まとわりつき、喰らいつくゾンビたち。中心からは血が噴き出ている。
「さすがに喰い殺しぁ死ぬだろ…」
ゾンビの悪魔はぼやいた。噴き出る血は止まらない。チェンソーが轟いた。
「ヴぉらぁっ!」
ゾンビの群れが切り裂かれ、そこにいたのは、悪魔だった。
「なんだオマエ…!さっきの雑魚悪魔が体を乗っ取ったのか…!?
「じゃあ仲間だな!?」
チェンソーが轟いた。
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
目に突き刺さるチェンソー、重力とともにチェンソーは食い込み、ゾンビの悪魔の体を両断した。
その悪魔の誕生を喝采するように、血しぶきが降り注ぐ。
「攻撃しといてなれなれしんだよ腐れ肉!」
死に絶えたゾンビの悪魔の死体をしり目に、デンジはあたりを見る。ゾンビの悪魔の性質か、ゾンビはいまだうごめいていた。そしてそのどれも、見たことのある顔だった。
あいつは俺にタバコ食わせたやつ。あいつは俺にしょんべんかけたやつ。あいつは俺のケツ触ってきたやつ。
あいつは、あいつは、あいつは…
「アンタ達の方は…骨の髄まで悪魔になっちまったみてぇだな」
どんなに醜悪な環境でも、そこは紛れもなくデンジの居場所だった。
だが、それももうデンジにとってはどうでもよかった。
「テメェの居場所は、テメェで綺麗にしねぇとなぁ!
「デビルハンターとして雇われてるからにゃ悪魔は…
「ぶっ殺さねぇとなぁ!」
切り裂く、引き裂く、貫く、
「そっか!てめぇら全員ぶっ殺して、借金パアにすりゃあ、内臓売らなくていいんだなぁ!!!
ギャハハハハハハハハハハハハハハハハ!
「ギャアーハッハハァ!!」
はぁ、はぁ、
廃屋の中に、デンジの息だけが響いていた。ゾンビになっていたとはいえ、元は人間だったものをたくさん殺した。生暖かい血が冷え、徐々に体温を奪っていく。チェンソーにこびりついた肉片が、リアルな重さを感じさせる。
だが、そんなことは全く関係なく、デンジの胸中は非常に穏やかだった。ポチタは多分死んだ。そして自分の心臓になって消えた。悲しい、悲しいが、少しだけうれしかった。
以前、ポチタが突然いなくなったことがあった。必死になって探し回って、疲れ果てて家に帰ったら、家の隅でポチタは泣いていた。ポチタがいなくなったとき、自分はとても怖かった。ポチタは自分の唯一の家族であると同時に、自分がヤクザに飼われている理由、生きていられる理由でもあり、悪魔にだって立ち向かうことのできる武器だったから。それが突然いなくなってしまったら、自分はこれからどうすればいい?そう思ったのだ。
ひどく自己中心的で打算的な感情が自分の中にあると知り、それからしばらくはポチタと一緒にいても妙な気持ちの悪さが自分を苛んだ。
しかし、もうそんなことはない。文字通りポチタと一つになったこの体でなら、もう離れることのないこの状態なら。ポチタと一緒に夢を見られる、夢の続きを追いかけられる。
「先を越されたね」
そんなことを思っていると。廃屋の入り口から声が聞こえる。霞んだ目を声のする方にやれば、うっすらと光が差し込んでいる。朝だ、そんなに時間が経っていたのか。それよりこの姿を見られるのはまずい、隠れるか?デンジは思案するが、体はもう動かない。
「生きてるのがいますね」
見られた。驚かないってことは、デビルハンター?ならもっとまずい。
「キミ変わった匂いがするね、人でも悪魔でもない匂い」
女、女の声がする。目は霞んで見えないが、それなりに姿かたちは整っているように思える。
「キミがこれやったの?」
霞んだ眼が鮮明になっていく、目の前の女は、美人だ。
状況はまずいはずなのに、そんなことに目が行く。デンジhは心身ともに限界を迎えようとしていた。
「だ…
「抱かせて…」
思考もままならないまま、欲望を吐き出したデンジ。体は徐々にその力を失い。
闇の中に、落ちかけた。
ヤ○ザやってる人の心はほぼ悪魔では?
GWの勢いである程度切いいところまで持ってこれました。
評価とか感想とか下さると幸いです。読むの楽しいです。