やはり俺の遊戯人生はまちがっている   作:鳴撃ニド

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ある日の二人⑦

「ジブリールの生みの親って、確かアルトシュって言ってたよな」

「はい。今はもうおりませんが、大戦時最も強大な勢力であった戦いの神、神霊種(オールドデウス)の一角でございます」

「そうか。もういないのか」

「なぜ急にこんな話を?」

「いや、まぁ。俺もこっちの世界に来て、親に会えなくなったわけじゃん?だから少しくらいは親孝行しておいたほうがよかったかなってふと思ったときに、ジブリールはしてたのかなって気になっただけだ」

「まぁ、我々にとって、最も喜ばれる親孝行といえば、敵の首を取ってきた時が一番でしたね。そうそう、私思い出したのですが龍精種(ドラゴニア)の首を取ってきたときの我がアルトシュのお言葉と言ったら‥‥」

「やっべぇ。聞かないほうが良かったかもしれん」


宣戦布告のときはなるべく意地汚く

ようやく仕事をする気になったのか、空と白が席に着くと、いのといづなも席に着く。

 

まず最初に口を開いたのはいのさんで、外交が始まる。

 

「では、糞猿の要件、伺いましょう」

 

「思考を読めるなら伺うも何もないだろ」

 

「ここは外交の場。言葉や書面を交わす場でして。猿には難しい話ですかな?」

 

「孫の扱いで負けてキレんなよじいさん」

 

ピキィっといのさんに怒りのマークが見える。いや煽るなよ。何しに来たんだよお前ら。

 

「…大人気、ない」

 

「空様、獣人種(ワービースト)のガラス細工並みにもろい心を刺激しないよう。哀れさに笑いを、いえ、涙を禁じ得ないので」

 

「お前らなぁ、礼儀って知ってる?煽りすぎだよ?いのさんキレすぎて今にも盟約破りそうなほどプルプルしてんだけど?どす黒いオーラ見えちゃってるけど。俺今軽く命の危機感じてるけど」

 

「ご安心くださいマスター。如何にこの低能な獣もどきが怒りに身を任せようとも、「十の盟約」は絶対順守ゆえ、マスターに危害は絶対加わりません。もっとも、それを彼らが理解しているかは別問題でございますが」

 

「それだよ。お前のせいだって。いのさんのせいじゃなくてお前らのせいで危機感じてんだよ。わかってんだろ」

 

「なら、要件を言おうじいさん」

 

空は足を組んでいのさんに告げる。やれやれようやくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お孫さんのパンツを賭けてゲームをしてくれ。こっちはステフのを賭けるから」

 

‥‥‥pardon?

 

「簀巻きにしてたたき出してほしいなら、はじめからそう言え糞猿ゥ!!!!!!!!」

 

いのさんは机にこぶしを振り下ろして怒号する。軽く机が壊れかけているのも見ると、そうとう怒っている。いや当たり前だけどね?むしろいままでよく我慢してたまである。

 

「え?ステフのよりジブリールのほうがいい?」

 

「お断りします。マスターの命ならともかくとして、こんな低能ども相手にわたしが賭けるメリットがございませんゆえ」

 

「そっかー。じゃ白?十一歳児のパンツ欲しがるとはじいさん病気だぞ?それとも‥‥ま、まさか、俺?」

 

「おい、そろそろブレーキ踏め」

 

「なーじいさんダメか?()()()()()()()()()()()()()()()()

 

‥‥あー。なるほどね。そういうこと。まぁ最終確認は大事だしな。まぁだったらいづなじゃなくていののでよかったんじゃない?

 

「もう、てめぇ、本当の要件を話す気ねぇんならさっさとひきとれ」

 

「くさい芝居止めにしない?」

 

ようやく空がいのさんに決定的な言葉のナイフを突き立てる。

 

「思考が読めるなら、パンツを賭けたゲームに乗っとけよ。パンツよりその副次結果、お宅らのゲームをすべて暴いた俺の記憶を消すチャンスだぞ?あ、握手して」

 

空がスッといのさんに手を差し出す。

 

しかしいのさんは警戒して、その手をつかむことはなかった。

 

「警戒したな?図星か?コールドリーディング。獣人種(ワービースト)の優れた五感なしでもちょっとしたコツ、観察力さえあれば誰でもできるやっすい手品で、奇遇なことに俺の得意技なんだわ」

 

「お前のその技術、昔の世界(あのころ)ではほぼ役立たんだろ。なんで身に着けたんだ?」

 

