久しぶりにハリーポッター全部見てみたいなー
たしか、主人公の寮ってサツマハンだったよね?
「ついた。ここだよー」
「どうしたの後藤さん、大丈夫?」
「ま、魔境?」
「たしかに薄暗くて狭くてドンヨリしてナメクジがいそうな所だけど、結構良いところだよ?」
「君そんな風に思ってたの!?!?」
そして俺たちはライブハウスに入った
突然後藤さんが「へへ、私の家ぇ…」とか奇妙なことを言い出した。
ここに来るまでの彼女との会話で分かったことがある
彼女は格好だけでなく行動も変であること
さっきまで初対面だったはずの先輩の髪の匂いを嗅ぎ始めたときは普通に引いてしまった
「そこにいるのがPAさん」
あのピアスの人そんな名前なんだー
ん、それ名前なの??
「いいいイキってすみません…」
急に後藤さんが謝り始めた
「やっと帰ってきた」
「リョウ!!」
「…山田リョウ」
けっ、やっぱこいつもいるか
「この子後藤ひとりちゃん。奇跡的に公園にいたギタリストだよ。」
「ふーん」
「この子はベースの山田リョウだよー」
無表情すぎだろこいつの顔
「あ、男か女かも見分けられない実波もいる」
「うっさい、山田だまれ」
「おー、相変わらずリョウには辛口だねー」
あいつ、弄ってくんなよ
「あれ?おかしい。私の方が年上だったはず。実波は私に敬意を払うべき」
「お前なんかに敬語使うわけない、逆にお前が俺に敬語使え」
「シスコンのくせに生意気」
「しばくぞ」
くそ
こいつと話してると馬鹿になりそうだ
あっ、後藤さんが怖がってる
「だ、大丈夫。俺は怖くないよ。警戒すべきなのはあの青い可燃ゴミだけだよー」
「辛辣」
だってほんとだし
郁代とここに初めて来たとき、帰りに郁代に飯代奢らせようとしてたの覚えてるんだぞ
「後藤ひとりです!大変申し訳ございません!!」
「えぇ、ちょ、大丈夫だから!リョウは顔に出にくいだけ」
俺が1番怖いのは君だよ。後藤さん
「変人って言ったら喜ぶよー」
「嬉しくないし」ニコニコ///
「…クソゴミクズ変人」
「///」
「…おかしい」
変人って言われて喜ぶなんて
やっぱヤバいやつ
「で、実波はなんでここに来たの?あと郁代は?」
「郁代は俺も分からない。最近喧嘩して喋ってないから。その郁代の代わりにボーカルやりに来た」
「ふーん。シスコンでも喧嘩するんだ」
「さっきからシスコンシスコンうるせーよ」
こいつ、俺をなんだと思ってんだ
「あ、そういえば店長が」
「えっ」
伊地知先輩が反応した
「時間まで練習しとけって。あと虹夏が勝手にライブハウス抜け出したこと、怒りながら買い出し行った」
「ひぃ!嘘!?帰ってくる前にスタジオ行こ!!」
店長さんか
この前はいなかったけど、たしか伊地知先輩のお姉さんなんだっけ
「2人とも!!ほら!!」
伊地知先輩が明るい声で俺たちを呼んだ
そういえば後藤さんってギターどのくらい上手いんだろ
さっきそこそこって言ってたけど日本人は大体謙遜するからなー
結構上手いんじゃないか?
あの高そうなギターなら間違いないだろう
「実波くんって結構背高いんだね」
「そういう伊地知先輩は小さいですね。150cmあります?」
「あるわ!!ちゃんと154cmありますー!!!」
「この中で1番上手くて1番偉い私が1番高くなければ…だから実波、縮んで」 アタマググク
「やめろ頭を触るな」
そうして談笑してる間に機材の準備が終わった
「今日やる曲は有名なやつばっかりだから実波くんも歌えるはずだよ!!」
「これなら大丈夫そうです」
「てゆうか実波は歌上手いの?」
「少なくともあなたよりは上手い」
「ほほぅ……図に乗るなよ小僧」
「もー!!早く始めるよ!!」
なぜか途中で胸をドンドン叩く後藤さんゴリラモードになったりしたけど
やっとリハーサルが始まる
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ジャーン ドドン.
演奏が終わった
すると先輩たちは目配せしながら後藤さんの方を向いた
「ド下手だ……」「ぷっ」
「ぇぇぇ、」
うん
たしかに後藤さんの演奏は素人から見ても酷かった
なんか、リズムが全く合ってない
後藤さんずっと下向いてたし
「ま、間違えた!えっと、そのー…」
伊地知先輩がフォローしようとしてるがなかなか言葉が出てこない
「で、でも実波くんは良かったよ!!感情がこもった綺麗な歌声というか…とにかく、バッチリだよ!!」
「たしかに歌は上手かった。だけど私の美声には遠く及ばない」
なんか負け犬の遠吠えが聞こえるなー
でも、早く後藤さんのアフターケアをしないと
「どうも…プランクトン後藤でーす」
「売れないお笑い芸人みたいな人でてきた!!」
すると、後藤さんは高速でスタジオを出ていった
俺たちは後藤さんを探したが、すぐ見つかった
ゴミ箱のなかにうずくまってた
それ汚いからやめなよ
「ねぇ出てきて!!本番はじまっちゃうよ!!」
伊地知先輩が必死に説得する
「やや、やっぱり出来ません!!」
「しょうがないよ即席バンドなんだし…あたしだってそんな上手くないし…」
「私は上手い」フフンッ
「山田うるさい」
山田はいつもうるさい
「とりあえずこっち向いてー!!現実逃避しないでー!!」
「え、MCでも全くお役に立てないですし…あ、ハハハッ!私の命を持ってハラキリショーでも!?バンド名くらい覚えてもらえるはず……」ドヘタデスミマセン グサ
「ロックすぎる…!?」
「お、俺ちょっと気になる、ジャパニーズ切腹…」
「そこ乗らないで!?ひとりちゃんも!……お腹にギター突き刺そうとするのやめて!?!?」
もうこの人にツッコミ全任せしよ
ボケの方は適当こけばいいし楽だ
「大丈夫。ひとりが野次られたら私がベースで
‘’ポムッ”ってするから」
「べ、ベースそんなファンシーな音出ますかね…」
「流血沙汰もロックだから」
「ロックだから」
「ロック免罪符すぎる!!」
す、すごい
後藤さんがツッコミに回ってる
なんて漫才集団なんだこのバンドメンバーは!?
