やはり俺の遊戯人生はまちがっている   作:鳴撃ニド

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ある日の二人㉒

「ネタが尽きた」

「唐突ですね。私が言えたことではありませんが、メタ発言はあまり推奨しません」

「つってもなぁ‥‥最近投稿してないの、ここに書く内容思いついてないからだったって言ってたし」

「それと普通に忙しいとも言っておりましたね。今日の話も妙に短いですし」

「違う。今回の話が短いんじゃない。普段がそこそこ長いんだ。他の2次創作見てみろ。ところどころスッカスカのやつあるだろ。それに比べたらまだマシだ」

「自分の努力不足を他人と比較して正当化するのは良くありませんね」

「まぁいい。ネタ切れなのは変わりないし、無理に作っても普通のものしか作れないに決まってる。なら、専門家に聞きゃいい」

「専門家、ですか」

「視聴者にどんなアナザーシチュエーションが見たいかとか、どういう内容の話が見たいとかコメントして貰えばいい。そうすりゃネタは尽きないし、コメント数も稼げる。ワンチャン評価も上がれば儲けもんだ」

「他人に仕事を丸投げしているだけでは?」

「違うな。アウトソーシングだ。ジョブローテーションだ。ワークシェアリングだ」


ただ起きて踏んだだけ

目が覚めると、そこは雪国だった。

 

なんてことはなく。どっからどう見ても連れてこられたオーシェンドの一角であることに違いはなかった。

 

あたりには魚が多く漂っており、海底都市であるということを思い出させる。当然ゲームをするにあたって水に浸かることは覚悟していたが、思ったより不快感がすごい。自由に体は動かせず、魔法によって水の中でも呼吸ができるとはいえ、違和感は否めない。

 

すでに空と白、ジブリールは活動を始めており、あろうことか(くだん)の女王まで起きて空に土下座をしているではないか。なんやかんやと騒いではいるが、ろくなことではなさそうだ。

 

何が起こっているか知らないが、とりあえず未だ誰も俺が起きたことに気づいてはいないらしい。触らぬ神に祟りなし。うつぶせポジションへと移行し、眠くはないがもう一度目を閉じてみる。

 

「‥‥‥」

 

やはり寝れないか。夢の世界へと旅立つことで現実逃避しようと思ったのに。まぁいいか。ほとぼりがさめるまではしばらくこのままで‥‥

 

そんなことを考えていると、唐突にその目論見が崩れることとなる。

 

目を閉じた状態で感じ取れるものは音とか気配とかそれくらいしかないのだが、だからこそと言っていいだろう。俺が瞬時に危機を察知し避けることができたのは。

 

「おはようあなた!結婚して!」

 

「!?」

 

聞き捨てならないセリフとどう考えても近づいてきているとしか思えない水の流れで、ライラが俺に迫ってきていることに気づいた俺は、急いで飛び起きてライラのハグを躱す。

 

そのまま地べたにでも頭を打ってくれればよかったのだが、流石は人魚と言ったところで上手い事方向転換して再び俺へと狙いをつける。一度目は不意を突いてなんとか躱すことができたが、二度目はそうもいかず、不慣れな水の中ということもありあっさりと捕まってしまった。

 

「ふふふ。捕まえたわよ。あ・な・た♡」

 

「人違いです」

 

完全にホールドされて動けない。こいつには足がないはずだから、腕だけで拘束しているのだろうがちっとも外せない。そんなに非力ではなかったはずだが。やはり水の中ではアウェーであるということを再度自覚した。

 

「ねぇ‥‥あなたも私を虐めて?」

 

目にハートマークを浮かべながら、罵倒しろ、という要求をしてくるライラ。夢の中とのギャップが激しく、一見とち狂ったのかと思う彼女の発言であるが、それが彼女の本心だった。

 

彼女が過去に読んだ本。ステファニーが見つけたその本の名前は『ごうまんおひめさまのたからもの』。

 

内容はいたってシンプル。愛も富も美もすべてを持っているお姫様が、調子に乗ったばっかりにとある男に刺されて死ぬというつまらん話だ。これのどこに感動する要素があって眠りについたのか甚だ疑問ではあるが、ともかく彼女はこれを読んで王子様の存在を待ちわびた。となれば、彼女が欲したものは大体予想がつく。

 

ライラはこの本のお姫様に自分を重ね、唯一手に入らなかったものが欲しいと思い込んでいたのだ。唯一手に入らなかったモノ。それはすなわち、お姫様を刺した男の愛である。

 

ライラはそこから、自分が望んでも決して手に入らない愛を欲した。自分がどんなに魅力的であろうと、どんなに富を持っていようと、どんなに相手に惚れていようと関係なく、一度たりとも振り向かない。つまるところ、()()()()()()()()()が欲しかったのだ。

 

