ギターとベースを買い間違える設定はそのままに
「よっと…ここでいい?」
「いやぁ、助かるよ実波」
俺が今いるのは両親が今住んでいる関西の都会の街
大阪
なぜ俺がここにいるのかと言うとそれは過去に遡る
「荷物が片付かないから手伝ってくれだって!?」
両親は大阪に引っ越したが未だに引越しの荷物が片付いていないそうだ。玄関はダンボールの山で荷物が多すぎるらしい
「はぁ、分かったよ」
人使いの荒い親だな
でも、たった数日で別れてしまった両親と再び会えるのは少し嬉しい
ゴールデンウィークは丸ごと大阪ってことか
「どうしたの?」
「なんか、俺たちに休暇中に大阪に来てほしいんだって。明日には家出発するから郁代も準備して」
「そうなの?うーん……でも、私ギターの練習しなきゃいけないしバンドの集まりもあるし…うん、私行かない!!」
まだギター買ってないだろ
「えぇ、まだギターすら持ってないくせに。父さんに貰った前借り金で明後日買いに行くんだろ?行かないんだったら俺が楽器屋に一緒について行けないし、1週間くらいこの家を空けるけど、郁代1人で大丈夫?」
「ふん、別に1人で買いに行けるし、1人で生活できるわよ。馬鹿にしないで!!」
「本当に?騙されて変なやつ買ったりしない?」
まじでありえる
「大丈夫だし……そもそも、リョウ先輩を男だと勘違いしてた実波なんかに心配されたくない!!」
い、痛いところをつかれた
「うぐっ、あ、あれは仕方ないじゃん…あいつの格好が悪い」
「あーあ、リョウ先輩みたいにかっこよくて素敵な弟がいたらなー」
さすがにカチンときた
誰が山田みたいなハイエナから守ってやってると
山田関連だとすぐ頭に血が上ってしまうのが難点
「……勝手にしろ」
「い、言われなくても!!」
そして俺は出発するまで郁代と一言もしゃべらなかった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そんなことがあったんだよ。あいつおかしくない?!」
俺は大阪に着くと、すぐに両親に郁代のことを愚痴った
愚痴らずにはいられなかった
「なるほど……それはどっちもどっちだね」
「…はぁっ?」
なんで両方悪いみたいになってんだ
「…なんで?」
「実波は帰ってきて日が短いから分からないんだろうけど、郁代はお前が思っているほどなんでも出来ない子ではない。むしろ過干渉はやめたほうがいい」
たしかに一理あるかもしれない
「た、たしかにそうだけど、でも…」
「お前の気持ちも分かるよ。心配なんだろ。でも、そんな郁代だって遠くに行ったお前に追いつこうと必死に頑張ってるんだ」
えっ、どうゆうこと
「そう、だから僕たちは郁代にあまり干渉しない。やりたいと言うならやらせてみる。郁代にだってお前のような才能があるかもしれない。いや、双子なんだからあるはずだ。僕たちはずっと郁代に期待してるんだ」
「ふふ…そうね。もちろん、あなたにも期待してるのよ実波。日本に帰ってきたからって‘’普通”では終わらないでね?」
えぇぇ…
どうしたんだよ、この人たち
こんな人たちだったっけ
「……うん、分かったよ。父さん母さん」
そして俺は借りた部屋に戻って、ベットに飛び込んだ
なんかどっと疲れた。長旅で疲れたのもあるけど
「めんどくせぇ…」
何も考えたくなくなって
いや気づきたくなくて、そのまますぐ眠りについた
ゴールデンウィーク最終日
初日の件以外は仲慎ましい家族との日々を過ごした
「じゃあ、2人暮し大変だと思うが頑張れよ!!」
「次は2人でこっちに遊びに来てね」
「おっけー、郁代にも伝えとく」
そして新幹線に乗って東京に帰った
「…ただいまぁ」
「……」
何も返事がない
はぁ、仕方ない
俺が折れるしかないか
ボン ボン
ん、なんの音?