なんかどっと疲れた
あとはこの人たちに任せるとしよう
こういうときの頼れる先輩です
私は後輩特権使います
俺は気づかれないようにスタジオを出てライブハウスを探検してみた
へぇ、なんか飲食店っぽいな。これ無料なのかな?
ほぉ、ステージってこうなってるんだ
結構汚い
そりゃ、機材動かしまくってるからこうなるのも仕方ない
色々見ていると誰かに肩を叩かれた
「あのー。迷子ですか?」
あのピアスのねーさん‘’PAさん”がうろちょろする俺を心配してくれた
「いえいえ、ちがいますよ。俺は伊地知先輩たちのバンドの臨時ボーカルです。彷徨いてるのはただの暇つぶしですね。あ、なんか準備があって邪魔でしたか?なら、すみません」
「あー、そうなんですか。別に大丈夫ですよー。あれ?君この前、喜多さんと来てた子ですよね?たしか双子の…」
「はい、実波です」
「そう、そうでしたね。たしかに、似てますねー」
この人
見かけによらずなんか優しそう
「PAさんピアス凄いですね。」
「そうですか?別に普通だと思いますよー。」
「あの、ピアス開けるとき痛いですか?俺、結構ピアス興味あって…」
「初めは痛いですけど、そのうち慣れますよー。」
インナーカラーの入った黒髪を指でかき上げ、耳を見せながら教えてくれた
うん……色っぽい
べ、別にいいじゃん
大人のおねーさんにドキドキしたってー
えっ、あの先輩たち??
1歳差なんかほぼ変わらんでしょ
「実波くーん!!どこー!?」
伊地知先輩の声だ
やっと後藤さん説得出来たのかな
スタジオに入ると目についたのは異様な四角い茶色の物体
完熟マンゴーと書いてあるどデカいダンボール
その中からひょっこりと後藤さんが顔を出した
えっ、これで今からライブやんの???
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやぁ、ミスりまくったー!!」
「MCスベってたね」
初ライブの感想は…うん
正直に言うと演奏は良くなかった
ダンボールの中で演奏する後藤さんと息が合うわけがなく、リズムはぐちゃぐちゃだった
でも、先輩たち楽しそうだったし
一応、償えたかな
あと、このバンドの名前は‘’結束バンド”と言うらしい
結束バンドって百均の色々止めるやつじゃん
ネーミングセンスダジャレじゃん
俺たちと同じやん
さらに後藤さんは先輩たちに‘’ぼっちちゃん”とアダ名を付けられていた
絶対に山田です
ひ弱な後輩いじめて楽しいですかねえ??山田センパイ??
でも、本人は気に入ってるらしいので別にいいらしい
まぁ、後藤さんだしね
なんか急に眠くなってきた……
「実波くんはどうだった?たのしかった?」
「俺は疲れました。なんか、もうすぐシャットダウンしそうです……」
「いや、大丈夫?!ここで寝ないでよ!?」
「少しだけ、5分だけなんで、絶対起きるんで……」
「それ絶対5分では起きられないやつ!!」
「実波、寝たら顔に落書き」
「やったら、こ〇す」
「おっ、起きたね。良かった良かったー」
山田への殺意で目が覚めた
「あっ、ああの!?!?」
後藤さんが大きな声を出した
急に声でかいな
伊地知先輩怖がってるし
「次はクラスメイトに挨拶できるくらいにはなっておきますぅ!!!」
うんうん、凄いよ後藤さん
1歩前進だよ
なぜか目瞑ってるけど
「でも、そっか…うん。よーし!!じゃあ、ぼっちちゃんと実波くんの歓迎会兼ライブの反省会だー!!」
あれ、俺も入れられとるやん
俺山田とバンド組むの?普通に嫌なんだけど
「あ、今日は人と話しすぎて疲れたのでカエリマース…」ダッシュキタク
「ね、ねむい…」
うわ、伊地知先輩可哀想
結束力全然ないじゃん……結束バンドだけに
「み、実波くんは?!」
どうしよっかな
俺も疲れたし帰りたいけど先輩涙目だしな
でも、俺の返答はもう既に決めてある
「ん?別にいいですよ。飯行きましょ飯」
オナカグギュー!!
そう俺は今、めちゃくちゃお腹がすいている
「おお!!腹の虫が鳴きまくってるね!?」
「?ご飯?!それなら私も行く。実波奢って」
「ばーか、お前にはポテトにかかった塩ですらあげねー」
「うんうん、じゃあ、近くのカストにレッツゴー!!!」
このあと、めちゃくちゃご飯食べた
山田とのこういう絡みずっと書きたかったんですよ!!!
なんか男女っぽくないけど仲良さそうで仲悪くて、かといって平気で悪口言い合えるような関係性……
大満足です
あのお方に影響されております
あと実波くんはバンドには入りません
だってそれじゃあ結束バンドじゃなくなっちゃうし
次はバイト回