「お前ってなかなか意地悪だよな。周りの空気読んでるうちに身についただけだ。コミュ障万歳ってか?」

 

「ああうん、なんかごめんね?」

 

空が遠い目をし出したので、俺は会話を強制終了させる。俺もあんまり昔のことは触れられたくないし、これ以上は追及しないでおこう。

 

「まぁいい。今の間にじいさんもはったりじゃないという確認が取れたみたいだしな」

 

空がいのさんに向き合う。表情はやはり変わらなかったが、内心はひやひやもんだろう。空を相手にすると言うことは、心をすべて見透かされているような気持ちになる。一対一のゲームを直接してない俺でさえそうなのだ。心中を察することは造作もない。

 

「さって。思考が読めるなんて真っ赤な嘘っぱちと確認が取れたところで、お待ちかね」

 

そう言って空は席を立って、白とともに右隣にあったスクリーンの前まで移動する。

 

「本当の要件といこうか。位階序列十六位人類種(イマニティ)、エルキア王国全権代理者、空と白の名のもとに」

 

「…貴国、東部連合が‥‥世界制覇、最初の、犠牲者に選ばれたこと‥‥祝福する」

 

その異様な空気に、いのさんといづなは眉間にしわを寄せる。

 

「…当方、貴国に対し‥‥対国家ゲームで、大陸にある東部連合の全てを要求する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「対、国家ゲーム?と、東部連合にこっちから仕掛けるって、今、そういったんですの?」

 

ステファニーがおどおどしながら空に尋ねる。

 

「いやここに来る前からそういう話になってたじゃん。いまさらだろ」

 

「で、ですが、空のことだから向こうから仕掛けてくるように仕向けるとか、そういうのだとばかり…」

 

「おいおい、ステフ。そういうのは俺らの本領じゃない。それは八幡の本領だろ?俺らはあくまで、ゲームで勝つ。ま、それも今ほぼ勝利が確定したわけだけど」

 

空は意地汚く笑う。そして、笑いながらいのさんに向かって、

 

「ああ、こっちが賭けるのは、変わらずステフのパンツな。いづなのパンツで手を打っときゃーなー。ざんねん。悪いねじいさん。チェックだ」

 

「それはいったいどういう意味でございましょう」

 

いのさんが反応するよりも早く、ジブリールが空にその言葉の真意を尋ねる。ちなみに俺も理解してない。

 

「これで東部連合は詰んだんだよ。半世紀前、急激に技術を飛躍させた島国、東部連合。けど高度文明は大変でな。どれも大陸資源が必須。だが大陸領土を手に入れる前にエルヴンガルドが仕掛けてきた。誘い受けのゲーム」

 

空が机の上に用意されていた柿を一つ取り、空中に放り投げながら得意げに話す。

 

「だが、最強国に連勝した正体不明ゲームは誰も誘いに乗らん。大陸は手に入らない。犠牲覚悟で負けるべきだった。なぜそうしなかった?順番に謎を解いていこうか」

 

空が俺に柿を一つ投げてよこす。

 

「question1!なぜゲームに関する記憶を消す?」

 

「消さなきゃ勝てなくなる。つまり、初見殺し性能は高いが、バレたらどの種族でもある程度戦えてしまうゲームだったからだ」

 

空が指を鳴らして大げさに反応する。

 

「perfect!だがしかし、記憶を消したとしても、負けたという事実は残る。question2!なぜエルヴンガルドは四回も挑んだ?」

 

「何とかしてゲームの内容を暴こうとしたんだろ。多少負けても大国ならそこまでの痛手じゃないし。負けた事実から、自分たちの得意分野である魔法が使えないゲームで、かつ身体能力に頼りすぎたゲームでないことくらいは暴けたんじゃねぇの?もしくはMだったか」

 

「exactly!エルフがMでないと仮定すれば、それくらいしか理由がない。しかし、ここでも一つ疑問が残る。なぜ四回で挑むのをやめた?」

 

「まぁ、可能性としてあるのはゲームの内容が暴けなくて諦めたか、ゲームの内容を暴いたが勝利方法が分からなかったかの二択だろ」

 

「惜しいな。エルヴンガルドは俺らと違って魔法を使えるエリート様集団だぞ?人類種(イマニティ)ですら八回も挑んでるのに四回挑んだ程度で諦めたりはしないさ。ということはつまり、ゲームはわかったが、なぜ負けたのかが理解不能のゲームだったってことさ」

 

