「…はちまん」
「なんだ?」
「‥‥にぃのこと、どうおもってる‥‥?」
「こっちの手の内を読んでくるような嫌な目をした非モテ童貞コミュ障」
「…じゃあ、白は…?」
「そんな兄を持つ妹」
「‥‥他には?」
「…白、俺にどんなセリフを期待してるか知らんが、ロクな返答は帰ってこないぞ」
「…かまわ、ない。…本心、ききたい」
「…美少女だが無口で何考えてるかわからん女の子。以上」
「…そう」
「…逆に白は俺のことどう思ってる?」
「童貞陰キャ捻くれぼっち女たらし」
「‥‥。」
唐突だが、努力とは何だろうか。
ジブペディア曰く、努力とは目的のために力を尽くして励むことだという。
かの有名なプロ野球選手曰く、努力は必ず報われるという。
であれば、報われない努力は努力と呼べず、何もしていなかったのと等価値であるといえる。
本当にそうだろうか?
受験勉強を必死で頑張り、寝る間も惜しんで机に向かった過去を持つ男の、合格発表の日に泣き崩れているその背中を見て、同じことが言えるだろうか?
上手でない料理を練習し、身だしなみも整えるようになり、趣味や性格まで合わせたのに、憧れの先輩に振り向いてもらえなかった女生徒の顔を見ながら、同じことが言えるだろうか?
結果だけ見れば、彼らは何もしていなかった、怠惰に過ごしてきた一般人と何も変わらないのかもしれない。
だがしかし、きれいごとを言うようだが、彼らの実らなかった努力が何の価値もないわけがない。
受験勉強を必死で頑張ったからこそ、入学後の授業で後れを取ることがなかったり。
自分磨きをしたからこそ、今まで見向きもされなかった他の男からアプローチをされたり。
そう。決して無駄になっているわけではない。無価値でないのだ。
であれば、努力をしないという努力にだって価値があるはずである。
もっと言えば、努力をしないという目的達成のために努力する行為は、相反する事象であるがゆえに決して叶わない夢物語であり、必ず報われない努力の一例といえる。
だから、報われないからといって努力をしていないわけではなく、価値のある努力を俺はしてきたということになる。
「だから俺は今日は寝る。QED」
「よくもまぁすらすらとそのような戯言を思いつくものですね」
「しかも途中納得しそうになるのがうざい」
布団の中でうずくまる俺と、その目の前にいるジブリールと空と白とステファニー。
ステファニーのゲームの後、その翌日に二人してやってきやがった。首洗って待ってろって言われたが、まだ頭も洗ってない。ふざけるな。
いつものように図書館で本を読んでいたら、「おいっすー」という声とともに乱入者が入ってきた。
こいつらの登場とともに俺はダッシュで自室に戻り布団にくるまり、現実逃避しようとしたが、今回はジブリールも敵につき。
「マスターはこちらの世界に来てからゲームについて努力という努力をしておられません。いい機会ですので受けたらいかがでしょう」
だとよ。だから、俺は懇切丁寧に努力をしていることを伝え、おかえりいただこうと思ったのだが、失敗に終わった。げせぬ。
「いやもういいだろ。ステファニーの件なら普通に考えて俺の負けだし。ほら、帰りな。出口までは天使が連れてってくれるから。go back」
俺は布団から腕を出して出口を指さす。
全員やれやれという雰囲気でため息をついたり、顔に手を当てたり、首を振ったりする。
言っとくが俺のせいじゃないからね?君たちのせいだから。ステファニーがあんなになるまでほっといたのお前らだろ。
「つっても、今回は打倒
「え?本当に
「ああ」
空はにっこりと俺に笑う。
空白とステファニーのゲームの間、わずか三日ほどしかなかったが、その間、こいつらは東部連合を倒すため、
その時俺も同席していたので、おおまかな知識は得られたが、まだ勝てるとまで言えるほどの情報はなかったはず。
「やめとけよ。よう知らんが、エルキアって東部連合に何回か挑んで負けてんだろ?それはつまり、俺達人類が
「今まで勝てなかったから次も勝てないなんてのは、そりゃ大きな勘違いだぜ。それに、今まで負けてきたのは俺らじゃない」
まぁ、そりゃそうかもだけど。
「勝算は?」
「なけりゃ呼ばねーよ」
「どのくらいだ?」
「十中八九」
空は自信満々に答える。一度も負けたことがなければここまで自信に満ち溢れることができるのだろうか。
「そりゃすごい。ステファニー。お前から見ての勝率は?憶測でもいい」
「えっと…わたくしには空達が考えてることがわかりませんが、五分五分くらいですの?」
「ダメやん」
