「空達が来てからいろいろ面倒だったが、やっと帰ってくれたな。これで俺とお前の二人っきりだ」
「おや、マスターは私と二人きりになりたかったと、そうおっしゃるのですか?」
「‥‥悪かった。表現を間違えたみたいだ。訂正する」
「いえ、訂正せずともよいのでございます。マスターが私との時間をそれほどまでに大切に思ってくれているということが分かり、不詳、このジブリール、感激に身を震わせる所存でございます」
「そういうことするからいろんなことが素直に言えないの、分からない?」
「ではお尋ねしますが、私がこのようなことをしなければ、マスターは素直に認めてくださるのですか?」
「‥‥まぁ、前向きに善処して検討する」
「‥‥はぁ、まだまだ先は遠そうでございますね」
「で、
「いろいろ説明するのも面倒だしな。とりあえず、
空達の戦争に参加することになった、というか白のために戦争に参加した俺は、まずは状況確認のため話し合いの場を設けていた。
机を囲むように、席には俺、ジブリール、白、空の四人。ちなみにステフもいるが立っている。また罰ゲームなんだろうか。
「知ってることって言ってもなぁ…俺の知識ほとんどジブリールからの受け売りでしかないから、ジブリールに聞いたほうがいいんじゃね?」
「あくまで今回メインで参加するのはお前だ。従者であるジブリールにも参加してもらうが、その主人がわかんないことがあったら問題だろ。二度手間になるしさっさと言えよ」
ジブリールに押し付けて寝よう作戦は失敗に終わった。
「‥‥
いまさらだが、口に出して言葉にするとやっぱりこの世界おかしいわ。心読むとか物理法則無視ってどんなチートだよ。せめてどっちかにしろ。
「そんだけわかってりゃ上出来だ。まぁ確かに?その情報だけ聞いたら勝てるわけないよなぁ?だが、ここにこんな情報を提供されたらどうだ?」
そういって空は右手を突き出し人差し指を立てる。
「一つ。過去に東部連合に勝負を挑んだ種族、
「おい、悪化したぞ。余計勝てねぇだろそれ」
空は次に中指を立てる。
「二つ。東部連合は勝負の際、必ず相手に「負けた場合はゲームに関しての記憶を失う」と宣言させる」
なるほど。つまり、初見殺しのゲームを毎回やり続け、勝ってきたということか。だがそんなことを知ったところでどうしようもない。重要なのは中身で、それが分からなければ俺達が餌食になるのは間違いない。
空は薬指を立てる。
「最後に三つ。勝負に挑んだ
「ほーん。で、それがなんだって勝てる根拠になんだよ」
「まだわからないか?んじゃ、言い方を変えよう。対東部連合用、すなわち、
「…ん?ちょっとまて。それはおかしいだろ。だって勝負に負けたら全員記憶消されんだろ?内容なんて暴きようがねぇ」
どう考えても、矛盾が生じる。記憶が消される以上、内容を知ることは不可能なはずだ。
「ところが、これが本当なんだなー。よく考えてみろ?自分たちより格下。ましてや負けてるのに八回も勝負を挑むようなバカの記憶を消す必要があると思うか?」
「あー。言いたいことは分かった。つまり、前国王との勝負のときには、記憶消去を行っていなかったってわけだ。だから、「何度も挑んでワンチャン勝てるかも」みたいな感じで思わせるようにわざと手加減して領土ぶんどってたってわけか」
きったねぇ。だが非常に合理的ではある。弱肉強食は世の常だし、弱い奴から奪うのは当然、強いものには屈するほかない。
「けど、だったら不思議だな。記憶消去は行わずとも、「後世に伝えてはいけない」って盟約で縛ってもおかしくなさそうなのに。さすがに「生涯誰にも教えない」っていう縛りくらいはついてたとは思うが…初見殺しじゃなくなるし。まぁ、
「さっすがー。ここで疑問を持つあたり、ステフとは格が違うよなー」
「ううう…」
軽くステファニーをいじる空。これもこいつなりのスキンシップなのだろうか。今度ジブリールにやってみようかしら。いや、多分だが「おい、ジブリール、お前って‥‥やっぱなんでもないわ」みたいになるだろうな。ステファニーと違って非の打ち所なんて特にないし。
「その疑問に対する答えは、簡単に言っちまえばNoだ。あいつらは、単純に
「それこそまさかだ。心を読める種族にそんなトラップ通じるわけねぇ」
心が読めるのならば、駆け引きなど通じないし、こちらの狙いもカンパされる。偶然でないのなら、狙ってやったことになるが、それを彼らが問題ないと判断することはないだろう。
