やはり俺の遊戯人生はまちがっている   作:鳴撃ニド

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ある日の八幡①

「うまく作れねぇなぁ」

砂糖が足りなすぎるのか?

「というよりも、原材料がないのが問題かもしれん」

ま、こっちの世界にはコーヒー豆ってないしな。

作れないのなら致し方ない。

ある程度は割り切らなきゃならんが。

「やっぱり、マッ缶は千葉の水だよなぁ」

そう簡単にはあきらめきれないのが人間である。

はぁ。

水飲みたい。千葉の。




「 」との邂逅②

「マスター、何か勘違いされておられるようです」

 

ジブリールが俺に訂正の発言をする。

 

「何を勘違いしてるってんだよ」

 

「それは、ゲームにおいて賭けるものの内容でございます」

 

うそん。あの赤髪の天然野郎、俺に嘘ついたのかよ。だったら、わざと負けるのはリスクが高いかもしれん。

 

「え、ここの本の閲覧許可と異世界の書を賭けるんじゃないの?」

 

「いえ、賭ける内容は、異世界の書と()()()()()()()()()()()()

 

……pardon?

 

「おい、聞いてねぇぞ赤髪従者。もっとも重要な賭ける内容について嘘つきやがって。俺が国王なら一生飲み物水しか飲んじゃダメの刑にするレベル」

 

「地味にキッツイなそれ」

 

「…性格、ひん曲がってる…にぃ、と…同じ…」

 

「う、嘘なんてついておりませんわぁ!?わたくしも初耳ですのよっ!?あ、あとわたくしの名前はステファニー・ドーラという由緒正しき名前が…」

 

「そういや、アンタには名前まだ話してなかったな。俺は空。こっちは妹の白」

 

「…よろ、しく…」

 

「自己紹介は最後までさせてほしいんですのぉ!?」

 

「うるさい、ステフ…おすわり」

 

「きゃうんっ」

 

白の命令により、犬の様にお座りさせられたステファニー。罰ゲーム中なのかしら。いや、もしかしたらそういう趣味の子で、好き好んでやってる可能性も…さすがにないか。

 

「一応、ステフの言ってることは本当だ。俺らも、ここの本の閲覧許可を賭けてもらおうと思ってたからな。けど、そっちが勝手に賭け金(ベット)を増やす分には文句はないぜ?」

 

空も補足説明する。あの子、嘘はついてなかったらしい。

 

「おい、どうなってんだよジブリール。全員初耳らしいけど」

 

「どうもこうも、異世界の書4万とつりあう等価のものは中々差し出せませんゆえ、勝手ながら賭けるものを私の全てに変えさせていただいたのでございます」

 

「なるほど。ジブリール、お前にとって異世界の書4万というのがそれほどまでに魅力で、自分の全てを投げ出しても得たいほどだとは理解した。そのうえで言おう。却下だ」

 

「なっ、なぜでございましょう!?」

 

いや、言わなくてもわかるだろ。

 

ジブリール(おまえ)の全てを賭けるということは、簡単に言えば、完全支配権を賭けるということ。

 

万が一お前が負けてみろ。俺との役割が被る。まぁ、俺の場合は完全支配とは言い切れないけど。

 

「空がお前に「全裸になれ」という命令を下したとして、俺が「服を着ろ」っつったらお前どうするつもりなんだ。どっちの命令を遂行しても盟約違反だろ」

 

「具体例が意図的過ぎる」

 

「…にぃ、どんまい」

 

わるいな空。俺の中でのお前への意識は、国王から変態へと変わってしまったのだ。

 

「だから、お前が本だけじゃ賭け金(ベット)に釣り合わねぇと思うなら、所有物すべてを賭けるに変更しろ。これなら問題ないだろ」

 

「…本当によろしいのですか?」

 

なんだよ。まだあんのかよ。

 

「私の所有物全てを賭けるのであれば、図書館そのものなどはもちろんのこと、作成した家具、マスターの部屋、さらにはマスターからいただいた小説など全てが賭け皿に乗るということでございますが」