2階からなんかの楽器を弾いてる音が聞こえる
あ、郁代ギター買ったんだ
でも…なんかギターっぽくない音だな
初心者はこんな音が出るのか?
親の忠告通り過干渉はしない
そうだよ
今度は自分のことを心配する番だ
俺には他人を心配してる余裕なんてない
だって、まだ学校に親友っぽい人できてないし…
朝なかなか起きれないし…
最近料理サボってレンチンばっかだったし…
うん、改善の余地ありありだ
よし、頑張ろう
郁代だって必死に頑張ってる
そんな彼女に横槍を入れちゃいけない
…見守ろう
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりの学校
相変わらず喧嘩したままなので郁代とは別々に登校する
うぅ、キツイよぉ
どうやったら仲直りできるんだろう
色々対処を考えながら席に座っていると
ガラガラガラッ
なにか嫌な予感…
教室に入ってきた‘’ナニカ”に目を向けると
そこに居たのは
相変わらずのピンクジャージ
そしていつもと違うのは
謎のリングを大量に腕に付け、メタルっぽい骸骨のTシャツ、カバンが埋まるほどの痛々しい缶バッジ、主張が激しいギターケース……
「No, how is it! ?!?」
とうとう僕はこの変質者に話しかけてしまった
(ツッコんでしまった)
すると、変質者は喜んだような困惑したような顔を見せた
「えぇ!え、ええっと……い、いえす、あい、どうー」
やべ、突然の英語で困らせちゃった
「あー、ごめんごめん、日本語に戻します。たしか…後藤さんだよね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
は、話かけられたー!!
頑張ってバンドグッズ付けてきて良かった
私後藤ひとりは自身の勇気ある行動に深く感動
話しかけてきたのは隣の席の喜多くん
整った顔立ちの男の子で身体がスラッとしている
人柄も良さそう
なのになぜかみんな話しかけに来ない不思議な子
最初は陽の者かと思って戦慄していたが実は陰の者であった
そんな彼に私は密かにシンパシーを感じていた
彼も私と同じ!!!
ふふふ…可哀想に
なら、私が友達になってあげてもいいよ!!
チョウシノリゴトウモード
「なんでそんな変な格好してるの?」
「ぐぎゃっ」
こ、これかっこよくないの?バンド女子っぽくないの?
で、でもよくよく考えれば軽音部じゃない私がギターケース持ち歩いてるの変だし、制服着ずにいつもジャージだし…
あれ?まさか私、みんなに不良だと思われてる!?
「す、しゅみましぇ〜ん!!!」ダッシュ
「え!ちょ、ちょっと!?」
恥ずかしくなって教室から走って逃げた
しかし、もうすぐホームルームが始まるので
縮こまり魂が抜けたような顔で静かに自分の席に座った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
悪いことしちゃったかな
彼女の心を傷つけてしまった
俺のこういう所なのかな 喧嘩の原因って
帰り際に後藤さんに謝ろ
「ねぇ、後藤さん」
「!!ふ、不良でしゅみましぇーん!!」
に、逃げちゃった
なんか後味悪いし、しっかり謝ろう
そして彼女の後を追った
あ、見つけた
後藤さんは小さな公園の遊具に落ち込んだ顔で座っていた
「おーい。後藤さーん」
「!!ふへっ!?!?」
彼女はかなり驚いた様子で、かすれた変な声を上げた
「俺、朝に後藤さんに言ったことを謝りたくて。軽率だった、ごめん」
「い、いえ…私が不良だっただけなので…」
なんかよく分からないけど
あの格好には彼女なりの考えがあったのだろう
「後藤さんは学校にギター持ってきてるけど軽音部入ってるの?後藤さんすぐ帰ってるし」
「あっ、い、いえ入ってません…」
「?、ならどうして?」
「ぎ、ギター持っていけばみんな話しかけてくれるかもと思って…」
「な、なるほど」
うん、分かった
この子は努力のベクトルが変な方向に曲がってるんだ
あっ、あのこと聞いてみるか
「ねえ、ギターってどんな音が出るの?ボロンって音?」
「あっ、えっと。ジャンジャンって音です…」
へぇ、そうなんだ
じゃあ、朝の音ってなに??