「そんじゃ、ちょっくら試してみるか?」
そう言って空が席から立つ。
「試すって何をだよ」
「そりゃ、あいつらが本当に心を読めるのかどうか、だ」
「でかくねー?」
ジブリールの空間転移でとある建物の前まで飛ばされた俺達。その大きさは元の世界の高層ビルに匹敵する。こっちに来てからはあまり見かけない建物だ。
「身の丈以上のものを作り、必死に背伸びする姿は微笑ましいですね。滑稽で」
「ちょっと?いきなり来て失礼でしょ。俺達の身の丈考えて?」
俺がジブリールにそう突っ込んでいる間に、空達はその建物に向かって歩き始める。
「おい、ちょっとまて。いきなりここに飛ばされたが、何しに来たんだよ。というかここどこだ」
「ここは東部連合の在エルキア大使館でございます。名目上は国王とのコネクションを保つためだそうで。元エルキアの王城でもありますね」
空の代わりにジブリールが説明してくれる。元、ということはここも負けて奪われた土地であるということか。
「ん?ていうかそれじゃだめだろ勝手に入ったら。一応ここ東部連合の土地だろ。ビザ持ってねぇよ俺」
「大丈夫大丈夫。ちゃんとアポはとってあるから。なぁ?」
大使館の目の前には、眼鏡をかけた、白髪の老人がいた。
「ようこそ、エルキア国王、空殿、白殿。東部連合、在次席大使、初瀬いのです。お見知りおきを」
そういってその老人はぺこりと礼をする。一応俺もしておこ。
「いつ取ったんですの?」
「今朝。そこのじいさんが図書館にいた俺を見てたから、身振りで俺達が今から行くって。噂にたがわず
「い、いえ、そうじゃなくて‥‥」
「在エルキア東部連合大使、初瀬いづなに用がある、のですな?」
ステファニーの疑問を遮っていのが要件を言い当てる。でも、こんくらいなら予想はつくよな。
「話が速くて結構。じゃあ、案内してくれ」
「‥‥‥では、どうぞこちらへ」
そういっていのは大使館の中に俺達を招き入れようとする。
「なぁ、いのさん。一つ聞きたいことがあるんだけど。すぐ終わるから答えてもらえないか」
俺はなるべく怒らせないように丁寧な言葉づかいでいのに問いかける。温和な見た目だからってだまされてはいけない。むしろこういうのは怒ったらやばいタイプ。
「‥‥‥なんでしょう?」
「
「‥‥‥申し訳ない。どこかでお会いしましたかな?あいにくと記憶にないようで…」
「ああいや、いいんだ。それだけで十分だ」
そう。本当にこれだけで十分だ。
空達の言ったことは本当だったようだ。
「邪魔して悪かった。案内してもらっていい?ですか?」
「‥‥さようで。では、どうぞ」
「なぁ、ジブリール」
「なんでございましょう」
「これ、何か知ってる?」
空は大使館の中にあるテレビ画面を指さす。
「映像機の一種でしょうか。しかし、はて。
よだれを垂らすジブリール。自重しなさい。
「ふーん」
「おい、お前から聞いたんだろうが。もっとなんかあるだろ」
俺達はエレベーターに乗る。ステファニーが驚いていたところを見ると、こっちの世界にはエレベーターはないみたい。
「しかし空殿。次からは正規の手続きを踏んで、アポを取っていただけますかな?先の件からエルキアに対し、過剰に敵対的なものがおりましてな。事前通達が間に合わず、無礼な態度を取らせてしまい・・」
「言葉をしゃべり二足歩行しても犬は犬でございますね」
「ジブリール、喧嘩売るのやめて?お前にも思うところあるのかもしれんが、お前の発言で俺のSAN値ゴリゴリ削れてるから。怒りオーラ駄々洩れになって肩身が狭い思いしちゃうから」
ごめんね。いのさん。
「あー、ステフ、先の件て?」
「改築競争の件ですわね。他国の大使館が王城より立派では、威信にかかわると、新たに城を作ったんですの」
「ふむ、今の俺らのいる城か」
「それを受けて、東部連合が当てつけの様に改築を重ねたんですのよ。建築技術でもエルキアは東部連合に大きく遅れていて…」
「そうでなくとも、十四位の
「ねぇ、人の話聞いてた?なんなの?俺空気なの?ステルスヒッキーが限界値越えちゃったの?早く謝れよ超怖いんだけど」
「ご安心くださいマスター。マスターには何があっても指一本、いえ、目糞一塵も触れさせませんので」
「それフォローじゃなくて火に油注いでるよね?ジブリール実は俺を殺そうとしてる?」
「うわぁはっは。なかなか面白いことを言いますな。確かに言いえて妙。まして、六位殿に言われるといやはや耳が痛い話で。では、禿げ猿何ぞとつるんでおいでの欠陥兵器は、さしずめ耳糞ですかな?」
