やはり俺の遊戯人生はまちがっている   作:鳴撃ニド

17 / 46
ある日の二人(八幡&白)①

「あれ?お前の兄ちゃんどこ行った?」

「…近くに、いる…にぃ、しろ、おいて…遠くいかない」

「ふーん。ま、信頼してるのはいいことだ。もっとお兄ちゃんに頼っとけ」

「…聞きたいこと、ある」

「なんだ?答えられる範囲なら答えてやるぞ」

「…八幡、しろに、やさしい…もしかして、ロリコン?」

「バッカ。お前。俺はロリコンじゃない。ただ年下だから優しくしてるだけだ」

「…?それ、ロリコン…」

「違う。せめてシスコンといえ。お兄ちゃん体質があるだけだ多分」

「…八幡、きもちわるい」

「悪かったな」

「…八幡」

「今度はなんだ」

「…これからも、よろしく‥‥ね」

「…おう」




勝負の行方

ステフと白がポッキーゲームを始めてから約十五分経った。

 

10秒ほどサクサクサクと音がした後、チュッ。というなまめかしい音が薄暗い部屋の中に響き渡る。それから、再びポッキーを咥えて、これを繰り返す。

 

最初の方は、白を少しだけうらやましく感じた。なぜなら、元々あそこに立っていたのは他でもない俺のはずだったのだから。

 

だが同時に、俺は感謝もしていた。そう、俺は忘れていた。俺がこのゲームをやらずとも、それはそれでいい。この空間に居させてもらうだけで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!!

 

白もステフも顔は可愛い。美人といっていい。そんな二人が俺の目の前で何度も何度もキッスをするというのは男の俺にとってなかなかクるものがあるぅ!!!

 

そう、そう思っていたんだ。だが、俺はまだこの時は知らなかった。このゲームが必敗であったということに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポッキーゲーム、ですの?なんですのそれ」

 

隣に座るステファニーがトランプをいじいじしながら俺に問う。どうやらこの世界にポッキーはないようだ。

 

「ポッキーゲームというのはだな、リア充がリア充であることを再確認するためのクソゲーのことだ」

 

「マスター。それではドラちゃんには伝わらないかと」

 

「え?ジブリールは知ってんの?ポッキーゲーム」

 

「空様と白様から頂いた『タブレット』なるものの本から得た知識で知っております」

 

ああ、そういえばあの二人、ジブリールがかわいそうだからタブレットの中にあるやつ見ていいよって渡してくれたんだっけか。まぁ、情報が武器とはいえ、俺達の元の世界の知識が流出して困ることはないだろう。

 

「えーっと。まず、ポッキーゲームは必ず二人で行うゲームだ。ポッキーという細長いビスケット生地にチョコレートをコーティングしたお菓子があるんだが、そいつの端を一人が咥え、もう片方の端をもう一人が咥えてからゲームが始まる。お互いにそのポッキーを食べ進めていって、途中でポッキーが折れたらやり直し。先に口を離したほうが負けだ」

 

「‥‥一ついいですの?」

 

「なんだ」

 

「食べ進めていって、どっちも口を離さなかったら、その、キ、、キ、キスをすることになりますわよね?」

 

「ああ、だからキ、、キ、キスをしたくなかったら口を離すしかない。要するに羞恥心ゲームだ」

 

「真似しないでくださいな!!」

 

ステファニーがちょっと口を膨らませて怒る。なんで女の子ってこうやって可愛らしく怒るんだろう。あざとい。

 

「でも、なんでそれがあの二人に対して必勝ゲームになるんですの?というか、わたくしそのゲームやりたくありませんわ。だって、そ、空と、その、する可能性あるじゃありませんの」

 

顔を赤くしてもじもじと体をよじらせる。まあ年頃の女の子なら仕方ないか。

 

「いや、おそらくだが、お前と空がキスをする羽目になる可能性は低いだろう」

 

「どうしてですの?」

 

「だって、このゲームなら確実に白が出てくるからだ」

 

俺は椅子をステファニーの方向へ向けて姿勢を正す。すると、ステファニーも同様に姿勢を正す。どうやら、重要なことを言うということを読み取ったみたいだ。

 