 

「よし。この賭けは俺たちの持つ図書館の本とお前らの異世界の書4万でいいな?」

 

めっちゃ問題あった。ダメダメ。小説は百歩譲っていいとしても、部屋消えるのは致命的過ぎ。

 

「なんか漫才見てる気分だ」

 

「……仲、いい…ね」

 

空と白が俺たちの仲の良さに苦笑する。

 

「仲がいいだと?違うな、こいつのフレンドリーさがなぜかカンストしてるだけだ。会った当時は虫けらみたいに思ってたくせに」

 

いるんだよねー。クラスに一人くらい、みんなと仲良くなりたいですオーラだしてる女の子。そういう子に限ってクラスの端っこにいるような奴に話しかけてきて、「一緒にやろうよ」みたいなこと言いだすから、「お、俺はいいよ」って断ったら、あとで女子トイレの前とかで「あのクソ陰キャ私が誘ってんだからうだうだ言ってねぇでとっととやれよ使えねぇ」ってだべってたりするんだよなぁ。ソースは俺。

 

ちなみになぜか女の子にしかそういうタイプは存在しない。なんでだろう。

 

「マスター、遠い目をしてないで話を進めてはいかがでしょう。あと、私は誓ってそのようなことはしませんのでご安心を」

 

おっと。そういえばこいつは心を読めるんだったな。郷愁にふけって黒歴史を知られてしまったようだ。

 

「こほん。まぁ、アレだ。こっちができる最大限の賭け金(ベット)の上乗せとして、本の閲覧許可ではなく所有権を賭ける。それに伴って、図書館の自由入退室権。ジブリールの持つ知識を最大限活用できるよう、ジブリールは空と白にこの世界の知識を質問されたら虚偽なく答えなければならないという義務を追加。最後に、一度だけジブリールに命令を下す権利をやる。こんなもんでどうだ」

 

「まぁ、マスターのことを考えれば、その程度しか上乗せできませんか」

 

「事実だけど、故意的に俺のせい感を出さないでくれる?」

 

やっぱちゃんと悪意あるだろ。仲良くなんてない。

 

「クソが。同類だと思ったのに。リア充死ね」

 

「…この世、から…消え、され‥‥」

 

空と白がめっちゃ睨んでくる。声が小さすぎてなんつったがわからんかったが、非常に不愉快な気分になった。なんでだろう。

 

「まぁいい。俺たちの賭けるもんが変わらないなら、こっちに文句はない。で、どっちが俺たちの対戦相手だ?」

 

「そんなもん決まってんだろ。ジブリールだ」

 

俺は知っている。こいつらがあの豪運の持ち主クラミーに勝利したという事実を。

 

その勝利方法が実力なのか運なのかはさておき、そんな相手に俺が勝てるわけない。まぁ、ジブリールも勝てるかわからんけど。

 

だったら、勝負に乗らなきゃいいと思うかもしれないが、それはそれで面倒くさい。

 

まず、ジブリールの相手をしなければならないだろう。こいつ、自分が負けないと思ってる節があるから、賭けの対象である4万の異界の書が手に入らなくなるとなれば、今まで以上にちょっかいを賭けてくるに違いない。

 

次に、こいつらの相手だ。この世界はゲームをすること前提で動いている。だから、ゲームの勝敗がつかなければ、どんなことだってできてしまう。まぁ、略奪とかは無理だけど。いいかえれば、略奪、殺傷の類でなければ、どんな嫌がらせだってできてしまう。

 

つまりどういうことかというと、今回のケースでは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。いかに俺たちがゲームを受けないと突っ張ねても、毎日申し込みに来られたらたまったもんじゃない。

 

だったら、一度ゲームの誘いに乗って、甘い蜜を吸わせておかえりいただいたほうが手っ取り早い。

 

それに、この世界の攻略には、多分こいつらが必要だ。あんまり邪険にするのもよくない。

 

「ジブリール、あとは任せるわ。終わったら呼びに来て。見送り位はするから」

 