「あっ、ぎ、ギター見ます?!」
なんか急に後藤さんがグイグイ来はじめた
せっかくだし、持たせてもらう
「ズシッ おお!!すげぇ高そう……」
真っ黒の重量感あるギター
形はレスポールってやつかな。この前調べた
これ絶対高いやつだよ
すると
「あっ!!ギター!!!?」
「ふげっ!!」
大きな声を上げて、誰かが近づいてくる
また後藤さんが驚きで変な声を上げた
なんか聞き覚えある声
あっ、あの人か
「って実波くんじゃん!!?」
「どうも。」
騒ぎながら俺たちがいる公園に入ってきたのは
あのバンドの唯一まともな先輩
伊地知先輩
「え!!実波くん、ギター弾けるの?!」
伊地知先輩は勘違いしているようだった
「いえ、ちがいます。このギターはこの子のです」
先輩は後藤さんの姿を見て自己紹介をし始める
「いきなりごめんね。
あたし下北沢高校2年伊地知虹夏!!」
「ご、後藤ひとりです…」コゴエ
突然の明るい先輩に後藤さんは動揺してる様子
「ねぇ、2人はどんな関係なの??」
「俺と後藤さんはクラスメイトです。今日始めて話しました。あと公園でギター見してもらってます」
「…どーゆう状況??」
たしかによく分からん状況
「あ!ちょうど良かった。実波くん。
今、喜多ちゃんってどうしてる?」
なんでそんな事聞くんだろ
「ん?別に普通ですよ。なんでそんなこと聞くんです?」
「えっと、あのー…非常に言いにくいんだけど…あの子に…今日ライブあるのに…逃げられちゃった…」
「!?へぇっ!?!?」
あいつ…やりやがった
ライブ当日に逃亡なんて、人としてあかんだろ
「っ!すみません!!あいつ、なんて無責任なことを…」
「実波くんが謝らなくていいよ!?それに喜多ちゃんに何かあったのかな〜って心配だったから無事で良かったよ」
な、なんて優しい先輩なんだ
この人は天使なのか?
「ねぇ、ひとりちゃんはギター弾けるの?」
「そ、そこそこかと…」
「そっか!!あのさ…ちょっと今困ってて…無理なら大丈夫なんだけど、困ってて…無理なら大丈夫なんだけど…」
あー、後藤さんにやってもらうのか
大変申し訳ない、うちの姉が
「うん、思い切って言っちゃおう!!!
お願い!!あたしのバンドで今日だけサポートギターしてくれないかなー?!?!」
「ぇぇえええ!?!?」カスレゴエ
「ありがとう!!早速ライブハウスへGO!!」
ちょっとちょっと先輩
まだ後藤さん何も返事してないですよ
郁代の尻拭いを後藤さんだけにやらせるの気が引けるし、俺も手伝うか
「あの、先輩」
「ん、どうしたの実波くん?」
この人の優しさに応えてあげたい
「郁代ってギターボーカルでしたよね。後藤さんがギターやるなら俺……ボーカルやります。てか、やらせてください!!」
「え!やって貰えるなら嬉しい!!けど……ボーカルって目立つし、そういうの大丈夫そう??」
「大丈夫です!!しっかり償うつもりですから」
「そこまで言うならなー…よし、分かった!!じゃあ2人ともライブハウスへレッツゴー!!!」
こうして俺もライブを手伝うことになった
初ライブに実波くん絡ませるか迷ったんですけどボーカルいるのも新しいな!!と思い、今回のを書きました
早く山田と実波くんの仲悪い会話書きたいなー
ぼっちちゃんの陰な感じを文字に出すの結構難しいですね
次は初ライブ回