「いいか?まず、あいつらの強みは()()()()であるということだ。一心同体といってもいい。空ができなきゃ白が。白ができなきゃ空が。どっちも力足らずなら二人合わせて補って。だからこそあいつらは最強なんだ」

 

「そうですわね」

 

「だが、逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。つまり、男子禁制のゲームなら、どんな不利なゲームでも白がやるしかないってことだ」

 

「でも、そんなゲームは乗らないはずでは?」

 

「ああ、だから、ある特定の条件下、つまり空か白のどっちかがでてくるときのみこちらに有利になるゲームで、かつどっちが出てくるかを誘導できるゲームじゃなきゃいけない」

 

「それが、ポッキーゲーム?」

 

「そうだ。お前からの情報では、あいつらはシスコンでかつブラコンだ。勝つためにはキスしなきゃならんというゲームにおいて、異性同士の組み合わせを空と白のお互いが許すはずがない。ステファニーが吹っ掛けたら白が出てくるし、俺が吹っ掛けたら空が出てくるに決まってる」

 

「な、なるほど…」

 

「そして肝なのが、本来ポッキーゲームは羞恥心を試すゲーム。これが必勝ゲームであるということを隠してくれる。これは異性同士だから成り立つのであって、()()()()()()()()()()()()()()()()。まぁどうしても無理っていうやつは同性同士でもいたりするけど。お前は勝つためなら白相手にキスくらいはできるだろ」

 

「ま、まぁ、乗り気ではありませんけど、勝つためなら…」

 

「そうなったら、決着がつく要因は羞恥心ではなく、腹のキャパによるギブアップ宣言しかない。無限にゲームを進めていったら、ポッキーをどれだけ多く食えるかのゲームに変化する。白は体格的に見てもガタイがいいわけじゃないし、年齢的にもそこまで多くは食べられんだろう。つまり、このゲームはステファニーと白のポッキー大食い対決になる」

 

そも、必勝ゲームとは、やる前から結果がほぼ確実にわかっているゲームのことである。たとえば俺とジブリールの100m競争なら魔法を使ってジブリールの圧勝だし、ステファニーと俺のファッション対決ならステファニーが勝つだろうし、白と俺の数学問題集速解き対決とかなら言わずもがなだ。

 

「ただ、吹っ掛けるときに俺の名前を出さないようにしろ。余計な憶測はさせないほうがいい。これなら懸念事項を除いてあの二人に確実に勝てる」

 

「さ、流石は八幡ですわ!感謝いたしますの!これであの二人をぎゃふんと言わせて見せますわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白?なんだか苦しそうですわね?きつかったらギブアップしてもいいんですのよ?」

 

「しろ、まけ、ない…うう、「 」に‥‥‥敗北は、ない…うぷ」

 

ふふん。どうですの?散々バカにしてきた相手に負けるかもしれないという恐怖は!?

 

わたくしも大食いではないですが、白よりは食べられますの。大量に作ったポッキー200本のうち半分がなくなりそうになっているので、私もすっこーし苦しいですが、まだ大丈夫。

 

実際はポッキーを半分こしているので、40本オーバーくらい食べたとおもいますの。

 

「一応言っておきますが、吐いたら負けですわ。当然ですわよね?だってそれ以上ゲームを続けられなかったという証明になるんですから」

 

「ううう…」

 

白が少し苦しそうな顔をしてポッキーの端を口に含み、ゲームを続けていますが、もう私の勝ちは決まりましたわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なるほど。ここ最近あんまり姿を見ないと思っていたが、()()()がバックについてたってわけか。やってくれんじゃねぇか。

 

ステフ相手だからって油断しすぎたな。まぁ、()()()()相手だから油断したんだが…それも織り込んでの策か?