「マスターは参加なさらないのですか?」

 

「いや、ジブリールと空の勝負だろ。俺必要ないじゃん」

 

「アンタは知らないのか。俺たちは二人で一人。二人で「 」(くうはく)だ。だから、このゲームは俺と白、二人でやる。だからそっちも二人がかりで来てもいいぜ。天翼種(フリューゲル)に勝ったというその実力も見てみたいしな」

 

「ああ、だから二人とも国王なのか」

 

そゆこと。と空は笑う。

 

「いずれにしても俺はやらん。なにより勝てんし、足手まといになるだけだ。ジブリール一人のほうがまだ勝率高いだろ」

 

「アンタは俺たちが勝つと思ってんだな」

 

「そりゃそうだろ」

 

空が俺に問いかける。

 

「俺が言うセリフじゃないが、アンタは見ず知らずのただの人類種(イマニティ)が、天翼種(フリューゲル)相手に確実に勝てると思ってないか?」

 

「だったら、なんだってんだよ」

 

「それは何故だ?なんとなく察しはつくが、アンタの口から聞きたい」

 

だって、お前らのほうが強いじゃん。

 

とかいうセリフを望んでいたわけではないだろう。

 

こいつが俺に言ってほしいのは、多分。

 

「俺も異世界人だからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「えええええええええええっっっっっーーーーー!!!!!????」」」

 

「いやなんでだよ。ステファニーと白はともかく、お前はおかしいだろ空」

 

「いや、俺はてっきりクラミーみたいにアンタが天翼種(フリューゲル)の手先かと」

 

俺も空も読み違えたみたい。恥ずかしい。

 

「まて、今、クラミー()()()()って言ったか?あいつ、どっかの種族の手先なの?」

 

「ああ、あいつは森精種(エルフ)の手先。エルヴンガルドの間者だったんだよ」

 

だからあんなに強かったのか。じゃあ豪運でもなんでもないじゃん。だましやがって。

 

「それよりも俺からも質問させろ。アンタ、テトに呼ばれた口か?」

 

「ああ」

 

「どこから来た?」

 

「日本」

 

「名前は?」

 

「比企谷八幡」

 

「二酸化マンガンにオキシドールを加えたとき、発生する気体は?」

 

「理系は苦手だ」

 

「日曜の朝といえば?」

 

「そりゃプリキュアだ」

 

「お前はもう?」

 

「死んでいる」

 

「間違いないな」

 

「‥‥にぃ、おめがぐっじょぶ」

 

「だから言ってんだろ。というかなんだ最後の質問」

 

「悪い、俺もちょっと信じられなくてな。だが、今のやり取りで確信した。アンタは俺らと同じ異世界人だ」

 

そういうと二人は手を差し出してくる。なにこれ。カツアゲ?

 

「改めて、俺達は空と白。二人合わせて「 」(くうはく)だ。同郷のよしみで仲良くやろうぜ」

 

「…やろう、ぜ」

 

「‥‥ああ、よろしく」

 

そういって、俺達は握手を交わす。白の手がふにふにしててちょっとドキッとしたのは内緒。

 

「ところで友よ。物は相談なんだが、ただで本を貸してはくれんかね?」

 

「馴れ馴れしすぎんだろ。別に俺達友達じゃねぇんだし、ちゃんとゲームして勝て」

 

ぐふぅっと空が腹を抱えてうずくまる。なんだよ急に。

 

「本当に友達だと思ってたわけじゃないが、面と向かって言われるとなかなかきついものがあるな…」

 

「…にぃ、だいじょうぶ‥‥しろ、ずっと‥‥そばに、いる」

 

「ありがとう白。兄ちゃん頑張ってみる」

 

「お前変態の上にシスコン属性までついてんのか救えねぇな。白がかわいそうだ」

 

「変態じゃねぇっつってんだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろよろしいでしょうか」

 

ジブリールが俺達を止めに入る。

 

クラスのハブられ者という点や、シスコンであることといった共通点から、俺達は30分ほど談笑していた。

 

