「なぁ友よ。時にジブリール君をどうやって落とした?」
「お前は三つ間違えていることがある。一つは俺とお前が友ではないこと。一つはジブリールを落としてないこと。そして最後の一つは俺とお前が会話していることだ」
「まぁそういうなよ。なんとなく気づいてんだろ?ジブリールがお前に好意を持ってるってことくらい」
「…まぁな。俺は鈍感系ラブコメの主人公ではないからな。なんとなくは気づいていた。だがな、よくよく考えてみればそこまで好かれる要素がないんだよ今までの俺達のやり取りで」
「ま、俺も別に恋愛が得意なわけじゃないし、そう言われてもアドバイスとかは出来ないんだけどな」
「誰もお前にアドバイスもらおうなんて考えてねぇよ非リア」
「黙れボッチ」
ステファニーがまた明日、と俺と会う約束をしたその次の日。まぁ、つまりは約束当日である。
いつもならちょうど9時にジブリールが目覚まし代わりに俺を起こしてくれるのだが、なぜか今日はそれがなく、安らかにすやすやと、12時まで惰眠をむさぼってしまった。珍しいこともあるもんだ。
個人的にはいつものあの目の覚まし方は心臓に悪すぎるので、できればやめてほしいとは思っていたが、それでも突然何の前触れもなく急にやめられると、なんだかさみしいような気がする。
なんだかんだ言って、こっちの世界に来てから一番一緒にいるから愛着のようなものがある。と思う。あれだ。長年一緒にいたペットが急に元気がなくなったみたいな、そんな不安感?
だから、当たり前を取り戻しに行くために俺は今からジブリールを探しに行くのだ。けしてさみしいからではない。
目的のジブリールは、特別探す必要もなく、普通にそこにいた。図書館の中央のテーブルで、ステファニーとゲームしていた。なんだろう。ブラックジャック?
「あ、マスター。おはようございます」
「おう、おはようさん」
いつもなら一つ二つの罵倒が入ってくるような気もするが、なんだか今日はこいつの機嫌がよさそうだ。別に特段気にしているわけではないが、罵倒はされないほうが精神的にもいいに決まってる。
「で、なんで二人してゲームしてんの?なに?ブラックジャック?」
「はい。私がディーラー。ドラちゃんがプレイヤーでございます。なぜやっているかと問われると、少し長くなるのですが…」
「ドラちゃんってステファニーのことか。著作権的にアレな気がするがまぁいい。多少長くてもいいから、説明してくれ」
「承知いたしました」
「八幡!今日こそ
時刻は、朝6時ほどでしょうか。
「はちまーん?いないんですのー?」
図書館の中をウロチョロと歩き回り、マスターの名前を呼びながら探すその様子は、あまりにも礼儀知らずだったので直接私が出向くことにしたのでございます。
「マスターはこの時刻はまだ眠りについておいでです。ですのであまり大きい声を出さないでもらえますか?」
「あ、ジブリール。それは申し訳ありませんでしたの」
そういって声のボリュームを落として、こちらに深々とお辞儀をしてきました。礼儀があるのかないのかわかりませんね。
「では、わたくしが起こしに行って差し上げますわ」
イラッ。どうやらただの礼儀知らずのようです。
「なぜあなたがマスターを起こしに行くのか、説明を求めたいですね。あなたがマスターとお会いすると予定では決まっておりますが、あくまでも良識的範疇のなかで押さえていただきたいものです。そのような身勝手ができる権利があなたにあるとお思いで?」
「そんなこと言ったら、ジブリールがわたくしを止める権利もないと思いますのよ?あくまであなたは同居人という立場であって、八幡の奴隷なのですのよね?主人の客人を不当に返すなんて権利ないですわよね?」
イライラッ。この
「でしたら、ゲームで勝敗をつけましょう。ゲームはそちらが決めていただいて構いません。あなたが一度でも勝てば、私はこれ以上文句を申しません。ご自由にどうぞ」
「それは流石に舐めすぎですのよ?いくら実力差があっても、私の指定したゲームを常に勝利し続けるなんて不可能ですわ」
「でしたら、勝負成立ということで構いませんね?」
「望むところですわ」
「え?てことは、かれこれ6時間くらいゲームしっぱなしってこと?」
