せめてISに乗らせてくれませんかねぇ!?   作:とある物書きMr.R

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推奨BGM フリージア


【間話】いつから原作イベントが原作の時期ピッタリに来ると錯覚していた?

「花見?」

 

 

 模擬戦から2~3日経った金曜日のお昼休み、私は織斑からお花見のお誘いを受けていた。

 

「おう、俺IS適正が判明してから結構窮屈な生活でさ。ロクに花見もできなかったんだ。千冬ね……織斑先生に聞いてみたら学園の敷地内だったら別に良いって言ってくれたしレオもどうかなって思って」

「私もほとんど軟禁状態だったし、何なら私の機体にバグが見つかってからは各種メンテでもう缶詰だったからなぁ……ありがたくご一緒させてもらう、よ……?」

 

 語尾が疑問形になったのには理由がある。

 なんか、こう、見ているのだ。織斑の後ろ数メートル、柱の陰から篠ノ之さんがじーっと。どこか恨めしそうに。

 その瞬間私の脳裏に電撃が走った。

 

 

「なぁ織斑。ちょっと聞いてもいいか?」

「なんだ?」

「今回の花見って、織斑の発案か?」

「いや、箒の案だぞ。でもせっかくの花見だし2人ってのもなんだしさ……どうした? 天井に何かいたのか?」

 

 

 んんんんんんんんんんんん!!!!!!

 違うよ織斑君。君のクソボケっぷりに天を仰いだんだよ。

 チラと篠ノ之さんの方を見やると、彼女は何かを諦めたような顔で笑い、軽く頷いた。強く生きて篠ノ之さん……

 

 

 

「いや、虫だと思ったんだが気のせいだったよ。

 そういうことなら何かつまめるものとかもあった方が良いな。適当に用意しておくよ」

「おっ、いいな! じゃあ明後日の日曜にな!」

 

 かくして、どこか煤けた篠ノ之さんを置いてけぼりにしながらも、少し遅れた花見が決定したのだった。

 ごめん篠ノ之さん、割り込んじゃってホントごめん……

 

 

 ※※※※※

 

 

「なぁ織斑さんや」

「どうしたレオさんや」

「お前さん、一体何人誘ったのよ」

「誘ったっていうか、いつの間にか増えてたっていうか……」

 

 日曜日、花見会場を予定していた場所には、大きく広げられたビニールシートと、既にワイワイと始まっているクラスメートの『みんな』の姿があった。

 

「なんだ、結局一夏とふたりっきりなんて夢のまた夢……」

「篠ノ之さんが灰になってる!?」

「しっかりして! 諦めちゃダメだって!」

 

 今強い風が吹けば篠ノ之さんどっかに飛んでいくんじゃないかな……

 

「あ! 織斑君にシキシマ君だ!」

「来たわね今日の主役!!」

「囲め囲め~!」

 

 そして私たちは私たちであっという間にクラスメートたちに囲まれ、混沌のるつぼに叩き込まれたのだった。

 

「織斑君って休みの日とか何やってるの?」

「趣味とか教えて!」

「てかラインやってる?」

「シキシマ君ってどんなタイプの子が好きなの?」

「その話詳しく聞かせてくださいまし」

「料理の好みはー?」

「ちくわ大明神」

「何だ今の」

 

 クエスチョン、4番目にしゃべった子は何て言っていたでしょうか。(リスニング:配点7)

 A.聞き取れませんでした。

 

 

 いや本当に何言ってるか分からない。おかしい。一応私たちが参加した当初は賑やかながらもまだ受け答えできるレベルだったのに。

 

「もう少し節度を持って楽しめ、馬鹿ども」

 

 こ、この声は!?

 

「「「はい、織斑先生」」」

 

 我らが織斑先生、ご降臨である。

 だが、その手に持っている一升瓶は何ですかね……?

 

「千冬姉、それお酒なんじゃ」

 

 ゴスッ!

 

「織斑先生だ」

「……はい」

 

 勇者織斑、拳に沈む。惜しい奴を亡くしたぜ……

 

「今日は日曜で私はオフだ。休日の大人が花見を楽しんでも不思議ではないよな?」

「「「その通りです!」」」

「よろしい。お前たちも騒ぐなとまでは言わないが程ほどにな?」

「「「はーい!」」」

 

 まさかの公認である。本当に自由だなこの学校。

 

 ※※※※※

 

 はしゃいでいるとお腹も減る。ビニールシートにはそれぞれが持ち寄ったお菓子やジュース、中にはおにぎりやサンドイッチといった軽食まで用意している子いた。

 それらをいただきながら、クラスメートとの談笑を楽しんでいると

 

「あ、あの。レオさん」

「セシリアさん? どうかしましたか?」

 

 どこか緊張した面持ちのセシリアさんが近づいてきた。私に何か用だろうか。

 

「そのですね……」

 

 クッソかわいいぃぃぃぃぃぃ!!!(デビルマン風味)

 

 何かを伝えたくて、でもなかなか自分から切り出せない。そんな様子の女の子からしか得られない栄養素がある。今はガンには効かないが、いずれ効くようになる。(オタク特有の早口)

 今の状況、そして両手が後ろに回っている所を見るにまさか、

 

(手料理、だと……?)

 

 うっそだろお前、推しの手料理を食べられるとかここは天国か? あ、そういえば私死んで転生したんだったわ。HAHAHA!

