死んだ。ヤクザからゴミ以下のような扱いを受け、悪魔からゴミのように罵られ、ゾンビにゴミのように解体され、ゴミのようにゴミ箱へと捨てられた。真っ二つにされたポチタと一緒に。
死体はバラバラで何等分にされたかもわからない。血が、流れでている。デンジから、ポチタへ、つながっていく
ゴクン
「俺は悪魔と戦ってるうちに死ぬかもしれねぇ
「そうしたらポチタだけが心残りだ
「ハラ空かして死ぬかもしれねぇし、ほかのデビルハンターに殺されるかもしれねぇ
「悪魔には…死んだ人の体を乗っ取れるやつもいるらしい
「ポチタにそれができるんだったら…
「俺の体をポチタが使ってくれ
「死んだ後なら多分…ヤクザも追ってこないだろうし
「そしたらこんな町出て…
「そんで…
「悪魔と戦わなくていい、普通の暮らしをして
「悪魔とか関係なく、寿命とか…怖くない死に方をしてほしい
「俺の夢を叶えてくれよ」
デンジとポチタが、デンジの体が、ポチタの命が。
繋がった。
「ポチタ…」
デンジは目を覚ます。ゴミ箱くらいの狭い場所でポチタと目が合った。ゾンビとか、悪魔とか、刺されたのとか、夢だったみたいに、どこもいたくない。あれは夢…?いや、多分違う。夢のようで夢ではない。デンジはそう感じた。
「ポチタ…俺の体、奪えたか?」
デンジが心配するのはポチタの事だった、ゾンビにバラバラにされたことが現実なら、ポチタは約束通り自分の体を乗っ取ってくれただろうか?ポチタが自分の体を使ってくれるのなら、ただ死ぬよりはまだ、そんなことを思った。
「私は…
ポチタがしゃべった。
「デンジの夢の話を聞くのが好きだった
「…これは契約だ
「私の心臓をやる、かわりに…
「デンジの夢を私に見せてくれ」
眼が、醒めた。ゴミの中で暖かさはもうない、胸の上にはゴミだけがある。節々の痛みが、あの悪夢を現実だと突きつける。あれが現実なら?今のは夢だったのか?
「ポチタ!!」
起き上がる。無い、居ない。あるはずの傷が、居るはずのポチタが。ふと、胸を見下ろす。無いはずのものが、あるはずのないものが、居ないポチタを思い出させるスターターが。そこにはあった。
「ポチタ…!」
デンジは理解する、一つ一つ。
すべてが現実であったことを。
ポチタの夢を。
自分はまだ、夢を見続けなければいけないということを。
眼前に広がるゾンビの群れ。その奥に鎮座するゾンビの悪魔がこちらに気づく。
「んん?ばらばらにしても生きてんの!?キモっ!やっぱ僕デビルハンター嫌い!
「みんなァ!!そいつ食べちゃって!!」
その言葉を皮切りに、ゾンビが押し寄せる。
憶病なはずのデンジがその光景に思ったのは、疑問だった。ヤクザだったこいつらは、自分に比べれば十分恵まれた生活をしていたはずだ。なのに、悪魔の力を手に入れてもっといい生活を、と望んだ。
また一つ理解する。
ポチタがいればいいはずだった。なのに、もっとポチタといろんなことをしたかった。いろんなものを食べたかった。誰でもそんな夢を見てしまうのだと理解した。
哀れだと思った。夢を見ることは悪いことじゃない、悪いことではないが。
胸からつながるスターターを引いた。
「俺たちの邪魔ァしたからにはぁ!死ね!」
ヴヴン
三日坊主は最初の一日が肝心です。