空はもう一つ柿を手に取って、隣にいる白の手に放り投げる。

 

「‥‥でも、そんなゲーム‥‥‥一つしかない」

 

「さ~ぁ盛り上がってまいりましたquestion3!まったく性質の違う種族全てに有効。技術の優れた東部連合だけが持つという、必勝ゲーム。正解は~!!??」

 

「‥‥チート、し放題の…テレビゲーム」

 

「「テレビゲーム?」」

 

ステファニーとジブリールが同時に疑問符をつける。

 

「お前ら二人は知らないよなぁ。でも、ジブリールは以前東部連合に挑んでる。エントランスにあったものを何故見たことがない?」

 

「‥‥そ、それは…」

 

「忘れたんだよ。ゲームに関わる記憶だから」

 

「というかちょっと待て。天翼種(フリューゲル)で挑んだやつってお前のことだったのかよ」

 

「言っておりませんでしたか?」

 

「すまん。初耳だ」

 

なるほどね。あのときのあの質問はちゃんと意味があったらしい。

 

「まぁ、それを抜きにしても、フリューゲルであるジブリールが知らないのなら、この世界にテレビゲームがあるのは東部連合だけだろ?だから記憶を消し隠匿する。なぜなら、自分たちがゲームマスターになり行うテレビゲームなら、チート放題やり放題」

 

「‥‥対戦相手に、それを暴くすべ‥‥一切、ない」

 

「電脳空間を知らなければ魔法も無意味。心が読めるってほらふくのも、チートを第六感と言い張り詮索させないためだろ?」

 

空はいのさんの顔を覗き込む。その顔はまさしく悪魔の顔だ。

 

 

 

 

「そう、あんたらは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

いのさんは無言のまま、空の顔を見つめている。あいにくとその表情はここからは見えないが、どんな顔をしているのだろう。

 

「さーぁlast question!!なぜ俺らはこの答えにたどり着けたのかな?この問題はじいさん、アンタにくれてやる」

 

空は最後に残った机の柿を、いのさんに放り投げる。それをキャッチしたいのさんは、こちらから見える範囲で動揺が見えた。

 

少しばかりのいのさんの思考の後、口を開いたのはいのさんではなく空だった。

 

「そう、問題はそこじゃない。前国王が何かを伝えられた時点で、アンタらは彼の思考を読めていなかった。「生涯誰にも伝えない」って盟約に、死後までは含まれないというトラップをな」

 

「なぁジブリール。やっぱりあいつら人間じゃなくてドッペルゲンガーとかだったりしない?明らかに今のセリフ心読んでないと成り立たないよね?」

 

「いえ。彼らは間違いなく人間でございます。非常に癪ではございますが、我々よりもはるかに優れた読心術の持ち主であるという事実があるのみでございます。もっとも、マスターも同じ人間でございますゆえ、悲観なさらずともよろしいかと」

 

「別に悲観してるわけじゃないし、そもそも俺に読心能力はない。せいぜい空気読むくらいだ。空気を読みすぎてクラスの中で空気と化すレベル」

 

「‥‥お前も苦労してんな」

 

「…ふぁい、と」

 

俺が自虐ネタを披露したばっかりに、空と白が同情して空気が一気に重くなってしまった。なんだろう。通夜みたいな雰囲気だ。ごめんね。

 

「あ、あーまぁいい。ゲームの全ての内容を丸裸にした俺らがこの情報を森精種(エルフ)にでも渡せば、アンタらは遠くないうちにゲームを受けざるを得ない状況にされ、必敗。俺らの記憶は必ず消す必要がある。だがステフのパンツに領土を賭けたゲームなんかしたら、俺の妄想の全面肯定を意味する。ならばここは、全てをただの妄想としたまま、勝負に応じずに逃げるしかないが‥‥」

 

「「逃がすと思った?」」

 

空と白の声がはもる。やっぱり相当仲いいね君たち。義理の兄弟でしょ?俺もあそこまで小町とは仲がいいわけじゃない気がする。

 

「賭け金追加だ。人類種(イマニティ)の全て」

 

空のその宣言と同時に、空達の胸元にチェスの駒、キングの駒のマークが浮かび上がる。どういう仕組みなんだろう。いや、魔法とかある時点で仕組みとか考えても無駄か。

 

「種の駒を賭けよう!!」

 

「ええええええええーーーーーーーーーー!!!!!!!?????????正気ですのぉ~~~~!!!????」

 