 

「何か作ってきてくれたんですか?」

「え、えぇそうですの! 日本のハナミでは軽い食事をしながら花を楽しむと聞いたものでして!」

「そのとおりですよ、セシリアさん」

 おずおずとセシリアさんが出した小ぶりのバスケット。蓋を開けるとおいしそうなサンドイッチが顔を出す。

 

 

「おぉ! これはおいしそうです!」

「あまり料理はしないものなので味は保証できませんが……」

「初心者でこんなに綺麗に作れるなんて凄いですよ。それではいただきますね」

「はい!」

 

 

 そして私は『とてもおいしそうに見える』サンドイッチを口に運び……

 

 

 ※※※※※

 

 悲劇の一部始終を、織斑一夏と篠ノ之箒は偶然目撃していた。

 

 セシリア・オルコットが作ったと思しきサンドイッチ。一夏は普通においしそうだと思っていたし、箒は上手くレオと2人っきりな状況を作り出し手作りの料理を食べさせるという高等テクニックを実践した事に戦慄しながらも2人の様子を見守っていた。

 そしてレオはサンドイッチを口に運び。

 

 パクン。モグモグ。

 

 ……バタン

 

 ビクンビクンビクンビクン

 

 その場に倒れたかと思うと痙攣し始めた。

 

「きゃああああああああ!!??」

「レオ!? どうした!?」

 

 セシリアの悲鳴が上がり、慌てて駆け寄る一夏と箒。

するとレオはひょっこり起き上がった。

 

「あ、脚が攣っちゃって……」

「脚攣ったにしては顔真っ青なんだが……?」

「脚が、攣ったんです。良いですね?」

「シキシマはそれで良いのか……?」

 

 自らも料理を嗜むことから大体の事情を察した一夏と箒は顔を引きつらせていた。

 

 ※※※※※

 

 なんだこれは、たまげたなぁ。

 

 原作うろ覚えの弊害がこんな所で牙を剥くとは思わないでしょう。でも今ので完全に思い出したぜ……

 セシリアさんは、ISにおけるメシマズ要員だった事をよぉ!

 

 凄いよね、見た目は普通、というかむしろ美味しそうなサンドイッチなんだよ。それなのに、口に入れて噛んでいくとトロピカルな味が広がって、最後の方はもう味が分からないレベルなんだぜ?

 嘘松乙? 話盛ってるんじゃないかって?

 

 

 食ってみな? (意識が)飛ぶぞ。

 

 推しの手料理(なお味)に内心むせび泣く私だったが、問題は。

 

「レオさん、大丈夫ですか?」

 

 突然ぶっ倒れた私を心配しつつも、見るからに手料理の感想を求めているっぽいセシリアさんなんだよなぁ。

 これは難題だ。いくら私が前世の記憶を持つ転生者とはいえ、(一応)料理を食べて倒れるなんていくらなんでも初めての経験だし、トロピカルサンドイッチの味なんてどう表現しても「おいしかったよ」なんて言えない。

 

 だがッ……!

 

「その、いかがでしたか……?」

 

 不安そうな顔で感想を聞いてくる推し相手に日和らねぇ奴いるぅ!?

 いねぇよなぁ!?

 いたら潰すぞ!!(理不尽)

 

「ごめんなさいセシリアさん、食べた瞬間に足が攣ってしまったもので。

 美味しかったような気もするのですが衝撃で吹き飛んでしまいました」

(誤魔化した!)

(誤魔化せるのか?)

「それは仕方ありませんわね。

 ですが皆さんにも分けていただけるよう沢山作ってきましたの!」

「え゛」

「なん……だと……?」

「待て一夏、逃げるな」

 

 あ、篠ノ之さんと織斑の声がする。チラと見てみると顔を青くした2人と目が合った。

 

「あ! セシリアも料理作ってきたの?」

「わぁ~このサンドイッチ美味しそう!」

 

 マズい!? クラスメートがサンドイッチ(危険物)の存在に気が付いた! 胃袋にはそこそこ自身のあった俺でも意識が飛ぶレベルのブツ、女子に食べさせる訳には……!

 ええい、腹を括れ! 覚悟を決めろ!

 

「ふふふ、皆さんには悪いですが、このサンドイッチは私が全ていただきましょう!!」

「あっ! シキシマ君ずるーい!」

「待てシキシマァ!!」

 

 行儀が悪いのは承知の上だ、毒物(サンドイッチ)を3段重ねにしてかぶりつく!

 

「レオ? 何やってんだよ、レオォ!?」

 

 織斑の声が聞こえるが構っていられない。バスケットの中身を空にするまでは!

 

「グヴッ!? ……ウォオオ!!」

 

 口の中に広がる宇宙。舌が吹き飛び、喉が痺れるような気すらしてきた。それでも、あと1つ、あと半分

――完食!!

 

「ハァ、ハァ……

 何だよ、結構食べられるじゃねぇか……」

「レオ、そんな、レオ……ッ!」

「何て声出しやがる……一夏」

「だって……だって!」

 

 霞む視界の端に、半泣きの一夏が映る。ハハッ、酷い顔だ。

 

「俺は世界で2番目のIS搭乗者、レオ・シキシマだぞ? こんくらいなんてこたぁねぇ」

「そんなッ! まさか、クラスのみんなを守るために?」

「女子を守るのは男の本懐だろう?」

「でも!」

「いいから行くぞ。花見はこれからなんだ。それに……」

 

(やっと分かったんだ。男と女とか、ISとブラストとかなんて関係ない。ただ進み続ければいい。止まんねぇ限り、道は続く)

 

 立ち上がってみんなの所に行こうとして、自分が横になっている事に気が付いた。

 あぁ、お腹いっぱいだ。これじゃ夕飯はいらなさそうだ。

 なんだか、ねむいなぁ。

 

「俺は止まんねぇからよ、お前らが止まんねぇ限り、その先に俺はいるぞ!

 だからよ、

 

 止まるんじゃねぇぞ……」

「れ、レオォォォ!!!」

 

 なお私はその日の夜保健室で意識を取り戻したことを申し添えておこう。




みんなも原作はよく読み込もうね!
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