過去ゲームに参加した人たちは、ライラを起こすためにあらゆる美辞麗句を並べ立てただろう。そりゃあそうだ。惚れさせるゲームなんだから、まずは自分が惚れているという姿勢を見せなければスタートラインにすら立てないと考えたことだろう。

 

それが完全に悪手で、まさか冷たく当たって振ってやることが正解だなんて考えもつかないだろう。まぁもっとも、俺もここまでとは思っていなかったけど。冷たく当たるどころか、罵倒されるのを望むレベルであるとは‥‥。

 

「だから人違いなんで。そういうのはあっちの写真撮ってる不健康そうな男に言ってください」

 

「誰が不健康だ。起きて早々それかよ」

 

「‥‥まぁ、空様って目つき悪いですもんねぇ‥‥」

 

()()()()にはもう踏んでもらったもん!だから、今度は()()()に踏んで欲しいのッ!」

 

空に役目を押し付けようと思ったが、すでに餌食となっていたようだ。ちらりと空のほうに視線を向けると、心なしか顔が死んでいるような気がする。気分が悪いなら写真撮ってねぇでさっさと帰れ。そして俺も帰らせろ。

 

だがまぁ律儀にライラの言うことを聞く必要もない。このまま抱き着かれていたところで何かされるわけでもないし。いざとなったらジブリールを呼べば済む話だろう。

 

ライラは抱き着いたままでむーっ!とうなり、不機嫌そうな顔を浮かべていた。ぐりぐりと自らの足‥‥いや尾びれ?を体に押し付け、重みが増してくる。何をしているかは知らないが、そのまま諦めてくれないかなーとか悠長なことを考えていると、ついにしびれを切らしたライラがとんでもないことを口走った。

 

「踏んでくれないなら抱きついたままセッ〇スしちゃうよいいのッ!?」

 

「OKわかった。踏んでやるからとりあえずその腰に伸ばした手を放していったん俺から離れろ。今すぐ」

 

『十の盟約』で身の安全は保障されているにも拘らず、危険を感じて反射でOKしてしまった。海棲種(セイレーン)とのセッ‥‥交配は、他種族には恐れられていることで有名だ。女性しかいない個体であるから種の存続には他種族の男をとっ捕まえて交配するしかないのだが、そのお相手となる男の方は死ぬまで搾精され続け、干からびて死ぬことになるという。エロいことに興味がないわけではないが、それで死ぬのは勘弁願いたい。

 

俺のその発言を聞いてライラは俺から距離を取り、滑らかに土下座の姿勢へとシフトチェンジした。そんなに踏んで欲しいの?流石にそこまでの姿勢を見せられると‥‥

 

「キモ‥‥」

 

「はぅあっっ!!!は、はぁあああ~~~~っ!さ、流石私の王子様♡‥‥体だけじゃなくてちゃんと言葉で罵倒することも忘れないなんて‥‥♡」

 

ヤバイわ。本物だこいつ。ついうっかり口にしただけでこの反応。ちょっと耐えられる気がしないかも。とっとと終わらせよう。

 

土下座しているライラの頭に、足を乗っける。

 

「‥‥」

 

「もっと強く!」

 

「ええ‥‥はぁ、これでいいか?」

 

軽く頭に乗っける程度では満足いただけなかったので、気持ち強めに踏んでみる。

 

「ああっ!幸せ‥‥って痛った!痛たたたって超痛い!ほんとに容赦なっ‥‥ああすっごいコレ!拒絶されてる感半端ないわ!やっぱりあなた最っ高に痛いっ!」

 

「お前‥‥手加減とかねぇの?」

 

「アホこけ。別に本気で踏んだりしてない。せいぜい9割後半だ」

 

「もうそれは本気と同義なのでは?」

 

「ああんっ♡もうこれ以上私を惚れさせないで!痛った!そんなに本気で踏まれたらもう私‥‥虜になっちゃ痛い!」

 

「なぁ八幡くんよ。会話にならないから一旦踏むのやめてはくれんかね?痛い痛いうるさいし、見てるこっちが頭痛くなってくる」

 

「いや別にやりたくて踏んでるわけじゃないし。ライラに言えよ」

 

「ダメ!やめないで!こんなに痛いの初めて‥‥ってちょっ‥‥力強くなってない?一応本気じゃないって嘘じゃ無かったの痛い!痛‥‥ちょっと待って無言で力強めないで痛たたたたたっ!あのごめんなさい本当に痛いわ。こっちから言った手前アレだけどそろそろ気絶しそうなの足どけてくれないかしら痛いっ!」

 

 

 

 

「空、アレ、何やってる、です?」

 

「見ちゃダメだぞいづな。アレはいづなにはまだ早い」

 

「‥‥強いて、言えば‥‥‥‥しつけ?」

 

「仮にも全権代理に何してるんですかぁあの人…」




コメントお願いします。


いやホント、短いジブリールとの会話のネタって難しいんですよね。
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