「その通りでございます」
「で、ステファニーが全く何も言わないのは、ハンデありのゲームでさすがに勝てるだろうと大見得切った割には、6時間やり続けても一勝も出来なくて絶望してるってことか」
「その通りですわ…」
思ったよりロクな理由ではなかった。まぁ、朝6時からたたき起こされるのは流石に嫌だったので、今回はジブリールを応援する。
「ジブリールの勝利条件は?」
「マスターが起きるまで勝利し続けることが勝利条件でございます」
何その鬼畜条件。まぁ、それをやってのけちゃったわけだけど。俺の安眠を守るため頑張ってくれるのは八幡的に非常にポイント高い。
「で、その俺起きてきちゃったわけだけど、ゲーム続ける意味あんの?」
「もはややる意味は特にないかと。ですのでこの勝負がラストゲームでございますね」
「じゃ、終わったら呼んで。ちょっと本読んでるから」
「承知しました」
ジブリールに終わったら呼ぶよう伝えると、俺は自室に戻って昨日読んでいた本の続きを読む。
ステファニーに邪魔されたからあんまり読めなかったし、今のうちに少しでも読んでおこう。
「なげぇな」
あれから一時間がたった。ブラックジャックでそんなに時間かかるか?
俺は読んでいた本を机の上に置き、二人がいたはずの図書館へと戻る。
二人はまだ勝負していた。そんなに拮抗しているのだろうか。だとしたらちょっと見てみたい気もする。
「おい、まだか」
「申し訳ありません。先ほどのゲームはとっくの前に終わっているのですが、ゲームの終了そのものをドラちゃんが認めないもので…」
「は?これ以上続ける意味ないだろ。負けて悔しいのはわかるが、プライドなんか捨てろ。勝負にいらんもんだぞ」
俺はステファニーにそういって止めるように促す。しかし、ステファニーはカードを真剣に見つめたまま。
「いいえ。まだゲームは終わっていませんの」
そのまなざしは、やはりまだ勝負をあきらめてはいなかった。6時間超えてよくその精神が持つとは思うし、すげぇと思うが、やはり結果は結果。
「いや、もう俺が起きてきた時点で、勝負はお前の負けだ。あきらめろ」
「たしかに、
あー、そういうことね。まぁ、言ってることはわからんでもない。ゲームに一度でも勝てば、ジブリールはステファニーが俺に対して何かしても黙認するという条件でゲームしているから、別に今日に限った話ではないといえば、まぁそうなる。一応筋は通ってるが、正直朝6時に起こしに来るのは勘弁してもらいたい。
とはいえ、ステファニーが諦めそうにないのも事実。面倒だが、ここは俺が折れるしかないか。
「はぁー。わかったよ。もうそのゲーム、好きなだけやれ。ただし、今日の夜12時までに決着がつかなきゃ、お前の負けな。明日には持ち越すな。相手してるジブリールのことも考えろ」
すました様子で、顔には出していないが、ジブリールの羽がピクピク動いてる。なんかうれしい事でもあったのかしら?俺はジブリールに視線を移すと、プイっとそっぽを向いた。嫌われるようなことした?いや、めっちゃしてましたね。
俺はステファニーが座る隣の席に座る。
ステファニーもジブリールも、少し怪訝な顔している。隣に座っただけでそんな顔しないでくれる?
「ジブリール。俺にもカード配れ。暇なんだよ。ブラックジャックなら会話しながらでもできるし、ステファニーに
「‥‥かしこまりました。マイマスター」
そういってジブリールが俺にもカードを配る。Qと7か。微妙。
「あの二人の倒し方が、あるんですの?」
ステファニーが俺にたずねてくる。さすがに「あるんですのぉ!!?」と大声を出す気力はないっぽい。
「ああ、お前が昨日帰ってから俺なりに考えてみた。ヒット」
ジブリールが配った次の数字は6。チッ。バーストした。
ステファニーもバースト。ジブリールの勝利。
次の俺の手札は7と9。いじめてない?ジブリール。
「特別な技術も必要なく、やれば必勝。かつ、空と白はほぼ確実に乗ってくるであろうゲームであり、ステファニーだからこそできる。そんなゲームをな」
「夢みたいな話ですわね。ステイで」
やっぱり、いつものような元気さはなく、ただ真面目にゲームしてるだけになってる。真面目にゲームって何?そんな表現ある?
