけました。シールドバッシュです。
勢いそのままに殴られ、大きく隙を晒した「ヴォルケ」に「ガンナー」からの射撃が突き刺さり、そこに再びのシールドでの殴打。敵機は沈黙。
これで2機撃墜。見事なお手並です。
「だったらこっちが!」
防御役が不在、「ガンナー」も射撃直後で動けないとなれば無防備になる束様。確かにいい選択ですが。
一手遅い。その程度なら束様は避けられるに決まっています。
「嘘!?」
純粋な脚力を持って弾幕を鮮やかに掻い潜る束様。あれでISの強化は一切無いのですから驚きです。
そして十分に時間を稼いだので「シールダー」は相手の妨害も無視して帰還。
「あぐ!?」
と見せかけての再びの瞬時加速。焦った相手には視覚外の攻撃。ハイパーセンサーがあるとはいえ人間は常に100%警戒できているわけではない。その盲点を活かした攻撃力をもろに喰らって3機目撃墜。
戦況は2対2。ですが、束様健在なので実質は3対2といったところ。
追い詰められたであろうラウラは呟きます。
「クラリッサ。使う予定はなかったが
「ですが!?」
「時間稼ぎを頼む」
聞こえてきたのは「奥の手」でしょうか。ただ、早々に使わなかった以上何らかの欠点があるのでしょう。時間の制約かコントロールが効かないのかといったような。
その鬼札は苦し紛れか、あるいは諸刃の剣か。
突貫するクラリッサの「ヴォルケ」を2機の「ゴーレム」であしらう束様。
あー。悪い癖が出てますね。本当なら15秒あれば行動不能にできるところをジリジリとシールドエネルギーを削り取っています。綿で締めるように緩慢にそれでも徐々に。
初見の技術を観察しようとする悪癖です。
「どこまで通用するかは分からんが、胸を借りさせてもらう」
ラウラが眼帯を取り外します。片方が赤の目に対して、明かされたこちらの虹彩は金。
あれは「
それに機体から漏れ出すこの靄は一体。
「ヴォルケ」はマシンガンを捨ててワイヤーブレードを展開。そして牽制にかかる「ガンナー」の荷電粒子砲を
あの動きはまるで。
「ぐぅっ」
ラウラの表情は苦悶に浮かんでいます。
あれは、映像記録に残っている織斑千冬様。
その人の動きをコピーいや、そのものように感じられました。威圧感すらも映像越しでも伝わる本人さながらで。
「『
その姿を見た束様の表情。こちらからは伺えません。
黒兎隊のIS保持数が5機に強化。その代わり隊員が1人少ないです
時期的に全員揃っていないのでしょう