「ほら怒っちゃってるじゃん。当たり前だよ。むしろ怒っていいよ。100%ジブリールが悪いよこれ」
「では、こちらでお待ちを」
エレベーターで上がった先でいのにそう告げられ、俺は椅子に座って待機する。なぜかみんな立ちっぱなしだったけど。しかも防音魔法で秘密の話してるっぽいし。作戦会議かな?いや、それなら図書館でするか。じゃあただハブられてるだけだ。なにそれ気づきたくなかった。
しばらくたつと、コツコツと、下駄の音がする。
「お待たせしました。東部連合、在エルキア大使、初瀬いづなでございます」
いのが連れてきたのは、袴に身を包んだ狐耳の幼女、初瀬いづなだった。
「「キングクリムゾン!!!!」」
‥‥はっ!あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは 奴の前でただ座っていただけなのにいつの間にか空と白が目の前から消えたんだ。時が止まったような感覚だ。そしてあいつら、いづなに抱き着いていたんだ。」
な… 何を言っているのか、わからねーと思うが俺も何をされたのかわからなかった。
「ケモミミの麗しき幼女よ~お兄さんと遊ぼうか~な~にただの怪しい人なのですよ~」
「じゃあダメじゃね?」
「何気安く触ってやがる、です」
カチーン。空気が凍る。
空と白は思いっきり距離を取ってプルプルと震えている。白に至っては「かわいさ…マイナス50ポインツ」とのこと。
「なに勝手にやめてん、です。いきなり触りやがったの、驚いただけだろ、です。早く続けろや、です」
ポクポクポク、チーン。
「あー。あのさ、語尾に「です」をつければ丁寧語になるわけじゃねぇぞ、です」
「そ、そうなのか!?です」
「気を悪くせんでくだされ。孫はまだ
いのは中指をこちらに向けて立てて、
「なに人のかわいい孫を汚ねぇ手で触ってやがる禿げ猿!!!死なすぞオイ!!!!」
「…と、言われるような行動は控えていただけると」
「なるほどジジイ。てめぇの影響か」
「…このジジイ嫌い。…マイナス1000ポインツ」
「いや、七割くらいお前らが悪いだろ」
そう言われたのにもかかわらず、空と白はいづなを撫でまわす。
「…でも、いづなたん…ギャップ萌え。プラス1050ポインツ」
「禿げ猿のくせにじーじより撫でんのうめー、です。もっとやれ、です」
いのが背後でプルプルとこぶしを握り締めながら、いづなに空と白のほうが撫でるのがうまいといわれ、ガックシとしている。俺も小町にそんなこと言われたら泣いちゃうかも。
「じゃあ、その禿げ猿っていうのやめよっか。俺は空。そっちは妹の白」
「…よろ、しく。いづなたん」
「がってん、です。空、白、です」
「んで、あそこにいる目が腐ったやつがヒッキーだ」
「ヒッキー言うな。つーかなんだそのあだ名。まぁ比企谷菌よりはましか」
「覚えたぞ、です。ヒッキー、です」
「おい、まちがえて覚えられちゃったんだけど?あんまり嬉しくないあだ名でこれから呼ばれちゃうんだけど」
「…よくわかんねー、です。お前ヒッキーじゃないのか?です」
「…はぁ、もういいよヒッキーで。一応言っとくがいづなだけな。空、ジブリール、絶対にヒッキーと呼ぶなよ」
「えー。いいじゃん別にー減るもんじゃねーだろ?それに白はいいって、やっぱりロリ…」
「SAN値が減るから駄目だ。あと、白は記憶力がいいしわざと俺のことをけなしたりはしないって信頼してるだけだ。いいから仕事しろ仕事。目的忘れんな」
いづなたん萌えー。
この後の展開で、俺ガイルのキャラクターを登場させるのはアリ?ナシ?
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絶対ナシ
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どちらかといえば要らない
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どっちでもいいよ
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いたほうがおもろいんじゃね?
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入れろ