ステファニーが思いっきり、もう、鼓膜が破れそうなくらい大声で叫ぶ。隣の席じゃなくてよかった。

 

「これで人類種(イマニティ)の命も領土も全て賭けたことになった。これで逃げても、俺の妄想が正しいと世界に宣伝することになるな」

 

空は今までで一番の意地汚い笑みを浮かべて、こう言った。

 

「自称エスパー。この手は読めたか?」

 

読めるはずがない。いや、エスパーだとしても、読めないだろう。

 

種の駒。もし失えば、神の定めた、いやテトが定めた知性ありしとされる十六の種族からの脱退、すなわち家畜と同じ分類とされ、「十の盟約」の適応外となり、事実上、負ければ死。

 

そんな大きすぎるリスクを背負うものが、本当にいるとは夢にも思わないだろう。冗談半分と流すに決まっている。

 

()()()()()()()()

 

だがしかし、これで、空の中では勝敗が付いたらしい。ゲームをする前から勝負は決まっていると、前に教えてもらったっけか。もうこの時点で、空の勝ちは絶対になったようだ。あれ?じゃあ俺いらなくね?何もしてなくない?

 

「‥‥本当によろしいのですかな?空殿の妄想が正しくとも、エルヴンガルドはその上で負けた。そこに種の駒など賭けて、絶滅したいのですかな?」

 

「…じいさんさ、俺が図書館から意思疎通した件、素直に驚いてりゃ気づけたのにな。俺らがこの世界の人間じゃないってさ」

 

そういって足を組み、背もたれに深々と座る空の姿は、まさしく王者の風格。第一位のそれだった。

 

「こと電子ゲームなら、チートでもツールアシストでも好きに使え」

 

「‥‥‥そんなもので‥‥勝てるほど、「 」は‥‥甘く、ない」

 

やっぱり人間じゃねぇわこいつら。チート使われても勝てるとかなにそれ。お前らがチートだよ。

 

「俺らが来たときさ、「またカモがネギしょってきた」って思った?今度食われるのはそっちだ。獣人種(ワービースト)

 

空の目も、声も、雰囲気も、まさしくそれは狩人のもの。身体能力お化けの獣人種(ワービースト)ですら、恐れおののいている。やはりゲームに関しては最強だな。こいつら。

 

「ま、こんな規模のゲーム、独断じゃできないんだろ?日程は改めて。種の駒を賭けたゲームだ。全人類種(イマニティ)に観戦権があり、こっちは四人で挑む。拒否は認めん」

 

ん?いま四人って言った?っていうことは、空と、白と、ジブリールと、あとステファニーで四人だから、やっぱり俺いらないじゃん。

 

「いいや残念だが、八幡、お前もプレイヤーだ。ノンプレイヤーはステフに決まってるだろ。いても足手まといにしかならん」

 

「ひどいですわぁ!?」

 

「ねぇ、ナチュラルに心読むのやめてくれない?お前あれなの?さとりなの?心を読む程度の能力でも持ってるの?」

 

「よくわかんねー、です。けど、空と白、いづなに喧嘩吹っ掛けてきやがった、です?」

 

いづなもだいぶお怒りの様子。眉間にしわを寄せ、全身の毛を逆立てている。

 

「喧嘩?まさか」

 

「‥‥いづな、たん。今度は、ゲームで…あそぼ」

 

「負けねーぞ、です」

 

「悪いがいづなは負ける」

 

「‥‥「 」に、敗北は、ないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥またね、いづなたん」

 

そういって俺達は帰るために乗ってきたエレベーターに乗る。

 

「ヒッキー」

 

いづなが俺に声をかけてくる。

 

「なんだよ」

 

「おめーもいづなの敵か?です」

 

「‥‥不本意だが、まぁそうなる」

 

「向かってくるなら、容赦しねー、です。叩き潰してやるから首洗って待ってろ、です」

 

「‥‥なぁいづな。俺そんなにゲーム得意じゃないから、俺が相手のときだけはちょっとだけ手抜いてくれない?」

 

「関係ぇねぇ、です。敵なら情けなくぶっ倒す、です」

 

だめかー。




今回はほとんど原作そのままです。

原作を読まなくても楽しんでいただけるようには配慮していますが

原作を読んだほうがより楽しんでいただけるとは思います。

一応、気になった方は書店まで。と布教しておきます。

この後の展開で、俺ガイルのキャラクターを登場させるのはアリ?ナシ?

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  • どちらかといえば要らない
  • どっちでもいいよ
  • いたほうがおもろいんじゃね?
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