異世界の、未知を相手に勝率五分五分の国取りギャンブルだと?正気か?せめて八割までは持っていくだろ。
「ステフの言うこと信じて俺らの言うことを信じれねぇってのかわが友よ」
「ステファニーのほうが一般人目線として客観的にモノを言ってくれると判断しただけだ。それに、最後のダメ押しで俺を使うならまだしも、俺がいなきゃ勝てないっていうなら勝ち筋見直せ。絶対勝てんぞそのゲーム」
「ふむ。確かに他人に頼らなきゃならん時点で、俺らの言う勝ち確という言葉に疑問符を置くのは当然の反応か」
「…でも、このゲーム、はちまん‥‥いれば…かならずかてる。保証する」
ここで、今までずっと黙っていた白が俺に話しかけてくる。
‥‥なんだよ。じっと見つめて。
「…このゲーム、勝たなきゃ…みんな、不幸になる。ディスボード‥‥攻略、できなくなる。…だから、はちまん、白たちを‥‥ううん」
白はそこで一拍置いて、ベッドから出ている俺の右手を両手で包み込んで軽くキュッと握る。
「
‥‥‥。
‥‥。
‥。
しばしの沈黙。そして逡巡。俺の脳内コンピュータが今までにない速度で回転する。
そしてはじき出した結論は。
「ジブリール。白に余計なことを教えるな。罰として一週間異界の書を読むことを禁ずる」
ジブリールが悪い。
「なぁっ!?わ、わたしは無罪でございます!!誓って何も教えてなど…!!!」
「そうでなくとも以前のゲームでロリールになったことから、白への悪影響は免れん。誰が何と言おうと有罪だ。ギルティ」
「そ…そん、なぁ」
力なくふよふよと地面へへたれこんで座るジブリール。そのまま反省しているがいい。
俺は再び白へと顔を向けると、できる限り、真剣に伝わるように言葉を紡ぐ。
「いいか?白。ジブリールの言うことは聞いちゃいけません。これは、お前の将来を思ってのことだ。存在自体が十八禁ともいえるアレの真似をしても、得られるのは変な男を勘違いさせちゃうようなあざとさと変な男に危険な目に合わせられるかもしれないリスクだけだ。白は美人さんだから、将来うようよと周りにコバンザメの様に群がる男どもが現れるだろう。リスクはなるべく抱えないにすぎる。本来であれば絶対に俺は動かんが、今回だけはジブリールの監督不行ということで、白の力になる。だから、絶対に今のを他の男にしちゃだめだからね?」
「…わかった、はちまん‥‥だけにする」
「…ごめんな白、言い方が悪かったな。俺にもしないで?俺は勘違いすることはないけど、メンタルはゴリゴリ削れるから。軽めのボディータッチも含めて、そういうのは白が将来好きになった人だけにしてあげなさい」
「…しろ、はちまんのことも‥‥すきだよ?」
「‥‥ありがとうな。俺も白のこと好きだよ。けどそういうんじゃなくて、敬愛とか、友愛とかじゃなくて、恋愛のほうの好きになった人だけにしてあげて?いい?約束な」
俺はそういうと、無理やり話を終わらせるべく、ベッドから飛び起きて、空と無理やり肩を組む。
そして、小さな声で耳打ちする。
「…おい空。ジブリールは俺が責任をもって白から遠ざける。だから、白が変な方向に進まないようにしっかりと見張っておけよ。お兄ちゃんだろ」
「…当たり前だ。…というかやっぱりお前ロリコ…」
「断じて違う。白を厄災から守るためだ。お前だって妹守りたいだろだったらつべこべ言うな」
俺は白を
「なぁ白。ところで兄ちゃん聞きたいことあるんだけど。さっきのって、本音?それとも演技?」
「…にぃ、おこる‥‥しろ、本気で、あんなこと‥‥‥言わない。ぜんぶ、うそ。ぶらふ。ネゴシエーション」
「お、おう…いや別に兄ちゃんは白があいつのこと好きでも別に文句は言わんぞ?性格はあれだが大切に思ってくれてそうではあるし」
「‥‥にぃの、ばか」
今回はちょっと短めです。
この後の展開で、俺ガイルのキャラクターを登場させるのはアリ?ナシ?
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絶対ナシ
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どちらかといえば要らない
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どっちでもいいよ
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いたほうがおもろいんじゃね?
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入れろ