ステファニーがオロオロとしているのは、ジブリールが少し怒ってるからだろう。ごめん。放置してて。

 

「ああ、悪い。何?」

 

「ですから、そろそろゲームの内容の説明に入りたいのですが」

 

「ああ、そういえばそんな話あったな」

 

こいつと話が合いすぎてすっかり忘れていた。うーん。もうゲームなんてしなくていいんじゃない?本貸してあげちゃう。なんならあげちゃう。

 

「悪いな。これくらいにして、またの機会に話そうぜ」

 

「…だな」

 

俺達は話を切り上げ、図書室の地下へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜマスターもこちらに?」

 

「気が変わった。勝負はしないが周りで見てる」

 

なんだよ。ちょっと気になっちゃったんだよ悪いか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達は地下のテーブルに着く。ステファニーを除いて。そして、ジブリールから今回のゲームの説明が行われる。

 

「勝負の方法は「しりとり」。ただし、普通のしりとりではございません。「具象化しりとり」でございます」

 

「具象化しりとり?」

 

「はい、ルールは単純です。普通のしりとり同様、既出の解答をする、30秒答えない、継続不能のいづれかで負けです」

 

「言葉は何語でもいいのか?」

 

「はい。ですが、実在しない架空のものは無効回答となりますので、ご注意を。そして何より、「具象化」しりとりでございます。回答したものがこの場にあれば消え、なければ現れる。これがどういう意味を持つか、もうお分かりでしょう?」

 

ジブリールは空に笑いかける。ねぇ、やっぱりみんなゲームに本気になりすぎてない?

 

「もちろん、ゲームが終わればすべて元に戻りますので、ご遠慮なく知識をご披露ください。なお、プレイヤーに直接危害を加えて死ぬ、続行不可能にすることはできませんのでご注意を」

 

「わかったぜ。よし、白。こっちやこいこい」

 

空が手招きして白は空の膝の上に座る。何あれかわいい。

 

「さっきも言ったが、俺らはいつも通り、二人でやる」

 

「では、わたくしたちも二人で行います」

 

うん?

 

「よろしいですね?」

 

「ああ、望むところだ」

 

ジブリールと空が双方納得する。ならば問題ないだろう。

 

「ステファニー、出番だ。ジブリールとペア組め」

 

「絶対にこの状況私の出番ではないですわっ!?」

 

「その通りでございます。私が組むのはいつだって対等な立場のもののみ。下等な人類種(イマニティ)ごときと組むわけありません」

 

「それは、それで腹立たしいですわ!?」

 

「じゃどうすんだよ。分裂でもする気か」

 

「マスターと組むに決まっているではありませんか」

 

「俺も人類だし、見てるだけって言ったろ」

 

そういうと、ジブリールは周りに光をまとわせる。うおっ。まぶしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、一緒にゲーム、しよ?」

 

なん、だと。

 

そこにあったジブリールの姿は消え。

 

代わりに俺の膝の上には白と同じ背丈くらいの幼女が。

 

いや、どう見てもジブリールなんだけど。

 

それが俺の手を握って真剣なまなざしで見つめてくる。

 

「わたし、お兄ちゃんと遊びたい」

 

く、くそったれ。

 

ジブリールめ。よくもこんな羞恥プレイを。あとでお尻ぺんぺんの刑だ。

 

俺が何とか、羞恥の中で理性を保とうと必死になっていると、俺が何も言わないことにイラついたのか、ジブリールは目に涙を浮かべて。

 

「お、お兄ちゃん、わたし、のこと、ひっぐ。嫌い?」

 

「ばかやろう愛してるわだから泣くなよしゲームしようさっさとしよう」

 

俺にできることはさっさとゲームを終わらせることだけだった。

 

「妹には、敵わないよなぁ」

 

「あれは妹ではないですの」




なんかごちゃごちゃしちゃってすみません。

空と八幡のセリフがごっちゃになりそうなので、

気を付けて書いてはいるのですが

かなり難しいですね。

読者の皆さん、紛らわしくて申し訳ないです。
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