 

いずれにしても、俺がこの状況になるまで全く気付かなかった毒をいとも簡単に仕込むもんだ。なめてたわけじゃないが、もう少し警戒が必要かもな。

 

俺は苦しそうな白を後ろから抱きしめる。

 

「白、ごめんな。兄ちゃんが無警戒なせいで、苦しい思いさせて」

 

すると、白は涙目になって、俺に抱き着いてくる。

 

「…ごめん、ね…しろ、もう、むり…まけ、て‥‥ごべん、なさい」

 

俺は優しく白の頭をなでる。何言ってんだ。相手が()()ならまだしも、ステフだぞ?まだやりようはある。

 

「負けてねぇよ」

 

「にぃ…?」

 

「大丈夫だ。兄ちゃんに任せろ。俺達は二人で一人。二人で「 」だ」

 

俺はステフからポッキーを奪い取る。

 

「さて、ステフ。妹のかたき討ちさせてもらうぜ」

 

「‥ふ、ふーん。い、いいですわよ。当然。ま、まぁわたくしが負けるはずないですし?」

 

「結構。じゃ、とっとと始めようぜ。第二ラウンドだ」

 

俺とステフはお互いにポッキーを咥える。

 

お互いに食べ進め、サクサクサクと音が鳴る。だんだんと距離が近づいていき、ステフの目を俺は見つめる。

 

真っ赤な顔のステフを責め立てるように、だんだん食べるスピードを上げる。

 

あと4cm。

 

あと3cm。

 

あと2cm。

 

あと1―――

 

「う、ううう、うわぁあああああ!!!!!む、無理ですのぉぉおおおおおお!!!!ギブアップですわぁあああああ!!!!!」

 

キスをする直前でステフが口を離す。クソ。あとちょっとでキスできたってのに。

 

なんてな。ま、勝てて何よりだ。ステフに負けるなんて一生の恥だからな。

 

ポリポリと残りのポッキーを食べる。どうでもいいけど、あんまりうまくないなこのポッキー。糖分が足りん。

 

「ううう。まさか、空が出てくるなんて…」

 

「そりゃ出てくるだろ。お前の後ろで知恵を与えたやつがわかれば、対策のしようもある」

 

「な、なんのことか、さっぱりですわねー」

 

ステフが目を泳がせながら白を切る。それでごまかせると思っているのかね?ステフ君。

 

「こんなゲーム思いつくのお前じゃ無理だ。それに、いま確信したが、こっちの世界にポッキーなんてないだろ。だったら、ポッキーゲームを知ってるやつは俺たち以外に()()()しかいない」

 

「…ひきがや、はちまん…?」

 

「そうだ。どうせこのゲームも、魔法で覗き見てんじゃねぇの?だからあえて言わせてもらうぜ。このゲーム、俺達が勝ったが、負けにしといてやる」

 

俺はベッドに後ろからダイブする。

 

「今回俺が勝てたのは、相手がステフだったからだ。これがジブリール相手とかなら、問答無用で負けだった。だから、言わせてもらうぜ。首洗って待ってな」

 

 

 

「今度は俺達が勝つ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けたな」

 

「負けましたね」

 

俺とジブリールは図書館でため息をつく。空の言う通り、結末が気になったので魔法でゲームの勝敗を確認していた。

 

「やっぱ、一筋縄じゃいかんか。懸念事項がドンピシャで当たったし、何よりそれを見抜いて行動したみたいだったし」

 

俺が危惧していた懸念事項。それは、空が出てくることだった。

 

空がゲームに出てきた場合、前提がひっくり返る。まず、ステファニーが空とキスをするのに耐性がない以上、空が先にビビッて口を離さない限り、負けは必須。

 

加えて、万が一キスをクリアしたとしても、おそらくだが、空とステファニーだったら空のほうが多く食べられるだろう。大食い勝負になっても勝ち目はない。

 

「推測でしかないが、空は途中で俺がバックにいることに気づいて、ステファニーと空との勝負を避けたことを読んだ。その上で、ステファニーは空とキスをすることはないと踏んで、あえて自分から攻め、ステファニーの冷静さを奪い、ステファニーが口を離すように仕向けたってところか」

 

「まさに慧眼かと存じます」

 

しっかし、普通にこのゲームあいつらの勝ちだろ。最後になんか意気込んでたけど。

 

厄介ごとに巻き込むのはやめて?まじで。




フラグ成立。

アンケートはおよそひと月ほど受け付けています。

ほぼ結果は変わらないような気はしますが先が長いので念のため。

この後の展開で、俺ガイルのキャラクターを登場させるのはアリ?ナシ?

  • 絶対ナシ
  • どちらかといえば要らない
  • どっちでもいいよ
  • いたほうがおもろいんじゃね?
  • 入れろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。