ちなみにステファニーの手札は10と5。お前も微妙だな。
「それで、どんなゲームなんですの?」
「それはだな…」
俺が昨日、散々ステファニーに空白のいままでを愚痴られて、そこから得た情報から見つけ出した最適のゲーム。その正体は。
「空!わたくしともう一度勝負なさい!」
朝、俺と白が地下の布団で寝ているところをステフが急に襲撃してきた。くそ、まだ深夜36時だというのに。
眠い目をこすりながら俺はステフに問う。
「はーまたかよ。今度は何賭けるってんだ?」
「それはもちろん、空のリア充化ですわ!」
「はいはい分かった分かった。期待してるぜステフ」
「ちょっと!それ全く期待してないですわよね!?ちょっとはわたくしの勝利も考えてほしいんですのよ!?」
ステフの勝利だと?ハッ。信じていたさ。ああ、信じていたとも。いかに俺たち二人に敗北はないとしても、国を思うステフなら、万が一、いや、虚数分の一の可能性で勝利し、俺をリア充にしてくれるはずだと、心の底から信じていたさ。
それを裏切ったのはお前だろぉ!!!?ナニ自分だけ被害者面してやがる!?こちとら散々期待を裏切られてきてんだよ!!!
「ふふん。まぁいいですわ。今日のわたくしは昨日までのわたくしとは一味も二味も、いいえ百味くらい違うんですの」
「じゃあそれはもはやステフじゃないな」
「…ステフ、そのままで、…味、あった…自分の、よさ…なくすなんて…バカ」
「ものの例えですのっ!!」
「それで、やるゲームは?」
「それはですわね…」
ステフは後ろ手に隠していた袋を取り出して高らかに宣言する。
「
‥…な、な、なんだと!!!????
ポッキーゲームというのは、あれか!!!?俺達が元居た世界のアレと同じなのか!!!????
「ルールは簡単。お互いがポッキーの端を咥えて同時に食べ進め、先に唇を離したほうの負け。もしくはギブアップを宣言したほうの負けですわ。全部食べ切った場合はやり直し。いわゆる羞恥心の勝負ですわ」
‥…ああ。神よ。われにこんな機会を与えてくださり、誠に感謝いたします。いままでの向こうの神はくそみてぇな世界しか作んなかったが、こっちの世界の神はなんと優しき事か。
空。童貞十八歳。恋愛経験なし。当然恋人がいたこともない。ゆえに、キスをしたこともない。
俺は、もはや一生、キスどころかかわいい女の子と手をつないでキャッキャウフフなことをするのは不可能だと思っていた。なんだかんだ言って、客観的に見れば、俺に惚れるような奴がほぼいないのは明白だったし。だがしかしどうだ!!??
「それで、やるんですの?やらないんですの!?」
何をそんなに切羽詰まってんだ。安心しろ。やってやろうじゃないか。いや、やらせてくださいおねがいします!!!!
「やるやる!やるぞ!?俺は!!いやーステフ君の頼みじゃ断れないもんなしかたなぐふぇ」
白さんや。肘でみぞおちを思いきり殴るのは止めてくださらんか。
「今回は白が空白として受ける」
「そ‥そんな‥し、白…」
ダメージがひどく、うずくまることしかできない。せっかくの初キスのチャンスだというのに…。
「かまいませんわ」
う、嘘だ…。目の前に人生で最初で最後になるかもしれないキスのチャンスがあるのに、何もできないなんて…。
神よ。ああ、神よ。恨むぞ。そうとも俺は恨むぞ!最初から可能性なんてなかったのかもしれない。そうさ、結末は何も変わってなどいないのかもしれない。だったら、期待なんてさせんじゃねぇええええええええ!!!!!!!
アンケートを実施します。
まだ先の展開ですがこの後にかかわる要素になりますのでできれば回答お願いします。
この後の展開で、俺ガイルのキャラクターを登場させるのはアリ?ナシ?
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絶対ナシ
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どちらかといえば要らない
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どっちでもいいよ
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いたほうがおもろいんじゃね?
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入れろ